説明

電子機器

【課題】相対移動する複数の筐体を備えていても、筐体内部の設計自由度を高く確保できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、第1筐体11に第1防水空間25が設けられるとともに、第2筐体12に第2防水空間34が設けられ、第1防水空間に通気孔29が設けられている。また、第1防水空間および第2防水空間に達す第1中空部材16が設けられ、第1中空部材に複数の電線15や第2中空部材17が収容されている。第1中空部材および第2中空部材は第1防水空間および第2防水空間間を通気する部材である。この第2中空部材に第2中空部材の内部41および外部42を連通する連通孔17Eが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筐体および第2筐体が互いに相対移動可能に連結され、第1筐体に第1防水空間が設けられるとともに第2筐体に第2防水空間が設けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な防水機能を有する電子機器である携帯端末として筐体内に防水空間を備えたものがある。
このような携帯端末では、防水空間が密閉されているため、例えば筐体に対して曲げ、あるいは厚み方向に沿って筐体を圧縮するような外力が加えられた場合に、防水空間の容積が変化して防水空間の内圧が上昇/下降する虞がある。また、標高変化による気圧変化の影響により、防水空間の内圧が上昇もしくは下降する。
防水空間の内圧変化に伴ってレシーバの音質変化や、操作部(キーシート)の隆起が発生することが考えられる。
【0003】
レシーバの音質変化やキーシートの隆起の発生を回避する手段として、筐体に防水空間に連通する音孔や通気孔(以下、「孔」という)が設けられ、音孔や通気孔が防水空間の防水シートで覆われ、防水シートが防水性および通気性を有するように構成された電子機器が知られている。
この電子機器によれば、防水空間の内圧を防水シートおよび孔を経て筐体の外部に排出可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−109851号公報(要約、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電子機器は、防水空間および筐体の外部を連通させる孔を筐体に設けている。防水空間および筐体の外部を連通させる孔を筐体に設けることは、防水空間内の部品配置に制約が生じ、設計自由度が損なわれる。
また、二つ折り形式等の複数の筐体が相対移動する携帯端末の場合は、各筐体に個別に孔を設ける必要がある。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、相対移動する複数の筐体を備えていても、筐体内部の設計自由度を高く確保できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、互いに相対移動可能に連結された第1筐体および第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体にそれぞれ設けられた第1防水空間および第2防水空間と、前記第1防水空間に設けられ、前記第1筐体の外部に対する防水性および通気性を有する通気孔と、前記第1防水空間および前記第2防水空間に亘って配索された複数の電線と、前記各電線を収容するとともに、両端部がそれぞれ前記第1防水空間および前記第2防水空間に達する第1中空部材と、前記第1中空部材に収容され、前記第1防水空間および前記第2防水空間間を通気する第2中空部材とを備え、前記第2中空部材における前記第1中空部材に覆われた範囲の側面に当該第2中空部材の内外を連通する連通孔が設けられている。
【0008】
第1中空部材に電線とともに第2中空部材を収容し、第1中空部材の両端部を第1防水空間および第2防水空間に連通させた。よって、第1防水空間および第2防水空間を第1中空部材で連通するとともに第2中空部材で連通させることができる。
第2防水空間を第1中空部材および第2中空部材を経て第1防水空間の通気孔に連通できるので、第2筐体の第2防水空間に通気孔を設ける必要がない。
【0009】
ここで、例えば、第1筐体および第2筐体を相対移動させた際に、第2中空部材に捻れや折曲げが生じることが考えられる。
そこで、第2中空部材に連通孔を設けて第2中空部材の内外を連通させた。すなわち、第2中空部材の内部を複数の電線間の隙間に連通孔を経て連通させた。
【0010】
よって、第2中空部材に捻れや折曲げが生じた場合でも、第2中空部材の内部を複数の電線間の隙間に連通孔を経て連通させることができる。
これにより、第2中空部材に捻れや折曲げが生じた場合でも、第1防水空間および第2防水空間の連通を確保できる。
