説明

電子発熱体の冷却装置

【課題】 冷却能力及び静音性に優れた電子発熱体の冷却装置を提供する。
【解決手段】 CPUなどの電子発熱体1がソケット10Aの内部に装着されている。前記電子発熱体1の表面に直接又は前記ソケット10Aを構成する蓋体12の表面にヒートシンク20が設けられており、このヒートシンク20を構成する複数のフィン21の間には冷却管23が配管されている、冷却管23の循環経路内にはラジエータが配置されているため、冷却液35を充填して循環させることにより、前記電子発熱体1を効率良く冷却することができる。このため、従来のファン39と組み合わせると、高い冷却能力を発揮することができ、前記ファン39の回転数を上げる必要がなくなることから、静音性に優れた電子発熱体1の冷却装置とすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPUやMPUなどの電子発熱体を冷却する装置に係わり、特に小型で放熱性、静音性に優れた電子発熱体の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ(以下「PC」という。)全体の発熱量(消費電力)は年々増加の一途をたどってきており、PCを構成する様々なパーツの中でも、とりわけ発熱量の大きいのがCPUやMPUなど(以下「電子発熱体」という。)である。特に、CPUのTDP(熱設計電力)は100Wを超えるものもあり、最大のものに至っては115W(Pentium4(登録商標)の600シリーズなど)もある。
【0003】
このような電子発熱体を冷却する装置としては、空冷式の冷却装置と水冷式の冷却装置が一般的である。
【0004】
前記空冷式の冷却装置は、電子発熱体の表面(放熱面)にヒートシンクの接触面が熱伝導シート又はシリコングリスなどからなる熱伝導体を介して接合されており、前記ヒートシンクの放熱フィンに対してファンから空気を送ることにより前記電子発熱体の冷却を行うものである。
【0005】
また水冷式の冷却装置は、電子発熱体の表面(放熱面)に冷却液が流通する水冷ジャケット(水冷ヘッド)を固定するとともに、外部に設けられたラジエータの出入口と前記冷却ヘッドの出入口との間にはチューブなどを用いて形成した循環流路が設けられている。また前記ラジエータと前記水冷ジャケットとの間にはポンプが設けられており、前記ポンプを駆動すると冷却液が前記チューブを通じて前記ラジエータと前記冷却ヘッドとの間で循環する。このため、電子発熱体が発した熱は、媒体である冷却液と一緒に前記チューブを通じて冷却ヘッドの外部に運び出される。このとき暖められた冷却液が、前記ラジエータで冷却された後、再び前記冷却ヘッド(電子発熱体)側に戻すことにより、前記電子発熱体を冷却する仕組みである。
【0006】
なお、その他の冷却装置としては、例えば冷却ガスやペルチェ効果を利用したものなども存在している。
【0007】
上記技術に関する先行技術文献としては、例えば特許文献1および2などが存在している。
【特許文献1】特開2002−280780号公報
【特許文献2】特開2002−335091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記空冷式の冷却装置および水冷式の冷却装置はともに冷却能力が高いことが知られているが、電子発熱体の発熱量の増大に伴い、今後さらなる冷却能力の向上が求められる。
【0009】
しかし、前記空冷式の冷却装置のヒートシンク及び前記水冷式の冷却装置の冷却ジャケットは、ともに電子発熱体の表面(放熱面)だけに当接する構成であるため、前記電子発熱体の一面からしか熱を奪うことができず、冷却効率を高めるには限界がある。
【0010】
この点、前記空冷式の冷却装置ではヒートシンクに当たる空気の流量を増加させることにより、前記水冷式の冷却装置ではラジエータに当たる空気の流量を増加させることにより、冷却効率を高めることが可能となる。
【0011】
しかし、そのためにはファンの回転数を高めるか、または大きな口径を有するファンを採用する必要があるところ、前者の方法では回転時におけるファンの動作音(風切り音や回転音)が大きく無音化又は静音化に適さないという問題がある。一方、後者の方法ではPC全体を小型化し難いという問題がある。
【0012】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、単体で又は従来の冷却方式と組み合わせることにより、冷却能力に優れた電子発熱体の冷却装置を提供することを目的としている。
【0013】
また本発明は、小型で放熱性、静音性に優れた電子発熱体の冷却装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ソケット内に保持された電子発熱体を冷却する装置であって、前記ソケットが、前記電子発熱体が装着されるハウジングと、前記電子発熱体を前記ハウジング内に保持する蓋体とを有しており、前記ハウジングと前記蓋体の少なくとも一方に前記電子発熱体を冷媒を用いて冷やす冷却手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の電子発熱体の冷却装置では、CPUなどの電子発熱体が発した熱を、前記電子発熱体を直接に又は前記電子発熱体を保持するソケットを介して奪うことができるため、前記電子発熱体をより効率良く冷却することができる。このため、従来の冷却装置と組み合わせると、より冷却能力に優れた電子発熱体の冷却装置とすることができる。よって、従来の冷却装置のファンの回転数を低めに設定することが可能となるため、PCの静音性を高めることができる。
【0016】
また冷却管がソケットに一体化された状態で設けられているため、従来のように別体に形成された水冷ジャケットを電子発熱体に固定する必要がないため、小型の冷却装置を提供することができる。
【0017】
例えば、前記冷却手段が、複数のフィンを有するとともに前記蓋体の表面に設けられたヒートシンクと、前記フィンの間に蛇行状に配管された冷却管と、前記冷却管内を流れる冷却液と、前記冷却液を循環させるポンプと、を有するものとして構成される。
【0018】
また前記冷却手段が、ハウジング内に前記電子発熱体の周囲を取り囲むように周設された溝と、前記溝内に配管された冷却管と、前記冷却管内を流れる冷却液と、前記冷却液を循環させるポンプと、を有するものとして構成される。
【0019】
さらには前記冷却手段が、前記ハウジングに設けられた注入口及び排水口と、前記ハウジングの外部において前記注入口と前記排水口との間に設けられた冷却管と、前記注入口から注水され且つ前記排水口から排出させられる冷却液と、前記冷却液を循環させるポンプと、を有するものとして構成される。
【0020】
あるいは、前記冷却手段が、前記電子発熱体が発する熱の表面温度分布に応じて高温部となる位置に対向して設置された第1のヒートシンクと、前記高温部以外の低温部の位置に対向して設置された第2のヒートシンクと、前記第1のヒートシンクと第2のヒートシンクとの間に配管された冷却管と、前記冷却管の両端に設けられた一対のポンプと、前記一対のポンプを相補的に駆動するドライバ手段と、を有するものとして構成される。
【0021】
また前記冷却手段が、前記電子発熱体が発する熱の表面温度分布に応じて中央部に形成された高温部と、その周辺部に形成された低温部との間に平面スター状に配管された冷却管と、前記冷却管両端に設けられた一対のポンプと、前記一対のポンプを相補的に駆動するドライバ手段と、を有するものとして構成される。
【0022】
また前記冷却手段が、前記蓋体の表面に設けられた複数のヒートパイプであるものとして構成される。
【0023】
上記において、前記ヒートシンクは、前記電子発熱体の表面に又は蓋体の表面に固定されているものが好ましい。
【0024】
また冷却能力を高めるためには、空冷用のファンが設けられていることが好ましく、さらには前記冷却液が循環する経路内に、前記冷却液を冷却するラジエータが設けられているものが好ましい。
【0025】
また、前記冷却液が、正逆の双方向に移動させられることを特徴とするものである。
上記において、前記ヒートシンクが形状記憶合金で形成されるものとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、単体としての冷却性能に優れた電子発熱体の冷却装置を提供することができる。
【0027】
しかも従来の冷却装置と組み合わせたときには、ファンの風量を上げる必要がなくなるため、このような電子発熱体の冷却装置が搭載されたPCの静音化に寄与することが可能となる。
【0028】
また冷却管がソケットに一体化されているため、従来のように別体に形成された水冷ジャケットを電子発熱体に固定する必要がない。さらには大きな口径を有するファンを採用する必要がなくなるため、PC全体の小型化にも貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は本発明の第1の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を示す平面図、図2は図1の2−2線における断面図である。
【0030】
図1及び図2に示すように、第1の実施の形態に示す冷却装置はCPUなどの電子発熱体1を保持するソケット10Aを有している。前記ソケット10Aは、枠状のハウジング11とこのハウジング11の一端に設けられたヒンジ部13を支点として回動自在に支持された蓋体12とを有している。
【0031】
図2に示すように、前記ハウジング11はマザーボード5上の所定の位置に固定されている。前記ハウジング11の内部には凹部11aが形成されており、この凹部11aにはインターポーザ15が設けられている。前記インターポーザ15の上下両面には複数の弾性接点16,17が設けられている。インターポーザ15の上部側の個々の弾性接点16と下部側の個々の弾性接点17とはインターポーザ15の板厚内に埋設された複数の導電体18を介してそれぞれ導通接続されている。そして、下部側の弾性接点17は前記マザーボード5上に形成されている複数の対向電極5aに接する状態で載置されている。
【0032】
前記弾性接点16,17としては、例えば導通変形部が周縁部から中心に向かって渦巻き形状に立ち上がるスパイラル接触子、異なる内部応力を付与することによって弾性変形部に撓みを発生させたストレスドメタル、特開2004−186026や特開2004−281161などに開示されている粘着式コネクタなどを用いることができる。
【0033】
前記ハウジング11の上面にはヒートシンク20が設けられている。前記ヒートシンク20は、熱伝導率の高いアルミニウムなどで形成されており、その上部には互いに平行に配置された複数の放熱フィン21,21,・・・・が突出形成されている。
【0034】
図2に示すように、前記ヒートシンク20は放熱フィン21が前記蓋体12に一体的に形成されたものであってもよいし、別体に形成されたものであってもよい。前記放熱フィン21が、前記蓋体12に一体化された前記ヒートシンク20の場合には、前記蓋体12の下面と前記電子発熱体1の表面側に設けられた金属製のカバーの上面(放熱面)(以下、「電子発熱体1の表面」という。)とが接合される。また前記ヒートシンク20が前記蓋体12とは別体のものにあっては、前記ヒートシンクの底面(接触面)と前記電子発熱体1の表面とが蓋体12に形成された開口(図3参照)を通じて接合される。いずれの場合にあっても、前記ヒートシンク20の下面と前記電子発熱体1の表面とは熱伝導シート又はシリコングリスなどからなる熱伝導体(図示せず)を介して接合される構成が好ましい。
【0035】
