説明

電子機器

【課題】本体の運搬が容易であり且つ本体を支持台上に自立させることが出来る電子機器において、機器の小型化、軽量化を図る。
【解決手段】本発明に係る電子機器は、薄型の本体1を具え、本体1の背面に、上下方向に延びる昇降路11が凹設され、該昇降路11には昇降体2が昇降可能に収容され、該昇降体2は、本体1の背面に沿って左右に延びる軸回りの回動が可能なハンドル部3と、本体1の背面に沿って左右に延びる軸回りの回動が可能なスタンド部4とを具え、昇降体2の上昇位置にて本体1の背面から離間する方向へハンドル部3の回動が許容される一方、昇降体2の下降位置にて本体1の背面から離間する方向へスタンド部4の回動が許容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機等の電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ等の薄型ディスプレイを具えた表示装置においては、図10に示す如く、本体(7)の背面にハンドル部材(71)を取り付けて、本体(7)の運搬を容易なものとすることが行なわれている。
又、図11に示す如く、本体(7)の背面にスタンド部材(72)を取り付けて、本体(7)を支持台上に自立させることが行なわれている。
【0003】
更に、本体背面の上部にハンドル部材を取り付けると共に、本体背面の下部にスタンド部材を取り付けた表示装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
この様な表示装置によれば、本体の運搬が容易であり、且つ本体を支持台上に自立させることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−350235号公報
【特許文献2】特開2008−46435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハンドル部材とスタンド部材の両方を具えた表示装置においては、本体背面の上部にハンドル部材が取り付けられているために、装置全体の重心が高くなり、この様な表示装置を安定的に自立させるためにスタンド部材が大型化し、ひいては、装置の大型化、大重量化を招く問題があった。
【0006】
そこで本発明は、本体の運搬が容易であり且つ本体を支持台上に自立させることが出来る電子機器において、機器の小型化、軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器は、薄型の本体(1)を具え、該本体(1)の背面に、上下方向に延びる昇降路(11)が凹設され、該昇降路(11)には昇降体(2)が昇降可能に収容されている。
該昇降体(2)は、連結部(5)と、該連結部(5)の上端部に枢支されて本体(1)の背面に沿って左右に延びる軸回りの回動が可能なハンドル部(3)と、該連結部(5)の下端部に枢支されて本体(1)の背面に沿って左右に延びる軸回りの回動が可能なスタンド部(4)とを具え、昇降体(2)の上昇位置にて本体(1)の背面から離間する方向へハンドル部(3)の回動が許容される一方、昇降体(2)の下降位置にて本体(1)の背面から離間する方向へスタンド部(4)の回動が許容される。
【0008】
上記電子機器においては、本体(1)を運搬するときは、昇降体(2)を上昇位置まで上昇させ、その位置でハンドル部(3)を本体(1)の背面から離間させる方向へ回動させる。これによって、ハンドル部(3)が開き、ハンドル部(3)を把持することが可能となる。
又、本体(1)を支持台に自立させるときは、昇降体(2)を下降位置まで下降させ、その位置でスタンド部(4)を本体(1)の背面から離間させる方向へ回動させる。これによって、スタンド部(4)が開き、該スタンド部(4)によって本体(1)を支持台上に自立させることが出来る。
【0009】
上記電子機器によれば、本体(1)を支持台上に自立させるとき、昇降体(2)は下降位置まで下降するので、機器全体の重心位置が低くなる。従って、スタンド部(4)の小型化が可能となり、これによって機器全体が小型化、軽量化されることになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本体の運搬が容易であり且つ本体を支持台上に自立させることが出来る電子機器において、機器の小型化、軽量化を図ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である表示装置においてハンドル部を開いた状態を背面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、該表示装置においてスタンド部を開いた状態を背面側から見た斜視図である。