【0011】
特に、複数の第2中空部材を第1中空部材の内部に収容することにより、複数の第2中空部材を第1中空部材の内部において複数箇所に収容可能である。
これにより、各第2中空部材に生じる捻れや折曲げ箇所を異ならせることができるので、第1防水空間および第2防水空間の連通を一層確実に確保できる。
【0012】
また、本発明の電子機器は、前記各電線が前記第2中空部材に収容されている。
【0013】
第2中空部材に各電線を収容することにより、第2中空部材を第1中空部材に対して同軸上に配置できる。
よって、第2中空部材および第1中空部材間において周方向に等間隔の空間(隙間)を確保できる。この空間の断面形状は比較的大きな環状に形成されている。
これにより、例えば、第1筐体および第2筐体を相対移動させた際に、第2中空部材および第1中空部材間の空間を確保できる。
【0014】
さらに、本発明の電子機器は、前記第2中空部材の外側面における長手方向に沿ってリブが設けられている。
【0015】
第2中空部材の外側面にリブを設けることにより、第2中空部材および第1中空部材間にリブを介在させることができる。
よって、例えば、第1筐体および第2筐体を相対移動させた際に、第2中空部材および第1中空部材間の空間が変形して大きく潰れることをリブで防ぐことができる。
これにより、第2中空部材および第1中空部材間の空間を一層確実に確保できる。
【0016】
また、本発明の電子機器は、互いに相対移動可能に連結された第1筐体および第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体にそれぞれ設けられた第1防水空間および第2防水空間と、前記第1防水空間に設けられ、前記第1筐体の外部に対する防水性および通気性を有する通気孔と、前記第1防水空間および前記第2防水空間に亘って配索されたフレキシブル配線と、前記フレキシブル配線の表面および裏面のうちの少なくとも一方の全域に密着するシート部材と、前記シート部材に連結されて前記フレキシブル配線の配索方向に沿って連続する中空部材と、を備える。
【0017】
第1防水空間および第2防水空間に亘ってフレキシブル配線を配索した。さらに、フレキシブル配線にシート部材を密着させ、このシート部材に中空部材を設けた。
これにより、第1筐体および第1筐体のそれぞれの基板がフレキシブル配線で接続された電子機器に本発明を適用できる。
【0018】
さらに、本発明の電子機器は、前記フレキシブル配線が面方向に沿って屈曲する屈曲部を有し、前記中空部材が、前記フレキシブル配線の入隅部に沿って配置されている。
【0019】
ここで、フレキシブル配線が面方向に沿って屈曲する屈曲部を有する場合、フレキシブル配線の入隅部が破れやすい。
そこで、フレキシブル配線の入隅部に沿って中空部材を配置するようにした。
これにより、フレキシブル配線の入隅部を中空部材で補強できるので、フレキシブル配線の入隅部が破れることを中空部材で防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電子機器によれば、第1中空部材および第2中空部材を経て第2防水空間を第1防水空間の通気孔に連通することにより、第2筐体の第2防水空間に通気孔を設ける必要がない。
従って、相対移動する第1筐体および第2筐体(すなわち、複数の筐体)を備えていても、第2筐体に通気孔を設ける必要がないので、第2筐体(筐体)内部の設計自由度を高く確保できるという効果を有する。
【0021】
また、本発明の電子機器によれば、フレキシブル配線にシート部材を密着させ、このシート部材に中空部材を設けたため、第1筐体および第2筐体のそれぞれの基板がフレキシブル配線で接続された場合にも適用でき、本発明の用途範囲の拡大が図れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第1実施形態の電子機器の使用状態(開状態)を示す斜視図
【図2】図1の電子機器の使用状態を示す平面概略図
【図3】図1の電子機器の第1中空部材、第2中空部材および電線を示す斜視図
【図4】図3の第2中空部材を示す斜視図
【図5】第1実施形態に示す第2中空部材の変形例を示す斜視図
【図6】本発明に係る第2実施形態の要部を示す斜視図
【図7】本発明に係る第2実施形態の要部を示す断面図
【図8】本発明に係る第3実施形態の要部を示す斜視図
【図9】本発明に係る第4実施形態の電子機器を示す平面概略図
【図10】図9に示す電子機器の要部を示す斜視図
【図11】本発明に係る第5実施形態の要部を示す斜視図
【図12】本発明に係る第6実施形態の要部を示す平面図
