説明

電子線殺菌システム

【課題】容器2が結露することにより電子線による殺菌効果が低下することを防止する。
【解決手段】殺菌ボックス18内に容器搬送装置24が設けられ、外部から搬入された容器2を搬送して照射室30に導入し、電子線照射装置28からこの容器2に電子線を照射して殺菌を行う。電子線の照射により殺菌ボックス18内の温度が上昇するため、外部から搬入された容器2が結露を生じてしまうおそれがあるが、殺菌ボックス18の上流側に容器加温手段を設けて容器2の温度を上昇させてから殺菌ボックス18に搬入するため、容器2に結露が生じることがない

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺菌室内で容器に電子線を照射して殺菌を行う電子線殺菌システムに係り、特に、殺菌室内に供給される容器が結露することを防止するようにした電子線殺菌システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
殺菌室内に供給された容器を容器搬送装置によって搬送している間に、電子線照射装置から電子線を照射して殺菌を行う容器殺菌装置は従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、クリーンルーム内に供給されたペットボトルを容器搬送装置によって搬送し、電子線殺菌部を通る過程で、スキャンホーン(電子線をペットボトルに照射する装置)から電子線がペットボトルに照射されて殺菌されるようになっている。
【0004】
電子線の照射を行う際に、電子線の照射部をチャンバーで取り囲んで外部と区画した場合には、電子線が照射されることによりチャンバー内部の温度が42〜43℃程度まで上昇する。一方、外部からこのチャンバー内に搬入される容器は、外部雰囲気が常温域(15〜25℃)であれば、同程度の温度になっているため、チャンバー内に搬入されると外面に結露を生じるおそれがある。例えば、容器の温度が20℃であり、この容器が搬入されるチャンバー内の温度が前記42〜43℃であれば、チャンバー内の湿度が30%程度であっても、チャンバー内に搬入された容器に結露が発生してしまう。冬季のように容器の温度が常温域よりもさらに低い場合には、一層結露が生じやすくなる。
【特許文献1】特開2006−61558号公報(第6頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように電子線を照射して殺菌する容器が結露していると、容器に付着している水分に電子線のエネルギーが吸収されて容器に対する殺菌力が低下してしまい、充分な殺菌が行われないおそれがあるという問題があった。前記特許文献1に記載された発明やその他の電子線殺菌装置では、容器の結露に関して対策を講じたものは存在しない。
【0006】
本発明は殺菌室に供給される容器の温度を調節することにより容器に結露が生じることを防止するようにした電子線殺菌システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、殺菌室内に供給された容器に電子線照射装置から電子線を照射して殺菌する電子線殺菌システムにおいて、殺菌室に供給される容器の温度を所定温度に加温する容器加温手段を設けたことを特徴とすることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に記載した発明は、前記容器加温手段が、前記殺菌室よりも手前に配置された加温室に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、請求項3に記載した発明は、前記容器加温手段が、加温された推進エアを吹き出すエア搬送コンベヤであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子線殺菌システムは、殺菌室内に供給される容器を加温することにより、殺菌室内に供給された容器に結露が生じることを防止できるので、電子線の照射により容器を確実に殺菌することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
