説明

電子機器

【課題】アンテナ回路を備えた基板を筐体に保持させる構造を、低コストに実現するとともに、組立性を向上する。
【解決手段】無線信号を送受信するアンテナ回路とアンテナ回路を電気的に接地するグランドパターン23cとを備えた基板23aと、基板23aを保持するアンテナ保持部23fが一体形成された第2の筐体23とを備えた電子機器であって、第2の筐体23における少なくともアンテナ保持部23fは導体で形成され、グランドパターン24cとアンテナ保持部23fとを当接させた状態で、アンテナ保持部23fと基板24aとを挟持するクリップ40を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、無線通信が可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンなどの電子機器は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク網に無線で接続するシステムや、Bluetooth(登録商標)などのようにアクセスポイントと無線で接続するシステムなどの無線通信システムを備えたものが主流となりつつある。このような無線通信システムは、アンテナ回路が実装された基板(以下、アンテナ基板と称する)を電子機器に内蔵することで実現されていることが多い。アンテナ基板は、電子機器の筐体内に、ネジにより螺結固定されていることが多い。
【0003】
特開2004−214051号公報は、同軸ケーブルに半田で固定されている円筒スリーブに保持金具を装着し、保持金具を基板のグランドに固定する同軸ケーブル固定機構を開示している。また、特開2004−214051号公報は、保持金具をネジまたは半田により基板に固定することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−214051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2004−214051号公報が開示している保持金具は、基板にネジまたは半田により固定する構成であるため、部品点数が増加してコストアップにつながるとともに、ネジを螺結する工程や半田付け工程が必要となるため組立工数が増加してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の電子機器は、無線信号を送受信するアンテナ回路と、前記アンテナ回路を電気的に接地する接地部とを備えた基板と、前記基板を保持する保持部が一体形成された筐体と、を備えた電子機器であって、前記筐体における少なくとも前記保持部は、導体で形成され、前記接地部と前記保持部とを当接させた状態で、前記保持部と前記基板とを挟持する把持部材を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示によれば、低コストかつ組立性が優れた電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1にかかるノートパソコンの斜視図
【図2】実施の形態1にかかる第2の本体の分解斜視図
【図3】実施の形態1にかかる第2の筐体の平面図
【図4】図3におけるC部の要部平面図
【図5】図4におけるZ−Z部の断面図
【図6】クリップの斜視図
【図7】クリップ及び筐体の分解断面図
【図8】クリップの変形例1を示す斜視図
【図9】クリップ及び筐体の変形例1を示す分解断面図
【図10】クリップ及び筐体の変形例2を示す要部平面図
【図11】図10におけるZ−Z部の断面図
【図12】クリップ及び筐体の分解断面図
【図13】実施の形態1にかかるクリップ及び筐体の変形例3を示す要部平面図
【図14】図13におけるZ−Z部の断面図
【図15】実施の形態2にかかるノートパソコンの斜視図
【図16】実施の形態2にかかる第2の本体の分解斜視図
【図17】実施の形態2にかかる第2の筐体の平面図
【図18】図17におけるC部の要部平面図
【図19A】図18におけるZ−Z部の断面図
【図19B】図18におけるA−A部の断面図
【図20】クリップ及び筐体の分解断面図
【図21】クリップ及び筐体の変形例1を示す分解断面図
【図22】クリップ及び筐体の変形例2を示す要部平面図
【図23】図22におけるZ−Z部の断面図
【図24】クリップ及び筐体の分解断面図
【図25】実施の形態2にかかるクリップ及び筐体の変形例3を示す要部平面図
【図26】図25におけるZ−Z部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の電子機器は、無線信号を送受信するアンテナ回路と、前記アンテナ回路を電気的に接地する接地部とを備えた基板と、前記基板を保持する保持部が一体形成された筐体と、を備えた電子機器であって、前記筐体における少なくとも前記保持部は、導体で形成され、前記接地部と前記保持部とを当接させた状態で、前記保持部と前記基板とを挟持する把持部材を備えたものである。
【0010】
本願の電子機器において、前記把持部材は、弾性変形可能である構成とすることができる。このような構成とすることにより、把持部材は、保持部と基板とを押圧しながら挟持することができ、基板の位置を安定させることができる。
【0011】
本願の電子機器において、前記把持部材は、弾性変形可能であり、前記基板に当接可能な第1挟持部と、前記保持部に当接可能な第2挟持部とを備え、前記第1挟持部と前記第2挟持部との間隔は、前記保持部の厚さと前記基板の厚さとの和よりも小さい構成とすることができる。このような構成とすることにより、把持部材は、保持部と基板とを押圧しながら挟持することができ、基板の位置を安定させることができる。
【0012】
本願の電子機器において、前記筐体は、前記保持部の近傍に突起部を備え、前記突起部と前記保持部は、前記把持部材の前記第2挟持部側を挟持する構成とすることができる。このような構成とすることにより、把持部材における第2挟持部側を変位しにくくすることができ、基板の位置を安定させることができる。
【0013】
本願の電子機器において、前記筐体は、前記保持部が前記基板を保持している状態において、前記アンテナ回路と重なる領域が、電波を阻害しない材質で形成することができる。このような構成とすることにより、筐体がアンテナ回路の送受信特性に与える影響を抑えることができる。
【0014】
(実施の形態1)
