電子装置およびゲーム用コントローラ
携帯型電子装置100は、両端がユーザの両手によってそれぞれ把持され、正面に表示手段が設けられている筐体10と、筐体の側面に配置される少なくとも一つのLRボタン46を備える。LRボタン46は、筐体に内側から当接して筐体から離脱することを防止する係止手段を両端に有する細長形状のボタン本体と、ボタン本体が押圧されたとき、ボタン本体の背面によって押圧される変形部材と、変形部材の押圧によって導通するスイッチ接点と、を備える。ボタン本体の一端が押圧されたとき、ボタン本体の他端に設けられた係止手段と筐体とが接触する接触部分を軸として、ボタン本体が回動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯型電子装置またはゲーム用コントローラの構造に関し、より詳細には、携帯型電子装置またはゲーム用コントローラのに設けられるボタンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム用コントローラのなかには、複雑化するゲームに対して様々な入力を実現するため、コントローラの正面に配置されているボタンに加えて、コントローラの一側面(つまり、正面または背面以外の面)にまでボタンを設けたものがある。側面上のこの種のボタンは、例えば横長の形状をなしており、Lボタン、Rボタンとも呼ばれる(以下、これらを総称して「LRボタン」ともいう)。LRボタンは、一般にコントローラを把持したユーザの人差し指で押下される。
【0003】
LRボタンのそれぞれの従来の構造を、図13Aに示す。図示するように、横長のボタン本体200が、その一端206を支点として揺動可能に軸支されている。ボタン本体200の下方に位置するラバー202には、スイッチ接点204が取り付けられている。ユーザがボタン本体200を押下すると、図13Bに示すように、一端206を軸としてボタン本体200がわずかに回転して沈み込み、ボタン本体200がラバー202を下方に押して、スイッチ接点204を導通させる。ユーザが指をボタン本体200から離すと、ラバー202の反発力によりボタン本体200が押し上げられ、ボタン本体200を元の位置に戻す(例えば、実開平4−42029号公報を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コントローラを操作するユーザの手の大きさは、年齢や性別などにより大きく異なるため、LRボタンにかかる指先の位置がそれぞれ異なる。上述の構造のLRボタンでは、ユーザがボタン本体200の一端206の付近を押圧した場合、ボタン本体200の沈み込みが不十分となる。結果として、スイッチ接点204が期待通りに導通しなかったり、ユーザがLRボタンを十分に押したことの確信を持ちにくかったりする場合がある。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボタンの押圧位置にかかわらず、LRボタンの沈み込みを確保してユーザの操作快適性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、携帯型電子装置に関する。この装置は筐体を備える。筐体は、正面と、背面と、一つ以上の側面で構成され、筐体の四隅のいずれかに開口部が設けられている。携帯型電子装置は、開口部に嵌め合わされる細長形状のボタンをさらに備える。ボタンは、ボタンの長手方向に延在しユーザの指によって押圧される押圧面を有する。開口部が位置する筐体の一隅を形成する二つの側面のうち一側面とボタンの押圧面とは、ほぼ連続する面を構成する。ボタンには、開口部が位置する筐体の一隅を形成する二つの側面のそれぞれの方向に延び出し、筐体の開口部からのボタンの離脱を防止する係止手段が両端に設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1ないし図6は、本発明の一実施形態である携帯型電子装置100の外観を示す図である。図1は携帯型電子装置100の正面図であり、筐体10は、全体として横長の長円形状を有している。筐体10の両端は、中心線14から一定の距離偏心した位置を中心とする円弧状に形成されている。
【0008】
図2および図4に示すように、筐体10は、上側部10a、中間部10bおよび下側部10cから構成され、空洞のボディを有する。筐体10の内部には、回路基板(図示せず)が設けられている。回路基盤は、各種ボタン操作による信号を発生するスイッチ接点と、その信号を処理し各種演算を実行するCPUと、音声を出力する音声処理装置と、画像を出力する画像処理装置と、を備える。中間部10bは上側部10aおよび下側部10cに比して剛性が高く、筐体10全体の剛性を確保している。
【0009】
図1に戻り、筐体10の上側部10aの中央部分には、表示装置としての液晶ディスプレイ12(以下、「LCD12」という)が嵌め込まれている。このLCD12には、例えば、携帯型電子装置100がゲーム装置として機能する場合には、ゲーム画面が表示され、携帯型電子装置100が個人情報端末(PDA)として機能する場合には、スケジュール帳や住所録などが表示される。LCD12は、型枠96を介装して筐体10の上側部10aに嵌め込まれる。
【0010】
筐体10の表面、つまりユーザに対する正面は、主に、ユーザの左手により把持される左手領域48Lと、右手により把持される右手領域48Rと、LCD12と、LCD12の下方に位置し各種ボタンが配置される横長のボタン領域50と、LCD12の上方に位置する装飾領域16と、から構成される。筐体10の上側部10aの左上部および右上部には、それぞれ切り欠き84L、84Rが形成されている。
【0011】
左手領域48Lには、主に方向指示入力をするための十字キー20と、主に方向指示のアナログ入力をするためのアナログデバイス22が設けられている。これらの詳細な構成および機能については後述する。左手領域48Lには、さらにインジケータ32および34が設けられている。インジケータ32は、リムーバブル記憶媒体にアクセス中であるときに点灯し、インジケータ34は、WLAN通信中であるときに点灯する。
【0012】
アナログデバイス22の水平方向の中心は、十字キー20の水平方向の中心よりも筐体10の中心線14側近くに位置している。ユーザの手前側に位置する。また、アナログデバイス22は、十字キー20よりも装置の左下隅に近く位置している。この構成の理由は、以下の通りである。装置の両端がユーザの両手によって把持されているときに、ユーザの左手の親指が、十字キー20とアナログデバイス22との間で移動する場合、ユーザは手の平を筐体10の左下隅に付けて支点として親指を回動させる。ユーザは、アナログデバイス22の中心を傾けて操作する。したがって、アナログデバイス22が筐体10の中心により近い方が操作が容易となる。
【0013】
右手領域48Rには、主に単一の指示を入力するためのボタン30a、30b、30c、30d(以下、これらを総称するときには、「ボタンキー30」という)が設けられている。このボタンキー30の構造および機能については後述する。右手領域48Rには、さらにインジケータ36、38、40が設けられている。インジケータ36は、携帯型電子装置100の電源がオンであるときに点灯し、インジケータ38は、携帯型電子装置100が充電中であるときに点灯し、インジケータ40は携帯型電子装置100のいずれのキーも無効となっているホールド状態であるときに点灯する。
【0014】
図1に示すように、十字キー20の中心とボタンキー30の中心は、筐体10の上下方向の中心線よりも上方にずらされている。
【0015】
十字キー20の中心とボタンキー30の中心は、筐体10の左右方向の中心線14から等距離に配置されることが好ましい。十字キー20の円盤状キートップの押圧面20a、20b、20c、20d間の距離は、ボタン30a、30b、30c、30d間の距離よりも小さくされていることが好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、十字キー20は、主に上下左右の移動を指示するために使用されるために、ユーザは十字キー20を操作し続けることが多い。したがって、ユーザは十字キー20の押圧面から親指を離さずに十字キー20を操作できる方が好ましい。そうすると、ユーザにとっては、押圧面20a、20b、20c、20dが互いにあまり離れていない方が、十字キー20を操作しやすい。これに対し、ボタンキー30の方は、各ボタン30a、30b、30c、30dで異なる指示を与えるために使用されることが多い。このため、ユーザにとっては親指をボタンキー30から離して操作する方が操作しやすいので、ボタン30a、30b、30c、30dはある程度の距離を離して配置されている。
【0016】
LCD12の下部の両端には、左手領域48Lにスピーカー穴28Lが、右手領域48Rにスピーカー穴28Rが設けられており、ユーザに音声を提供する。
【0017】