電子線照射装置とこの電子線照射装置から電子線の照射を受ける殺菌室を備えており、殺菌室内に搬入した容器に電子線を照射して殺菌を行う装置であり、特に、容器が殺菌室内に供給される前に、容器加温手段によりこの容器を加温するという構成にしたことにより、外部から搬入された容器が結露することを防止するという目的を達成する。
【実施例1】
【0012】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る電子線殺菌システムの全体の構成を示す平面図である。この実施例に係る電子線殺菌システムにおいて殺菌され液体等の内容物が充填される容器2はペットボトルであり、この容器2はエア搬送コンベヤ4によって連続的に搬送され、インフィードスクリュー6によって所定の間隔に切り離されつつ導入チャンバー内に搬入される。
【0013】
前記導入チャンバーは2つのチャンバー(第1導入チャンバー8と第2導入チャンバー10)に分かれており、各チャンバー8、10内にそれぞれ、容器保持手段(図示せず)を備えたロータリホイール(第1ロータリホイール12と第2ロータリホイール14)が配置されている。これら導入チャンバー8、10内に搬入された容器2は、各導入チャンバー8、10内のロータリホイール12、14に順次受け渡されて回転搬送される。前記エア搬送コンベヤ4から第1導入チャンバー8内へ容器2が搬入される部分のチャンバー壁面には、容器2が通過可能な開口(図示せず)が形成され、また、第1ロータリホイール8から第2ロータリホイール10への受け渡し部の仕切壁16には、容器2の受け渡しが可能な開口(図示せず)が形成されている。
【0014】
第2導入チャンバー10に続いて、容器2を電子線の照射により殺菌する際に、電子線やX線(制動X線)が外部に漏れないように遮蔽する鉛製壁面から成る殺菌ボックス(殺菌室)18が設置されている。この殺菌ボックス18内は、供給ホイール20が配置されている入口側の供給室22と、供給ホイール20から受け取った容器2を搬送するとともに、反転区間Aにおいて上下を反転させる容器搬送装置24が設けられたメイン室26と、電子線照射装置28の前面側に位置し、搬送される容器2が電子線の照射を受ける照射室30と、この照射室30の出口側(図1の右側)に連続して設けられ、電子線の照射により殺菌された容器2を無菌状態を維持したまま下流側に送る排出室32に区画されている。
【0015】
殺菌ボックス18の壁面の、第2導入チャンバー10のロータリホイール14から供給室22内の供給ホイール20へ容器2の受け渡しを行う部分には、容器2が通過可能な開口(図示せず)が形成されている。第2ロータリホイール14から容器2を受け取った供給ホイール20は、メイン室26の容器搬送装置24に容器2を引き渡す。供給室22とメイン室26との間の仕切壁34にも、容器2の受け渡しが可能な開口(図示せず)が形成されている。メイン室26に設置された容器搬送装置24は、詳細な図示および説明は省略するが、多数の容器保持手段としての容器グリッパが連続して設けられた無端状の容器搬送体である容器保持帯24aと、この無端状の容器保持帯24aが掛け回されて容器グリッパを循環搬送させる移送回転体として2つのスプロケット24b、24cを備えている。
【0016】
各容器グリッパは、上下一対の容器保持部を有しており、同時に2個の容器2を保持して搬送するとともに、搬送方向に沿った軸線を中心に180°回転して反転することができる。そして、この容器搬送装置24は、容器グリッパが両スプロケット24bと24cの間で直線的に移送される直線経路と、各スプロケット24b、24cに沿って周回される周回経路から構成され、スプロケット24cから24bへ至る直線経路に前記反転区間Aが設定され容器2を1周搬送する間に、1回反転させて容器2の上下を入れ替えるようになっている。一方のスプロケット24cの周回経路には、容器グリッパの移送方向における下流側に容器2の供給位置Bが設定され、上流側に排出位置Cが設定されており、一つの容器2は、供給位置Bで一方の容器保持部に保持されて2周搬送され、その間に2回上下が反転され、供給時の状態に戻った後、排出位置Cから排出室32の受け渡しホイール36に引き渡される。前記第1導入チャンバー8、第2導入チャンバー10、供給室22およびこのメイン室26内は、外部から殺菌前の容器2が導入され搬送されているので、外部よりも陽圧に管理されているが完全な無菌状態が維持されてはいない。
