説明

電子線照射装置

【課題】電子線源の電子発生部材を交換する際の作業性を向上でき、且つ交換作業を含めた電子線照射装置の必要スペースを小さくできる電子線照射装置を提供する。
【解決手段】電子線照射装置1Aは、収容部2及び電子線源3を備える。収容部2は、本体部22及び開閉可能に取り付けられた蓋部24を有し、電子線照射室21に照射対象物Aを収容する。電子線源3は真空容器13を有し、真空容器13は基端部14及び先端部15を含む。先端部15は蓋部24に固定されている。先端部15には、電子線照射室21側から着脱可能に構成された照射窓部12が取付けられている。本体部22の正面には照射対象物Aを搬入出するための扉25が取付けられており、真空容器13は、背面側に設けられたヒンジ18を支点として開閉可能となっており、蓋部24は、背面側に設けられたヒンジ23を支点として開閉可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子線照射装置として、例えば次のようなものが知られている。特許文献1に開示された電子線照射装置は、電子銃を収容する真空容器を備えており、この真空容器には真空ポンプが取り付けられている。また、電子透過窓が真空容器に対して着脱可能に構成されており、真空容器を大気開放して電子銃及び電子透過窓を交換することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2に開示された電子線照射装置は、照射対象物を収容して電子線を照射するための電子線照射室を備えており、電子線照射装置本体(すなわち電子線源)が電子線照射室に付設されている。そして、電子線照射室内にトレイを設け、このトレイによって照射対象物を搬入・搬出することが記載されている。
【0004】
また、特許文献3に開示された電子線照射装置では、電子線を照射するための空間を構成する遮蔽体の一部を開閉可能な扉とし、この扉の内側に、被照射体を搬送するためのロールが配置されている。
【0005】
また、特許文献4にも、電子線照射室を備える電子線照射装置が記載されている。特許文献4に記載された電子線照射装置では、電子線照射室に照射対象物を搬入・搬出するための扉と照射対象物を載せる試料台の一端とが互いに固定されている。
【特許文献1】特開2004−170353号公報
【特許文献2】特開2005−331417号公報
【特許文献3】実公平7−33199号公報
【特許文献4】特開昭60−80799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子線照射装置においては、装置外部への電子線やX線の漏洩を防止するため、例えば特許文献2〜4に記載された構成のように、照射対象物を収容して電子線を照射するための電子線照射室が設けられる。他方、電子線照射装置に用いられる電子線源には、特許文献1に記載された構成のように照射窓部(電子透過窓)の交換やフィラメント等の電子発生部材の交換が可能ないわゆる開放型のものがある。従来、このような電子線照射装置において電子発生部材や照射窓部を交換する際には、電子線照射室を構成する部分から電子線源を一旦取り外す必要があった。従って、交換後の再調整(電子線源と電子線照射室内の照射対象物との位置合わせなど)が必要となり、作業効率を低下させる一因となっていた。
【0007】
また、広さが限られた作業場内に電子線照射装置を設置するために、電子線照射装置が占めるスペースは小さいほど好ましい。しかし、電子線源を取り外して電子発生部材や照射窓部の交換作業を行う場合、取り外された電子線源を置いて交換作業を行うスペースが別途必要となり、作業場内に電子線照射装置を設置する際の制約となる。
【0008】
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、電子線源の電子発生部材および照射窓部を交換する際の作業性を向上でき、且つ交換作業を含めた電子線照射装置の必要スペースを小さくできる電子線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明による第1の電子線照射装置は、開口部を有する本体部、および開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部を有し、本体部及び蓋部によって構成される電子線照射室に照射対象物を収容する収容部と、基端部、及び基端部と蓋部との間に配置されて蓋部に固定された先端部を有し、先端部と基端部との結合部分が開閉可能となっている筒状の真空容器、基端部に保持され電子線を放出する電子銃、先端部に保持されて電子線を電子線照射室に向けて透過するとともに、電子線照射室側から着脱可能に構成された照射窓部、並びに真空容器の内部を排気する真空ポンプを有する電子線源とを備え、照射対象物を搬入及び搬出するための第1の扉が本体部の正面側に取り付けられており、真空容器は、該真空容器の背面側に設けられた第1のヒンジを支点として開閉可能となっており、蓋部は、収容部の背面側に設けられた第2のヒンジを支点として開閉可能となっていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による第2の電子線照射装置は、開口部を有する本体部、および開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部を有し、本体部及び蓋部によって構成される電子線照射室に照射対象物を収容する収容部と、基端部、及び基端部と蓋部との間に配置されて蓋部に固定された先端部を有し、先端部と基端部との結合部分が開閉可能となっている筒状の真空容器、基端部に保持され電子線を放出する電子銃、先端部に保持されて電子線を電子線照射室に向けて透過するとともに、電子線照射室側から着脱可能に構成された照射窓部、並びに真空容器の内部を排気する真空ポンプを有する電子線源とを備え、照射対象物を搬入及び搬出するための第1の扉が本体部の正面側に取り付けられており、真空容器は、該真空容器の一方の側面側に設けられた第1のヒンジを支点として開閉可能となっており、蓋部は、収容部の一方の側面と同じ側に設けられた第2のヒンジを支点として開閉可能となっていることを特徴とする。
【0011】
上記した第1及び第2の電子線照射装置が備える電子線源は、真空容器の基端部と先端部とが第1のヒンジを支点として開閉可能となっており、また、真空容器には真空ポンプが設けられており、電子発生部材を交換可能ないわゆる開放型の構成を備えている。そして、各電子線照射装置においては、電子線源の真空容器の先端部が収容部(蓋部)に固定されている。従って、電子発生部材を交換する際には、先端部を収容部に固定したまま、電子線源を収容部から取り外すことなく基端部を開いて電子発生部材を交換することができる。また、電子線源の先端部が蓋部に固定されており、照射窓部が電子線照射室側から着脱可能に構成されているので、作業者は蓋部を開けることにより照射窓部に容易にアクセスでき、電子線源を収容部から取り外すことなく照射窓部を交換できる。このように、上記した第1及び第2の電子線照射装置によれば、電子発生部材や照射窓部を交換する際に、電子線照射室を構成する収容部から電子線源を取り外す必要がない。したがって、交換後の再調整が不要となり作業性を向上できると共に、交換作業を行うスペースを省くことができる。
【0012】