【図3】図3は、該表示装置において昇降体が上昇位置に設置されている状態を背面側から見た斜視図である。
【図4】図4は、該表示装置において昇降体が中間位置に設置されて状態を背面側から見た斜視図である。
【図5】図5は、該表示装置において本体から昇降体を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、昇降体の分解斜視図である。
【図7】図7は、該表示装置の要部を示す拡大断面図である。
【図8】図8は、該表示装置の動作を説明する一連の断面図である。
【図9】図9は、該表示装置の他の動作を説明する一連の断面図である。
【図10】図10は、従来の表示装置の斜視図である。
【図11】図11は、従来の他の表示装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を表示装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である表示装置は、図1に示す如く、薄型の直方体を呈する本体(1)を具え、該本体(1)の表面には液晶ディスプレイ(図示省略)が配備されると共に、該本体(1)の背面には、上下方向に延びる昇降路(11)が凹設され、該昇降路(11)に昇降体(2)が昇降可能に収容されている。
【0013】
昇降体(2)は、図5に示す如く、平板状の連結部(5)と、該連結部(5)の上端部に連結された逆U字状のハンドル部(3)と、該連結部(5)の下端部に連結されたU字状のスタンド部(4)とを具えている。
【0014】
図6に示す如く、連結部(5)の上端部の両側には、左右に突出する一対の第1枢軸(51)(51)が設けられると共に、連結部(5)の下端部の両側には、左右に突出する一対の第2枢軸(52)(52)が設けられ、第1枢軸(51)(51)は、ハンドル部(3)の両端部に設けられた一対の軸受け(31)(31)によって枢支され、第2枢軸(52)(52)は、スタンド部(4)の両端部に設けられた一対の軸受け(41)(41)によって枢支されている。
【0015】
従って、ハンドル部(3)は、連結部(5)に対して、本体(1)の背面に沿って左右に延びる軸回りの回動が可能であり、スタンド部(4)は、連結部(5)に対して本体(1)の背面に沿って左右に延びる軸回りに回動が可能である。
【0016】
図5に示す如く、本体(1)の昇降路(11)は、上下方向の中央部が本体(1)の背面板部(10)によって覆われており、該背面板部(10)の上方から露出する上方開口部(12)と、該背面板部(10)の下方から露出する下方開口部(13)とを有している。
【0017】
図7に示す如く、昇降体(2)の連結部(5)には、本体(1)に向けて係合ピン(6)が出没可能に突設されており、該係合ピン(6)は、バネ(図示省略)によって突出方向に弾性付勢されている。
【0018】
一方、本体(1)には、昇降体(2)が最も上昇した位置(図8(b))にて係合ピン(6)が係合すべき上方係合受け部(62)と、昇降体(2)が最も下降した位置(図9(a))にて係合ピン(6)が係合すべき下方係合受け部(63)と、昇降体(2)の連結部(5)が本体(1)の背面板部(10)と完全に重なった中間位置(図8(a))にて係合ピン(6)が係合すべき中間係合受け部(61)とが凹設されており、係合ピン(6)が何れか1つの係合受け部に係合することによって、昇降体(2)が何れか1つの位置で軟係止されることになる。
【0019】
上記表示装置においては、本体(1)の昇降路(11)に沿って昇降体(2)が昇降し、図8(a)に示す中間位置と、図8(b)に示す上昇位置と、図9(a)に示す下降位置との間を、往復移動することが可能であると共に、上述の軟係止によって各位置に保持される。
【0020】
図8(a)に示す昇降体(2)の中間位置では、第1枢軸(51)及び第2枢軸(52)が本体(1)の背面板部(10)によって覆い隠され、本体(1)から背面から見えることはない。又、この状態では、本体(1)の背面板部(10)によってハンドル部(3)及びスタンド部(4)の回動が規制される。
【0021】
図8(b)に示す昇降体(2)の上昇位置では、ハンドル部(3)が上方開口部(12)に侵入し、第1枢軸(51)が本体(1)の背面板部(10)の上端近傍まで移動することによって、ハンドル部(3)は、第1枢軸(51)を中心として、上方開口部(12)から脱出する方向への回動が許容され、図1及び図8(c)に示す様にハンドル部(3)が背面板部(10)の上端部に当接する位置まで開くことになる。
