説明

電子機器

【課題】非稼働状態にある時においてノイズの発生を抑えるための制御や省電力化を図るための制御を可能にする。
【解決手段】スピーカを有する電子機器において、音声信号を出力する外部機器を接続するための端子と、前記外部機器を接続するための接続部材が前記端子に接続あるいは切断されたことを検出する検出手段と、前記電子機器が稼働状態にある時に音声データを処理するデジタル回路と、前記電子機器が非稼働状態にある時に前記端子を介して入力された音声信号を増幅して前記スピーカに出力するアンプ機能を含むアナログ回路とが設けられたオーディオコーデックと、電源供給する電源回路と、前記稼働状態あるいは前記非稼働状態の何れにあるか、及び前記端子に前記接続部材が接続されているか否かに基づいて、前記電源回路から前記アナログ回路への電源供給を制御する制御手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スピーカを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スピーカを有するパーソナルコンピュータ等の電子機器においては、音声出力機能における音量変更や消音設定については、オーディオ制御用のプログラムを通じて、オーディオコーデックを制御することにより行われている。オーディオコーデックが省電力モードを有している場合には、使用状況に応じたモード制御により、オーディオコーデックを省電力モードに移行させて消費電力の低下を図ることができる。
【0003】
従来では、オーディオコーデックを省電力モードにした場合、電源供給の切り替えに伴って音声ノイズが発生する場合があった。そこで、従来技術においては、待機状態のように、明らかに音声出力を必要としない場合には、待機状態への移行時に音声増幅装置を消音状態に設定した後、音声増幅装置が通電されたままで省電力状態へと移行させることで、音声ノイズの発生を抑えると共に省電力を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−340282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来技術では、消音の設定が有効とされている場合、電子機器が稼働状態にある時に消音状態に移行させた後、省電力状態に移行させていた。すなわち、従来では、電子機器が非稼働状態にある時の、音声出力機能に対する音声ノイズの発生を抑えるための制御や、省電力化を図るための制御については考慮されていない。
【0006】
発明の目的は、非稼働状態にある時においてノイズの発生を抑えるための制御や省電力化を図るための制御を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、実施形態によれば、スピーカを有する電子機器において、音声信号を出力する外部機器を接続するための端子と、前記外部機器を接続するための接続部材が前記端子に接続あるいは切断されたことを検出する検出手段と、前記電子機器が稼働状態にある時に音声データを処理するデジタル回路と、前記電子機器が非稼働状態にある時に前記端子を介して入力された音声信号を増幅して前記スピーカに出力するアンプ機能を含むアナログ回路とが設けられたオーディオコーデックと、電源供給する電源回路と、前記稼働状態あるいは前記非稼働状態の何れにあるか、及び前記端子に前記接続部材が接続されているか否かに基づいて、前記電源回路から前記アナログ回路への電源供給を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態における電子機器の構成を示す外観図。
【図2】本実施形態におけるパーソナルコンピュータのシステム構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるオーディオコーデックの周辺構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態におけるオーディオコーデックの内部構成と電源供給例を示す図。
【図5】本実施形態におけるシステムステートS0からS3へ移行した後に、ラインイン端子に対してプラグを挿抜したときの動作を示す図。
【図6】本実施形態におけるラインイン端子にプラグが挿入されたままでシステムステートS0からS3/S4/S5へ移行する際の動作について示す図。
【図7】本実施形態におけるラインイン端子からプラグが抜かれた後に、システムステートS3/S4/S5からS0へ移行する際の動作について示す図。
【図8】本実施形態におけるラインイン端子にプラグが挿入されたまま、システムステートS3/S4/S5からS0へ移行する際の動作について示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