また、上記した第1の電子線照射装置では、照射対象物を搬入及び搬出するための第1の扉が取り付けられた正面に対して、真空容器(電子線源)及び蓋部(収容部)の双方が、各々の背面側に設けられたヒンジを支点として開閉可能となっている。また、上記した第2の電子線照射装置では、真空容器(電子線源)及び蓋部(収容部)の双方が、各々の一方の側面側に設けられたヒンジを支点として開閉可能となっている。このように、真空容器及び蓋部を互いに同じ方向に開閉するよう構成することにより、これらの開閉のために必要なスペースを小さくでき、ひいては電子線照射装置の設置面積を小さくできる。すなわち、第1の電子線照射装置は真空容器及び蓋部を後方(背面方向)に開くので装置の横幅を小さくでき、第2の電子線照射装置は真空容器及び蓋部を一の側方に開くので装置の奥行きを小さくできる。また、第1及び第2の電子線照射装置では、真空容器及び蓋部を後方または一の側方に開くので、正面側のスペースは狭くてもよい。したがって、収容部および電子線源を正面側に寄せて配置できるので、作業性をより向上できる。
【0013】
また、第1の電子線照射装置は、電子線照射室内の雰囲気を置換する雰囲気置換装置を更に備え、雰囲気置換装置と電子線照射室とを繋ぐ配管の電子線照射室側の一端が収容部の背面側に取り付けられていることを特徴としてもよい。また、第2の電子線照射装置は、電子線照射室内の雰囲気を置換する雰囲気置換装置を更に備え、雰囲気置換装置と電子線照射室とを繋ぐ配管の電子線照射室側の一端が収容部の一方の側面側に取り付けられていることを特徴としてもよい。これらのように、電子線照射装置が雰囲気置換装置を備える場合、配管の電子線照射室側の一端を、第1及び第2のヒンジと同じ側(背面側または一方の側面側)に取り付けるとよい。これにより、真空容器及び収容部の開閉スペースと配管スペースとを共通にすることができ、電子線照射装置の設置面積を更に小さくできる。
【0014】
また、第1の電子線照射装置は、真空ポンプが真空容器の背面側に配置されていることを特徴としてもよい。また、第2の電子線照射装置は、真空ポンプが真空容器の一方の側面と同じ側に配置されていることを特徴としてもよい。これらにより、真空容器や収容部を開放した際に、ヒンジより上部の構造体の重心を下げ、安定した開放状態を実現できる。
【0015】
また、第1及び第2の電子線照射装置は、電子線源からのX線や照射対象物に電子線が当たることにより副次的に発生するX線の外部への漏洩を防ぐため、収容部および電子線源を収容する筐体を更に備えるとよい。その場合、筐体の正面側に第2の扉が取り付けられており、第1及び第2の扉における互いに対向する位置にそれぞれ観察窓が設けられていると尚良い。上記した第1及び第2の電子線照射装置においては収容部を正面側に寄せて配置できるので、筐体の観察窓と収容部の観察窓とを近接配置でき、これらの観察窓を通して照射対象物を容易に観察できる。
【0016】
また、第1及び第2の電子線照射装置は、電子線源と電気的に接続されて電子線の放出制御を行う電子線制御部を更に備え、筐体が、収容部および電子線源を収容する電子線源収容室、電子線制御部を収容する制御部収容室、並びに電子線源収容室と制御部収容室とを互いに仕切る金属製の仕切り部材を有することを特徴としてもよい。これにより、電子線源収容室内に収容された電子線源や収容部から漏洩したX線が仕切り部材により遮蔽されるので、制御部収容室内に収容された電子線制御部に対するX線の影響を低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による電子線照射装置によれば、電子線源の電子発生部材および照射窓部を交換する際の作業性を向上でき、且つ交換作業を含めた電子線照射装置の必要スペースを小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明による電子線照射装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明において、正面とは、電子照射装置を操作する操作者と向かい合う面であって、具体的には、電子線の照射対象である照射対象物を搬入・搬出する扉や、照射状態を観察するための観察窓が配置された面を指すものとする。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1実施形態として電子線照射装置1Aの構成を示す正面図である。図1において、筐体7の上半分(電子線源収容室72)については扉71が開いた状態の正面図を示しており、筐体7の下半分(制御部収容室73)については内部構成を示すために筐体7の正面パネルを省略して示している。また、図2は、図1に示した電子線照射装置1Aの側面図であり、収容部2及び筐体7については図1のII−II線に沿った側面断面を示している。
【0020】
本実施形態による電子線照射装置1Aは、照射対象物Aに対して電子線を照射するための装置であり、例えばインキの乾燥やフィルムの改質、樹脂膜の硬化、半導体部材の改質等に好適に用いられる。図1及び図2を参照すると、電子線照射装置1Aは、収容部2、電子線源3、及び筐体7を備えている。
【0021】
収容部2は、照射対象物Aを収容する電子線照射室(照射チャンバー)21を有している。電子線照射室21には、XYステージ26が収容されている。XYステージ26は、照射対象物Aを支持するとともに、電子線の照射軸線と直交する平面内で照射対象物Aを位置決めするためのものである。また、XYステージ26上には、照射対象物Aの高さを調整するための調整台27が配置され、調整台27上に、照射対象物Aを載置するためのテーブル28が設けられている。電子線照射時には、電子線照射室21の内部雰囲気が窒素ガス等の不活性ガスに置換される。収容部2の正面には扉25(第1の扉)が設けられており、操作者はこの扉25を開けて照射対象物Aの搬入出を行う。扉25には、電子線照射室21の内部を観察するための観察窓25bが設けられている。
【0022】
電子線源3は、電子線照射室21内に収容された照射対象物Aに電子線を照射するための装置であり、収容部2に固定されている。電子線源3は、真空容器13を有しており、この真空容器13の内部に電子発生部材(フィラメント)が配置されている。電子発生部材から放出された電子線は、真空容器13の先端に取り付けられた照射窓部12を通過して、テーブル28上の照射対象物Aに照射される。
【0023】
筐体7は、収容部2及び電子線源3を収容し、電子線源3からのX線や照射対象物Aに電子線が当たることにより副次的に発生するX線の外部への漏洩を防ぐ。筐体7は高さ方向に長い直方体箱型形状を呈しており、筐体7の内部は、上部に設けられた電子線源収容室72と、下部に設けられた制御部収容室73とに仕切られている。電子線源収容室72には、収容部2及び電子線源3が収容されている。電子線源収容室72を構成する筐体7の壁面は、X線吸収率が極めて高い(すなわち、X線透過率が極めて低い)材料、例えばステンレス、鉛、鉄、タングステン等によって構成されている。電子線源収容室72の正面側には扉71(第2の扉)が取り付けられており、操作者は、電子線照射室21への照射対象物Aの搬入出や電子線源3のメンテナンスを、扉71を開けて行うことができる。扉71における観察窓25bと対向する位置には、観察窓71aが設けられている。これにより、操作者は扉71を閉じた状態で電子線照射室21の内部を観察することができる。なお、観察窓25b及び71aは、電子線照射室21内で二次的に発生するX線の漏洩を防止するため、例えば鉛ガラスといったX線吸収材からなることが好ましい。
【0024】
制御部収容室73には、各種制御装置(電子線源コントローラ74、排気ポンプ75、ステージコントローラ76、及び雰囲気調整コントローラ77)が収容されている。電子線源コントローラ74は、本実施形態における電子線制御部である。電子線源コントローラ74は、電子線源3と電気的に接続されて電子線の放出制御を行う。排気ポンプ75は、真空容器13の内部を排気する真空ポンプ33と配管を介して接続され、真空ポンプ33から排出されたガスを筐体7の外部へ排気する。ステージコントローラ76は、前述したXYステージ26および調整台27と電気的に接続されて照射対象物Aの位置制御を行う。雰囲気調整コントローラ77は、本実施形態における雰囲気置換装置である。雰囲気調整コントローラ77は、収容部2の電子線照射室21と配管77aを介して接続され、電子線照射室21の内部雰囲気を窒素ガス等の不活性ガスに置換するとともに、置換後の内部雰囲気を維持する。なお、電子線源コントローラ74、排気ポンプ75、ステージコントローラ76、及び雰囲気調整コントローラ77の操作は、例えばキーボードなどの入力手段を介して操作者により行われる。また、これらの動作状態は、筐体7に取り付けられた表示装置78により表示される。
