説明

電子機器

【課題】スイッチ部に対する誤操作を防止すること。
【解決手段】操作部103は、外部の物体により押圧される。基板101に形成された固定接点と可動接点部102とは、操作部103により押圧されてスイッチの切り替えを行う。静電センサ部104は、基板101及び可動接点部102に積層配置され、外部の物体が所定の距離以上、近接している部分の面積に応じて静電容量が変化する。ケース105は、基板101と、可動接点部102と、操作部103と、静電センサ部104とを収納するとともに、操作部103を押圧する外部の物体が侵入する凹部112を有し、凹部112に侵入できない大きさの外部の物体の押圧方向への移動を規制する。制御部108は、スイッチ部入力判定部107におけるスイッチの切り替えと、静電センサ部104における静電容量の変化との検出の結果に基づいて、所定の動作を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、人間が指で押すスイッチ部を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誤操作を防止するスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1のスイッチ装置は、押しボタンと、押しボタンを押下操作している対象と検出電極との間に形成される静電容量によってオン・オフする静電容量センサ部と、押しボタンの押下操作によってスイッチ接点がオン状態となるメカニカルスイッチ部とを有する。
【0003】
特許文献1によれば、静電容量センサ部とメカニカルスイッチ部が共にオン状態となった場合にのみ外部にオン信号を出力するので、人間以外の操作力によって押しボタンが押下操作された場合等の誤操作を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−115440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、人間以外の導電性を有する物体により押しボタンが押下操作された場合においても、静電容量センサ部がオンするので、誤操作するという問題がある。特に、特許文献1のスイッチ装置を備えた電子機器を、導電性を有する他の物体と一緒に鞄に収納等した際において、鞄の中で導電性を有する物体により誤って押しボタンが押圧された場合には静電容量センサ部がオン状態となり、誤操作するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、誤操作を防止することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、外部の物体により押圧される操作部と、前記操作部により押圧されてスイッチの切り替えを行うスイッチ部と、前記スイッチ部に積層配置され、前記外部の物体が近接した面積を示す情報を出力するセンサ部と、前記操作部と前記スイッチ部と前記センサ部とを収納するとともに、前記操作部を押圧する前記外部の物体が侵入する凹部を有し、前記凹部に侵入できない大きさの前記外部の物体の押圧方向への移動を規制するケースと、前記スイッチ部における前記スイッチの切り替えを検出するとともに、前記検出の結果と前記面積を示す情報とに基づいて、前記スイッチ部が正常に押圧されたか否かを判定する制御部と、を有する構成を採る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、凹部へ侵入できない大きさの誤った物体による押圧は、スイッチ部を押圧できないので、スイッチの切り替えがあったか否かの判断によって排除し、凹部へ侵入可能な大きさの誤った物体による押圧は、当該物体のセンサ部に近接した面積に基づいて排除するので、スイッチ部に対する誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子機器の要部の正面図
【図2】本発明の実施の形態1に係る電子機器の動作を示すフロー図
【図3】本発明の実施の形態1における人間の指によりスイッチ部が押圧された際の電子機器の要部の正面図
【図4】本発明の実施の形態1における人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体によりスイッチ部を押圧しようとした際の電子機器の要部の正面図
【図5】本発明の実施の形態1における人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体によりスイッチ部が押圧された際の電子機器の要部の正面図
【図6】静電センサ部の静電容量の変化を検出する際の原理を説明する図
【図7】本発明の実施の形態2に係る電子機器の要部の正面図
【図8】本発明の実施の形態2における人間の指によりスイッチ部が押圧された際の電子機器の要部の正面図