【図13】本発明に係る第7実施形態の要部を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態である電子機器10は、第1筐体11および第2筐体12がヒンジ部13を介して互いに相対移動可能に連結された携帯端末である。
さらに、電子機器10は、第1筐体11および第2筐体12に亘って配索された複数の電線15(図2参照)と、各電線15を収容する第1中空部材16と、第1中空部材16に収容された第2中空部材17(図2参照)とを備えている。
【0025】
ヒンジ部13は、第1筐体11および第2筐体12を第1回転軸21を軸にして使用状態(開状態)と携帯状態(閉状態)との間で矢印A方向に回動自在に連結する部位である。
さらに、ヒンジ部13は、第2筐体12を第2回転軸22を軸にして矢印B方向に回動自在に連結する部位である。
すなわち、電子機器10は、第1回転軸21および第2回転軸22を有する2軸のスイベルタイプの携帯端末である。
【0026】
第1筐体11は、第1ケース23および第1カバー24で略矩形体状の箱形に形成されるとともに内部に第1防水空間25が設けられている。
第1ケース23の表面23Aに操作部(キーシート)27を備えている。
第1ケース23の表面23Aには、第1防水空間25に連通する通気孔29が設けられている。
【0027】
通気孔29は、第1筐体11の外部に対する防水性を有するとともに、第1筐体11の外部に対する通気性を有する孔である。
この通気孔29は、第1中空部材16の一端部16Aの近傍に設けられている。
【0028】
第2筐体12は、第2ケース32および第2カバー33で略矩形体状の箱形に形成されるとともに内部に第2防水空間34が設けられている。
第2ケース32の表面32Aに表示部36およびレシーバ37が設けられている。
レシーバ37は、振動板(図示せず)を有し、例えば通話中に受信した音声を発生する機器である。
【0029】
図2、図3に示すように、複数の電線15は、第1筐体11の第1防水空間25および第2筐体12の第2防水空間34に亘って配索されている。
複数の電線15は、一端部15Aが第1防水空間25の基板に接続され、他端部15Bが第2防水空間34の基板に接続されている。
よって、第1防水空間25の基板および第2防水空間34の基板が複数の電線15を介して接続されている。
【0030】
第1中空部材16は、複数の電線15を収容し、かつ、複数の第2中空部材17を収容する弾性変形可能な円筒部材である。
この第1中空部材16は、一端部(両端部の一方)16Aが第1防水空間25に達するように設けられるとともに、他端部(両端部の他方)16Bが第2防水空間34に達するように設けられている。
よって、第1防水空間25および第2防水空間34は第1中空部材16を介して互いに連通されている。
なお、第1実施形態では第1中空部材16を円筒部材とした例について説明したが、これに限らないで、第1中空部材16を角筒部材等の他の形状に形成することも可能である。
【0031】
第2中空部材17は、第1中空部材16に収容され、一端部17Aが第1防水空間25に達するように設けられるとともに、他端部17Bが第2防水空間34に達するように設けられた弾性変形可能な円筒部材である。
よって、第1防水空間25および第2防水空間34が第2中空部材17を介して互いに通気可能に連通されている。
なお、第1実施形態では第2中空部材17を円筒部材とした例について説明したが、これに限らないで、第2中空部材17を角筒部材等の他の形状に形成することも可能である。
【0032】
図4に示すように、この第2中空部材17は、周壁17Cのうち第1中空部材16に覆われた周壁範囲(範囲)Hの側面17Dに複数の連通孔17Eが設けられている。
よって、第2中空部材17における側面17Dにおいて、第2中空部材17の内部41および外部(すなわち、第1中空部材16の内部)42が複数の連通孔17Eを介して連通されている。
【0033】
以上説明したように、第1実施形態の電子機器10によれば、第1中空部材16に複数の電線15とともに第2中空部材17を収容し、第1中空部材16の両端部16A,16Bを第1防水空間25および第2防水空間34に連通させた。
よって、第1防水空間25および第2防水空間34を第1中空部材16で連通するとともに第2中空部材17で連通させることができる。
【0034】
これにより、第2防水空間34を第1中空部材16および第2中空部材17を経て第1防水空間25の通気孔29に連通できる。よって、第2筐体12の第2防水空間34に通気孔29を設ける必要がない。
従って、電子機器10に相対移動する第1筐体11および第2筐体12(すなわち、複数の筐体)を備えていても、第2筐体12に通気孔29を設ける必要がないので、第2筐体12内部の設計自由度を高く確保できる。
さらに、第2筐体12に通気孔29を設ける必要がないので、電子機器10の外観性を向上でき、出荷前の防水試験の容易化が図れる。