【0025】
電子線源収容室72と制御部収容室73とは、金属製の仕切り部材79によって互いに仕切られている。仕切り部材79は、X線吸収率が極めて高い材料、例えばステンレス、鉛、鉄、タングステン等によって構成される。これにより、電子線源収容室72内に収容された電子線源3や電子線照射室21から発生したX線が仕切り部材79により遮蔽されるので、制御部収容室73内に収容された各種制御装置に対するX線の影響を低減できる。
【0026】
続いて、本実施形態の収容部2及び電子線源3の構成について、図3〜図7を参照しつつ具体的に説明する。図3は、収容部2及び電子線源3の構成を示す正面図である。図3では、理解を容易にするため収容部2の一部を切り欠いて示している。図4は、収容部2及び電子線源3の側面図であり、収容部2については図3のIV−IV線に沿った側面断面を示している。図5は、収容部2及び電子線源3の上面図である。また、図6及び図7は、収容部2及び電子線源3の動作の様子を示す図である。
【0027】
収容部2は、主に本体部22及び蓋部24によって構成され、内部が空洞(電子線照射室21)となった略直方体状のステンレス製箱形容器である。本体部22の上面には矩形の開口部22aが形成されており、蓋部24は開口部22aを塞ぐように配置されて電子線照射室21の天板の一部を構成している。本体部22と蓋部24とは収容部2の背面側に設けられたヒンジ(第2のヒンジ)23を介して互いに連結されており、このヒンジを支点として蓋部24が開閉可能となっている。
【0028】
蓋部24は、電子線源3の真空容器13が挿通及び固定される電子線源取付部24aを有している。電子線源取付部24aは、真空容器13の長手方向に沿って延びる略円筒形状に形成されており、その内径は真空容器13の外径とほぼ同じである。なお、蓋部24には、蓋部24の開閉を容易にするための取手24bが、蓋部24の正面寄りの部分に取り付けられている。また、本体部22と蓋部24とが互いに接する部分は、互いに重なることで、電子線照射室21で電子線の照射により二次的に発生するX線の外部への漏洩を防止することが可能だが、より漏洩X線量を少なくするためには、鉛シートまたはタングステンシートといったX線遮蔽シートが設けられるとよい。
【0029】
蓋部24を開いた様子を図6に示す。蓋部24は、ヒンジ23を支点として上方に開く。このとき、蓋部24に固定された電子線源3も蓋部24と共にヒンジ23を支点として移動する。後述するように、本実施形態では電子線源3の照射窓部12が電子線照射室21側から着脱可能に構成されており、蓋部24がこのように開くことによって、照射窓部12へのアクセスを容易にし、作業者は照射窓部12を容易に交換することができる。なお、本実施形態のように蓋部24を上方へ開く場合、重量物である蓋部24及び電子線源3によって蓋部24が急激に閉じてしまうことを防ぐため、図6に示すように、蓋部24と本体部22との間にショックアブソーバー(緩衝部材)34が設けられることが好ましい。
【0030】
図3〜図5を再び参照すると、本体部22の正面は照射対象物Aを搬入及び搬出するための矩形の開口部22b(図4参照)となっており、開口部22bには、ヒンジ25cを介して扉25が開閉可能に取り付けられている。扉25には、扉25の開閉を容易にするための取手25aが取り付けられている。本実施形態では、ヒンジ25cは扉25の下端に取り付けられ、取手25aは扉25の上端に取り付けられている。また、電子線照射時には、電子線照射室21の内部を窒素ガス等の不活性ガスにて置換するため、本体部22の裏面には、雰囲気調整コントローラ77(図1,2参照)から延びる配管77aの一端が取り付けられている。そして、電子線照射室21の内部雰囲気を維持するため、開口部22aや開口部22b、電子線源取付部24aには、蓋部24や扉25、真空容器13との間に気密封止部材が設けられる。
【0031】
前述したように、収容部2の電子線照射室21には、XYステージ26、調整台27、及びテーブル28が設けられている。図7に示すように、XYステージ26、調整台27、及びテーブル28は、開口部22bへ向けて平行移動(スライド)可能となっており、扉25が開かれる際には、テーブル28が電子線照射室21の外部に移動できるしくみになっている。このしくみによって、作業者は、照射対象物Aをテーブル28上にセットする作業を容易にできる。なお、電子線がテーブル28に照射されることによるX線の発生を低減するため、テーブル28は、カーボン等の軽元素素材で構成されることが好ましい。或いは、テーブル28の表面をカーボン等の軽元素素材からなる膜やシートで覆ってもよい。
【0032】
次に、電子線源3の構成について詳細に説明する。図8は、電子線源3の内部構成を示す側面断面図である。電子線源3は、電子銃16を有する。電子銃16は、着脱可能なカソード端子部17を含み、カソード端子部17から所定方向に電子線Bを放出する。電子線源3は、更に、電子銃16からの電子線Bを透過する照射窓部12と、円筒形状の真空容器13と、真空容器13の内部を排気する真空ポンプ33(図1〜図5参照。図8では省略)とを有する。
【0033】
本実施形態の電子線源3は、開放型であり、使い捨てに供される閉鎖型と異なり、真空状態を任意に作り出すことができ、電子発生部材であるフィラメント17aを含むカソード端子部17や照射窓部12の交換を可能にしている。すなわち、真空容器13は、動作時に真空状態になるステンレス鋼製の容器であって、電子線Bの照射方向の一端側(収容部2とは反対側)に位置する基端部14と、他端側(収容部2側)に位置する先端部15とに二分割されている。基端部14は電子銃16のフィラメント17aを含むカソード端子部17を収容し、電子銃16を保持する。また、先端部15は照射窓部12を保持する。基端部14と先端部15とは、真空容器13の背面側に配置されたヒンジ18(第1のヒンジ)によって互いに連結されており、ヒンジ18を支点として開閉可能となっている。先端部15は蓋部24の電子線源取付部24aに固定されており、図7に示したように、基端部14がヒンジ18を支点にして横倒しになるように回動することで、基端部14を開放させることができ、基端部14内に収容されているカソード端子部17へのアクセスを可能にする。
【0034】
先端部15内には、電磁偏向レンズとして機能する筒状のコイル部15aが設けられると共に、コイル部15aの中心を通るよう、真空容器13の長手方向に電子通路15eが延在している。また、先端部15の基端部14側の端部にはディスク板31が蓋をするように固定され、このディスク板31の中心には、電子通路15eと連通する電子導入孔31aが形成されている。
【0035】
先端部15の収容部2側の端部には、電子通路15eの端に位置して電子線照射室21に向けて電子線Bを透過する照射窓部12が装着されている。この照射窓部12は、電子線照射室21に臨んで配置され、蓋部24の内面24cに対して電子線照射方向に突設されている。本実施形態では、電子線源取付部24aの電子線照射室21側の端部が蓋部24の内面24cに対して突き出ており、照射窓部12は電子線源取付部24aの端面に対して更に突き出ている。照射窓部12は、カソード端子部17(フィラメント17a)から発生して電子通路15eを通過した電子線Bを透過する窓材を含んで構成されており、先端部15に螺子等によって固定されている。従って、螺子の取り外しによって、消耗品である窓材を含む照射窓部12の交換も可能になる。
