電子機器
【課題】電池種類を自動で判別し、電池残量表示や撮影可能枚数予測を精度良く行うことができる電子機器を提供する。
【解決手段】判別の対象となる電池1に対して、負荷をかける負荷部2と、負荷をかけたときの電池電圧を測定する測定部3と、測定された電池電圧に基づいて、電池の種類の判別を行う判別部5と、判別された電池の種類に基づいて、電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルを変更する。
【解決手段】判別の対象となる電池1に対して、負荷をかける負荷部2と、負荷をかけたときの電池電圧を測定する測定部3と、測定された電池電圧に基づいて、電池の種類の判別を行う判別部5と、判別された電池の種類に基づいて、電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルを変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルに基づいて、前記電池の残容量を求める電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池を電源とする電子機器(カメラ)には、使用する電池消耗状態を把握する電池チェック機能が備わっている。一般的なカメラでは、電池の電圧を測定したり、ある負荷時における電圧を測定し、段階的に使用電池の残量レベルを示すための電圧値と比較し、それに対応したレベルを表示する形式をとっている。
【0003】
カメラを使用するユーザーは、この残量表示から電池の残量を把握し、電池交換のタイミング、使用条件を考慮している。また、その値以下の領域ではカメラの動作が保証できない電圧を禁止電圧とし、禁止電圧に近づいてきたら、電池の交換を促す警告表示を行ったり、禁止電圧に達したらカメラの動作を終了させる処理を行っている。
【0004】
カメラに用いられる電池として、近年ではLi−ion電池や、アルカリ電池、リチウム電池、ニッケル水素電池、ニッケルマンガン電池、ニッカド電池等、一次電池・二次電池ともに多様な種類の電池が用いられている。
【0005】
電池は種類によって、図13に示すようにその電圧特性が異なるため、電池種類により撮影可能枚数が異なる。また、残量レベルの設定も各電池に適した設定を行う必要がある。
【0006】
このため、近年、異なる電池種類に対応した電池チェックを行える電池チェックシステムが開発されてきている。
【0007】
例えば、特許文献1に記載された電池チェック装置では、電池の無負荷時の電圧と所定の負荷をかけた時の電圧の電位差から電池種類を判別している。そして、判別された電池種類に応じた電池チェックを行えるようにしている。
【0008】
また、特許文献2に記載されたカメラでは、カメラを使用するユーザーに装填した電池の種類の入力を促し、入力された電池種類に応じた電池チェックを行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−73485号公報
【特許文献2】特開2006−84667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1の技術では、通常の電池の残量チェックに用いられるような軽い負荷で行うため、ニッケル水素二次電池とそれよりも定格電圧の高いその他の電池との判別は行える。しかし、単三電池等、特性の異なる種類が多く存在するものは、判別困難であった。
【0011】
また、上記特許文献2の技術では、ユーザーの入力した電池種類が間違っている場合、電池種類に応じた適切な電池チェックが行えなくなる。例えば、残量がまだあるにも関わらず残量が無いと表示されたり、残量表示があると表示されているにも関わらず突然動作終了したりする等、適切に電池の残容量や撮影可能枚数予測が行えなかった。
【0012】
また、上記電池判別機能を有していない多種類の電池対応の電池チェックシステムでは、電池の残量レベルの設定が、電池種類によらず同一のパラメータで行われていた。
【0013】
そのため、使用した電池種類によっては、まだ容量が残っているにも関わらず電池交換の警告が出たり、フル充電後でも残量表示が半分となったり、電池残量や、撮影可能枚数を適切に表示することができないという問題があった。
【0014】
そこで、電池種類に応じて、電池残量表示や、撮影可能枚数予測を精度良く行えるような電池チェックシステムが望まれている。
【0015】
本発明の目的は、電池種類を自動で判別し、電池残量表示や撮影可能枚数予測を精度良く行うことができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルに基づいて、前記電池の残容量を求める電子機器であって、判別の対象となる電池に対して、負荷をかける負荷手段と、前記負荷をかけたときの前記電池電圧を測定する測定手段と、前記測定手段により測定された前記電池電圧に基づいて、前記電池の種類の判別を行う判別手段と、前記判別手段により判別された前記電池の種類に基づいて、前記テーブルを変更する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電池種類を自動で判別し、電池残量表示や撮影可能枚数予測を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る電池判別装置のブロック図である。
