説明

電子機器部品用の制振材

【課題】
アウトガスの発生の少ない電子機器部品用の制振材を提供すること。
【解決手段】
反応性のアミン触媒および構造末端に活性水素基を有するシリコーン系界面活性剤を用いて形成される低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形することにより、制振性に優れ、シリコーン化合物の発生量が0.5μg/g以下でありかつ総VOC量が300μg/g以下であるアウトガスの発生量が極めて少ない電子機器部品用の制振材を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形してなる電子機器部品用の制振材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に搭載されるハードディスクドライブ(以下、「HDD」とする)は、作動時にモーターやディスクから発生する振動が外部まで伝播してしまうため、この振動を抑制する部材が必要とされている。
【0003】
従来、自動車の振動や騒音、例えば、カーエアコンの配管部位であるエキスパンションバルブで冷媒を膨張させる際の振動や騒音の抑制のために、ポリウレタンフォーム、特に低反発弾性ポリウレタンフォームが用いられ、その効果が実証されている。しかしながら、ポリウレタンフォームを用いて電子機器部品用の制振材と成した場合、電子機器部品の誤作動や故障等の不具合が発生するおそれがある。これは、ポリウレタンフォームの製造の際に使用するアミン触媒やシリコーン系界面活性剤が揮発し、制御基板を汚染するためである。
【0004】
シリコーン系界面活性剤の発生を抑制する手段として、シラノール含有オルガノシロキサンを含む界面活性剤を使用する例がある(特許文献1)が、アミン触媒の揮発を充分に抑制できず、電子機器部品用としての使用は困難である。分子内に二級のヒドロキシル基を有するアミン触媒を使用し、アミン触媒の移行を防止する手段も知られているが(特許文献2)、該アミン触媒はヒドロキシル基の活性が低く、アミンの発生が充分に抑制されない。また、触媒作用が弱いため、フォーム形成反応が鈍く成形不良になる傾向にある。特に低反発弾性ポリウレタンフォームにおいては、一般に使用するポリオールの平均水酸基価が大きいことから、重合活性が強く、重合触媒である錫触媒の使用をごく少量に抑えることが多いため、触媒としてアミン触媒に頼るところが大きくなり、上記傾向が強くなる。
【特許文献1】特開2007−92068号公報
【特許文献2】特開平4−85317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の現状に鑑みなされたものであって、アウトガスの発生の少ない電子機器部品用の制振材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、電子機器部品用の制振材を形成する低反発弾性ポリウレタンフォームの製造において、特定のアミン触媒と特定の整泡剤を用い、該フォームを熱圧縮成形することで、制振性に優れ、アウトガスの発生がほとんどない制振材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、触媒として下記一般式で表される反応性のアミン触媒を用い、整泡剤として構造末端に活性水素基を有するシリコーン系界面活性剤を用いて形成される低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形することによって、シリコーン化合物の発生量が0.5μg/g以下でありかつ総VOC量が300μg/g以下であるアウトガスの発生量が非常に少ない電子機器部品用の制振材を得ることができる。
<化1>
(CHN(CHOH (X=4〜8)
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子機器部品用の制振材は、低反発弾性ポリウレタンフォームの製造において、特定の反応性のアミン触媒と、整泡剤として構造末端に活性水素を有するシリコーン系界面活性剤を使用しているので、シリコーン化合物の発生量が0.5μg/g以下でありかつ総VOC量が300μg/g以下が達成できる。そのため、電子機器部品用の制振材として使用しても、電子機器の誤作動や故障等の不具合がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。本発明の電子機器部品用の制振材は、触媒として特定の反応性のアミン触媒を用い、整泡剤として構造末端に活性水素基を有するシリコーン系界面活性剤を用いて形成される低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形することによりなる。
【0010】
まず、低反発弾性ポリウレタンフォームについて説明する。低反発弾性ポリウレタンフォームは、ポリオール、整泡剤、発泡剤、触媒その他助剤と、有機ポリイソシアネートとを用いて発泡、硬化させて得られるものであり、反発弾性が15%以下の軟質ポリウレタンフォームである。
【0011】
〔ポリオール成分〕
本発明において使用されるポリオール成分は、従来公知の低反発弾性ポリウレタンフォームを構成するポリオール成分として知られているものが使用でき、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ビニル重合体含有ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオキシアルキレンポリエステルブロック共重合体ポリオール等を挙げることができる。
【0012】