〔1.電子機器の構成〕
図1は、本実施の形態にかかる電子機器の一例であるノートパソコンの斜視図である。図1に示すように、ノートパソコンは、第1の本体1と第2の本体2とを備えている。第1の本体1は、情報処理回路が実装された電気回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の本体2は、液晶ディスプレイディスプレイデバイス4を備えている。ディスプレイデバイス4は、例えば液晶ディスプレイで実現することができる。第1の本体1と第2の本体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在(矢印AまたはBに示す方向)に支持されている。第2の本体2を、図1に示す位置(第1の状態)から矢印Aに示す方向へ回動させることで、液晶ディスプレイディスプレイデバイス4とキーボード5とが近接対向した第2の状態へ移行させることができる。また、第2の状態において第2の本体2と対向する第1の本体1の面を「上側」と規定すると、第1の本体1の上面1aには、各種文字の入力操作が可能なキーボード5と、液晶ディスプレイディスプレイデバイス4に表示されるポインタを所望の位置へ移動する操作が可能なポインティングデバイス6とを備えている。なお、キーボード5やハードディスクドライブなどから入出力された情報信号は、情報処理回路(図示は省略)で所定の処理を施し、例えば液晶ディスプレイディスプレイデバイス4で表示する表示信号などに変換される。
【0015】
図2は、第2の本体2の分解斜視図である。図3は、アンテナモジュールが保持された第2の筐体の底部23a側を見た平面図である。第2の本体2は、図2に示すように、第1の筐体21、液晶パネル22、第2の筐体23、アンテナモジュール24を備えている。なお、実際の第2の本体2は、図2に示す構成の他、液晶パネル22に通電を行う配線などを備えているが、図示を明瞭にするために描画を省略した。
【0016】
第1の筐体21は、樹脂や金属で形成することができ、第2の本体2を薄型化あるいは小型化するために肉厚は数ミリ程度に薄く形成されている。第1の筐体21は、枠部21a、開口部21b、ヒンジカバー21gを備えている。枠部21aは、開口部21bを形成するものであり、第2の本体2が組み立てられた状態において第2の筐体23に対向する面を「裏面」と定義し、その裏面の裏側(図1に示すようにノートパソコンが第1の状態となっている時に操作者に対向する面)を「表面」と定義する。開口部21bは、液晶パネル22に表示される画像を第2の本体2の外部から目視可能に形成されたものである。ヒンジカバー21gは、ヒンジ機構を覆う部分であり、ヒンジ機構を介して第1の本体1と結合している。なお、第1の筐体21は、全体を樹脂等の絶縁性材質で形成する場合はアンテナモジュール24が電気的にシールドされないため問題はないが、全体を金属で形成する場合はアンテナモジュール24が電気的にシールドされてしまう可能性がある。第1の筐体21を金属で形成する場合は、底部23aにおけるアンテナ保持部23fの近傍のみを絶縁性材質(例えば、硬質プラスティック等)で形成することが好ましい。このような構成とすることにより、アンテナモジュール24における送受信面が電気的にシールドされなくなるため、アンテナモジュール24の送受信特性を向上することができる。
【0017】
液晶パネル22は、液晶を内在した2枚のガラス板や、2枚のガラス板間に通電を行う電気回路基板などを備え、外部から入力される電気信号に基づき画像を表示することができる。表示面22aは、画像が映し出される面である。液晶パネル22は、図1に示す液晶ディスプレイディスプレイデバイス4に相当する。
【0018】
第2の筐体23は、樹脂や金属で形成することができ、本実施の形態では耐衝撃性を向上するためにマグネシウムで形成されている。第2の筐体23は、第2の本体2を薄型化あるいは軽量化するために肉厚は数ミリ程度に薄く形成されている。第2の筐体23は、底部23a、第1の側部23b、第2の側部23c、第3の側部23d、第4の側部23eを備えている。底部23aは、液晶パネル22の背面(表示面22aの裏面)に対向配置される。第1の側部23b、第2の側部23c、第3の側部23d、第4の側部23eは、底部23aを囲むように、底部23aの外周縁に立設されている。第2の側部23cは、一対のヒンジ部3(図1参照)を結ぶ線分に略平行でかつ最も近い側部である。第1の側部23bは、第2の側部23cに略平行でかつ第2の側部23cに対向する位置に形成された側部である。第3の側部23dと第4の側部23eとは、互いに対向し、それぞれ両端が第1の側部23bと第2の側部23cとに結合している。
【0019】
アンテナモジュール24は、樹脂製の基板24aの片面または両面に、電波を送受信可能なアンテナ回路(不図示)が実装されている。なお、本実施の形態のノートパソコンでは、1つのアンテナモジュール24を備えているが、複数のアンテナモジュールを備えてもよい。また、アンテナモジュール24は、ループコイルのみを実装したものであってもよいし、ループコイル、受信フィルター、および送信フィルターを実装したものであってもよい。
【0020】
第2の本体2を組み立てる際は、図3において、まず、液晶パネル22を第1の筐体21の枠部21aの裏面に接着剤等で接着固定する。この時、表示面22aの有効表示エリアの全てまたは一部が、第1の筐体21の開口部21bで規定されるように配置する。すなわち、表示面22aに表示される画像を、開口部21bを通して外部から目視可能となるように、液晶パネル22を第1の筐体21に配置する。
【0021】
次に、アンテナモジュール24を、第2の筐体23に形成されたアンテナ保持部23f(後述)に保持する。具体的には、アンテナモジュール24は、長手方向の一方の端部がクリップ40によりアンテナ保持部23fとともに挟持され、長手方向の他方の端部がアンテナ保持部23gに保持される。なお、クリップ40の構成や、アンテナモジュール24の具体的な保持構造については後述する。
【0022】
〔2.アンテナモジュール24の保持構造〕
図4は、図3におけるC部の拡大平面図である。図5は、図4におけるZ−Z部の断面図である。
【0023】