【図9】本発明の実施の形態2における人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体によりスイッチ部を押圧しようとした際の電子機器の要部の正面図
【図10】本発明の実施の形態2における人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体によりスイッチ部が押圧された際の電子機器の要部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子機器100の要部の正面図である。
【0012】
図1より、電子機器100は、基板101と、可動接点部102と、操作部103と、静電センサ部104と、ケース105と、静電センサ部入力判定部106と、スイッチ部入力判定部107と、制御部108とから主に構成される。また、基板101及び可動接点部102は、スイッチ部を構成する。以下に、各構成について、詳細に説明する。
【0013】
基板101は、ケース105に収納され、図示しない導電性の固定接点が設けられている。また、基板101は、可動接点部102が載置されている。また、基板101の図示しない固定接点は、可動接点部102が座屈した際に可動接点部102と電気的に導通する。
【0014】
可動接点部102は、導電性を有する金属板材を、上に凸形状になるように湾曲させて形成したものであり、端部が基板101と当接した状態で基板101上に載置される。また、可動接点部102は、操作部103の下端部と当接しており、操作部103により図1の下方向に押圧されて座屈して基板101上の固定接点と電気的に導通する。
【0015】
操作部103は、外部の物体により、撓み部114を介して図1の下方向へ押圧される。また、操作部103は、静電センサ部104に形成した貫通孔111を挿通し、押圧されていない状態において端部が可動接点部102と当接して、下方向への移動が規制されている。また、操作部103は、押圧されていない状態において、押圧方向にスライド自在に、ケース105に形成した凹部112に配置される。また、操作部103は、上下方向と直交する左右方向においてケース105の内壁面部113に対して所定の距離を設けて内壁面部113と対向する。また、操作部103は、撓み部114を介して外部より図1の下方向に押圧されることにより、可動接点部102を図1の下方向に押圧して可動接点部102を座屈させる。
【0016】
静電センサ部104は、ケース105と可動接点部102との間においてスイッチ部に積層配置される。また、静電センサ部104は、操作部103が挿通する上下方向に貫通した貫通孔111が形成される。また、静電センサ部104は、外部より押圧された際に、押圧する外部の物体の押圧面積に応じた面積で撓み部114と接触する。また、静電センサ部104は、外部の物体が導電性を持つ物体(人の指など)である場合、その外部の物体の、静電センサ部104に所定の距離以上、近接(接触も含む)している部分の面積に応じて静電容量が変化する。ここで、押圧面積とは、スイッチ部を押圧しようとする外部の物体とケース105との接触面積である。
【0017】
ケース105は、基板101と、可動接点部102と、操作部103と、静電センサ部104とを内部に収納する。また、ケース105は、可動接点部102の上方に形成された薄肉の撓み部114を有する。また、ケース105は、撓み部114の端部から下方に延設される内壁面部113を有するとともに、可動接点部102の上方において内壁面部113により囲まれる凹部112が形成される。また、ケース105は、操作部103を押圧する押圧部分が凹部112に侵入できない外部の物体の押圧方向への移動を規制する。即ち、ケース105は、凹部112以外の部分を、肉厚にして撓み部114を形成しないことにより、平面視した際に、操作部103を押圧する押圧部分が、凹部112に収まらない大きさの外部の物体の押圧方向への移動を規制する。
【0018】
静電センサ部入力判定部106は、操作部103が押圧された場合において、押圧によって、撓み部114を介して近接してきた外部の物体による、静電センサ部104における静電容量の変化値を検出する。また、静電センサ部入力判定部106は、検出した静電容量の変化値と閾値とを比較する。また、静電センサ部入力判定部106は、比較結果を制御部108へ出力する。
【0019】
スイッチ部入力判定部107は、基板101に形成した図示しない固定接点と可動接点部102との導通と非導通とを検出する。また、スイッチ部入力判定部107は、検出結果を制御部108へ出力する。
【0020】
