説明

電子機器

【課題】本発明は、異なる径の対象物に取り付け可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、表面3A側に表示部21が配置される表示部側筐体3と、表示部側筐体3における裏面3B側に形成される被係合部340と、表示部側筐体3に連結され第1面2Aが外面となるよう湾曲して変形可能な操作部側筐体2とを備える。操作部側筐体2は、端部側に配置され被係合部340に着脱可能に係合する係合部310と、第2面2B側に配置され内部に気体を収容可能に構成されると共に、収容された気体量に応じて突出するよう変形可能な1又は複数の柔軟部270と、を有する。また、携帯電話機1は、気体供給口400と、気体供給口400から供給された気体を1又は複数の柔軟部270それぞれに供給する気体供給部410と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器としての携帯電話機において、携帯性を高めるため、ユーザの腕等に巻きつけて固定するホルダを有する携帯電話機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−318382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の携帯電話機において、ホルダのサイズが一定であるため、巻きつける対象物のサイズ(径)や形状によっては、固定することが困難である場合があった。
【0005】
本発明は、異なる径の対象物に取り付け可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面側に表示部が配置される表示部側筐体と、前記表示部側筐体に形成される被係合部と、前記表示部側筐体に連結され、湾曲して変形可能な可撓部と、前記可撓部における、前記表示部側筐体と連結される側とは反対側の端部に配置され、前記被係合部に係合する係合部と、前記可撓部の内部に気体を供給するための気体供給口と、を備え、 前記可撓部は、前記係合部と前記被係合部とが係合することによって、前記表示部側筐体と環形状を形成した状態で、前記気体供給口を介して供給される気体によって膨張することにより、前記環形状の内径を小さくする電子機器に関する。
【0007】
また、前記気体供給口は、前記表示部側筐体と前記可撓部とが環形状を形成する場合における、当該環形状の内側面とは異なる場所に形成されることが好ましい。
【0008】
また、前記可撓部は、前記気体供給口を介して気体が供給されることで、前記環形状における内側に突出するように膨張変形する柔軟部を有することが好ましい。
【0009】
また、前記係合部は、前記柔軟部に収容された気体を外部に放出する放出口を有し、前記被係合部は、前記係合部に係合された状態において前記放出口を密閉すると共に、前記係合部に係合されていない状態において前記放出口を密閉せず気体を放出可能な状態にする封止部を有することが好ましい。
【0010】
また、前記可撓部は、前記柔軟部が複数連結して形成されることにより湾曲変形可能となることが好ましい。
【0011】
また、前記可撓部は、前記内側面とは反対側の外側面に操作部を備え、前記操作部は、回路基板と、前記回路基板に積層配置されキースイッチを有するキー基板と、前記キー基板に積層配置されるキーシート部材と、を有することが好ましい。
【0012】
また、前記係合部が前記被係合部に係合したことを検知する係合検知部と、前記表示部の表面に入力された操作を検知可能なタッチパネル部と、前記キースイッチからの入力と前記タッチパネル部からの入力を受け付ける入力受付部と、前記入力受付部において、前記キースイッチからの入力と前記タッチパネル部からの入力とのいずれを受け付けるかを決める入力切り替え部と、を備え、前記係合検知部により前記係合部が前記被係合部に係合したことが検知された場合、前記入力切り替え部は、前記入力受付部において前記タッチパネル部からの入力を受け付けさせることが好ましい。
【0013】
また、前記表示部に選択可能な複数の機能を表示させる表示制御部と、を備え、前記係合検知部により前記係合部が前記被係合部に係合したことが検知された場合、前記表示制御部は、前記選択可能な複数の機能のうち、前記タッチパネルの操作に関連した機能を表示させることが好ましい。
【0014】
また、加速度センサと、複数のモードそれぞれにおいて選択可能な1又は複数の機能を記憶する記憶部と、前記係合検知部により前記係合部が前記被係合部に係合したことが検知された場合、前記加速度センサの出力に応じて所定のモードを選択するモード選択部と、を備え、前記表示制御部は、前記モード選択部により選択されたモードに対応して前記記憶部に記憶される前記1又は複数の機能を前記表示部に表示させることが好ましい。