【0017】
鉛製の殺菌ボックス18に隣接して電子線照射装置28が配置されている。この電子線照射装置28は、容器2に電子線を照射する照射ユニット29を備えており、載置台38に載置されている。電子線照射装置28の構成は周知であるので図示および詳細な説明は省略するが、照射ユニット29内の真空中でフィラメントを加熱して熱電子を発生させ、高電圧によって電子を加速して高速の電子線ビームにしてから、照射窓29aに取り付けたTi等の窓箔29bを通して大気中に取り出して被処理物(容器2)に電子線を当てて殺菌等の処理を行う装置である。
【0018】
この実施例では、電子線照射装置28を載置した載置台38はレール38a上を移動可能になっており、殺菌ボックス18に対して接近、離隔させることができる。この電子線充填システムを運転する際には、載置台38を殺菌ボックス18に接近させ、照射ユニット29の照射窓29aを殺菌ボックス18の壁面に形成された開口18aに一致させて、これら両者18、29を連結する。殺菌ボックス18の内部に、前記照射ユニット29が連結される開口18aを囲むようにして照射室30が設けられている。前記容器搬送装置24はスプロケット24bから24cへ至る直線経路が照射室30を貫通しており、この貫通する部分に照射位置Dが設定され、容器グリッパに保持された2本の容器2は、上下に垂直な状態でこの照射室30内を通過し、各容器2は、電子線照射装置28から電子線の照射を受けて殺菌される。
【0019】
照射室30の入口側と出口側の壁面には容器グリッパに保持された上下2本の容器2が通過可能な開口(図示せず)が形成されている。この照射室30の出口側の壁面に連続して排出室32が形成されている。容器搬送装置24の一方のスプロケット(図1の右側のスプロケット24c)は、排出室32の内部に入り込んでおり、容器グリッパに保持されて上下位置で1回ずつ2回の電子線照射を受けた容器2は、排出室32内で、容器グリッパの下方に位置する容器保持部からこの排出室32に設置された受け渡しホイール36に引き渡される。排出室32は、スプロケット24cの回転を妨げずに、照射室30の出口側の開口から受け渡しホイール36までの容器搬送装置24の搬送経路、および受け渡しホイール36の搬送経路を、メイン室26および供給室22から区画する仕切壁32aと、仕切壁32aと対向し受け渡しホイール36の上下空間から区画する仕切壁32b、および殺菌ボックス18の床面と天面とで取り囲まれている。この排出室32以降の各チャンバーは、電子線の照射により殺菌された容器2の処理を行うので、無菌状態が維持されている。なお、さらに照射室30の出口側の開口から受け渡しホイール36までの容器搬送装置24の搬送経路を、容器2の搬送を妨げないようにして上方の搬送空間と下方の搬送空間とに仕切壁を設けて区画し、受け渡しホイール36の搬送経路についても、容器2を受け取る容器搬送装置24の下方の搬送空間と連通させて、上方の搬送空間とは仕切壁により区画するようにしても良い。この場合には、下方の搬送空間と受け渡しホイール36の搬送経路を取り囲む空間が排出室32となる。
【0020】
殺菌ボックス18内の最も下流側に位置している排出室32に隣接して中間チャンバー40が設置されている。そして、この中間チャンバー40の下流側にフィラ(充填手段)42を収容したチャンバー(充填室)44が設置されている。中間チャンバー40内には、容器保持手段(図示せず)を備えたロータリホイール(ネックホイール)46が設けられており、このネックホイール46が前記排出室32内の受け渡しホイール36から受け取った容器2を、回転搬送した後、フィラ42が設置されたチャンバー44内の供給ホイール48に引き渡す。
【0021】
