説明

電子線照射装置

【課題】ノズル装置から窓箔への空気吹き出しに伴う結露水の発生を従来より抑制でき、ひいては、窓箔等の結露水付着による腐食等を抑制できる電子線照射装置を提供する。
【解決手段】電子線照射装置本体の電子線照射窓部における窓箔に冷却用空気を吹きつけるノズル装置12が冷却用空気供給装置4に連通接続されており、装置4は、冷却用送風機41及び除湿機43を含む。送風機41は除湿機43から供給される空気をノズル装置12へ供給でき、除湿機43は、冷媒を圧縮機で圧縮して凝縮器で凝縮させ、膨張機構を介して蒸発器へ導く冷媒回路と、外部から空気を吸引し、蒸発器に接触通過させて除湿機吐出口43bから吐出する除湿機送風機とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子線照射装置は、電線被覆材料等の高分子材料の電子線照射による改質(架橋等)、電子線照射による塗膜等のキュアリング、電子線照射による医療品等の殺菌などに利用されている。
【0003】
電子線照射装置は、一般的には、電子線照射装置本体と、該電子線照射装置本体を設けた電子線照射室とを含んでいる。電子線照射装置本体は電子線照射室内の電子線照射領域へ搬入される被照射物に電子線を照射するための電子線照射窓部を有しており、該電子線照射窓部は、電子線を透過させる窓箔及び該窓箔へ冷却用ガスを吹きつけるためのノズル装置を有している。
【0004】
窓箔に冷却用ガスを吹きつけるのは、電子線に曝される窓箔が電子線照射により過度に発熱し、高温酸化等により劣化して破損することを抑制するためである。なお、窓箔が破損すると電子線照射装置本体内に要求される減圧状態が破られ、該本体の正常な運転ができなくなってしまう。
【0005】
かかる冷却用ガスとしては窒素ガス等の空気以外のガスが使用されることもあるが、空気が採用されることが多く、例えば、「日新電機技報 1995 VOL.40,NO.2」の35頁の「4.3走査管および照射窓」には、窓箔に圧縮空気を吹きつけることが開示されている。
【0006】
冷却用ガスとして冷却用空気(例えば圧縮空気)を採用する場合、前記ノズル装置は、冷却用空気供給装置に連通接続され、該供給装置から冷却用空気の供給を受けて、窓箔へ冷却用空気を吹きつける。
【0007】
かかる冷却用空気供給装置は、冷却用空気をノズル装置へ供給する冷却用送風機を含んでいるが、送風機から吐出される空気は、冷却能力がそれほど高くないため、送風能力の大きい送風機を用いて、高速、大風量で窓箔に空気が吹きつけられる。例えば、100m/秒以上の高速で、大風量で吹きつけられる。
【0008】
【非特許文献1】日新電機技報 1995 VOL.40,NO.2」の35頁の「4.3走査管および照射窓」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、このように窓箔に吹きつけられる空気は、送風機による断熱圧縮により昇温しており、かかる昇温した空気をそのままノズル装置から吹き出させると、ノズル装置から吹き出したときの断熱膨張により温度低下し、大量の結露水を発生させる。
【0010】
かかる結露水は、窓箔や、その周辺部分、或いはさらに電子線照射室内の各種機器、室内壁等に付着し、さらには被照射物にも付着することがあり、かかる結露水の付着により窓箔等が腐食したり、損傷したりすることがある。また、結露水は、電子線照射に伴って室内雰囲気中に発生することがある窒素酸化物や、電子線照射に伴って被照射物から発生することがあるガスと反応して強酸性等の腐食性液を発生させ、これが室内機器等を腐食させることがある。
【0011】
そのため、本発明者らは、ノズル装置に供給する空気を除湿した空気とすることを提案し、除湿後空気をノズル装置に供給することを試みてきた。かかる除湿後空気の生成にあたっては、冷却用送風機とノズル装置との間にいわゆるアフタークーラを接続し、該クーラで除湿することを試みてきた。
【0012】
しかしながら、送風機で断熱圧縮されて昇温した空気をアフタークーラーで冷却して除湿する場合、温度と圧力が上昇した後の空気の除湿効率は低く、十分な水分除去は困難である、というのが実情であった。
【0013】