【0015】
また、前記被係合部は、前記係合部が係合している状態から係合が外れた状態へとなる場合、前記気体供給口および前記被係合部の少なくとも一方は、前記柔軟部に供給されていた気体を放出することが好ましい。
【0016】
また、内部に電子部品を有する筐体部と、前記筐体部に連結され、可撓性を有する可撓部と、を備え、前記可撓部は、変形によって前記筐体部と共に環形状を形成することが可能であり、前記筐体部と共に環形状を形成している場合、空気が供給されることにより前記環形状の内径を小さくすることが可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異なる径の対象物に取り付け可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】携帯電話機における斜視図である。
【図2】携帯電話機における正面図である。
【図3】携帯電話機における裏面図である。
【図4A】携帯電話機における左側面図である。
【図4B】気体供給口から空気が供給された場合における携帯電話機の左側面図である。
【図5A】取り付け状態における携帯電話機の斜視図である。
【図5B】気体供給口から空気が供給された場合における取り付け状態の携帯電話機の斜視図である。
【図6A】図2におけるA―A断面図である。
【図6B】気体供給口から空気が供給された場合における図2のA―A断面図である。
【図7A】図2におけるB―B断面図である。
【図7B】気体供給口から空気が供給された場合における図2のB―B断面図である。
【図8】被係合部及び気体供給部を説明する模式図である。
【図9A】携帯電話機を棒部材に取り付ける動作を説明する図である。
【図9B】携帯電話機を棒部材に取り付ける動作を説明する図である。
【図9C】携帯電話機を棒部材に取り付ける動作を説明する図である。
【図10】携帯電話機1における取り付け状態の一例を示す図である。
【図11】携帯電話機1における取り付け状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の電子機器の一実施形態である携帯電話機1の基本構造について、図1から図8を参照しながら説明する。
図1は、携帯電話機における斜視図である。図2は、携帯電話機における正面図である。図3は、携帯電話機における裏面図である。図4Aは、携帯電話機における左側面図である。図4Bは、気体供給口から空気が供給された場合における携帯電話機の左側面図である。図5Aは、取り付け状態における携帯電話機の斜視図である。図5Bは、気体供給口から空気が供給された場合における取り付け状態の携帯電話機の斜視図である。図6Aは、図2におけるA―A断面図である。図6Bは、気体供給口から空気が供給された場合における図2のA―A断面図である。図7Aは、図2におけるB―B断面図である。図7Bは、気体供給口から空気が供給された場合における図2のB―B断面図である。図8は、被係合部及び気体供給部を説明する模式図である。
【0020】
まず、携帯電話機1の概要について説明する。
図1から図5Bに示すように、携帯電話機1は、操作部側筐体2(可撓部)と、表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、互いに連結される。
【0021】
携帯電話機1は、所定の対象物に取り付け可能に構成される(図10及び図11参照)。携帯電話機1は、操作部側筐体2が第1面2Aが外面にとなるように湾曲することで、表示部側筐体3と操作部側筐体2とが環形状を形成し、所定の対象物に巻きつくようにして取り付けられる。更に、この状態において、気体供給口400から空気が供給されることで、操作部側筐体2は、環形状の内径が小さくなるように変形し、携帯電話機1は、環形状の状態で所定の対象物に位置決めされる。
【0022】
続けて、携帯電話機1の構成について、各筐体ごと(操作部側筐体2及び表示部側筐体3)に説明する。
まず、表示部側筐体3について説明する。
図1から図4Bに示すように、表示部側筐体3は、表面3A側に配置される表示部21と、ユーザが通話時に発した音声が入力される音声入力部12と、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31と、表示部21の表面に配置されるタッチパネル部121と、を備える、また、表示部側筐体3は、裏面3B側に配置される被係合部340と、係合操作部330、330と、を備える。また、表示部側筐体3は、側面側に配置される気体供給口400を備える。ここで、本実施形態において、バッテリは、表示部側筐体3に収容配置される。