前記殺菌ボックス18の排出室32から中間チャンバー40に排出された容器2は、フィラ42が設置されたチャンバー44内の入口側に配置されている供給ホイール48に受け渡された後、フィラ42に供給される。供給ホイール48から容器2を受け取ったフィラ42は、この容器2を保持して回転搬送する間に液体等の内容物の充填を行う。充填が終了した容器2は、フィラ42のチャンバー44に隣接して配置されているキャッパ54が設置されたチャンバー56内に搬入される。このキャッパ54が設置されたチャンバー56内の入口側には、フィラ42から容器2を受け取ってキャッパ54にこの容器2を引き渡す中間ホイール58が配置されている。また、キャッパ54の下流側には、キャッピングが終了した容器2を排出コンベヤ60に引き渡す排出ホイール62が設けられている。
【0022】
この電子線殺菌システムでは、エア搬送コンベヤ4によって搬送されてきた容器2が、殺菌ボックス18内で電子線照射装置28から電子線の照射を受けて殺菌された後、フィラ42で内容物が充填され、キャッパ54でキャッピングが行われ、その後、排出コンベヤ60によって排出されて次の工程に送られる。なお、殺菌ボックス18内の排出室32に配置された受け渡しホイール36から中間チャンバー40のロータリホイール46に容器2を受け渡す位置、中間チャンバー40内のロータリホイール46からフィラ42の設置されたチャンバー44内の供給ホイール48へ容器2を受け渡す位置、フィラ42からキャッパ54の設置されたチャンバー56内の中間ホイール58に受け渡す位置等のチャンバー壁面には、それぞれ容器2が通過可能な開口が形成されている。また、殺菌ボックス18の各開口にはシャッタが備えられており、連通する他のチャンバー内を洗浄する際に閉鎖して水滴や湿気の流入を防止するようになっている。
【0023】
この実施例では、容器2に電子線を照射して殺菌を行う殺菌ボックス18の上流側に位置する第2導入チャンバー10が、容器2の温度の調節を行う加温室になっている。この加温室10には、容器加温手段として温風供給装置70が設けられており、所定の温度に加熱したエアを無菌フィルタ72を介して供給することで、加温室10内を昇温させて所定温度に維持している。また、この加温室10には、室内のエアを排出する排気ブロア76が接続されており、加温室10内の圧力を隣接する殺菌ボックス18内の供給室22よりも低く、第1導入チャンバー8よりも高い状態に維持するように調節している。殺菌ボックス18内は電子線の照射が行われるので、温度が上昇しており、一方、外部から供給され第1および第2導入チャンバー8、10を介してこの殺菌ボックス18に搬入される容器2は、通常の状態では外気温とほぼ同一の温度なので、このまま殺菌ボックス18に搬入すると結露を生じるおそれがある。そこで、温風を送り込んでいる第2導入チャンバー(加温室)10内を容器2を通過させることにより、殺菌ボックス18内の温度、湿度に応じて、結露が生じない温度まで容器2の温度を上昇させておく。
【0024】
以上の構成に係る電子線殺菌システムの作動について説明する。このシステムで殺菌、充填される容器2はペットボトルであり、エア搬送コンベヤ4によって供給される。エア搬送コンベヤ4によって搬送されてきた容器2は、第1導入チャンバー8内に入り、インフィードスクリュー6によって一定の間隔に切り離されて、第1ロータリホイール12の容器保持手段に引き渡される。外部のエア搬送コンベヤ4から第1導入チャンバー8内に搬入された時点では、容器2は外気温とほぼ同じ温度になっている。
【0025】
第1ロータリホイール12によって第1導入チャンバー8内を回転搬送された後、第2導入チャンバー10内の第2ロータリホイール14に引き渡され、第2導入チャンバー10内を回転搬送される。第2導入チャンバー10は加温室になっており、温風供給装置70から加熱されたエアが供給されて、室内の温度が所定温度まで上昇している。第2ロータリホイール14によって搬送される容器2は、この加温室10内を通過する間に温度が上昇する。その後、この容器2は次の殺菌ボックス18内に搬入される。なお、この加温室10の温度は、外部の温度とほぼ同一の温度で供給されてきた容器2がこの加温室10を通過して加熱された後、殺菌ボックス18に搬入された時に、結露を生じない温度に設定される。
【0026】