図1は、本実施形態における電子機器の構成を示す外観図である。この電子機器は、例えば、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10として実現されている。本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10は、非稼働状態の時に、ラインアウト付き外部機器(例えば、携帯型のオーディオプレーヤ25)から出力されたアナログ音声信号を入力して、筐体に実装されたスピーカ18から出力させる音声出力機能(スリープアンドミュージック機能)を有している。
【0010】
オーディオプレーヤ25からの出力を直接スピーカに接続した場合、オーディオプレーヤ25の出力がスピーカの能力に比べて小さいため、十分な音量の音声を出力することができない。本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10に設けられた音声出力機能は、パーソナルコンピュータ10が非稼働状態にある場合でも、内蔵された音声信号増幅のためのアナログ回路(アンプ)に電源を供給して、オーディオプレーヤ25からの音声信号を増幅してスピーカ18から出力させることができる。
【0011】
なお、パーソナルコンピュータ10の非稼働状態とは、例えば電源オフ状態(シャットダウン)(システムステートS5)の他、スタンバイ/スリープ/サスペンド(システムステートS3)、ハイバネーション(休止状態)(システムステートS4)と称される状態を含むものとする。すなわち、非稼働状態は、プロセッサ(CPU30)が動作していない状態である。なお、電源オン状態は、システムステートS0である。
【0012】
図1は、パーソナルコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。パーソナルコンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれており、そのLCD17の表示画面はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
【0013】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対して開放位置と閉塞位置との間を、ヒンジ機構21により回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は、バッテリが取り外し自在に挿入可能な薄い箱形の筐体を有している。
【0014】
コンピュータ本体11の上面には、キーボード13、パワーオン/オフするためのパワーボタンスイッチ14、汎用ハードウェアボタン15、タッチパッド16、スピーカ18などが配置されている。
【0015】
コンピュータ本体11の側面には、オーディオプレーヤ25から出力されたアナログ音声信号を入力するためのラインイン端子19(ジャック)が設けられている。ラインイン端子19には、オーディオプレーヤ25のラインアウト端子と接続されたケーブル26を、プラグ27により接続することができる。
【0016】
次に、図2を参照して、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10のシステム構成について説明する。
【0017】
パーソナルコンピュータ10は、図2に示すように、CPU30、MCH31(ノースブリッジ)、メインメモリ32、表示コントローラ35、ICH40(サウスブリッジ)、ハードディスクドライブ(HDD)41、BIOS−ROM42、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)45、電源回路46等を備えている。
【0018】
CPU30は、パーソナルコンピュータ10の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、HDD41からメインメモリ32にロードされる、オペレーティングシステム(OS)、各種ハードウェアを制御するドライバ、および各種アプリケーションプログラム等を実行する。さらに、CPU30は、BIOS−ROM42に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)も実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0019】
MCH31は、CPU30のローカルバスとICH40との間を接続するブリッジデバイスである。MCH31には、メインメモリ32をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。
【0020】
表示コントローラ35は、パーソナルコンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する。表示コントローラ35は、MCH31を介してCPU30から送信される描画要求に基づいてビデオメモリ(VRAM)にフレーム群を描画するための表示処理(グラフィクス演算処理)を実行する。
【0021】