ボタン領域50は、携帯型電子装置100を保持するユーザから近い側の、筐体10の上側部10aの外縁近傍に配置される。ボタン領域50には、ボタン52〜64が配置される。ボタン領域50は、左手領域48Lおよび右手領域48Rと視覚的に明瞭に区別できるように構成されることが好ましい。この実施形態では、ボタン領域50は、左右方向に伸びる細長い丘状に形成されている。ボタン領域50は、左手領域48L、右手領域48RおよびLCD12からなる平面より隆起している。丘の頂点付近に各種のボタン52〜64が設けられる。こうすることで、ユーザは、ゲームやアプリケーションの進行中に操作すべきボタン類と、それ以外のボタン類とを視覚的に区別することができる。さらに、ボタン領域50が盛り上がっていることから、ユーザは触覚的にこれらのボタン52〜64の配置を感得することができる。また、ボタン領域50の盛り上がりによって、LCD12を保護する働きもある。
【0018】
ボタン領域50の構造は、上述の構造に限定されるわけではない。ボタン領域50の高さが、左手領域48Lおよび右手領域48Rと高さが異なっている限り、任意の構造を使用できる。ここで、「高さ」とは、LCD12のある面が上を向くように水平面に筐体10を置いたときに、その水平面を基準とした高さのことを指す。例えば、台形断面または長方形断面の細長い段を設けてその上にボタン52〜64を配置するようにしてもよい。または、左手領域48L、右手領域48RおよびLCD12と同一の平面に配置されたボタン52〜64の上下に、ボタン52〜64の高さよりも高い壁を設けてもよい。これらの壁によって、十字キー20またはボタンキー30を操作するユーザの手によりボタン52〜64が容易に押されなくなる。
【0019】
ボタン領域50に配列される各種のボタン52〜64は、ゲームの進行やその他アプリケーションのメイン操作にはあまり使用されず、したがって頻繁に押す必要がないボタンである。ホームボタン52は、LCD12をメイン画面に戻すために使用される。ボリュームボタン54および56は、それぞれ、スピーカーまたはヘッドフォンから再生される音声の音量を減少または増加させる。ディスプレイボタン58は、LCD12のバックライトの電源をオンオフする。サウンドボタン60は、音声出力をオンオフする。セレクトボタン62は、LCD12に表示される複数の項目から一つを選択する。スタートボタン64は、主にゲームプログラムを実行しているときに、ゲームのプレイを開始する。
【0020】
従来の携帯型電子装置またはゲーム用コントローラでは、上述のボタン52〜64を、上述したように十字キーやボタンキーが形成される部分と別の部分に配置するのではなく、例えば十字キーやボタンキーの下方に配置していた。このような従来の構成では、ユーザが十字キーまたはボタンキーを操作する際に指がこれらボタンに触れてしまって誤操作することがあった。これに対し、本実施形態では、これらボタン52〜64を十字キーまたはボタンキーから離して配置するようにしたため、誤操作が少なくなる。
【0021】
筐体10の上側部10aの左下部および右下部にも、左上部および右上部と同様に切り欠き86L、86Rが形成されている。切り欠き86L、86Rの下にはそれぞれ把持部87L、87Rが設けられている。把持部87Lには、穴24Lが形成されており、図示しないストラップ等を穴を通して結ぶことができるようになっている。把持部87Rの下には蓋26が設けられている。この蓋26は右端にヒンジが設けられており、ユーザがDC電源を使用する際には、このヒンジを支点にして蓋26が図1の下側方向に開く。
【0022】
本実施形態の携帯型電子装置100を使用するには、図7を参照して後述するように、人差し指を筐体10の上側面に当て、左手の親指を十字キー20またはアナログデバイス22の上方に、右手の親指をボタンキー30の上方に置くようにする。他の指は筐体10の背面のドーム状の膨らみを包むようにする。このようにすると、人差し指の作る曲面と筐体10の左右側面の形状とが馴染み、ユーザが把持しやすくなる。同時に中指から小指で筐体10の重量を保持するようになる。したがって、操作のために親指または人差し指を動かしても残りの指で携帯型電子装置100を安定して支持することができる。
【0023】
図2は、携帯型電子装置100の上側面図である。上述したように、筐体10の背面の両端にはドーム状の膨らみ42L、42R(以下、これらを総称するときには「膨らみ42」と呼ぶ)が形成されている。これら二つの膨らみの間は平面となっており、その平面のほぼ全体が、小型ディスクドライブの開蓋部44となっている。この蓋は、中間部10bに設けられたスイッチ76をスライドすることによって、図2の上方に展開し、その下部にある図示しないディスクドライブに小型ディスクを載置できるようになっている。この小型ディスクドライブは、携帯型電子装置100にアプリケーションプログラムやゲームプログラムを提供する。Lボタン46L、Rボタン46R(以下、これらを総称するときには「LRボタン46」と呼ぶ)は、それぞれユーザの左手人差し指または中指、右手人差し指または中指で操作されるボタンである。これらLRボタン46は、十字キー20またはボタンキー30だけでは操作できない特別な指示を与えるために使用される。例えば、LCD12にゲーム画面が表示されるときには、LRボタン46は、ゲーム中のキャラクタの特別な動作(構え、しゃがみ込みなど)や、必殺技の発現などの際に操作される。このLRボタン46の詳細構造については後述する。
【0024】
筐体10の背面に把持用の膨らみ42を設けることで、小型ディスクドライブの開蓋部44にユーザの指先が触れにくくなり、ディスクドライブに大きな力が与えられることを防止する。さらに、膨らみ42は筐体10の背面の両端に備えられている。したがって、携帯型電子装置100を平面に置いた場合でも、小型ディスクドライブの開蓋部44が平面に接触することがない。結果として、ドライブの安定な動作を確保して読み込みミスなどを減らすとともに、小型ディスクドライブが壊れにくくなる。
【0025】
図2からわかるように、LCD12が嵌め込まれていない面である背面が下向きになるように筐体10を水平面に置いたときに、十字キー20の頂部とボタンキー30の頂部は、筐体10の最大高さよりも高くなっている。したがって、LCD12の嵌め込まれている面である正面が下向きになるように筐体10を置いた場合でも、LCD12を傷つけることがない。さらに、図2に示すように、筐体10は中心から両端に向かうにつれて厚さが減少するように円弧断面をなしており、十字キー20とボタンキー30は筐体10の曲線形状に合わせて筐体10の外側に向かって傾斜するように配置されている。これは、ユーザが筐体10を把持しやすくするとともに、十字キー20とボタンキー30の操作性を向上させるためである。
【0026】
筐体10の中間部10bには、外部装置の入力用端子70と、外部装置を筐体10に固定するための取り付け穴74が設けられている。この入力用端子70を使用して外部装置と接続することによって、携帯型電子装置100を例えばキーボードやマウスの代わりとして使用し、パーソナルコンピュータ等への入力装置として使用することができる。外部装置は、一例ではデジタルカメラ、GPS装置などである。中間部10bには、さらに、小型ディスクドライブの蓋を開くためのスイッチ76と、赤外線通信用の赤外線ポート88も設けられている。
【0027】
図3は、携帯型電子装置100の背面図である。上述したように、携帯型電子装置100の背面の両端には膨らみ42R、42Lが設けられ、その間に小型ディスクドライブの開蓋部44が配されている。
【0028】
図4は、携帯型電子装置100の下側面図である。図中に点線で示すように、筐体10内にスピーカー80L、80Rが設けられている。また、図示しないヘッドフォンまたはリモートコントローラに接続されるコード84のプラグ82が、筐体10に設けられた端子に挿入されている。上側部10aの右側には、DC電力を外部電源から携帯型電子装置100に供給するための端子66が設けられている。また、下側部10cの右側には、いわゆる「クレードル」に携帯型電子装置100を置いたときに携帯型電子装置100に電力を供給するための電極78が設けられている。把持部87L、87Rを図示しないクレードルに設けられた対応受け部に嵌め込むことで、携帯型電子装置100をクレードルに固定することができる。
【0029】
図5は、携帯型電子装置100の左側面図である。中間部10bにはWLANのスイッチ90が、下側部10cにはリムーバブル記憶媒体を挿入するための挿入口92が設けられている。図6は、携帯型電子装置100の右側面図である。携帯型電子装置100の電源をオンオフする電源スイッチ94が中間部10bに設けられている。
【0030】
図7は、携帯型電子装置100がユーザにより把持される様子を示す図である。携帯型電子装置100は、基本的に、ユーザの手で持った状態で操作される。筐体10の左右の縁をそれぞれ左右の手で保持する。図7に示すように、ユーザの左手は軽く曲げられた状態で、筐体10の左手領域48Lの円弧形状に添えるように保持される。このとき、ユーザの左手の親指が十字キー20の上に置かれ、この親指で十字キーを操作する。同様に、ユーザの右手も同様に軽く曲げられた状態で、筐体10の右手領域48Rの円弧形状に添えるように保持される。ユーザの右手の親指がボタンキー30の中央部分に置かれ、この親指でボタンキーを操作する。ユーザの人差し指のみ、または人差し指と中指は、軽く折り曲げられて、LRボタン46の上に置かれ、人差し指または中指でLRボタン46を操作する。ユーザが容易に携帯型電子装置100を保持できるように、筐体10の厚さは約2〜4cmであることが好ましい。
