説明

電子機器

【課題】
軸径の小さい多関節の連結部材により表示部の姿勢を自由に調整することができる電子機器を提供する。
【解決手段】
互いに回動自在に直列に連結された連結プレート21〜28を備える多関節連結機構4を介して本体部3と表示部2とが連結され、連結プレート21〜28に連結プレート21〜28の回動を連動させるためのギア41〜51が設けられている。このため、本体部3に対する表示部2の姿勢を保持するために必要となるトルクを軸径R1等の小さい複数の連結プレート21〜28の各連結箇所で分散することができると共に、表示部2の姿勢を自由に調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータや携帯電話等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型のパーソナルコンピュータや折り畳み式の携帯電話等の電子機器は、本体部と表示部とを備え、この本体部と表示部とはヒンジを介して開閉(折り畳み)可能に連結されている。このような電子機器は、本体部に対する表示部の姿勢を保持するためのトルクを得るために一定以上の軸径を有するヒンジ等の連結部材を備える必要がある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、このような電子機器において、姿勢の自由度の向上等を図るため、多関節ヒンジを介して本体部と表示部とを連結したものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
特許文献2に記載の電子機器は、本体部と表示部とがチェーン機構で連結され、このチェーン機構の内部には屈曲性を有する2つの金属性の薄板が設けられている。一方の薄板は、一端が本体部に固定され、他端が表示部に設けられた溝部に挿入されている。他方の薄板は、一端が表示部に固定され、他端が本体部に設けられた溝部に挿入されている。2つの薄板の上記他端には、それぞれ凸部が形成されている。一方、本体部及び表示部に設けられた溝部には、この凸部が係合可能な複数の凹部が所定の位置に設けられている。
【0005】
この電子機器は、開閉操作が行われるとチェーン機構が連動し、2つの薄板はこの連動に応じてそれぞれ変形しつつ溝部内をスライドする。電子機器が所定の開状態となると、薄板に設けられた凸部は、溝部に設けられた凹部に係合し、これにより所望の姿勢での開状態が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−298278号公報(段落[0023]、図1、図2)
【特許文献2】特開2008−228249号公報(段落[0025]、[0034]、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の電子機器では、本体部に対する表示部の姿勢を保持するためのトルクをヒンジ等の連結部材で得る必要があるため、一定以上の軸径を有さない連結部材を用いて本体部と表示部とを連結することは困難である。
【0008】
また、特許文献2に記載の電子機器は、上述のように、チェーン機構を用いて本体部と表示部とを連結し、2枚の薄板を用いて表示部の姿勢を調整することができるようにしている。つまり、チェーン機構だけで表示部の姿勢を自由に調整することはできない。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、軸径の小さい多関節の連結部材により表示部の姿勢を自由に調整することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電子機器は、表示部と、本体部と、多関節の連結機構と、連動機構とを有する。
【0010】
上記表示部は、表示画面を有する。上記本体部は、表示部と連結される。上記多関節の連結機構は、両端部それぞれに回動軸を有する連結部材を複数有し、各上記連結部材が上記回動軸で互いに回動自在に直列に連結され、直列に連結された連結部材の一端が上記本体部側に連結され、直列に連結された連結部材の他端が上記表示部側に連結されている。上記連動機構は、上記多関節の連動機構における各連結部材間の回動を互いに連動させる。
【0011】
本発明では、多関節の連動機構における各連結部材間の回動を互いに連動させる連動機構を備えるので、本体部に対する表示部の姿勢を保持するために必要となるトルクを多関節で分散することができ、この結果、軸径の小さい多関節の連結部材により表示部の姿勢を自由に調整することができる。
【0012】
上記連結機構は、各上記連結部材を千鳥状に連結して2列に配置して構成され、それぞれの列の互いに隣り合う連結部材は、それぞれの回動方向に沿った周面を有し、これらの周面に互いに係合する係合部を有するようにしてもよい。