図4に示すように、第2の筐体23の底部23aにおける側部23bと側部23dとの交点近傍には、アンテナ保持部23f及び23gが形成されている。アンテナ保持部23f及び23gと第2の筐体23の側部23bとの間には、少なくともアンテナモジュール24の基板24aを配置可能な隙間を有する。図5に示すように、アンテナ保持部23fは、基板24aに備わるグランドパターン24cを当接可能な当接面24h23hを有する。本実施の形態では、第2の筐体23の表面全体に金属が露出しているため、当然ながら当接面24h23hも金属が露出している。なお、第2の筐体23は、本実施の形態では表面全体に亘って金属が露出している構成としたが、少なくとも当接面24h23hを除く部分が絶縁体で被膜されていてもよい。当接面24h23hにおける金属部分の露出は、アンテナモジュール24のグランドパターン24cを接触させて接地電位にするために必要である。アンテナ保持部23fは、クリップ40の第2挟持部40b(後述)を当接可能な当接面2423iを有する。
【0024】
図5に示すように、アンテナモジュール24の基板24aは、グランドパターン24cを備えている。グランドパターン24cは、アンテナモジュール24がアンテナ保持部23f及び23gに保持されている状態において、アンテナ保持部23fの当接面23hに当接している。グランドパターン24cを当接面23hに当接させることで、グランドパターン24cを接地電位にすることができる。これにより、アンテナモジュール24は、第2の筐体23を介して接地することができる。また、アンテナモジュール24は、図4に示すように、長手方向の一方の端部がアンテナ保持部23fと側部23bとの間に位置してクリップ40により挟持されるとともに、長手方向の他方の端部がアンテナ保持部23gと側部23bとの間に保持される。また、基板24aには、同軸ケーブル24bが半田付けにより接続されている。同軸ケーブル24bは、第2の筐体23の側部23b及び23dに沿って引き回され、第1の本体1(図1参照)に内蔵されている電気回路基板に電気的に接続されている。
【0025】
図6は、クリップ40の斜視図である。図7は、クリップと第2の筐体23との分解断面図である。クリップ40は、全体がバネ性を持った薄肉の樹脂または金属で形成されている。なお、クリップ40は、アンテナモジュール24の送受信特性に対する影響を考慮すると、樹脂などの絶縁性材料で形成することが好ましい。クリップ40は、図5に示すように、基板24aとアンテナ保持部23fとを挟持する挟持部40a及び40bを備えている。具体的には、クリップ40の第1挟持部40aで基板24aの表面24d(基板24aにおいてグランドパターン24cが備わる面を「裏面」とした場合)側を保持し、第2挟持部40bでアンテナ保持部23fの当接面23i側を保持している。また、クリップ40は、図7に示すように、自由状態(無負荷状態)における第1挟持部40aと第2挟持部40bとの間隙A1と、基板24aの厚さB1(グランドパターン24cの厚さを含む)と、アンテナ保持部23fの厚さB2とは、
A1≦(B1+B2)
の関係にある。なお、第2の筐体23の側部23bとアンテナ保持部23fとの間隙B3と、基板24aの厚さB1と、クリップ40における第1挟持部40aの厚さA2とは、
B3>(B1+A2)
の関係にある。これにより、アンテナ保持部23fと側部23bとの間に、基板24aとクリップ40の第1挟持部40aとを配置することができる。
【0026】
クリップ40でアンテナ保持部23fと基板24aとを挟持する場合は、まず、間隙A1が少なくとも寸法B1と同軸ケーブル24bの直径との和よりも大きくなるように、第1挟持部40aを矢印Gに示す方向へ弾性変形させ、第2挟持部40bを矢印Hに示す方向へ弾性変形させる。なお、本実施の形態における第1挟持部40a及び第2挟持部40bの弾性変形量は、同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも大きい場合である。同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも小さい場合は、間隙A1が寸法B1+B2よりも大きくなるように第1挟持部40a及び第2挟持部40bを弾性変形させることで、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持させることができる。
【0027】
次に、第1挟持部40a及び第2挟持部40bをそれぞれ矢印G及びHに示す方向へ押し広げながらクリップ40を矢印Eに示す方向へ移動させ、第1挟持部40aを側部23bと基板24aとの間に挿入し、第2挟持部40bをアンテナ保持部23fの当接面23iに対向する位置へ移動させる。このとき、第1挟持部40aの先端が底部23aに当接するまで、クリップ40を矢印Eに示す方向へ移動させる。これにより、クリップ40の位置が決まる。なお、本実施の形態では、第1挟持部40aの先端が底部23aに当接する位置でクリップ40を位置決めする構成としたが、第1挟持部40aと第2挟持部40bとが底部23aに当接する位置でクリップ40を位置決めする構成としてもよい。
【0028】
次に、第1挟持部40a及び第2挟持部40bを、押し広げた状態から解放する。これにより、クリップ40は、元の形状(図7参照)に戻ろうとする力が働き、図5に示すように第1挟持部40aは基板24aの表面24dに当接して押圧し、第2挟持部40bはアンテナ保持部23fの当接面23iに当接して押圧する。すなわち、クリップ40は、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持する状態となる。クリップ40は、図5に示す状態において、
A1=(B1+B2)
の関係を有する形状に変形した状態で、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持している。
【0029】
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持しているため、アンテナモジュール24がアンテナ保持部23fから離脱する方向(第1の側部23bとアンテナ保持部23fとの隙間から抜け出る方向)へ変位しにくくなり、位置が安定する。よって、第2の本体2に対して衝撃や振動などが加わったとしても、アンテナモジュール24は変位しにくいため、アンテナモジュール24における送受信特性の変化を抑えることができる。また、基板24aにおけるグランドパターン24cとアンテナ保持部23fとが離間する可能性が低いため、アンテナモジュール24の接地状態を安定させることができる。
