説明

電子機器

【課題】 第1、第2の各ケースを開封する際に、電子回路の使用を不可能にすることができる電子機器を提供する。
【解決手段】 上部ケース1と下部ケース2との内部に回路基板3と表示パネル4とが上部ケース1に対して固定された状態で配置され、この回路基板3と表示パネル4とが、多数の配線パターン14bを狭い間隔で配列した配線シート14によって、電気的に接続され、この配線シート14に連結部材15の一端部15aが配線シート14を破損可能な状態で係止され、且つ連結部材15の他端部15bが下部ケース2に係止されている。従って、上部ケース1と下部ケース2とが開封される際に、連結部材15によって配線シート14を破損させることができ、これにより内部に組み込まれた電子回路の使用を不可能にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小型電子式計算機(電卓)、電子辞書、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機、ゲーム機などの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゲーム機などの電子機器においては、特許文献1に記載されているように、第1ケースと第2ケースとの内部に設けられた回路基板が不正に改造されたり、別の機器に組み込まれたりするのを防ぐために、第1ケースと第2ケースとが簡単に開封されないように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153837号公報
【0004】
この種の電子機器は、第1ケースに爪部を有する第1突起部を形成し、第2ケースに爪部を有する第2突起部を形成し、この第1、第2の各突起部を抱き合わせ、その両方の外周に形状記憶合金からなるリングを巻き付けように配置し、この状態で第1、第2の各ケースの一方に設けられた貫通孔を通して加熱ノズルを挿入し、この加熱ノズルによってリングを加熱して収縮させることにより、リングが第1、第2の各突起部の各爪部に係止されて、第1、第2の各ケースが開封されないように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の電子機器では、第1ケースと第2ケースとを、一見、開封することができないように見えるが、第1、第2の各ケースの一部を破壊したり、あるいは第1、第2の各ケースの一方に設けられた貫通孔に加熱ノズルや工具を挿入して、リングを膨張させたり破壊したりすると、第1ケースと第2ケースとが開封されてしまい、内部の回路基板が改造されたり、別の機器に組み込まれたりする恐れがある。
【0006】
このような問題は、新たな開封防止構造のものを次々に開発しても、その新たな開封防止構造の欠陥を次々に探し出して、第1ケースと第2ケースとが開封されてしまうため、第1ケースと第2ケースとの開封を完全に防ぐことがでない。このため、第1、第2の各ケースを開封する際、あるいは開封しても内部の回路基板を取り外す際に、内部に組み込まれた電子回路が使用可能な状態で取り出させないようにして、電子回路の不正な改造や、別の機器への組み込みを防ぐようにすることが要望されている。
【0007】
この発明が解決しようとする第1の課題は、第1、第2の各ケースを開封する際に、電子回路の使用を不可能にすることができる電子機器を提供することである。
また、この発明が解決しようとする第2の課題は、第1、第2の各ケースから内部の回路基板などの電子部品を取り外す際に、電子回路の使用を不可能にすることができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、第1ケースと第2ケースとの内部に回路基板と表示パネルとが前記第1、第2の各ケースの一方に固定された状態で配置され、前記回路基板と前記表示パネルとが、多数の配線パターンを狭い間隔で配列した配線シートによって、電気的に接続された電子機器において、前記配線シートに一端部が前記配線シートを破損可能な状態で係止され、他端部が前記第1ケースと前記第2ケースとの他方に係止された連結部材を備えていることを特徴とする電子機器である。
【0009】
また、この発明は、第1ケースと第2ケースとの内部に回路基板と表示パネルとが前記第1、第2の各ケースの一方に固定された状態で配置され、前記回路基板と前記表示パネルとが、多数の配線パターンを狭い間隔で配列した配線シートによって、電気的に接続された電子機器において、前記第1ケースと前記第2ケースとのいずれか一方と前記配線シートとを固着するための固着部を備えていることを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、第1、第2の各ケースが開封される際に、連結部材によって配線シートを破損させることができ、これにより内部に組み込まれた電子回路の使用を不可能にすることができる。このため、電子回路が不正に改造されたり、電子回路を構成する電子部品が別の機器に組み込まれたりするのを確実に防ぐことができる。
【0011】
また、この発明によれば、第1、第2の各ケースが開封されて内部の電子回路を構成する電子部品を取り外す際に、固着部によって配線シートを破損させることができ、これにより内部に組み込まれた電子回路の使用を不可能にすることができる。このため、電子回路が不正に改造されたり、電子回路を構成する電子部品が別の機器に組み込まれたりするのを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明を小型電子式計算機に適用した実施形態1において、その表面側を示した斜視図である。
【図2】図1に示された小型電子式計算機の側面図である。
【図3】図1に示された小型電子式計算機の裏面図である。
【図4】図1に示された小型電子式計算機の分解斜視図である。
【図5】図4に示された小型電子式計算機において、回路基板と表示パネルとが配線シートによって接続された箇所を下側から見て示した要部の拡大図である。
【図6】図5のA−A矢視における要部の拡大断面図である。
【図7】図5の配線シートにおける係止孔を示した要部の拡大図である。
【図8】図6に示された上部ケースと下部ケースとを取り付ける際に、連結部材のフック部が下部ケースの係止部に係合可能に対応した状態を示した要部の拡大断面図である。
