説明

電子機器

【課題】電子部品を回路基板に重ねないで配置した場合の電子部品の固定と回路基板との電気接続を簡単に行える構造の電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の実施形態の電子機器は、第1の接点部を有する電子部品と、第2の接点部を有する回路基板と、前記回路基板の主面と重ならない位置に固定されて、前記電子部品が保持される保持部と第1の係合部を有する保持ケースと、第3の接点部と第4の接点部と第2の係合部を有する板金とを具備する。そして、前記電子部品を前記保持ケースの保持部に入れ、前記第2の係合部を前記第1の係合部に係合した状態において、前記電子部品が前記保持ケースに固定されると共に、前記第1の接点部と前記第3の接点部とが接触し、前記第2の接点部と前記第4の接点部とが接触して、前記第1の接点部と前記第2の接点部とが前記板金により電気的に導通することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、筐体の薄型化を図った電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の薄型化が進んでいる。携帯電話機の筐体の薄型化を妨げる電子部品として、受話レシーバ(以降、レシーバと称する)、スピーカ、バイブレータなど、それ自身でかなりの厚みを持つ部品がある。これらの電子部品を回路基板上に重ねて実装すると、電気接続は行いやすいが、重ねた分、厚みが増してしまう。電子部品を回路基板に重ねないで配置すれば、重なりの分を薄くすることができる。その場合、電子部品の固定と回路基板との電気接続に工夫が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−294652号公報(頁4〜7、図2、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品を回路基板に重ねないで配置した場合の電子部品の固定と回路基板との電気接続を簡単に行える構造の電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態の電子機器は、第1の接点部を有する電子部品と、第2の接点部を有する回路基板と、前記回路基板の主面と重ならない位置に固定されて、前記電子部品が保持される保持部と第1の係合部を有する保持ケースと、第3の接点部と第4の接点部と第2の係合部を有する板金とを具備する。そして、前記電子部品を前記保持ケースの保持部に入れ、前記第2の係合部を前記第1の係合部に係合した状態において、前記電子部品が前記保持ケースに固定されると共に、前記第1の接点部と前記第3の接点部とが接触し、前記第2の接点部と前記第4の接点部とが接触して、前記第1の接点部と前記第2の接点部とが前記板金により電気的に導通することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の各実施例に係る電子機器100の外観図。
【図2】本発明の各実施例に係る電子機器100の上筐体50の分解斜視図。
【図3】本発明の実施例1に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図。
【図4】本発明の実施例2に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図。
【図5】本発明の実施例3に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図。
【図6】本発明の実施例4に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の各実施例に係る電子機器100の外観図である。電子機器100は、折り畳み式の携帯電話機の例であり、上筐体50と下筐体60がヒンジ70により回動自在につながる。本発明の各実施例は、上筐体50側に取り付けられる受話レシーバであるレシーバ1(電子部品)の取り付け構造に関する。
【0008】
上筐体50は、レシーバ1と主表示部2がある筐体である。上筐体50は、上外ケース10と上内ケース20が嵌合した構造である。上外ケース10は、折り畳み式の上筐体50を閉じたときに、外側になるケースであり、上内ケース20は、内側になるケースである。上外ケース10と上内ケース20の間の内部にレシーバ1が実装される。下筐体60は、操作部3、マイク4がある筐体である。
【0009】
図2は、本発明の各実施例に係る電子機器100の上筐体50の分解斜視図である。上筐体50は、上外ケース10と、上内ケース20と、両者の間に実装される様々な部品を有する。上内ケース20には、レシーバホルダ7(保持ケース)が固定または形成され、また、基板6(回路基板)が取り付け固定される。
【0010】
基板6を上内ケース20に取り付け固定し、レシーバ1(電子部品)をレシーバホルダ7の保持スペース7sに挿入した後、押さえ接続板金5をレシーバホルダ7に嵌め込んで、押さえ接続板金5とレシーバホルダ7同士を係合させる。
【0011】