【0031】
ユーザの中指、薬指および小指、または薬指と小指は筐体10の背面に添えられ、携帯型電子装置100の重量を保持するように軽く曲げられる。上述したように、筐体10の背面の両側には膨らみ42が設けられており、ユーザの指の曲線形状にフィットするようにされている。例えば、膨らみ42はプラスチック材料であるが、ゴムのように滑りにくい素材を使用したり、または質感を与えるために金属材料であってもよい。また、膨らみ42はそれぞれ、図2または図4で示すように滑らかな円弧断面をなしている。代替的に、ユーザの指を受け入れる段差が施されていたり、または滑りにくさを向上させるために小さな突起が表面に多数形成されていてもよい。膨らみ42を設けることによって、携帯型電子装置100を把持しやすくなり、携帯型電子装置によりゲームをプレイしているときにユーザによって強い振動を受けても操作性が損なわれにくい。また、指と手の平を自然に曲げた状態で筐体10の両端の円弧形状に沿わせ、また筐体背面の膨らみ42に沿わせているので、携帯型電子装置100はユーザの手に馴染む。したがって、ユーザが携帯型電子装置100を長時間保持していても、疲労を感じにくい。また、携帯型電子装置100の重量を中指、薬指および小指で保持するようになっているので、ユーザが親指や人差し指をボタンから離したときでも、携帯型電子装置100を安定的に保持することができる。
【0032】
携帯型電子装置100は、複数の機能を持つ。一例では、携帯型電子装置100はゲーム装置として機能する。ユーザは、ゲームプログラムが格納されているディスクを筐体の背面に設けられた小型ディスクドライブに入れることで、ゲームをプレイすることができる。具体的には、ディスクをセットして電源スイッチ94をオンにすると、ゲームプログラムが小型ディスクから読み出されて、LCD12にゲームの開始画面が表示される。この状態でスタートボタン64を押すと、ゲームが開始される。ユーザが十字キー20、アナログデバイス22またはボタンキー30を操作して、画面上に表れるメニュー項目を選択したり、キャラクタを操作すると、その入力信号がCPUに送信される。CPUは入力信号とゲームプログラムとにしたがってって、ゲームを進行させる。
【0033】
別の例では、携帯型電子装置100は、音楽プレイヤーとしても機能する。ユーザは、音楽データが格納されているディスクを小型ディスクドライブに入れたり、リムーバブル記憶媒体を挿入したりすることで、記憶されている音楽を聴取することができる。この場合、十字キー20またはアナログデバイス22を使用して、LCD12に表示される曲名の中から自分の聴きたい曲名を選択する。選択された音楽データは、図示しない音声処理装置によりアナログの音声に変換されて、スピーカー穴28またはヘッドフォンから出力される。
【0034】
なお、携帯型電子装置100の機能は、これらに限定されるものではなく、従来の個人情報端末(PDA)と同様に、住所録、スケジュール帳、メモ帳、Eメール通信機能などを備えていてもよい。
【0035】
以上、本実施形態に係る携帯型電子装置100の概略構成について説明した。続いて、各ボタンの構成および機能について詳細に説明する。
【0036】
図8A、図8Bは、入力ボタンの構造を示す模式図である。十字キー20、ボタンキー30、Lボタン46L、Rボタン46R、およびボタン52〜64が押下されると、押下操作に応じたデジタル信号を出力する。具体的には、各ボタンのボタン本体(図示せず)を押下すると、ボタン本体の下部に配設されている変形部材112が押されて下方に移動する。図8Aに示すように、変形部材112は、可撓性のある脚部113を備えている。一定以上の荷重を受けると、脚部113が図8Bに示すように大きく変形する。変形部材112には、通電部材115が取り付けられている。通電部材115の下方の基板上には、互いに離れたスイッチ接点114が配置されている。脚部113の変形によって、通電部材115がこれらのスイッチ接点114に接触すると、スイッチ接点114が導通して、スイッチのオン信号がデジタル出力としてCPUに伝達される。ユーザが図示しないボタン本体から指を離すと、脚部113の弾性力によりボタン本体が図8Aに示すような元の位置に戻る。変形部材112の脚部113の形状および弾性力を適切に設計することにより、ユーザは入力ボタンのクリック感を感じることができ、自己のなした操作を確認することができる。
【0037】
1.十字キー
十字キーは、例えば、上下左右に加え、これらの間の4方向からなる8方向の離散的な方向指示を行う。図1に示すように、十字キー20は、円盤状キートップの表面に、上下左右の4方向に対応する凸状面20a、20b、20c、20dを備える。円盤状キートップは、その中心に位置する支点20eにより、キートップを上述の8方向に傾けることができるように傾動可能に支持されている。各押圧面20a、20b、20c、20dの下部には、上述した変形部材、通電部材およびスイッチ接点が配設されており、十字型キーの凸状面20a、20b、20c、20dのいずれかを下方へ押すと、押された凸状面の下のスイッチ接点のみがオンにされる。オンにされたスイッチ接点により、ゲームのキャラクタの上下左右移動や、メニュー画面の項目の選択などがなされる。十字キー20の各凸状面20a、20b、20c、20dは凸状に形成されているので、ユーザは十字キー20を直接見ることなく所望の操作をすることができる。凸状面の頂部は筐体10の最大高さよりも高くなるように形成されているので、LCD12が下向きになるように置かれたときでもLCD12の表面を保護することができる。また、円盤状キートップは中心に向かって円錐形状に傾斜しているので、中心部分に親指を載せやすく、十字キー20を確実に操作することができる。
【0038】
2.アナログデバイス
アナログデバイス22は、360度の方向指示を連続的に与えるために使用される。アナログデバイス22は、筐体10の正面に穿設された穴22aと、操作パッド22bと、図示しない検出手段と、を含む。操作パッド22bは穴22aを貫通し、穴22aの内部で前後左右に移動自在である。操作パッド22bは、例えばゴム製である。検出手段は、操作パッド22bの移動量および移動方向を電気信号に変換する。
【0039】
アナログデバイス22の操作パッド22bは、バネなどにより穴22aの中央に付勢されており、ユーザが操作パッド22bを操作しないときは、操作パッド22bは穴22aの中央に位置する。操作時には、操作パッド22bを360度の方向に傾けることができる。この傾きのストロークは約2mmに設定されるため、ユーザは微小な入力から大きな入力まで操作パッド22bを傾けることができる。
【0040】
このような構造を取ることによって、本実施形態による携帯型電子装置100は、小型ながらも、いわゆる「ジョイスティック」と同様の機能を有し操作性の高いゲームコントローラを実現することができる。
【0041】
検出手段によってアナログ信号として伝達された入力は、基板に配置された図示しないA/D変換部によってデジタル信号に変換され、CPUに伝達される。そして、CPUはプログラムに基づいて演算を実行し、ユーザ入力に応じた画像をLCD12上に表示する。
【0042】
十字キー20からの入力と、アナログデバイス22からの入力は、ソフトウェア処理によって容易に切り替えることができる。代替的に、十字キー20とアナログデバイス22とで入力を切り替えるためのアナログスイッチを携帯型電子装置100に設けてもよい。
【0043】
3.ボタンキー
図1に示すように、ボタンキー30は、ボタン30a、30b、30c、30dで構成される。ボタン30a、30b、30c、30dの円筒状のキートップの表面には、マル、三角、四角、バツの符号がそれぞれ印刷されている。ボタン30a、30b、30c、30dはそれぞれ、単一の指示入力を与えるために使用される。ボタン30a、30b、30c、30dの下部には、上述した変形部材、通電部材およびスイッチ接点が配設されている。ボタン30a、30b、30c、30dのいずれかを下方へ押すと、押された押圧面の下のスイッチ接点のみがオンにされる。入力のタイプと各ボタン30a、30b、30c、30dとの対応関係は、携帯型電子装置100で実行されているゲームプログラムやアプリケーションのタイプによって異なる。一例を挙げると、ゲームにおける攻撃、アイテムの取得、メニュー画面の表示、アイテムの選択、問い合わせに対する決定などの入力に用いられる。
【0044】
ボタン30a、30b、30c、30dは、図1に示すように、正方形の4頂点に配置されるように、所定の間隔で設けられている。したがって、このため、筐体10を把持する位置を変えることなく、ユーザは、右手の親指を伸ばすと右手側から見て奥の三角ボタン30b、四角ボタン30cを操作することができる。右手の親指を曲げると、ユーザは、右手側から見て手前のマルボタン30a、バツボタン30dを操作することができる。各ボタンを識別するために、ボタンの表面には、マル、バツ、三角、四角に対応する突起または溝等が設けられていてもよい。
【0045】
4.LRキー