制御部108は、静電センサ部入力判定部106から入力した比較結果、及びスイッチ部入力判定部107から入力した検出結果に基づいて、スイッチ部への入力を受け付けるべきか否かを判断する。具体的には、制御部108は、スイッチ部入力判定部107から非導通の検出結果が入力した場合には、スイッチ部は押されていないものと判定して入力を受け付けない。また、制御部108は、スイッチ部入力判定部107から導通の検出結果が入力し、かつ静電センサ部入力判定部106から静電容量の変化値が閾値以上である比較結果が入力した場合には、スイッチ部が正常に押されたものとして入力を受け付ける。また、制御部108は、スイッチ部入力判定部107から導通の検出結果が入力し、かつ静電センサ部入力判定部106から静電容量の変化値が閾値未満である比較結果が入力した場合には、誤操作であるものと判定し、スイッチ部は押されていないものとして取り扱う。また、制御部108は、スイッチ部への入力を受け付けた場合、スイッチ部が押された旨を示す所定の信号を外部に出力する。この信号は、電子機器全体の動作を制御する他の制御部によって受信され、スイッチ部の押圧に対応する機能が実行される。
【0021】
凹部112は、ケース105の撓み部114の下方に形成され、可動接点部102が配置される箇所の上方において、ケース105を厚さ方向に凹ませて形成される。また、凹部112は、押圧方向にスライド自在に操作部103が配置される。また、凹部112は、撓み部114が押圧方向に押圧された際に、撓み部114が撓むことを許容するための空間である。また、凹部112は、操作部103を押圧する外部の物体が侵入する。
【0022】
撓み部114は、可動接点部102が配置される箇所の上方において、ケース105と一体に形成される。また、撓み部114は、ケース105の厚さ方向において薄肉になっている。また、撓み部114は、下方向に押圧された際に、凹部112内に撓むことにより、操作部103を下方向に押圧する。
【0023】
以上で、電子機器100の構成の説明を終える。
【0024】
次に、電子機器100の動作について、図2を用いて説明する。図2は、電子機器100の動作を示すフロー図である。図2の初期状態において、電子機器100が静電センサ部104の機能を停止している場合を例に説明する。
【0025】
図2より、スイッチ部入力判定部107は、スイッチ部がオン状態であるか否かを判定する(ステップST201)すなわち、基板101の図示していない接点と可動接点部102とが接触してスイッチ部が導通すればオン状態であると判定し、導通しなければオン状態でないと判定する。
【0026】
スイッチ部がオン状態でないと判定した場合には(ステップST201:No)、電子機器100は、静電センサ部104を起動しない。
【0027】
一方、スイッチ部がオン状態であると判定した場合には(ステップST201:Yes)、電子機器100は、静電センサ部104を起動し、静電センサ部入力判定部106による判定を行う。静電センサ部入力判定部106は、静電容量の変化値が閾値以上であるか否かを判定する(ステップST202)。このように、メカニカルスイッチがオン状態になってから(すなわち、上述したスイッチ部の導通があってから)、静電センサ部104を起動させることで、比較的大きな電力を消費する静電センサ部104による電力の消費を抑えることができる。
【0028】
静電容量の変化値が閾値以上の場合には(ステップST202:Yes)、制御部108は、スイッチ部が正常に押されたものと判断し、その旨を示す所定の信号を出力する(ステップST203)。
【0029】
一方、静電容量の変化値が閾値未満の場合には(ステップST202:No)、制御部108は、誤操作と判断し(ステップST204)、スイッチ部が押されていない場合と同様、所定の信号を出力しない。
【0030】
次に、電子機器100の動作について、さらに詳細に説明する。
【0031】
最初に、人間の指によりスイッチ部が押圧された際の電子機器100の動作について、図3を用いて説明する。図3は、スイッチ部が人間の指により押圧された際の状態を示す電子機器100の要部の正面図である。
【0032】
図3より、人間の指によりスイッチ部が押圧された場合には、撓み部114が凹部112内に撓み、人間の指が凹部112に侵入して操作部103を図3の下方向に押圧する。これに伴って、操作部103が可動接点部102を図3の下方向に押圧して可動接点部102が座屈し、基板101の図示しない固定接点と可動接点部102とが電気的に導通する。この際、スイッチ部入力判定部107は、スイッチ部の導通を検出する。
【0033】
また、人間の指と接触するケース105の接触面積は充分大きいので、撓み部114を介して、静電センサ部104に近接する導電性の物体(人間の指)の面積も充分大きくなり、静電センサ部104は大きな静電容量の変化を示す。この際、静電センサ部入力判定部106は、静電容量の変化値が閾値以上であることを検出する。
【0034】
従って、人間の指によりスイッチ部が押圧された場合には、制御部108は、スイッチ部が押された旨を示す所定の信号を出力する。
【0035】