【0036】
真空ポンプ33(図1〜図5参照)は、基端部14に固定されている。真空ポンプ33は、真空容器13の内部を排気して高真空状態にするためのものである。すなわち、電子線源3が真空ポンプ33を装備することによって、消耗品であるカソード端子部17や照射窓部12の交換が可能になっている。また、本実施形態の真空ポンプ33は、図2や図4に示したように、真空容器13の背面側に配置されている。このように、重量物である真空ポンプ33を収容部2のヒンジ23や電子線源3のヒンジ18と同じ背面側に配置することによって、真空容器13や収容部2を開放した際に、ヒンジ18より上部の構造体の重心を下げ、安定した開放状態を実現できる。
【0037】
真空容器13の基端側には、電子銃16との一体化が図られたモールド電源部34が固定されている。このモールド電源部34は、電気絶縁性の樹脂(例えば、エポキシ樹脂)でモールド成形されたものであり、金属製のケース35内に収容されている。
【0038】
図9は、モールド電源部34の構成を示す側面断面図である。モールド電源部34は、電子線源3の基端側に位置して直方体形状をなすブロック状の電源本体部34aと、この電源本体部34aから電子線源3の先端側に向けて基端部14内へ突出する円柱状のネック部34bとからなる。電源本体部34a内には、高電圧(例えば、照射窓部12をアースさせる場合には最大−160kV)を発生させるようなトランスを構成させた高圧発生部34cが封入されている。
【0039】
電子銃16は、ネック部34bの先端部に、電子通路15eを挟んで照射窓部12に対峙するよう配置されている。図10は、電子銃16の構成を詳細に示す側面断面図である。電子銃16は、図10に示すように、ネック部34bに装着させるグリッドベース37を有し、このグリッドベース37は、ネック部34bの先端面に埋め込まれたグリッド用端子38に対して螺子部37aを介して固定されている。
【0040】
また、ネック部34bには、その先端面にフィラメント用端子39が埋め込まれている。この端子39には、ヒータソケット40がねじ込まれており、このヒータソケット40の先端にカソード端子部17が着脱自在に取り付けられている。ここで、図11は、カソード端子部17及びその周辺の構成を示す側面断面図であり、図12は、図11に示したカソード端子部17の平面図であり、図13は、図12のXIII−XIII線に沿った部分断面図である。カソード端子部17は、図11〜図13に示すように、フィラメント17aと、フィラメント支持ピン41と、ベース部材42と、側壁部材43と、アパーチャ部材44とを含んでいる。
【0041】
フィラメント17aは、電子を発生及び放出する電子発生部材であり、電子放出効率の良い材料(たとえば、W、Mo、Re、Nd、Ta、ThW線等)からなる。フィラメント17aの中央部はV字状またはU字状に曲げられており、この中央部から電子が放出される。また、フィラメント支持ピン41は、導電性の材料(たとえば、コバール(フェルニコ)等)からなる。フィラメント支持ピン41の先端部分にはフィラメント17aの端部が固着されており、フィラメント17aとフィラメント支持ピン41とが電気的に接続されている。フィラメント支持ピン41は、ヒータソケット40に対して取り外し可能に差し込まれる。ベース部材42は、絶縁性材料(たとえば、セラミックス等)からなり、フィラメント支持ピン41を固定する。
【0042】
側壁部材43は、略筒形状を呈した導電性の材料(たとえば、ステンレス鋼)からなり、フィラメント17aの電子放出方向側に開口43aを有している。側壁部材43は、フィラメント17aの周囲を取り囲むようベース部材42に設けられており、フィラメント17aは側壁部材43の内側に位置している。ベース部材42と側壁部材43とは、ビス45により固定されている。
【0043】
アパーチャ部材44は、薄板状の導電性の材料(たとえば、ステンレス鋼)からなり、開口43aを被うよう側壁部材43にスポット溶接により固定されている。アパーチャ部材44は、フィラメント17aの電子放出方向前方に開口44aを有している。アパーチャ部材44の厚さは例えば0.1〜0.25mm程度に設定され、開口44aの直径は例えば1.0〜1.5mm程度に設定される。
【0044】
カソード端子部17には、図10及び図11に示すように、ホルダ部材36が被せられる。そして、カソード端子部17は、押えリング46をホルダ部材36の内側に締め込むことにより、ホルダ部材36に固定される。また、カソード端子部17が固定されたホルダ部材36にはグリッド固定リング48が被され、グリッド固定リング48がグリッドベース37に螺合されることにより、グリッドベース37に固定される。このような構成によって、カソード端子部17(フィラメント17a)は、必要に応じて交換可能となっている。
【0045】
ホルダ部材36は、導電性の材料(たとえば、ステンレス鋼)からなり、側壁部材43に対して位置決めされている。すなわち、ホルダ部材36の外側から螺入されたビス47の端部がホルダ部材36の内面から突出しており、ベース部材42の外周部には、ビス47の端部と係合可能なガイド溝42aが設けられている。そして、カソード端子部17がホルダ部材36に挿入される際に、ビス47の端部とガイド溝42aとが係合することにより、ホルダ部材36と側壁部材43(カソード端子部17)との位置決めがなされる。側壁部材43には、カソード端子部17に被せる際にビス47の端部と側壁部材43とが干渉しないように、ガイド溝42aに対応する位置にガイド溝43bが設けられている。
【0046】
ホルダ部材36は、アパーチャ部材44の開口44aに対応する位置に開口36aを有している。ホルダ部材36の開口36aの直径は、6mm程度に設定されており、アパーチャ部材44の直径(12mm程度)よりも小さく、開口44aの直径よりも大きい。従って、アパーチャ部材44は、ホルダ部材36と側壁部材43とに挟み込まれて固定される。
【0047】
このような構成の電子銃16においては、グリッド用端子38に電気的に接続されたグリッドベース37、グリッド固定リング48、及びホルダ部材36によって、グリッド電極(集束電極)が構成される。また、ヒータソケット40を介してフィラメント用端子39に電気的に接続されたカソード端子部17(フィラメント17a)によって、カソード電極が構成される。
【0048】
図9に示すように、モールド電源部34の電源本体部34a内には、高圧発生部34cに電気的に接続された電子放出制御部34dが封入されている。そして、この電子放出制御部34dが、グリッド用端子38及びフィラメント用端子39に対し、グリッド接続配線49a及びフィラメント接続配線49bを介してそれぞれ接続され、各接続配線49a,49bは、供に高電圧に印加されるゆえにネック部34b内に封入される。
【0049】
すなわち、高圧発生部34cはもとより、グリッド電極に給電するグリッド接続配線49a、及びカソード端子部17(フィラメント17a)に給電するフィラメント接続配線49bは、高電圧化することになる。具体的には、照射窓部12がアースされる場合、最大−160kVを高圧発生部34cで作り出すことができる。このとき、高圧(−160kV)にフローティングされた状態で、グリッド接続配線49aには−数百Vが印加され、フィラメント接続配線49bには−2〜3Vが印加される。
【0050】