【図2】リチウム電池、NiMn電池、NiCd電池の電圧−電流特性の一例を示す図である。
【図3】図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第1の例の手順を示すフローチャートである。
【図5】一般的な電池チェックの方法を示す図である。
【図6】判別された電池の残容量と電圧の関係を示す図である。
【図7】撮影可能枚数をカメラの液晶部分に表示例を示す図である。
【図8】各電池残量表示レベルのしきい値電圧を示す図である。
【図9】電池残量表示レベルの表示例を示す図である。
【図10】図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第2の例の手順を示すフローチャートである。
【図11】図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図12】図11のステップS33で実行される電池種類判別確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】電池A、電池Bの電圧−撮影枚数の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器のブロック図である。
【0021】
図1の電池判別装置12は、電子機器(カメラ)に備えられる。
【0022】
以下、その構成を動作と併せて説明する。
【0023】
カメラに投入され、判別の対象となる電池1に対して、負荷部2は、任意の負荷条件で電流を流すことが可能である。また、測定部3は、負荷部2によって電池1にかけられた負荷条件時(無負荷時、有負荷時)の電圧を測定することが可能である。
【0024】
判別部5は、図2に示すような電池種類が判別可能な電流-電圧の相関データであるパターンファイル4と、測定部3との測定結果を比較し、電池種類の判別を行う。
【0025】
メモリ7は、パターンファイル4と電池特性ファイル6を保持し、更に測定部3によって測定された電圧値を保持することができる。
【0026】
タイマ8は、第2の実施の形態で示すような、一定時間間隔で電圧を測定する際に時間を計測する機能を有する。
【0027】
演算部9は、判別部5によって判別された電池種類と、電池電圧と残量の関係または残量レベルのしきい値電圧を保持している電池特性ファイル6を使用し、電池残量や撮影可能枚数を算出する。
【0028】
表示部10は、液晶装置等であり、演算部により算出された電池残量や撮影可能枚数を表示する表示手段として機能する。
【0029】
電池蓋開閉検出部11は、電池投入を検出する検出手段として機能する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図3は、図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0031】
本処理は、図1における演算部9の制御の下に実行される。
【0032】
演算部9は、電池蓋開閉検出部11の検出結果によりカメラに電池1が投入されたかをまず判別する(ステップS1)。電池蓋が開閉され、カメラに電池1が投入されたと判別したら、図4の電池種類判別処理へ移る(ステップS2)。
【0033】
電池1の種類が判別されていて、電池1が投入されなかった場合及び、ステップS2で電池1の種類が判別されたら、演算部9は、図5の無負荷と負荷条件1から従来の電池チェックを行い電池残量の算出を行う(ステップS3)。
【0034】
電池種類の判別を電池蓋開閉時に行うのは、新規に電池1を使用する場合や、一定期間使用しない時、一度電池1を抜き、再投入を行う場合等、電池1が投入されたと判別された時である。その時、電池1の種類が変わっている可能性が高いと考えられるからである。
【0035】
また、電池種類の判別を電池蓋開閉時に行うのは、電池種類の判別のために、通常の負荷よりも重い負荷をかけるため、これを頻繁に行うと電力を無駄に消費してしまい、また、電池に対しても好ましくないからである。
【0036】
図4は、図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第1の例の手順を示すフローチャートである。
【0037】
第1の例では、電池種類をリチウム電池、NiMn電池、NiCd電池の3種類に限定して説明する。
【0038】
図3のステップS1で、演算部9は、電池が投入されたと判断した時、電池電圧の測定を行い、禁止電圧に達していないか判別を行う(ステップS11)。
【0039】
禁止電圧に達していた場合、電池種類によらず、カメラの動作が保証できないため、演算部9は、カメラの動作をシャットダウンさせる(ステップS12)。禁止電圧に達していない場合(禁止電圧以上の場合)、演算部9は、図2のリチウム電池とそれ以外の電池を判別する負荷条件2(第1の負荷)で電池チェック(BC)を行う(ステップS13)。
【0040】
演算部9は、負荷条件2で電池チェックを行った結果、負荷条件2時の電圧Vbcと、リチウム電池を判別するためのしきい値電圧であるVcとを比較する(ステップS14)。