【0023】
図1及び図2に示すように、表示部21は、表示部側筐体3における表面3A側に配置される。表示部21は、不図示の表示制御部により、待ち受け画面や基本メニュー画面のほか、ユーザが選択可能な機能を表示したメニュー画面を表示可能に構成される。例えば、表示部21には、後述する係合部310が被係合部340に係合した場合(取り付け状態)、所定の対象物(例えば、自転車等)に取り付けられた状態で使用される頻度が高い機能を選択可能なメニュー画面が表示される。また、例えば、表示部21には、加速度センサの出力により検知されたユーザの移動状態に対応したモード(徒歩モード、自転車モード、自動車モード、電車モードや自動車モード等)に適した機能を選択可能なメニュー画面が表示される。
【0024】
図1及び図2に示すように、音声入力部12は、表示部側筐体3における操作部側筐体2側の端部であって側面側(図2において右側)に形成される。音声入力部12は、ユーザが通話時に発した音声が入力される部分である。
図1及び図2に示すように、音声出力部31は、表示部側筐体3における操作部側筐体2側と反対の端部側に形成される。音声出力部31は、通話の相手側における音声を出力する部分である。
【0025】
図1及び図2に示すように、タッチパネル部121は、表示部21の表面に配置される。タッチパネル部121は、ユーザによる押圧操作等を検知する。タッチパネル部121からの入力情報は、不図示の入力受付部により受け付けられる。入力受付部は、後述する操作部250(キースイッチ52)からの入力情報も受け付ける。入力受付部は、入力切り替え部からの指示に基づいて、操作部250(キースイッチ52)からの入力情報と、タッチパネル部121からの入力情報とのいずれかを(優先的に)受け付ける。ここで、係合部310が被係合部340に係合されたことが検知された場合、入力切り替え部は、タッチパネル部121からの入力情報を(優先して)受け付けるよう入力検知部を制御する。つまり、携帯電話機1が環形状の取り付け状態になった場合、タッチパネル部121からの入力情報が入力検知部に優先的に受け付けられる。
【0026】
図3に示すように、被係合部340は、表示部側筐体3の裏面3B側であって操作部側筐体2側と反対の端部側に形成される。被係合部340は、係合部310に係合される部分である。
被係合部340は、係合部310が挿入配置される挿入部343と、挿入部343に挿入配置された係合部310を幅方向外側から挟み込むように押圧して位置決め固定する2つの固定部材341、341と、当該2つの固定部材341、341を互いに向かい合う側に付勢するバネ(図8参照)と、を備える。
また、被係合部340は、係合部310に係合された状態において放出口430を密閉すると共に、係合部310に係合されていない状態において放出口430を密閉せず気体を放出可能な状態にする封止部347を有する。
【0027】
係合操作部330、330は、表示部側筐体3の裏面3Bであって幅方向外側の外縁近傍に2つ形成される。係合操作部330、330は、固定部材341、341同士の距離を調整可能に構成される。係合操作部330、330それぞれが幅方向内側(矢印K1方向)に押し込まれることで、固定部材341、341それぞれは、幅方向外側(矢印K2方向)に移動される(図8参照)。これにより、挿入部343は、係合部310が挿入可能な長さ(幅方向長さ)になる。
ここで、係合部310が被係合部340に係合した状態(係合状態)については、後に説明する。
【0028】
気体供給口400は、表示部側筐体3における側面に形成される。気体供給口400は、後述する気体供給部410(図8参照)に接続される。気体供給口400は、気体供給部410を介して、後述する柔軟部270の内部空間271に気体を供給可能に構成される。気体供給口400は、ユーザが直接又は所定の道具を用いて空気等の気体を供給可能に構成される。気体供給口400は、例えば、空気入れ(フロアポンプ、インフレータやコンプレッサ等)の口金(例えば、トンボ口や米式バルブ)に接続可能に構成されてもよく、また、ユーザが口から直接空気を吹きいれることが可能に構成されてもよい。
【0029】
ここで、気体供給口400における配置位置は、表示部側筐体3の側面に限られない。気体供給口400は、表示部側筐体3における他の側面や、表面3Aに形成されてもよい。また、気体供給口400は、操作部側筐体2に形成されてもよい。気体供給口400は、操作部側筐体2における側面や、第1面2Aに形成されてもよい。気体供給口400は、携帯電話機1(操作部側筐体2)が取り付け状態にある場合、環形状の内側に配置されなければ、いずれの位置に配置されてもよい。つまり、気体供給口400は、表示部側筐体3における裏面3Bを除く所定位置、又は、操作部側筐体2(可撓部)における第2面2Bを除く所定位置に形成されてよい。