これにより、レシーバ1は、押さえ接続板金5に押さえられて、レシーバホルダ7に対して確実に固定される。また、押さえ接続板金5は、レシーバ1のバネ接点1aと基板6の接点6cに接触し、レシーバ1と基板6との間の電気接続が行われる。
【0012】
このように、レシーバ1の固定と電気接続は、上内ケース20側の組み立て工程で完結するものであり、上外ケース10は関与しないで行うことができる。
【0013】
以下、レシーバ1の固定と電気接続部分の詳細な構造について、実施例1乃至4で説明する。
【実施例1】
【0014】
図3は、本発明の実施例1に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図である。
図3の(A)は、押さえ接続板金5、レシーバ1、レシーバホルダ7、基板6の分解斜視図であり、レシーバ1は、レシーバホルダ7に挿入された状態で示す。
図3の(B)は、(A)のX−X矢視の上筐体50の断面図であり、図2のX−X矢視と同じ方向である。
【0015】
押さえ接続板金5は、2つの板金片を有し、それぞれ独立した電気導体となる。押さえ接続板金5のそれぞれの板金片は、接点5a(第3の接点部)、係合穴5b(第2の係合部)、バネ接点5c(第4の接点部)が形成される。
【0016】
接点5aは、主面5mの裏側に形成された小さな突起であるが、特に突起を設けなくても、平面状でもよく、レシーバ1のバネ接点1a(第1の接点部)に接触するものである。2個の係合穴5bは、レシーバホルダ7の係合突起7b(第1の係合部)に嵌って係合するものである。バネ接点5cは、基板6の接点6c(第2の接点部)に接触するものである。
【0017】
図3の(B)に示すように、レシーバホルダ7は、基板6の主面6mと重ならない位置に配置され、したがって、基板6と厚みのあるレシーバ1とは重ならないので、上筐体50の厚みを薄くすることができる。
【0018】
レシーバホルダ7は、上内ケース20に一体形成されたものでもよいし、上内ケース20に取り付け固定されたものでもよい。基板6は、上内ケース20に取り付け固定される。したがって、基板6とレシーバホルダ7とは、相対位置が固定される。
【0019】
レシーバ1の取り付け工程は、まず、レシーバ1をレシーバホルダ7の保持スペース7sに入れる。そして、押さえ接続板金5をレシーバ1の主面1m側からかぶせて押し込むと、押さえ接続板金5の係合穴5bとレシーバホルダ7の係合突起7bとが係合して固定される。
【0020】
この固定された時点で、レシーバ1のバネ接点1aは、押さえ接続板金5の接点5aに押されて、バネの付勢力で両接点の接触および電気導通が確実なものとなる。また、このバネの付勢力により、レシーバ1もレシーバホルダ7に確実に固定される。
【0021】
一方、押さえ接続板金5のバネ接点5cは、基板6の接点6cに突き当たって、下方向の付勢力が発生しており、両接点の接触および電気導通が確実なものとなっている。
【0022】
実施例1によれば、押さえ接続板金5をレシーバホルダ7に係合させるだけで、レシーバ1が固定される共に、レシーバ1と基板6との電気導通が行えるものである。
【0023】
また、電気導通を行うために押さえ接続板金5とレシーバ1の間に別途基板等の部品を用いることがないので、薄型化が図れるとともに、部品点数を抑えることができる。
【実施例2】
【0024】
図4は、本発明の実施例2に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図である。実施例1(図3)との違いは、押さえ接続板金5の第1の接点がバネ状のバネ接点5dであり、それに接触するレシーバ1の接点1dが平面状の接点であることである。いずれか一方がバネ状であれば、両接点の電気導通と、レシーバ1の固定が確実に行える。
【0025】
押さえ接続板金5は、主面5mの一部を切り欠いて、バネ接点5dを形成したものである。レシーバ1の接点1dは、単純な平面状の接点なので、構造を簡素化することができ、コストも低減できる。
全体の取り付け工程、電気導通、レシーバ1の固定等は、実施例1と同等であり、説明を省略する。
【0026】
実施例2によれば、実施例1に比べて、さらに、レシーバ1の構造の簡素化とコスト低減を行うことができる。
【実施例3】
【0027】
図5は、本発明の実施例3に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図である。実施例1(図3)との違いは、押さえ接続板金5の第1の接点を側面5nに設け、それに接触するレシーバ1のバネ接点1aも側面1nに設けたところである。両接点の電気導通を側面で行うことにより、レシーバ1と押さえ接続板金5を合わせた厚みを実施例1よりもさらに薄くすることができる。
【0028】
レシーバ1の取り付け工程は、まず、レシーバ1をレシーバホルダ7の保持スペース7sに入れる。そして、押さえ接続板金5をレシーバ1の主面1m側からかぶせて押し込むと、押さえ接続板金5の係合穴5bとレシーバホルダ7の係合突起7bとが係合して固定される。
【0029】