ICH40は、HDD41および光ディスクドライブ(図示せず)を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラやSerial ATAコントローラを内蔵している。
【0022】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)45は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13、タッチパッド16、及び汎用ハードウェアボタン18を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
【0023】
EC/KBC45は、ユーザによるパワーボタンスイッチ14の操作に応じて電源回路46を制御し、パーソナルコンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。パーソナルコンピュータ10のパワーオン/パワーオフの制御は、EC/KBC45と電源回路46との共同動作によって実行される。また、EC/KBC45は、パーソナルコンピュータ10が非稼働状態(電源オフ状態)の場合を含む何れのシステムステートにある場合でも電源回路46から電源供給されるモジュールであり、パーソナルコンピュータ10が非稼働時に使用される音声出力機能(スリープアンドミュージック機能)を制御するためのコントローラとして使用される。なお、EC/KBC45の他に電源オフ状態において動作可能なコントローラが実装されていれば、このコントローラによって音声出力機能を制御するようにしても良い。
【0024】
電源回路46は、コンピュータ本体11に挿入されたバッテリ47、またはACアダプタ48を介して接続された外部電源から電源供給を受けて、各コンポーネントへの動作電源を生成して供給する。電源回路46には、電源マイコンが設けられている。電源マイコンは、各コンポーネントとバッテリに対する電源供給(充放電)や、バッテリの充電状態を監視する。
【0025】
電源回路46は、EC/KBC45による、パーソナルコンピュータ10のシステムステートに応じた制御によって、各モジュールへの電源供給のオン/オフを制御する。本実施形態における電源回路46は、パーソナルコンピュータ10が非稼働時(システムステートS3,S4,S5)において、音声出力機能(スリープアンドミュージック機能)を動作させるために、音声出力機能に関係する各モジュールに電源供給するための電源系が設けられている。この電源系により、パーソナルコンピュータ10が非稼働状態においても、アナログ音声信号を処理するオーディオコーデック50に対して電源供給される。
【0026】
オーディオコーデック50は、ICH40を通じて入力されるデジタルオーディオデータをアナログ音声信号に変換すると共に、OSやデバイスドライバ、音声再生プログラム等の制御による音量あるいは音質(音響効果)等の調整をしてスピーカ18に出力する。また、オーディオコーデック50は、パーソナルコンピュータ10が稼働状態にある場合には、同様にして、ラインイン端子19を介して入力されたオーディオプレーヤ25からのアナログ音声信号の音量調整等の信号処理をしてスピーカ18に出力する。また、オーディオコーデック50は、パーソナルコンピュータ10が非稼働状態にあり、音声出力機能が動作される場合には、ラインイン端子19を介して入力されたアナログ音声信号をアンプ機能により増幅してスピーカ18に出力する。なお、オーディオコーデック50は、音声出力を停止させるミュートモジュールが設けられている。ミュートモジュールは、EC/KBC45からのミュート信号(「SNDMUT#」信号)により制御される。なお、オーディオコーデック50の詳細な構成については、図3及び図4を用いて説明する。
【0027】
スイッチ52(あるいはセンサ)は、ラインイン端子19に内蔵されている。スイッチ52は、ラインイン端子19にケーブル26を接続するためのプラグ27(接続部材)の挿入によってオン/オフが切り替えられ、オン/オフの状態に応じた検出信号(「LINSE」信号)をEC/KBC45に出力する。
【0028】
電源切り替えスイッチ53は、EC/KBC45からの電源制御信号(「AMPON」信号)に応じて、電源回路46からオーディオコーデック50への電源供給のオン/オフを切り替える。
【0029】
図3は、本実施形態におけるオーディオコーデック50の周辺構成を示すブロック図である。
図3に示すように、オーディオコーデック50は、ラインイン端子19と接続され、ラインイン端子19にプラグ27が挿入(接続)されることにより、オーディオプレーヤ25から出力された音声信号を入力する。オーディオコーデック50には、ポートA,Bが設けられている。ポートAは、オーディオコーデック50を構成するアナログ回路50A(後述する)に音声信号を入力ためのポートである。ポートBは、オーディオコーデック50を構成するデジタル回路50B(後述する)に音声信号を入力ためのポートである。なお、図3では、ステレオ音声信号(RL)を入力するための2本の信号線を示している。なお、ラインイン端子19と接続された信号線とは別の信号線を介して、音声信号を入力することもできる。