【0030】
また、クリップ40で、アンテナモジュール24を第2の筐体23に保持する構成であるため、クリップ40を第2の筐体23に固定する手段(ネジや半田等)が不要であり、部品点数を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
【0031】
また、アンテナモジュール24を第2の筐体23に保持させる際、ネジ止めや半田付けなどの工程が不要であるため、組立工数を削減し、組立性を向上することができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、図5等に図示しているように、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持している状態において、クリップ40と同軸ケーブル24bとの間に隙間を有しているが、クリップ40と同軸ケーブル24bとは当接する構成としてもよい。クリップ40と同軸ケーブル24bとを当接させることにより、同軸ケーブル24bの位置が安定し、例えば基板24aと同軸ケーブル24bとの接続部(半田付け部)に歪みがかかることを抑制することができる。よって、基板24aと同軸ケーブル24bとの接続不良などを防止することができる。
【0033】
また、図7の矢印Eに示すように、クリップ40を底部23aの略直交する方向に変位させて基板24aとアンテナ保持部23fとを挟持させる構成としたが、底部23aの面方向に変位させて挟持させることもできる。具体的には、まず、同軸ケーブル24bの例えばF部近傍(図4参照)において、クリップ40の湾曲部40c内に同軸ケーブル24bを挿入する。次に、クリップ40を同軸ケーブル24bに沿って、基板24a側へ移動させ、第1挟持部40aを基板24aと側部23bとの間に挿入し、他方の端部40bをアンテナ保持部23fの当接面23i側へ移動させる。この時、クリップ40は、自由状態における挟持部40a及び40bの間隙A1が、基板24aの厚さB1と同軸ケーブル24bの直径との和よりも小さいため、間隙A1が寸法B1と同軸ケーブル24bの直径との和よりも大きくなるように第1挟持部40a及び第2挟持部40bを弾性変形させながら、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持する位置へ移動させる。第1挟持部40aを基板24aと側部23bとの間に挿入し、他方の端部40bをアンテナ保持部23fの当接面23i側へ移動させた後、クリップ40の弾性変形を解放することによって、第1挟持部40aは基板24aに当接して押圧し、第2挟持部40bはアンテナ保持部23fの当接面23iに当接して押圧する。これにより、クリップ40は、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持した状態となる。なお、第1挟持部40a及び第2挟持部40bの弾性変形量は、同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも大きい場合である。同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも小さい場合は、間隙A1が寸法B1+B2よりも大きくなるように第1挟持部40a及び第2挟持部40bを弾性変形させることで、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持させることができる。
【0034】
図8は、クリップ40の変形例1の構成を示す斜視図である。図9は、変形例1にかかるクリップ40と第2の筐体23の要部断面図である。変形例1にかかるクリップ40は、図9に示す延出部40dの長さC1を、図7に示す延出部40dの長さC2よりも長くしたものである。延出部40dの長さC1を長くすることにより、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持させる際、ユーザーは延出部40dを指で把持しやすく及び/または変形に際してのモーメントが増大するため、クリップ40を変形させやすくなる。したがって、クリップ40を基板24a及びアンテナ保持部23fに挟持させやすくなる。
【0035】
図10は、第2の筐体23における側部23bと側部23dとの交点近傍の要部平面図である。図11は、図10におけるZ−Z部の断面図である。図12は、クリップ40と第2の筐体23の分解断面図である。図10〜図12に示すように、クリップ40の第2挟持部40b近傍を第2の筐体23の一部に圧入して、クリップ40を第2の筐体23に保持する構成としてもよい(変形例2)。図10〜図12に示す第2の筐体23は、図5に示す第2の筐体23に、円筒形状の突起部23mを追加したものである。図12に示すように、クリップ40の延出部40dの幅寸法C1と、突起部23mとアンテナ保持部23fとの間隙D1とは、
C1≧D1
の関係にある。したがって、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持する際、第2挟持部40bと延出部40dとの間の部分はアンテナ保持部23fと突起部23mとの間の部分に圧入される。このような構成とすることにより、クリップ40を、挟持位置でさらに強く保持することができ、アンテナモジュール24の変位をさらに抑制することができる。また、クリップ40が第2の筐体23から脱落しにくくすることができる。
【0036】
図13は、ネジ孔23nが形成された突起部23mを備えた筐体の平面図である。図14は、図13におけるZ−Z部の断面図である。突起部23mは、クリップ40を保持するためだけでなく、例えば図13及び図14に示すようにネジ孔23nを備えた構成とすることができる(変形例3)。ネジ孔23nは、第1の筐体21と第2の筐体23とをネジで互いに固着する際に、ネジが螺結されるものである。このような構成とすることにより、突起部23mとネジ孔23nとを同一部位に設けることができるので、第2の筐体23を小型化することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、クリップ40は樹脂製としたが、金属などの導体で形成することができる。クリップ40を導体で形成することで、例えば、アンテナモジュール24の基板24aの表面24dにもグランドパターンが備わる場合に、そのグランドパターンを接地電位にすることができる。具体的には、基板24aの表面24dにおけるグランドパターンにクリップ40の第1挟持部40aを接触させ、アンテナ保持部23fにクリップ40の第2挟持部40bを接触させることで、表面24dにおけるグランドパターンと金属製のアンテナ保持部23fとを電気的に接続することができ、グランドパターンを接地電位にすることができる。
