説明

電子機器

【課題】消費電力を低く抑えつつ、タッチセンサ全体を明るく照らすことができる電子機器を提供することにある。
【解決手段】電子機器は、筐体と、筐体に取り付けられたタッチセンサ25と、を具備する。タッチセンサ25は、筐体の一部に設けられる透光性パネル32と、透光性パネル32にユーザが触れたこと感知するプリント回路板33と、プリント回路板33に実装されるとともに、透光性パネル32に向けて光を照射する光源と、透光性パネル32と光源との間に設けられるとともに、光源から照射される光を拡散させる拡散シート35と、を備える。拡散シート35は、光をそのまま透過させるように透明になった第1の領域43と、光を透光性パネル32の外周部に向けて拡散させるように曇った第2の領域44と、を有する。第2の領域44は、光源に対応する位置に設けられる。第1の領域43は、第2の領域44の周囲に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の処理を指示するための操作部をなしているタッチセンサを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの発光ダイオードによって照光部の広範囲を照らすことを可能とした携帯電話機が開示されている。この携帯電話機は、外郭の一部を構成しているリアケースと、リアケースの一部に設けられた乳白色アクリル樹脂製の照光部と、照光部に光を照射するための発光ダイオードと、開口部を有するとともにこの開口部に前記発光ダイオードを実装したプリント基板と、照光部と発光ダイオードとの間に設けられた拡散シートと、プリント基板の開口部に対応して設けられた反射シートと、を備えている。拡散シートは、発光ダイオードの光を拡散して、照光部における光の拡散効果を向上させるためのものである。反射シートは、プリント基板に対して、拡散シートとは反対側の位置に設けられている。
【0003】
この携帯電話機では、電話の着信の際や、メールを受信した際に、発光ダイオードが発光する。この光の一部は、拡散シートで拡散されて、照光部に照射される。また、発光ダイオードから照射される光のうち、プリント基板に沿った方向に照射される光は、拡散シートで反射して、開口部を通ってプリント基板の反対側に照射される。この光は、反射シートにおいて反射して、再び開口部を通って拡散シートを透過し、照光部に照射される。これによって、プリント基板に沿った方向に漏れた光についても、反射板によって拡散シートに反射させることができ、当該光を有効に活用できるとしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−134210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プリント基板に沿った方向に照射される光については、もともと弱い光であるため、この弱い光を反射板で反射し、且つ拡散シートによって拡散させてしまうと、実際にはこの光が照光部の表面まで届かないという現象が起こりうる。このため、見た目の印象として、照光部の外周部が暗くなってしまうことがある。一方、この問題を解決するために、発光ダイオードに供給する電流を大きくすることが考えられるが、電流を大きくすると今度は消費電力が大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、消費電力を低く抑えつつ、タッチセンサ全体を明るく照らすことができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、筐体と、前記筐体に取り付けられたタッチセンサと、を具備する電子機器であって、前記タッチセンサは、前記筐体の一部に設けられる透光性パネルと、前記透光性パネルにユーザが触れたこと感知するプリント回路板と、前記プリント回路板に実装されるとともに、前記透光性パネルに向けて光を照射する光源と、前記透光性パネルと前記光源との間に設けられるとともに、前記光源から照射される光を拡散させる拡散シートと、を備え、前記拡散シートは、前記光をそのまま透過させるように透明になった第1の領域と、前記光を前記透光性パネルの外周部に向けて拡散させるように曇った第2の領域と、を有し、前記第2の領域は、前記光源に対応する位置に設けられるとともに、前記第1の領域は、前記第2の領域の周囲に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費電力を低く抑えつつ、照光部全体を明るく照らすことができる電子機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図1から図4を参照して、電子機器の実施形態について説明する。本実施形態では、電子機器の一例として、いわゆるノートブック型のパーソナルコンピュータであるポータブルコンピュータに適用した場合を例に説明する。
【0009】
図1に示すように、ポータブルコンピュータ11は、本体ユニット12と、ディスプレイユニット13と、本体ユニット12とディスプレイユニット13との間に設けられるヒンジ部14と、を備えている。ヒンジ部14は、ディスプレイユニット13を回動可能に支持している。ヒンジ部14は、本体ユニット12に対して閉じている状態と、本体ユニット12に対して開いている状態との間で回動できるようにディスプレイユニット13を支持している。
【0010】
図1に示すように、ディスプレイユニット13は、ディスプレイキャビネット15と、ディスプレイキャビネット15の内部に収納されるディスプレイの一例である液晶ディスプレイ16と、を備えている。
【0011】
本体ユニット12は、合成樹脂製の本体キャビネット21と、本体キャビネット21の内部に収容される図示しない第1のプリント回路板と、本体キャビネット21に取り付けられたキーボード23およびタッチパッド24と、本体キャビネット21の一部に設けられるタッチセンサ25と、を備えている。第1のプリント回路板は、CPU等の複数の回路部品を有している。タッチセンサ25は、例えば、静電容量の変化を検出して、ユーザの指が触れたこと感知できる静電式のものである。
【0012】
図2に示すように、タッチセンサ25は、例えば、音楽プレーヤーの起動ボタン26、再生・一時停止ボタン27、停止ボタン28、巻き戻しボタン29、早送りボタン30、などを含んでいる。図3に示すように、タッチセンサ25の各ボタンは、本体キャビネット21のキーボード23よりも奥の位置に設けられた透光性パネル32と、透光性パネル32の下方に設けられた第2のプリント回路板33と、第2のプリント回路板33に実装される光源である発光ダイオード34と、透光性パネル32と発光ダイオード34との間に設けられる拡散シート35と、を備えている。透光性パネル32は、本体キャビネット21の開口部に嵌め込まれて固定されている。透光性パネル32は、例えば、合成樹脂によってブラックを基調として、半透明に形成されている。なお、本発明にいう筐体は、ディスプレイキャビネット15と本体キャビネット21とを含んだ概念である。タッチセンサ25に用いられる光源としては、発光ダイオード34に限られるものではなく、例えば電球などであってもよい。
【0013】
タッチセンサ25は、図4に示すように、さらに、透光性パネル32と拡散シート35とを接着するための第1の両面テープ36と、拡散シート35と第2のプリント回路板33とを接着するための第2の両面テープ37と、を有している。第1の両面テープ36および第2の両面テープ37は、それぞれ透光性を有している。拡散シート35および第2のプリント回路板33は、第1の両面テープ36および第2の両面テープ37を介して透光性パネル32に接着されている。なお、図3では、第1の両面テープ36および第2の両面テープ37の図示を省略している。
【0014】
透光性パネル32は、シルク印刷層38を有している。このシルク印刷層38は、透光性および光拡散性のある乳白色の塗料、すなわちシルクによって例えば、文字、図形、記号を表すように形成されている。
【0015】
図3と図4に示すように、第2のプリント回路板33は、プリント配線板41と、プリント配線板41上に形成されたタッチセンサ本体42と、図示しない複数の回路部品と、を有している。タッチセンサ本体42は、例えば、プリント配線板41上に印刷された方形の導体パターン(グランド)として形成されている。第2のプリント回路板33のタッチセンサ本体42は、ユーザの指が透光性パネル32に触れた際の静電容量の変化を検出できる。
【0016】
プリント配線板41は、拡散シート35に対向する第1の面41Aと、第1の面41Aとは反対側の第2の面41Bと、第1の面41Aと第2の面41Bを貫通するように設けられる開口部41Cと、を有している。開口部41Cは、長円形状に形成されている。光源である発光ダイオード34は、開口部41Cと重なり合うように第2の面41Bに実装されている。
【0017】
拡散シート35は、合成樹脂によって形成されたフィルム状のものであり、光をそのまま透過させるように透明になっている第1の領域43と、光を周囲に向けて拡散させるように曇っている第2の領域44と、を有している。第2の領域44は、光源である発光ダイオード34に対応する位置に設けられている。より具体的には、第2の領域44は、拡散シート35の発光ダイオード34に正対する部分に方形に形成されている。第2の領域44は、発光ダイオード34がプリント配線板41の開口部41Cから露出している部分よりも、一回り大きく形成されている。
【0018】
第2の領域44は、拡散シート35の表面に対して研磨処理、例えばサンドブラストなどの表面処理を施して形成されている。第2の領域44では、発光ダイオード34から照射される光を透光性パネル32の外周部に向けて拡散することができる。第1の領域43は、第2の領域44の周囲に設けられている。
【0019】
続いて、図3と図4を参照して、本実施形態のタッチセンサ25の作用について説明する。本実施形態において、ユーザの指が透光性パネル32の早送りボタン30に触れると、第2のプリント回路板33のタッチセンサ本体42において、静電容量の変化が検出される。これによって、ユーザの指が透光性パネル32に触れていることが感知される。ポータブルコンピュータ11の電源がオンになっている状態において、透光性パネル32は、発光ダイオード34によって明るく照らされている。このとき、図4に示すように、発光ダイオード34から透光性パネル32に向かってまっすぐに照射される光は、拡散シート35の第2の領域44に照射され、第2の領域44において拡散されて透光性パネル32のシルク印刷層38に照射される。また、発光ダイオード34から第2の領域44の周縁部に向けて照射された光は、透光性パネル32のシルク印刷層38の外周部に向けて拡散するように照射される。
【0020】
また、第2の領域44から外れて、第1の領域43に向けて発光ダイオード34から斜めに照射される光については、拡散シート35をそのまま透過して、シルク印刷層38にまっすぐ照射される。
【0021】
第1の実施形態によれば、ポータブルコンピュータ11は、筐体と、筐体に取り付けられたタッチセンサ25と、を具備し、タッチセンサ25は、筐体の一部に設けられる透光性パネル32と、透光性パネル32にユーザが触れたこと感知するプリント回路板33と、プリント回路板33に実装されるとともに、透光性パネル32に向けて光を照射する光源と、透光性パネル32と光源との間に設けられるとともに、光源から照射される光を拡散させる拡散シート35と、を備え、拡散シート35は、光をそのまま透過させるように透明になった第1の領域43と、光を透光性パネル32の外周部に向けて拡散させるように曇った第2の領域44と、を有し、第2の領域44は、光源に対応する位置に設けられるとともに、第1の領域43は、第2の領域44の周囲に設けられる。
【0022】
通常、発光ダイオード34から照射される光は、発光ダイオード34の直上方向に照射される光が最も強く、発光ダイオード34の周囲方向に行くにつれて光は徐々に弱くなる。この構成によれば、拡散シート35の第2の領域44が光源である発光ダイオード34に対応する位置に設けられるため、発光ダイオード34から直上方向に照射される強い光を透光性パネル32の外周部にまで拡散することができる。また、拡散シート35の第1の領域43が第2の領域44の周囲に設けられているため、発光ダイオード34から斜めに照射される弱い光については、第2の領域44を透過して拡散されることなく透光性パネル32に照射させることができる。これによって、透光性パネル32の外周部に向けて斜めに照射される弱い光が拡散シート35で拡散されて、透光性パネル32の表面まで光が届かなくなる事態を生ずることを防止できる。これらによって、透光性パネル32のシルク印刷層38の外周部が暗くなることがなく、透光性パネル32の表面を均一に照らすことができる。
【0023】
本実施形態のタッチセンサ25では、透光性パネル32と光源との間に拡散シート35が介在されるのみであるので、タッチセンサ25の設置に要するスペースを小さくすることができる。また、光を拡散するために特殊なレンズ等を使用する必要がなく、曇った第2の領域44を有する拡散シート35を用いることで足りるため、ポータブルコンピュータ11の製造にかかるコストを低く抑えることができる。以上のことから、実装時に光源と透光性パネル32との間に十分な距離がとれない場合に、十分な光拡散効果のあるタッチセンサ25を備えた電子機器を低コストで提供することができる。
【0024】
この場合、第2の領域44は、拡散シート35の光源に正対する部分に設けられた領域である。この構成によれば、第2の領域44が光源である発光ダイオード34の正面の位置に配置されるため、発光ダイオード34から直上方向に照射される光について、拡散シート35の第2の領域44を透過させて、これを確実に拡散させることができる。一方、発光ダイオード34からその周囲方向に斜めに照射される光については、拡散シート35において拡散することなく、透光性パネル32にそのまま照射させることができる。
【0025】
続いて、図5を参照して、電子機器の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ51は、拡散シート35の第2の領域52の構成が第1の実施形態と異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0026】
拡散シート35は、合成樹脂によって形成されたフィルム状のものであり、光をそのまま透過させるように透明になっている第1の領域43と、光を周囲に向けて拡散させるように曇っている第2の領域52と、を有している。第2の領域52は、光源である発光ダイオード34に対応する位置に、第1の実施形態のものと同形状に設けられている。より具体的には、第2の領域52は、拡散シート35の発光ダイオード34に正対する部分に方形に形成されている。第2の領域52は、発光ダイオード34がプリント配線板41の開口部41Cから露出している部分よりも、一回り大きく形成されている。
【0027】
第2の領域52は、拡散シート35に対して例えば乳白色の塗料、すなわちシルクを印刷して形成したシルク印刷層53で構成されている。このシルク印刷層53は、透光性および光の拡散性を有している。第1の領域43は、第2の領域52の周囲に設けられている。
【0028】
本実施形態において、ポータブルコンピュータ51の電源がオンになっている状態では、透光性パネル32は、発光ダイオード34によって明るく照らされている。このとき、図5に示すように、発光ダイオード34からその直上方向に向けてまっすぐに照射される光は、拡散シート35のシルク印刷が施された部分である第2の領域52に照射される。この光は、第2の領域52において周辺の方向に拡散され、透光性パネル32のシルク印刷層38に照射される。また、発光ダイオード34から第2の領域52の周縁部に向けて照射された光は、透光性パネル32のシルク印刷層38の外周部に向けて拡散するように照射される。