容器2は第2ロータリホイール14から鉛製の殺菌ボックス18の供給室22内に設置された供給ホイール20に引き渡され、供給ホイール20の容器保持手段に保持されて回転搬送されて、容器搬送装置24のグリッパに引き渡される。グリッパは上下二つの容器保持部を有しており、その下側の容器保持部に保持された容器2は、反転区間Aにおいてグリッパが反転することにより上方に移動して倒立した状態になる。倒立した容器グリッパがスプロケット24bの周囲を回転移動して照射室30に入る。照射室30には、その外側に配置されている電子線照射装置28から電子線が照射されるようになっており、搬送されているこの容器2は、照射ユニット29の窓箔29bの前方(照射区間D)を通過する間に、電子線が照射されるとともに容器2を透過して内外面が殺菌される。
【0027】
殺菌ボックス18内では、閉鎖された空間内で電子線の照射による殺菌が行われているため、内部の温度が42〜43℃まで上昇している。一方、外部から導入チャンバー8、10を経て殺菌ボックス18内に搬入されてきた容器2は、外部雰囲気とほぼ同じ程度の温度である。従って、例えば外気温が20℃程度であれば容器2の温度も20℃程度である。殺菌ボックス18内の温度と容器2の温度との差がこのように大きいと、殺菌ボックス18内の湿度が30パーセント程度であっても、容器2の外表面に結露が発生してしまう。特に冬季のように外気温が低い場合には、容器2の温度がさらに低く、一層結露が生じやすくなってしまう。そこで、この実施例では、殺菌ボックス18の直前の第2導入チャンバー(加温室)10の温度を上昇させておき、この加温室10を通過させることで容器2の温度を上昇させておく。このように容器2を暖めておくことにより、殺菌チャンバー18内に搬入された容器2に結露が生じることを防止することができる。その結果、従来のように結露により生じた水分のために殺菌効果が低下することがなく、容器2を確実に殺菌することができる。なお、加温室10に導入された際に、容器2には結露が生じるが、容器2の温度が上昇すればすぐに消滅する。また、加温室10の温度としては、ペットボトルである容器2の耐熱温度を上限として、容器2の温度がこれに達することがない範囲で、周囲の環境温度等を考慮して容器2が殺菌ボックス18内の温度と同程度になるように設定する。また、温風供給装置70が供給する加熱エアをドライエアとするとさらに効果的である。
【0028】
1回目の照射を終えて照射室30を抜け出した容器2は、排出室32内に入り、スプロケット24cの周囲を回転移動して再び供給ホイール20からの供給位置Bに戻る。前回この供給ホイール20から下側の容器保持部が受け取った容器2は、反転して上方に移動しており、下方に位置している他方の容器保持部が供給ホイール20から容器2を受け取る。その後、グリッパが反転区間Dで再度反転して、上下が入れ替わり、前回上方で電子線の照射を受けた容器2が下側に移動し、電子線の照射を受けていない面が容器搬送装置24の回転移動方向の外側を向く。2つの容器2を保持したグリッパが再び照射室30に入ると、すでに1回目の照射を受けた容器2は前回とは逆側から2回目の電子線の照射を受けて内外面全域が殺菌される。また、同時に他方の新たに保持された上方の容器2は1回目の照射を受ける。
【0029】
照射室30で2回目の電子線の照射を受けて内外面全体が殺菌された容器2は、排出室32内の排出位置Cで受け渡しホイール36に引き渡され、さらに、次の中間チャンバー40内のネックホイール46に引き渡されて鉛製の殺菌ボックス18から排出される。
【0030】
中間チャンバー40のネックホイール46から、次のフィラ42を収容したチャンバー44内に設置された供給ホイール48に容器2の受け渡しが行われ、その後、この供給ホイール48からフィラ42に供給される。フィラ42で回転搬送される間に内容物が充填された容器2は、中間ホイール58によってフィラ42から取り出され、次のキャッパ54が配置されたチャンバー56内に搬入される。中間ホイール58からキャッパ54に受け渡されてキャッピングが行われた後、排出ホイール62を介して排出コンベヤ60上に排出されて次の工程に送られる。
【実施例2】
【0031】