これにより、それぞれの列の互いに隣り合う連結部材の周面に設けられた係合部の係合により連結部材を連動させることができる。
【0013】
上記係合部は、ギア構造であるようにしてもよい。これにより、互いに噛み合うギア構造により、互いに連結された連動部材を連動させることができる。
上記多関節の連結機構は、上記本体部の幅方向に離間して対をなして設けられているようにしてもよい。これにより、表示部と本体部とを対をなす多関節の連結機構で確実に連結することができる。
【0014】
上記対をなす多関節の連結機構の上記各回動軸にそれぞれ同軸に設けられ上記対をなす多関節の連結機構同士を連結する複数の第2の連結部材を更に具備するようにしてもよい
。これにより、対をなす多関節の連結機構を補強すると共に、多関節の連結機構のデザイン性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電子機器によれば、軸径の小さい多関節の連結部材により表示部の姿勢を自由に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電子機器の閉じた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す電子機器の側面図である。
【図4】図2に示す電子機器の多関節連結機構を示す図である。
【図5】図2に示す多関節連結機構の拡大図である。
【図6】多関節連結機構のギア機構の拡大図である。
【図7】表示部の開閉時の多関節連結機構の動作を説明するための図である。
【図8】第2の実施の形態の電子機器の多関節連結機構の連動機構の拡大図である。
【図9】第3の実施の形態の電子機器の斜視図である。
【図10】第4の実施の形態の電子機器の閉じた状態を示す斜視図である。
【図11】第5の実施の形態の電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示す電子機器の表示画面の一例を示す図である。
【図13】図11に示す電子機器の表示画面の他の一例を示す図である。
【図14】図11に示す電子機器の表示画面の他の一例を示す図である。
【図15】図11に示す電子機器の表示画面の他の一例を示す図である。
【図16】図11に示す電子機器の表示画面の他の一例を示す図である。
【図17】第6の実施の形態の電子機器の閉じた状態を示す斜視図である。
【図18】図17に示す電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
【図19】図18に示す電子機器の表示画面の一例を示す図である。
【図20】図18に示す電子機器の表示画面の一例を示す図である。
【図21】図18に示す電子機器の表示画面の一例を示す図である。
【図22】図18に示す電子機器の表示画面の一例を示す図である。
【図23】図18に示す電子機器の表示画面の一例を示す図である。
【図24】図18に示す電子機器の表示画面の一例を示す図である。
【図25】第7の実施の形態の電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[電子機器の構成]
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器の開いた状態を示す斜視図、図2はこの電子機器の閉じた状態を示す斜視図である。
【0018】
これらの図に示すように、電子機器1は、表示部2と、本体部3と、表示部2と本体部3とを連結する多関節連結機構4とを備える。本体部3は、多関節連結機構4に連結される枠部材5を備える。表示部2は、多関節連結機構4を介して本体部3に対して開閉(折り畳み)可能である。
【0019】
表示部2は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示画面6を備える表示器と、表示器を収容する筺体7とを備える。表示器は、フレキシブル基板8を介して本体部3のシステムボードに接続されている。筺体7のサイズは例えば縦180mm、横260mmである。表示部2の厚さは、例えば3mmである。表示部2の筺体7は、表示部2の幅方向(図1に示すY方向)の両端付近で多関節連結機構4にそれぞれネジ9でネジ止めされている。
【0020】
本体部3は、例えばシステムボードと、光ディスクドライブと、ハードディスクドライブと、冷却ファンと(何れも図示せず)、これらの内蔵部品を収容する筺体10と、キーボードユニット11とを備える。
【0021】