そこで本発明は、電子線照射装置本体と、該電子線照射装置本体を設けた電子線照射室とを含み、該電子線照射装置本体は電子線照射室内の電子線照射領域へ搬入される被照射物に電子線を照射するための電子線照射窓部を有しており、該電子線照射窓部は、電子線を透過させる窓箔及び該窓箔へ冷却用空気を吹きつけるためのノズル装置を有しており、該ノズル装置は冷却用空気供給装置に連通接続されている電子線照射装置であって、ノズル装置からの空気吹き出しに伴う結露水の発生を抑制でき、ひいては、窓箔等の結露水付着による腐食、電子線照射に伴って発生することがあるガスと結露水とによる腐食性液の発生等を抑制でき、それだけ長期にわたり支障なく被照射物への電子線照射処理を行える電子線照射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため本発明は、
電子線照射装置本体と、該電子線照射装置本体を設けた電子線照射室とを含み、該電子線照射装置本体は電子線照射室内の電子線照射領域へ搬入される被照射物に電子線を照射するための電子線照射窓部を有しており、該電子線照射窓部は、電子線を透過させる窓箔及び該窓箔へ冷却用空気を吹きつけるためのノズル装置を有しており、該ノズル装置は冷却用空気供給装置に連通接続されている電子線照射装置であり、該冷却用空気供給装置は冷却用送風機及び除湿機を含んでおり、該冷却用送風機は該除湿機から供給される空気を吸引して該ノズル装置へ供給するものであり、該除湿機は、冷媒を圧縮機で圧縮して凝縮器で凝縮させ、膨張機構を介して蒸発器へ導く冷媒回路と、外部から空気を吸引して前記蒸発器に接触させて除湿機吐出口から吐出する除湿機送風機とを含むものである電子線照射装置を提供する。
【0015】
本発明に係る電子線照射装置によると、電子線照射窓部の窓箔冷却のために該窓部のノズル装置に冷却用空気を供給する冷却用空気供給装置は、冷却用送風機に吸引される前の空気から除湿機で除湿し、該除湿後空気を冷却用送風機でノズル装置に供給できるので、ノズル装置からの空気吹き出しに伴う結露水の発生をそれだけ抑制でき、ひいては、窓箔等の結露水付着による腐食、電子線照射に伴って発生することがあるガスと結露水とによる腐食性液の発生等を抑制でき、それだけ長期にわたり支障なく被照射物への電子線照射処理を行える。
【0016】
また、冷却用送風機で供給される空気による窓箔の冷却には、既述のとおり、高速、大風量の空気供給が望ましいが、本発明にかかる電子線照射装置で採用される除湿機は、冷媒を圧縮機で圧縮して凝縮器で凝縮させ、膨張機構を介して蒸発器へ導く冷媒回路と、外部から空気を吸引して前記蒸発器に接触させて除湿機吐出口から吐出する除湿機送風機とを含むものであるから、外部から吸引する空気を除湿機で除湿する場合でも、かかる高速、大風量の空気供給の要望に応えることができる。
【0017】
前記冷却用空気供給装置は、冷却用送風機からノズル装置へ供給される冷却用空気量や圧力を安定させるために、空気溜め室を含んでいてもよい。
すなわち、冷却用空気供給装置は、内部空気の一部を外部へ放出可能の弁装置を有する空気溜め室を含んでおり、前記除湿機は前記除湿機送風機により外部から空気を吸引し、前記蒸発器に接触させて該空気溜め室へ供給し、前記冷却用送風機は該空気溜め室から空気を吸引して前記ノズル装置へ供給するものとしてもよい。
【0018】
かかる弁装置の操作により、冷却用送風機からノズル装置へ供給される冷却用空気量や圧力を安定させるべく、空気溜め室内の空気を一部、外部へ放出することが可能である。
【0019】
ノズル装置に、できるだけ清浄な空気を供給できるように、前記空気溜め室は空気フィルターを内蔵し、前記冷却用送風機は、前記除湿機から該空気溜め室へ供給される空気を該フィルターを介して吸引して前記ノズル装置へ供給するものとしてもよい。
【0020】
ノズル装置からの空気吹き出しに伴う結露水の発生を一層抑制するとともに、窓箔周辺部材等の過度の冷却を抑制するために、前記除湿機送風機は、外部から吸引した空気を前記蒸発器に接触通過させ、さらに前記凝縮器に接触通過させて前記除湿機吐出口から吐出するものでもよい。
このように、凝縮器で加温された空気が冷却用送風機でノズル装置に供給され、該ノズル装置から吹き出すことで、ノズル装置からの空気吹き出しに伴う結露水の発生を一層抑制することができ、また、窓箔周辺部材等の過度の冷却を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によると、電子線照射装置本体と、該電子線照射装置本体を設けた電子線照射室とを含み、該電子線照射装置本体は電子線照射室内の電子線照射領域へ搬入される被照射物に電子線を照射するための電子線照射窓部を有しており、該電子線照射窓部は、電子線を透過させる窓箔及び該窓箔へ冷却用空気を吹きつけるためのノズル装置を有しており、該ノズル装置は冷却用空気供給装置に連通接続されている電子線照射装置であって、ノズル装置からの空気吹き出しに伴う結露水の発生を抑制でき、ひいては、窓箔等の結露水付着による腐食、電子線照射に伴って発生することがあるガスと結露水とによる腐食性液の発生等を抑制でき、それだけ長期にわたり支障なく被照射物への電子線照射処理を行える電子線照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る電子線照射装置の一例の構成の概略を示す図である。