前記実施例では、第2導入チャンバー10に温風供給装置70と排気ブロア74を接続して加温室とし、この加温室10に導入された容器2を加熱するようにしている。この場合には、加温室10内全体の空気を加熱し、この加温室10内を通過する容器2の温度を上昇させるようにしているが、これに加えて、図2に示すように、容器2内に温風を吹き込むことにより容器2の内側からも暖めるようにしても良い。この構成では、加温室10のロータリホイール14に設けられている容器保持手段14aに、それぞれ対応してエアノズル14bを設け、このエアノズル14bに無菌フィルタ72を通した加熱エアを供給するように、加温室10内に吹き込むための配管から分岐させた配管を接続し、容器保持手段14aによって保持されて搬送されている容器2内に、温風供給装置70から送られた温風をノズル14bから吹き込むようにする。このように容器2を内外から暖めることにより、短時間で容器2を所望の温度に加温することができる。このようにノズル14bを設けることで、容器2の搬送速度が速く、短時間に加温室10を通過してしまう場合に特に有効である。また、ノズル14bから吹き込む加温エアの温度は、加温室10内に吹き込むものと同様に、ペットボトルである容器2の耐熱温度を上限として、容器2の温度がこれに達することがない範囲で、周囲の環境温度等を考慮して容器2が殺菌ボックス18内の温度と同程度になるように設定する。また、加温室10全体を暖めることはせず、容器2内に温風を吹き込むことだけで容器2の温度を上昇させることも可能である。なお、請求項2に記載した容器加温手段は、前記温風供給装置70から供給される加熱エアを加温室10に供給する構成、またはノズル14bを介して容器2に吹き込む構成あるいはこれら両者の構成を含んでいる。
【実施例3】
【0032】
前記第1実施例および第2実施例では、電子線の照射を行う殺菌ボックス18の直前に位置する第2導入チャンバー(加温室)10内で容器2を加温するようにしたが、この電子線殺菌システム内の他の箇所で容器2を加温することも可能である。例えば、前記エア搬送コンベヤ4では、一対の支持レール(図示せず)に容器2のネック部に形成されたフランジ2a(図2参照)を支持させ、容器2の後方側から推進用のエアを吹き付けて前進させるようにしている。このエア搬送コンベヤ4の推進エアを、温風供給装置80(図1に破線で示す)から送られた温風にすることにより、エア搬送コンベヤ4での搬送中に容器2を暖めることもできる。このように容器2が電子線の照射が行われる殺菌ボックス18に搬入される前のいずれかの位置に、容器2を加温する加温手段を設け、容器2の温度を上昇させてから殺菌ボックス18に供給するようにすれば、容器2に結露が発生することを防止することができ、水分により電子線の殺菌効果を低下させることがないので、電子線による殺菌を確実に行うことができる。前記温風供給装置80は、請求項3に記載した容器加温手段の一例である。なお、推進用エアの温度は、ペットボトルである容器2の耐熱温度を上限として、容器2の温度がこれに達することがない範囲で、周囲の環境温度等を考慮して容器2が殺菌ボックス18内の温度と同程度になるように設定する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】電子線殺菌システムの全体の構成を示す平面図である。(実施例1)
【図2】容器加温手段の要部を示す正面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0034】
2 容器
18 殺菌室(殺菌ボックス)
28 電子線照射装置
70 容器加温手段(温風供給手段)
80 容器加温手段(温風供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌室内に供給された容器に電子線照射装置から電子線を照射して殺菌する電子線殺菌システムにおいて、
殺菌室に供給される容器の温度を所定温度に加温する容器加温手段を設けたことを特徴とする電子線殺菌システム。
【請求項2】
前記容器加温手段が、前記殺菌室よりも手前に配置された加温室に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子線殺菌システム。
【請求項3】
前記容器加温手段が、加温された推進エアを吹き出すエア搬送コンベヤであることを特徴とする請求項1に記載の電子線殺菌システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate