説明

電子機器

【課題】防水構造を有する電子機器の筐体外部を光らせる場合に、一部分だけ強く光ってしまうことを防ぐこと。
【解決手段】複数のパネルから構成される筐体を備える電子機器1であって、第一のパネル32及び第二のパネル33に、止水部材41,42を介して挟持される光透過ケース2を有し、第一のパネル32と第二のパネル33及び止水部材41,42により止水される領域に、光を発する光源13〜23と、入射された方向とは異なる方向に光を出射する導光部材11,12と、を備え、光透過ケース2は、導光部材11,12が出射した光を止水されている領域の外部へ導光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
防水構造を有する携帯通信装置において、下記先行技術文献には、筐体内部に備えた光源からの光が導光部材を介して保護パネルから外部に導光される構造を備え、当該保護パネルが筐体に設けられた開口部の止水部材をまたぐように備えられることで、止水性を保持しつつ外部に光を導光する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−284683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防水構造を有する電子機器の筐体外部を光らせたい場合、上述の先行技術を用いると、一部分だけが強く光ってしまうという課題があった。光源、導光部材、保護パネルが直線的に配置されており、当該光源の真上だけが強く光ってしまうためである。また、導光部の保護パネルと対向する位置に光源を備えることになるため、当該光源を設置する領域も必要となることから、筐体が大型化してしまうという課題もあった。
【0005】
防水構造を有する電子機器の筐体外部を光らせる場合に、一部分だけ強く光ってしまうことを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この電子機器は、光を発する光源を筐体の内部に備えた電子機器であって、前記筐体の内部に設けられ、入射された方向とは異なる方向に前記光を出射する導光部材と、前記筐体の外部に面し、前記導光部材が出射した光が入射される光透過ケースを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この電子機器によれば、防水構造を有する筐体の外部を光らせる場合に、一部分だけ強く光ってしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例にかかる電子機器を示す正面図である。
【図2】図2は、実施例にかかる電子機器の光透過ケースの内側を示す正面図である。
【図3】図3は、実施例にかかる電子機器を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、図1の切断線A−A’における要部断面図である。
【図5】図5は、図1の切断線B−B’における要部断面図である。
【図6】図6は、図1の切断線C−C’における要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この電子機器の好適な実施の形態を詳細に説明する。電子機器は、筐体内に光源と、入射方向とは異なる方向に光を出射する導光部材とを備え、筐体の外部に面して、導光部材が出射した光が入射される光透過ケースを備えるものである。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
(実施例1)
図1は、実施例にかかる電子機器を示す正面図である。図1に示すように、電子機器1は、光透過ケース2を備えている。光透過ケース2は、発光部3を備えている。発光部3は、2つの辺部4,5と、この2つの辺部4,5によって形成される角部6と、を含む。また、発光部3は、さらに2つの辺部7,8と、この2つの辺部7,8によって形成される角部9と、を含んでいてもよい。ここでは、発光部3が、2つの辺部7,8及び角部9を含んでいるとして説明する。
【0011】
図2は、実施例にかかる電子機器の光透過ケースの内側を示す正面図である。図2に示すように、電子機器1は、導光部材11,12、第1の光源13〜20及び第2の光源21〜23を備えている。導光部材11は、光透過ケース2の辺部4,8に沿って入射された光を導光する。導光部材12は、光透過ケース2の辺部5,7に沿って入射された光を導光する。導光部材11,12に入射された光は、導光部材11,12を取り囲む壁面で反射され、唯一の出口である光透過ケース2側に出射する。
【0012】
第1の光源13〜16は、導光部材11に入射される光を発する。第1の光源13,14から発せられた光は、発光部3の辺部4から光透過ケース2の外部へ出射する。第1の光源15,16から発せられた光は、発光部3の辺部8から光透過ケース2の外部へ出射する。第1の光源17〜20は、導光部材12に入射される光を発する。第1の光源17,18から発せられた光は、発光部3の辺部7から光透過ケース2の外部へ出射する。第1の光源19,20から発せられた光は、発光部3の辺部5から光透過ケース2の外部へ出射する。