【0030】
ついで、操作部側筐体2について説明する。
図1から図4Bに示すように、操作部側筐体2は、複数の第1部200と、複数の第2部210とを有する。また、操作部側筐体2は、表示部側筐体3側と反対の端部側に配置される係合部310を有する。また、操作部側筐体2は、内部に配置される気体供給部410を有する。
【0031】
操作部側筐体2は、携帯電話機1の長手方向において、交互に配置される複数の第1部200と、複数の第2部210とを有する。
操作部側筐体2は、複数(本実施形態において5つ)の第1部200と、複数の第1部200同士をつなぐと共に、可撓性を有する複数(本実施形態において4つ)の第2部210とを有する。
【0032】
ここで、係合部310が被係合部340に係合した場合、操作部側筐体2は、図5Aに示すように、表示部21が配置された表面3Aと連続する第1面2Aが外面となるよう湾曲して変形される。この状態において、操作部側筐体2(可撓部)は、表示部側筐体3とともに環形状を形成する取り付け状態となる。
【0033】
取り付け状態において、気体供給口400から空気が供給された場合、供給された空気は、後述する気体供給部410を介して、後述する柔軟部270の内部空間271に供給される。そして、柔軟部270は、図5Bに示すように、環形状における内側に突出するように膨張して変形する。これにより、携帯電話機1は、所定の対象物に移動が抑制された状態で取り付けられる(図10及び図11参照)。
【0034】
操作部側筐体2における各構成について説明する。
第1部200は、第1面2A側に配置される操作部250と、第2面2B側に配置される柔軟部270とを備える。操作部250と柔軟部270とは、後述する仕切り部280により仕切られる。
【0035】
図6Aから図7Bに示すように、操作部250は、回路基板70と、回路基板の上面側に積層配置されるキー基板50と、キー基板50の上面に積層配置されるキーシート40と、キーシート40の上面に積層配置され操作部250の外面を構成する操作部側カバー部250aとを備える。
【0036】
回路基板70は、後述する仕切り部280の上面に積層配置される。回路基板70は、不図示の各種電子部品や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、回路基板70には、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。本実施形態において、回路基板70は、複数の絶縁層(絶縁フィルム)の間に配線を挟み込んで形成されるフレキシブルプリント基板により構成される。
【0037】
キー基板50は、回路基板70の上面側に積層配置される。キー基板50は、複数のキースイッチ52を備える。キースイッチ52は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、キー基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して、電気的に導通するように構成される。本実施形態において、キー基板50は、複数の絶縁層(絶縁フィルム)の間に配線を挟み込んで形成されるフレキシブルプリント基板により構成される。
【0038】
キーシート40は、キー基板50の上面に積層配置される。キーシート40は、複数のキースイッチ52を押圧可能な押し子を有し、弾性を有するシリコンゴム等で構成されたシート部材である。
【0039】
操作部側カバー部250aは、キーシート40の上面に積層配置され、操作部250の外面を構成する。操作部側カバー部250aは、所定の剛性を有して構成される。操作部側カバー部250aは、操作部側筐体2を係合状態になるよう湾曲させた状態において、折れ曲がったりしない程度の剛性を有する。
【0040】
図6Aから図7Bに示すように、柔軟部270は、気体を収容可能な内部空間271と、内部空間271に収容された気体量に応じて伸縮可能な柔軟性を有する柔軟性カバー部270aとを備える。柔軟部270は、内部に気体を収容可能に構成されると共に、収容された気体量に応じて突出するよう膨張して変形可能な部分である。
【0041】
柔軟性カバー部270aは、柔軟部270の外形を構成するカバー部材である。柔軟性カバー部270aは、内部空間271に収容された気体量に応じて伸縮可能な柔軟性を有するカバー部材である。柔軟性カバー部270aは、携帯電話機1が振動等で移動しないよう対象物に直接当接して位置決めする部分である。