【0029】
また、第2の領域52から外れて、第1の領域43に向けて発光ダイオード34から斜めに照射される光については、拡散シート35の第1の領域43をそのまま透過して、シルク印刷層38の外周部にまっすぐ照射される。
【0030】
第2の実施形態によれば、シルク印刷層38によって拡散シート35に第2の領域52を形成したとしても、第2の領域52において光を周辺方向に拡散させることができる。このため、透光性パネル32のシルク印刷層38の外周部が暗くなることがなく、透光性パネル32のシルク印刷層38の全体を明るく照らすことができる。
【0031】
続いて、図6と図7を参照して、電子機器の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ61は、拡散シート62の構成が第1の実施形態と異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0032】
拡散シート62は、合成樹脂によって形成されたフィルム状のものであり、光をそのまま透過させるように透明になっている第1の領域63と、光を周囲に向けて拡散させるように曇っている第2の領域64と、を有している。第2の領域64は、拡散シート62の全面に設けられている。第2の領域64は、拡散シート62の表面に対して研磨処理、例えばサンドブラストなどの表面処理を施して形成されている。第1の領域63は、拡散シート62に設けられた一対の貫通孔65として形成されている。貫通孔65は、拡散シート62のうち、光源である発光ダイオード34に正対する位置66と隣接する位置に設けられている。これら一対の貫通孔65は、プリント配線板41に形成された長孔状の開口部41Cに正対する位置にそれぞれ配置されている。
【0033】
第2のプリント回路板33は、プリント配線板41と、プリント配線板41上に形成されたタッチセンサ本体42と、複数の図示しない回路部品と、を有している。タッチセンサ本体42は、例えば、プリント配線板41上に印刷された方形の導体パターン(グランド)として形成されている。
【0034】
プリント配線板41は、拡散シート62に対向する第1の面41Aと、第1の面41Aとは反対側の第2の面41Bと、光源である発光ダイオード34に対応する位置で第1の面41Aと第2の面41Bを貫通するように設けられる開口部41Cと、を有している。開口部41Cは、長円形状に形成されている。光源である発光ダイオード34は、開口部41Cと重なり合うように第2の面41Bに実装されている。図6と図7に示すように、拡散シート62の第1の領域63を形成する貫通孔65は、プリント配線板41の開口部41Cに正対する位置に配置されている。なお、図6では、第1の両面テープ36および第2の両面テープ37の図示を省略している。
【0035】
ポータブルコンピュータ61の電源がオンになっている状態では、透光性パネル32は、発光ダイオード34によって明るく照らされている。図7に示すように、発光ダイオード34からその直上方向に向けてまっすぐに照射される光は、拡散シート62の第2の領域64に照射されるとともに周辺の方向に拡散され、透光性パネル32のシルク印刷層38に照射される。また、拡散シート62の発光ダイオード34に正対する位置66の周縁部に向けて、発光ダイオード34から照射された光は、透光性パネル32のシルク印刷層38の外周部に向けて拡散するようにシルク印刷層38に照射される。さらに、第2の領域64から外れて、第1の領域63に向けて発光ダイオード34から斜めに照射される光については、第1の領域63である貫通孔65をそのまま透過して、シルク印刷層38にまっすぐに照射される。
【0036】
第3の実施形態によれば、第2の領域64を拡散シート62の全面に形成し、第1の領域63を貫通孔65として形成することにより、拡散シート62を簡単な構成で実現することができる。特に、本実施形態によれば、第1の領域63が貫通孔65で形成されるため、第1の領域63を通る光がさらに弱くなることがなく、透光性パネル32のシルク印刷層38の中央部から外周部に至るまで均一な明るさにすることができる。
【0037】
本実施形態では、プリント回路板33は、拡散シート62に対向する第1の面41Aと、第1の面41Aとは反対側に設けられるとともに光源が実装される第2の面41Bと、光源に対応する位置で第1の面41Aと第2の面41Bとを貫通するように設けられる開口部41Cと、を有し、貫通孔65は、開口部41Cに正対する位置に配置される。この構成によれば、第2の面41Bに実装される光源の光は、開口部41Cを通って第1の面41Aの方向に照射される。すなわち、光源の光は、開口部41Cの形状に倣って拡散され、透光性パネル32に向けて照射される。上記のように、貫通孔65が開口部41Cに正対していれば、開口部41Cで拡散された輝度の低い光を貫通孔65の内部に導いて、この輝度の低い光をさらに弱めることなく透光性パネル32まで導くことができる。これによって、透光性パネル32上のシルク印刷層38を均一に発光させることができる。