なお、この第1実施形態では、通気孔29を第1筐体11に設けた例を示したが、本発明は第2筐体12に設けても同様の効果を有する。
【0035】
また、第1防水空間25および第2防水空間34を第1中空部材16や第2中空部材17で連通させることにより、通気孔を減らすことができるので、通気孔を設ける箇所の選択肢に自由度が増す。
【0036】
ここで、例えば、第1筐体11および第2筐体12を相対移動させた際に、第2中空部材17に捻れや折曲げが生じることが考えられる。
そこで、第2中空部材17に複数の連通孔17Eを設けて第2中空部材17の内部41および外部42を連通させた。
【0037】
すなわち、第2中空部材17の内部41を複数の電線15間の隙間に連通孔17Eを経て連通させた。
よって、第2中空部材17に捻れや折曲げが生じた場合でも、第2中空部材17の内部41を複数の電線15間の隙間に連通孔17Eを経て連通させることができる。
これにより、第2中空部材17に捻れや折曲げが生じた場合でも、第1防水空間25および第2防水空間34の連通を確保できる。
【0038】
特に、複数の第2中空部材17を第1中空部材16の内部41に収容することにより、複数の第2中空部材17を第1中空部材16の内部41において複数箇所に収容可能である。
これにより、各第2中空部材17に生じる捻れや折曲げ箇所を異ならせることができるので、第1防水空間25および第2防水空間34の連通を一層確実に確保できる。
【0039】
さらに、通気孔29は、第1中空部材16の一端部16Aの近傍に設けられている。
よって、第2筐体12の第2防水空間34を第1中空部材16および第2中空部材17を介して通気孔29の近傍に連通できる。
これにより、第2防水空間34の内圧を通気孔29を経て外部に排出できる。
【0040】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の第2中空部材17に代えて、図5に示す変形例の第2中空部材50を用いることも可能である。
変形例の第2中空部材50は、周壁50Aのうち第1中空部材16(図3参照)に覆われた周壁範囲Hの側面50Bが網目状に形成されることにより、側面50Bに複数の連通孔50Cが形成された弾性変形可能なメッシュパイプである。
【0041】
よって、第2中空部材50における側面50Bにおいて、第2中空部材50の内部52および外部(すなわち、第1中空部材16の内部)42が複数の連通孔50Cを介して連通されている。
【0042】
ここで、第2中空部材50をメッシュパイプとした理由を説明する。
すなわち、第1筐体11および第2筐体12を互いに相対移動させて第2中空部材50に捻れや折曲げが生じた際に、第2中空部材50にかかる応力の予測(すなわち、第2中空部材50の変形の予測)が困難である。
そこで、第2中空部材50にメッシュパイプを採用することにより、第2中空部材50のいかなる変形にも対応できるようにした。
【0043】
このように、変形例の第2中空部材50を使用することにより、第1実施形態の第2中空部材17と同様の効果を得ることができる。
【0044】
次に、第2実施形態〜第7実施形態を図5〜図13に基づいて説明する。
なお、第2実施形態〜第7実施形態において第1実施形態の電子機器10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0045】
(第2実施形態)
図6、図7に示す第2実施形態の電子機器60は、第1実施形態の第1実施形態の第2中空部材17を第2中空部材61に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同様である。
【0046】
第2中空部材61は、複数の電線15が収容され、第1中空部材16に同軸上に収容された弾性変形可能な部材である。
よって、第2中空部材61および第1中空部材16間において周方向に等間隔の空間(隙間)62を確保できる。この空間62の断面形状は比較的大きな環状に形成されている。
これにより、例えば、図1に示す第1筐体11および第2筐体12を相対移動させた際に、第2中空部材61および第1中空部材16間の空間62を確保できる。
【0047】
この第2中空部材61は、周壁61Aのうち第1中空部材16に覆われた周壁範囲H(図4参照)の側面61Bに複数の連通孔61Cが設けられている。
よって、第2中空部材61における側面61Bにおいて、第2中空部材61の内部63および外部(すなわち、空間)62が複数の連通孔61Cを介して連通されている。
【0048】
また、第2中空部材61は、第2中空部材61の外側面61Dに複数のリブ65が部分的に設けられている。
複数のリブ65は、第2中空部材61の外側面61Dにおける長手方向に沿って部分的に設けられるとともに、外側面61Dにおける周方向に所定間隔をおいて部分的に設けられている。