前記ヒートシンク20を形成する放熱フィン21の幅方向のピッチ寸法内には、銅などで形成され且つ1本の連続するパイプを複数回折り曲げて形成した蛇行状(ミアンダー(meander)状ともいう。)の冷却管23が、例えば蝋付けされるなどして固定されている。前記冷却管23の蛇行状の部分が蛇行部23Aであり、冷却管23の一端23aと他端23bとの間には、例えばポンプ31、ラジエータ32などが設けられており、前記冷却管23とともに一つの循環流路が形成されている。
【0036】
前記電子発熱体1は、前記蓋体12を開口させた状態において前記ハウジング11の凹部11a内に装着される。次に、前記蓋体12を閉鎖方向に回動させて閉塞させるとともに後述の図3に示すようなロック手段を用いてハウジング11と前記蓋体12とがロックされ、前記電子発熱体1がハウジング11と前記蓋体12との間に保持される。
【0037】
このとき、前記蓋体12の表面と電子発熱体1の表面とが熱伝導体を介して密着させられる。同時に、前記電子発熱体1が前記蓋体12により図示Z2方向の加圧させられるため、前記弾性接点16,17がわずかにZ方向に弾性変形させられる。これにより、前記電子発熱体1の下面に設けられた複数の外部接続電極(LGA)1aと前記マザーボード5上に形成された複数の対向電極5aとが前記インターポーザ15の前記弾性接点16,17を介してそれぞれ導通接続される。
【0038】
前記冷却管23の中には冷却液35が注入されている。そして、前記ポンプ31を始動させることにより、前記冷却液35が冷却管23内を循環する。前記冷却液35は冷却管23の蛇行部23Aを通過するときに、電子発熱体1が発した熱を奪う。そして、このとき暖められた前記冷却液35は前記ラジエータ32において冷却されて、再びヒートシンク20上の蛇行部23Aに戻される。このため、前記冷却液35を媒体としてヒートシンク20とラジエータ32との間で熱交換させることができるため、ヒートシンク20のみの場合に比較して冷却能力を高めることが可能である。
【0039】
なお、さらに前記電子発熱体1を冷却したい場合には、図2に点線で示すように、前記ヒートシンク20の上部にファン39を設けることにより、前記ヒートシンク20を直接空冷してもよい。ヒートシンク20の上部にファン39を設けて空冷する冷却装置は従来から存在するが、本発明の第1の実施の形態に示す冷却装置では、これに加えて冷却管23を用いてヒートシンク20を強制的に水冷する構成であるため、さらに冷却能力を高めることが可能である。
【0040】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3は本発明の第2の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す斜視図である。
【0041】
図3に示すソケット10Bは、上記第1の実施の形態に示したソケット10Aとほぼ同様の構成であり、マザーボード側に固定されるハウジング11と、ヒンジ部13で回動自在に設けられた蓋体12を有している。また前記蓋体12の中央には、開口部12Aが形成されている。電子発熱体1の表面は前記開口部12Aを介してソケット10Bの外部に露出されるようになっており、この開口部12Aを通じて電子発熱体1の表面とヒートシンクの接触面とを接合させることが可能である。
【0042】
前記蓋体12の端部には掛止部14が形成されている。そして、前記掛止部14に対向するハウジング11の端部には、被掛止部11bが形成されている。前記掛止部14と被掛止部11bとがハウジング11と蓋体12と閉塞状態に固定するロック手段を形成している。
【0043】
ただし、第2の実施の形態に示す電子発熱体の冷却装置では、ソケット10Bを形成するハウジング11の外側部と凹部11aの間に、前記凹部11aの周囲を取り囲むように周設された溝11Bが形成されている点が異なっている。
【0044】
前記溝11Bには前記ハウジング11の外部に連続する連通溝11B1,11B2が形成されている。前記溝11B、連通溝11B1,11B2の構内には、一本の細管を前記溝11Bの形状に合わせて複数回巻きいて略コイル状に形成さした冷却管25が設けられている。すなわち、冷却管25の巻き部25Aが溝11Bの内部に設けられ、前記冷却管25の一方の端部25aと他方の端部25bは前記連通溝11B1と連通溝11B2を介してそれぞれハウジング11の外部に延びている。なお、前記冷却管25は熱伝導率の高い銅管などが好ましいが、その他スチール管、樹脂性のチューブなどであってもよい。
【0045】
そして、前記冷却管25の一方の端部25aと他方の端部は25bとの間には、上記同様にポンプ、ラジエータなどが設けられており、前記冷却管25とともに一つの循環流路を形成している。
【0046】
前記ポンプを始動させて、冷却液35を前記冷却管25の巻き部25Aと前記ラジエータとの間で循環させると、電子発熱体1から発する熱を奪うことができる。特に、第2の実施の形態における冷却装置では、前記冷却管25の巻き部25Aが電子発熱体1の周囲を取り囲むように配置されているため、電子発熱体1から側面から発せられる熱を冷却することが可能である。
【0047】
このため、主として電子発熱体1の表面から発せられる熱については従来のヒートシンクおよびファンの組み合わせを用いて冷却し、これに加えて電子発熱体1の側面から発せられる熱については上記第2の実施の形態に示す冷却装置で冷却するようにすると、さらに冷却能力の高い冷却装置とすることができる。
【0048】
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
図4は本発明の第3の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図2同様の断面図である。
【0049】