【0038】
続いて、図8を参照して、電子機器の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ71は、拡散シート72の構成が第1の実施形態と異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0039】
拡散シート72は、合成樹脂によって形成されたフィルム状のものであり、光をそのまま透過させるように透明になっている第1の領域73と、光を周囲に向けて拡散させるように曇っている第2の領域74と、を有している。第2の領域74は、光源である発光ダイオード34に対応する位置に設けられている。より具体的には、第2の領域74は、拡散シート72の光源に正対する部分75を含んだ帯状の領域として形成されている。第2の領域74は、拡散シート72の表面に対して研磨処理、例えばサンドブラストなどの表面処理を施して形成されている。第1の領域73は、第2の領域74の周囲に設けられている。なお、図8では、第1の両面テープ36および第2の両面テープ37の図示を省略している。
【0040】
第4の実施形態において、ポータブルコンピュータ71の電源がオンになっているとき、透光性パネル32は、発光ダイオード34によって明るく照らされている。発光ダイオード34からその直上方向に向けてまっすぐに照射される光は、拡散シート72の第2の領域74に照射されるとともに周辺の方向に拡散され、透光性パネル32のシルク印刷層38に照射される。また、拡散シート72の第2の領域74の周縁部に向けて、発光ダイオード34から照射された光は、透光性パネル32のシルク印刷層38の外周部に向けて拡散するようにシルク印刷層38に照射される。さらに、第2の領域74から外れて、第1の領域73に向けて発光ダイオード34から斜めに照射される光については、第1の領域73をそのまま透過して、シルク印刷層38の外周部にまっすぐに照射される。
【0041】
第4の実施形態によれば、拡散シート72の第2の領域74は、拡散シート72の光源に正対する部分75を含んだ帯状の領域である。この構成によれば、第2の領域74を帯状に形成すればよいため、拡散シート72にサンドブラスト等の表面処理を施す際に、第1の実施形態に比して加工精度の厳密性を緩和することができる。これによって、拡散シート72の加工性を向上することができる。
【0042】
続いて、図9を参照して、電子機器の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ81は、拡散シート82の構成が第1の実施形態と異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0043】
拡散シート82は、合成樹脂によって形成されたフィルム状のものであり、光をそのまま透過させるように透明になっている第1の領域83と、光を周囲に向けて拡散させるように曇っている第2の領域84と、を有している。第2の領域84は、光源である発光ダイオード34に対応する位置に設けられている。より具体的には、第2の領域84は、拡散シート82の光源に正対する部分75を含んだ帯状の領域として形成されている。
【0044】
第2の領域84は、曇りの程度が位置によって変化するように、グラデーションをつけて形成されている。第2の領域84は、その中央部85に行くにつれて曇りの程度が大きくなるように形成されている。第2の領域84は、拡散シート82の表面に対して研磨処理、例えばサンドブラストなどの表面処理を施して形成されている。第1の領域83は、第2の領域84の周囲に設けられている。なお、図9では、第1の両面テープ36および第2の両面テープ37の図示を省略している。
【0045】
第5の実施形態において、ポータブルコンピュータ81の電源がオンになっているとき、透光性パネル32は、発光ダイオード34によって明るく照らされている。発光ダイオード34からその直上方向に向けてまっすぐに照射される光は、拡散シート82の第2の領域84に照射されるとともに周辺の方向に拡散され、透光性パネル32のシルク印刷層38に照射される。また、第2の領域84の周縁部に向けて、発光ダイオード34から照射された光は、透光性パネル32のシルク印刷層38の外周部に向けて拡散するように照射される。このとき、第2の領域84の周縁部では、曇りの程度が小さくなっているため、この部分での光の拡散量は小さくなっている。
【0046】
さらに、第2の領域84から外れて、第1の領域83に向けて発光ダイオード34から斜めに照射される光については、第1の領域83をそのまま透過して、シルク印刷層38にまっすぐに照射される。
【0047】