システムボードにはCPU(Central Processing Unit)、メインメモリ、チップセット及び各種ドライブ用の制御回路等の各種の電子部品が実装されている。光ディスクドライブは、システムボードのコネクタ端子に接続され、光ディスク、例えばCD、DVD及びブルーレイディスク等の着脱が可能とされ、この光ディスクに対して情報の読み書きを行う。ハードディスクドライブは、システムボードのコネクタ端子に接続され、内部にハードディスクを有し、このハードディスクに対して情報の読み書きを行う。冷却ファンは、システムボードに実装されたCPUや、その他の発熱素子を冷却する。
【0022】
筐体10は、例えば筺体10の幅方向(図1に示すY方向)の長さが260mm、奥行き方向(図1に示すX軸方)の長さが180mmである。本体部3の厚さ方向(図1に示すZ方向)に所定の厚さを有する側壁12を備える。側壁12には、電源用端子13、外部ディスプレイ出力コネクタ14、複数のUSB(Universal Serial Bus)コネクタ15、マイク入力端子16、ヘッドホン出力端子17等が設けられている。例えば、外部ディスプレイ出力コネクタ14、USBコネクタ15、マイク入力端子16及びヘッドホン出力端子17は互いに隣接して設けられ、電源用端子13は側壁12のX方向で本体部3の背面側の端部に設けられる。図示は省略するが、側壁12に対向する側壁にも複数のインターフェースが設けられている。
【0023】
枠部材5は、本体部3と多関節連結機構4とを連結するための部材であり、本体部3の側壁12を取り囲むように側壁12等に設けられている。枠部材5は、平面的に表示部2の外形に対応する形状を有する。枠部材5の厚さ(図1に示すZ方向の厚さ)は例えば5mmである。
【0024】
枠部材5は、本体部3の背面側下方に設けられた本体部側連結部5A、本体部3の背面を除く3つの側壁12に沿うように設けられたU字形状の枠部5Bを備える。
【0025】
本体部側連結部5Aは、本体部3の幅のサイズに対応するサイズを有し、本体部3の幅方向(図1に示すY方向)に亘って設けられている。本体部側連結部5Aは、例えばネジ止め等により多関節連結機構4に連結されている。本体部側連結部5Aは、本体部3の底面から所定の距離離間して設けられている。なお、本体部側連結部5Aが本体部3の底面に接触して設けられていてもよい。本体部側連結部5Aは、奥行き方向(X方向)で本体部3の背面とほぼ同じ位置に設けられているがこれに限定されない。
【0026】
U字形状の枠部5Bは、本体部3の側壁12に対して固定されている。具体的には、U字形状の枠部5Bは、側壁12の厚さ方向(Z方向)で本体部3の上面側に設けられている。枠部5Bの上面の一部は、キーボードユニット11の上面とほぼ同一平面(XY平面)内に位置する。U字形状の枠部5Bは、多関節連結機構4に近い位置で電源用端子13を避けて本体部3の底面側から上面側(上面側から底面側)に滑らかに曲がる曲線部18を有する。
【0027】
本体部3に対して表示部2を閉じたときの多関節連結機構4の曲線形状と曲線部18の曲線形状とは、滑らかな曲線形状を形成する。本体部3の背面側の端部は、図2に示すように曲線部18と多関節連結機構4とにより覆われる。
なお、図2に示すように表示部2が本体部3に対して折り畳まれた状態で、多関節連結機構4の厚さは例えば30mm程度であるがこれに限定されない。
【0028】
図3は図1に示す電子機器1の側面図である。
表示部2は、本体部3に対して所定の角度で開くことが可能である。所定の角度とは、例えば0度から150度である。枠部材5の本体部側連結部5Aがa点で載置面Sに載置され、本体部3の底面の前端がb点で載置面Sに載置される。このとき、本体部3のキーボードユニット11の上面(入力面)は、曲線部18によりユーザの入力し易い傾斜角度で傾斜する。
本体部3に対して表示部2を開いたときの多関節連結機構4の曲線形状と曲線部18の曲線形状とは、滑らかな曲線形状を形成する。
【0029】
[多関節連結機構4の構成]
図4は図2に示す電子機器1の多関節連結機構4を示す図、図5は図2に示す多関節連結機構4の拡大図、図6は多関節連結機構4の連動機構であるギア機構の拡大図である。
【0030】
多関節連結機構4は、図4に示すように、互いに離間して配置された一対の多関節の連結機構4Aと、一対の連結機構4Aの間に回動軸と同軸にそれぞれ配置された複数の中空連結部材4Bとを備える。一対の多関節の連結機構4Aは互いに同様の構成を有するので、図5に示す一方の多関節の連結機構4Aについて説明し他方の構成についてその説明を省略する。
連結機構4Aは、図5に示すように、互いに回動自在に連結された連結プレート21、22、23、24、25、26、27及び28を備える。
【0031】
連結プレート21は、ネジ30により本体部側連結部5Aにネジ止めされている。連結プレート21は、回動軸X1を備える。連結プレート21の回動軸X1周りでの軸径は、図6に示すように軸径R1になっている。軸径R1は、例えば3mm〜5mmである。
【0032】
連結プレート22は、その両端部にそれぞれ回動軸X1、X2を備える。連結プレート22の回動軸X1周りでの軸径は、図6に示すように軸径R1であり、連結プレート22の回動軸X2周りでの軸径は、軸径R2である。図6に示すように連結プレート22の長手方向に伸びる一対の側面22A、22Bは面取りされている(それぞれR5.0cm、R3.0cm)。連結プレート22は、連結プレート23〜27と同様の形状を有する。連結プレート22は、連結プレート21の回動軸X1と連結プレート22の回動軸X1とを一致させた状態で、連結プレート21の内側に重なっている。連結プレート21と連結プレート22とは、連結プレート21と連結プレート22とのそれぞれの外側に設けられた一対のリング31を介して、連結ピン32により回動自在に連結されている。
【0033】
連結プレート23は、その両端部にそれぞれ回動軸X2、X3を備える。連結プレート23は、連結プレート22の回動軸X2と連結プレート23の回動軸X2とを一致させた状態で、連結プレート22の外側に重なっている。連結プレート22と連結プレート23とは、連結プレート22と連結プレート23とのそれぞれの外側に設けられた一対のリング33を介して、連結ピン34により回動自在に連結されている。連結プレート24〜28についても同様に回動自在に連結されている。このように、連結プレート21、23、25及び27が、それぞれ連結プレート22、24、26、及び28の外側に位置するように連結されている。つまり、多関節の連結機構4Aは、各連結プレート21〜28が千鳥状に連結して2列に配置されている。1列目の連結プレート21、23、25及び27は本体部3の幅方向外側に配置され、2列目の連結プレート22、24、26及び28は本体部3の幅方向内側に配置されている。なお、リング31、33、35を備える例を示したがこのようなリングは適宜配置しないようにしてもよい。
【0034】
各中空連結部材4Bにはフレキシブル基板8を挿通するための開口が形成されている。フレキシブル基板8は、各中空連結部材4Bを挿通され、外部から保護されると共に目に付かないようになっている。
【0035】
<連動機構>
多関節連結機構4は、連結プレート21〜28を連動させるための連動機構を有する。
【0036】
連結プレート21は、図6に示すように連結プレート23側に向けて突出する複数のギア41をその回動方向に沿った周面に備える。ギア41の外面41Aは面取りされている(R0.7cm)。連結プレート23は、連結プレート21のギア41に噛み合うギア42をその回動方向に沿った周面に備える。つまり、同じ列(本体部3の幅方向で外側の列)で互いに隣り合う連結部材21、23は、それぞれ回動方向に沿った周面を有し、それぞれの周面には、互いに係合するギア41、42が形成されている。
同様に、図5に示すように連結プレート22のギア43と連結プレート24のギア44とは互いに噛み合う。連結プレート23のギア45と連結プレート25のギア46とは互いに噛み合う。連結プレート24のギア47と連結プレート26のギア48とが互いに噛み合う。連結プレート25のギア49と連結プレート27のギア50とが互いに噛み合う。連結プレート26の不図示のギアが連結プレート28のギア51と互いに噛み合う。これらのギア41〜51は、連動機構として機能し、連結プレート21〜連結プレート28を連動させる。
【0037】
連結ピン32により、リング31と連結プレート21、22との接触面積や接触圧力を調整したりすることで(他の連結箇所も同様)、表示部2を所望の姿勢に保持するためのトルクが確保されている。具体的には、表示部2の重量に応じて、トルクが調整されている。例えば表示部2の重量が300g程度のときには、トルクは30N・mm程度に調整されている。なお、トルクは適宜変更可能である。また、ギア41、ギア43等の形状により回動角度を規制するようにしてもよい。例えば図6に示す所定のピッチで設けられたギア41のうち両端のギア41の高さ(歯たけ)を他のギア41の高さより高くすることで、表示部2の所望の姿勢を保持するようにしてもよい。
【0038】
<動作>
図7は表示部2の開閉時の多関節連結機構4の動作を説明するための図である。
【0039】