図2は図1の電子線照射装置10における冷却用空気供給装置を示す図である。
【0023】
図1に示す電子線照射装置10は、電子線照射装置本体1と、電子線照射装置本体1を設けた電子線照射室2とを含んでいる。さらに、図1には示されていないが、図2に示す冷却用空気供給装置4を含んでいる。
【0024】
電子線照射室2は電子線照射対象である被照射物Wの入口21、該入口を開閉する入口扉22、被照射物Wの出口23及び該出口を開閉する出口扉24を有している。内部には、被照射物Wを室外の例えば案内ローラ31から受入れ、搬送し、室外の例えば案内ローラ32へと搬出する搬送ローラ30群からなる搬送装置を備えている。なお、被照射物の搬送装置はこれに限定されるものではなく、被照射物に応じた搬送装置を採用することができる。
【0025】
電子線照射装置本体1は電子線照射窓部11を備えている。窓部11の下方が電子線照射領域となっており、被照射物Wは搬送ローラ30群により該電子線照射領域に通されることで、窓部11から電子線照射を受ける。
【0026】
電子線照射窓部11には、電子線eを透過させるチタン等からなる窓箔111が張設されているとともに、ノズル装置12が設けられている。ノズル装置12は、窓箔111に冷却用空気を吹きつけるためのノズル121及び該ノズルに冷却用空気供給装置4から供給される冷却用空気を供給するダクト122を含んでいる。
【0027】
図2に示すように、ノズル121は窓箔111の図上奥行き方向の長さ(被照射物Wの搬送方向を横切る方向の長さ)に対応する長さの、スリット状の空気吹き出し口121aを有している。ダクト122は、該ノズルに連通するスリット状の連通孔122sを有している。
【0028】
冷却用空気供給装置4は、冷却用送風機41、空気溜め室42及び除湿機43を含んでいる。空気溜め室42は弁装置45を有しており、該弁装置45は、室壁と一体の、大気に開放された空気放出ダクト451内に開度調整可能の弁Vを配置したものである。
【0029】
また、室内には空気フィルター44が設置されており、該フィルター44の空気出口が送風機41の吸引口411に配管接続されている。送風機41の吐出口412はノズル装置12のダクト12に配管接続されている。
【0030】
除湿機43は、その空気吐出口43bが空気溜め室42に接続されおり、空気吸引口43aは大気に向け開放されている。除湿器43は、それ自体既に知られている冷凍回路を利用したもので、図3に示すように、冷媒を圧縮機431で圧縮して凝縮器432で凝縮させ、キャピラリーチューブ等の膨張機構433を介して蒸発器434へ導く冷媒回路43Cと、空気吸引口43aから外部空気を吸引し、蒸発器434に接触通過させて除湿機吐出口43bから吐出する除湿機送風機435を含むものである。
【0031】
以上説明した電子線照射装置10によると、室入口21から被照射物Wを室内へ搬入し、ローラ30群で電子線照射領域に通すことで、該被照射物Wに電子線照射装置本体1の電子線照射窓部11から電子線eを照射することができる。電子線照射処理された被照射物Wは室出口23から室外へ搬出できる。
【0032】
また、被照射物Wへの電子線照射においては、冷却用空気供給装置4からノズル装置12のダクト122を経てノズル121へ冷却用空気を供給し、該空気を該ノズルから窓箔111へ向け吹きつけることができる。それにより、窓箔111の電子線照射による過度の昇温、昇温による高温酸化等に起因する窓箔111の劣化や破損が抑制され、それだけ長期にわたり、電子線照射処理を実施できる。
【0033】
冷却用空気供給装置4についてさらに説明すると、該装置4においては、除湿機43における除湿機送風機435の運転にて除湿機43内へ外部空気を吸引し、蒸発器434に接触させつつ空気溜め室42へ供給できる。このとき、外部空気の温度湿度条件に応じて、前記冷媒回路43Cを運転することで、外部から吸引した空気から除湿し、除湿後空気を空気溜め室42へ供給できる。除湿機43から空気溜め室42に供給された、除湿処理を要することがなかった、或いは除湿処理された空気は、該室42に内蔵された空気フィルター44を通過することで清浄化され、該清浄化された空気が冷却用送風機41にてノズル装置12のダクト122を経てノズル121へ供給され、該ノズルから窓箔111へ向け吹きつけられる。