【0041】
比較結果より、負荷条件2時の電圧VbcがVc以上の場合、演算部9は、この電池をリチウム電池と判別する(ステップS15)。演算部9は、負荷条件2時の電圧VbcがVcより小さいである場合、この電池はNiMn電池、NiCd電池のいずれかであると判別する。
【0042】
NiMn電池、NiCd電池のいずれかであると判別された場合、次に、演算部9は、図2のNiMn電池とNiCd電池を判別するための負荷条件3(第2の負荷)で電池チェックを行う(ステップS16)。
【0043】
演算部9は、負荷条件3で電池チェックを行った結果、負荷条件3時の電圧Vbcと、NiMn電池とNiCd電池を判別するためのしきい値電圧であるVbとを比較する(ステップS17)。
【0044】
比較結果より、負荷条件3時の電圧VbcがVbよりも小さい場合、演算部9は、この電池をNiCd電池と判別する(ステップS18)。負荷条件3時の電圧VbcがVb以上である場合、演算部9は、この電池はNiMn電池と判別する(ステップS19)。
【0045】
以上の電池判別処理の結果、判別された電池種類に対応して、電池の電圧と電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルを変更する(ステップS20)。
【0046】
具体的には、電池1の残量レベルを切り替えるしきい値電圧を格納したテーブルや、その電池1に対応した電池電圧と残容量を格納したテーブルを反映させる。その後、従来の電池チェックを行い、残量予測、または撮影可能枚数予測を行う。
【0047】
残量予測、または撮影可能枚数予測の方法を説明する。カメラは、事前に各電池種類に対する、電池特性ファイル6から電池電圧と電池容量をテーブル化したものを保持しておく。
【0048】
図6及び図7は、判別された電池種類の電池電圧と電池容量との関係をテーブル化したものをプロットし図示したものである。
【0049】
判別された電池種類に対応したテーブルを演算部9は読み出し、図5のように電池チェックを行い、その時の測定電圧から、電池の残容量を算出する。算出された残容量を撮影可能枚数に換算し、図7のように、残り枚撮影可能な枚数をカメラの表示部10に表示する。または、図8のように、電池残量レベル毎に、例えば、フル・ハーフ・ハーフ点滅による基準電圧を設定し、測定電圧により、電池の表示レベルを図9のように、表示部10に表示し、ユーザーに残量を通知する形態でも良い。
【0050】
図10は、図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第2の例の手順を示すフローチャートである。
【0051】
電池種類判別処理の第2の例は、電池種類が複数種類の場合である。
【0052】
まず、演算部9は、電池電圧を測定し、禁止電圧でないかを判別する(ステップS21)。禁止電圧に達していた場合、動作が保証できない電圧であるため、演算部9は、シャットダウンを行う(ステップS22)。禁止電圧に到達していなければ(禁止電圧以上であれば)、演算部9は、ある電池種類を判別するための負荷条件Nで電池チェックを行う(ステップS23)。
【0053】
演算部9は、負荷条件Nでの電池チェックの結果、電池種類が判別できたかを判別する(ステップS24)。判別できた場合、演算部9は、判別できた電池1の種類に応じた電池の設定値を反映させ(ステップS25)、通常の負荷条件で電池チェックを行い、残量予測または撮影可能枚数予測を行う。
【0054】
判別できなかった場合、演算部9は、負荷条件をNからN+1に変更し、電池種類が判別できるまで、上記ルーチンを繰り返す(ステップS26)。
【0055】
電池種類判別後は、第1の例と同様に残量算出を行う。
【0056】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、図11に示すように、判別された電池種類が間違っていないかを確認する処理を加える。
【0057】
図11は、図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0058】
まず、演算部9は、電池1が投入されたかを検出し(ステップS31)、電池の投入検出がされたら、電池種類判別処理を行う(ステップS32)。電池種類が判別された後、演算部9は、図12に示す電池種類判別確認処理を行う(ステップS33)。
【0059】
図12は、図11のステップS33で実行される電池種類判別確認処理の手順を示すフローチャートである。
【0060】
まず、演算部9は、タイマ8により、時間tのカウントを行い、tが予め設定した時間Tに達した時(タイマ8により計測される所定の時間毎に)、その時の電圧V(T)を測定し、電池特性ファイル6における値v(T)と比較する(ステップS42)。
【0061】
電池個体のバラつき等を考慮した値をδ電池特性ファイルに同時に保持させておき、演算部9は、|V(T)−v(T)|≦δであるか判別する(ステップS43)。
【0062】
|V(T)−v(T)|≦δが成り立たない時、演算部9は、使用中の電池1が、判別した電池1の電池特性の移動線から外れたと考え、判別結果が間違っているとし、再度電池種類判別処理を行う(ステップS44)。演算部9は、その後、タイマをリセットt=0にする(ステップS45)。
【0063】
ステップS43が成立した場合、またはt<Tの時、演算部9は、従来の電池チェックを行い、残量算出を行う(ステップS41)。
【0064】
第1、第2の実施の形態によれば、電池種類を自動で判別することができる。それにより、カメラを使用するユーザーは判別した電池により、精度良く電池残量または、撮影可能枚数を把握することができる。
【0065】
また第2の実施の形態では、電池投入時の判別結果が間違っていた場合も、カメラの使用中に自動で電池種類を修正することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 電池
2 負荷部
3 測定部
4 パターンファイル
5 判別部
6 電池特性ファイル
7 メモリ
8 タイマ
9 演算部
10 表示部
11 電池蓋開閉検出部
12 電池判別装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルに基づいて、前記電池の残容量を求める電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池を電源とする電子機器(カメラ)には、使用する電池消耗状態を把握する電池チェック機能が備わっている。一般的なカメラでは、電池の電圧を測定したり、ある負荷時における電圧を測定し、段階的に使用電池の残量レベルを示すための電圧値と比較し、それに対応したレベルを表示する形式をとっている。
【0003】
カメラを使用するユーザーは、この残量表示から電池の残量を把握し、電池交換のタイミング、使用条件を考慮している。また、その値以下の領域ではカメラの動作が保証できない電圧を禁止電圧とし、禁止電圧に近づいてきたら、電池の交換を促す警告表示を行ったり、禁止電圧に達したらカメラの動作を終了させる処理を行っている。
【0004】
カメラに用いられる電池として、近年ではLi−ion電池や、アルカリ電池、リチウム電池、ニッケル水素電池、ニッケルマンガン電池、ニッカド電池等、一次電池・二次電池ともに多様な種類の電池が用いられている。
【0005】
電池は種類によって、図13に示すようにその電圧特性が異なるため、電池種類により撮影可能枚数が異なる。また、残量レベルの設定も各電池に適した設定を行う必要がある。
【0006】
このため、近年、異なる電池種類に対応した電池チェックを行える電池チェックシステムが開発されてきている。
【0007】
例えば、特許文献1に記載された電池チェック装置では、電池の無負荷時の電圧と所定の負荷をかけた時の電圧の電位差から電池種類を判別している。そして、判別された電池種類に応じた電池チェックを行えるようにしている。
【0008】
また、特許文献2に記載されたカメラでは、カメラを使用するユーザーに装填した電池の種類の入力を促し、入力された電池種類に応じた電池チェックを行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−73485号公報
【特許文献2】特開2006−84667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1の技術では、通常の電池の残量チェックに用いられるような軽い負荷で行うため、ニッケル水素二次電池とそれよりも定格電圧の高いその他の電池との判別は行える。しかし、単三電池等、特性の異なる種類が多く存在するものは、判別困難であった。
【0011】
また、上記特許文献2の技術では、ユーザーの入力した電池種類が間違っている場合、電池種類に応じた適切な電池チェックが行えなくなる。例えば、残量がまだあるにも関わらず残量が無いと表示されたり、残量表示があると表示されているにも関わらず突然動作終了したりする等、適切に電池の残容量や撮影可能枚数予測が行えなかった。
【0012】
また、上記電池判別機能を有していない多種類の電池対応の電池チェックシステムでは、電池の残量レベルの設定が、電池種類によらず同一のパラメータで行われていた。
【0013】
そのため、使用した電池種類によっては、まだ容量が残っているにも関わらず電池交換の警告が出たり、フル充電後でも残量表示が半分となったり、電池残量や、撮影可能枚数を適切に表示することができないという問題があった。
【0014】
そこで、電池種類に応じて、電池残量表示や、撮影可能枚数予測を精度良く行えるような電池チェックシステムが望まれている。
【0015】
本発明の目的は、電池種類を自動で判別し、電池残量表示や撮影可能枚数予測を精度良く行うことができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルに基づいて、前記電池の残容量を求める電子機器であって、判別の対象となる電池に対して、負荷をかける負荷手段と、前記負荷をかけたときの前記電池電圧を測定する測定手段と、前記測定手段により測定された前記電池電圧に基づいて、前記電池の種類の判別を行う判別手段と、前記判別手段により判別された前記電池の種類に基づいて、前記テーブルを変更する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電池種類を自動で判別し、電池残量表示や撮影可能枚数予測を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る電池判別装置のブロック図である。