近年のビデオゲームは複雑な操作を要求する。そのため、十字キーとボタンキーのみでは操作手段が不足する場合があった。そこで、多くのコントローラは、操作手段の数を増やすべく、LRボタンを設けている。本実施形態に係る携帯型電子装置100では、図1および図2に示すように、LRボタン46は、筐体10の中間部10bの上側面に配置されている。筐体10の上側面には、正面の左上隅と右上隅に二つの長方形の開口部が形成されている。代替的に、長方形の開口部は、左下隅または右下隅に形成されてもよい。LRボタンのそれぞれの本体は、開口部に嵌め込まれる。LRボタンは、押すタイプのボタンである。LRボタン46が押圧されないとき、LRボタン46は、中間部10bの一部を構成するような外観を呈する。また、上述したように、LRボタン46は、ユーザが筐体10を把持した場合に、人差し指の指先が当たる位置に設けられている。外観を良好にするために、Lボタン46Lの押圧面と、筐体10の上側面および左側面とが、携帯型電子装置100を上側から見たとき実質的に連続する面を形成することが好ましい。同様に、Rボタン46Rの押圧面と、筐体10の上側面および右側面とが、携帯型電子装置100を上側から見たとき実質的に連続する面を形成することが好ましい。言い換えると、Lボタン46Lの押圧面と、筐体10の上側面および左側面とが、筐体10の長い楕円形状の左輪郭の隅を表してもよい。また、Rボタン46Rの押圧面と、筐体10の上側面および右側面とが、筐体10の長い楕円形状の右輪郭の隅を表してもよい。別の実施形態では、LRボタン46の押圧面と、開口部が位置する筐体10の隅を形成する二つの側面のうちの一つである筐体10の一側面とが、実質的に連続する面を形成してもよい。
【0046】
図9A、図9Bは、LRボタン46の構造の第1の実施例を示す図である。ここでは、例としてLボタン46Lのみを述べるが、Rボタン46RもLボタン46Lと左右対称で同様の構造である。図9Bに示すように、Lボタン46Lは、細長形状のボタン本体110と、変形部材112と、通電部材115と、スイッチ接点114とを有する。変形部材112は、ボタン本体110の背面と対向するように設けられる。細長のボタン本体110は、ユーザの指で押される押圧面を有し、押圧面は、ボタン本体110の長手方向に沿って位置する。背面とは、押圧面の裏側である。通電部材115は通電性を有し、変形部材112の内部に設けられる。スイッチ接点114は、通電部材115の下方に配置される。図9Bに示すように、ボタン本体110の長手方向の両端に、係止手段116、118がそれぞれ設けられている。係止手段116、118のそれぞれは、ボタン本体110の筐体10からの離脱を防止するために設けられる。係止手段116、118は、異なる形状を有する。係止手段116、118はそれぞれ、開口部の位置する筐体10の隅を形づくる二つの側面の各方向に延びる。係止手段116は平面部材であり、ボタン本体110の幅とほぼ同じ幅で、ボタン本体110の右端からフランジのように長手方向に延びる。平面部材116は、ユーザの指により押される押圧面に対して下がったステップを有する。平面部材116は、受け部分120と接触する。受け部分120は、ボタン本体110に向けて筐体10から延び、平面部材116と係合する。係止手段118は垂直部分であり、筐体10に設けられた接触部分122と相対する。垂直部分118は、ボタン本体110の左側から下方に延び、その端は、ボタン本体110より突き出す。接触部分122は、図9Bに示すように、筐体10のほぼ垂直の部分であってもよい。垂直部分118および接触部分122は、一定の隙間を空けて互いに向き合う。受け部分120および接触部分122は、開口部の周縁に位置する。
【0047】
平面部材116と垂直部分122は、ボタン本体110の長手方向にのみ延び、ボタン本体110の長手方向に直角の方向にフランジを持たない。そのため、平面部材116と垂直部分122とを係止手段として使用することで、空間を節約でき、筐体10のような薄い筐体を適用できる。
【0048】
変形部材112は筐体10の上側面に沿った細長形状をしており、ボタン本体110のいずれの部分を押したときでも荷重を受けやすいように設計されている。上述したように、荷重を受けると、変形部材112の脚部113が変形する。すると、変形部材の内部に設けられた通電部材115がスイッチ接点114を導通させて、信号をオンにする。したがって、変形部材112の脚部113は、変形部材112が所定以上の荷重を受けた場合には適切に変形するとともに、荷重が除かれたときには元の状態に復元するように設計される必要がある。変形部材112は、例えばラバー、シリコン、プラスチックで製造される。
【0049】
図10A、図10B、図10Cは、第1の実施例に係るLボタン46Lの動作を示す図である。本実施形態におけるLボタンは、支点が固定されない点に特徴がある。図10Aは、ユーザがボタン本体110の左側、つまり、筐体10の縁側の端を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体110が押されると、第1の係止手段に対応する平面部材116のステップが、筐体10から延び出す受け部分120と係合して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図10A中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第2の係止手段に対応する垂直部分118は、筐体10の接触部分122から離れる。
【0050】
図10Bは、ユーザがボタン本体110の右側、つまり、筐体10の中央に近い端を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体110が押されると、第2の係止手段に対応する垂直部分118の下端が、筐体10の接触部分122の壁面の下端と接触して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図10B中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第1の係止手段に対応する平面部材116は、筐体10の受け部分120から離れる。
【0051】
図10Cは、ユーザがボタン本体110の中央を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体が押されると、平面部材116と垂直部分118は両方とも筐体10の受け部分120と接触部分122から離れる。ボタン本体110は、下方向に移動して変形部材112を押下する。
【0052】
図11A、図11Bは、LRボタンの構造の第2の実施例を示す図である。ここでも、Lボタン46Lのみを説明するが、Rボタン46RもLボタン46Lと左右対称であり同様の構造である。図9Bと同じく、図11に示すように、Lボタン46Lは、細長形状のボタン本体110と、変形部材112と、通電部材115と、スイッチ接点114と、を含む。変形部材112は、ボタン本体110の背面に相対するように設けられる。通電部材115は通電性を有し、変形部材112の内部に設けられる。係止手段116、128は、それぞれ、ボタン本体110の長手方向の両端に設けられている。係止手段116、128のそれぞれは、筐体10の内側に当接して、筐体10からのボタン本体110の離脱を防止する。係止手段116、128は、それぞれ、筐体10に設けられる対応する受け部分120、132と接触するために、異なる形状を有する。第1の係止手段は、平面部材116である。平面部材116は、ボタン本体110の幅とほぼ同一の幅で、ボタン本体110の一端からフランジのように長手方向に延び出す。平面部材116は、ユーザの指により押される押圧面に対して下がったステップを有する。第2の係止手段は、ボタン本体110の他端から、ボタン本体110の長手方向に対し略垂直方向に延び出す棒状部材128である。この棒状部材128は、図11Aに示すように、ボタン本体110の両側から厚み方向に延び出すように設けられることが好ましいが、いずれか一方の側からのみ延び出すように設けられてもよい。変形部材112、通電部材115およびスイッチ接点114の構造および機能については、第1の実施例と同様である。
【0053】
第1および第2の係止手段はボタン本体110の両側で異なる形状を有している必要はない。代替的に、第1および第2の係止手段の両方が、上述した平面部材、垂直部分または棒状部材であってもよい。第1および第2の係止手段は、ボタン本体110が筐体10から離脱することを防止することができる構造であれば、ほかの形状をしていてもよい。
【0054】
図12A、図12B、図12Cは、第2の実施例に係るLボタン46Lの動作を示す図である。図12Aは、ユーザがボタン本体110の左側、つまり、筐体10の縁側の端を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体130が押されると、第1の係止手段に対応する平面部材116のステップが筐体10から延び出す受け部分120と接触して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図12A中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第2の係止手段に対応する棒状部材128は、筐体10の内側132から離れる。