例えば連結プレート21に対して連結プレート22が回動軸X1で反時計周りに回動角θ1回動すると、ギア41とギア42との噛み合いにより、これに連動して連結プレート22に対して連結プレート23が回動軸X2で反時計周りに回動角θ2回動する。これに連動して、ギア43とギア44との噛み合いにより、連結プレート23に対して連結プレート24が回動軸X3で回動角θ3回動する。同様に連動して連結プレート24に対して連結プレート25が回動軸X4で回動角θ4回動する。これに連動して連結プレート25に対して連結プレート26が回動角θ5回動し、連結プレート26に対して連結プレート27が回動角θ6回動し、連結プレート27に対して連結プレート28が回動角θ7回動する。このとき、各回動角θ1、θ2、θ3、θ4、θ5、θ6及びθ7はほぼ同じになる。
【0040】
<作用等>
【0041】
このように本実施形態によれば、互いに回動自在に直列に連結された連結プレート21〜28を備える多関節連結機構4を介して本体部3と表示部2とが連結され、連結プレート21〜28に連結プレート21〜28の回動を連動させるためのギア41〜51が設けられている。このため、本体部3に対する表示部2の姿勢を保持するために必要となるトルクを軸径R1等の小さい複数の連結プレート21〜28の各連結箇所で分散することができると共に、表示部2の姿勢を自由に調整することができる。
【0042】
従来のヒンジの軸径に比べて小さい軸径の連結プレート21が本体部側連結部5Aに連結されている。このため、多関節連結機構4が連結される箇所である本体部側連結部5Aの厚さを薄型化することができる。また、本体部3の背面側に連結箇所を配置する必要がないので、本体部3の厚さ(図1に示すZ方向の厚さ)を薄型化、つまり、本体部3の軸周りの薄型化を図ることができる。
【0043】
多関節連結機構4は、多数の回動軸X1、X2等を備えるので、電子機器1の落下時等に電子機器1に働く衝撃力を多数の回動軸X1、X2等で分散することができる。従って、電子機器1の耐衝撃性を向上させることができる。特に、本体部3の背面側の部分は、図2に示すように多関節連結機構4により覆われるので、多関節連結機構4により本体部3の背面側の部分を確実に保護することができる。また、フレキシブル基板8は、表示部2の開閉に応じて、多数の回動軸X1、X2等で緩やかに曲がるので、フレキシブル基板8の一箇所に大きな負荷がかかることを防止して、フレキシブル基板8の破断を防止することができる。
【0044】
一対の多関節の連結機構4Aは、図4に示すようにそれぞれ本体部側連結部5Aの幅に応じた間隔で離間して設けられ、一対の多関節の連結機構4Aの間には、回動軸と同軸上に中空連結部材4Bが複数設けられている。このため、多関節連結機構4を蛇腹状にすることができ多関節連結機構4のデザインを特徴的なものとすることができる。
【0045】
枠部材5は、図1に示すように、多関節連結機構4に近い位置で本体部3の底面側から上面側に滑らかに曲がる曲線部18を有する。このため、図1及び図2に示すように表示部2を開閉した状態で、曲線部18と多関節連結機構4とを介して表示部2の側壁と枠部材5の側壁とが滑らかに連続する。この結果、電子機器1の側面のデザイン性を更に向上させることができる。枠部材5の厚さ(Z方向の厚さ)と、多関節連結機構4の厚さと、表示部2の厚さとがほぼ同じであり、それぞれの側面が連続的に繋がるように設けられているので、ユーザに連結部がないかのように感じさせることができ、この結果、デザイン性を向上させることができる。
【0046】
本体部3の背面側の側面に図3に示すように例えば電源用端子13を設けることができる。この結果、電源用端子13の位置を見易くすることができ、図示しない電源ケーブルを電源用端子13に容易に接続することができる。
【0047】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る第2の実施の形態の電子機器について説明する。なお、本実施形態以降では、上記第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付しその説明を省略し異なる箇所を中心に説明する。
【0048】
図8は第2の実施の形態の電子機器の多関節連結機構の連動機構の拡大図である。
本実施形態では、電子機器100は、上記第1の実施形態に比べて、ギア41等を備える多関節連結機構4の代わりにカムを備える多関節連結機構60を備える点が異なる。
【0049】
<連動機構>
多関節連結機構60の連結プレート61、62、63、64、65、66、67及び68は、上述したように互いに回動自在に連結されている。多関節連結機構60は、連結プレート61〜68を連動させるためのカム機構を有する。
【0050】