【図2】リチウム電池、NiMn電池、NiCd電池の電圧−電流特性の一例を示す図である。
【図3】図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第1の例の手順を示すフローチャートである。
【図5】一般的な電池チェックの方法を示す図である。
【図6】判別された電池の残容量と電圧の関係を示す図である。
【図7】撮影可能枚数をカメラの液晶部分に表示例を示す図である。
【図8】各電池残量表示レベルのしきい値電圧を示す図である。
【図9】電池残量表示レベルの表示例を示す図である。
【図10】図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第2の例の手順を示すフローチャートである。
【図11】図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図12】図11のステップS33で実行される電池種類判別確認処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】電池A、電池Bの電圧−撮影枚数の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器のブロック図である。
【0021】
図1の電池判別装置12は、電子機器(カメラ)に備えられる。
【0022】
以下、その構成を動作と併せて説明する。
【0023】
カメラに投入され、判別の対象となる電池1に対して、負荷部2は、任意の負荷条件で電流を流すことが可能である。また、測定部3は、負荷部2によって電池1にかけられた負荷条件時(無負荷時、有負荷時)の電圧を測定することが可能である。
【0024】
判別部5は、図2に示すような電池種類が判別可能な電流-電圧の相関データであるパターンファイル4と、測定部3との測定結果を比較し、電池種類の判別を行う。
【0025】
メモリ7は、パターンファイル4と電池特性ファイル6を保持し、更に測定部3によって測定された電圧値を保持することができる。
【0026】
タイマ8は、第2の実施の形態で示すような、一定時間間隔で電圧を測定する際に時間を計測する機能を有する。
【0027】
演算部9は、判別部5によって判別された電池種類と、電池電圧と残量の関係または残量レベルのしきい値電圧を保持している電池特性ファイル6を使用し、電池残量や撮影可能枚数を算出する。
【0028】
表示部10は、液晶装置等であり、演算部により算出された電池残量や撮影可能枚数を表示する表示手段として機能する。
【0029】
電池蓋開閉検出部11は、電池投入を検出する検出手段として機能する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図3は、図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0031】
本処理は、図1における演算部9の制御の下に実行される。
【0032】
演算部9は、電池蓋開閉検出部11の検出結果によりカメラに電池1が投入されたかをまず判別する(ステップS1)。電池蓋が開閉され、カメラに電池1が投入されたと判別したら、図4の電池種類判別処理へ移る(ステップS2)。
【0033】
電池1の種類が判別されていて、電池1が投入されなかった場合及び、ステップS2で電池1の種類が判別されたら、演算部9は、図5の無負荷と負荷条件1から従来の電池チェックを行い電池残量の算出を行う(ステップS3)。
【0034】
電池種類の判別を電池蓋開閉時に行うのは、新規に電池1を使用する場合や、一定期間使用しない時、一度電池1を抜き、再投入を行う場合等、電池1が投入されたと判別された時である。その時、電池1の種類が変わっている可能性が高いと考えられるからである。
【0035】
また、電池種類の判別を電池蓋開閉時に行うのは、電池種類の判別のために、通常の負荷よりも重い負荷をかけるため、これを頻繁に行うと電力を無駄に消費してしまい、また、電池に対しても好ましくないからである。
【0036】
図4は、図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第1の例の手順を示すフローチャートである。
【0037】
第1の例では、電池種類をリチウム電池、NiMn電池、NiCd電池の3種類に限定して説明する。
【0038】
図3のステップS1で、演算部9は、電池が投入されたと判断した時、電池電圧の測定を行い、禁止電圧に達していないか判別を行う(ステップS11)。
【0039】
禁止電圧に達していた場合、電池種類によらず、カメラの動作が保証できないため、演算部9は、カメラの動作をシャットダウンさせる(ステップS12)。禁止電圧に達していない場合(禁止電圧以上の場合)、演算部9は、図2のリチウム電池とそれ以外の電池を判別する負荷条件2(第1の負荷)で電池チェック(BC)を行う(ステップS13)。
【0040】
演算部9は、負荷条件2で電池チェックを行った結果、負荷条件2時の電圧Vbcと、リチウム電池を判別するためのしきい値電圧であるVcとを比較する(ステップS14)。
【0041】
比較結果より、負荷条件2時の電圧VbcがVc以上の場合、演算部9は、この電池をリチウム電池と判別する(ステップS15)。演算部9は、負荷条件2時の電圧VbcがVcより小さいである場合、この電池はNiMn電池、NiCd電池のいずれかであると判別する。
【0042】
NiMn電池、NiCd電池のいずれかであると判別された場合、次に、演算部9は、図2のNiMn電池とNiCd電池を判別するための負荷条件3(第2の負荷)で電池チェックを行う(ステップS16)。
【0043】
演算部9は、負荷条件3で電池チェックを行った結果、負荷条件3時の電圧Vbcと、NiMn電池とNiCd電池を判別するためのしきい値電圧であるVbとを比較する(ステップS17)。
【0044】
比較結果より、負荷条件3時の電圧VbcがVbよりも小さい場合、演算部9は、この電池をNiCd電池と判別する(ステップS18)。負荷条件3時の電圧VbcがVb以上である場合、演算部9は、この電池はNiMn電池と判別する(ステップS19)。
【0045】
以上の電池判別処理の結果、判別された電池種類に対応して、電池の電圧と電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルを変更する(ステップS20)。
【0046】
具体的には、電池1の残量レベルを切り替えるしきい値電圧を格納したテーブルや、その電池1に対応した電池電圧と残容量を格納したテーブルを反映させる。その後、従来の電池チェックを行い、残量予測、または撮影可能枚数予測を行う。
【0047】
残量予測、または撮影可能枚数予測の方法を説明する。カメラは、事前に各電池種類に対する、電池特性ファイル6から電池電圧と電池容量をテーブル化したものを保持しておく。
【0048】
図6及び図7は、判別された電池種類の電池電圧と電池容量との関係をテーブル化したものをプロットし図示したものである。
【0049】
判別された電池種類に対応したテーブルを演算部9は読み出し、図5のように電池チェックを行い、その時の測定電圧から、電池の残容量を算出する。算出された残容量を撮影可能枚数に換算し、図7のように、残り枚撮影可能な枚数をカメラの表示部10に表示する。または、図8のように、電池残量レベル毎に、例えば、フル・ハーフ・ハーフ点滅による基準電圧を設定し、測定電圧により、電池の表示レベルを図9のように、表示部10に表示し、ユーザーに残量を通知する形態でも良い。
【0050】
図10は、図3のステップS2で実行される電池種類判別処理の第2の例の手順を示すフローチャートである。
【0051】
電池種類判別処理の第2の例は、電池種類が複数種類の場合である。
【0052】
まず、演算部9は、電池電圧を測定し、禁止電圧でないかを判別する(ステップS21)。禁止電圧に達していた場合、動作が保証できない電圧であるため、演算部9は、シャットダウンを行う(ステップS22)。禁止電圧に到達していなければ(禁止電圧以上であれば)、演算部9は、ある電池種類を判別するための負荷条件Nで電池チェックを行う(ステップS23)。
【0053】
演算部9は、負荷条件Nでの電池チェックの結果、電池種類が判別できたかを判別する(ステップS24)。判別できた場合、演算部9は、判別できた電池1の種類に応じた電池の設定値を反映させ(ステップS25)、通常の負荷条件で電池チェックを行い、残量予測または撮影可能枚数予測を行う。
【0054】
判別できなかった場合、演算部9は、負荷条件をNからN+1に変更し、電池種類が判別できるまで、上記ルーチンを繰り返す(ステップS26)。
【0055】
電池種類判別後は、第1の例と同様に残量算出を行う。
【0056】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、図11に示すように、判別された電池種類が間違っていないかを確認する処理を加える。
【0057】
図11は、図1の電池判別装置によって実行される電池チェック処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0058】
まず、演算部9は、電池1が投入されたかを検出し(ステップS31)、電池の投入検出がされたら、電池種類判別処理を行う(ステップS32)。電池種類が判別された後、演算部9は、図12に示す電池種類判別確認処理を行う(ステップS33)。
【0059】
図12は、図11のステップS33で実行される電池種類判別確認処理の手順を示すフローチャートである。
【0060】
まず、演算部9は、タイマ8により、時間tのカウントを行い、tが予め設定した時間Tに達した時(タイマ8により計測される所定の時間毎に)、その時の電圧V(T)を測定し、電池特性ファイル6における値v(T)と比較する(ステップS42)。
【0061】
電池個体のバラつき等を考慮した値をδ電池特性ファイルに同時に保持させておき、演算部9は、|V(T)−v(T)|≦δであるか判別する(ステップS43)。
【0062】