【0055】
図12Bは、ユーザがボタン本体110の右側、つまり、筐体10の中央に近い端を押圧した場合の様子を示す。このとき、第2の係止手段に対応する棒状部材128が、筐体10の内側132と接触して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図12B中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第1の係止手段に対応する平面部材116は、筐体10から延び出す受け部分120から離れる。
【0056】
図12Cは、ユーザがボタン本体110の中央を押圧した場合の様子を示す。このとき、平面部材116、棒状部材128は両方とも筐体10の受け部分120、内側132からそれぞれ離れる。ボタン本体110が下方向に移動して変形部材112を押圧する。
【0057】
第1の実施例および第2の実施例で述べたように、LRボタンは、ボタン本体の押圧位置に応じて、ボタン本体の動作が右支点回りの回動、左支点回りの回動、あるいは垂直移動の間で切り替わる両持ち構造を有するように構成されている。
【0058】
筐体10を把持するユーザの手の大きさや指の長さにより、LRボタン46を押しやすい位置は異なるが、本実施形態のLRボタン構造によれば、ボタン本体110のいずれの位置を押しても携帯型電子装置100に確実に指示を入力することができる。したがって、携帯型電子装置100の操作性が向上する。また、ボタン本体110のいずれの位置を押しても、ユーザがLRボタンを押すとLRボタンが一定の距離だけ下方に移動するので、ユーザはクリック感を感じることができる。
【0059】
ゲーム製作者がゲーム内容を考えるときには、コントローラによる操作性を考慮する必要がある。この意味で、コントローラの機能とゲーム内容とは互いに密接な関係にある。換言すれば、コントローラの機能や操作性によりゲーム内容が制限されてしまうことが多い。本実施形態に係る携帯型電子装置では、サイズがコンパクトながら、十字キー、アナログデバイス、ボタンキー、およびLRボタンを含む、据え置き型のゲーム装置のコントローラの機能と同等以上の操作ボタンを有している。従来の携帯型のゲーム装置では、多種の操作ボタンが備えられていないために、実現可能なゲーム内容が制限されたり、据え置き型のゲームの一部を携帯型ゲーム装置に移植する際にプログラムの変更を施したりする必要があった。しかしながら、本実施形態に係る携帯型電子装置では、そのような問題は生じない。したがって、ゲーム制作者の創作の範囲を広げることができる。
【0060】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザが両手で把持できるようなコンパクトなサイズの筐体に、操作性が高く、拡張性がある携帯型電子装置を提供することができる。
【0061】
いくつかの実施の形態をもとに本発明を説明した。上述の実施形態は例示に過ぎない。したがって、当業者は、構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能であり、そうした変形例も本発明の範囲にあることを理解するであろう。実施の形態で述べた構成要素の任意の組合せもまた、本発明の実施形態として有効である。
【0062】
本発明に係るボタンの構造やボタンの配置は、据え置き型ゲーム装置のゲーム用コントローラについても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯型電子装置の正面図である。
【図2】携帯型電子装置の上側面図である。
【図3】携帯型電子装置の背面図である。
【図4】携帯型電子装置の下側面図である。
【図5】携帯型電子装置の左側面図である。
【図6】携帯型電子装置の右側面図である。
【図7】携帯型電子装置をユーザの両手で把持する様子を示す図である。
【図8A】入力ボタンの構造を示す図である。
【図8B】入力ボタンの構造を示す図である。
【図9A】LRボタンの構造の第1の実施例を示す図である。
【図9B】LRボタンの構造の第1の実施例を示す図である。
【図10A】第1の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図10B】第1の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図
【図10C】第1の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図
【図11A】LRボタンの構造の第2の実施例を示す図である。
【図11B】LRボタンの構造の第2の実施例を示す図である。
【図12A】第2の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図12B】第2の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図12C】第2の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図13A】従来のLRボタンの構造を示す図である。
【図13B】従来のLRボタンの構造を示す図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯型電子装置またはゲーム用コントローラの構造に関し、より詳細には、携帯型電子装置またはゲーム用コントローラのに設けられるボタンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム用コントローラのなかには、複雑化するゲームに対して様々な入力を実現するため、コントローラの正面に配置されているボタンに加えて、コントローラの一側面(つまり、正面または背面以外の面)にまでボタンを設けたものがある。側面上のこの種のボタンは、例えば横長の形状をなしており、Lボタン、Rボタンとも呼ばれる(以下、これらを総称して「LRボタン」ともいう)。LRボタンは、一般にコントローラを把持したユーザの人差し指で押下される。
【0003】
LRボタンのそれぞれの従来の構造を、図13Aに示す。図示するように、横長のボタン本体200が、その一端206を支点として揺動可能に軸支されている。ボタン本体200の下方に位置するラバー202には、スイッチ接点204が取り付けられている。ユーザがボタン本体200を押下すると、図13Bに示すように、一端206を軸としてボタン本体200がわずかに回転して沈み込み、ボタン本体200がラバー202を下方に押して、スイッチ接点204を導通させる。ユーザが指をボタン本体200から離すと、ラバー202の反発力によりボタン本体200が押し上げられ、ボタン本体200を元の位置に戻す(例えば、実開平4−42029号公報を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コントローラを操作するユーザの手の大きさは、年齢や性別などにより大きく異なるため、LRボタンにかかる指先の位置がそれぞれ異なる。上述の構造のLRボタンでは、ユーザがボタン本体200の一端206の付近を押圧した場合、ボタン本体200の沈み込みが不十分となる。結果として、スイッチ接点204が期待通りに導通しなかったり、ユーザがLRボタンを十分に押したことの確信を持ちにくかったりする場合がある。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボタンの押圧位置にかかわらず、LRボタンの沈み込みを確保してユーザの操作快適性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、携帯型電子装置に関する。この装置は筐体を備える。筐体は、正面と、背面と、一つ以上の側面で構成され、筐体の四隅のいずれかに開口部が設けられている。携帯型電子装置は、開口部に嵌め合わされる細長形状のボタンをさらに備える。ボタンは、ボタンの長手方向に延在しユーザの指によって押圧される押圧面を有する。開口部が位置する筐体の一隅を形成する二つの側面のうち一側面とボタンの押圧面とは、ほぼ連続する面を構成する。ボタンには、開口部が位置する筐体の一隅を形成する二つの側面のそれぞれの方向に延び出し、筐体の開口部からのボタンの離脱を防止する係止手段が両端に設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1ないし図6は、本発明の一実施形態である携帯型電子装置100の外観を示す図である。図1は携帯型電子装置100の正面図であり、筐体10は、全体として横長の長円形状を有している。筐体10の両端は、中心線14から一定の距離偏心した位置を中心とする円弧状に形成されている。
【0008】
図2および図4に示すように、筐体10は、上側部10a、中間部10bおよび下側部10cから構成され、空洞のボディを有する。筐体10の内部には、回路基板(図示せず)が設けられている。回路基盤は、各種ボタン操作による信号を発生するスイッチ接点と、その信号を処理し各種演算を実行するCPUと、音声を出力する音声処理装置と、画像を出力する画像処理装置と、を備える。中間部10bは上側部10aおよび下側部10cに比して剛性が高く、筐体10全体の剛性を確保している。
