説明

電子機器

【課題】筐体内に設けられた装着部に情報記憶媒体を挿入するための挿入口を有する電子機器において、情報記憶媒体が不完全な装着状態にあるときにこれを確実に知ることができる電子機器を提供する。
【解決手段】車載用電子機器10は、挿入口50に突出する第1の位置と挿入口50から後退する第2の位置をとるスライド部材601を有し、スライド部材601が第2の位置にあることを検出する位置センサー90と、検出出力によって警報を発する警報手段の警報部130とが設けられている。そのため、ICカード80が完全に装着されずに挿入口50に突出している状態では、これをICカードが未装着の状態で在ることとして警報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶媒体を用いて使用する電子機器に関し、特に、筐体内に設けられた装着部に情報記憶媒体を挿入するための挿入口を有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車載用電子機器は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオビジュアル機能等の各種機能を備えたものが広く普及している。オーディオビジュアル機能では、音楽情報や画像情報を記録したSDカード等のメモリカードを車載用電子機器に装着し、このメモリカードに記録された音楽情報等を読み出して再生することができる。また、最近では、デジタル放送を視聴する機能を備え、その視聴の際にB−CAS(登録商標)カードと呼ばれるデジタル放送番組の著作権保護や有料放送の視聴ために利用されるICカードを用いる場合がある。
【0003】
従来、この種の車載用電子機器としては、例えば下記の特許文献1(特開2008−209200号公報)で示すものがある。この車載用電子機器は、ユーザが記録媒体である各種ICカードを装着、離脱させるためにカード用挿入口を有するものである。このカード用挿入口は車載用電子機器の本体前面に設けられており、更に、本体前面には開閉式の前面パネルが取り付けられている。従って、例えばSDカードのようなカードを装着、離脱させる場合は、前面パネルを開いた状態で行なうようになっている。
【0004】
また、車載用電子機器は車両の走行中に振動を受けて装着されたカードがカード用挿入口から抜け落ちてしまうことがある。そのため、従来は、例えば下記の特許文献2(特開2007−5115号公報)で示すように、デジタルタコグラフ、自動料金収受システム等の車載用電子機器におけるメモリカード、ICカード等のカードを挿入するカード用挿入口に抜け防止部材を設けたものが提案されている。
【0005】
その具体的な構成は、抜け防止部材であるスライドイジェクトボタンがカード用挿入口に隣接されている。スライドイジェクトボタンはカード用挿入口の一部を覆うようにスプリングによって防止位置に付勢され、この付勢方向とは反対方向の解除位置にスライドさせることで、カード用挿入口に対するカードの挿入及び排出を許可するように設けている。そして、スライドイジェクトボタンが前記反対方向にスライドされ、カード用挿入口からカードが挿入されて装置本体のカードコネクタに装着されると、スライドイジェクトボタンは前記付勢方向に付勢されて前記防止位置に復帰する。
【0006】
従って、スライドイジェクトボタンは、カードコネクタに装着されたカードの一部を係止することになるため、カードがカード挿入口から抜け出ることを防止している。しかも、スライドイジェクトボタンはカードを排出させるためのスライド部材の端に設けカード用挿入口に対して排出可能な位置にスライドしたときにスライド部材のカード排出方向への操作を可能としたものである。そのため、片手でカードの抜け防止解除操作と排出操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−209200号公報(段落[0025]〜段落[0027]、図1)
【特許文献2】特開2007−5115号公報(段落[0006]、段落[0041]、段落[0046]〜段落[0051])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の車載用電子機器では、ユーザが運転席からSDカード、ICカードのようなカードの装着を行なう場合には、カードをカード挿入口に入れることに困難を伴う。特に、車載用電子機器の設置位置は運転者の視野から外れた運転席の横方向の車体に組み込まれているのでカード挿入口の位置を探ってカードを挿入しなければならない。
【0009】
そのため、カードが確実に装着されていない状態で車載用電子機器を操作してしまうことがある。この場合、車載用電子機器は正常に作動せず使用者にとって不便をきたす。また、開閉される前面パネルを設けた車載用電子機器においては、カードが確実に装着されておらず挿入口から端を突出させたままで前面パネルを閉じてしまうとカードや前面パネルを破損させてしまう。