【0030】
ラインイン端子19から出力される「LINSE」信号は、EC/KBC45とオーディオコーデック50に入力される。電源切り替えスイッチ53は、オーディオコーデック50のアナログ回路への電源供給(「Codec AVDD」)をオン/オフするためのスイッチ53Aと、オーディオコーデック50の共通回路部50Cへの電源供給(「Codec PVDD、Codec AVDD」)をオン/オフするためのスイッチ53Bを含んでいる。EC/KBC45は、「AMPON」信号により、スイッチ53A,53Bの切り替えを制御する。
【0031】
図4は、本実施形態におけるオーディオコーデック50の内部構成と電源供給例を示す図である。
オーディオコーデック50は、アナログ回路50A、デジタル回路50B、及び共通回路50Cとに分かれている。アナログ回路50Aに供給される電源を「Codec AVDD」、デジタル回路50Bに供給される電源を「Codec DVDD」、共通回路50Cに供給される電源を「Codec PVDD」とに分けている。パーソナルコンピュータ10が非稼働状態となった場合、デジタル回路50Bへの電源「Codec DVDD」の供給はオフされる。パーソナルコンピュータ10が非稼働状態となり、音声出力機能が動作される場合には、EC/KBC45の制御によりアナログ回路50Aと共通回路部50Cに対して、それぞれ電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」が供給される。
【0032】
アナログ回路50Aは、主にパーソナルコンピュータ10に接続されたオーディオプレーヤ25等の外部機器からのアナログ音声信号を処理する回路である。また、アナログ回路50Aは、デジタル回路50Bにより処理されてDA変換されたアナログ音声信号を回路50A2を介して入力して処理する。アナログ回路50Aは、アンプ機能を有しており、アナログ回路50Aに直接入力された音声信号、あるいはアナログ回路50Aに直接入力された音声信号とデジタル回路50Bによる処理された音声信号とが回路50A2により混合された音声信号を増幅して、スピーカ18から音声を出力させることができる。また、アナログ回路50Aには、ミュートモジュール50A3が設けられている。ミュートモジュール50A3は、EC/KBC45からの「SNDMUT#」信号により制御され、スピーカ18への音声信号の出力を停止させることができる。
【0033】
デジタル回路50Bは、主にICH40を介して入力されたCPU30(音声処理プログラム等に基づく)の処理により生成された音声データや、外部機器から入力された音声信号がAD変換されて生成された音声データを処理する回路である。デジタル回路50Bは、システムステートS0の状態の時(稼働状態)に、パーソナルコンピュータ10内部で発生する様々な音声をミキシングしたり、エコーなどサウンドエフェクトのコントロールを行う。デジタル回路50Bにより処理された音声データは、DA変換されてアナログ回路50Aに出力される。
【0034】
共通回路50Cは、主に電源管理などの処理を行う回路である。共通回路部50Cは、アナログ回路50Aとデジタル回路50Bの少なくとも何れか一方において処理を実行する場合に動作する。
【0035】
音声出力機能(スリープアンドミュージック機能)を動作させる場合には、ラインイン端子19から入力されたオーディオプレーヤ25からの音声信号を、直接、オーディオコーデック50のアナログ回路50Aに入力させる。デジタル回路50Bは、音声処理プログラム等を実行するCPU30の制御のもとで処理を実行するため、パーソナルコンピュータ10が非稼働状態にある時(システムステートS3/S4/S5)では動作しない。一方、アナログ回路50Aは、CPU30による制御の必要が無く、動作に必要な電源(「Codec AVDD」)が供給されることにより、ラインイン端子19を介して直接入力された音声信号を増幅し、スピーカ18から音声を出力させることができる。
【0036】
本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10は、非稼働状態にある時、すなわち電源オフ状態(シャットダウン)(システムステートS5)、スタンバイ/スリープ/サスペンド(システムステートS3)、ハイバネーション(休止状態)(システムステートS4)の時に、ラインイン端子19にプラグ27が挿入されたことを検出した場合に、オーディオコーデック50のアナログ回路50Aに電源を供給することにより音声出力機能(スリープアンドミュージック機能)を動作させる。EC/KBC45は、パーソナルコンピュータ10が非稼働状態にある場合であっても常時電源供給されているため、ラインイン端子19に対してプラグ27が挿抜されたことを通知するための「LINSE」信号を常時監視している。EC/KBC45は、「LINSE」信号に応じてオーディオコーデック50の機能や電源供給を決められた手順で制御することにより、システムステートの切り替え時やプラグ27の挿抜時に発生するノイズの出力を抑えることができる。