第5の実施形態によれば、第2の領域84は、中央部85に行くにつれて曇りの程度が大きくなっている。光に拡散処理を加える場合に、拡散処理を加えた光と、拡散処理を加えなかった光との間で明るさに差を生ずることがある。上記の構成によれば、第2の領域84において拡散処理が加えられた光と、第1の領域83をそのまま通ってきた光との間において明るさ(輝度)に差が発生しているときに、この明るさの違いを低減することができる。すなわち、光源である発光ダイオード34の直上の方向に照射される明るい光に対しては、透光性パネル32上の広い範囲に拡散させることができる。一方、第2の領域84の周縁部に向けて斜めに照射される中程度の明るさの光に対しては、透光性パネル32上の狭い範囲に拡散させることができる。さらに、第1の領域83に照射される弱い光については、拡散処理を加えることなく透光性パネル32に照射することができる。これによって、透光性パネル32上のシルク印刷層38を均一な明るさで照らすことができる。
【0048】
本発明の電子機器は、前記実施の形態に限定されるものではない。上記各実施形態では、本体キャビネット21にタッチセンサ25を設けるようにしているが、ディスプレイキャビネット15にタッチセンサ25を設けるようにしても良い。また、本発明の電子機器は、ポータブルコンピュータだけはなく、携帯電話機にも適用することができる。このほか、本発明の電子機器は、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施形態に係る電子機器の一例であるポータブルコンピュータを示す斜視図。
【図2】図1に示すポータブルコンピュータのタッチセンサを示す上面図。
【図3】図2に示すタッチセンサを分解して示す分解斜視図。
【図4】図2に示すタッチセンサのF4−F4線に沿った断面図。
【図5】第2の実施形態に係るポータブルコンピュータのタッチセンサの縦方向に沿った断面図。
【図6】第3の実施形態に係るポータブルコンピュータのタッチセンサを分解して示す斜視図。
【図7】図6に示すタッチセンサの縦方向に沿った断面図。
【図8】第4の実施形態に係るポータブルコンピュータのタッチセンサを分解して示す分解斜視図。
【図9】第5の実施形態に係るポータブルコンピュータのタッチセンサを分解して示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0050】
11、51、61、71、81…ポータブルコンピュータ、25…タッチセンサ、32…透光性パネル、33…第2のプリント回路板、34…発光ダイオード、35、62、72、82…拡散シート、41A…第1の面、41B…第2の面、41C…開口部、43、63、73、83…第1の領域、44、52、64、74、84…第2の領域、65…貫通孔、75…光源に正対する部分、85…中央部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に取り付けられたタッチセンサと、を具備する電子機器であって、
前記タッチセンサは、
前記筐体の一部に設けられる透光性パネルと、
前記透光性パネルにユーザが触れたこと感知するプリント回路板と、
前記プリント回路板に実装されるとともに、前記透光性パネルに向けて光を照射する光源と、
前記透光性パネルと前記光源との間に設けられるとともに、前記光源から照射される光を拡散させる拡散シートと、
を備え、
前記拡散シートは、
前記光をそのまま透過させるように透明になった第1の領域と、
前記光を前記透光性パネルの外周部に向けて拡散させるように曇った第2の領域と、
を有し、
前記第2の領域は、前記光源に対応する位置に設けられるとともに、
前記第1の領域は、前記第2の領域の周囲に設けられることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2の領域は、前記拡散シートの前記光源に正対する部分に設けられた領域であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2の領域は、前記拡散シートの前記光源に正対する部分を含んだ帯状の領域であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の領域は、中央部に行くにつれて曇りの程度が大きくなることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の領域は、前記拡散シートの全面に設けられるとともに、
前記第1の領域は、前記拡散シートの前記光源に正対する位置とは隣接した位置に設けられた貫通孔として形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記プリント回路板は、前記拡散シートに対向する第1の面と、前記第1の面とは反対側に設けられるとともに前記光源が実装される第2の面と、前記光源に対応する位置で前記第1の面と前記第2の面とを貫通するように設けられる開口部と、を有し、
前記貫通孔は、前記開口部に正対する位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−283422(P2009−283422A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137178(P2008−137178)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【特許番号】特許第4364286号(P4364286)
【特許公報発行日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】