図4に示すソケット10Cも上記第1及び第2の実施の形態に示したソケット10A,10Bとほぼ同様の構成であり、ヒンジ部13で回動自在に設けられた蓋体12の上部には、一体または別体に形成されたヒートシンク20が設けられており、さらに前記ヒートシンク20の上部にはファン39が取り付けられている。
【0050】
ただし、第3の実施の形態に示すソケット10Cは、上記第1及び第2の実施の形態に示したソケット10A,10Bと以下の点で相違している。
【0051】
すなわち、第3の実施の形態に示すハウジング11は底部11Aを有しており、この底部11Aには前記電子発熱体1の下面に設けられた複数の外部接続電極(LGA)1aと対向する複数のスルーホール11cが設けられている。前記スルーホール11cの上面には電極11dが形成され、下面には図示Z2方向に突出する凸状電極11eが形成されている。前記電極11dと前記凸状電極11eとは前記スルーホール11c内に設けられた導電体19を介して導通接続されている。
【0052】
前記スルーホール11cは直径1mm未満であり、前記導電体19、電極11dおよび凸状電極11eは金メッキなどで形成することができ、スルーホール11cの内部は前記金メッキされた導電体19で埋め尽くされている。このため、前記ハウジング11の凹部11aの内部と外部とは隔離されており、凹部11a内の液体がハウジング11の外部に液漏れし難くなっている。
【0053】
前記凹部11aを形成する4つの内壁の上面とこれに対向する前記蓋体12の下面には一対の対向溝11f,12aがそれぞれ周設されており、これら一対の対向溝11f,12aの構内には、ゴムなどで形成されたパッキン(またはOリング)27が設けられている。このため、前記蓋体12でハウジング11を閉塞するとともにロック手段でロック状態にすると、凹部11a内を密閉することが可能とされている。
【0054】
また前記凹部11aを形成する4つの内壁のうち対向する一対の内壁11Cと11Dには側方に抜ける貫通孔11C1,11D1が形成されており、貫通孔11C1,11D1にはパイプなどを固定して形成された注入口41と排出口42が設けられている。
【0055】
上記のようなソケット10Cは、マザーボード5上の所定の位置に位置決めされた状態で固定される。すなわち、ソケット10Cは、前記複数の凸状電極11eとマザーボード5に形成された複数の対向電極5aとが対向配置された状態で半田付けされることにより固定されている。
【0056】
そして、マザーボード5上に固定されたソケット10Cの前記注入口41および排出口42には、外部に設けられたチューブ43,43の一端が連結されており、前記チューブ43,43の他端はソケット10Cの外部に設けられたポンプ、ラジエータおよびリザーブタンクなどに連結されている。
【0057】
前記ハウジング11の凹部11a内には上記同様のインターポーザ15が位置決めされた状態で設けられており、インターポーザ15の下面に設けられた複数の弾性接点17の先端が、前記凹部11aの底面11Aに設けられた複数の電極11dにそれぞれ弾性的に接触させられている。
【0058】
前記電子発熱体1を前記凹部11a内に装着し、前記蓋体12を閉じてロック手段でロックすると、前記ソケット10C内に前記電子発熱体1を密封することができる。このとき、前記電子発熱体1の下面に設けられた複数の外部接続電極1aとマザーボード5に設けられた複数の対向電極5aとが、前記インターポーザ15に設けられた弾性接点16,導電体18,弾性接点17と凹部11aの底面に設けられた電極11d,導電体19,凸状電極11eを介してそれぞれ導通接続される。
【0059】
前記冷却液35は、前記蓋体12を閉じる前に注水することが好ましく、より好ましくは前記電子発熱体1を前記凹部11a内に装着する前に前記蓋体12内に注水しておくことである。
【0060】
第3の実施の形態に示す冷却装置では、前記ポンプを始動せて前記冷却液35を前記凹部11aと外部のラジエータの間で循環させると、前記凹部11a内の冷却液35は前記排出口42およびチューブ43を介してラジエータに導かれる。同時に、前記ラジエータ内の冷却液35は、チューブ43および注入口41を介して前記凹部11a内に導くことができる。このとき、前記冷却液35は前記電子発熱体1が発した熱を直接奪ってラジエータに移動するため、効率よく前記電子発熱体1を冷却することができる。
【0061】
特に、前記冷却水は、弾性接点16,17の間に滲入し、前記電子発熱体1の底面や外部接続電極1aを直接水冷することができるため、極めて高い効率で前記電子発熱体1を冷却することができる。
【0062】
ここで、前記冷却液35としては電極間の絶縁を図るべく非導電性を有する液体が好ましく、さらには所定の流速を確保できるように粘度の低い液体が好ましい。非導電性を有する液体としては、例えば絶縁油などがあり、さらに粘度の低い液体として、例えばフッ素系不活性液体であるフロリナート(登録商標)などを用いることができる。
【0063】
なお、冷却液は連結部分から液漏れしやすいため定期的に補充することが必要である。前記循環経路内に冷却液用のリザーブタンクを設けておくと、ほぼメンテナンスフリーとすることができる。また冷却液を補充する場合であっても、前記リザーブタンクに補充することで済み、ソケット10Cを開けて補充する必要がないため、冷却液35の補充作業を容易化することが可能となる。
【0064】
上記第3の実施の形態に示す冷却装置のみで電子発熱体1を冷却する構成であってもよいし、その他の冷却装置と組み合わせて使用するものであってもよい。
【0065】
また、主として電子発熱体1の表面から発せられる熱は上記同様のヒートシンクとファンの組み合わせからなる冷却装置内で冷却し、且つ電子発熱体1の下面から発せられる熱は上記第3の実施の形態に示す冷却装置で冷却するようにすると、極めて高い冷却能力を備えた冷却装置とすることができる。
【0066】
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。
図5は本発明の第4の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図1同様の平面図、図6はマイクロポンプの構成を示す断面図であり、Aは正圧状態、Bは負圧状態を示している。
【0067】
図5に示すように、駆動状態にある電子発熱体1の表面の温度分布を測定してみると、中央の領域に高温部1Aを有し、その周辺部に前記高温部1Aよりも温度の低い低温部1Bを有する構成が一般的である。そこで、第4の実施の形態では、このような電子発熱体1の表面(放熱面)に温度分布が現れることを利用するようにしたものである。
【0068】
図5に示すソケット10Dも上記各実施の形態に示したソケット10Aないし図Cとほぼ同様の構成であり、マザーボード5上に固定されたハウジング11と、ヒンジ部13において回動自在に設けられた蓋体12とから構成されている。
【0069】
ただし、第4の実施の形態に示す冷却装置では、複数のヒートシンク20A,20Bが分散された形態で設けられている点で異なっている。このうち、上面中央に設けられたヒートシンク20Aが高温部1A用であり、前記上面中央から離れた周辺側に設けられたヒートシンク20Bが低温部1B用である。
【0070】
前記ヒートシンク20A,20Bは、ソケット10の蓋体12に形成された前記開口部12Aを通じて電子発熱体1の表面に直接固定されていてもよいし、前記開口部12Aを有しないソケット10にあっては、蓋体12の表面に一体として形成され又は固定されたものであってもよい。なお、前記ヒートシンク20A,20Bの上部には互いに平行に配置された複数の放熱フィン21,21,・・・・を有している点では同様の構成である。
【0071】
前記ヒートシンク20A,20Bのそれぞれの前記放熱フィン21の間には、上記第1の実施の形態同様に蛇行状のパイプからなる冷却管51,52が配置されている。前記冷却管51と冷却管52とは1本のパイプを折り曲げて連続的に形成されている。あるいは、蛇行状に折り曲げた微細な径寸法のパイプを複数本束ねることにより、前記冷却管51及び冷却管52を形成したものであってもよい。
【0072】
また前記冷却管51と冷却管52とがそれぞれ別々に形成されており、前記冷却管51の一端と前記冷却管52の一端との間が別のパイプやチューブなどで連結された構成であってもよい。
【0073】
図5に示すように、前記冷却管51,52の各他端にはマイクロポンプが60A,60Bが接続されている。前記マイクロポンプ60A,60Bは、例えば図6A,図6Bに示すような冷媒としての冷却液35を収容する圧力室61と、前記圧力室61の一面に設けられるとともに弾性変形するダイヤフラム62と、前記ダイヤフラム62上に設置されダイヤフラム62を変形させる駆動手段63などを備えている。駆動手段63としては、例えば、PZT、TiNi、静電駆動用電極材料、誘電エラストマーに両面に対向電極をそれぞれ設けて形成した人工筋肉等を用いることができる。また、ダイヤフラム62としは、例えば金属、Si、ポリSi、ゴム、その他の各種プラスチック材料等により薄膜状に成形され弾性的に変形するものが用いられる。上記駆動手段63がダイヤフラム62を弾性変形させると、前記圧力室61の容積を変化させることが可能となっている。
【0074】
前記冷却管51,52内には前記冷却液35が充填されており、かつ、密閉状態となっている。前記マイクロポンプ60Aのダイヤフラム62と前記マイクロポンプ60Bのダイヤフラム62とは相補的な関係を維持しながら交互に駆動させられる。すなわち、前記マイクロポンプ60Aのダイヤフラム62が図6Aに示す正圧の状態(容積を増大させた状態)に駆動させられるときには前記マイクロポンプ60Bのダイヤフラム62は図6Bに示す負圧の状態(容積を減少させた状態)に駆動させられ、前記マイクロポンプ60Aのダイヤフラム62が負圧に駆動させられるときには前記マイクロポンプ60Bのダイヤフラム62が正圧の状態に駆動させられる。
【0075】
このため、前記冷却管51,52内に充填されている前記冷却液35を互いに正逆の双方向(冷却管51から冷却管52に向かう方向、および冷却管52から冷却管51に向かう方向)に移動させるポンプとして機能させることが可能となっている。
【0076】
なお、前記マイクロポンプ60A,60Bの駆動手段63を相補的に駆動させるための所定の電気信号を生成するドライバ手段などが設けられている(図示せず)。前記マイクロポンプ60A,60Bは前記ドライバ手段からの電気信号を受けて交互に駆動させられるようになっている。
【0077】
このように前記マイクロポンプ60A,60Bを交互に駆動させることにより、前記高温部1Aに設けられた冷却管51内で暖められた冷却液35を前記低温部1Bに設けられた冷却管52に移動させることができる。そして、前記低温部1B側の冷却管52内で冷やされた冷却液35を前記高温部1A側の冷却管51に再び移動させることができる。すなわち、前記高温部1Aに位置する冷却管51と前記低温部1Bに位置する冷却管52との間で、冷媒としての冷却液35を移動させることによる熱交換を行うことが可能となっている。このため、前記図5に示す本発明の第4の実施の形態においても、電子発熱体1が発する熱を冷却することができる。このため、電子発熱体1本体の温度上昇、さらには前記電子発熱体1を有するPCケース内の温度上昇を抑制することができる。
【0078】
第4の実施の形態に示すものでは、マイクロポンプ60A,60Bの駆動手段として小型のPZTなどを用いることができ、しかもラジエータを必要としないため、小型且つ省電力性に優れた冷却装置とすることが可能である。
【0079】
またさらに上記同様にファンを用いて前記ヒートシンク20A,20Bを強制的に空冷するようにすると、さらに冷却能力の高い冷却装置とすることが可能となる。