次に、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体によりスイッチ部が押圧された際の電子機器100の動作について、図4を用いて説明する。図4は、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体400によりスイッチ部を押圧しようとする際の電子機器100の要部の正面図である。
【0036】
図4より、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体400によりスイッチ部を押圧しようとした場合には、物体400は撓み部114の周囲に形成されるケース105に規制されて凹部112に侵入できず、撓み部114は図4の下方へ撓まない。この際、スイッチ部入力判定部107は、スイッチ部の非導通を検出する。
【0037】
また、静電センサ部104は、スイッチ部が非導通であるため、起動しない。
【0038】
従って、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体400によりスイッチ部を押圧しようとした場合には、制御部108は、スイッチ部は押されていないものとして処理を継続する。
【0039】
なお、静電センサ部104を常時オンにしている場合には、他の基準によってもスイッチ部が押されていないものと判断することができる。すなわち、この場合、静電センサ部104は、外部の物体400に近接しないことから、静電容量の変化がほとんどないため、静電センサ部入力判定部106は、静電容量の変化値が閾値未満であることを検出する。この検出結果を利用して、静電容量の変化値が閾値未満であることを確認することでも、スイッチ部は正常に押されていないものと判断することができる。なお、判断をより正確に行うため、メカニカルスイッチの導通と、静電センサ部104の静電容量の変化の両方を評価しても良い。
【0040】
次に、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体によりスイッチ部が押圧された際の電子機器100の動作について、図5を用いて説明する。図5は、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体500によりスイッチ部が押圧された際の電子機器100の要部の正面図である。
【0041】
図5より、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体500によりスイッチ部が押圧された場合には、撓み部114が凹部112内に撓み、物体500が凹部112に侵入して操作部103を図5の下方向に押圧する。これに伴って、操作部103が可動接点部102を図5の下方向に押圧して可動接点部102が座屈し、基板101の図示しない固定接点と可動接点部102とが電気的に導通する。この際、スイッチ部入力判定部107は、スイッチ部の導通を検出する。
【0042】
また、静電センサ部104は、導通が検出されたことをトリガとして起動する。しかし、この場合、静電センサ部104に近接する外部の物体500の面積が充分小さいので、静電センサ部104は小さな静電容量の変化しか示さない。この際、静電センサ部入力判定部106は、静電容量の変化値が閾値未満であることを検出する。
【0043】
従って、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体500によりスイッチ部が押圧された場合には、制御部108は、誤操作であるものと判定し、スイッチ部が押されていない場合と同様に、所定の信号を出力せずに処理を継続する。
【0044】
以上で、電子機器100の動作の説明を終える。
【0045】
図6は、静電センサ部104の静電容量の変化を検出する際の原理を説明する図である。
【0046】
図6より、静電容量Cは、(1)式により求めることができる。
C=Eo×Es×(S/d) ・・・(1)
ここで、Eoは、真空誘電率
Esは、比誘電率
dは、外部の物体と近接する面601と検出電極602との距離
Sは、面601における外部の物体と近接した面積
【0047】
(1)式より、真空誘電率Eo、比誘電率Es、及び外部の物体と近接する面601と検出電極602との距離dは、ほぼ変化しないので、静電容量Cは、静電センサ部104の面601における外部の物体と近接した面積Sによりほぼ決まる。従って、静電センサ部104の静電容量の変化を検出することにより、面601と近接する外部の物体が人間の指であるのか否かを推定することができる。
【0048】