【0013】
第2の光源21,22は、光透過ケース2の角部6に向かって光を照射する。第2の光源21,22から発せられた光は、光透過ケース2の内側から角部6の外側へ出射する。第2の光源23は、光透過ケース2の角部9に向かって光を照射する。第2の光源23から発せられた光は、光透過ケース2の内側から角部9の外側へ出射する。
【0014】
実施例1によれば、導光部材11,12が、導光部材11,12に入射された光をその入射方向とは異なる方向に出射するので、防水構造を有する筐体の外部を光らせる場合に、一部分だけ強く光ってしまうことを防ぐことができる。また、導光部材11,12により導光された光が光透過ケース2の辺部4,5,7,8から外部へ出射し、光透過ケース2の角部6,9に向かって照射された光が光透過ケース2の内側から角部6,9の外側へ出射するので、発光部3の辺部4,5,7,8と角部6,9とを均一に光らせることができる。従って、電子機器1の光透過ケース2の全周に渡って縁部を均一に光らせることができる。
【0015】
なお、図2に示す例では、導光部材11の、光透過ケース2の辺部4に沿う部分に2つの第1の光源13,14から光が入射しているが、第1の光源13の光のみを入射させるようにしてもよい。同様に、導光部材12の、光透過ケース2の辺部7に沿う部分に第1の光源17の光のみを入射させるようにしてもよい。また、光透過ケース2の辺部4,5,7,8及び角部6,9を照射する光源の数は、図2に示す例に限らない。
【0016】
(実施例2)
電子機器の一例として、例えば携帯電話機が挙げられる。実施例2では、携帯電話機は、特に限定しないが、例えば折りたたみ式の電話機であってもよい。図1に示すように、折りたたみ式の携帯電話機では、例えば実施例1において電子機器1としたものは、この電子機器1としたものに重ね合わされる電話機本体にヒンジ部10によって開閉可能に取り付けられている。
【0017】
図2に示すように、第1の光源15,16から発せられた光の一部は、導光部材11によって、光透過ケース2の2つの辺部4,8によって形成される角部26へ導光される。この角部26へ導光された光は、発光部3の角部26から光透過ケース2の外部へ出射する。導光部材11の、第1の光源15,16に対向する縁部は、例えば波状に形成されていてもよい。そうすれば、第1の光源15,16から発せられた光を、光透過ケース2の辺部8及びこの辺部8の両端の角部9,26へ向かうように拡散させることができる。
【0018】
第1の光源19,20から発せられた光の一部は、導光部材12によって、光透過ケース2の2つの辺部5,7によって形成される角部27へ導光される。この角部27へ導光された光は、発光部3の角部27から光透過ケース2の外部へ出射する。導光部材12の、第1の光源19,20に対向する縁部は、例えば波状に形成されていてもよい。そうすれば、第1の光源19,20から発せられた光を、光透過ケース2の辺部5及びこの辺部5の両端の角部6,27へ向かうように拡散させることができる。
【0019】
図3は、実施例にかかる電子機器を示す分解斜視図である。図3に示すように、電子機器1において、第1の光源13〜20及び第2の光源21〜23は、基板31に取り付けられている。第1の光源13〜20及び第2の光源21〜23の一例として、例えばLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)が挙げられる。基板31は、電子機器1の本体となる第一のパネル32に取り付けられる。導光部材11,12は、基板31に取り付けられる。
【0020】
図示省略したが、基板31には種々の電子部品が取り付けられていてもよい。光透過ケース2は、間に止水部材41を挟んで第一のパネル32に取り付けられる。光透過ケース2は、例えば無色または有色の透明な樹脂でできており、光を透過する。光透過ケース2の発光部3の樹脂には、光を反射する物質が分散して混入されていてもよい。そうすれば、発光部3が光る際に、発光部3が輝いて見える。発光部3の樹脂に混入される、光を反射する物質の一例として、例えばラメや着色されたガラスフレークなどが挙げられる。
【0021】
また、発光部3の表面に、ラメまたはガラスフレークを混ぜた光透過インクが形成されていてもよい。すなわち、発光部3の表面がそのような光透過インクで塗装されていてもよい。そうすれば、発光部3を透過する光をラメまたはガラスフレークが反射することで、より広い領域に光を分散することが可能となる。また、発光部3が光る際に、発光部3がインクの色で輝いて見える。なお、光透過ケース2は、例えば無色または有色の透明な硝子でできていてもよい。
【0022】
光透過ケース2の開口部は、間に止水部材42を挟んで取り付けられた第二のパネル33によって塞がれる。第一のパネル32及び第二のパネル33は、例えば光を透過しないようになっていてもよい。
【0023】