【0022】
これに対し、図9(a)に示す昇降体(2)の下降位置では、スタンド部(4)が下方開口部(13)に侵入し、第2枢軸(52)が本体(1)の背面板部(10)の下端近傍まで移動することによって第2枢軸(52)を中心として、下方開口部(13)から脱出する方向への回動が許容され、図2及び図9(b)に示す様にスタンド部(4)が背面板部(10)の下端部に当接する位置まで開くことになる。
【0023】
斯くして、図1及び図8(c)に示す如くハンドル部(3)が開いた状態で、ハンドル部(3)を把持することによって、本体(1)を容易に運搬することが出来る。
又、図2及び図9(b)に示す様にスタンド部(4)が開いた状態で、図9(c)に示す様にスタンド部(4)によって本体(1)を少し傾斜した姿勢で支持台(9)上に自立させることが出来る。
【0024】
上述の表示装置によれば、本体(1)を支持台上に自立させるとき、昇降体(2)は下降位置まで下降しているので、装置全体の重心位置が低くなり、スタンド部(4)を小型化したとしても、本体(1)を安定的に自立させることが出来る。これによって装置全体が小型化、軽量化されることになる。
【0025】
又、本体(1)を運搬するときは、連結部(5)及びスタンド部(4)が背面板部(10)によって覆い隠され、本体(1)を自立させるときは、連結部(5)及びハンドル部(3)が背面板部(10)によって覆い隠され、然も、本体(1)を中間位置に設定すれば、連結部(5)及び両枢軸(51)(52)が背面板部(10)によって覆い隠されるので、本体(1)の背面側の外観がすっきりしたものとなる。
【0026】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、昇降体(2)を上昇位置、中間位置及び下降位置で軟係止する機構としては、周知の種々の軟係止機構を採用することが出来る。又、昇降体(2)の昇降範囲を例えば本体(1)の昇降路(11)によって規制すれば、軟係止機構は省略することも可能である。
【0027】
更に又、ハンドル部(3)及びスタンド部(4)を開き状態で受け止めるストッパー機構としては、周知の種々のストッパー機構を採用することが出来る。
【符号の説明】
【0028】
(1) 本体
(10) 背面板部
(11) 昇降路
(12) 上方開口部
(13) 下方開口部
(2) 昇降体
(3) ハンドル部
(31) 軸受け
(4) スタンド部
(41) 軸受け
(5) 連結部
(51) 第1枢軸
(52) 第2枢軸
(6) 係合ピン
(61) 中間係合受け部
(62) 上方係合受け部
(63) 下方係合受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄型の本体を具えた電子機器において、本体の背面に、上下方向に延びる昇降路が凹設され、該昇降路には昇降体が昇降可能に収容され、該昇降体は、連結部と、該連結部の上端部に枢支されて本体の背面に沿って左右に延びる軸回りの回動が可能なハンドル部と、該連結部の下端部に枢支されて本体の背面に沿って左右に延びる軸回りの回動が可能なスタンド部とを具え、昇降体の上昇位置にて本体の背面から離間する方向へハンドル部の回動が許容される一方、昇降体の下降位置にて本体の背面から離間する方向へスタンド部の回動が許容されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
本体の昇降路は、その上下方向の中央部が本体の背面板部によって覆われ、該背面板部の上方から露出する上方開口部と、該背面板部の下方から露出する下方開口部とを有し、昇降体の上昇位置にて、ハンドル部が上方開口部に侵入し、該上方開口部から脱出する方向へ一定角度の回動が許容される一方、昇降体の下降位置にて、スタンド部が下方開口部に侵入し、該下方開口部から脱出する方向へ一定角度の回動が許容される請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
昇降体は、上昇位置と、下降位置と、中間位置の3位置にて軟係止され、中間位置では、連結部に対するハンドル部及びスタンド部の枢支部が本体の背面板部によって覆われる請求項2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−230283(P2012−230283A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99143(P2011−99143)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】