このように、本実施の形態では、人間の指よりも押圧面積の大きな外部の物体により押圧しようとした際には、ケースにより外部の物体の下方向の移動を規制し、人間の指よりも押圧面積の小さな物体により押圧された際には静電センサ部により誤操作と判断する。これにより、本実施の形態によれば、人間の指以外の物体により押圧された際に起動しないので、誤操作を防止することができる。また、本実施の形態によれば、人間の指以外の物体により誤操作された際には、スイッチ部への入力を受け付けないので、鞄に収納した際等に誤ってスイッチ部が押された場合の誤動作を防止できる。また、誤動作によって何らかの機能が起動してしまうことを防ぐことができ、省電力化を実現及び維持することができる。
【0049】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る電子機器700の要部の正面図である。
【0050】
図7より、電子機器700は、静電センサ部701と、基板702と、可動接点部703と、操作部704と、ケース705と、静電センサ部入力判定部706と、スイッチ部入力判定部707と、制御部708とから主に構成される。また、基板702及び可動接点部703は、スイッチ部を構成する。以下に、各構成について、詳細に説明する。
【0051】
静電センサ部701は、基板702よりも押圧方向側(図7において基板702の下側)においてスイッチ部に積層配置される。また、静電センサ部701は、外部の物体が押圧する押圧面積に応じた面積で撓み部713、操作部704、可動接点部703、基板702を介して、外部の物体に近接する。ここで、静電センサ部701は、外部の物体が導電性の物体であれば、その外部の物体の、所定の距離以上、静電センサ部701に近接している部分の面積に応じて静電容量が変化する。
【0052】
基板702は、ケース705に収納され、図示しない導電性の固定接点が設けられている。また、基板702は、可動接点部703が載置されている。また、基板702の図示しない固定接点は、可動接点部703が座屈した際に可動接点部703と電気的に導通する。
【0053】
可動接点部703は、導電性を有する金属板材を、上に凸形状になるように湾曲させて形成したものであり、端部が基板702と当接した状態で基板702上に載置される。また、可動接点部703は、操作部704の下端部と当接しており、操作部704により図7の下方向に押圧されて座屈して基板702上の固定接点と電気的に導通する。
【0054】
操作部704は、外部の物体により、撓み部713を介して図7の下方向へ押圧される。また、操作部704は、押圧されていない状態において端部が可動接点部703と当接して、下方向への移動が規制されている。また、操作部704は、押圧されていない状態において、押圧方向にスライド自在に、ケース705に形成した凹部711に配置される。また、操作部704は、上下方向と直交する左右方向においてケース705の内壁面部712に対して所定の距離を設けて内壁面部712と対向する。また、操作部704は、撓み部713を介して外部より図7の下方向に押圧されることにより、可動接点部703を図7の下方向に押圧して可動接点部703を座屈させる。
【0055】
ケース705は、静電センサ部701と、基板702と、可動接点部703と、操作部704とを内部に収納する。また、ケース705は、可動接点部703の上方に形成された薄肉の撓み部713を有する。また、ケース705は、撓み部713の端部から下方に延設される内壁面部712を有するとともに、可動接点部703の上方において内壁面部712により囲まれる凹部711が形成される。また、ケース705は、操作部704を押圧する押圧部分が凹部711に侵入できない外部の物体の押圧方向への移動を規制する。即ち、ケース705は、凹部711以外の部分を、肉厚にして撓み部713を形成しないことにより、平面視した際に、操作部704を押圧する押圧部分が、凹部711に収まらない大きさの外部の物体の押圧方向への移動を規制する。
【0056】
静電センサ部入力判定部706は、操作部704が外部の物体により押圧される場合において、押圧によって、撓み部713、操作部704、可動接点部703、基板702を介して近接してきた外部の物体による、静電センサ部701の静電容量の変化値を検出する。また、静電センサ部入力判定部706は、検出した静電容量の変化値と閾値とを比較する。また、静電センサ部入力判定部706は、比較結果を制御部708へ出力する。
【0057】
スイッチ部入力判定部707は、基板702に形成した図示しない固定接点と可動接点部703との導通と非導通とを検出する。また、スイッチ部入力判定部707は、検出結果を制御部708へ出力する。
【0058】