【0038】
また、基板24aの表面24dにおけるクリップ40の第1挟持部40aが当接する部位、およびアンテナ保持部23fにおけるクリップ40の第2挟持部40bが当接する部位を、摩擦係数が高い形状(微小な凹凸等)としてもよい。このような構成とすることで、クリップ40の矢印Dに示す方向への変位をさらに困難とすることができ、アンテナモジュール24の位置を安定させることができる。図10〜図12に示す構成では、さらに突起部23mの円筒面を、摩擦係数が高い形状とすることが好ましい。なお、アンテナ保持部23f及び突起部23mにおける摩擦係数が高い部分は、第2の筐体23の成型時に同時に形成することができるため、部品点数の増加もなく、ノートパソコンを組み立てる際の工数の増加もない。また、基板24aの表面24dにおける摩擦係数が高い部分は、樹脂を成型して基板24aを作製する際に同時に形成することができるため、部品点数の増加もなく、ノートパソコンを組み立てる際の工数の増加もない。
【0039】
また、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくとも電気回路基板、およびそれを保持する筐体を備えた電子機器であればよい。
【0040】
また、本実施の形態におけるグランドパターン24cは、接地部の一例である。本実施の形態における基板24aは、基板の一例である。本実施の形態におけるアンテナ保持部23fは、保持部の一例である。本実施の形態における第2の筐体23は、筐体の一例である。本実施の形態におけるクリップ40は、把持部材の一例である。本実施の形態における第1挟持部40aは、第1挟持部の一例である。本実施の形態における第2挟持部40bは、第2挟持部の一例である。本実施の形態における突起部23mは、突起部の一例である。
【0041】
(実施の形態2)
〔1.電子機器の構成〕
図15は、第2の状態にあるノートパソコンの斜視図である。ノートパソコンは、第2の本体2を図1に示す位置(第1の状態)から矢印Aに示す方向へ回動させることで、図15に示すように液晶ディスプレイディスプレイデバイス4とキーボード5とが近接対向した第2の状態へ移行させることができる。
【0042】
図16は、第2の本体2の分解斜視図である。図17は、アンテナモジュールが保持された第2の筐体の底部23a側を見た平面図である。第2の本体2は、図16に示すように、第1の筐体21、液晶パネル22、第2の筐体23、アンテナモジュール24を備えている。なお、実際の第2の本体2は、図16に示す構成の他、液晶パネル22に通電を行う配線などを備えているが、図示を明瞭にするために描画を省略した。また、図16及び図17において、図2に示す構成と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0043】
第2の筐体23は、樹脂や金属で形成することができ、本実施の形態では耐衝撃性を向上するためにマグネシウムで形成されている。第2の筐体23は、第2の本体2を薄型化あるいは軽量化するために肉厚は数ミリ程度に薄く形成されている。第2の筐体23は、底部23a、第1の側部23b、第2の側部23c、第3の側部23d、第4の側部23eを備えている。底部23aは、液晶パネル22の背面(表示面22aの裏面)に対向配置される。第1の側部23b、第2の側部23c、第3の側部23d、第4の側部23eは、底部23aを囲むように、底部23aの外周縁に立設されている。第2の側部23cは、一対のヒンジ部3(図1参照)を結ぶ線分に略平行でかつ最も近い側部である。第1の側部23bは、第2の側部23cに略平行でかつ第2の側部23cに対向する位置に形成された側部である。第3の側部23dと第4の側部23eとは、互いに対向し、それぞれ両端が第1の側部23bと第2の側部23cとに結合している。
【0044】
第2の筐体23は、樹脂部2bを備えている。樹脂部2bは、第2の筐体23におけるアンテナモジュール24を配置する場所に配されている。樹脂部2bは、樹脂に限らず、少なくともアンテナモジュール24における電波の送受信を妨害しない材料で形成されていればよい。樹脂部2bは、第1の側部23bの長手方向の全域に亘って配されていてもよいし、第1の側部23bの長手方向の一部(アンテナモジュール24が配される場所)に形成されていてもよい。
【0045】
第2の本体2を組み立てる際は、図17において、まず、液晶パネル22を第1の筐体21の枠部21aの裏面に接着剤や両面テープ等で接着固定する。この時、表示面22aの有効表示エリアの全てまたは一部が、第1の筐体21の開口部21bで規定されるように配置する。すなわち、表示面22aに表示される画像を、開口部21bを通して外部から目視可能となるように、液晶パネル22を第1の筐体21に配置する。
【0046】
次に、アンテナモジュール24を第2の筐体23に形成されたアンテナ保持領域23j(図18を参照して後述する)に重なる位置に保持する。具体的には、アンテナモジュール24は、長手方向の一方の端部がクリップ40によりアンテナ保持部23fとともに挟持され、長手方向の他方の端部がアンテナ保持部23gに保持される。なお、クリップ40の構成や、アンテナモジュール24の具体的な保持構造については後述する。
【0047】
〔2.アンテナモジュール24の保持構造〕
図18は、図17におけるC部の拡大平面図である。図19Aは、図18におけるZ−Z部の断面図である。図19Bは、図18におけるA−A部の断面図である。
【0048】
図18に示すように、アンテナ保持領域23jは、第2の筐体23の底部23aにおける側部23bと側部23dとの交点近傍に形成されている。アンテナ保持領域23jは、例えば樹脂などのように電波を阻害しない材質で形成されている。アンテナ保持領域23jは、アンテナ保持部23fがアンテナモジュール24を保持している状態において、少なくともアンテナモジュール24の送受信部24eと重なる領域である。アンテナ保持領域23jには、アンテナ保持部23gが形成されている。アンテナ保持領域23jの近傍には、アンテナ保持部23fが形成されている。アンテナ保持部23f及び23gと第2の筐体23の側部23bとの間には、少なくともアンテナモジュール24の基板24aを配置可能な隙間を有する。