また、図9に示すように、電源本体部34aは金属製のケース35内に収容され、電源本体部34aとケース35との間には隙間Cが設けられ、この隙間C内に高電圧制御部50が配置されている。このケース35には、外部電源に接続するための電源用端子51が固定され、高電圧制御部50はこの電源用端子51に接続されると共に、モールド電源部34内の高圧発生部34c及び電子放出制御部34dに対してそれぞれ配線49c,49dを介して接続されている。また、電子線源コントローラ74(図1、図2参照)からの制御信号に基づき、高電圧制御部50によって、高圧発生部34cにおいて発生する電圧が高電圧(例えば160kV)から低電圧(0V)までコントロールされる。更に、電子放出制御部34dにより、電子放出タイミングや管電流などがコントロールされる。なお、隙間Cには冷却ファン52が更に配置されてもよい。
【0051】
続いて、本実施形態の照射窓部12の構成について詳細に説明する。図14(a)は、照射窓部12及びその付近の構成を示す側面断面図である。また、図14(b)は、図14(a)に示す照射窓部12の主要部の拡大断面図である。また、図15は、照射窓部12の構成を示す平面図である。照射窓部12は、図8に示した電子銃16から出射された電子線Bを透過して真空容器13の外部(電子線照射室21内)へ照射するための部分であり、真空容器13の先端部15の先端(電子通路15eの端部)に着脱可能に取り付けられる。
【0052】
照射窓部12は、略円板状の外観を有しており、枠材61、窓材62、及び固定用部材63を有する。枠材61は、略円板状の部材であり、例えばステンレスといった金属からなる。枠材61は、先端部15の段差部15fの壁部に囲まれた平面上に配置される。枠材61には、窓材62及び固定用部材63を収容するための凹部61aと、電子線Bを通過させるための電子通過孔61cとが形成されている。このうち、電子通過孔61cは、電子線Bの出射方向に枠材61を貫通しており、枠材61の中心部分に形成されている。電子通過孔61cの真空容器13側の幅(内径)は、真空容器13の内部へ向けてテーパ状に拡大している。これに対し、真空容器13とは反対側の電子通過孔61cの幅(内径)は、電子線Bの出射方向に沿ってほぼ一定となっている。つまり電子通過孔61cは、電子出射側からほぼ一定の径を維持した部分と、その部分に連続するように、電子入射側(真空容器13側)から電子出射側に向けてテーパ状に縮径していく部分とからなる。
【0053】
凹部61aは、電子通過孔61cの一端をその底面が含むように形成されており、照射窓部12の厚さ方向(すなわち電子線Bの出射方向)から見て円形状に形成されている。凹部61aの周囲には、複数のボルト穴61dが枠材61の周方向に並んで形成されており、枠材61は、ボルト穴61dにボルト64が挿通され、このボルト64が先端部15のネジ穴と螺合することにより、先端部15に装着される。なお、枠材61は、ボルト64が取り外されることによって先端部15から脱離することができる。また、枠材61には、ボルト穴61dとは別のネジ穴61eが形成されている。ネジ穴61eは、ボルト64を強く締めすぎて照射窓部12が先端部15に固着してしまい、先端部15から容易に外れなくなった場合に、適当な螺子をねじ込むことで照射窓部12を先端部15から引き離すために用いられる。
【0054】
窓材62は、電子銃16から出射された電子線Bを透過して真空容器13の外部へ出射するための膜状の部材であり、電子線Bを透過する材料(例えばベリリウム、チタン、アルミニウムなど)からなる。窓材62は、例えば数μm〜10μmといった厚さに形成されており、例えばX線発生装置などに用いられる窓材と比較して極めて薄い。窓材62は、枠材61の電子通過孔61cの一端を覆うように、枠材61の凹部61aの底面上に配置されている。また、窓材62は、ロウ材65を用いて枠材61にロウ付けされることにより、電子通過孔61cを閉じるように枠材61に気密に接合されている。なお、窓材62は、ロウ付け以外にも例えば溶接によって枠材61に気密に接合されてもよい。窓材62の一方の面は真空容器13の外側に位置しており、大気に触れる。また、窓材62の他方の面は真空容器13の内側に位置している。
【0055】
固定用部材63は、窓材62を枠材61に確実に固定するための部材である。固定用部材63は、中央部分に開口63aを有する円環状に形成されており、開口63aが枠材61の電子通過孔61cと連通するように、凹部61aの底面上且つ窓材62上に配設されることにより、枠材61との間に窓材62を挟んでいる。また、固定用部材63の外径は凹部61aの内径よりも小さく設定されており、固定用部材63の側面63bと凹部61aの側壁61bとの間には隙間があいている。この隙間は、部品の公差に起因して一般的に設けられる隙間よりも格段に大きな隙間であり、例えば凹部61aの内径の数パーセント〜数十パーセントといった大きさである。
【0056】
また、図14(b)に示すように、固定用部材63と枠材61との間にはロウ材65が充填されており、このロウ材65の一部は窓材62にも接している。このように、固定用部材63が窓材62及び枠材61にロウ付けされることにより、窓材62が枠材61に強固に接合されるとともに、枠材61と窓材62との間の気密性が増す。なお、固定用部材63は、図14に示すようなスポット溶接痕63cを有してもよい。このスポット溶接痕63cは、固定用部材63を枠材61にロウ付けする際に、固定用部材63を仮止めのために枠材61にスポット溶接した痕である。スポット溶接は窓材62を避けて行われるため、スポット溶接痕63cは窓材62の周囲に点在する。
【0057】
また、図14(b)に示すように、ロウ材65に接する側の枠材61の表面(すなわち、枠材61の凹部61aの底面)には、ロウ材65の密着性を高めるための金属膜66aが形成されている。同様に、ロウ材65に接する側の固定用部材63の表面にも金属膜66bが形成されている。金属膜66a及び66bは、ロウ材65と相性が良い金属材料(例えば銅)からなり、蒸着等によって形成される。なお、本実施形態では固定用部材63の外径が凹部61aの内径よりも小さいので、固定用部材63の側面63bと凹部61aの側壁61bとの隙間から、金属膜66aが露出することとなる。
【0058】
照射窓部12と真空容器13(先端部15)との間には、Oリング67が設けられる。Oリング67は、照射窓部12と真空容器13(先端部15)との隙間を気密に封止するための部材である。Oリング67は、例えば樹脂などの弾性材料からなり、枠材61と真空容器13との間において電子通過孔61cを囲むように設けられている。また、Oリング67を収容して位置決めするための溝13aが真空容器13側に形成されており、Oリング67は溝13aに収容されている。
【0059】
なお、本実施形態の電子線照射装置1Aにおける照射窓部としては、図14及び図15に示した照射窓部12以外にも、様々な構成のものが適用される。図16(a),(b)及び図17(a),(b)は、それぞれ照射窓部の構成例を示す断面図である。
【0060】
図16(a)に示す形態と前述した形態(図14,図15)との相違点は、照射窓部の装着形態である。すなわち、図16(a)に示す形態では、真空容器13の先端に押さえ部材68が設けられている。押さえ部材68は、枠材61の外周部分を押さえつつ真空容器13(先端部15)と螺合(螺着)することにより、照射窓部12を真空容器13(先端部15)に固定する。具体的には、押さえ部材68は、円筒状の螺合部68aと、螺合部68aの一端に設けられた板状部68bとが一体的に形成されて成る。そして、螺合部68aの内周面にはネジ山68dが形成されており、このネジ山68dが先端部15の外周面に形成されたネジ山15gと螺合することによって、押さえ部材68が先端部15に螺着される。このとき、板状部68bが照射窓部12の枠材61を先端部15へ押さえつける。押さえ部材68は、電子線Bを通過させるために板状部68bに形成された円形の開口68cを有する。開口68cの内径は枠材61の凹部61aの内径よりも大きく形成されており、板状部68bが固定用部材63に当接しないようになっている。
【0061】