【0037】
次に、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10の動作について説明する。
まず、システムステートS0からS3へ移行した後に、ラインイン端子19に対してプラグ27を挿抜したときの動作について、図5を参照しながら説明する。なお、図5(A)〜(H)は以下を示している。
【0038】
「Event」は、ラインイン端子19(ジャック)へのプラグ27の挿抜(接続、切断)のタイミングを示している。
【0039】
「HD Audio Reset」は、パーソナルコンピュータ10のオーディオ回路(オーディオコーデック50)にリセットがかかっている状態を示す信号である。
【0040】
「SLP_S3#」は、パーソナルコンピュータ10が、システムステートS3もしくはS4、S5であることをEC/KBC45に通知するための信号である。「SLP_S3#」は、CPU30が設定する。「SLP_S3#」は、例えばシステムステートS3/S4/S5状態で「0」(有効)に、システムステートS0で「1」に設定される。
【0041】
「Codec AVDD」は、オーディオコーデック50のアナログ回路50Aに供給される電源を示し、「Codec PVDD」は、共通回路部50Cに供給される電源を示し、「Codec DVDD」は、デジタル回路50Bに供給される電源を示している。システムステートS0の状態では、「Codec AVDD」「Codec PVDD」「Codec DVDD」の全ての電源をオンになる。システムステートS3/S4/S5の状態では、スリープアンドミュージック機能が動作していないときには全ての電源がオフになる。システムステートS3/S4/S5の状態において、スリープアンドミュージック機能が動作しているときには、アナログ回路50Aと共通回路部50Cへの電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」がオンとなり、オーディオコーデック50(アナログ回路50A)のアンプ機能をスピーカアンプとして動作可能にする。
【0042】
「LINSE」は、ラインイン端子19にプラグ27が挿入されているか否かを示す信号である。「LINSE」は、例えばラインイン端子19にプラグ27が挿入されている(接続)場合に「1」、挿入されていない(切断)場合に「0」となる。「LINSE」は、オーディオコーデック50とEC/KBC45の両方に通知される。システムステートS3/S4/S5の状態にある時には、EC/KBC45が「LINSE」の監視を行う。
【0043】
「AMPON」は、オーディオコーデック50のアナログ回路50Aに供給する電源「Codec AVDD」と、共通回路部50Cに供給する電源「Codec PVDD」のオン/オフを、システムステートS3/S4/S5中にEC/KBC45が制御する信号である。EC/KBC45は、「AMPON」信号を「1」にすることにより電源供給をオンし、「0」にすることにより電源供給をオフするように、電源切り替えスイッチ53(スイッチ53A,53B)を切り替える。
【0044】
「SNDMUT#」は、オーディオコーデック50(アナログ回路50A)によるミュート(有効/無効)を、EC/KBC45により制御するための信号である。EC/KBC45は、「SNDMUT#」信号を「0」にすることによりミュートを有効にしてスピーカ18から音が出力されないようにし、「SNDMUT#」信号を「1」にすることによりミュートを無効(解除)する。
【0045】
「Mode」は、オーディオコーデック50の動作モードを示しており、稼働状態(電源オン時(S0))時の通常の動作モード「Codec」、非稼働状態において音声出力機能が動作される場合にラインイン端子19から入力された音声信号を出力する動作モード「Line in」がある。
【0046】
パーソナルコンピュータ10は、システムステートS0からS3/S4/S5へ移行する際に、オーディオコーデック50の電源オフ時に発生するノイズによる音がスピーカ18から出力されないようにするために、オーディオコーデック50(アナログ回路50A)にミュートをかけた後に電源をオフにする。すなわち、EC/KBC45は、「SLP_S3#」信号が「1」から「0」に変化したタイミングT1において「SNDMUT#」信号を「0」(有効)にした後、タイミングT2において「AMPON」信号により電源切り替えスイッチ53を切り替えて、アナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」の供給をオフする。なお、デジタル回路50Bに対する電源「Codec DVDD」は、EC/KBC45の制御によらず、システムステートS0からS3/S4/S5へ移行することにより供給がオフされる。