【0049】
図19Aに示すように、アンテナ保持部23fは、基板24aに備わるグランドパターン24cが当接可能な当接面23hを有する。金属部2aは、端部が側部23bと樹脂部2bとに挟持されている。本実施の形態では、アンテナ保持部23fを第2の筐体23の金属部2aと同一材質で構成しているため、当接面23hも金属が露出している。
【0050】
なお、第2の筐体23は、本実施の形態では金属部2aと樹脂部2bとで構成したが、少なくともアンテナモジュール24のグランドパターン24cが接する部分が導体で形成されていればよい。また、第2の筐体23は、少なくとも当接面23hを除く部分が絶縁体で被膜されていてもよい。当接面23hに露出している金属部分は、アンテナモジュール24のグランドパターン24cを電気的に接触させることで、アンテナモジュール24のグランドパターン24cを接地電位にすることができる。アンテナ保持部23fは、クリップ40の第2挟持部40b(後述)を当接可能な当接面23iを有する。
【0051】
また、アンテナモジュール24は、図18に示すように、長手方向の一方の端部がアンテナ保持部23fと側部23bとの間に位置してクリップ40により挟持されるとともに、長手方向の他方の端部がアンテナ保持部23gと側部23bとの間に保持される。
【0052】
また、図19Bに示すように、アンテナモジュール24は、基板24aの一方の主平面に送受信部24eを備えている。送受信部24eは、電磁波を外部へ送信したり、外部から送信される電磁波を受信することができる。アンテナモジュール24は、送受信部24eが側部23bに対向する姿勢で配置されている。側部23bは電波を阻害しない材質で形成されていることが好ましい。したがって、側部23bが、送受信部24eにおける電磁波の送信及び受信に与える影響(妨害)を、軽減することができる。
【0053】
基板24aには、同軸ケーブル24bが図18に示すように半田付けにより接続されている(半田付け部24f)。同軸ケーブル24bは、第2の筐体23の側部23b及び23dに沿って引き回され、第1の本体1(図1参照)に内蔵されている電気回路基板(不図示)に電気的に接続され、電磁波の送信及び受信を担う配線である。
【0054】
図20は、クリップ40と第2の筐体23との分解断面図である。クリップ40は、全体がバネ性を持った薄肉の樹脂または金属で形成されている。なお、クリップ40は、アンテナモジュール24の送受信特性に対して影響があるような場合は、樹脂などの絶縁性材料で形成することが可能である。クリップ40は、図20に示すように、基板24aとアンテナ保持部23fとを挟持する挟持部40a及び40bを備えている。具体的には、クリップ40の第1挟持部40aで基板24aの表面24d(基板24aにおいてグランドパターン24cが備わる面を「裏面」とした場合)側を保持し、第2挟持部40bでアンテナ保持部23fの当接面23i側を保持している。また、クリップ40は、図20に示すように、自由状態(無負荷状態)における第1挟持部40aと第2挟持部40bとの間隙A1と、基板24aの厚さB1(グランドパターン24cの厚さを含む)と、アンテナ保持部23fの厚さB2とは、
A1≦(B1+B2)
の関係にある。なお、第2の筐体23の側部23bとアンテナ保持部23fとの間隙B3と、基板24aの厚さB1と、クリップ40における第1挟持部40aの厚さA2とは、
B3>(B1+A2)
の関係にある。これにより、アンテナ保持部23fと側部23bとの間に、基板24aとクリップ40の第1挟持部40aとを配置することができる。
【0055】
クリップ40でアンテナ保持部23fと基板24aとを挟持する場合は、まず、間隙A1が少なくとも寸法B1と同軸ケーブル24bの直径との和よりも大きくなるように、第1挟持部40aを矢印Gに示す方向へ弾性変形させ、第2挟持部40bを矢印Hに示す方向へ弾性変形させる。なお、本実施の形態における第1挟持部40a及び第2挟持部40bの弾性変形量は、同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも大きい場合である。同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも小さい場合は、間隙A1が寸法B1+B2よりも大きくなるように第1挟持部40a及び第2挟持部40bを弾性変形させることで、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持させることができる。
【0056】
次に、第1挟持部40a及び第2挟持部40bをそれぞれ矢印G及びHに示す方向へ押し広げながらクリップ40を矢印Eに示す方向へ移動させ、第1挟持部40aを側部23bと基板24aとの間に挿入し、第2挟持部40bをアンテナ保持部23fの当接面23iに対向する位置へ移動させる。このとき、第1挟持部40aの先端が底部23aに当接するまで、クリップ40を矢印Eに示す方向へ移動させる。これにより、クリップ40の位置が決まる。なお、本実施の形態では、第1挟持部40aの先端が底部23aに当接する位置でクリップ40を位置決めする構成としたが、第1挟持部40aと第2挟持部40bとが底部23aに当接する位置でクリップ40を位置決めする構成としてもよい。
【0057】
次に、第1挟持部40a及び第2挟持部40bを、押し広げた状態から解放する。これにより、クリップ40は、元の形状に戻ろうとする力が働き、図19Aに示すように第1挟持部40aは基板24aの表面24dに当接して押圧し、第2挟持部40bはアンテナ保持部23fの当接面23iに当接して押圧する。すなわち、クリップ40は、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持する状態となる。クリップ40は、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持しているとき、
A1=(B1+B2)
の関係を有する形状に変形した状態で、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持している。