【図9】図6に示された上部ケースと下部ケースとを取り外す際に、下部ケースによって連結部材が引っ張られ、この引っ張られた連結部材の一端部が配線シートを破損する状態を示した要部の拡大断面図である。
【図10】この発明を小型電子式計算機に適用した実施形態2において、その裏面側を示した斜視図である。
【図11】図10に示された小型電子式計算において、下部ケースを取り外して上部ケースの内部を下側から見て示した裏面図である。
【図12】図11に示された小型電子式計算において、上部ケースの内部に組み込まれた回路基板、表示パネル、配線シートなどの電子部品と上部ケースとを分解して示した斜視図である。
【図13】図11に示された小型電子式計算において、回路基板と表示パネルとの間に位置する配線シートを示した要部の拡大図である。
【図14】図13のB−B矢視における要部の拡大断面図である。
【図15】図14に示された溶着ボス部の要部を更に拡大し示した断面図である。
【図16】図14に示された溶着ボス部を配線シートに溶着する過程を示し、(a)は溶着ボス部を配線シートの挿入孔に挿入させた状態を示した要部の拡大断面図、(b)は配線シートの挿入孔に挿入された溶着ボス部を配線シートに溶着させた状態を示した要部の拡大断面図である。
【図17】この発明を小型電子式計算機に適用した実施形態3において、上部ケースと下部ケースとを分解して示した斜視図である。
【図18】図17に示された小型電子式計算機のC−C矢視における要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、図1〜図9を参照して、この発明を小型電子式計算機に適用した実施形態1について説明する。
この小型電子式計算機は、関数機能を備えた高機能電卓であり、図1〜図4に示すように、上部ケース1と下部ケース2とを備え、この上部ケース1と下部ケース2との内部に回路基板3、表示パネル4、およびソーラパネル5が組み込まれた構成になっている。
【0014】
上部ケース1は、ABS樹脂やポリスチレン(PS)などの合成樹脂によって形成されている。この上部ケース1には、図1および図2に示すように、キー入力部6の各キートップ6aが、上部ケース1の上面から露出した状態で、回路基板3に対応して設けられている。また、この上部ケース1には、図1に示すように、表示窓部7が表示パネル4に対応して設けられていると共に、開口窓部8がソーラパネル5に対応して設けられている。さらに、この上部ケース1の内部には、図4に示すように、電池収納部9が下側に開放された状態で開口窓部8の近傍に設けられている。
【0015】
下部ケース2は、上部ケース1と同様、ABS樹脂やポリスチレン(PS)などの合成樹脂によって形成され、図2および図4に示すように、上部ケース1の下側に取り付けられるように構成されている。この場合、下部ケース2の所定箇所には、図3および図4に示すように、ビス11がそれぞれ挿入するビス挿入孔2aが、上部ケース1に設けられた複数の取付ボス1aにそれぞれ対応して設けられている。また、この下部ケース2には、図3および図4に示すように、電池蓋12が上部ケース1の電池収納部9に対応して設けられていると共に、点検蓋13が回路基板3のほぼ中央部に対応して設けられている。
【0016】
回路基板3は、関数計算に必要な電子回路が組み込まれたものであり、図1および図4に示すように、その上面にキー入力部6が搭載されるように構成されている。このキー入力部6は、図1および図2に示すように、数字キー、カーソルキー、演算キーのほか、関数計算に必要な各種のキーを備え、その各キーのキートップ6aがそれぞれ上部ケース1の上面から露出するように構成されている。
【0017】
表示パネル4は、図1および図4に示すように、液晶表示素子やEL(エレクトロルミネッセンス)表示素子などの平面型の表示素子からなり、上部ケース1の表示窓部7に対応して上部ケース1内に配置され、この状態で電気光学的に情報を表示し、その表示された情報が表示窓部7を通して外部から見えるように構成されている。ソーラパネル5は、外部光を受光して発電するものであり、上部ケース1の開口窓部8に対応した状態で、上部ケース1内に配置されている。
【0018】
この場合、表示パネル4は、図4および図5に示すように、配線シート14によって回路基板3と電気的に接続されている。この配線シート14は、ヒートシールであり、図7に示すように、フレキシブルなフィルム基板14aの一面に多数の配線パターン14bが狭い間で密集して配列された構成になっている。
【0019】
この配線シート14は、図4および図5に示すように、各配線パターン14bの一端部が回路基板3の各出力端子に接続され、各配線パターン14bの他端部が表示パネル4の各入力端子に接続されている。また、ソーラパネル5と電池(図示せず)が収納される電池収納部9とは、それぞれ接続ケーブル(図示せず)によって回路基板3と電気的に接続されている。
【0020】
ところで、上部ケース1と下部ケース2との内部には、図5および図6に示すように、連結部材15が配置さている。この連結部材15は、上部ケース1と配線シート14との間に配置され、この状態で一端部15aが配線シート14にその配線シート14を破損可能な状態で係止され、他端部15bが配線シート14の上側を横切って下部ケース2に係止されるように構成されている。この場合、配線シート14には、図7に示すように、連結部材15の一端部15aが挿入する係止孔16が、多数の配線パターン14bを避けた状態で、連結部材15の一端部15aによって破損可能に設けられている。
【0021】
すなわち、配線シート14の係止孔16は、図5および図7に示すように、配線シート14のほぼ中間部分に位置するフィルム基板14aに設けられており、これに伴って配線シート14の各配線パターン14bは、係止孔16を避けるために、その係止孔16に対応する箇所が湾曲した形状で形成されている。また、この係止孔16の縁部には、その周辺部を破損し易くするための複数の切込み部16aが設けられている。
【0022】
一方、下部ケース2内における側部には、図6に示すように、上部ケース1と下部ケース2との内部に連結部材15が配置された状態で、上部ケース1と下部ケース2とが相互に取り付けられる際に、配線シート14の側方向に位置する連結部材15の他端部15bを嵌め殺し状態で係止する係止部17が設けられている。