【0080】
また上記第4の実施の形態では、一つの高温部1Aに一つの低温部1Bが対応し、これらの間でのみ熱交換が行なわれる構成を示したが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、一つの高温部1Aに複数の低温部1Bが対応して熱交換が行なわれる構成としたものであってもよく、この場合にはさらに冷却能力に優れた冷却装置とすることができる。
【0081】
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。
図7は本発明の第5の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図1同様の平面図である。
【0082】
図7では、ソケット10Eを構成する蓋体12の表面に、一本のパイプを折り曲げるとともに前記蓋体12の中心部の周辺部との間に平面スター状(略放射状また扇状ともいう。)に配置した冷却管70が固定されている構成を示している。前記冷却管70の中心部側は前記電子発熱体1の高温部1A内を通過し、且つ前記冷却管70の周辺部は、前記高温部1Aよりも低い温度となる前記電子発熱体1の低温部1Bに対向するように配置されている、また隣り合う前記冷却管70間のピッチ幅は、高温部1Aのピッチ幅W1の方が低温部1B側のピッチ幅W2に比較して広くなる形状で形成されている。
【0083】
前記略ひだ状に配置された冷却管70の内部には冷却液35が充填されており、前記冷却管70の両端部には,上記第4の実施の形態と同様のマイクロポンプ60A,60Bがそれぞれ設けられている。前記マイクロポンプ60A,60Bは上記同様に交互に駆動させられるようになっている。
いる。
【0084】
前記マイクロポンプ60A,60Bを交互に駆動すると、前記冷却管70内を冷却液35が前記マイクロポンプ60Aからマイクロポンプ60Bに向かう正方向、およびその逆方向の双方向に移動させることができる。このため、前記高温部1Aで暖められた冷却液35を前記低温部1Bに移動させることができる。また前記低温部1Bで冷やされた冷却液35を前記高温部1Aに移動させることができる。すなわち、前記高温部1Aに位置する冷却管70と前記低温部1Bに位置する冷却管70との間で、冷媒としての冷却液35を移動させることによる熱交換を行うことが可能である。このため、前記図7に第5の実施の形態として示す示するものにおいても、ソケット10E内に保持されている電子発熱体1が発した熱を冷却することができる。このため、電子発熱体1本体の温度上昇、さらには前記電子発熱体1を有するPCケース内の温度上昇を抑制することができる。
【0085】
また第5の実施の形態に示す冷却装置では、高温部1Aの冷却管70のピッチ幅W1の方が、低温部1B側の冷却管70のピッチ幅W2に比較して広い。このため、低温部1Bに位置する冷却管70の単位長さ当たりの冷却面積を広くすることができ、冷却管70を一定のピッチ幅で配置した場合(例えば図5参照)に比較して冷却液35を効率良く冷却することが可能である。
【0086】
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。
図8は本発明の第6の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図4同様の断面図である。
【0087】
図8に示すソケット10Fは、蓋体12の構造とハウジング11の内壁11C,11Dに注入口41と排出口42が設けられている点を除いてほぼ上記第3の実施の形態に示すソケット10Cと同様である。
【0088】
第6の実施の形態に示すソケット10Fを形成する蓋体12の表面はドーム形状をしており、その表面には円筒状の細管からなる複数のヒートパイプ81が植設されている。前記ヒートパイプ81は、細管を減圧状態で密閉されており、その内部には例えば水、ナトリウム、カリウム、フロンなどからなる作動液(熱媒体)が封入されている。前記ヒートパイプ81の管壁には溝や金網などからなり、毛細管現象を発揮するウイック(図示せず)が設けられている。また前記蓋体12の内側には、前記電子発熱体1の表面を図示Z1方向に押圧する押圧部12bが一体に形成されている。
【0089】
なお、前記ソケット10Fの外部には、前記複数のヒートパイプ81を空冷するファンを設けた構成が好ましい。
【0090】
第6の実施の形態に示す電子発熱体の冷却装置では、前記電子発熱体1から発せられた熱が前記押圧部12bを介して前記蓋体12に伝達される。このとき、前記ヒートパイプ81の作動液は、ヒートパイプ81の一端である前記蓋体12側の端部(蒸発部)で熱を吸収し、他方の開放端部(凝縮部)で熱を放散する。すなわち、前記作動液は前記蒸発部で潜熱を奪って気化し、凝縮部で潜熱を捨てて液化する。液化した作動液は、気体より重いので前記ウイックを伝わって前記蒸発部に戻る(毛細管現象)。つまり、前記作動液は前記ヒートパイプ81内で液体→気体→液体と循環されることで熱対流を発生させるため、前記電子発熱体1が発した熱をソケット10Fの外部に逃がし冷却することができる。
【0091】
また、図8に示すように前記蓋体12に複数の貫通孔を形成し、開放状態にしたヒートパイプ81の一端(蒸発部)を前記貫通孔に装着した構成であってもよい。この構成では、ソケット10F内で暖められて気化した作動液が、前記ヒートパイプ81内に滲入することができる。そして、上記同様の作用より前記電子発熱体1が発した熱をソケット10Fの外部に逃がすことができる。この実施の形態では、熱を吸収した作動液がヒートパイプ81に入り込むとともに他方の開放端部(凝縮部)に移動して直接的に熱を放散することができるため、さらに効率良く前記電子発熱体1を冷却することが可能となる。
【0092】