【0058】
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持しているため、アンテナモジュール24がアンテナ保持部23fから離脱する方向(第1の側部23bとアンテナ保持部23fとの隙間から抜け出る方向)へ変位しにくくなり、位置が安定する。よって、第2の本体2に対して衝撃や振動などが加わったとしても、アンテナモジュール24は変位しにくいため、アンテナモジュール24における送受信特性の変化を抑えることができる。また、基板24aにおけるグランドパターン24cとアンテナ保持部23fとが離間する可能性が低いため、アンテナモジュール24の接地状態を安定させることができる。
【0059】
また、クリップ40で、アンテナモジュール24を第2の筐体23に保持する構成であるため、クリップ40を第2の筐体23に固定する手段(ネジや半田等)が不要であり、部品点数を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
【0060】
また、アンテナモジュール24を第2の筐体23に保持させる際、ネジ止めや半田付けなどの工程が不要であるため、組立工数を削減し、組立性を向上することができる。
【0061】
また、第2の筐体23に樹脂部2bを備えたことにより、アンテナモジュール24の送受信特性に与える影響を抑えることができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、図19A等に図示しているように、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持している状態において、クリップ40と同軸ケーブル24bとの間に隙間を有しているが、クリップ40と同軸ケーブル24bとは当接する構成としてもよい。クリップ40と同軸ケーブル24bとを当接させることにより、同軸ケーブル24bの位置が安定し、例えば基板24aと同軸ケーブル24bとの接続部(半田付け部)に歪み、または衝撃等に対し外乱等がかかることを抑制することができる。よって、基板24aと同軸ケーブル24bとの接続部における歪み等に起因する接続不良などの防止、または衝撃などに対する耐性の向上等をすることができる。
【0063】
また、本実施の形態ではアンテナモジュール24の送受信部24eと第1の本体1に内蔵されている電気回路基板とを接続する接続配線として同軸ケーブル24bを適用した場合について説明したが、送受信部24eと電気回路基板とを導通する接続配線であれば適用可能である。
【0064】
また、図20の矢印Eに示すように、クリップ40を底部23aの略直交する方向に変位させて基板24aとアンテナ保持部23fとを挟持させる構成としたが、底部23aの面方向に変位させて挟持させることもできる。具体的には、まず、同軸ケーブル24bの例えばF部近傍(図18参照)において、クリップ40の湾曲部40c内に同軸ケーブル24bを挿入する。次に、クリップ40を同軸ケーブル24bに沿って、基板24a側へ移動させ、第1挟持部40aを基板24aと側部23bとの間に挿入し、他方の端部40bをアンテナ保持部23fの当接面23i側へ移動させる。この時、クリップ40は、自由状態における挟持部40a及び40bの間隙A1が、基板24aの厚さB1と同軸ケーブル24bの直径との和よりも小さいため、間隙A1が寸法B1と同軸ケーブル24bの直径との和よりも大きくなるように第1挟持部40a及び第2挟持部40bを弾性変形させながら、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持する位置へ移動させる。第1挟持部40aを基板24aと側部23bとの間に挿入し、他方の端部40bをアンテナ保持部23fの当接面23i側へ移動させた後、クリップ40の弾性変形を解放することによって、第1挟持部40aは基板24aに当接して押圧し、第2挟持部40bはアンテナ保持部23fの当接面23iに当接して押圧する。これにより、クリップ40は、基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持した状態となる。なお、第1挟持部40a及び第2挟持部40bの弾性変形量は、同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも大きい場合である。同軸ケーブル24bの直径が寸法B2よりも小さい場合は、間隙A1が寸法B1+B2よりも大きくなるように第1挟持部40a及び第2挟持部40bを弾性変形させることで、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持させることができる。
【0065】
図21は、変形例1(図8参照)にかかるクリップ40と第2の筐体23の要部断面図である。図21に示すように延出部40dの長さC1を長くすることにより、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持させる際、ユーザーは延出部40dを指で把持しやすく及び/または変形に際してのモーメントが増大するため、クリップ40を変形させやすくなる。したがって、クリップ40を基板24a及びアンテナ保持部23fに挟持させやすくなる。
【0066】
また、図22〜図24に示すように、クリップ40の第2挟持部40b近傍を第2の筐体23の一部に圧入して、クリップ40を第2の筐体23に保持する構成としてもよい(変形例2)。図22は、第2の筐体23における側部23bと側部23dとの交点近傍の要部平面図である。図23は、図22におけるZ−Z部の断面図である。図24は、クリップ40と第2の筐体23の分解断面図である。図22〜図24に示す第2の筐体23は、図19Aに示す第2の筐体23に、円筒形状の突起部23mを追加したものである。図24に示すように、クリップ40の延出部40dの幅寸法C1と、突起部23mとアンテナ保持部23fとの間隙D1とは、
C1≧D1
の関係にある。したがって、クリップ40で基板24a及びアンテナ保持部23fを挟持する際、第2挟持部40bと延出部40dとの間の部分はアンテナ保持部23fと突起部23mとの間の部分に圧入される。このような構成とすることにより、クリップ40を、挟持位置でさらに強く保持することができ、アンテナモジュール24の変位をさらに抑制することができる。また、クリップ40が第2の筐体23から脱落しにくくすることができる。