【0023】
この場合、連結部材15の他端部15bの先端部(図6では下端部)には、図6に示すように、フック部18が設けられている。一方、下部ケース2の係止部17は、連結部材15の他端部15bのフック部18を係止する係止突起部17aと、連結部材15の他端部15bのフック部18を係止突起部17aに押し付けて係合させる押付突起部17bとを備えている。
【0024】
これにより、連結部材15は、上部ケース1と下部ケース2とが取り付けられる際に、図8に示すように、その一端部15aが配線シート14の係止孔16に挿入され、他端部15bが配線シート14の側方に位置した状態で、連結部材15の他端部15bのフック部18が下部ケース2の係止部17の上方に位置して対応するように構成されている。
【0025】
また、この連結部材15は、連結部材15のフック部18が下部ケース2の係止部17に対応した状態で、上部ケース1に下部ケース2を取り付ける際に、図6に示すように、連結部材15のフック部18が係止突起部17aと押付突起部17bとの間に挿入されて、フック部18が押付突起部17bによって押付けられて係止突起部17aに係止されることにより、フック部18が係止部17に嵌め殺し状態で取り付けられるように構成されている。
【0026】
さらに、この連結部材15は、図6に示すように、フック部18が押付突起部17bによって押付けられて係止突起部17aに係止された状態で、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、図9に示すように、下部ケース2の係止部17によって連結部材15のフック部18が引っ張られ、これに伴って連結部材15の一端部15aが引っ張られることにより、この一端部15aが配線シート14の係止孔16を引き裂くように構成されている。
【0027】
次に、このような小型電子式計算機の作用について説明する。
この小型電子式計算機を組み立てる場合には、まず、図4に示すように、回路基板3と表示パネル4とを配線シート14によって電気的に接続すると共に、ソーラパネル5と電池(図示せず)が収納される電池収納部9とを、それぞれ接続ケーブル(図示せず)によって回路基板3と電気的に接続する。
【0028】
このときには、図5に示すように、配線シート14のフィルム基板14aに形成された各配線パターン14bの一端部を回路基板3の各出力端子に接続すると共に、各配線パターン14bの他端部を表示パネル4の各入力端子に接続する。これにより、回路基板3と表示パネル4との間に、配線シート14のフィルム基板14aに形成された係止孔16が位置した状態で、配線シート14が配置される。
【0029】
この後、回路基板3の上面にキー入力部6を配置して、回路基板3、表示パネル4、およびソーラパネル5を上部ケース1内に組み付ける。このときには、キー入力部6の各キートップ6aを上部ケース1の上面から露出させ、表示パネル4を上部ケース1の表示窓部7に対応させ、ソーラパネル5を上部ケース1の開口窓部8に対応させる。この状態で、上部ケース1と配線シート14との間に連結部材15を挿入させて、連結部材15の一端部15aを配線シート14の係止孔16に挿入させて係止させると共に、連結部材15の他端部15bを配線シート14の側方に配置する。
【0030】
そして、上部ケース1の下に下部ケース2を取り付ける。このときには、上部ケース2の取付ボス1aに下部ケース2のビス挿入孔2aを対応させると共に、図8に示すように、連結部材15の他端部15bのフック部18を下部ケース2の係止部17に対応させる。この状態で、下部ケース2のビス挿入孔2aにビス11を挿入させて上部ケース2の取付ボス1aにねじ込むことにより、上部ケース1に下部ケース2を取り付ける。
【0031】
このときには、図6に示すように、連結部材15のフック部18が、係止突起部17aと押付突起部17bとの間に挿入して係止突起部17aに嵌め殺し状態で係止される。すなわち、連結部材15のフック部18が係止突起部17aと押付突起部17bとの間に挿入することにより、フック部18が押付突起部17bによって押し付けられて係止突起部17aに係止される。このときには、連結部材15のフック部18が下部ケース2の係止部17に嵌め殺し状態で確実に且つ強固に係止される。これにより、小型電子式計算機が組み立てられる。
【0032】
このように組み立てられた小型電子式計算機では、図1および図2に示すように、キー入力部6の各キートップ6aをキー操作することにより、演算処理に必要な情報を入力して所望の演算処理を行うことができると共に、その入力情報および演算処理結果が表示パネル4に順次表示され、この表示された各種の情報を上部ケース1の表示窓部7を通して見ることができる。また、この小型電子式計算機において、電池(図示せず)を交換する場合には、下部ケース2の電池蓋12を取り外すことにより、電池を交換することができる。
【0033】
ところで、このような小型電子式計算機において、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すと、連結部材15によって配線シート14が破損される。このときには、下部ケース2の下側からビス11を取り外すことにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すことができても、下部ケース2が上部ケースから離れるときに、図9に示すように、連結部材15が下部ケース2によって引っ張られるので、この連結部材15によって配線シート14が破損される。
【0034】
すなわち、連結部材15は、図6に示すように、その一端部15aが配線シート14の係止孔16に挿入されて係止され、他端部15bのフック部18が下部ケース2の係止部17に係止されていることにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すときに、図9に示すように、下部ケース2と共に連結部材15のフック部18が引っ張られる。このため、配線シート14の係止孔16に挿入されている連結部材15の一端部15aが配線シート14を引っ張り、配線シート14の係止孔16の周囲に亀裂を生じさせ、この亀裂によって配線パターン15bが断線する。