【0010】
また、上記特許文献2に開示されている従来の車載用電子機器は、上記特許文献1で示す従来技術と同様にカードをカード挿入口に挿入することが難しく、完全な装着状態が得られないことがある。そのため、カードが挿入経路の途中に留まってしまい、ユーザがこれを知らずに車載用電子機器を操作すると誤動作の原因となる。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題点を解消することを課題とし、誤操作を防止することができる車載用電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、
情報記憶媒体を挿入するための挿入口と、
前記挿入口から挿入された情報記憶媒体が装着される装着部と、
前記挿入口を形成するスリットの長手方向に沿って摺動し、前記情報記憶媒体が前記装着部に装着された状態において前記挿入口を塞ぐ態様で該挿入口に突出する第1の位置と、前記情報記憶媒体の挿入を可能とする状態において前記挿入口を開放する態様で該挿入口から後退する第2の位置と、をとるように配されたスライド部材と、
前記スライド部材が前記第2の位置にあることを検出する検出手段(例えば、位置センサー前面パネル90)と、
前記検出手段の検出出力によって警報を発する警報手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2に係る発明は、
情報記憶媒体を挿入するための挿入口が形成された筐体と、
前記挿入口が形成された前記筐体の面に対して開閉するパネル(例えば、前面パネル70)と、
前記挿入口から挿入された情報記憶媒体が装着される装着部と、
前記挿入口を形成するスリットの長手方向に沿って摺動し、前記情報記憶媒体が前記装着部に装着された状態において前記挿入口を塞ぐ態様で該挿入口に突出する第1の位置と、前記情報記憶媒体の挿入を可能とする状態において前記挿入口を開放する態様で該挿入口から後退する第2の位置と、をとるように配されたスライド部材と、
前記スライド部材が前記第2の位置にあることを検出する検出手段(例えば、位置センサー前面パネル90)と、
前記検出手段の検出出力によって前記パネルが閉成されることを禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る電子機器において、
前記検出手段の検出出力によって警報を発する警報手段を備えたことを特徴とする。

また、本願の請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に係る電子機器において、
前記スライド部材には、該スライド部材が前記第1の位置にあるときに、前記装着部に装着された前記情報記憶媒体の後縁部分が挿入される切欠き部(例えば、切欠き607)が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願の車載用電子機器は、次に示すような優れた効果を奏する。
【0016】
すなわち、請求項1に係る発明においては、情報記憶媒体が挿入される挿入口のスリットの一端からスリットの長手方向に沿って挿入口内に突出する第1の位置と挿入口から後退する第2の位置をとるように配されたスライド部材を備え、スライド部材が情報記憶媒体の装着状態と装着されていない状態において該第1の位置をとって挿入口を塞ぎ、第2の位置をとって挿入口を開放して情報記憶媒体の挿入を可能とする抜け止め機能を有し、スライド部材が第2の位置にあることを検出する検出手段と警報手段とを設けている。
【0017】
このような構成によれば、情報記憶媒体が完全に装着されずに挿入口に突出している状態では、スライド部材の先端が情報記憶媒体の側縁に当接して第1の位置にスライドできない。そして、検出手段はスライド部材が第2の位置にあることを検出し、警報手段によって挿入経路の途中に情報記憶媒体が未装着の状態であることが警報される。
【0018】
したがって、ユーザは警報に基づいて情報記憶媒体が完全に装着されていないことを知ることができ、情報記憶媒体を適用するモードにおいて誤操作を回避できる。また、この構成は従前の抜け止め手段を利用したものであるので簡単であってコスト的に有利である。
【0019】
また、請求項2に係る発明においては、情報記憶媒体が挿入される挿入口のスリットの一端からスリットの長手方向に沿って挿入口内に突出する第1の位置と挿入口から後退する第2の位置をとるように配されたスライド部材を備え、スライド部材が情報記憶媒体の装着状態と装着されていない状態において該第1の位置をとって挿入口を塞ぎ、第2の位置をとって挿入口を開放して情報記憶媒体の挿入を可能とする抜け止め機能を有し、スライド部材が第2の位置にあることを検出する検出手段とパネルが閉成されることを禁止する禁止手段とを設けている。
【0020】