【0034】
また、ノズル装置12へ供給される冷却用空気の量や圧力が安定化するように、必要に応じ、空気溜め室の弁装置45において弁Vの開度を調整して室42内空気の一部を該調整された開度のもとで大気中へ放出できる。
【0035】
このように、電子線照射装置10によると、電子線照射窓部11の窓箔111冷却のために該窓部のノズル装置12に冷却用空気を供給する冷却用空気供給装置4は、窓箔冷却に供する空気を、冷却用送風機41で吸引する前の段階で、必要に応じ除湿機43で除湿し、該除湿後空気を冷却用送風機41でノズル装置12に供給できるので、ノズル装置12のノズル121からの空気吹き出しに伴う結露水の発生をそれだけ抑制でき、ひいては、窓箔111等の結露水付着による腐食、電子線照射に伴って発生することがあるガスと結露水とによる腐食性液の発生等を抑制でき、それだけ長期にわたり支障なく被照射物Wへの電子線照射処理を行える。
【0036】
また、冷却用送風機41で供給される空気による窓箔111の冷却には、高速、大風量の空気供給が望ましいが、ここでの除湿機43は、冷媒を圧縮機431で圧縮して凝縮器432で凝縮させ、膨張機構433を介して蒸発器434へ導く冷媒回路43Cと、除湿機送風機435(すなわち、外部から空気を吸引して蒸発器434に接触通過させて除湿機吐出口43bから空気溜め室42内へ吐出する除湿機送風機435)とを含むものであるから、かかる高速、大風量の空気供給を実現できる。
【0037】
以上説明した除湿機43における除湿機送風機435は、図3に実線で空気流れを示すように、除湿対象空気を蒸発器434に接触通過させ、その後に凝縮器432には接触通過させることなく空気溜め室42へ供給するものであったが、除湿機送風機435は、図3に破線で空気流れを示すように、除湿対象空気を蒸発器434に接触通過させたあと、さらに凝縮器432に接触通過させて加温した状態で、該加温された空気を空気溜め室42へ供給するものとしてもよい。
【0038】
このように、凝縮器432で加温された空気を空気溜め室42へ供給して送風機41にてノズル装置12供給すれば、ノズル121から吹き出す空気の温度は、凝縮器432で加温されることなくノズル121から吹き出される空気と比べて高温になるので、ノズル121からの空気吹き出しに伴う結露水の発生を一層抑制することができる。また、窓箔周辺部材等の、望ましくないことがある過度の冷却も抑制できる。
【0039】
なお、被照射物Wへの電子線照射処理に伴って電子線照射室2内の機器等に電子線が照射されることで発生することがあるX線の室外漏洩を防止するために、室壁をコンクリート壁としているような場合、室壁に吸収されていた水分が、電子線照射処理が終了して電子線照射装置本体1を停止したあとで、該コンクリート壁に溶け込んでいることがある窒素酸化物等と共に腐食性を液を発生させ、室内機器等を腐食させる恐れがあるようなときは、電子線照射装置本体1の停止後も、冷却用空気供給装置4を運転し、低風量で除湿後空気、或いは除湿処理することを要しない低湿空気を室内へ供給するようにしてもよい。
【0040】
図4に、(1) 冷却用送風機41の運転、それによる送風量、(2) 弁装置45の弁Vの開度調整、(3) 除湿機43への空気吸い込み条件(吸い込む外部空気の条件)、(4) 除湿機送風機435の運転、(5) 除湿機圧縮機431の運転の1例を示す。
【0041】
図4に示す例では、冷却用送風機41が運転開始時は弁装置45の弁Vの開度を100%として、送風機41による送風量を3m3 程度とし、その後空気溜め室42に空気が充満することを条件として、送風機41の送風量に比例させるかたちで絞り込み、最終的に例えば弁Vの開度を10%程度に減じて送風機41による送風量を22m3 程度としてノズル121から冷却用空気を吹き出させる。送風機41の運転停止にあたっては、再び、弁Vの開度を100%として、送風機41による送風量を3m3 程度とし、その後送風機41を停止させる。
【0042】
除湿機送風機435は、冷却用送風機41とともに運転開始、停止させる。除湿機43に吸い込む外部空気が低温低湿(例えば15℃、30%RH程度)であるときは、冷媒回路43Cは運転せず(圧縮機431は運転せず)外気をそのままノズル121へ供給する。外部空気が、それより高温高湿(例えば20℃、60%RH程度)であると、圧縮機431を運転して除湿する。
【0043】