この固定された時点で、側面1n側のレシーバ1のバネ接点1aは、押さえ接続板金5の接点5aに押されて、バネの付勢力で両接点の接触および電気導通が確実なものとなっている。また、この側面1n側のバネの付勢力により、レシーバ1もレシーバホルダ7に確実に固定される。主面1m側の押さえは、レシーバ1の高さとレシーバホルダ7の保持スペース7sの深さと係合部分の寸法を適正に設計することによりガタを防げる。
【0030】
一方、押さえ接続板金5のバネ接点5cは、基板6の接点6cに突き当たって、下方向の付勢力が発生しており、両接点の接触および電気導通が確実なものとなっている。
【0031】
実施例3によれば、実施例1に比べて、さらに、レシーバ1の厚み、すなわち、電子機器100の厚みを薄くすることができる。
【実施例4】
【0032】
図6は、本発明の実施例4に係る電子機器100のレシーバ押さえ接続構造を説明する図である。実施例3(図5)との違いは、押さえ接続板金5の第1の接点がバネ状のバネ接点5dであり、それに接触するレシーバ1の接点1dが平面状の接点であることである。いずれか一方がバネ状であれば、両接点の電気導通と、レシーバ1の固定が確実に行える。
全体の取り付け工程、レシーバ1の固定等は、実施例3と同等であり、説明を省略する。
【0033】
実施例4によれば、実施例1に比べて、さらに、レシーバ1の厚み、すなわち、電子機器100の厚みを薄くすることができ、また、レシーバ1の構造の簡素化とコスト低減を行うことができる。
【0034】
なお、各実施例において、押さえ接続板金5は、2つの板金片を有したが、レシーバ1の接点が1個の場合は、1個の板金片でよい。
また、レシーバ1を例示したが、接点を有する他の電子部品、例えば、スピーカ、バイブレータなどであってもよい。
また、電子機器100は、携帯電話機、ゲーム機、携帯プレーヤー等の電子機器に応用することができる。
【0035】
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、電子部品の固定と、電子部品と回路基板との電気導通とが、押さえ接続板金で簡単に行うことができ、電子機器の厚みを薄くすることができる。
【0036】
以上において幾つかの実施形態を述べたが、これらの実施形態は、単に例として示したもので、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。実際、ここにおいて述べた新規な装置は、種々の他の形態に具体化されても良いし、さらに、本発明の主旨又はスピリットから逸脱することなくここにおいて述べた装置の形態における種々の省略、置き換えおよび変更を行っても良い。付随する請求項およびそれらの均等物は、本発明の範囲および主旨又はスピリットに入るようにそのような形態若しくは変形を含むことを意図している。
【符号の説明】
【0037】
1 レシーバ
1a バネ接点
1d 接点
1m 主面
1n 側面
2 主表示部
3 操作部
4 マイク
5 押さえ接続板金
5a 接点
5b 係合穴
5c バネ接点
5d バネ接点
5m 主面
5n 側面
6 基板
6c 接点
6m 主面
7 レシーバホルダ
7b 係合突起
7s 保持スペース
10 上外ケース
20 上内ケース
50 上筐体
60 下筐体
70 ヒンジ
100 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接点部を有する電子部品と、
第2の接点部を有する回路基板と、
前記回路基板の主面と重ならない位置に固定されて、前記電子部品が保持される保持部と第1の係合部を有する保持ケースと、
第3の接点部と第4の接点部と第2の係合部を有する板金と
を具備し、
前記電子部品を前記保持ケースの保持部に入れ、前記第2の係合部を前記第1の係合部に係合した状態において、前記電子部品が前記保持ケースに固定されると共に、前記第1の接点部と前記第3の接点部とが接触し、前記第2の接点部と前記第4の接点部とが接触して、前記第1の接点部と前記第2の接点部とが前記板金により電気的に導通する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の接点部は電子部品の主面に設けられ、前記第3の接点部は前記電子部品の主面に対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の接点部は電子部品の側面に設けられ、前記第3の接点部は前記側面に対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の接点部と、これに接触する前記第3の接点部のどちらか一方がバネ状の接点であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記第4の接点部は、バネ状の接点であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−259185(P2011−259185A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131587(P2010−131587)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】