また、図16(b)に示す形態と前述した形態(図14,図15)との相違点は、照射窓部の装着形態である。すなわち、図16(b)に示す照射窓部12aは、枠材61(図14参照)に代えて枠材69を有する。枠材69は、真空容器13(先端部15)と螺合することにより真空容器13に固定される。具体的には、枠材69は、円筒状の螺合部69aと、螺合部69aの一端に設けられた板状部69bとが一体的に形成されて成る。そして、螺合部69aの内周面にはネジ山69dが形成されており、このネジ山69dが先端部15の外周面に形成されたネジ山15gと螺合することによって、照射窓部12aが真空容器13(先端部15)に螺着される。
【0062】
なお、枠材69は、図14に示した枠材61と同様に、窓材62及び固定用部材63を収容するための凹部69cと、先端部15の電子通路15eと連通しており電子線Bを通過させる電子通過孔69eとを有する。そして、電子通過孔69eを閉じるように窓材62が配設されるとともに、枠材69、窓材62、及び固定用部材63がロウ材65を介して互いに接合されている。また、図16(b)に示す構成においては、先端部15は、照射窓部を位置決めするための段差部15f(図14(a)参照)を有していなくてもよい。
【0063】
また、図17(a)に示す形態と前述した形態(図14,図15)との相違点は、枠材の形状である。すなわち、図17(a)に示す照射窓部12bは、枠材61(図14参照)に代えて枠材70を有する。枠材70は、略円板状の部材であり、窓材62及び固定用部材63を収容するための凹部70aと、先端部15の電子通路15eと連通しており電子線Bを通過させる電子通過孔70cと、ボルト64を通すためのボルト穴70eとを有する。枠材70の凹部70a付近は、ボルト穴70eを含む外周部分よりも厚く形成されており、凸部70dとなっている。なお、本変形例において電子通過孔70cの内径は出射方向に沿って一定に形成されているが、図14(b)に示した電子通過孔61cのように、真空容器側の電子通過孔70cの内径がテーパ状に拡大していてもよい。
【0064】
図17(b)に示す形態は、図17(a)に示した照射窓部12bを、図16(a)に示した押さえ部材68によって固定する構成を備える。すなわち、押さえ部材68は、枠材70の外周部分を押さえつつ真空容器13(先端部15)と螺合(螺着)することにより、照射窓部12bを真空容器13(先端部15)に固定する。また、電子線Bを通過させるための円形の開口68cの内径は枠材70の凸部70dの外径よりも大きく形成されており、凸部70dは開口68cから突出している。
【0065】
以上の構成を備える電子線照射装置1Aによる効果について説明する。この電子線照射装置1Aが備える電子線源3は、真空容器13の基端部14と先端部15とがヒンジ18を支点として開閉可能となっており、また、真空容器13には真空ポンプ33が設けられており、フィラメント17aを交換可能ないわゆる開放型の構成を備えている。そして、この電子線照射装置1Aにおいては、真空容器13の先端部15が収容部2の蓋部24に固定されている。従って、フィラメント17aを交換する際には、先端部15を収容部2に固定したまま、図7に示したように、電子線源3を収容部2から取り外すことなく基端部14を開いてフィラメント17aを交換することができる。また、電子線源3の先端部15が蓋部24に固定されており、照射窓部12が電子線照射室21側から着脱可能に構成されているので、作業者は蓋部24を開けることにより照射窓部12に容易にアクセスでき、電子線源3を収容部2から取り外すことなく照射窓部12を交換できる。
【0066】
このように、本実施形態の電子線照射装置1Aによれば、フィラメント17aや照射窓部12を交換する際に、電子線照射室21を構成する収容部2から電子線源3を取り外す必要がない。したがって、交換後に所望の状態で電子線を出射するための再調整(電子線源3と電子線照射室21内の照射対象物Aとの位置合わせや、電子銃16と電子導入孔31aと照射窓部12との機械的な軸ずれの再調整など)が不要となり、作業性を向上できると共に、交換作業を行うスペースを省くことができる。
【0067】
また、本実施形態の電子線照射装置1Aにおいては、照射対象物Aを搬入及び搬出するための扉25が取り付けられた正面に対し、電子線源3の真空容器13、及び収容部2の蓋部24の双方が、各々の背面側に設けられたヒンジ18,23を支点として開閉可能となっている。このように、真空容器13及び蓋部24を互いに同じ方向に開閉することにより、これらの開閉のために必要なスペースを小さくでき、ひいては電子線照射装置1Aの設置面積を小さくできる。すなわち、真空容器13及び蓋部24を共に後方(背面方向)に開くので、筐体7の横幅を小さくできる。また、筐体7の正面側に広いスペースは不要なので、筐体7内部において収容部2および電子線源3を正面側に寄せて配置することができる。したがって、照射対象物Aを搬入出する際や、フィラメント17aや照射窓部12を交換する際における作業性をより向上できる。更に、収容部2の観察窓25bと筐体7の観察窓71aとを互いに近接させ得るので、電子線照射室21の内部確認を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態のように、雰囲気調整コントローラ77と電子線照射室21とを繋ぐ配管77aの電子線照射室21側の一端は、収容部2の背面側に取り付けられていることが好ましい。このように、配管77aの電子線照射室21側の一端をヒンジ18,23と同じ側(背面側)に取り付けることによって、真空容器13及び収容部2の開閉に必要な筐体7内のスペースと、配管77aに必要な筐体7内のスペースとを共通にすることができ、筐体7の横幅を小さくし、電子線照射装置1Aの設置面積を小さくできる。
【0069】
<変形例>
図18は、上記実施形態の一変形例として、電子線源3aの構成を示す図である。本変形例に係る電子線源3aは、上記実施形態の電子線源3の構成に加え、照射窓部12とは別の照射窓部11を更に有している。照射窓部11は、照射窓部12を覆っており、電子線照射室21に向けて電子線Bを透過する。照射窓部11は、電子線照射室21に臨んで配置され、蓋部24の内面24cに対して電子線照射方向に突設されている。照射窓部11は、照射窓部12に対して電子線照射方向に配置されて電子線Bを透過する窓材11aを含んで構成されている。
【0070】
窓材11aは、電子線通過用の孔を有する円板状の保持部材11bに保持されており、保持部材11bの当該孔を塞ぐように設置されている。保持部材11bの縁部は円筒状の部材11cの一端に螺子等により固定されている。保持部材11b及び部材11cはいずれも導電性材料からなり、部材11cの他端は環状の絶縁部材11dを介して真空容器13の先端部15に固定されている。なお、部材11cには、照射窓部11と真空容器13との隙間を不活性ガスで満たすための導入管11e及び排出管11fが取り付けられている。
【0071】
照射対象物に電子線Bを照射すると、照射対象物の成分が飛散する場合がある。本変形例では、照射窓部11が照射窓部12を覆うことにより、照射窓部12に飛散物が付着することを防止できる。また、照射窓部11を透過した電子線Bは、電子線照射室21内の気体と衝突して散乱し、電子線Bの一部は照射窓部11の保持部材11bに取り込まれる。従って、照射対象物からの飛散物が窓材11aに付着して透過率が低下した場合であっても、保持部材11bから出力される電流量を検出することにより、電子線照射量(すなわち窓材11aにおける電子線透過量)を知ることができるので、電子線透過量の低下に応じて窓材11a及び保持部材11bを交換することができる。
【0072】