【0047】
この状態において、EC/KBC45は、「LINSE」信号により、ラインイン端子19にプラグ27が挿入(接続)されたことを検出すると(タイミングT3)、音声出力機能を動作させるために、タイミングT4において「AMPON」信号により電源切り替えスイッチ53を切り替えてオーディオコーデック50のアナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」の供給をオンする。なお、音声出力機能を動作させる場合、デジタル回路50Bには電源供給されないため、その分の省電力化を図ることができる。
【0048】
EC/KBC45は、アナログ回路50Aと共通回路部50Cへの電源供給をオンした後、十分な時間が経過してから、タイミングT5において「SNDMUT#」信号を「1」にすることによりミュートを解除する。タイミングT4〜T5の時間は、最低0.5秒程度の時間があれば十分とされるが、システムによってその値は異なる。
【0049】
こうして、アナログ回路50Aと共通回路部50Cへの電源供給がオンされた後、十分な時間が経過した後に、オーディオコーデック50のミュートが解除されるため、電源の切り替えに伴うノイズによる音がスピーカ18から出力されない。
【0050】
音声出力機能の動作中に、EC/KBC45は、「LINSE」信号により、ラインイン端子19からプラグ27が抜かれたことを検出すると(タイミングT6)、直ちに(タイミングT7)、「SNDMUT#」信号を「0」にすることによりオーディオコーデック50に対してミュートを有効にする。ラインイン端子19からプラグ27が抜かれた場合には、金属部分の接触によりノイズが発生するが、EC/KBC45によりラインイン端子19からプラグ27が抜かれたことが検出されると直ちにミュートを有効にすることにより、ノイズの出力を低減することができる。
【0051】
その後、EC/KBC45は、タイミングT8において「AMPON」信号を「0」にすることにより電源切り替えスイッチ53を切り替えて、アナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」の供給をオフする。これにより、音声出力機能の動作が停止され、オーディオコーデック50による電力消費がなくなるので、省電力化を図ることができる。
【0052】
次に、ラインイン端子19にプラグ27が挿入されたままで、システムステートS0からS3/S4/S5へ移行する際の動作について、図6を参照しながら説明する。
【0053】
EC/KBC45は、システムステートS0からS3/S4/S5へ移行した後、すなわち「SLP_S3#」信号が「1」から「0」に変化した後にも、「LINSE」信号によりラインイン端子19にプラグ27が挿入されていることを検出し続けている。従って、EC/KBC45は、「AMPON」信号を「1」のままとして、オーディオコーデック50のアナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源供給を継続する。すなわち、パーソナルコンピュータ10が非稼働状態に移行するのに合わせて、音声出力機能を動作させる。
【0054】
なお、デジタル回路50Bに対する電源「Codec DVDD」は、EC/KBC45の制御によらず、システムステートS0からS3/S4/S5へ移行することにより供給がオフされる。デジタル回路50Bへの電源供給のオン/オフを切り替える際にノイズが発生する可能性があるために、EC/KBC45は、「SLP_S3#」信号が「1」から「0」に変化したタイミングT1に合わせて「SNDMUT#」信号を「0」にして、オーディオコーデック50(アナログ回路50A)によるミュートを有効にする。そして、EC/KBC45は、「SLP_S3#」信号が「1」から「0」に変化した後、「Codec DVDD」の供給が完全にオフになり、デジタル回路50Bからノイズが出力される恐れが無くなる十分な時間が経過した後、タイミングT2において「SNDMUT#」信号を「1」(無効)にしてミュートを解除する。従って、オーディオコーデック50のアナログ回路50Aは、ラインイン端子19から入力される音声信号を増幅して、スピーカ18から音声を出力させる。
【0055】
音声出力機能の動作中に、EC/KBC45は、「LINSE」信号により、ラインイン端子19からプラグ27が抜かれたことを検出すると(タイミングT3)、直ちに(タイミングT4)、「SNDMUT#」信号を「0」(有効)にすることによりオーディオコーデック50に対してミュートをかける。これにより、ラインイン端子19からプラグ27が抜かれたことにより発生するノイズの出力を低減することができる。
【0056】