連結プレート61は、連結プレート63側に向けて突出するカム71を備える。連結プレート63は、連結プレート61のカム71に嵌る一対のカム72を備える。同様に、連結プレート62の不図示のカムと連結プレート64の不図示のカムとは互いに嵌る。連結プレート63のカム73と連結プレート65の一対のカム74とは互いに嵌る。連結プレート64の不図示のカムと連結プレート66の不図示のカムとが互いに嵌る。連結プレート65のカム75と連結プレート67の一対のカム76とが互いに嵌る。連結プレート66の不図示のカムが連結プレート68の不図示のカムと互いに嵌る。これらのカム71〜76等は、連結プレート61〜連結プレート68を連動させる。
【0051】
連結ピン32により、リング31と連結プレート61、62との接触面積や接触圧力を調整したりすることで(他の連結箇所も同様)、表示部2を所望の姿勢に保持するためのトルクが確保されている。なお、カム71、72等の形状により回動角度を規制するようにしてもよい。例えば図8に示す一対のカム72の高さをカム71の高さより高くすることで、表示部2を所望の姿勢に保持するようにしてもよい。
また、カム71等の形状が半円形状である例を示したが、これに限定されず、楕円形状等適宜変更可能である。
【0052】
図9は第3の実施の形態の電子機器の斜視図である。
電子機器120は、上記第1の実施の形態に比べて、フレキシブル基板8の配設位置が異なる。つまり、電子機器120の多関節連結機構4´は、中空連結部材4B´内を挿通されずに多関節連結機構4´の内側の面上に配設されたフレキシブル基板8´を備える。フレキシブル基板8は、それぞれ連結プレートの直列連結方向に沿って引き出されている。フレキシブル基板8´は、本体部3の幅方向に離間して複数枚設けられている。
【0053】
このような構成によれば、中空連結部材4B´の製造コストを抑えると共に、フレキシブル基板8を容易に配設することができるので、製造時間を削減して低コスト化を図ることができる。
【0054】
図10は第4の実施の形態の電子機器の閉じた状態を示す斜視図である。
【0055】
電子機器200は、上記第1の実施の形態に比べて、多関節連結機構4を連結するための本体部側連結部210Aを有する被覆部210により上面を覆われた本体部3´を備える点が異なる。
【0056】
被覆部210は、本体部3´の上面全域を覆うと共に、曲面部201を有し、本体部3の側壁12から張り出して設けられている。被覆部210の平面形状は、表示部2の平面形状とほぼ同一である。曲面部201は、本体部3´の底面側から上面側に滑らかに曲がっている。被覆部210の本体部3´の背面側の端部に設けられた本体部側連結部210Aには、多関節連結機構4が上述したようにネジなどにより連結されている。電源用端子13は、被覆部210の下方の側壁12に設けられている。
【0057】
被覆部210は、図10に示すように本体部3´に対して表示部2を閉じた状態で、曲面部201及び本体部側連結部210Aを除いて表示部2に接触して重なるが、曲面部201と多関節連結機構4と表示部2の一部とにより、従来のヒンジの位置に対応する位置に中空領域Kが形成されている。
【0058】
<作用等>
このように本実施形態によれば、図10に示すように本体部3´に対して表示部2を閉じた状態で、中空領域Kが形成されるので、従来の本体部と表示部とを連結するヒンジの軸径より小さい軸径を有する多関節連結機構4を用いたデザイン性に優れた連結部を構成することができる。
【0059】
図11は第5の実施形態の電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
本実施形態の電子機器300は、上記第4の実施の形態に比べて、表示画面6´が配置される領域が異なる。つまり、電子機器300は、表示部2から被覆部210の上面の全域に亘って設けられたフレキシブルな表示器310を備える。
【0060】
シート状のフレキシブルな表示器310は、例えば可撓性を有する薄型の表示パネルが用いられる。表示画面6´は、表示部2に対応する表示領域Aと、本体部3´に対応する表示領域Bとに亘って配置されている。表示画面6´のサイズは横方向(図11に示すY方向)が260mm、縦方向(図11に示すX方向)が180×2mm+多関節連結機構4の長さ)となっている。
【0061】
図12は図11に示す電子機器300の表示画面6´の一例を示す図である。
表示画面6´の最上段にステータスバー330等が表示されると共に、表示画面6´の他の領域に画像、動画等が表示される。このような構成によれば、電子機器300を、縦長の表示画面6´を有する電子機器300として用い、縦長の広い表示画面6´の全域に画像等を大きく表示することができる。
【0062】
図13は図11に示す電子機器300の表示画面6´の他の一例を示す図である。