制御部708は、静電センサ部入力判定部706から入力した比較結果、及びスイッチ部入力判定部707から入力した検出結果に基づいて、スイッチ部への入力を受け付けるべきか否かを判断する。具体的には、制御部708は、スイッチ部入力判定部707から非導通の検出結果が入力した場合には、スイッチ部は押されていないものと判定して入力を受け付けない。また、制御部708は、スイッチ部入力判定部707から導通の検出結果が入力し、かつ静電センサ部入力判定部706から静電容量の変化値が閾値以上である比較結果が入力した場合には、スイッチ部が正常に押されたものとして入力を受け付ける。また、制御部708は、スイッチ部入力判定部707から導通の検出結果が入力し、かつ静電センサ部入力判定部706から静電容量の変化値が閾値未満である比較結果が入力した場合には、誤操作であるものと判定し、スイッチ部は押されていないものとして取り扱う。また、制御部708は、スイッチ部への入力を受け付けた場合、スイッチ部が押された旨を示す所定の信号を外部に出力する。この信号は、電子機器全体の動作を制御する他の制御部によって受信され、スイッチ部の押圧に対応する機能が実行される。
【0059】
凹部711は、ケース705の撓み部713の下方に形成され、可動接点部703が配置される箇所の上方において、ケース705を厚さ方向に凹ませて形成される。また、凹部711は、押圧方向にスライド自在に操作部704が配置される。また、凹部711は、撓み部713が押圧方向に押圧された際に、撓み部713が撓むことを許容するための空間である。また、凹部711は、操作部704を押圧する外部の物体が侵入する。
【0060】
撓み部713は、可動接点部703が配置される箇所の上方において、ケース705と一体に形成される。また、撓み部713は、ケース705の厚さ方向において薄肉になっている。また、撓み部713は、下方向に押圧された際に、凹部711内に撓むことにより、操作部704を下方向に押圧する。
【0061】
以上で、電子機器700の構成の説明を終える。
【0062】
次に、電子機器700の動作について説明する。なお、本実施の形態における電子機器700の静電センサ部入力判定部706、スイッチ部入力判定部707及び制御部708の動作は図2と同一であるので、その説明を省略する。
【0063】
最初に、人間の指によりスイッチ部が押圧された際の電子機器700の動作について、図8を用いて説明する。図8は、人間の指によりスイッチ部が押圧された際の電子機器700の要部の正面図である。
【0064】
図8より、人間の指によりスイッチ部が押圧された場合には、撓み部713が凹部711内に撓み、人間の指が凹部711に侵入して操作部704を図8の下方向に押圧する。これに伴って、操作部704が可動接点部703を図8の下方向に押圧して可動接点部703が座屈し、基板702の図示しない固定接点と可動接点部703とが電気的に導通する。この際、スイッチ部入力判定部707は、スイッチ部の導通を検出する。
【0065】
また、人間の指と接触するケース705の接触面積は充分大きいので、撓み部713、操作部704、可動接点部703、基板702を介して静電センサ部701に近接する導電性の物体(すなわち、人間の指)の面積も充分大きくなり、静電センサ部701は大きな静電容量の変化を示す。この際、静電センサ部入力判定部706は、静電容量の変化値が閾値以上であることを検出する。
【0066】
従って、人間の指によりスイッチ部が押圧された場合には、制御部708は、スイッチ部が押された旨を示す所定の信号を出力する。
【0067】
次に、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体によりスイッチ部を押圧しようとした際の電子機器700の動作について、図9を用いて説明する。図9は、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体900によりスイッチ部を押圧しようとした際の電子機器700の要部の正面図である。
【0068】
図9より、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体900によりスイッチ部を押圧しようとした場合には、物体900は撓み部713の周囲に形成されるケース705に規制されて凹部711に侵入できず、撓み部713は図9の下方へ撓まない。この際、スイッチ部入力判定部707は、スイッチ部の非導通を検出する。
【0069】
また、静電センサ部701は、スイッチ部が非導通であるため、起動しない。
【0070】
従って、人間の指よりも押圧面積の大きな導電性を有する物体900によりスイッチ部を押圧しようとした場合には、制御部708は、スイッチ部は押されていないものとして処理を継続する。
【0071】
なお、静電センサ部701を常時オンにしている場合には、他の基準によってもスイッチ部が押されていないものと判断することができる。すなわち、この場合、静電センサ部701は、外部の物体900に近接しないことから、静電容量の変化がほとんどないため、静電センサ部入力判定部706は、静電容量の変化値が閾値未満であることを検出する。この検出結果を利用して、静電容量の変化値が閾値未満であることを確認することでも、スイッチ部は正常に押されていないものと判断することができる。なお、判断をより正確に行うため、メカニカルスイッチの導通と、静電センサ部701の静電容量の変化の両方を評価しても良い。