このような構成によれば、情報記憶媒体が完全に装着されずに挿入口に突出している状態では、スライド部材の先端が情報記憶媒体の側縁に当接して第1の位置にスライドできない。そして、検出手段はスライド部材が第2の位置にあることを検出し、禁止手段は挿入経路の途中に情報記憶媒体が未装着の状態であるときにパネルの閉成を禁止する。
【0021】
したがって、ユーザがパネルを閉じようとしても、パネルの閉成が強制的に禁止されてパネルが情報記憶媒体に当たることにより生じる破損、故障等の事故を確実に防止できる。また、この構成は従前の抜け止め手段をそのまま利用したものであるので簡単であってコスト的に有利である。
【0022】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る電子機器において、検出手段はスライド部材が第2の位置にあることを検出でき、警報手段によって挿入経路の途中に情報記憶媒体が未装着の状態で存在することが警報される。したがって、ユーザは警報に基づいて情報記憶媒体が完全に装着されていないことを知ることができ、情報記憶媒体を適用するモードにおいて誤操作を確実に回避できる。
【0023】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に係る電子機器において、スライド部材に情報記憶媒体の後縁部分が挿入される切欠き部を有しているため、情報記憶媒体が完全に装着されている場合には、切欠き部に情報記憶媒体の後縁部分が挿入されることにより、情報記憶媒体が装着部から抜け出てしまうことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る車載用電子機器について、外装カバーを取り外すと共に前面パネルを開いた状態で情報記憶媒体が装着部に完全に装着されたときの正面方向から見て示す斜視図である。
【図2】図1における車載用電子機器について、正面パネルを取除いて示す正面図である。
【図3】図1における車載用電子機器を背面方向から見て示す斜視図である。
【図4】図3における車載用電子機器について、装着部を取除いた状態で筐体正面パネルの裏側を示す背面図である。
【図5】図2の車載用電子機器についてA−A線で切断し、装着部に完全に装着した状態の情報記憶媒体と挿入口及び抜け止め手段との関係を示す断面図である。
【図6】図5における完全に装着された情報記憶媒体とスライド部材との関係を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施例に係る車載用電子機器について、外装カバーを取り外すと共に前面パネルを開いた状態で情報記憶媒体が装着部に完全に装着されていないときの正面図である。
【図8】図7における車載用電子機器について、装着部を取除いた状態で筐体正面パネルの裏側を示す背面図である。
【図9】図7の車載用電子機器についてB−B線で切断し、不完全な装着状態にある情報記憶媒体と挿入口及び抜け止め手段との関係を示す断面図である。
【図10】図5における不完全な装着状態の情報記憶媒体とスライド部材との関係を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施例に係る車載用電子機器における位置センサーの検出出力の処理のための構成を示すブロック図である。
【図12】図2の車載用電子機器についてA−A線で切断して挿入口に情報記憶媒体を挿入する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車載用電子機器を例示するものであって、本発明をこの車載用電子機器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の電子機器にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0026】
本発明の一実施例に係る車載用電子機器10は、図1〜図4で示すように、筐体20と、筐体20内に設けられた情報記憶媒体を装着する装着部30と、筐体20の前面を形成する筐体前面パネル40と、筐体前面パネル40に形成された情報記憶媒体用の挿入口50と、挿入口50の一端側に設けた情報記憶媒体の抜け止めのための抜け止め手段である抜け止め機構60と、筐体前面パネル40の前面にスライドして開閉自在に取り付けられた前面パネル70とを有している。そして、車載用電子機器10は自動車に設けられたコンソールの空きスペースに筐体前面パネル40と前面パネル70が表面に現れるよう組み込まれている。
【0027】
挿入口50は、カード状の情報記憶媒体である例えばICカード80が装着部30に装着、離脱するためにスリット状に形成され、中央部分にはICカードをつまむための凹部501が形成されている。ICカード80はその角が丸みを帯びている。
【0028】