なお、上記第6の実施の形態では、複数のヒートパイプ81がドーム状の蓋体の表面に設けられた構成を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば図2などに示すソケットの蓋体12上に前記ヒートシンク20の代わりに複数のヒートパイプ81が設けられる構成であってもよい。
【0093】
次に、冷却装置の一種としてのヒートシンクの新たな態様について説明する。
図9ないし図14はヒートシンクの実施の形態を示す側面図である。
【0094】
図9および図10に示すヒートシンク91,92は、先端部が周縁部から中心に向かって渦巻き形状に立ち上がる放熱部を備えたスパイラル形状のヒートシンクである。
【0095】
ただし、図9に示すヒートシンク91は、マウント部91aが電子発熱体1の表面に固定されており、スパイラル状の放熱部91bの先端91cと電子発熱体1の表面との間には熱伝導部91dが設けられている。
【0096】
一方、図10に示すヒートシンク92は、スパイラル状の放熱部92bの先端92cが電子発熱体1の表面に固定されており、熱伝導部92dがマウント部92aと電子発熱体1の表面との間に設けられている。
【0097】
前記ヒートシンク91は面積の大きなマウント部91aの全体が、電子発熱体1の表面に固定されるため、表面全体から熱を発するような電子発熱体1に向いている。また前記ヒートシンク92は、面積の小さな先端部92cが電子発熱体1の表面に固定されるため、特に表面の中央部から部分的に熱を発するような電子発熱体1に向いている。
【0098】
なお、いずれのヒートシンク91,92においても、電子発熱体1の表面から発せられる熱を前記スパイラル状の放熱部91b,92b以外の熱伝導部91d,熱伝導部92dを介して最短経路で放熱することが可能である。
【0099】
次に、図11に示すヒートシンク93は、従来のヒートシンク同様に複数の放熱フィンA,B,CおよびDを有している。ただし、これら各放熱フィンA,B,CおよびDに表面には、多数の凹部93aが形成されている点で異なっている。
【0100】
この実施の形態に示すヒートシンク93では、実質的な表面積を従来のヒートシンクよりも大きくすることができりため、より高い冷却能力を有するヒートシンクとすることが可能である。
【0101】
一方、図12および図13に示すヒートシンク94,95では、複数の放熱フィンA,B,CおよびDの表面に、例えば微細加工により形成された多数のスパイラル94a,95aが設けられている。なお、図12に示すヒートシンク94は前記図10同様にスパイラル94aの先端部が放熱フィンの表面に固定されたものであり、図13に示すヒートシンク95はゼンマイ形状に形成されたスパイラル95aの最外周部の端部が前記放熱フィンA,B,CおよびDの表面に固定されたものである。
【0102】
これら実施の形態においても、前記多数のスパイラル94a,95aがヒートシンク全体の実質的な表面積を拡張することができる。よって、ヒートシンク94,95の全体としての冷却能力を高めることが可能である。
【0103】
次に、図14は自己調整機能を備えたヒートシンクの側面図を示し、Aは常温時の圧縮状態、Bは高温時の膨張状態を示している。
【0104】
図14に示すヒートシンク96は、上記図9に示すヒートシンク91に近似する構成であるが、中央に熱導伝導部91dを有しない点、および形状記憶合金で形成されている点が異なっている。例えば、形状記憶の性質を示す合金として、Ti−Ni合金、Au−Cd合金、Ag−Cd合金、Cu−Au−Zn合金等を用いることができる。
【0105】
図14Bに示すように、前記ヒートシンク96は常温時の形状として図14Aに示すように放熱部がZ方向に縮んだ圧縮状態が記憶され、高温時の形状としてスパイラルの放熱部がZ2方向に立ち上がった膨張状態が記憶されている。したがって、電子発熱体1が熱を発する前の常温近傍では、前記ヒートシンク96は図14Aに示す圧縮状態にある。そして、前記電子発熱体1が動作させられ、自らが発する熱により電子発熱体1の表面の温度が高くなると、このときの温度の上昇にしたがって前記ヒートシンク96の形状は図14Bに示すような膨張状態に変形させられる。
【0106】
前記圧縮状態のときには、ヒートシンク96の前記放熱部96bの姿勢が水平姿勢に近い状態(図14A)にあるが、徐々に温度が上昇すると前記放熱部96bを図14Bに示すような垂直に近い姿勢に近づけることができる。このため、例えばファン39からヒートシンク96に向けて送られて来る空気が、前記放熱部96bに当たる面積を温度の上昇とともに拡張することができる。すなわち、ヒートシンク96は、自らが有する冷却能力を電子発熱体1の温度上昇に合わせて高めることが可能となる。このため、ヒートシンク96は温度の変化に合わせて冷却能力を自己調整することができ、好適なヒートシンクを提供することが可能となる。
【0107】
上記第1ないし第3の実施の形態では、好ましい態様として冷却管で形成される循環経路内にラジエータ32等を設けて冷却液35を強制的に冷却する構成について説明したが、単に冷却液35を循環させるだけでも十分な冷却能力を発揮することが可能な冷却システムにおいては、前記ラジエータは必須のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を示す平面図、
【図2】図1の2−2線における断面図、
【図3】本発明の第2の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す斜視図、
【図4】本発明の第3の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図2同様の断面図、
【図5】本発明の第4の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図1同様の平面図、