【0042】
図6Aから図7Bに示すように、内部空間271は、柔軟性カバー部270aと仕切り部280とに囲まれた空間である。
図8に示すように、内部空間271には、気体供給部410が挿通される。
図7A及び図7Bに示すように、内部空間271には、気体供給部410に形成された開口410aを通じて、気体供給口400からの空気が供給される。内部空間271に収容された空気(気体)量に応じて、柔軟部270の変形度合い(突出度合い)が調整される。
【0043】
また、内部空間271に収容された空気は、放出口430から放出される。内部空間271に収容された空気は、気体供給部410を介して、導気管440が配置される内部空間271に移動される。そして、該内部空間271に移動された空気は、導気管440を介して、放出口430から外部に放出される。これにより、内部空間271に収容される空気量が少なくなり、柔軟部270は、突出量が減少するよう変形する。
【0044】
第2部210は、後述する仕切り部280と、回路基板70(フレキシブルプリント基板)と、キー基板50(フレキシブルプリント基板)と、キーシート40とが積層配置された部分である。第2部210は、可撓性を有する変形可能な部分である。第2部210は、折れ曲がるように変形可能な部分である。携帯電話機1の長手方向において、第2部210が第1部200と交互に配置されることで、操作部側筐体2は、湾曲するように変形可能となっている。
【0045】
図6Aから図7Bに示すように、仕切り部280は、操作部250と柔軟部270との間に配置されると共に、第1部200と第2部210とにわたって配置される可撓性の部材である。
仕切り部280は、複数の操作部250と、複数の柔軟部270とを操作部側筐体2における厚さ方向に仕切るシート状の部材である。言い換えると、仕切り部280における一方の面側に複数の操作部250を配置し、他方の面側に複数の柔軟部270を配置することで、携帯電話機1が形成される。
【0046】
図8に示すように、係合部310は、操作部側筐体2における表示部側筐体3側と反対側の端部に配置される。係合部310は、被係合部340に着脱可能に係合される。係合部310は、操作部側筐体2が湾曲状に変形された状態において、被係合部340に係合される。
【0047】
係合部310は、柔軟部270の内部空間271に収容された空気(気体)を外部に放出可能な放出口430を有する。放出口430には、携帯電話機1の長手方向における端部に配置される内部空間271に挿通する導気管440が接続される。放出口430は、上述の通り、気体供給部410を介して導気管440が配置される内部空間271に移動された空気を外部に放出する。
【0048】
放出口430は、係合部310が被係合部340に係合した状態において、封止部347に密閉されると共に、係合部310が被係合部340に係合していない状態において、封止部347により密閉されない。
つまり、本実施形態において、操作部側筐体2が湾曲状に変形して係合部310が被係合部340に係合した状態において放出口430が密閉され、気体供給口400から供給された空気が内部空間271に溜まる。
また、本実施形態において、係合部310が被係合部340から取り外された状態において放出口430が開放され、気体供給口400から供給された空気が内部空間271に溜まらず、また、内部空間271に溜まっていた空気が放出口430を介して外部に放出される。
【0049】
ここで、放出口430は、係合部310が被係合部340に係合されていない状態であっても内部空間271に空気(気体)が溜まる(放出しない)ように構成されてもよい。例えば、携帯電話機1は、放出口430に着脱可能な封止部が予め装着された構成にしてもよい。
【0050】
図8に示すように、気体供給部410は、操作部側筐体2の内部に配置される。気体供給部410は、一端側が気体供給口400に接続される。気体供給部410は、気体供給口400から供給された空気を複数の柔軟部270それぞれの内部空間271に供給可能に構成される。
気体供給部410は、複数の内部空間271の内部に挿通して配置される。気体供給部410は、複数の内部空間271それぞれに対応して形成された開口410aを介して、気体供給口400から供給された空気を複数の内部空間271それぞれに供給する。
【0051】
ここで、図4A及び図5Bに示すように、柔軟部270は、上述の通り、内部空間271に供給された気体によって膨らむように変形可能な部分である。