抜け止め手段を形成する抜け止め機構60は、挿入口50の入口部分における筐体前面パネル40の裏面で挿入口50のスリット方向にスライドするスライド部材601と、スライド部材601をスライドさせる筐体前面パネル40の表面に配された操作つまみ602とを有する。スライド部材601の移動範囲は、ガイド溝603とガイドピン604とによって、図1〜図6で示す挿入口50に突出する第1の位置と、図7〜図10で示す挿入口50から後退する第2の位置との間をとるように設定されている。そして、スライド部材601はスプリング605によって常に挿入口50を塞ぐ第1の位置を取るように偏倚され抜け止め機能をはたしている。
【0029】
前面パネル70は、平面状の表示面701、操作ボタン702等が配置されている。前面パネル70を開いた状態においては、筐体前面パネル40が開放されICカード80の装着、離脱操作を可能としている。前面パネル70は、筐体前面パネル40を開いた状態にあるときに表示面701を上方に向けている。一方、前面パネル70を閉じた状態においては操作ボタン702を操作して表示面701上に画像を表示できるようになっている。
【0030】
スライド部材601の先端606は、図6で示すように、スライド部材601が第1の位置にあるときに装着部30に装着されたICカード80の後縁801に当接するが、この当接部分に切欠き607が形成されている。この切欠き607はICカード80の後縁801が挿入される形状になっており、スライド部材601がICカード80によって第2の位置をとることを阻害されないようになっている。また、先端606は実質的に操作つまみ602と一体になっている。
【0031】
筐体20側には、図3、図4及び図8で示すように、スライド部材601が第2の位置にあることを検出する位置センサー90が設けられている。この位置センサー90はスライド部材601が第2の位置にあるときにその後端608が当接して作動する可動子901を有するスイッチ902からなる。ここで、位置センサー90は機械的に開閉する接点からなるスイッチであってもよく、また、光学的、磁気的等の変化を用いたものであってもよい。
【0032】
位置センサー90は、図11で示すように、その出力側に制御回路100が接続されている。制御回路100の出力側には、前面パネル70を開閉する開閉駆動回路110が駆動禁止回路120を介して接続されている。この開閉駆動回路110は操作部(図示せず)による開閉操作によって前面パネル70を開閉させるものである。禁止手段を形成する駆動禁止回路120は、位置センサー90の検出出力が得られたときに制御回路100によって開閉駆動回路110の閉成動作を禁止するものである。
【0033】
同じく、制御回路100の出力側には、ICカード80の不完全装着の旨の警報を図示しないスピーカより音声で、または/および、表示面701より文字表示等で発する警報部130が警報駆動回路140を介して接続されている。この警報駆動回路140は位置センサー90の検出出力が得られたときに制御回路100によって警報部130の警報動作を開始させるものである。ここで、制御回路100は、車載用電子機器10がICカード80を適用するモードが選択されたときに警報部130、警報駆動回路140からなる警報手段を制御するものである。従って、ICカードを適用しないモードでは検出出力があっても警報手段は作動しないようになっている。
【0034】
また、挿入口50は、図5、図9で示すように、抜け止め機構60を構成するスライド部材601が位置するスリットの一端と対向するスリットの他端に傾斜面502が設けられている。この傾斜面502はスリットの他端に外方に向かってスリットの長手方向が大きくなるように変化する形状に形成されている。
【0035】
また、挿入口50とICカード80の大きさの関係は、図12で示すように、スライド部材601が第1の位置にあるとき、挿入口50の最外方における先端606から傾斜面502の最外方までの長さL1は少なくともICガード80の幅L2よりも大きく設定されている。
【0036】
次に、上述した実施例による構成の車載用電子機器10のICカード80の装着、離脱の取り扱いについて説明する。ICカード80を使用しないときには、挿入口50は抜け止め機構60のスライド部材601によって塞がれている。即ち、スライド部材601はスプリング605の偏倚力によって挿入口50に突出する第1の位置にある。
【0037】
ICカード80を装着部30に装着して使用する場合は、筐体前面パネル40を開放した状態で操作つまみ602を左方に操作してスライド部材601をスライドさせる。スライド部材601は、この操作によってスプリング605の偏倚力に逆らって第1の位置から第2の位置にスライドする。そのため、挿入口50はスライド部材601によって塞がれた状態から開放される。
【0038】