|V(T)−v(T)|≦δが成り立たない時、演算部9は、使用中の電池1が、判別した電池1の電池特性の移動線から外れたと考え、判別結果が間違っているとし、再度電池種類判別処理を行う(ステップS44)。演算部9は、その後、タイマをリセットt=0にする(ステップS45)。
【0063】
ステップS43が成立した場合、またはt<Tの時、演算部9は、従来の電池チェックを行い、残量算出を行う(ステップS41)。
【0064】
第1、第2の実施の形態によれば、電池種類を自動で判別することができる。それにより、カメラを使用するユーザーは判別した電池により、精度良く電池残量または、撮影可能枚数を把握することができる。
【0065】
また第2の実施の形態では、電池投入時の判別結果が間違っていた場合も、カメラの使用中に自動で電池種類を修正することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 電池
2 負荷部
3 測定部
4 パターンファイル
5 判別部
6 電池特性ファイル
7 メモリ
8 タイマ
9 演算部
10 表示部
11 電池蓋開閉検出部
12 電池判別装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルに基づいて、前記電池の残容量を求める電子機器であって、
判別の対象となる電池に対して、負荷をかける負荷手段と、
前記負荷をかけたときの前記電池電圧を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記電池電圧に基づいて、前記電池の種類の判別を行う判別手段と、
前記判別手段により判別された前記電池の種類に基づいて、前記テーブルを変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記判別手段は、前記電池がリチウム電池、NiCd電池およびNiMn電池のいずれかであるかを判別するもので、第1の負荷によって前記電池がリチウム電池であるか同かを判別し、前記第2の負荷より大きな負荷である第2の負荷によってNiCd電池およびNiMn電池のいずれかであるかを判別することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
電池蓋の開閉の検出を行う電池蓋開閉検出手段を備え、
前記判別手段は、前記電池蓋開閉検出手段が前記電池蓋の開閉を検出した時、前記電池の種類の判別を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
電池が前記電子機器に投入されたかどうかを検出する投入検出手段を備え、
前記判別手段は、前記投入検出手段が前記電池の投入を検出した時、前記電池の種類の判別を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
タイマを備え、
前記判別手段は、前記タイマにより計測される所定の時間毎に前記電池の種類の判別を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項1】
電池の電圧と前記電池の残容量の関係をテーブル化したテーブルに基づいて、前記電池の残容量を求める電子機器であって、
判別の対象となる電池に対して、負荷をかける負荷手段と、
前記負荷をかけたときの前記電池電圧を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記電池電圧に基づいて、前記電池の種類の判別を行う判別手段と、
前記判別手段により判別された前記電池の種類に基づいて、前記テーブルを変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記判別手段は、前記電池がリチウム電池、NiCd電池およびNiMn電池のいずれかであるかを判別するもので、第1の負荷によって前記電池がリチウム電池であるか同かを判別し、前記第2の負荷より大きな負荷である第2の負荷によってNiCd電池およびNiMn電池のいずれかであるかを判別することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
電池蓋の開閉の検出を行う電池蓋開閉検出手段を備え、
前記判別手段は、前記電池蓋開閉検出手段が前記電池蓋の開閉を検出した時、前記電池の種類の判別を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
電池が前記電子機器に投入されたかどうかを検出する投入検出手段を備え、
前記判別手段は、前記投入検出手段が前記電池の投入を検出した時、前記電池の種類の判別を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
タイマを備え、
前記判別手段は、前記タイマにより計測される所定の時間毎に前記電池の種類の判別を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−230535(P2010−230535A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79205(P2009−79205)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]