外部空気が、温度は低温低湿時よりやや高いが(例えば20℃程度)、湿度が低いと(例えば45%程度)、圧縮機431は停止させる。湿度は低いが(例えば45%)、高温であると(例えば25℃程度或いはそれ以上)であると、圧縮機431を運転して除湿し、高温高湿(例えば25℃以上、80%RH程度以上)であると、圧縮機431を運転する。このように、必要に応じて、除湿機43に吸引する外部空気を送風機41前で除湿して、ノズル121へ供給する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によると、電子線照射装置において、電子線照射窓部の窓箔へノズルから冷却用空気を吹きつけるにあたり、ノズルからの空気吹き出しに伴う結露水の発生を抑制して空気吹きつけし、それにより、窓箔等の結露水付着による腐食、電子線照射に伴って発生することがあるガスと結露水とによる腐食性液の発生等を抑制し、それだけ長期にわたり支障なく被照射物への電子線照射処理を行えるようにすることに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る電子線照射装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の電子線照射装置における冷却用空気供給装置の構成を示す図である。
【図3】除湿機の構成を示す図である。
【図4】除湿機の運転例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10 電子線照射装置
e 電子線
1 電子線照射装置本体
11 電子線照射窓部
111 窓箔
12 ノズル装置 121 ノズル
121a ノズルの空気吹き出し口
122 冷却用空気供給ダクト
122s ダクトのノズルへの連通孔
2 電子線照射室
21 室入口
22 入口扉
23 室出口
24 出口扉
30 被照射物搬送装置を構成する搬送ローラ
31、32 室外の搬送ローラ
4 冷却用空気供給装置
41 冷却用送風機
411 送風機41の吸引口
412 送風機41の吐出口
42 空気溜め室
43 除湿機
43a 除湿機吸引口
43b 除湿機吐出口
431 圧縮機
432 凝縮器
433 膨張機構
434 蒸発器
435 除湿機送風機
44 空気フィルター
45 弁装置
451 空気放出ダクト
V 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線照射装置本体と、該電子線照射装置本体を設けた電子線照射室とを含み、該電子線照射装置本体は電子線照射室内の電子線照射領域へ搬入される被照射物に電子線を照射するための電子線照射窓部を有しており、該電子線照射窓部は、電子線を透過させる窓箔及び該窓箔へ冷却用空気を吹きつけるためのノズル装置を有しており、該ノズル装置は冷却用空気供給装置に連通接続されている電子線照射装置であり、該冷却用空気供給装置は冷却用送風機及び除湿機を含んでおり、該冷却用送風機は該除湿機から供給される空気を吸引して該ノズル装置へ供給するものであり、該除湿機は、冷媒を圧縮機で圧縮して凝縮器で凝縮させ、膨張機構を介して蒸発器へ導く冷媒回路と、外部から空気を吸引して前記蒸発器に接触させて除湿機吐出口から吐出する除湿機送風機とを含むものであることを特徴とする電子線照射装置。
【請求項2】
前記冷却用空気供給装置は、内部空気の一部を外部へ放出可能の弁装置を有する空気溜め室を含んでおり、前記除湿機は前記除湿機送風機により外部から空気を吸引し、前記蒸発器に接触させて該空気溜め室へ供給し、前記冷却用送風機は該空気溜め室から空気を吸引して前記ノズル装置へ供給する請求項1記載の電子線照射装置。
【請求項3】
前記空気溜め室は空気フィルターを内蔵しており、前記冷却用送風機は、前記除湿機から該空気溜め室へ供給される空気を該フィルターを介して吸引して前記ノズル装置へ供給する請求項2記載の電子線照射装置。
【請求項4】
前記除湿機送風機は、外部から吸引した空気を前記蒸発器に接触通過させ、さらに前記凝縮器に接触通過させて前記除湿機吐出口から吐出する請求項1、2又は3記載の電子線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−33081(P2007−33081A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213224(P2005−213224)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(503237806)株式会社NHVコーポレーション (37)
【Fターム(参考)】