表示画面6´の最上段のステータスバー330等に加えて、表示領域Bにタッチパッド332が表示される。タッチパッド332は、従来のノート型パーソナルコンピュータのタッチパッドと同様の機能を有する。このような構成によれば、ユーザは入力操作を行いたいときに、タッチパッド332を用いて入力操作を行うことができる。
【0063】
図14は図11に示す電子機器300の表示画面6´の他の一例を示す図である。
表示画面6´の中央(表示領域Aと表示領域Bとの境界領域)に、ステータスバー330等が表示され、表示領域Bにタッチパッド332と、キーボード入力部333とが表示される。キーボード入力部333は、従来のキーボードと同様の入力機能を有する。これにより、ユーザがキー入力を行いたいときに、キーボード入力部333を用いて入力を行うことができる。
【0064】
図15は図11に示す電子機器300の表示画面6´の他の一例を示す図である。
表示画面6´の一方の側の端部に、ステータスバー330等が表示され、表示画面6´の他の領域に画像等が表示される。このような構成によれば、電子機器300を、横長の広い表示画面6´を備える電子機器300として用いることができる。
【0065】
図16は図11に示す電子機器300の表示画面6´の他の一例を示す図である。
図15に示すステータスバー330等に加えて、例えば表示領域A、Bのうちの一部の領域に円形状のキーや矩形状のキー340が表示される。円形状のキーや矩形状のキー340は、文字や記号等を選択したり決定したりするために用いられる。このような構成によれば、表示画面6´に表示された画像等を見ながら、表示画面6´に表示されたキー340を用いて、入力操作を行うことができる。
【0066】
図17は第6の実施の形態の電子機器の閉じた状態を示す斜視図、図18は図17に示す電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
本実施形態は、本発明を携帯電話に適用した例である。本発明に係る電子機器400は、上述した多関節連結機構4と同様の構成を有する多関節連結機構401を備える。上記第1の実施の形態などに比べて、多関節連結機構401は、直列に連結された連結プレートの連結数が少なく連結プレートの軸径が小さくなっている点以外は、上記多関節連結機構4と同様に構成されている。電子機器400は、図18に示すように、表示部402側から本体部403側の全域に亘って設けられた表示器410を備える。表示器410は、画像等が表示される表示画面406を備える。表示器410は、例えば可撓性を有する薄型の表示パネルが用いられる。
【0067】
このような構成によれば、携帯電話などの電子機器400においても、軸径の小さい連結プレートを備える多関節連結機構401を用いて、表示部402と本体部403とを連結することができる。また、軸径の小さい連結プレートを薄い本体部403に連結して固定することができ、本体部403の軸周りの薄型化を図ることができる。また、大きな表示画面406により大きい又はより多くの情報を表示することができる。
【0068】
図19は図18に示す電子機器400の表示画面406の一例を示す図である。
表示画面406の最上段に情報バー420等が表示されると共に、表示画面406の他の領域に画像、動画等が表示される。このような構成によれば、電子機器400を、縦長の表示画面406を有する電子機器400として用い、縦長の広い表示画面406の全域に画像等を大きく又は多く表示することができる。
【0069】
図20は図18に示す電子機器400の表示画面406の一例を示す図である。
表示画面406の最上段の情報バー420等に加えて、表示領域Dに入力キー430が表示される。入力キー430は、従来の携帯電話の入力キーと同様の機能を有する。このような構成によれば、ユーザは入力操作を行いたいときに、入力キー430を用いて入力操作を行うことができる。
【0070】
図21は図18に示す電子機器400の表示画面406の一例を示す図である。
表示画面406の最上段の情報バー420等に加えて、表示領域Dに入力キー440が表示される。入力キー440は、従来の携帯電話の数字や文字等を入力するための入力キーと同様の機能を有する。このような構成によれば、ユーザは例えば文字や数字を入力操作を行いたいときに、入力キー440を用いて入力操作を行うことができる。
【0071】
図22は図18に示す電子機器400の表示画面406の一例を示す図である。
表示画面406の最上段の情報バー420等に加えて、表示領域Dに選択決定入力キー450等が表示される。選択決定入力キー450は、従来の携帯電話の数字や文字等を選択したり決定したりするための選択決定入力キーと同様の機能を有する。このような構成によれば、ユーザは例えば文字や数字を選択したり決定したりする入力操作を行いたいときに、選択決定入力キー450を用いて入力操作を行うことができる。