【0035】
このときには、図7に示すように、配線シート14の係止孔16の縁部に複数の切込み部16aが設けられているので、連結部材15の一端部15aによって配線シート14が引っ張られると、係止孔16の切込み部16aに沿って亀裂が生じ易くなり、これにより配線パターン14bが断線する。このように、配線パターン14bが断線すると、回路基板3と表示パネル4との接続が不完全になり、表示パネル4に表示される情報が正確に表示されないため、計算機としての機能を失う。
【0036】
このように、配線シート14が破損した場合には、配線シート14を交換すれば良いのであるが、配線シート14は多数の配線パターン14bが狭い間隔で密集して配列されており、また回路基板3の出力端子の間隔および表示パネル4の入力端子の間隔も狭いため、配線シート14を交換する際には、手間や時間がかかるばかりか、異方導電性接着剤などの特殊な接着剤で配線シート14を回路基板3の出力端子と表示パネル4の入力端子とを接続しなければならず、その接続作業が面倒であり、簡単に配線シート14を交換することはできない。
【0037】
このように、この小型電子式計算機によれば、上部ケース1と下部ケース2との内部に回路基板3と表示パネル4とが上部ケース1に対して固定された状態で配置され、この回路基板3と表示パネル4とが、多数の配線パターン14bを狭い間隔で配列した配線シート14によって、電気的に接続されていると共に、この配線シート14に連結部材15の一端部15aが配線シート14を破損可能な状態で係止され、且つ連結部材15の他端部15bが下部ケース2に係止されていることにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、内部の電子回路の使用を不可能にすることができる。
【0038】
すなわち、この小型電子式計算機では、上部ケース1と下部ケース2とが取り外されて開封される際に、連結部材15によって配線シート14を破損させることができ、これにより内部に組み込まれた電子回路の使用を不可能にすることができる。このため、電子回路が不正に改造されたり、電子回路を構成する回路基板3や表示パネル4などの電子部品が別の機器に組み込まれたりするのを確実に防ぐことができる。
【0039】
この場合、配線シート14には、連結部材15の一端部15aが挿入する係止孔16が、多数の配線パターン14bを避けた状態で、連結部材15の一端部15aによって破損可能に設けられていることにより、配線シート14に係止孔16を設けても、多数の配線パターン14bによって回路基板3と表示パネル4とを確実に且つ良好に接続することができ、電子回路を正確に動作させることができると共に、連結部材15の一端部15aによって係止孔16の近傍に位置する配線パターン14bを切断し易くすることができる。
【0040】
また、配線シート14の係止孔16の縁部には、切込み部16aが設けられていることにより、連結部材15の一端部15aが係止孔16に挿入した状態で、連結部材15の他端部15bが下部ケース2と共に引っ張られると、連結部材15の一端部15aによって係止孔16が引き裂かれるように引っ張られるので、係止孔16の縁部に設けられた切込み部16aによって配線シート14に亀裂を生じ易くすることができ、これにより係止孔16の近傍に位置する配線パターン14bを確実に切断することができる。
【0041】
この場合、下部ケース2には、上部ケース1と下部ケース2との内部に連結部材15が配置された状態で、上部ケース1と下部ケース2とが相互に取り付けられる際に、連結部材15の他端部15bを係止する係止部17が設けられていることにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、上部ケース1から下部ケース2が離れるに伴って連結部材15を確実に引っ張って移動させることができ、これにより連結部材15の一端部15aを移動させて配線シート14を確実に破損させることができる。
【0042】
すなわち、連結部材15の他端部15bには、フック部18が設けられており、下部ケース2の係止部17は、連結部材15のフック部18を係止する係止突起部17aと、連結部材15のフック部18を係止突起部17aに押し付けて係合させる押付突起部17bとを備えているので、上部ケース1と下部ケース2とを取り付ける際に、連結部材15のフック部18が係止突起部17aと押付突起部17bとの間に挿入することにより、フック部18を押付突起部17bが係止突起部17aに押し付けて、嵌め殺し状態で確実に係止させることができる。
【0043】
このため、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、連結部材15のフック部18が押付突起部17bによって係止突起部17aに押し付けられて確実に係止されていることにより、下部ケース2の係止部17によって連結部材15のフック部18を確実に引っ張ることができ、これに伴って連結部材15の一端部15aを確実に移動させることができるので、連結部材15の一端部15aによって配線シート14の係止孔16を確実に引き裂いて配線シート14を破損させることができる。
【0044】
なお、上述した実施形態1では、連結部材15の一端部15aを配線シート14の係止孔16に挿入させた場合について述べたが、これに限らず、例えば連結部材15の一端部15aを配線シート14の一部に接着や溶着などによって固着した構成であっても良い。このように構成しても、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、連結部材15の一端部15aが接着や溶着などによって固着された配線シート14の一部を引っ張って破損させることができるので、実施形態1と同様、内部の電子回路の使用を不可能にすることができる。
【0045】
(実施形態2)