【0049】
このように、第2中空部材61の外側面61Dに複数のリブ65を部分的に設けることにより、第2中空部材61および第1中空部材16間に複数のリブ65を介在させることができる。
よって、例えば、図1に示す第1筐体11および第2筐体12を相対移動させた際に、第2中空部材61および第1中空部材16間の空間62が変形して大きく潰れることを複数のリブ65で防ぐことができる。
これにより、第2中空部材61および第1中空部材16間の空間62を確保できる。
【0050】
さらに、万が一、第2中空部材61および第1中空部材16間の空間62が潰れた場合でも、第2中空部材61の内部63を複数の連通孔61Cで外部(空間62)62に連通させることができる。
【0051】
これにより、第2実施形態の電子機器60によれば、第1実施形態の電子機器10と同様の効果を得ることができる。
【0052】
なお、第2実施形態では、複数のリブ65を第2中空部材61の外側面61Dに長手方向に設けた例について説明したが、これに限らないで、複数のリブ65を第2中空部材61の外側面61Dに螺旋状に設けることも可能である。
【0053】
(第3実施形態)
図8に示す第3実施形態の電子機器70は、第2実施形態のリブ65をリブ71に代えたもので、その他の構成は第2実施形態の電子機器60と同様である。
【0054】
リブ71は、第2実施形態のリブ65に比べて幅方向の寸法Wを大きくして歯車状に形成したものである。リブ71の幅方向の寸法Wを大きくすることにより、第1中空部材16の内周面16Cに対するリブ71の接触面積を大きく確保できる。
よって、例えば、図1に示す第1筐体11および第2筐体12を相対移動させた際に、第2中空部材61および第1中空部材16間の空間62が変形して大きく潰れることを複数のリブ71で一層良好に防ぐことができる。
【0055】
これにより、第3実施形態の電子機器70によれば、第2中空部材61および第1中空部材16間の空間62を一層確実に確保でき、第1実施形態の電子機器10と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(第4実施形態)
図9、図10に示す第4実施形態の電子機器80は、第1実施形態の電線15、第1中空部材16および第2中空部材17をフレキシブル配線81、シート部材82および中空部材83に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同様である。
【0057】
フレキシブル配線81は、第1防水空間25および第2防水空間34に亘って配索されている。
このフレキシブル配線81は、一端部 が第1防水空間25の基板に接続され、他端部 が第2防水空間34の基板に接続されている。
よって、第1防水空間25の基板および第2防水空間34の基板がフレキシブル配線81を介して接続されている。
【0058】
シート部材82は、フレキシブル配線81の裏面81Aの全域に密着するように設けられている。
フレキシブル配線81の裏面81Aの全域にシート部材82を密着することによりシート部材82でフレキシブル配線81を保護できる。
【0059】
中空部材83は、シート部材82の一方の側部82Aに連結されてフレキシブル配線81の配索方向に沿って連続されている。
よって、中空部材83をフレキシブル配線81の一方の側部82Aに沿って連続させることができる。これにより、フレキシブル配線81、シート部材82および中空部材83をユニット化した部材の厚さ寸法T(具体的には、中空部材83の厚さ寸法T)を小さく抑えることができる。
従って、第1筐体11および第2筐体12の厚さ寸法が小さい電子機器80に適応させることができる。
【0060】
また、中空部材83はフレキシブル配線81の配索方向に沿って連続されている。
よって、この中空部材83は、一端部83Aが第1防水空間25に達するように設けられるとともに、他端部83Bが第2防水空間34に達するように設けられている。
よって、第1防水空間25および第2防水空間34は中空部材83を介して互いに連通されている。
【0061】
さらに、フレキシブル配線81の一端部81Cおよび中空部材83の一端部83Aに防水パッキンシート85が設けられている。
これにより、フレキシブル配線81の一端部81C、シート部材82の平坦部82Bおよび中空部材83の一端部83Aが設けられた第1防水空間25の開口25Aを防水パッキンシート85で防水できる。
【0062】
同様に、フレキシブル配線81の他端部81Dおよび中空部材83の他端部83Bに防水パッキンシート85が設けられている。
これにより、フレキシブル配線81の他端部81D、シート部材82の他端部82C(図示せず)および中空部材83の他端部83Bが設けられた第2防水空間34の開口34Aを防水パッキンシート85で防水できる。