図5Bに示すように、係合部310が被係合部340に係合した状態において、柔軟部270は、環形状の内側に配置される。そして、この状態において、気体供給口400から空気が供給されることで、柔軟部270は、環形状の内側に突出するように膨張変形する。これにより、環形状における内径は変化する(内径が小さくなる)。また、柔軟部270は、柔軟性を有するので、対象物の形状に沿って変形する。これにより、携帯電話機1は、対象物の形状に対応してしっかりと取り付けられる。
また、柔軟部270は、内径調整だけでなく、振動や衝撃を吸収するショックアブソーバとしても機能する。
【0052】
続けて、図9Aから図9Cにより、携帯電話機1を棒部材Sに取り付ける動作について説明する。図9Aは、携帯電話機を棒部材に取り付ける動作を説明する図である。図9Bは、帯電話機を棒部材に取り付ける動作を説明する図である。図9Cは、携帯電話機を棒部材に取り付ける動作を説明する図である。
【0053】
まず、図9Aに示すように、ユーザは、表示部側筐体3の裏面3Bが棒部材Sに当接するよう携帯電話機1を保持する。
【0054】
次いで、図9Bに示すように、ユーザは、操作部側筐体2の端部を矢印F1方向に移動させ、操作部側筐体2を第1面2Aが外面となるよう湾曲させる。ユーザは、操作部側筐体2を棒部材Sに巻きつくように変形させる。
【0055】
続けて、ユーザは、操作部側筐体2を表示部側筐体3とともに環形状を形成するよう変形させた状態において、係合部310を被係合部340に係合させる。具体的には、ユーザは、係合操作部330、330を矢印F2方向に移動させて、被係合部340における固定部材341、341を互いに離間するように移動させる。これにより、挿入部343が広くなる。そして、ユーザは、係合部310を矢印F3方向に移動させて挿入部343に挿通させることで、係合部310を被係合部340に係合させる。
【0056】
続けて、ユーザは、不図示の空気入れ(AP)により、気体供給口400から柔軟部270の内部空間271に空気を供給する。
内部空間271へ空気の供給を続けることで、図9Cに示すように、環形状の内側に配置された柔軟部270は、内側に突出するように膨張変形する。これにより、環形状の内径が調整される。
そして、内部空間271に空気を収容した所定の柔軟部270は、棒部材Sの表面に沿って変形しながら棒部材Sを押圧するように当接する。これにより、携帯電話機1は、対象物としての棒部材Sにしっかりと取り付けられる。この状態において、携帯電話機1は、棒部材Sに該棒部材Sからの振動等が柔軟部270に吸収される状態で取り付けられる。
【0057】
続けて、図10及び図11により、携帯電話機1における取り付け状態を例示する。
図10は、携帯電話機1における取り付け状態の一例を示す図である。図11は、携帯電話機1における取り付け状態の一例を示す図である。
【0058】
図10に示すように、携帯電話機1は、自転車を構成する所定の棒部材に取り付け可能である。例えば、携帯電話機1は、ハンドルに取り付け可能である。
【0059】
携帯電話機1が自転車を構成する所定の棒部材に取り付けられた場合において、気体供給口400は、自転車に備えつけられた空気入れが接続可能な形態(形状、規格)であることが好ましい。
【0060】
また、自転車がタイヤに自動給気をする自動給気機能を有する場合、携帯電話機1は、この自動給気機能を利用して、気体供給口400から気体を供給できるように構成されてもよい。
【0061】
また、携帯電話機1が自転車を構成する所定の棒部材に取り付けられた場合において、内部に空気を収容した柔軟部270が棒部材(例えば、ハンドル)から伝わる振動を吸収する。これにより、携帯電話機1は、棒部材からの振動が内部部品等に伝わることを抑制可能に構成される。
【0062】
図11に示すように、携帯電話機1は、リュックサック等の肩掛けベルトに取り付け可能である。携帯電話機1は、上述の円筒状の棒状部材だけでなく、平たいベルト状の部材にも取り付け可能である。
【0063】
また、紐やゴム部材等で固定した場合には、肩掛けベルトが変形することで緩んでしまったりするが、本実施形態によれば、柔軟部270が対象物である肩掛けベルトの変形に対応して変形すると共、押圧状態を維持するので、携帯電話機1は、好適に取り付け状態が維持される。
【0064】
本実施形態によれば、携帯電話機1は、異なる径である様々な対象物に取り付け可能である。
【0065】
また、本実施形態によれば、携帯電話機1は、柔軟部270が対象物の形状に沿って柔軟に変形可能である、これにより、携帯電話機1は、様々な形状である対象物に取り付け可能である。また、携帯電話機1は、変形しやすい対象物に好適に取り付け可能である。
【0066】
また、本実施形態によれば、携帯電話機1は、対象物に対して内部に空気を収容した柔軟部270を当接させる。これにより、携帯電話機1は、対象物に過剰な負荷をかけることなく取り付け状態を維持可能である。