次に、図10〜図16を参照して、この発明を小型電子式計算機に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図9に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この小型電子式計算機は、図10〜図12に示すように、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封しても、内部の電子回路を構成する回路基板3および表示パネル4が使用可能な状態で取り出せないように構成したものであり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0046】
すなわち、この小型電子式計算機は、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封することにより、電池収納部9に収納された電池(図示せず)が交換できるように構成されている。これに伴って、この小型電子式計算機は、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封した状態では、回路基板3および表示パネル4が正常な状態で動作する必要があるが、回路基板3および表示パネル4を上部ケース1から取り外す際に、配線シート14が破損するように構成されている。
【0047】
このため、上部ケース1には、図13および図14に示すように、配線シート14に固着される複数の溶着ボス部20が一体に形成されている。この複数の溶着ボス部20は、配線シート14に多数の配線パターン14bを避けて設けられた複数の挿入孔21にそれぞれ挿入されて下側に突出し、この突出した部分20aがそれぞれ溶着により配線シート14に固着されるように構成されている。
【0048】
この場合、溶着ボス部20の溶着された部分20aと配線シート14との間には、図15に示すように、その両方に接着固定される接着固定部22が設けられている。この接着固定部22は、熱可塑性の合成ゴム系接着剤で、異方導電性を有する接着剤であり、複数の配線パターン14bに跨って配置されても、互いに隣接する配線パターン14b同士が導通して短絡しないように構成されている。また、この接着固定部22は、溶着ボス部20の溶着された部分20aと配線シート14との両方に強固に接着するように構成されている。
【0049】
これにより、溶着ボス部20は、図16(a)に示すように、配線シート14の挿入孔21に挿入されて下側に突出し、この突出した部分20aに接着固定部22を配置し、この状態で突出した部分20aを加熱して溶融させることにより、溶融した部分20aが接着固定部22と共に配線シート14に固着されるように構成されている。
【0050】
また、この溶着ボス部20は、溶着した部分20aが配線シート14に溶着された状態で、この溶着した部分20aを配線シート14から無理に引き抜いたり、また溶着された部分20aを無理に切断したりすると、配線シート14が破損し、配線パターン14bが断線するように構成されている。この場合、接着固定部22は、溶着ボス部20の溶着部分20aのみを切断することができないように、溶着部分20aに強固に接着するように構成されている。
【0051】
次に、このような小型電子式計算機の作用について説明する。
この小型電子式計算機を組み立てる場合には、実施形態1と同様、まず、図12に示すように、回路基板3と表示パネル4とを配線シート14によって電気的に接続すると共に、電池(図示せず)を収納する電池収納部9を接続ケーブル(図示せず)によって回路基板3と電気的に接続する。
【0052】
このときには、図14に示すように、配線シート14のフィルム基板14aに形成された各配線パターン14bの一端部を回路基板3の各出力端子に接続すると共に、各配線パターン14bの他端部を表示パネル4の各入力端子に接続する。これにより、回路基板3と表示パネル4との間に、配線シート14のフィルム基板14aに形成された複数の挿入孔21が位置した状態で、配線シート14が配置される。
【0053】
この後、回路基板3の上面にキー入力部6を配置して、回路基板3および表示パネル4を上部ケース1内に組み付ける。このときには、キー入力部6の各キートップ6aを上部ケース1から上部に露出させ、表示パネル4を上部ケース1の表示窓部7に対応させる。また、このときには、図16(a)に示すように、複数の溶着ボス部20を配線シート14の複数の挿入孔21にそれぞれ挿入して下側に突出させ、この突出した部分20aにそれぞれ接着固定部22を配置する。
【0054】
この状態で、図16(b)に示すように、突出した部分20aをそれぞれ加熱して溶融させることにより、図15に示すように、溶着した部分20aが接着固定部22と共に配線シート14に固着する。そして、上部ケース1の下に下部ケース2を配置して、下部ケース2のビス挿入孔2aにビス11を挿入させて上部ケース2の取付ボス1aにねじ込むことにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り付ける。これにより、小型電子式計算機が組み立てられる。
【0055】
このように組み立てられた小型電子式計算機では、実施形態1と同様、キー入力部6の各キートップ6aをキー操作することにより、演算処理に必要な情報を入力して所望の演算処理を行うことができると共に、その入力情報および演算処理結果が表示パネル4に順次表示され、この表示された各種の情報を上部ケース1の表示窓部7を通して見ることができる。また、この小型電子式計算機において、電池(図示せず)を交換する場合には、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すことにより、電池を交換することができる。
【0056】
ところで、このような小型電子式計算機において、上部ケース1と下部ケース2とを取り外した状態で、回路基板3および表示パネル4を上部ケース1から取り外そうとして、複数の溶着ボス部20の各溶着部分20aを配線シート14から無理に引き抜くと、複数の溶着部分20aによって配線シート14が破損し、複数の溶着部分20aの付近に位置する各配線パターン14bが断線する。
【0057】
また、このときに、配線シート14に溶着された複数の溶着ボス部20の各溶着部分20aをそれぞれ切断して、複数の溶着ボス部20を配線シート14から引き抜くことが考えられるが、複数の溶着部分20aをそれぞれ無理に切断すると、配線シート14の配線パターン14bが傷つき、配線パターン14bが断線する。
【0058】