【0067】
図25は、ネジ孔23nが形成された突起部23mを備えた筐体の平面図である。図26は、図25におけるZ−Z部の断面図である。突起部23mは、クリップ40を保持するためだけでなく、例えば図25及び図26に示すようにネジ孔23nを備えた構成とすることができる(変形例3)。ネジ孔23nは、第1の筐体21と第2の筐体23とをネジで互いに固着する際に、ネジが螺結されるものである。このような構成とすることにより、突起部23mとネジ孔23nとを同一部位に設けることができるので、第2の筐体23を小型化することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、クリップ40は樹脂製としたが、金属などの導体で形成することができる。クリップ40を導体で形成することで、例えば、アンテナモジュール24の基板24aの表面24dにもグランドパターンが備わる場合に、そのグランドパターンを接地電位にすることができる。具体的には、基板24aの表面24dにおけるグランドパターンにクリップ40の第1挟持部40aを接触させ、アンテナ保持部23fにクリップ40の第2挟持部40bを接触させることで、表面24dにおけるグランドパターンと金属製のアンテナ保持部23fとを電気的に接続することができ、グランドパターンを接地電位にすることができる。
【0069】
また、基板24aの表面24dにおけるクリップ40の第1挟持部40aが当接する部位、およびアンテナ保持部23fにおけるクリップ40の第2挟持部40bが当接する部位を、摩擦係数が高い形状(微小な凹凸等)としてもよい。このような構成とすることで、クリップ40の矢印Dに示す方向への変位をさらに困難とすることができ、アンテナモジュール24の位置を安定させることができる。図22〜図24に示す構成では、さらに突起部23mの円筒面を、摩擦係数が高い形状とすることが好ましい。なお、アンテナ保持部23f及び突起部23mにおける摩擦係数が高い部分は、第2の筐体23の成型時に同時に形成することができるため、部品点数の増加もなく、ノートパソコンを組み立てる際の工数の増加もない。また、基板24aの表面24dにおける摩擦係数が高い部分は、樹脂を成型して基板24aを作製する際に同時に形成することができるため、部品点数の増加もなく、ノートパソコンを組み立てる際の工数の増加もない。
【0070】
なお、突起部23mは、何れも円筒形状として説明したが、クリップ40を装着した時に延出部40dが接する面に、延出部40dに対して平行な平面を備えてもよい。この構成とすることで、突起部23mの平面と延出部40dとの接触面積が増えるため、クリップ40の脱落をより確実に抑制することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、配線部分における50Ωインピーダンスを保ちつつノイズ低減のため同軸ケーブル24bを適用したが、インピーダンス整合がとれた配線であれば形状は問わない。
【0072】
また、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくとも電気回路基板、およびそれを保持する筐体を備えた電子機器であればよい。
【0073】
また、本実施の形態におけるグランドパターン24cは、接地部の一例である。本実施の形態における基板24aは、基板の一例である。本実施の形態におけるアンテナ保持部23fは、保持部の一例である。本実施の形態における第2の筐体23は、筐体の一例である。本実施の形態におけるクリップ40は、把持部材の一例である。本実施の形態における第1挟持部40aは、第1挟持部の一例である。本実施の形態における第2挟持部40bは、第2挟持部の一例である。本実施の形態における突起部23mは、突起部の一例である。本実施の形態におけるアンテナ保持領域23jは、アンテナ回路と重なる領域の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本願は、電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0075】
23 第2の筐体
23f アンテナ保持部
23m 突起部
24 アンテナモジュール
24a 基板
24b 同軸ケーブル
24c グランドパターン
40 クリップ
40a 第1挟持部
40b 第2挟持部
40c 湾曲部
40d 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を送受信するアンテナ回路と、前記アンテナ回路を電気的に接地する接地部とを備えた基板と、
前記基板を保持する保持部が一体形成された筐体と、を備えた電子機器であって、
前記筐体における少なくとも前記保持部は、導体で形成され、
前記接地部と前記保持部とを当接させた状態で、前記保持部と前記基板とを挟持する把持部材を備えた、電子機器。
【請求項2】
前記把持部材は、弾性変形可能である、請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記把持部材は、
弾性変形可能であり、
前記基板に当接可能な第1挟持部と、前記保持部に当接可能な第2挟持部とを備え、
前記第1挟持部と前記第2挟持部との間隔は、前記保持部の厚さと前記基板の厚さとの和よりも小さい、請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記筐体は、前記保持部の近傍に突起部を備え、
前記突起部と前記保持部は、前記把持部材の前記第2挟持部側を挟持する、請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記筐体は、
前記保持部が前記基板を保持している状態において、前記アンテナ回路と重なる領域が、電波を阻害しない材質で形成されている、請求項1記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−19497(P2012−19497A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221612(P2010−221612)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】