【0063】
以上説明した第4実施形態の電子機器80によれば、第1防水空間25および第2防水空間34に亘ってフレキシブル配線81を配索した。さらに、フレキシブル配線81にシート部材82を密着させ、このシート部材82に中空部材83を設けた。
これにより、第1筐体11および第2筐体12のそれぞれの基板がフレキシブル配線81で接続された電子機器に本発明を適用でき、本発明の用途範囲の拡大が図れる。
【0064】
加えて、第4実施形態の電子機器80によれば、第1実施形態の電子機器10と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、第4実施形態では、フレキシブル配線81の裏面81Aの全域にシート部材82を密着させた例について説明したが、これに限らないで、フレキシブル配線81の表面81Bの全域にシート部材82を密着させることも可能である。
【0066】
また、第4実施形態では、フレキシブル配線81の一端部81Cおよび中空部材83の一端部83Aや、フレキシブル配線81の他端部81Dおよび中空部材83の他端部83Bに防水パッキンシート85を設けた例について説明したが、これに限るものではない。
例えば、防水パッキンシート85を設ける部位のフレキシブル配線81を中空部材83で覆うことにより、防水パッキンシート85で一層好適に防水可能である。
【0067】
(第5実施形態)
図11に示す第5実施形態の電子機器90は、シート部材82の一方の側部82Aに中空部材83を連結するとともに、シート部材82の他方の側部82Dに中空部材92を連結したもので、その他の構成は第4実施形態の電子機器80と同様である。
【0068】
中空部材83および中空部材92がフレキシブル配線81の配索方向に沿って連続されることにより、第1防水空間25および第2防水空間34を一層良好に連通させることができる。
すなわち、第5実施形態の電子機器90によれば、第4実施形態の電子機器80と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(第6実施形態)
図12に示す第6実施形態の電子機器100は、第5実施形態のフレキシブル配線81および中空部材83,92をフレキシブル配線101、一方の中空部材102および他方の中空部材103に代えたもので、その他の構成は第5実施形態の電子機器90と同様である。
【0070】
フレキシブル配線101は、面方向に沿って略クランク状に屈曲する屈曲部105を有する。フレキシブル配線101に屈曲部105を有することにより、一方の側辺101Aに一方の入隅部105Aが設けられるとともに他方の側辺101Bに他方の入隅部105Bが設けられている。
このフレキシブル配線101の裏面の全域にシート部材107が密着するように設けられている。
【0071】
ここで、フレキシブル配線101に一方の入隅部105Aや他方の入隅部105Bを設けた場合、第1筐体11および第2筐体12の屈曲動作により、これらの入隅部105A,105Bに応力が集中して各入隅部105A,105Bが破れやすい。
そこで、シート部材107の一方の側部に一方の中空部材102を連結するとともに、シート部材107の他方の側部に他方の中空部材103を連結するようにした。
【0072】
一方の中空部材102は、シート部材107の一方の側部に連結されてフレキシブル配線101の一方の側辺101Aに沿って連続されている。
よって、一方の中空部材102を一方の入隅部105Aに沿って配置でき、一方の入隅部105Aを一方の中空部材102で補強できる。
【0073】
他方の中空部材103は、シート部材107の他方の側部に連結されてフレキシブル配線101の他方の側辺101Bに沿って連続されている。
よって、他方の中空部材103を他方の入隅部105Bに沿って配置でき、他方の入隅部105Bを他方の中空部材103で補強できる。
【0074】
このように、一方の入隅部105Aを一方の中空部材102で補強するとともに、他方の入隅部105Bを他方の中空部材103で補強することにより、フレキシブル配線101が一方の入隅部105Aや他方の入隅部105Bから破れることを防止できる。
【0075】
(第7実施形態)
図13に示す第7実施形態の電子機器110は、第6実施形態のシート部材107をシート部材111に代えたもので、その他の構成は第6実施形態の電子機器100と同様である。
【0076】
シート部材111は、面方向に沿って略クランク状に屈曲するシート屈曲部112を有し、シート屈曲部112に複数のスリット113が形成されている。
シート屈曲部112に複数のスリット113を形成することにより、シート屈曲部112の可撓性を高めることができる。