ユーザは、操作つまみ602によってスライド部材601を第2の位置に保持した状態において、ICカード80を挿入口50に挿入する。この挿入の際には、図11で示すようにICカード80の前縁802が傾斜面502によって案内される。即ち、ICカード80は、前縁802の角が傾斜面502に当たって挿入口50へと案内される。そして、ICカード80は押し込まれることによって装着部30に完全に装着される。
【0039】
この完全な装着状態は、ICカード80の後端中央部分が凹部501に露出しているので、この露出部分でもってICカード80を押し込むことによって達成される。そして、操作つまみ602の操作状態を開放すればスライド部材601がスプリング605によって第1の位置に戻される。
【0040】
また、図12で示すように、ユーザは、操作つまみ602に触れることなくそのままにした状態でICカード80を挿入口50に挿入すると、ICカード80の前縁802の角部分が先端606と傾斜面502との間に位置される。この状態でICカード80を押し込むと、スライド部材601が第1の位置から第2の位置へと移動される。そのため、挿入口50がスライド部材601によって塞がれている状態にあっても、ユーザは操作つまみ602を操作することなくICカード80の装着部30への装着を行なうことができる。
【0041】
また、図12で示す装着の場合には、ユーザが操作つまみ602を操作する場合においても、ICカード80を押し込む力がスライド部材601を第2の位置にスライドさせる方向に作用するので、操作つまみ602の操作力を軽減できる。
【0042】
第1の位置に至ったスライド部材601は、その先端部分に形成された切欠き607にICカード80の後縁801の角部分が挿入される。従って、ICカード80の後縁801の前方には、スライド部材601の先端606が位置されるので、ICカード80が装着部30から抜け出てしまうことが阻止される。即ち、ICカード80が装着された状態では、挿入口80が自動的にスライド部材601によって塞がれて抜け止めを行なう。
【0043】
ICカード80を装着部30に装着した後には、前面パネル70を閉じることが可能となり、操作ボタン702を操作して映像信号の再生を行うことができる。
【0044】
一方、ICカード80を装着部30から離脱させる場合は、前面パネル70を開き、操作つまみ602を操作してスライド部材601を第2の位置に移動させ、この第2の位置を保持しておく。このようにスライド部材601が第2の位置に保持されていることにより、ICカード80は抜け止めされている状態から開放される。そこで、ICカード80の、凹部501に露出している中央部分をつまんで引き出すことにより装着部30から離脱される。そして、ICカード80は挿入口50から抜き取ることによって離脱状態を達成させる。
【0045】
ICカード80を抜き取った後は、ユーザが操作つまみ602をつまんで保持する操作状態を解除する。そのため、スライド部材601は操作状態の解除によってスプリング605の偏倚力でもって自動的に第1の位置に復帰する。この状態では挿入口50がスライド部材601によって部分的に塞がる。
【0046】
もし、装着状態が完全でない場合は、図9、図10で示すように、ICカード80が挿入経路中に留まって挿入口50から一部分だけ突出した状態にある。この状態では、スライド部材601の先端606がICカード80の縁に当接して第2の位置にある。そのため、スライド部材601の後端608が位置センサー90の作動子901を押してスイッチ902を作動させている。その結果、位置センサー90はICカード80が挿入経路中に在ることを検出する。
【0047】
図11で示すように、位置センサー90の検出出力は制御回路100に供給される。制御回路100は検出出力によって駆動禁止回路120を制御し開閉駆動回路110が前面パネル70を閉じることを禁止する。従って、ユーザによって前面パネル70を閉じる操作が行なわれても前面パネル70は閉じない。同時に、制御回路100は警報駆動回路140が警報部130を作動させるように制御する。従って、警報部130はICカード80が不完全な装着状態である旨の警報を発する。
【0048】
このように、本発明の一実施例によれば、ICカード80が装着部30に完全に装着されている場合には、切欠き607にICカード80の後縁801部分が挿入されることにより、抜け止め機構60による抜け止め状態を達成できる。このため、スライド部材601が第1の位置にスライドして挿入口50を塞ぐので、抜け止め機構60によってICカード80が装着部30から抜け出てしまうことが防止される。
【0049】
一方、ICカード80が完全に装着されずに挿入口50に突出している状態では、スライド部材601の先端606がICカード80の側縁に当接して第1の位置にスライドできない。そして、位置センサー90はスライド部材601が第2の位置にあることを検出する。位置センサー90の検出出力は前面パネル70の閉成動作を禁止すると共に警報を発するために供される。
【0050】