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコールを開始剤としたアルキレンオキシド付加物;ビスフェノールAのような多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物;リン酸、ポリリン酸(例えば、トリポリリン酸およびテトラポリリン酸)などの多価ヒドロキシ化合物、フェノール−アニリン−ホルムアルデヒド縮合生成物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、メチレンビスオルソクロロアニリン、4,4’−および2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミンなどのポリアミン類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシドなどの1種または2種以上を付加させて得られるポリエーテルポリオール類;またはポリテトラメチレンエーテルグリコール等を例示することができる。
【0013】
また、ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビットなどの少なくとも2個以上のヒドロキシル基を有する化合物の1種または2種以上とマロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、セバシン酸、シュウ酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの少なくとも2個以上のカルボキシル基を有する化合物の1種または2種以上から得られたポリエステルポリオールを挙げることができる。また、ポリカプロラクトンなどの環状エステルの開環重合体類等も使用することができる。
【0014】
ビニル共重合体含有ポリオキシアルキレンポリオールとしては、上記に例示したポリオキシアルキレンポリオール中で、ラジカルの存在下にアクリロニトリル、スチレン等のビニルポリマーを重合して安定分散させたものが挙げられる。なお、ポリオキシアルキレンポリオール中のビニル重合体の含有量は、通常10〜45重量%程度である。
【0015】
上記ポリオール成分は1種または2種以上のブレンドで使用される。低反発弾性ポリウレタンフォームは外気温度の低下と共に硬さがアップする所謂感温性があるので、2種以上のポリオールをブレンドすることが好ましく、具体的には分子量2000〜6000の高分子量ポリオールと分子量400〜1500の低分子量ポリオールをブレンドすることが好ましい。なお、高分子量ポリオールは、分子量が2000〜6000で、官能基数が2〜4、平均水酸基価が20〜110mgKOH/gのポリオールであり、低分子量ポリオールは、分子量が400〜1500で、官能基数が2〜4、平均水酸基価が75〜560mgKOH/gのポリオールである。高分子量ポリオールの水酸基価が小さい場合は分子量が大きくなるので、反発弾性が大きくなると共に、圧縮後のフォームの戻りが早くなる傾向がある。逆に、低分子量ポリオールの水酸基価が大きい場合は分子量が小さくなるので、硬くなる傾向があるため、ポリオールのブレンド比率を調整して使用目的に合致した物性の低反発弾性ポリウレタンフォームを得ることが出来る。
【0016】
本発明の制振材を構成する低反発弾性ポリウレタンフォームを得るには、高分子量ポリオールと低分子量ポリオールの平均水酸基価が90〜280mgKOH/gとなるようにすることがより好ましい。平均水酸基価が90mgKOH/gより小さく、平均分子量が大きくなると、反発弾性が大きくなると共に圧縮後のフォームの戻りが速くなる傾向がある。ポリオールの平均水酸基価が280mgKOH/gより大きく、平均分子量が小さくなると、フォームが硬くなる傾向にあり、電子機器部品用の制振材としては不向きなフォームとなる場合がある。
【0017】
〔ポリイソシアネート成分〕
本発明において使用されるポリイソシアネート成分としては、特に限定されず、ポリウレタンフォームの製造に通常使用される公知のポリイソシアネート化合物を用いることができる。具体的には、芳香族系、脂環族系、脂肪族系のポリイソシアネート、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートの1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。
【0018】
芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート=80/20の混合物あるいは2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート=65/35の混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネートなどが挙げられるがこれらに限定されるものでは無い。
【0019】
脂環族系ポリイソシアネートとしては、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。また、脂肪族系ポリイソシアネートとしてはヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0020】
これらのポリイソシアネート化合物のなかでも、本発明にあっては、特に芳香族系のポリイソシアネートである2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物が好結果を与えやすい。
【0021】
〔触媒〕
本発明において使用される触媒は、下記一般式で表される反応性のアミン触媒である。
<化1>