【0067】
また、本実施形態によれば、携帯電話機1は、対象物に対して内部に空気を収容した柔軟部270が当接させる。これにより、携帯電話機1は、対象物(例えば、自転車)から伝達される振動を吸収して内部部品等に伝達されることを抑制できる。また、携帯電話機1は、該携帯電話機1から生じる振動等が対象物に伝達されることを抑制できる。
【0068】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、電子機器として携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0069】
また、本実施形態において、操作部250に収容される回路基板70は、フレキシブルプリント基板により構成されるが、これに限定されない。例えば、回路基板70は、操作部250(第1部200)に含まれる部分は剛性の高いリジット基板とし、第2部210に含まれる部分はフレキシブルプリント基板や配線としてもよい。
【0070】
また、被係合部340は、係合操作部330による操作をすることなく、係合部310が係合される構成としてもよい。例えば、挿入部343に係合部310を押し込むように移動させることで、固定部材341が係合部310に押されて幅方向外側に移動するように構成してもよい。
【0071】
また、一部上述したが、係合部310が被係合部340に係合された状態になった場合、携帯電話機1は、入力操作の検知を操作部250のキースイッチ52から表示部21に配置されたタッチパネル部121に切り替えるようにしてもよい。
この場合、携帯電話機1は、係合部310が被係合部340に係合したことを検知する係合検知部と、表示部21の表面に入力された操作を検知可能なタッチパネル部121と、キースイッチ52からの入力とタッチパネル部121からの入力を受け付ける入力受付部と、入力受付部において、キースイッチ52からの入力とタッチパネル部121からの入力とのいずれを受け付けるかを決める入力切り替え部と、を備え、係合検知部により係合部が被係合部に係合したことが検知された場合、入力切り替え部は、入力受付部においてタッチパネル部121からの入力を受け付けさせる。
つまり、図9Aに示す状態において、携帯電話機1は、操作部250(キースイッチ52)からの入力を(優先的に)受け付ける。そして、図9B(図9C)に示す状態において、携帯電話機1は、タッチパネル部121からの入力を(優先的に)受け付ける。
【0072】
また、係合部310が被係合部340に係合された状態になった場合、携帯電話機1は、表示部21に所定の機能(アプリケーション)を選択可能な選択メニュー画面を表示させるようにしてもよい。
この場合、携帯電話機1は、表示部21に選択可能な複数の機能を表示させる表示制御部と、を備え、係合検知部により係合部310が被係合部340に係合したことが検知された場合、表示制御部は、選択可能な複数の機能のうち、所定の1又は複数の機能を表示させる。
選択メニュー画面に表示される所定の機能は、例えば、自転車等に取り付けられることを想定して選択されてもよい。
選択メニュー画面に表示される所定の機能(アプリケーション)として、例えば、GPS機能、TV機能、カロリーメータ機能や地図機能のほか、高度、気圧や天気予報等の情報を知らせる機能等が例示される。
【0073】
また、携帯電話機1は、移動状態を検知して、歩行している状態(モード)か、自転車で移動している状態(モード)か等を判定し、各状態(モード)に適した機能(アプリケーション)を表示部21に表示させるように構成されてもよい。
この場合、携帯電話機1は、加速度センサと、複数のモードそれぞれにおいて選択可能な1又は複数の機能を記憶する記憶部と、係合検知部により係合部が被係合部に係合したことが検知された場合、加速度センサの出力に応じて所定のモードを選択するモード選択部と、を備え、表示制御部は、モード選択部により選択されたモードに対応して記憶部に記憶される1又は複数の機能を表示部21に表示させる。
【符号の説明】
【0074】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体(可撓部)
2A 第1面
2B 第2面
3 表示部側筐体
3A 表面
3B 裏面
21 表示部
200 第1部
210 第2部
270 柔軟部
271 内部空間
310 係合部
340 被係合部
400 気体供給口
410 気体供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に表示部が配置される表示部側筐体と、
前記表示部側筐体に形成される被係合部と、