この場合、溶着部分20aは接着固定部22が配線シート14と共に強固に接着されているので、溶着ボス部20の溶着部分20aのみを切断することができない。このため、配線シート14の配線パターン14bが傷つき、配線パターン14bが断線する。このように、配線パターン14bが断線すると、実施形態1と同様、回路基板3と表示パネル4との接続が不完全になり、表示パネル4に表示される情報が正確に表示されないため、計算機としての機能を失う。
【0059】
このように、この小型電子式計算機によれば、上部ケース1と下部ケース2との内部に回路基板3と表示パネル4とが上部ケース1に固定された状態で配置され、この回路基板3と表示パネル4とが、多数の配線パターン14bを狭い間隔で配列した配線シート14によって、電気的に接続されていると共に、上部ケース1には、配線シート14に固着された溶着ボス部20が設けられていることにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して、回路基板3や表示パネル4などの電子部品を上部ケース1から取り外す際に、その電子部品からなる電子回路の使用を不可能にすることができる。
【0060】
すなわち、この小型電子式計算機では、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して内部の電子回路を構成する電子部品である回路基板3および表示パネル4を上部ケース1から取り外す際に、溶着ボス部20の溶着した部分20aを配線シート14から無理に抜き出したり、あるいは溶着部分20aを切断したりしようとすると、配線シート14の配線パターン14bが断線し、内部に組みかまれた電子回路の使用を不可能にすることができる。このため、電子回路が不正に改造されたり、電子回路を構成する電子部品が別の機器に組み込まれたりするのを確実に防ぐことができる。
【0061】
この場合、溶着ボス部20は、上部ケース1に一体に形成され、配線シート14の多数の配線パターン14bを避けて配線シート14に設けられた挿入孔21に挿入されて下部ケース2に向けて突出し、この突出した部分20aが溶着により配線シート14に固着されていることにより、溶着ボス部20を溶着部分20aによって配線シート14に確実に且つ強固に固着することができる。これにより、回路基板3および表示パネル4を上部ケース1から取り外す際に、配線シート14の配線パターン14bを確実に断線させて電子回路の使用を不可能にすることができる。
【0062】
また、この溶着ボス部20の溶着された部分20aと配線シート14との間には、その両方に接着固定される接着固定部22が設けられていることにより、この接着固定部22によって溶着ボス部20の溶着された部分20aと配線シート14との両方を強固に接着することができ、これによっても溶着ボス部20と配線シート14との取り外しを困難にすることができる。
【0063】
この場合、接着固定部22は、熱可塑性の合成ゴム系接着剤で、異方導電性を有する接着剤であることにより、複数の配線パターン14bに跨った状態で接触して配置されても、互いに隣接する配線パターン14b同士が導通して短絡しないようにすることができる。このため、接着固定部22によって溶着ボス部20の溶着された部分20aと配線シート14との両方を強固に接着しても、回路基板3と表示パネル4とを確実に且つ正確に接続して、電子回路を正常に使用することができる。
【0064】
(実施形態3)
次に、図17および図18を参照して、この発明を小型電子式計算機に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図9に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この小型電子式計算機は、図17および図18に示すように、回路基板3と表示パネル4とを電気的に接続する配線シート14を接着部材25によって下部ケース2に接着固定した構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0065】
すなわち、この接着部材25は、図18に示すように、配線シート14に接着する第1接着層26と、この第1接着層26に接着する絶縁体層27と、この絶縁体層27に接着すると共に下部ケース2に接着する第2接着層28とを備えている。第1接着層26は、配線シート14に強固に接着すると共に、絶縁体層27にも強固に接着する接着剤である。絶縁体層27は、その厚みが回路基板3と下部ケース2との隙間とほぼ同じか、それよりも少し厚く形成されている。第2接着層28は、絶縁体層27に強固に接着すると共に下部ケース2に強固に接着する接着剤である。
【0066】
また、この接着部材25は、図17および図18に示すように、全体が細長い帯状に形成され、回路基板3の出力端子に隣接する箇所に位置する配線シート14の下面に、その多数の配線パターン14bを横切った状態で、接着されるように構成されている。これにより、この接着部材25は、回路基板3と表示パネル4とに接続された配線シート14に第1接着層6によって接着された状態で、回路基板3と表示パネル4とが組み付けられた上部ケース1に下部ケース2を取り付ける際に、下部ケース2によって回路基板3の端部に押し付けられることにより、下部ケース2に第2接着層28が接着するように構成されている。
【0067】
次に、このような小型電子式計算機の作用について説明する。
この小型電子式計算機を組み立てる場合には、実施形態1と同様、まず、図17に示すように、回路基板3と表示パネル4とを配線シート14によって電気的に接続すると共に、ソーラパネル5と電池(図示せず)が収納される電池収納部9とを、それぞれ接続ケーブル(図示せず)によって回路基板3と電気的に接続する。
【0068】
このときにも、図17および図18に示すように、配線シート14のフィルム基板14aに形成された各配線パターン14bの一端部を回路基板3の各出力端子に接続すると共に、各配線パターン14bの他端部を表示パネル4の各入力端子に接続する。この後、図17に示すように、回路基板3の上面にキー入力部6を配置して、回路基板3および表示パネル4を上部ケース1内に組み付ける。このときには、キー入力部6の各キートップ6aを上部ケース1から上部に露出させ、表示パネル4を上部ケース1の表示窓部7に対応させる。