(CHN(CHOH (X=4〜8)
上記一般式で表される反応性のアミン触媒を使用することにより、触媒としての活性が高く、フォームを形成したときに遊離のアミン量を抑えることができる。その理由としては必ずしも定かではないが、Nの立体障害が小さいため触媒として高い活性を有し、また水酸基が一級であり立体障害が小さいために反応性が高く、ウレタン樹脂の重合に関与しやすいためであると考えられる。アミン触媒の添加量はポリオール成分100重量部に対して0.1〜3.0重量部程度が好ましい。
【0022】
本発明においては、上記一般式で表される反応性のアミン触媒以外にも、総VOC量が300μg/g以下に抑えられる範囲であれば、ポリウレタンフォームを製造する際に用いられる他の触媒を組み合わせることが可能である。
【0023】
〔整泡剤〕
本発明において使用される整泡剤は、構造末端に活性水素基を有する反応性のシリコーン系界面活性剤を使用する。構造末端に活性水素基を有する反応性のシリコーン系界面活性剤としては、構造末端が水酸基、アミノ基等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。具体的には、東レ・ダウコーニング株式会社製のSZ−1327、SZ−1333、SZ−1718、SZ−1710、SF−2937F、SF−2945F、SH−193や、信越化学株式会社製のF−114、F−341、F−345、F−305モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のL−626等が挙げられる。上記構造末端に活性水素基を有する反応性のシリコーン系界面活性剤を使用することにより、フォームのセル性状を均一にすることが可能であり、かつシリコーン系界面活性剤がウレタン樹脂中に取り込まれるため、シリコーン化合物由来のアウトガスの発生を0.5μg/g以下に抑えることが可能となる。上記シリコーン系界面活性剤の添加量はポリオール100重量部に対して0.5〜1.5重量部であることが好ましい。
【0024】
〔発泡剤〕
本発明に用いる発泡剤としては、水のみを発泡剤として用いるのが環境的に好ましいが、必要に応じてトリクロロモノフルオロメタン、メチレンクロライド等の低沸点の有機化合物や、二酸化炭素等も使用することができる。
【0025】
〔その他添加剤〕
本発明の制振材を構成する低反発弾性ポリウレタンフォームには、その他添加剤として、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料等を使用できる。
【0026】
本発明の制振材を構成する低反発弾性ポリウレタンフォームの製造方法は、従来の用いられている低反発弾性ポリウレタンフォームの製造方法に基づいて行なうことができ、例えば、プレポリマー法、ワンショット法等を適用できる。
【0027】
本発明の電子機器部品用の制振材を構成する低反発弾性ポリウレタンフォームは、密度が40〜100kg/mであることが好ましい。密度が40〜100kg/mの低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形することにより、優れた制振性を得ることができる。また、同一体積においては、密度が低いもののほうがよりアウトガスの発生を抑制できるので、さらに好ましくは40〜80kg/mである。
【0028】
本発明の電子機器部品用の制振材は、上述の低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形して得られる。本発明で使用する低反発弾性ポリウレタンフォームは、反応性のアミン触媒と構造末端に活性水素基を有する反応性のシリコーン系界面活性剤を使用することにより、シリコーン化合物の発生およびVOCの発生をある程度抑えることができる。そして、熱圧縮成形することにより、さらにそれらアウトガスの発生を抑制することができる。これは、低反発弾性ポリウレタンフォームの骨格に取り込まれずに残留したアミン触媒やシリコーン整泡剤が熱により揮発するためであると考えられる。それ故シリコーン化合物の発生量が0.5μg/g以下でありかつ総VOC量が300μg/g以下を達成することができる。
【0029】
圧縮倍率は制振材を使用する用途によって適宜設定可能であるが、制振性とアウトガス発生の抑制の両側面から考えると1.5〜5倍であることが好ましい。低反発弾性ポリウレタンフォームは一般にヒステリシスロス率が高いが、低反発弾性ポリウレタンフォームを1.5〜5倍の圧縮倍率で熱圧縮成形すると、さらにヒステリシスロス率が高くなり、衝撃吸収性に優れた材料となる。また、5倍を超えると密度が大きくなるためにアウトガスの発生量が増加する傾向にある。
【0030】
熱圧縮成形する方法としては、熱板の温度を160〜220℃で30秒〜5分間程度熱プレスし、所望の圧縮倍率にする方法が好ましい。
【0031】
本発明の低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形してなる制振材の厚みは、使用する用途によって適宜設定可能であるが、例えばHDD用としては0.5〜5mm程度である。
【0032】
本発明の低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形してなる制振材は、上記構成により低反発弾性ポリウレタンフォームを製造し、熱圧縮成形することにより、制振性に優れ、シリコーン化合物の発生量が0.5μg/g以下でありかつ総VOC量が300μg/g以下の制振材が得られる。そのため、電子機器部品用の制振材に用いても、誤作動や故障等の不具合が生じない。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