前記表示部側筐体に連結され、湾曲して変形可能な可撓部と、
前記可撓部における、前記表示部側筐体と連結される側とは反対側の端部に配置され、前記被係合部に係合する係合部と、
前記可撓部の内部に気体を供給するための気体供給口と、
を備え、
前記可撓部は、前記係合部と前記被係合部とが係合することによって、前記表示部側筐体と環形状を形成した状態で、前記気体供給口を介して供給される気体によって膨張することにより、前記環形状の内径を小さくする
電子機器。
【請求項2】
前記気体供給口は、前記表示部側筐体と前記可撓部とが環形状を形成する場合における、当該環形状の内側面以外の場所に形成される
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記可撓部は、前記気体供給口を介して気体が供給されることで、前記環形状における内側に突出するように膨張変形する柔軟部を有する
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記係合部は、前記柔軟部に収容された気体を外部に放出する放出口を有し、
前記被係合部は、前記係合部に係合された状態において前記放出口を密閉すると共に、前記係合部に係合されていない状態において前記放出口を密閉せず気体を放出可能な状態にする封止部を有する
請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記可撓部は、前記柔軟部が複数連結して形成されることにより湾曲変形可能となる
請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記可撓部は、前記内側面とは反対側の外側面に操作部を備え、
前記操作部は、
回路基板と、
前記回路基板に積層配置されキースイッチを有するキー基板と、
前記キー基板に積層配置されるキーシート部材と、を有する
請求項3又は5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記係合部が前記被係合部に係合したことを検知する係合検知部と、
前記表示部の表面に入力された操作を検知可能なタッチパネル部と、
前記キースイッチからの入力と前記タッチパネル部からの入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部において、前記キースイッチからの入力と前記タッチパネル部からの入力とのいずれを受け付けるかを決める入力切り替え部と、を備え、
前記係合検知部により前記係合部が前記被係合部に係合したことが検知された場合、前記入力切り替え部は、前記入力受付部において前記タッチパネル部からの入力を受け付けさせる
請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記表示部に選択可能な複数の機能を表示させる表示制御部と、を備え、
前記係合検知部により前記係合部が前記被係合部に係合したことが検知された場合、前記表示制御部は、前記選択可能な複数の機能のうち、前記タッチパネルの操作に関連した機能を表示させる
請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
加速度センサと、
複数のモードそれぞれにおいて選択可能な1又は複数の機能を記憶する記憶部と、
前記係合検知部により前記係合部が前記被係合部に係合したことが検知された場合、前記加速度センサの出力に応じて所定のモードを選択するモード選択部と、を備え、
前記表示制御部は、前記モード選択部により選択されたモードに対応して前記記憶部に記憶される前記1又は複数の機能を前記表示部に表示させる
請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記被係合部は、前記係合部が係合している状態から係合が外れた状態へとなる場合、
前記気体供給口および前記被係合部の少なくとも一方は、前記柔軟部に供給されていた気体を放出する
請求項1から9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
内部に電子部品を有する筐体部と、
前記筐体部に連結され、可撓性を有する可撓部と、
を備え、
前記可撓部は、変形によって前記筐体部と共に環形状を形成することが可能であり、前記筐体部と共に環形状を形成している場合、空気が供給されることにより前記環形状の内径を小さくすることが可能である
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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