図19は、上記実施形態の他の変形例として、電子線源3bの構成を示す図である。また、図20は、図19に示した電子線源3bのXX−XX線に沿った断面図である。本変形例に係る電子線源3bと上記実施形態の電子線源3との相違点は、モールド(電源)部の構成である。すなわち、本変形例における電子線源3bのモールド部53は、電子線源3bの基端側に位置して直方体形状をなすブロック状の本体部53aと、この本体部53aから電子線源3bの先端側に向けて基端部14内へ突出する円柱状のネック部53bとからなる。本体部53aには、ケース35の側面に取り付けられた高耐圧型のコネクタ54が埋め込まれている。
【0073】
コネクタ54は、電子線照射装置1Aの外部から電源電圧の供給を受けるための高耐圧型コネクタ(レセプタクル)であり、ケース35の外側面から内側面へ貫通して配置されている。そして、ケース35の内部に位置するコネクタ54の部分54aが、モールド部53の本体部53aに埋め込まれて固定されている。また、この部分54aの表面には凹凸形状が形成されている。これにより、モールド部53を成型する際にこの凹凸形状にモールド部53が食い込んで固まるので、モールド部53とコネクタ54とが強固に固定される。また、コネクタ54は、ケース35の側壁に固定されており、コネクタ54を介してモールド部53とケース35とが強固に固定されている。このコネクタ54には、図示しない電源装置から延びる外部配線の先端を保持した電源用プラグが挿入される。
【0074】
フィラメント17aの両端は、コネクタ54からフィラメント17aへ延びる内部配線55a及び55bにそれぞれ接続されている。従って、コネクタ54に電源用プラグが挿入されると、フィラメント17aの両端は、外部配線を介して電源装置と電気的に接続される。また、内部配線55a及び55bは、電源装置から高電圧を印加されるので、絶縁材料からなるモールド部53の内部に埋め込まれることにより、ケース35との絶縁が確保される。
【0075】
本変形例のように、電子線源は、高電圧を発生する高圧発生部に代えて、電子線照射装置の外部から電源供給を受けるためのコネクタを備えてもよい。このような構成であっても、電子線照射装置は上記実施形態による効果を好適に奏することができる。
【0076】
<第2の実施の形態>
図21は、本発明の第2実施形態として電子線照射装置1Bの構成を示す正面図である。図21において、筐体7の上半分(電子線源収容室72)については扉71が開いた状態の正面図を示しており、筐体7の下半分(制御部収容室73)については内部構成を示すために筐体7の正面パネルを省略して示している。また、図22は、図21に示した電子線照射装置1Bの側面図であり、収容部2及び筐体7については図21のXXII−XXII線に沿った側面断面を示している。
【0077】
本実施形態による電子線照射装置1Bと上記第1実施形態による電子線照射装置1Aとは、次の相違点を除いて同様の構成を備えている。すなわち、電子線照射装置1Aの電子線源3のヒンジ18(図4参照)に代えて、本実施形態の電子線照射装置1Bでは、電子線源3のヒンジ19が筐体7の一方の側面側(本実施形態では、図21に示すように正面から見て右側面側)に取り付けられている。また、電子線照射装置1Aの収容部2のヒンジ23(図4参照)に代えて、本実施形態の電子線照射装置1Bでは、収容部2のヒンジ29が電子線源3のヒンジ19と同様に筐体7の一方の側面側(右側面側)に取り付けられている。なお、ヒンジ19は本実施形態における第1のヒンジであり、ヒンジ29は本実施形態における第2のヒンジである。
【0078】
図23および図24は、本実施形態における収容部2及び電子線源3の動作の様子を示す図である。図23に示すように、蓋部24は、ヒンジ29を支点として上方に開く。このとき、蓋部24に固定された電子線源3も蓋部24と共にヒンジ29を支点として移動する。第1実施形態において述べたように、電子線源3の照射窓部12は電子線照射室21側から着脱可能に構成されており、蓋部24がこのように開くことによって、照射窓部12へのアクセスを容易にし、作業者は照射窓部12を容易に交換することができる。
【0079】
また、本実施形態の電子線源3は、第1実施形態と同様に開放型であり、図8に示したフィラメント17aを含むカソード端子部17の交換を可能にしている。このため、図24に示すように、真空容器13の基端部14と先端部15とは、ヒンジ19を支点として開閉可能となっている。先端部15は蓋部24の電子線源取付部24aに固定されており、基端部14がヒンジ19を支点にして横倒しになるように回動することで、基端部14を開放させることができ、基端部14内に収容されているカソード端子部17へのアクセスを可能にする。
【0080】
また、本実施形態では、図21に示すように、電子線照射室21の内部を窒素ガス等の不活性ガスに置換するための雰囲気調整コントローラ77から延びる配管77aの一端が、ヒンジ19,29と同じ側すなわち本体部22の右側面側に取り付けられている。更に、真空ポンプ33もまた、ヒンジ19,29と同じ側すなわち真空容器13の右側面側に配置されている。
【0081】
本実施形態による電子線照射装置1Bにおいては、第1実施形態と同様に、電子線源3を収容部2から取り外すことなく基端部14を開いてフィラメント17aを交換することができる。また、作業者は蓋部24を開けることにより照射窓部12に容易にアクセスでき、電子線源3を収容部2から取り外すことなく照射窓部12を交換できる。したがって、交換後に所望の状態で電子線を出射するための再調整が不要となり、作業性を向上できると共に、交換作業を行うスペースを省くことができる。
【0082】
また、本実施形態の電子線照射装置1Bにおいては、扉25が取り付けられた正面に対し、電子線源3の真空容器13、及び収容部2の蓋部24の双方が、各々の一側面(本実施形態では右側面)側に設けられたヒンジ19,29を支点として開閉可能となっている。このように、真空容器13及び蓋部24を互いに同じ方向に開閉することにより、これらの開閉のために必要なスペースを小さくでき、ひいては電子線照射装置1Bの設置面積を小さくできる。すなわち、真空容器13及び蓋部24を共に側方(左方向)に開くので、筐体7の奥行きを小さくできる。また、筐体7の正面側に広いスペースは不要なので、筐体7内部において収容部2および電子線源3を正面側に寄せて配置することができる。したがって、照射対象物Aを搬入出する際や、フィラメント17aや照射窓部12を交換する際における作業性をより向上できる。更に、収容部2の観察窓25bと筐体7の観察窓71aとを互いに近接させ得るので、電子線照射室21の内部確認をより正確に行うことができる。
【0083】
また、配管77aの電子線照射室21側の一端をヒンジ19,29と同じ側(右側面側)に取り付けることによって、真空容器13及び収容部2の開閉に必要な筐体7内のスペースと、配管77aに必要な筐体7内のスペースとを共通にすることができるので、筐体7の奥行きを小さくし、電子線照射装置1Bの設置面積を小さくできる。また、重量物である真空ポンプ33を収容部2のヒンジ29や電子線源3のヒンジ19と同じ右側面側に配置することによって、真空容器13や収容部2を開放した際に、ヒンジ19より上部の構造体の重心を下げ、安定した開放状態を実現できる。
【0084】
本発明による電子線照射装置は、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、第2実施形態においては第1及び第2のヒンジが取り付けられる位置が真空容器および収容部の右側面側となっているが、これらは左側面側に取り付けられてもよい。この場合でも、第2実施形態に係る電子線照射装置と同様の効果が得られる。また、第1実施形態で示した照射窓部および電子発生部材の構成は着脱可能な構成の一例であり、照射窓部および電子発生部材は上記実施形態以外にも様々な構成を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子線照射装置の構成を示す正面図である。筐体の上半分(電子線源収容室)については扉が開いた状態の正面図を示しており、筐体の下半分(制御部収容室)については内部構成を示すために筐体の正面パネルを省略して示している。