シート屈曲部112の可撓性を高めることにより、フレキシブル配線101が一方の入隅部105Aや他方の入隅部105Bから破れることを一層良好に防止できる。
【0077】
なお、本発明に係る電子機器は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、第1実施形態〜第7実施形態では、電子機器10として2軸のスイベルタイプを例示したが、これに限らないで、二つ折りタイプや、2軸に加えて横オープンを可能にしたWオープンタイプ、スライド等に適用することも可能である。
【0078】
また、第1実施形態〜第7実施形態では、第1筐体11および第2筐体12を相対移動させた際に第2中空部材17に捻れや折曲げが生じる場合について説明したが、これに限らないで、電子機器の落下等による第2中空部材17の捻れや折曲げに対応可能である。
【0079】
さらに、第1実施形態〜第7実施形態で使用した電子機器、第1筐体、第2筐体、電線、第1中空部材、第2中空部材、連通孔、第1防水空間、通気孔、第2防水空間、リブ、フレキシブル配線、シート部材、中空部材、屈曲部および入隅部等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、第1筐体および第2筐体が互いに相対移動可能に連結され、第1筐体の第1防水空間および第2筐体の第2防水空間に亘って複数の電線やフレキシブル配線が配索された電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0081】
10,60,70,80,90,100,110 電子機器
11 第1筐体
12 第2筐体
15 電線
16 第1中空部材
16A 第1中空部材の一端部(両端部の一方)
16B 第1中空部材の他端部(両端部の他方)
17 第2中空部材
17E 連通孔
25 第1防水空間
29 通気孔
34 第2防水空間
41 第2中空部材の内部
42 第2中空部材の外部
61D 第2中空部材の外側面
65,71 リブ
81,101 フレキシブル配線
81A フレキシブル配線の裏面
81B フレキシブル配線の表面
82,111 シート部材
83,102,103 中空部材
105 屈曲部
105A,105B 入隅部
H 周壁範囲(範囲)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対移動可能に連結された第1筐体および第2筐体と、
前記第1筐体および前記第2筐体にそれぞれ設けられた第1防水空間および第2防水空間と、
前記第1防水空間に設けられ、前記第1筐体の外部に対する防水性および通気性を有する通気孔と、
前記第1防水空間および前記第2防水空間に亘って配索された複数の電線と、
前記各電線を収容するとともに、両端部がそれぞれ前記第1防水空間および前記第2防水空間に達する第1中空部材と、
前記第1中空部材に収容され、前記第1防水空間および前記第2防水空間間を通気する第2中空部材とを備え、
前記第2中空部材における前記第1中空部材に覆われた範囲の側面に当該第2中空部材の内外を連通する連通孔が設けられている電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記各電線が前記第2中空部材に収容されている電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記第2中空部材の外側面における長手方向に沿ってリブが設けられている電子機器。
【請求項4】
互いに相対移動可能に連結された第1筐体および第2筐体と、
前記第1筐体および前記第2筐体にそれぞれ設けられた第1防水空間および第2防水空間と、
前記第1防水空間に設けられ、前記第1筐体の外部に対する防水性および通気性を有する通気孔と、
前記第1防水空間および前記第2防水空間に亘って配索されたフレキシブル配線と、
前記フレキシブル配線の表面および裏面のうちの少なくとも一方の全域に密着するシート部材と、
前記シート部材に連結されて前記フレキシブル配線の配索方向に沿って連続する中空部材と、を備える電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記フレキシブル配線が面方向に沿って屈曲する屈曲部を有し、
前記中空部材が、前記フレキシブル配線の入隅部に沿って配置されている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−156811(P2012−156811A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14451(P2011−14451)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】