その後、EC/KBC45は、タイミングT5において「AMPON」信号を「0」にすることにより電源切り替えスイッチ53を切り替えて、アナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」の供給をオフする。これにより、音声出力機能の動作が停止され、オーディオコーデック50による電力消費がなくなるので、省電力化を図ることができる。
【0057】
次に、ラインイン端子19からプラグ27が抜かれた(切断)された後に、システムステートS3/S4/S5からS0へ移行する際の動作について、図7を参照しながら説明する。
【0058】
EC/KBC45は、音声出力機能が動作されている状態において、「LINSE」信号により、ラインイン端子19からプラグ27が抜かれたことを検出すると(タイミングT1)、直ちに(タイミングT2)、「SNDMUT#」信号を「0」(有効)にすることによりオーディオコーデック50に対してミュートを有効にする。これにより、ラインイン端子19からプラグ27が抜かれたことにより発生するノイズの出力を低減する。
【0059】
その後、EC/KBC45は、タイミングT3において「AMPON」信号を「0」にすることにより電源切り替えスイッチ53を切り替えて、アナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」の供給をオフする。これにより、音声出力機能の動作が停止される。
【0060】
その後、システムステートS3/S4/S5からS0へ移行した場合、すなわち「SLP_S3#」信号が「0」から「1」に変化した場合、EC/KBC45は、「SNDMUT#」信号を「0」(有効)の状態に維持したままで、「AMPON」信号をタイミングT4において「1」にして、アナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」の供給をオンすることで、電源をオンする際に発生するノイズによる音をスピーカ18から出力されないようにする。そして、EC/KBC45は、ノイズが出力される恐れが無くなる十分な時間が経過した後、タイミングT5において「SNDMUT#」信号を「1」(無効)にしてミュートを解除する。EC/KBC45は、システムステートS0における動作に移行して、オーディオコーデック50に対する制御をCPU30に渡す。
【0061】
次に、ラインイン端子19にプラグ27が挿入(接続)されたまま、システムステートS3/S4/S5からS0へ移行する際の動作について、図8を参照しながら説明する。
【0062】
音声出力機能の動作中に、EC/KBC45は、「LINSE」信号により、ラインイン端子19にプラグ27が挿入されたことを検出すると(タイミングT1)、音声出力機能を動作させるために、タイミングT2において「AMPON」信号により電源切り替えスイッチ53を切り替えてオーディオコーデック50のアナログ回路50Aと共通回路部50Cに対する電源「Codec AVDD」「Codec PVDD」の供給をオンする。なお、音声出力機能を動作させる場合、デジタル回路50Bには電源供給されないため、その分の省電力化を図ることができる。
【0063】
EC/KBC45は、オーディオコーデック50への電源供給をオンした後、十分な時間が経過してから、タイミングT3において「SNDMUT#」信号を「1」(無効)にすることによりミュートを解除する。
【0064】
その後、EC/KBC45は、タイミングT4において、「SLP_S3#」信号が「0」から「1」に変化したことを検出すると、タイミングT5において、「SNDMUT#」信号を「0」(有効)にしてミュートを有効にする。そして、デジタル回路50Bに対する電源「Codec DVDD」がオンされてから十分な時間が経過し、ノイズが発生されない状態となってから、タイミングT6において、再び「SNDMUT#」信号を「0」(有効)にしてミュートを解除する。EC/KBC45は、システムステートS0における動作に移行して、オーディオコーデック50に対する制御をCPU30に渡す。
【0065】
このようにして、本実施形態におけるパーソナルコンピュータ10では、非稼働状態(S3/S4/S5)において、EC/KBC45によってラインイン端子19に対するプラグ27の挿抜を監視し、プラグ27が挿入されてオーディオプレーヤ25からの音声信号が入力される状態になった場合に音声出力機能(スリープアンドミュージック機能)を動作させることができる。音声出力機能を動作させるために、EC/KBC45は、オーディオコーデック50の一部の回路(アナログ回路50A、共通回路部50C)に対してのみ電源供給をオンするので省電力化を図ることができる。また、EC/KBC45は、適切な順番とタイミングでオーディオコーデック50に対するミュートの有効/無効の制御及び電源供給のオン/オフ制御を実行することで、ノイズをスピーカ18から出力されるのを最小限に抑えることができる。
【0066】
また、前述した実施形態では、電子機器としてパーソナルコンピュータ10を用いた例を示しているが、その他のスピーカを有し、オーディオプレーヤ25等の外部機器からの音声信号を入力可能な電子機器を用いることも可能である。