【0072】
次に、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体によりスイッチ部が押圧された際の電子機器700の動作について、図10を用いて説明する。図10は、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体1000によりスイッチ部が押圧された際の電子機器700の要部の正面図である。
【0073】
図10より、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体1000によりスイッチ部が押圧された場合には、撓み部713が凹部711内に撓み、物体1000が凹部711に侵入して操作部704を図10の下方向に押圧する。これに伴って、操作部704が可動接点部703を図10の下方向に押圧して可動接点部703が座屈し、基板702の図示しない固定接点と可動接点部703とが電気的に導通する。この際、スイッチ部入力判定部707は、スイッチ部の導通を検出する。
【0074】
また、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体1000と接触するケース705の接触面積は充分小さいので、外部の物体と近接する静電センサ部701の面積も充分小さくなり、静電センサ部701は小さな静電容量の変化を示す。この際、静電センサ部入力判定部706は、静電容量の変化値が閾値未満であることを検出する。
【0075】
従って、人間の指よりも押圧面積の小さな導電性を有する物体1000によりスイッチ部が押圧された場合には、制御部708は、誤操作であるものと判定し、スイッチ部が押されていない場合と同様に、所定の信号を出力せずに処理を継続する。
【0076】
このように、本実施の形態では、人間の指よりも押圧面積の大きな外部の物体により押圧しようとした際には、ケースにより外部の物体の下方向の移動を規制し、人間の指よりも押圧面積の小さな物体により押圧された際には静電センサ部により誤操作と判断する。これにより、本実施の形態によれば、人間の指以外の物体により押圧された際に起動しないので、誤操作を防止することができる。また、本実施の形態によれば、人間の指以外の物体により誤操作された際には起動しないので、鞄に収納した際等に誤ってスイッチ部が押された場合の誤動作を防止できる。また、誤動作によって何らかの機能が起動してしまうことによる電力消費を防ぐことができ、省電力化を実現及び維持することができる。
【0077】
なお、上記の実施の形態1及び実施の形態2において、正常な操作と判定した際の動作の詳細については説明していなかったが、例えば、スイッチ部がテンキーなどの場合は文字や数字が入力され、スイッチ部が電源ボタンの場合には電子機器全体の電源のオンオフが切り替えられる。また、このスイッチ部を機器全体の機能の大部分を停止させるような省電力モードからの復帰用のスイッチとして利用すれば、更なる省電力化を図ることができる。この他にも、実施の形態1及び実施の形態2のスイッチ部は、人が指で押圧するスイッチであれば多様なものに適用でき、任意の動作を開始するスイッチとして利用することができる。
【0078】
また、上記の実施の形態1及び実施の形態2において、ケースと一体に撓み部を設けたが、本発明はこれに限らず、ケースに形成した凹部を貫通孔にするとともに、ケースの上方に撓むことが可能なシートをケースと別体に設けてもよい。また、上記の実施の形態1及び実施の形態2において、可動接点部が座屈して固定接点と電気的に導通するメカスイッチであるスイッチ部を設けたが、本発明はこれに限らず、任意の構成のメカスイッチをスイッチ部として用いることができる。
【0079】
また、上記の実施の形態1及び実施の形態2において、制御部は外部へ所定の信号を出力するものとしたが、本発明はこれに限られるものではない。制御部を、機器全体の制御を行う他の制御部と一体とし、スイッチ部が正常に押されれば、制御部の判断によってそのスイッチ部に対応する機能を実行するようにしても良い。
【0080】
また、上記の実施の形態1及び実施の形態2において、静電センサを利用したが、本発明はこれに限られるものではない。静電容量の変化は、センサに近接した外部の物体の面積を示す情報の一種に過ぎないので、他の手段によって面積を示す情報が得られれば、他のセンサを利用することもできる。例えば、押圧された面積を出力する感圧式センサを利用しても良い。静電センサは、外部の物体が、人間の指などの導電性の物体の場合にのみ反応するが、静電センサは、非導電性の物体を確実に排除することができるという点で、人間の指以外による操作を排除することに適している。一方、ユーザが手袋を装着している場合など、非導電性の物体であると誤認される恐れがある場合には、感圧式センサを利用する方が、ユーザにとっての操作は容易となる。また、感圧式センサと静電センサとの両方を併用してもよい。