【0069】
この状態で、図17および図18に示すように、回路基板3の出力端子の近傍に位置する箇所の配線シート14の下面に接着部材25の第1接着層26を強固に接着する。そして、上部ケース1の下に下部ケース2を配置して、下部ケース2のビス挿入孔2aにビス11を挿入させて上部ケース2の取付ボス1aにねじ込んで、上部ケース1と下部ケース2とを取り付ける。
【0070】
このときには、図18に示すように、接着部材25が下部ケース2によって回路基板3の端部に押し付けられる。このため、接着部材25は、第1接着層26が配線シート14に接着された状態で、第2接着層28が下部ケース2に強固に接着し、配線シート14を下部ケース2に固定する。これにより、小型電子式計算機が組み立てられる。
【0071】
このように組み立てられた小型電子式計算機では、実施形態1と同様、キー入力部6の各キートップ6aをキー操作することにより、演算処理に必要な情報を入力して所望の演算処理を行うことができると共に、その入力情報および演算処理結果が表示パネル4に順次表示され、この表示された各種の情報を上部ケース1の表示窓部7を通して見ることができる。また、この小型電子式計算機において、電池(図示せず)を交換する場合には、実施形態1と同様、下部ケース2の電池蓋12を取り外すことにより、電池を交換することができる。
【0072】
ところで、このような小型電子式計算機において、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すと、接着部材25によって配線シート14が破損する。この場合には、下部ケース2の下側からビス11を取り外すことにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すことができても、下部ケース2が上部ケース1から離れるときに、下部ケース2に接着された接着部材25が配線シート14を引っ張るので、この接着部材25によって配線シート14が破損する。
【0073】
すなわち、接着部材25は、図18に示すように、その第1接着層26が配線シート14に接着固定され、第2接着層28が下部ケース2に接着固定されていることにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すときに、下部ケース2と共に接着部材25が配線シート14を引っ張る。このため、配線シート14が破損し、配線パターン14bが断線するので、実施形態1と同様、回路基板3と表示パネル4との接続が不完全になり、表示パネル4に表示される情報が正確表示されないため、計算機としての機能を失う。
【0074】
このように、この小型電子式計算機によれば、上部ケース1に組み込まれた回路基板3と表示パネル4とを電気的に接続する配線シート14と下部ケース2とを接着部材25によって接着固定したので、実施形態1と同様、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、内部の電子回路の使用を不可能にすることができる。
【0075】
すなわち、この小型電子式計算機では、上部ケース1と下部ケース2とが開封される際に、接着部材25によって配線シート14を破損させることができ、これにより内部に組み込まれた電子回路の使用を不可能にすることができる。このため、電子回路が不正に改造されたり、電子回路を構成する回路基板3や表示パネル4などの電子部品が別の機器に組み込まれたりするのを確実に防ぐことができる。
【0076】
この場合、接着部材25は、配線シート14に接着する第1接着層26と、この第1接着層26に接着する絶縁体層27と、この絶縁体層27に接着すると共に下部ケース2に接着する第2接着層28とを備えているので、第1接着層26によって配線シート14と絶縁体層27とを強固に接着することができると共に、第2接着層28によって絶縁体層27と下部ケース2とを強固に接着することができ、これにより上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、配線シート14を確実に破損させることができる。
【0077】
また、接着部材25は、絶縁体層27の厚みが回路基板3と下部ケース2との隙間とほぼ同じか、それよりも少し厚く形成されていることにより、上部ケース1と下部ケース2とを取り付ける際に、接着部材25を下部ケース2によって回路基板3に押し付けることができ、これにより配線シート14と下部ケース2とを接着部材25によって強固に接着固定することができる。このため、上部ケース1と下部ケース2とを取り外して開封する際に、配線シート14を確実に破損させることができる。
【0078】
なお、上述した実施形態3では、接着部材25によって配線シート14を下部ケース2に接着固定した場合について述べたが、これに限らず、例えば接着部材25によって配線シート14を上部ケース2に接着固定しても良い。この場合には、実施形態2と同様、上部ケース1と下部ケース2とを取り外すことができても、回路基板3および表示パネル4を上部ケース1から取り外すときに、接着部材25によって配線シート14を破損させることができる。
【0079】
また、上述した実施形態1〜3およびその変形では、小型電子式計算機に適用した場合について述べたが、これに限らず、例えば電子辞書、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機、携帯型のゲーム機など、各種の電子機器に広く適用することができる。
【0080】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0081】
(付記)
請求項1に記載の発明は、第1ケースと第2ケースとの内部に回路基板と表示パネルとが前記第1、第2の各ケースの一方に固定された状態で配置され、前記回路基板と前記表示パネルとが、多数の配線パターンを狭い間隔で配列した配線シートによって、電気的に接続された電子機器において、前記配線シートに一端部が前記配線シートを破損可能な状態で係止され、他端部が前記第1ケースと前記第2ケースとの他方に係止された連結部材を備えていることを特徴とする電子機器である。