【0009】
図1に戻り、筐体10の上側部10aの中央部分には、表示装置としての液晶ディスプレイ12(以下、「LCD12」という)が嵌め込まれている。このLCD12には、例えば、携帯型電子装置100がゲーム装置として機能する場合には、ゲーム画面が表示され、携帯型電子装置100が個人情報端末(PDA)として機能する場合には、スケジュール帳や住所録などが表示される。LCD12は、型枠96を介装して筐体10の上側部10aに嵌め込まれる。
【0010】
筐体10の表面、つまりユーザに対する正面は、主に、ユーザの左手により把持される左手領域48Lと、右手により把持される右手領域48Rと、LCD12と、LCD12の下方に位置し各種ボタンが配置される横長のボタン領域50と、LCD12の上方に位置する装飾領域16と、から構成される。筐体10の上側部10aの左上部および右上部には、それぞれ切り欠き84L、84Rが形成されている。
【0011】
左手領域48Lには、主に方向指示入力をするための十字キー20と、主に方向指示のアナログ入力をするためのアナログデバイス22が設けられている。これらの詳細な構成および機能については後述する。左手領域48Lには、さらにインジケータ32および34が設けられている。インジケータ32は、リムーバブル記憶媒体にアクセス中であるときに点灯し、インジケータ34は、WLAN通信中であるときに点灯する。
【0012】
アナログデバイス22の水平方向の中心は、十字キー20の水平方向の中心よりも筐体10の中心線14側近くに位置している。ユーザの手前側に位置する。また、アナログデバイス22は、十字キー20よりも装置の左下隅に近く位置している。この構成の理由は、以下の通りである。装置の両端がユーザの両手によって把持されているときに、ユーザの左手の親指が、十字キー20とアナログデバイス22との間で移動する場合、ユーザは手の平を筐体10の左下隅に付けて支点として親指を回動させる。ユーザは、アナログデバイス22の中心を傾けて操作する。したがって、アナログデバイス22が筐体10の中心により近い方が操作が容易となる。
【0013】
右手領域48Rには、主に単一の指示を入力するためのボタン30a、30b、30c、30d(以下、これらを総称するときには、「ボタンキー30」という)が設けられている。このボタンキー30の構造および機能については後述する。右手領域48Rには、さらにインジケータ36、38、40が設けられている。インジケータ36は、携帯型電子装置100の電源がオンであるときに点灯し、インジケータ38は、携帯型電子装置100が充電中であるときに点灯し、インジケータ40は携帯型電子装置100のいずれのキーも無効となっているホールド状態であるときに点灯する。
【0014】
図1に示すように、十字キー20の中心とボタンキー30の中心は、筐体10の上下方向の中心線よりも上方にずらされている。
【0015】
十字キー20の中心とボタンキー30の中心は、筐体10の左右方向の中心線14から等距離に配置されることが好ましい。十字キー20の円盤状キートップの押圧面20a、20b、20c、20d間の距離は、ボタン30a、30b、30c、30d間の距離よりも小さくされていることが好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、十字キー20は、主に上下左右の移動を指示するために使用されるために、ユーザは十字キー20を操作し続けることが多い。したがって、ユーザは十字キー20の押圧面から親指を離さずに十字キー20を操作できる方が好ましい。そうすると、ユーザにとっては、押圧面20a、20b、20c、20dが互いにあまり離れていない方が、十字キー20を操作しやすい。これに対し、ボタンキー30の方は、各ボタン30a、30b、30c、30dで異なる指示を与えるために使用されることが多い。このため、ユーザにとっては親指をボタンキー30から離して操作する方が操作しやすいので、ボタン30a、30b、30c、30dはある程度の距離を離して配置されている。
【0016】
LCD12の下部の両端には、左手領域48Lにスピーカー穴28Lが、右手領域48Rにスピーカー穴28Rが設けられており、ユーザに音声を提供する。
【0017】
ボタン領域50は、携帯型電子装置100を保持するユーザから近い側の、筐体10の上側部10aの外縁近傍に配置される。ボタン領域50には、ボタン52〜64が配置される。ボタン領域50は、左手領域48Lおよび右手領域48Rと視覚的に明瞭に区別できるように構成されることが好ましい。この実施形態では、ボタン領域50は、左右方向に伸びる細長い丘状に形成されている。ボタン領域50は、左手領域48L、右手領域48RおよびLCD12からなる平面より隆起している。丘の頂点付近に各種のボタン52〜64が設けられる。こうすることで、ユーザは、ゲームやアプリケーションの進行中に操作すべきボタン類と、それ以外のボタン類とを視覚的に区別することができる。さらに、ボタン領域50が盛り上がっていることから、ユーザは触覚的にこれらのボタン52〜64の配置を感得することができる。また、ボタン領域50の盛り上がりによって、LCD12を保護する働きもある。
【0018】
ボタン領域50の構造は、上述の構造に限定されるわけではない。ボタン領域50の高さが、左手領域48Lおよび右手領域48Rと高さが異なっている限り、任意の構造を使用できる。ここで、「高さ」とは、LCD12のある面が上を向くように水平面に筐体10を置いたときに、その水平面を基準とした高さのことを指す。例えば、台形断面または長方形断面の細長い段を設けてその上にボタン52〜64を配置するようにしてもよい。または、左手領域48L、右手領域48RおよびLCD12と同一の平面に配置されたボタン52〜64の上下に、ボタン52〜64の高さよりも高い壁を設けてもよい。これらの壁によって、十字キー20またはボタンキー30を操作するユーザの手によりボタン52〜64が容易に押されなくなる。
【0019】
ボタン領域50に配列される各種のボタン52〜64は、ゲームの進行やその他アプリケーションのメイン操作にはあまり使用されず、したがって頻繁に押す必要がないボタンである。ホームボタン52は、LCD12をメイン画面に戻すために使用される。ボリュームボタン54および56は、それぞれ、スピーカーまたはヘッドフォンから再生される音声の音量を減少または増加させる。ディスプレイボタン58は、LCD12のバックライトの電源をオンオフする。サウンドボタン60は、音声出力をオンオフする。セレクトボタン62は、LCD12に表示される複数の項目から一つを選択する。スタートボタン64は、主にゲームプログラムを実行しているときに、ゲームのプレイを開始する。
【0020】
従来の携帯型電子装置またはゲーム用コントローラでは、上述のボタン52〜64を、上述したように十字キーやボタンキーが形成される部分と別の部分に配置するのではなく、例えば十字キーやボタンキーの下方に配置していた。このような従来の構成では、ユーザが十字キーまたはボタンキーを操作する際に指がこれらボタンに触れてしまって誤操作することがあった。これに対し、本実施形態では、これらボタン52〜64を十字キーまたはボタンキーから離して配置するようにしたため、誤操作が少なくなる。
【0021】
筐体10の上側部10aの左下部および右下部にも、左上部および右上部と同様に切り欠き86L、86Rが形成されている。切り欠き86L、86Rの下にはそれぞれ把持部87L、87Rが設けられている。把持部87Lには、穴24Lが形成されており、図示しないストラップ等を穴を通して結ぶことができるようになっている。把持部87Rの下には蓋26が設けられている。この蓋26は右端にヒンジが設けられており、ユーザがDC電源を使用する際には、このヒンジを支点にして蓋26が図1の下側方向に開く。
【0022】
本実施形態の携帯型電子装置100を使用するには、図7を参照して後述するように、人差し指を筐体10の上側面に当て、左手の親指を十字キー20またはアナログデバイス22の上方に、右手の親指をボタンキー30の上方に置くようにする。他の指は筐体10の背面のドーム状の膨らみを包むようにする。このようにすると、人差し指の作る曲面と筐体10の左右側面の形状とが馴染み、ユーザが把持しやすくなる。同時に中指から小指で筐体10の重量を保持するようになる。したがって、操作のために親指または人差し指を動かしても残りの指で携帯型電子装置100を安定して支持することができる。
【0023】
図2は、携帯型電子装置100の上側面図である。上述したように、筐体10の背面の両端にはドーム状の膨らみ42L、42R(以下、これらを総称するときには「膨らみ42」と呼ぶ)が形成されている。これら二つの膨らみの間は平面となっており、その平面のほぼ全体が、小型ディスクドライブの開蓋部44となっている。この蓋は、中間部10bに設けられたスイッチ76をスライドすることによって、図2の上方に展開し、その下部にある図示しないディスクドライブに小型ディスクを載置できるようになっている。この小型ディスクドライブは、携帯型電子装置100にアプリケーションプログラムやゲームプログラムを提供する。Lボタン46L、Rボタン46R(以下、これらを総称するときには「LRボタン46」と呼ぶ)は、それぞれユーザの左手人差し指または中指、右手人差し指または中指で操作されるボタンである。これらLRボタン46は、十字キー20またはボタンキー30だけでは操作できない特別な指示を与えるために使用される。例えば、LCD12にゲーム画面が表示されるときには、LRボタン46は、ゲーム中のキャラクタの特別な動作(構え、しゃがみ込みなど)や、必殺技の発現などの際に操作される。このLRボタン46の詳細構造については後述する。
