説明

電子機器

【課題】電池収容部に設けられたカード収容部に、容易にカードを収容できる電子機器を提供する。
【解決手段】電池収容部24の内壁部241に設けられたカード収容部30の前方の電池収容部24の底面242に凸部33を設け、凸部33の突出寸法H1を、底面242からカード収容部30の挿脱開口31の下端縁までの高さH2以下とした。このため、カード13をカード収容部30に収容する際に、カード13の先端を持ち上げることなく、凸部33に沿ってカード収容部30の挿脱開口31に挿入することができるので、カード収容部30に容易にカード13を収容できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池収容部の内壁部にカード収容部の挿脱開口を有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器である携帯端末では、SIMカードやメモリカードが、筐体内部に収容されている(例えば、特許文献1参照)。
図8に示すように、特許文献1に記載の携帯端末装置100では、筐体101にバッテリー収容部102が設けられている。バッテリー収容部102は、携帯端末装置100に対して電力を供給するバッテリー(図示省略)を収容し固定し、バッテリーはバッテリーカバー(図示省略)によりカバーされる。
【0003】
バッテリー収容部102には、SIMカード収容部103が設けられている。SIMカード収容部103は、基板104に固定され電気的に接続されているSIMコネクター105を有し、SIM(Subscriber Identity Module)カード(図示省略)を収容する。SIMカード収容部103では、SIMコネクター105の端子部とSIMカードの端子部が電気的に接続する。
そして、SIMカード収容部103にSIMロック106を設けた。SIMロック106は、SIMカード収容部103に、取り付けられる板金107で構成され、板金107の中央部に複数の板金バネ108を有する。
これにより、SIMカードは、SIMカード収容部103への収容時にSIMコネクター105の端子部105Aと板金107の板金バネ108との間に挟まれて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4539490号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、携帯端末の薄型化を図るために、カード収容部をバッテリー収容部の内壁部に設けることが行われている。
この場合、回路基板との位置関係から、カードをカード収容部に挿入する開口が、電池収容部の底面より高い位置に設けられているので、カードを少し持ち上げた状態で開口に挿入しなければならず挿入しづらいという問題があった。
特に、カードが小さいため、指で持って挿入するのが困難であった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、電池収容部に設けられたカード収容部に、容易にカードを収容できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体に設けられた電池収容部と、前記電池収容部の内壁部に設けられたカード収容部と、前記電池収容部の底面に設けられた凸部と、を備え、前記底面から前記凸部の頂部までの突出寸法が、前記底面から前記カード収容部の挿脱開口下端縁までの収容高さ寸法以下であるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、電池収容部の内壁部に設けられたカード収容部の前方の電池収容部の底面に凸部を設け、凸部の突出寸法を、底面からカード収容部の挿脱開口の下端縁までの高さ以下とした。このため、カードをカード収容部に収容する際に、カードの先端を持ち上げることなく、凸部に沿ってカード収容部の挿脱開口に挿入することができるので、カード収容部に容易にカードを収容できるという効果を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態の電子機器である携帯端末の斜視図
【図2】電池収容部およびカード収容部の斜視図
【図3】図2中III−III位置の断面図
【図4】凸部の高さ寸法と挿脱開口の高さ寸法とシート部材の厚さとの関係を示す概略断面図
【図5】キー装置と凸部との位置関係を示す平面図
【図6】凸部の変形例を示す断面図
【図7】SIMカードの収容状態を示す平面図
【図8】従来の携帯端末装置であり、(A)はSIMロックを外した状態を示す斜視図であり、(B)はSIMロックを取り付けた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態の電子機器について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の電子機器である携帯端末10は、略矩形箱状に形成された第1筐体(筐体)20と、略矩形箱状に形成された第2筐体11と、第1筐体20および第2筐体11をスライド自在あるいは回動自在に連結する連結部(図示省略)とを有する。
従って、この携帯端末10は、連結部を中心として相対的に開閉することにより第1筐体20および第2筐体11が互いに重なり合う携帯状態(図1参照)と、連結部を介して開いた展開状態とを取り得る。
【0011】
第1筐体20は、下面(図1において下面)が開口した薄型矩形箱状のケース21と、ケース21の開口を塞ぐカバー22を有し、カバー22の表面(図1において下面)には操作キー等を備えた操作部が設けられている。
また、第2筐体11は矩形箱状をしており、表面(図1において下面)には、液晶表示板からなる表示部が設けられている。
【0012】
第1筐体20のケース21の底面(図1においては上面)211における長手方向の一方の側(後側)には、電池パック23を収容する電池収容部24が設けられている。電池収容部24には、外側(ケース21の外部側)に第1蓋部材25が設けられ、第1蓋部材25の内側(ケース21の内部側)に第2蓋部材26が設けられている。
第1蓋部材25は、第1筐体20の長手方向にスライドさせることにより、着脱可能に取り付けられる。
【0013】
第2蓋部材26は、電池収容部24を防水して電池パック23を水から保護するための部材であり、ヒンジ部12を介して第1筐体20に対して回動可能に設けられている。第2蓋部材26は矩形板状の部材であり、外周縁に沿ってパッキン27が取り付けられている。パッキン27は電池収容部24の開口を全周にわたって密閉する。