【0072】
図23は図18に示す電子機器400の表示画面406の一例を示す図である。
表示画面406の一方の側の端部に、情報バー460等が表示され、表示画面406の他の領域に画像等が表示される。このような構成によれば、電子機器400を、横長の広い表示画面406を備える電子機器400として用いることができる。
【0073】
図24は図18に示す電子機器400の表示画面406の一例を示す図である。
表示画面406には、情報バー460等に加えて、例えば円形状のキーや矩形状のキー470が表示される。円形状のキーや矩形状のキー470は、従来の携帯電話の数字や文字等を選択したり決定したりするための選択決定入力キーと同様の機能を有する。このような構成によれば、表示画面406に表示された画像等を見ながら、表示画面406に表示されたキー470を用いて、文字や数字の選択や決定の入力操作を行うことができる。
【0074】
図25は第6の実施の形態の電子機器の開いた状態を示す斜視図である。
本実施形態は、本発明を折り畳み式の薄型テレビジョンに適用した例である。電子機器500は、番組などのコンテンツデータを受信可能な本体部501と、本体部501で受信したコンテンツデータが表示される表示部502と、本体部501と表示部502とを連結する多関節連結機構503とを備える。多関節連結機構503は、上記実施形態の多関節連結機構503と同様の構成を有する。表示部502は、折り畳み時に本体部501と対面する側の面とは反対側に表示画面505を備える。本体部501は、本体部501に対して表示部502を開いた状態で多関節連結機構503の側面の曲線形状に滑らかに連続する曲面形状を有する上面を備える。
【0075】
このような構成によれば、ユーザが表示画面505に表示されたコンテンツを視聴するときに、多関節連結機構503及び本体部501の上面の曲線形状がユーザの目に付き易く、電子機器500のデザイン性を向上させることができる。
本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々更新を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
X1、X2、X3 回動軸
1、100、120、200、300、400、500 電子機器
2、402、502 表示部
3、403、501 本体部
4、60、401、503 多関節連結機構
4A 連結機構
4B 中空連結部材
5 枠部材
5A、210A 本体部側連結部
5B 枠部
6、406、505 表示画面
12 側壁
18 曲線部
21〜28、61〜68 連結プレート
41〜51 ギア(連動機構)
71〜76 カム(連動機構)
201 曲面部
210 被覆部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有する表示部と、
前記表示部と連結される本体部と、
両端部それぞれに回動軸を有する連結部材を複数有し、各前記連結部材が前記回動軸で互いに回動自在に直列に連結され、直列に連結された連結部材の一端が前記本体部側に連結され、直列に連結された連結部材の他端が前記表示部側に連結された多関節の連結機構と、
前記多関節の連動機構における各連結部材間の回動を互いに連動させる連動機構と
を具備する電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記連結機構は、各前記連結部材を千鳥状に連結して2列に配置して構成され、
それぞれの列の互いに隣り合う連結部材は、それぞれの回動方向に沿った周面を有し、これらの周面に互いに係合する係合部を有する
電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記係合部は、ギア構造である
電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記多関節の連結機構は、前記本体部の幅方向に離間して対をなして設けられている
電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記対をなす多関節の連結機構の前記各回動軸にそれぞれ同軸に設けられ前記対をなす多関節の連結機構同士を連結する複数の第2の連結部材
を更に具備する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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