【0067】
また、前述した実施形態は、そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の実施形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…パーソナルコンピュータ、11…コンピュータ本体、17…LCD、18…スピーカ、19…ラインイン端子、30…CPU、32…メインメモリ、42…BIOS−ROM、45…EC/KBC、46…電源回路、50…オーディオコーデック、50A…アナログ回路、50B…デジタル回路、50C…共通回路、52…スイッチ、53…電源切り替えスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカを有する電子機器において、
音声信号を出力する外部機器を接続するための端子と、
前記外部機器を接続するための接続部材が前記端子に接続あるいは切断されたことを検出する検出手段と、
前記電子機器が稼働状態にある時に音声データを処理するデジタル回路と、前記電子機器が非稼働状態にある時に前記端子を介して入力された音声信号を増幅して前記スピーカに出力するアンプ機能を含むアナログ回路とが設けられたオーディオコーデックと、
電源供給する電源回路と、
前記稼働状態あるいは前記非稼働状態の何れにあるか、及び前記端子に前記接続部材が接続されているか否かに基づいて、前記電源回路から前記アナログ回路への電源供給を制御する制御手段と
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記オーディオコーデックは、前記音声信号の出力を停止させるミュートモジュールを有し、
前記制御手段は、前記ミュートモジュールを制御することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記電子機器が非稼働状態に移行された場合に、前記ミュートモジュールにより前記音声信号の出力を停止し、
前記非稼働状態において前記検出手段により前記端子に接続部材が接続されたことが検出された場合に、前記アナログ回路への電源供給をオンした後、前記ミュートモジュールによる前記音声信号の出力の停止を解除し、
前記非稼働状態において前記検出手段により前記端子から前記接続部材が切断されたことが検出された場合に、前記ミュートモジュールにより前記音声信号の出力を停止した後、前記アナログ回路への電源供給をオフすることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記検出手段により前記端子に接続部材が接続されたことが検出された場合に、前記アナログ回路への電源供給をオンし、
前記稼働状態から前記非稼働状態に移行された場合に、前記ミュートモジュールにより前記音声信号の出力を停止し、
前記デジタル回路に対する電源供給がオフされる十分な時間が経過した後に、前記ミュートモジュールによる前記音声信号の出力の停止を解除し、
前記非稼働状態において前記検出手段により前記端子から前記接続部材が切断されたことが検出された場合に、前記ミュートモジュールにより前記音声信号の出力を停止した後、前記アナログ回路への電源供給をオフすることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記電子機器が前記非稼働状態にある時に前記検出手段により前記端子から前記接続部材が切断されたことが検出された場合に、前記ミュートモジュールにより前記音声信号の出力を停止した後、前記アナログ回路への電源供給をオフし、
前記非稼働状態から前記稼働状態に移行された場合に、前記アナログ回路への電源供給をオンした後、前記ミュートモジュールによる前記音声信号の出力の停止を解除することを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記電子機器が前記非稼働状態にある時に前記検出手段により前記端子に前記接続部材が接続されたことが検出された場合に、前記アナログ回路への電源供給をオンした後、前記ミュートモジュールによる前記音声信号の出力の停止を解除し、
前記非稼働状態から前記稼働状態に移行された場合に、前記ミュートモジュールによる前記音声信号の出力を停止し、前記デジタル回路に対する電源供給がオフされる十分な時間が経過した後に、前記ミュートモジュールによる前記音声信号の出力の停止を解除することを特徴とする請求項2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−234247(P2011−234247A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104398(P2010−104398)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】