従って、ユーザは警報によってICカード80が完全に装着されていないことを知ることができるので、ICカードが装着されているつもりで記憶情報の再生動作を設定するという誤操作がなくなる。また、ICカード80が挿入口50から突出している状態において前面パネル70が閉じられることがないのでICカード80や前面パネル70等を破損させることがない。
【0051】
なお、上記実施例においては、操作つまみ602の縁がICカード80に当接する先端606と同一になっているが、操作つまみ602を先端606から離れた位置に設けて異なる位置としてもよい。
【0052】
また、上記実施例においては、ICカード80が挿入経路中にあると前面パネル70の閉成動作を禁止すると共に警報を発するようにしたが、本発明はこれに限定されることなくどちらか一方だけであってもよい。勿論、開閉する前面パネル70を有しない電子機器においては警報のみとなる。
【0053】
また、上記実施例においては、前面パネル70は開閉駆動回路110を用いてモータ等の駆動力によって開閉させているが、本発明はこれに限定されることなく開閉を行なう開閉駆動手段は手動による機械的な構成のものであってもよい。この場合、駆動禁止回路120は機械的な閉成機構を不作動状態にする機構を制御するように構成すればよい。
【0054】
また、上記実施例においては、前面パネル70は筐体20の前面に設けたが、本発明はこれに限定されることなく筐体20の上面、側面等に設けた開閉式のパネルであってもよい。
【0055】
また、上記実施例においては、情報記憶媒体としてICカード80を適用して説明をしたが、本発明はこれに限定されることなくカード状、プレート状の各種形状の情報記憶媒体を適用できる。
【符号の説明】
【0056】
10 車載用電子機器
20 筐体
30 装着部
40 筐体前面パネル
50 挿入口
60 抜け止め機構
70 前面パネル
80 ICカード
90 位置センサー
100 制御回路
110 開閉駆動回路
120 駆動禁止回路
130 警報部
140 警報駆動回路
501 凹部
502 傾斜面
601 スライド部材
602 操作つまみ
603 ガイド溝
604 ガイドピン
605 スプリング
606 先端
607 切欠き
608 後端
701 表示面
702 操作ボタン
801 後縁
802 前縁
901 可動子
902 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記憶媒体を挿入するための挿入口と、
前記挿入口から挿入された情報記憶媒体が装着される装着部と、
前記挿入口を形成するスリットの長手方向に沿って摺動し、前記情報記憶媒体が前記装着部に装着された状態において前記挿入口を塞ぐ態様で該挿入口に突出する第1の位置と、前記情報記憶媒体の挿入を可能とする状態において前記挿入口を開放する態様で該挿入口から後退する第2の位置と、をとるように配されたスライド部材と、
前記スライド部材が前記第2の位置にあることを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出出力によって警報を発する警報手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
情報記憶媒体を挿入するための挿入口が形成された筐体と、
前記挿入口が形成された前記筐体の面に対して開閉するパネルと、
前記挿入口から挿入された情報記憶媒体が装着される装着部と、
前記挿入口を形成するスリットの長手方向に沿って摺動し、前記情報記憶媒体が前記装着部に装着された状態において前記挿入口を塞ぐ態様で該挿入口に突出する第1の位置と、前記情報記憶媒体の挿入を可能とする状態において前記挿入口を開放する態様で該挿入口から後退する第2の位置と、をとるように配されたスライド部材と、
前記スライド部材が前記第2の位置にあることを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出出力によって前記パネルが閉成されることを禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記検出手段の検出出力によって警報を発する警報手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スライド部材には、該スライド部材が前記第1の位置にあるときに、前記装着部に装着された前記情報記憶媒体の後縁部分が挿入される切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−186428(P2010−186428A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31557(P2009−31557)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】