【0024】
筐体10の背面に把持用の膨らみ42を設けることで、小型ディスクドライブの開蓋部44にユーザの指先が触れにくくなり、ディスクドライブに大きな力が与えられることを防止する。さらに、膨らみ42は筐体10の背面の両端に備えられている。したがって、携帯型電子装置100を平面に置いた場合でも、小型ディスクドライブの開蓋部44が平面に接触することがない。結果として、ドライブの安定な動作を確保して読み込みミスなどを減らすとともに、小型ディスクドライブが壊れにくくなる。
【0025】
図2からわかるように、LCD12が嵌め込まれていない面である背面が下向きになるように筐体10を水平面に置いたときに、十字キー20の頂部とボタンキー30の頂部は、筐体10の最大高さよりも高くなっている。したがって、LCD12の嵌め込まれている面である正面が下向きになるように筐体10を置いた場合でも、LCD12を傷つけることがない。さらに、図2に示すように、筐体10は中心から両端に向かうにつれて厚さが減少するように円弧断面をなしており、十字キー20とボタンキー30は筐体10の曲線形状に合わせて筐体10の外側に向かって傾斜するように配置されている。これは、ユーザが筐体10を把持しやすくするとともに、十字キー20とボタンキー30の操作性を向上させるためである。
【0026】
筐体10の中間部10bには、外部装置の入力用端子70と、外部装置を筐体10に固定するための取り付け穴74が設けられている。この入力用端子70を使用して外部装置と接続することによって、携帯型電子装置100を例えばキーボードやマウスの代わりとして使用し、パーソナルコンピュータ等への入力装置として使用することができる。外部装置は、一例ではデジタルカメラ、GPS装置などである。中間部10bには、さらに、小型ディスクドライブの蓋を開くためのスイッチ76と、赤外線通信用の赤外線ポート88も設けられている。
【0027】
図3は、携帯型電子装置100の背面図である。上述したように、携帯型電子装置100の背面の両端には膨らみ42R、42Lが設けられ、その間に小型ディスクドライブの開蓋部44が配されている。
【0028】
図4は、携帯型電子装置100の下側面図である。図中に点線で示すように、筐体10内にスピーカー80L、80Rが設けられている。また、図示しないヘッドフォンまたはリモートコントローラに接続されるコード84のプラグ82が、筐体10に設けられた端子に挿入されている。上側部10aの右側には、DC電力を外部電源から携帯型電子装置100に供給するための端子66が設けられている。また、下側部10cの右側には、いわゆる「クレードル」に携帯型電子装置100を置いたときに携帯型電子装置100に電力を供給するための電極78が設けられている。把持部87L、87Rを図示しないクレードルに設けられた対応受け部に嵌め込むことで、携帯型電子装置100をクレードルに固定することができる。
【0029】
図5は、携帯型電子装置100の左側面図である。中間部10bにはWLANのスイッチ90が、下側部10cにはリムーバブル記憶媒体を挿入するための挿入口92が設けられている。図6は、携帯型電子装置100の右側面図である。携帯型電子装置100の電源をオンオフする電源スイッチ94が中間部10bに設けられている。
【0030】
図7は、携帯型電子装置100がユーザにより把持される様子を示す図である。携帯型電子装置100は、基本的に、ユーザの手で持った状態で操作される。筐体10の左右の縁をそれぞれ左右の手で保持する。図7に示すように、ユーザの左手は軽く曲げられた状態で、筐体10の左手領域48Lの円弧形状に添えるように保持される。このとき、ユーザの左手の親指が十字キー20の上に置かれ、この親指で十字キーを操作する。同様に、ユーザの右手も同様に軽く曲げられた状態で、筐体10の右手領域48Rの円弧形状に添えるように保持される。ユーザの右手の親指がボタンキー30の中央部分に置かれ、この親指でボタンキーを操作する。ユーザの人差し指のみ、または人差し指と中指は、軽く折り曲げられて、LRボタン46の上に置かれ、人差し指または中指でLRボタン46を操作する。ユーザが容易に携帯型電子装置100を保持できるように、筐体10の厚さは約2〜4cmであることが好ましい。
【0031】
ユーザの中指、薬指および小指、または薬指と小指は筐体10の背面に添えられ、携帯型電子装置100の重量を保持するように軽く曲げられる。上述したように、筐体10の背面の両側には膨らみ42が設けられており、ユーザの指の曲線形状にフィットするようにされている。例えば、膨らみ42はプラスチック材料であるが、ゴムのように滑りにくい素材を使用したり、または質感を与えるために金属材料であってもよい。また、膨らみ42はそれぞれ、図2または図4で示すように滑らかな円弧断面をなしている。代替的に、ユーザの指を受け入れる段差が施されていたり、または滑りにくさを向上させるために小さな突起が表面に多数形成されていてもよい。膨らみ42を設けることによって、携帯型電子装置100を把持しやすくなり、携帯型電子装置によりゲームをプレイしているときにユーザによって強い振動を受けても操作性が損なわれにくい。また、指と手の平を自然に曲げた状態で筐体10の両端の円弧形状に沿わせ、また筐体背面の膨らみ42に沿わせているので、携帯型電子装置100はユーザの手に馴染む。したがって、ユーザが携帯型電子装置100を長時間保持していても、疲労を感じにくい。また、携帯型電子装置100の重量を中指、薬指および小指で保持するようになっているので、ユーザが親指や人差し指をボタンから離したときでも、携帯型電子装置100を安定的に保持することができる。
【0032】
携帯型電子装置100は、複数の機能を持つ。一例では、携帯型電子装置100はゲーム装置として機能する。ユーザは、ゲームプログラムが格納されているディスクを筐体の背面に設けられた小型ディスクドライブに入れることで、ゲームをプレイすることができる。具体的には、ディスクをセットして電源スイッチ94をオンにすると、ゲームプログラムが小型ディスクから読み出されて、LCD12にゲームの開始画面が表示される。この状態でスタートボタン64を押すと、ゲームが開始される。ユーザが十字キー20、アナログデバイス22またはボタンキー30を操作して、画面上に表れるメニュー項目を選択したり、キャラクタを操作すると、その入力信号がCPUに送信される。CPUは入力信号とゲームプログラムとにしたがってって、ゲームを進行させる。
【0033】
別の例では、携帯型電子装置100は、音楽プレイヤーとしても機能する。ユーザは、音楽データが格納されているディスクを小型ディスクドライブに入れたり、リムーバブル記憶媒体を挿入したりすることで、記憶されている音楽を聴取することができる。この場合、十字キー20またはアナログデバイス22を使用して、LCD12に表示される曲名の中から自分の聴きたい曲名を選択する。選択された音楽データは、図示しない音声処理装置によりアナログの音声に変換されて、スピーカー穴28またはヘッドフォンから出力される。
【0034】
なお、携帯型電子装置100の機能は、これらに限定されるものではなく、従来の個人情報端末(PDA)と同様に、住所録、スケジュール帳、メモ帳、Eメール通信機能などを備えていてもよい。
【0035】
以上、本実施形態に係る携帯型電子装置100の概略構成について説明した。続いて、各ボタンの構成および機能について詳細に説明する。
【0036】
図8A、図8Bは、入力ボタンの構造を示す模式図である。十字キー20、ボタンキー30、Lボタン46L、Rボタン46R、およびボタン52〜64が押下されると、押下操作に応じたデジタル信号を出力する。具体的には、各ボタンのボタン本体(図示せず)を押下すると、ボタン本体の下部に配設されている変形部材112が押されて下方に移動する。図8Aに示すように、変形部材112は、可撓性のある脚部113を備えている。一定以上の荷重を受けると、脚部113が図8Bに示すように大きく変形する。変形部材112には、通電部材115が取り付けられている。通電部材115の下方の基板上には、互いに離れたスイッチ接点114が配置されている。脚部113の変形によって、通電部材115がこれらのスイッチ接点114に接触すると、スイッチ接点114が導通して、スイッチのオン信号がデジタル出力としてCPUに伝達される。ユーザが図示しないボタン本体から指を離すと、脚部113の弾性力によりボタン本体が図8Aに示すような元の位置に戻る。変形部材112の脚部113の形状および弾性力を適切に設計することにより、ユーザは入力ボタンのクリック感を感じることができ、自己のなした操作を確認することができる。
【0037】
1.十字キー