図4は、図1の切断線A−A’における要部断面図である。図4に示すように、光透過ケース2の2つの辺部4,5によって形成される角部6に臨む第2の光源21は、この角部6に向かって光を直接照射してもよい。すなわち、図4に二点鎖線で示すように、第2の光源21から発せられた光は、導光部材11,12などの他の部材に入射することなく、直接光透過ケース2に入射する。それによって、第2の光源21から発せられた光の減衰を極力抑えて光透過ケース2の角部6を照らすことができるので、発光部3が光る際に、角部6を辺部4,5と同じように明るく光らせることができる。
【0024】
同じ角部6に臨む第2の光源22についても同様である。また、光透過ケース2の2つの辺部7,8によって形成される角部9に臨む第2の光源23についても同様である。
【0025】
光透過ケース2と第一のパネル32とは、その間に挟み込まれる止水部材41によって水密に固着されている。光透過ケース2と第二のパネル33とは、その間に挟み込まれる止水部材42によって水密に固着されている。第一のパネル32には例えば表示パネル43が納められている。表示パネル43の表面を覆うパネル44と第一のパネル32とは、その間に挟み込まれる止水部材45によって水密に固着されている。
【0026】
図5は、図1の切断線B−B’における要部断面図である。図5に示すように、光透過ケース2の辺部5及び2つの辺部5,7によって形成される角部27を照らす第1の光源19は、導光部材12へ向けて光を発する。すなわち、図5に二点鎖線で示すように、第1の光源19から発せられた光は、導光部材12に入射して導光部材12によって導光され、導光部材12から出射して光透過ケース2に入射する。
【0027】
同じ辺部5及び角部27を照らす第1の光源20についても同様である。また、他の辺部4,7,8及び角部26を照らす第1の光源13〜18についても同様である。
【0028】
図6は、図1の切断線C−C’における要部断面図である。図2に示すように、第1の光源17が発した光は、導光部材12に入射し、導光部材12によって第1の光源18の方向へ導光される。図6に示すように、導光部材12に入射した光は、導光部材12を取り囲む壁面で反射され、矢印で示すように、唯一の出口である光透過ケース2側に出射する。つまり、導光部材12によって、光の進む方向が変わる。そして、導光部材12から出射し、光透過ケース2に入射した光は、光透過ケース2から外部へ出射する。このように導光部材12で光の進む方向が変わるような構成とすることによって、筐体の外部の広い領域を光らせることが可能となる。他の第1の光源18〜20から導光部材11,12に入射する光についても同様である。
【0029】
図4〜図6に示すように、導光部材11,12、第1の光源13〜20及び第2の光源21〜23は、止水部材41,42,45によって止水される領域内に配置されている。従って、電子機器1は防水性能を備えている。
【0030】
実施例2によれば、実施例1と同様に、防水構造を有する筐体の外部を光らせる場合に、一部分だけ強く光ってしまうことを防ぐことができる。また、導光部材11,12により導光された光が光透過ケース2の辺部4,5,7,8及び角部26,27から外部へ出射し、光透過ケース2の角部6,9に向かって照射された光が光透過ケース2の内側から角部6,9の外側へ出射するので、発光部3の辺部4,5,7,8と角部6,9,26,27とを均一に光らせることができる。従って、電子機器1の光透過ケース2の全周に渡って縁部を均一に光らせることができる。
【0031】
なお、電子機器は、携帯電話機に限らず、パーソナルコンピュータ等の電子計算機や、携帯型音声録音再生機や、テレビ受像機等の家庭電化製品や、ゲーム機等の玩具など、ケース内部の光源の光によってケースの例えば全周に渡って設けられた発光部が光るものであれば、いかなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 電子機器
2 光透過ケース
11,12 導光部材
13〜23 光源
32 第一のパネル
33 第二のパネル
41,42 止水部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルから構成される筐体を備える電子機器であって、
第一のパネル及び第二のパネルに、止水部材を介して挟持される光透過ケースを有し、
前記第一のパネルと前記第二のパネル及び前記止水部材により止水される領域に、光を発する光源と、入射された方向とは異なる方向に前記光を出射する導光部材と、を備え、
前記光透過ケースは、前記導光部材が出射した前記光を前記領域の外部へ導光することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記光透過ケースには、ラメまたは着色されたガラスフレークが分散されている、あるいは前記ラメまたは前記ガラスフレークを混ぜた光透過インクが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−199657(P2012−199657A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61132(P2011−61132)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】