【図6】マイクロポンプの構成を示す断面図であり、Aは正圧状態、Bは負圧状態、
【図7】本発明の第5の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図1同様の平面図、
【図8】本発明の第6の実施の形態としての電子発熱体の冷却装置を構成するソケットを示す図4同様の断面図、
【図9】ヒートシンクの実施の形態を示す側面図、
【図10】ヒートシンクの他の実施の形態を示す側面図、
【図11】ヒートシンクの他の実施の形態を示す側面図、
【図12】ヒートシンクの他の実施の形態を示す側面図、
【図13】ヒートシンクの他の実施の形態を示す側面図、
【図14】自己調整機能を備えたヒートシンクの側面図を示し、Aは常温時の圧縮状態、Bは高温時の膨張状態、
【符号の説明】
【0109】
ソケット 10,10A,10B,10C,10D,10E
11 ハウジング
11a 凹部
11b 被掛止部
12 蓋体
13 ヒンジ部
14 掛止部
15 インターポーザ
16,17 弾性接点
18,19 導電体
20,20A,20B ヒートシンク
21 放熱フィン
23,25 冷却管
31 ポンプ
32 ラジエータ
35 冷却液
39 ファン
41 注入口
42 排出口
51,52 冷却管
60A,60B マイクロポンプ
61 圧力室
62 ダイヤフラム
63 駆動手段
70 冷却管
81 ヒートパイプ
91,92,93,94,95 ヒートシンク
91a,92a マウント部
91b,92b 放熱部
91c,92c 先端
91d,92d 熱伝導部
93a 凹部
96 ヒートシンク
96b 放熱部
A,B,C,D 放熱フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット内に保持された電子発熱体を冷却する装置であって、前記ソケットが、前記電子発熱体が装着されるハウジングと、前記電子発熱体を前記ハウジング内に保持する蓋体とを有しており、前記ハウジングと前記蓋体の少なくとも一方に前記電子発熱体を冷媒を用いて冷やす冷却手段が設けられていることを特徴とする電子発熱体の冷却装置。
【請求項2】
前記冷却手段が、複数のフィンを有するとともに前記蓋体の表面に設けられたヒートシンクと、前記フィンの間に蛇行状に配管された冷却管と、前記冷却管内を流れる冷却液と、前記冷却液を循環させるポンプと、を有することを特徴とする請求項1記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却手段が、ハウジング内に前記電子発熱体の周囲を取り囲むように周設された溝と、前記溝内に配管された冷却管と、前記冷却管内を流れる冷却液と、前記冷却液を循環させるポンプと、を有することを特徴とする請求項1記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却手段が、前記ハウジングに設けられた注入口及び排水口と、前記ハウジングの外部において前記注入口と前記排水口との間に設けられた冷却管と、前記注入口から注水され且つ前記排水口から排出させられる冷却液と、前記冷却液を循環させるポンプと、を有することを特徴とする請求項1記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却手段が、前記電子発熱体が発する熱の表面温度分布に応じて高温部となる位置に対向して設置された第1のヒートシンクと、前記高温部以外の低温部の位置に対向して設置された第2のヒートシンクと、前記第1のヒートシンクと第2のヒートシンクとの間に配管された冷却管と、前記冷却管の両端に設けられた一対のポンプと、前記一対のポンプを相補的に駆動するドライバ手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項6】
前記冷却手段が、前記電子発熱体が発する熱の表面温度分布に応じて中央部に形成された高温部と、その周辺部に形成された低温部との間に平面スター状に配管された冷却管と、前記冷却管両端に設けられた一対のポンプと、前記一対のポンプを相補的に駆動するドライバ手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却手段が、前記蓋体の表面に設けられた複数のヒートパイプであることを特徴とする請求項1記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項8】
前記ヒートシンクは、前記電子発熱体の表面に又は蓋体の表面に固定されていることを特徴とする請求項1、3、4又は6のいずれか記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項9】
空冷用のファンが設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項10】
前記冷却液が循環する経路内に、前記冷却液を冷却するラジエータが設けられていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項11】
前記冷却液が、正逆の双方向に移動させられることを特徴とする請求5又は6記載の電子発熱体の冷却装置。
【請求項12】
前記ヒートシンクが形状記憶合金で形成されることを特徴とする請求項2、5又は8のいずれか記載の電子発熱体の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−324345(P2006−324345A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144408(P2005−144408)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】