【0082】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記配線シートには、前記連結部材の前記一端部が挿入する係止孔が、前記多数の配線パターンを避けた状態で、前記連結部材の前記一端部によって破損可能に設けられていることを特徴とする電子機器である。
【0083】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子機器において、前記配線シートの前記係止孔の縁部には、切込み部が設けられていることを特徴とする電子機器である。
【0084】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の電子機器において、前記第1ケースと前記第2ケースとの前記他方には、前記第1ケースと前記第2ケースとの内部に前記連結部材が配置された状態で、前記第1ケースと前記第2ケースとが相互に取り付けられる際に、前記連結部材の前記他端部を係止する係止部が設けられていることを特徴とする電子機器である。
【0085】
請求項5に記載の発明は、第1ケースと第2ケースとの内部に回路基板と表示パネルとが前記第1、第2の各ケースの一方に固定された状態で配置され、前記回路基板と前記表示パネルとが、多数の配線パターンを狭い間隔で配列した配線シートによって、電気的に接続された電子機器において、前記第1ケースと前記第2ケースとのいずれか一方と前記配線シートとを固着するための固着部を備えていることを特徴とする電子機器である。
【0086】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電子機器において、前記固着部は、前記第1ケースと前記第2ケースとのいずれか一方に形成され、前記配線シートに前記多数の配線パターンを避けて設けられた挿入孔に挿入されて突出し、この突出した部分が溶着により前記配線シートに固着された溶着ボス部であることを特徴とする電子機器である。
【0087】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電子機器において、前記溶着ボス部の溶着された部分と前記配線シートとの間には、その両方に接着固定される接着固定部が設けられていることを特徴とする電子機器である。
【0088】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の電子機器において、前記固着部は、前記第1ケースと前記第2ケースとのいずれか一方と前記配線シートとに接着固定された接着部材であることを特徴とする電子機器である。
【符号の説明】
【0089】
1 上部ケース
2 下部ケース
3 回路基板
4 表示パネル
14 配線シート
14a フィルム基板
14b 配線パターン
15 連結部材
16 係止孔
16a 切込み部
17 係止部
17a 係止突起部
17b 押付突起部
18 フック部
20 溶着ボス部
20a 溶着部分
21 挿入孔
22 接着固定部
25 接着部材
26 第1接着層
27 絶縁体層
28 第2接着層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと第2ケースとの内部に回路基板と表示パネルとが前記第1、第2の各ケースの一方に固定された状態で配置され、前記回路基板と前記表示パネルとが、多数の配線パターンを狭い間隔で配列した配線シートによって、電気的に接続された電子機器において、
前記配線シートに一端部が前記配線シートを破損可能な状態で係止され、他端部が前記第1ケースと前記第2ケースとの他方に係止された連結部材を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、前記配線シートには、前記連結部材の前記一端部が挿入する係止孔が、前記多数の配線パターンを避けた状態で、前記連結部材の前記一端部によって破損可能に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、前記配線シートの前記係止孔の縁部には、切込み部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載の電子機器において、前記第1ケースと前記第2ケースとの前記他方には、前記第1ケースと前記第2ケースとの内部に前記連結部材が配置された状態で、前記第1ケースと前記第2ケースとが相互に取り付けられる際に、前記連結部材の前記他端部を係止する係止部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
第1ケースと第2ケースとの内部に回路基板と表示パネルとが前記第1、第2の各ケースの一方に固定された状態で配置され、前記回路基板と前記表示パネルとが、多数の配線パターンを狭い間隔で配列した配線シートによって、電気的に接続された電子機器において、
前記第1ケースと前記第2ケースとのいずれか一方と前記配線シートとを固着するための固着部を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器において、前記固着部は、前記第1ケースと前記第2ケースとのいずれか一方に形成され、前記配線シートに前記多数の配線パターンを避けて設けられた挿入孔に挿入されて突出し、この突出した部分が溶着により前記配線シートに固着された溶着ボス部であることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、前記溶着ボス部の溶着された部分と前記配線シートとの間には、その両方に接着固定される接着固定部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項5に記載の電子機器において、前記固着部は、前記第1ケースと前記第2ケースとのいずれか一方と前記配線シートとに接着固定された接着部材であることを特徴とする電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−178777(P2012−178777A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41380(P2011−41380)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】