【図2】図1に示した電子線照射装置の側面図であり、収容部及び筐体については図1のII−II線に沿った側面断面を示している。
【図3】収容部及び電子線源の構成を示す正面図であり、収容部の一部を切り欠いて示している。
【図4】収容部及び電子線源の側面図であり、収容部については図3のIV−IV線に沿った側面断面を示している。
【図5】収容部及び電子線源の上面図である。
【図6】第1実施形態における収容部及び電子線源の動作の様子を示す図である。
【図7】第1実施形態における収容部及び電子線源の動作の様子を示す図である。
【図8】電子線源の内部構成を示す側面断面図である。
【図9】モールド電源部の構成を示す側面断面図である。
【図10】電子銃の構成を詳細に示す側面断面図である。
【図11】カソード端子部及びその周辺の構成を示す側面断面図である。
【図12】図11に示したカソード端子部の平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿った部分断面図である。
【図14】(a)照射窓部及びその付近の構成を示す側面断面図である。(b)(a)に示す照射窓部の主要部の拡大断面図である。
【図15】照射窓部の構成を示す平面図である。
【図16】(a),(b)照射窓部の構成例を示す断面図である。
【図17】(a),(b)照射窓部の構成例を示す断面図である。
【図18】第1実施形態の一変形例として、電子線源の構成を示す図である。
【図19】第1実施形態の他の変形例として、電子線源の構成を示す図である。
【図20】図19のXX−XX線に沿った断面図である。
【図21】本発明の第2実施形態に係る電子線照射装置の構成を示す正面図である。筐体の上半分(電子線源収容室)については扉が開いた状態の正面図を示しており、筐体の下半分(制御部収容室)については内部構成を示すために筐体の正面パネルを省略して示している。
【図22】図21に示した電子線照射装置の側面図であり、収容部及び筐体については図21のXXII−XXII線に沿った側面断面を示している。
【図23】第2実施形態における収容部及び電子線源の動作の様子を示す図である。
【図24】第2実施形態における収容部及び電子線源の動作の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1A,1B…電子線照射装置、2…収容部、3…電子線源、7…筐体、11,12,12a,12b…照射窓部、13…真空容器、14…基端部、15…先端部、16…電子銃、17…カソード端子部、17a…フィラメント、18,19…(第1の)ヒンジ、23,29…(第2の)ヒンジ、21…電子線照射室、22…本体部、24…蓋部、25…(第1の)扉、25a,71a…観察窓、26…ステージ、27…調整台、28…テーブル、33…真空ポンプ、34…モールド電源部、35…ケース、71…(第2の)扉、72…電子線源収容室、73…制御部収容室、74…電子線源コントローラ、75…排気ポンプ、76…ステージコントローラ、77…雰囲気調整コントローラ、79…仕切り部材、A…照射対象物、B…電子線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する本体部、および前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部を有し、前記本体部及び前記蓋部によって構成される電子線照射室に照射対象物を収容する収容部と、
基端部、及び前記基端部と前記蓋部との間に配置されて前記蓋部に固定された先端部を有し、前記先端部と前記基端部との結合部分が開閉可能となっている筒状の真空容器、前記基端部に保持され電子線を放出する電子銃、前記先端部に保持されて前記電子線を前記電子線照射室に向けて透過するとともに、前記電子線照射室側から着脱可能に構成された照射窓部、並びに前記真空容器の内部を排気する真空ポンプを有する電子線源と
を備え、
前記照射対象物を搬入及び搬出するための第1の扉が前記本体部の正面側に取り付けられており、
前記真空容器は、該真空容器の背面側に設けられた第1のヒンジを支点として開閉可能となっており、
前記蓋部は、前記収容部の背面側に設けられた第2のヒンジを支点として開閉可能となっている、
ことを特徴とする電子線照射装置。
【請求項2】
前記電子線照射室内の雰囲気を置換する雰囲気置換装置を更に備え、
前記雰囲気置換装置と前記電子線照射室とを繋ぐ配管の前記電子線照射室側の一端が前記収容部の背面側に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
【請求項3】
前記真空ポンプが前記真空容器の背面側に配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子線照射装置。
【請求項4】
開口部を有する本体部、および前記開口部に開閉可能に取り付けられた蓋部を有し、前記本体部及び前記蓋部によって構成される電子線照射室に照射対象物を収容する収容部と、
基端部、及び前記基端部と前記蓋部との間に配置されて前記蓋部に固定された先端部を有し、前記先端部と前記基端部との結合部分が開閉可能となっている筒状の真空容器、前記基端部に保持され電子線を放出する電子銃、前記先端部に保持されて前記電子線を前記電子線照射室に向けて透過するとともに、前記電子線照射室側から着脱可能に構成された照射窓部、並びに前記真空容器の内部を排気する真空ポンプを有する電子線源と
を備え、
前記照射対象物を搬入及び搬出するための第1の扉が前記本体部の正面側に取り付けられており、
前記真空容器は、該真空容器の一方の側面側に設けられた第1のヒンジを支点として開閉可能となっており、
前記蓋部は、前記収容部の前記一方の側面と同じ側に設けられた第2のヒンジを支点として開閉可能となっている、
ことを特徴とする電子線照射装置。
【請求項5】
前記電子線照射室内の雰囲気を置換する雰囲気置換装置を更に備え、
前記雰囲気置換装置と前記電子線照射室とを繋ぐ配管の前記電子線照射室側の一端が前記収容部の前記一方の側面側に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子線照射装置。
【請求項6】
前記真空ポンプが前記真空容器の前記一方の側面と同じ側に配置されている、ことを特徴とする請求項4または5に記載の電子線照射装置。
【請求項7】
前記収容部および前記電子線源を収容する筐体を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
【請求項8】
前記筐体の正面側に第2の扉が取り付けられており、
前記第1及び第2の扉における互いに対向する位置にそれぞれ観察窓が設けられている、
ことを特徴とする請求項7に記載の電子線照射装置。
【請求項9】
前記電子線源と電気的に接続されて前記電子線の放出制御を行う電子線制御部を更に備え、
前記筐体が、前記収容部および前記電子線源を収容する電子線源収容室、前記電子線制御部を収容する制御部収容室、並びに前記電子線源収容室と前記制御部収容室とを互いに仕切る金属製の仕切り部材を有する、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の電子線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−68973(P2009−68973A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237216(P2007−237216)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】