【0014】
図2に示すように、電池収容部24の前側の内壁部241における幅方向端部寄りには、SDカード等のカード13を収容するカード収容部30が設けられている。カード収容部30にカード13を出し入れする挿脱開口31は、カード収容部30の後側に開口している。挿脱開口31に隣接して、電池収容部24の前側の内壁部241における幅方向中央側には、電池パック23を電気的に接続するための複数の接続端子32が電池収容部に突出して設けられている。
また、電池収容部の底面242には、部品名称や製造年月日等の情報を記載したシート部材28が、貼設されている。
【0015】
図2および図3に示すように、電池収容部24の底面242におけるカード収容部30の挿脱開口31の後側(電池収容部24側)には、一対の凸部33、33が設けられている。
図4に示すように、凸部33は、底面242から凸部33の頂部までの突出寸法H1が、底面242からカード収容部30の挿脱開口31下端縁までの収容高さ寸法H2以下となるように設定する。さらに、凸部33の高さは、シート部材28の厚さ寸法T以上とする。
すなわち、H2>H1>T に設定する。
【0016】
図2に示すように、凸部33は挿脱開口31の幅方向両端部に対応して設けられており、例えば、半球状とすることができる。あるいは、少なくとも挿脱開口31と反対側部分(すなわち、後側半分)を球状とすることができる。
なお、凸部33は、電池収容部24の底面242に貼設されているシート部材28に干渉しない位置に設ける。
【0017】
次に、カード13の挿入方法について説明する。
図2に示すように、カード13を電池収容部24の底面242に載置し、カード13の側面に設けられているガイド部131、132を、電池収容部24の側面243に接触させる。この状態で、指でカード13を押圧して、前方(図2中矢印A方向)へスライドさせる。
このとき、カード13の先端部は、凸部33により上方へ持ち上げられ(図4参照)、先端部がカード収容部30の挿脱開口31へ向かう。
さらに、カード13を前方へスライドさせて、カード13を挿脱開口31からカード収容部30の内部に挿入する。
【0018】
以上、説明した本発明に係る実施形態の電子機器である携帯端末10によれば、電池収容部24の内壁部241に設けられたカード収容部30の前方の電池収容部24の底面242に凸部33を設け、凸部33の突出寸法H1を、底面242からカード収容部30の挿脱開口31の下端縁までの高さH2以下とした。
このため、カード13をカード収容部30に収容する際に、カード13の先端を持ち上げることなく、凸部33に沿ってカード収容部30の挿脱開口31に挿入することができるので、容易にカード13をカード収容部30に収容できる。
【0019】
また、凸部33が、電池収容部24の底面242に貼設されているシート部材28に干渉しない位置に設けられているので、所定の高さを確保するとともに、カード13が滑りにくくなるのを防止できる。
【0020】
また、凸部33の高さは、シート部材28の厚さ寸法T以上とすることにより、カード13を挿脱開口31から取り出す際に、カード13がシート部材28の端部に引っかかるのを防止でき、取り出しやすくすることができる。
【0021】
また、一対の凸部33、33を、挿脱開口31の幅方向両端部に対応して分けて設けた。このため、図5に示すように、第1筐体20における電池収容部24とは反対側面にキー装置34を設けた場合に、キー装置34のキーフラム35と干渉しない位置を選択して設けることができる。
【0022】
なお、本発明の電子機器は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、凸部33を半球状に設けた場合を例示したが、図6に示すように、挿脱開口31に向かう傾斜面331を設けることもできる。
また、凸部33を挿脱開口31の幅方向両端部に対応して一対設けた場合を例示したが、挿脱開口31の幅方向に長い1個の凸部とすることも可能である。この場合には、例えば円柱を長手方向に割った形状とすることができる。
【0023】
また、前述した実施形態では、SDカード等のメモリカードについて例示したが、図7に示すように、電池収容部24の左側端部に収容するSIMカード13Bについても、同様に適用できる。すなわち、カード収容部30Bの挿脱開口31Bの後側(電池収容部24側)には、一対の凸部33B、33Bが設けられている。
これにより、SIMカード13Bを、容易にカード収容部30Bに収容することができる。また、取り出す際に、シート部材28に引っ掛かるのを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、電池収容部の内壁部に設けられたカード収容部の前方の電池収容部の底面に凸部を設け、凸部の突出寸法を、底面からカード収容部の挿脱開口の下端縁までの高さ以下とした。このため、カードをカード収容部に収容する際に、カードの先端を持ち上げることなく、凸部に沿ってカード収容部の挿脱開口に挿入することができるので、カード収容部に容易にカードを収容できるという効果を有し、電池収容部の内壁部にカード収容部の挿脱開口を有する電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0025】
10 携帯端末(電子機器)
20 第1筐体(筐体)
24 電池収容部
241 内壁部
242 底面
30、30B カード収容部
31、31B 挿脱開口
33、33B 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられた電池収容部と、
前記電池収容部の内壁部に設けられたカード収容部と、
前記電池収容部の底面に設けられた凸部と、を備え、
前記底面から前記凸部の頂部までの突出寸法が、前記底面から前記カード収容部の挿脱開口下端縁までの収容高さ寸法以下である電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209889(P2012−209889A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75834(P2011−75834)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】