<実施例1〜10、比較例1〜7>
表1に記載の配合処方により、低反発弾性ポリウレタンフォームを製造した。すなわち、ポリオール、整泡剤、触媒、発泡剤を攪拌混合し、そこにポリイソシアネート
を加え、混ぜ合わせて発泡させることにより低反発弾性ポリウレタンフォーム(比較例1においては低反発弾性でないポリウレタンフォーム)を製造した。得られた低反発弾性ポリウレタンフォームを熱プレス法(180℃、3分間)により、それぞれ表1に示す圧縮倍率で熱圧縮成形し、制振材を得た。
【0034】
各実施例および比較例で使用した低反発弾性ポリウレタンフォームについて、以下の測定および評価を行なった。
【0035】
<フォーム性状>
目視にて判断した。
【0036】
〇:独泡率が低く、セルが細かく均一
△:独泡率が高くフォームが収縮気味
【0037】
<密度>
JIS K7222に準じて測定した。
【0038】
<反発弾性>
JIS K6400に準じて測定した。
【0039】
各実施例および比較例で得られた制振材について、以下の測定を行なった。
【0040】
<ヒステリシスロス率>
JIS K6400に準じて測定した。
なお、ヒステリシスロス率が高いと(特に50%以上であると)衝撃吸収性が高く、制振性に優れると言える。
【0041】
<アウトガス発生量>
各実施例、比較例で得られた制振材を、縦1cm×横5cm×厚さ0.1cmに切り出して秤量し、サーモエクストラクター専用のガラス管に投入し、80℃で高純度窒素ガスを50mL/minで20分間加熱抽出し、発生したガスを吸着管に捕集して、加熱脱着−ガスクロマトグラフ質量分析法により測定し、シリコーン化合物および総VOCの発生量を求めた。
(A)シリコーン化合物
シロキサンガス成分について、トルエン換算にて成分量を求めた。
〇:0.5μg/g未満
×:0.5μg/g以上
(B)総VOC
〇:250μg/g未満
△:250μg/g〜300μg/g
×:300μg/g以上
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
表中:
ポリオールA:ポリエーテルポリオール 官能基数3、OHv=240、Mw=700 (旭硝子株式会社製 EXCENOL 730)
ポリオールB:ポリエーテルポリオール 官能基数3、OHv=56、Mw=3000 (旭硝子株式会社製 EXCENOL 3030)
整泡剤A:反応性シリコーン系界面活性剤 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製 L−626
整泡剤B:反応性シリコーン系界面活性剤 信越化学社製 F−114
整泡剤C:シリコーン系界面活性剤 東レ・ダウコーニング社製 SH−192
触媒A:アミン触媒 トリエチレンジアミン33%ジプロピレングリコール67%の混合物
触媒B:反応性アミン触媒 N,N−ジメチルアミノヘキサノール
触媒C:反応性アミン触媒 N,N−ジメチルアミノブタノール
触媒D:反応性アミン触媒 N,N−ジメチルアミノドデカノール
触媒E:反応性アミン触媒 N,N−ジエチルアミノヘキサノール
触媒F:反応性アミン触媒 N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール
触媒G:錫触媒 日東化成社製 ネオスタンU−28
【0045】
実施例1〜10は、表1からわかるように何れもほとんどアウトガスの発生がなく、衝撃吸収性に優れた制振材が得られた。
【0046】
一方、比較例1は反発弾性が15%を超えるフォームを用いたので、ヒステリシスロス率の値が低く、衝撃吸収性に優れた制振材が得られなかった。
比較例2は、整泡剤として構造末端に活性水素基を有するシリコーン系界面活性剤を用いなかったので、シリコーン化合物の発生を抑制できず、電子機器部品用の制振材としては不適であった。
比較例3〜6は本願で特定した以外のアミン触媒を使用したので、アウトガスの発生を抑制できず、電子機器部品用の制振材としては不適であった。
比較例7は、低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形しなかったので、アウトガスの発生を充分に抑制できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分、触媒、整泡剤、発泡剤とを反応させて得られるものであって、
上記触媒として、下記一般式で表される反応性のアミン触媒を用い、
上記整泡剤として構造末端に活性水素基を有するシリコーン系界面活性剤を用いて形成される低反発弾性ポリウレタンフォームを熱圧縮成形してなる
シリコーン化合物の発生量が0.5μg/g以下でありかつ総VOC量が300μg/g以下であることを特徴とする電子機器部品用の制振材。
<化1>
(CHN(CHOH (X=4〜8)
【請求項2】
低反発弾性ポリウレタンフォームの密度が40〜100kg/mであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器部品用の制振材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の低反発弾性ポリウレタンフォームを1.5〜5倍の圧縮率で熱圧縮成形してなることを特徴とする電子機器部品用の制振材。

【公開番号】特開2009−191966(P2009−191966A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33716(P2008−33716)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】