【0081】
また、上記の実施の形態1及び実施の形態2において、人間の指による押圧があったと判断する場合の、静電容量の変化の閾値については明記していないが、これは凹部の面積を超えない範囲で、様々な値を採用することができる。例えば、凹部の面積とほぼ同じ面積に相当する静電容量の変化でなくては反応しないことにすれば、より正確に誤操作を排除でき、また、凹部の面積よりもかなり狭くてもよいとすれば正常な操作が誤操作であると誤って判定される可能性を低減できる。また、閾値は固定的なものではなく、ユーザが実際の使用形態に合わせて任意に設定できるようにしてもよい。また、誤操作であると判定されたとしても、誤操作である旨の判定から所定の期間内に、ほぼ同一の面積での押圧がある場合(これは、正常な入力を行ったつもりでも反応がないため、再度入力を行おうとしている場合に相当する)など、正常な入力が受け付けられない場合に、ユーザが行う操作が検知された場合には、誤操作である旨の判定の結果を無視して正常な入力であると判定してもよいし、近接した面積と比較する閾値を小さくする自動調整を行うようにしてもよい。なお、上記の変形は、面積の情報を知るために、静電センサ以外のセンサを使用した場合も同様である。
【0082】
上記の各実施の形態、変形例、およびそれらの組合せも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば、人間が指で押すスイッチ部を有する電子機器に好適である。
【符号の説明】
【0084】
100 電子機器
101 基板
102 可動接点部
103 操作部
104 静電センサ部
105 ケース
106 静電センサ部入力判定部
107 スイッチ部入力判定部
108 制御部
111 貫通孔
112 凹部
113 内壁面部
114 撓み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の物体により押圧される操作部と、
前記操作部により押圧されてスイッチの切り替えを行うスイッチ部と、
前記スイッチ部に積層配置され、前記外部の物体が近接した面積を示す情報を出力するセンサ部と、
前記操作部と前記スイッチ部と前記センサ部とを収納するとともに、前記操作部を押圧する前記外部の物体が侵入する凹部を有し、前記凹部に侵入できない大きさの前記外部の物体の押圧方向への移動を規制するケースと、
前記スイッチ部における前記スイッチの切り替えを検出するとともに、前記検出の結果と前記面積を示す情報とに基づいて、前記スイッチ部が正常に押圧されたか否かを判定する制御部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記スイッチ部における前記スイッチの切り替えが検知され、かつ、前記面積を示す情報に示される面積が閾値以上である場合に、前記スイッチ部が正常に押圧されたと判定する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記スイッチ部における前記スイッチの切り替えがあっても、前記面積を示す情報に示される面積が前記閾値未満の場合には、前記スイッチ部が正常に押圧されなかったと判定する請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記センサ部は、前記スイッチの切り替えがあった後に起動し、前記スイッチの切り替えがあるまでは停止している請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記センサ部は、前記ケースと前記スイッチ部との間において前記スイッチ部に積層配置される請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記スイッチ部は、前記スイッチの切り替えを行う際に前記操作部の押圧により前記押圧方向に移動し、
前記センサ部は、前記スイッチ部よりも前記押圧方向側において前記スイッチ部に積層配置される請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記センサ部は、導電性の物体が近接した面積に応じて静電容量が変化する静電センサであり、前記面積を示す情報は、前記静電容量の変化を示す情報である請求項1記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−33337(P2012−33337A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170628(P2010−170628)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】