十字キーは、例えば、上下左右に加え、これらの間の4方向からなる8方向の離散的な方向指示を行う。図1に示すように、十字キー20は、円盤状キートップの表面に、上下左右の4方向に対応する凸状面20a、20b、20c、20dを備える。円盤状キートップは、その中心に位置する支点20eにより、キートップを上述の8方向に傾けることができるように傾動可能に支持されている。各押圧面20a、20b、20c、20dの下部には、上述した変形部材、通電部材およびスイッチ接点が配設されており、十字型キーの凸状面20a、20b、20c、20dのいずれかを下方へ押すと、押された凸状面の下のスイッチ接点のみがオンにされる。オンにされたスイッチ接点により、ゲームのキャラクタの上下左右移動や、メニュー画面の項目の選択などがなされる。十字キー20の各凸状面20a、20b、20c、20dは凸状に形成されているので、ユーザは十字キー20を直接見ることなく所望の操作をすることができる。凸状面の頂部は筐体10の最大高さよりも高くなるように形成されているので、LCD12が下向きになるように置かれたときでもLCD12の表面を保護することができる。また、円盤状キートップは中心に向かって円錐形状に傾斜しているので、中心部分に親指を載せやすく、十字キー20を確実に操作することができる。
【0038】
2.アナログデバイス
アナログデバイス22は、360度の方向指示を連続的に与えるために使用される。アナログデバイス22は、筐体10の正面に穿設された穴22aと、操作パッド22bと、図示しない検出手段と、を含む。操作パッド22bは穴22aを貫通し、穴22aの内部で前後左右に移動自在である。操作パッド22bは、例えばゴム製である。検出手段は、操作パッド22bの移動量および移動方向を電気信号に変換する。
【0039】
アナログデバイス22の操作パッド22bは、バネなどにより穴22aの中央に付勢されており、ユーザが操作パッド22bを操作しないときは、操作パッド22bは穴22aの中央に位置する。操作時には、操作パッド22bを360度の方向に傾けることができる。この傾きのストロークは約2mmに設定されるため、ユーザは微小な入力から大きな入力まで操作パッド22bを傾けることができる。
【0040】
このような構造を取ることによって、本実施形態による携帯型電子装置100は、小型ながらも、いわゆる「ジョイスティック」と同様の機能を有し操作性の高いゲームコントローラを実現することができる。
【0041】
検出手段によってアナログ信号として伝達された入力は、基板に配置された図示しないA/D変換部によってデジタル信号に変換され、CPUに伝達される。そして、CPUはプログラムに基づいて演算を実行し、ユーザ入力に応じた画像をLCD12上に表示する。
【0042】
十字キー20からの入力と、アナログデバイス22からの入力は、ソフトウェア処理によって容易に切り替えることができる。代替的に、十字キー20とアナログデバイス22とで入力を切り替えるためのアナログスイッチを携帯型電子装置100に設けてもよい。
【0043】
3.ボタンキー
図1に示すように、ボタンキー30は、ボタン30a、30b、30c、30dで構成される。ボタン30a、30b、30c、30dの円筒状のキートップの表面には、マル、三角、四角、バツの符号がそれぞれ印刷されている。ボタン30a、30b、30c、30dはそれぞれ、単一の指示入力を与えるために使用される。ボタン30a、30b、30c、30dの下部には、上述した変形部材、通電部材およびスイッチ接点が配設されている。ボタン30a、30b、30c、30dのいずれかを下方へ押すと、押された押圧面の下のスイッチ接点のみがオンにされる。入力のタイプと各ボタン30a、30b、30c、30dとの対応関係は、携帯型電子装置100で実行されているゲームプログラムやアプリケーションのタイプによって異なる。一例を挙げると、ゲームにおける攻撃、アイテムの取得、メニュー画面の表示、アイテムの選択、問い合わせに対する決定などの入力に用いられる。
【0044】
ボタン30a、30b、30c、30dは、図1に示すように、正方形の4頂点に配置されるように、所定の間隔で設けられている。したがって、このため、筐体10を把持する位置を変えることなく、ユーザは、右手の親指を伸ばすと右手側から見て奥の三角ボタン30b、四角ボタン30cを操作することができる。右手の親指を曲げると、ユーザは、右手側から見て手前のマルボタン30a、バツボタン30dを操作することができる。各ボタンを識別するために、ボタンの表面には、マル、バツ、三角、四角に対応する突起または溝等が設けられていてもよい。
【0045】
4.LRキー
近年のビデオゲームは複雑な操作を要求する。そのため、十字キーとボタンキーのみでは操作手段が不足する場合があった。そこで、多くのコントローラは、操作手段の数を増やすべく、LRボタンを設けている。本実施形態に係る携帯型電子装置100では、図1および図2に示すように、LRボタン46は、筐体10の中間部10bの上側面に配置されている。筐体10の上側面には、正面の左上隅と右上隅に二つの長方形の開口部が形成されている。代替的に、長方形の開口部は、左下隅または右下隅に形成されてもよい。LRボタンのそれぞれの本体は、開口部に嵌め込まれる。LRボタンは、押すタイプのボタンである。LRボタン46が押圧されないとき、LRボタン46は、中間部10bの一部を構成するような外観を呈する。また、上述したように、LRボタン46は、ユーザが筐体10を把持した場合に、人差し指の指先が当たる位置に設けられている。外観を良好にするために、Lボタン46Lの押圧面と、筐体10の上側面および左側面とが、携帯型電子装置100を上側から見たとき実質的に連続する面を形成することが好ましい。同様に、Rボタン46Rの押圧面と、筐体10の上側面および右側面とが、携帯型電子装置100を上側から見たとき実質的に連続する面を形成することが好ましい。言い換えると、Lボタン46Lの押圧面と、筐体10の上側面および左側面とが、筐体10の長い楕円形状の左輪郭の隅を表してもよい。また、Rボタン46Rの押圧面と、筐体10の上側面および右側面とが、筐体10の長い楕円形状の右輪郭の隅を表してもよい。別の実施形態では、LRボタン46の押圧面と、開口部が位置する筐体10の隅を形成する二つの側面のうちの一つである筐体10の一側面とが、実質的に連続する面を形成してもよい。
【0046】
図9A、図9Bは、LRボタン46の構造の第1の実施例を示す図である。ここでは、例としてLボタン46Lのみを述べるが、Rボタン46RもLボタン46Lと左右対称で同様の構造である。図9Bに示すように、Lボタン46Lは、細長形状のボタン本体110と、変形部材112と、通電部材115と、スイッチ接点114とを有する。変形部材112は、ボタン本体110の背面と対向するように設けられる。細長のボタン本体110は、ユーザの指で押される押圧面を有し、押圧面は、ボタン本体110の長手方向に沿って位置する。背面とは、押圧面の裏側である。通電部材115は通電性を有し、変形部材112の内部に設けられる。スイッチ接点114は、通電部材115の下方に配置される。図9Bに示すように、ボタン本体110の長手方向の両端に、係止手段116、118がそれぞれ設けられている。係止手段116、118のそれぞれは、ボタン本体110の筐体10からの離脱を防止するために設けられる。係止手段116、118は、異なる形状を有する。係止手段116、118はそれぞれ、開口部の位置する筐体10の隅を形づくる二つの側面の各方向に延びる。係止手段116は平面部材であり、ボタン本体110の幅とほぼ同じ幅で、ボタン本体110の右端からフランジのように長手方向に延びる。平面部材116は、ユーザの指により押される押圧面に対して下がったステップを有する。平面部材116は、受け部分120と接触する。受け部分120は、ボタン本体110に向けて筐体10から延び、平面部材116と係合する。係止手段118は垂直部分であり、筐体10に設けられた接触部分122と相対する。垂直部分118は、ボタン本体110の左側から下方に延び、その端は、ボタン本体110より突き出す。接触部分122は、図9Bに示すように、筐体10のほぼ垂直の部分であってもよい。垂直部分118および接触部分122は、一定の隙間を空けて互いに向き合う。受け部分120および接触部分122は、開口部の周縁に位置する。
【0047】
平面部材116と垂直部分122は、ボタン本体110の長手方向にのみ延び、ボタン本体110の長手方向に直角の方向にフランジを持たない。そのため、平面部材116と垂直部分122とを係止手段として使用することで、空間を節約でき、筐体10のような薄い筐体を適用できる。
【0048】
変形部材112は筐体10の上側面に沿った細長形状をしており、ボタン本体110のいずれの部分を押したときでも荷重を受けやすいように設計されている。上述したように、荷重を受けると、変形部材112の脚部113が変形する。すると、変形部材の内部に設けられた通電部材115がスイッチ接点114を導通させて、信号をオンにする。したがって、変形部材112の脚部113は、変形部材112が所定以上の荷重を受けた場合には適切に変形するとともに、荷重が除かれたときには元の状態に復元するように設計される必要がある。変形部材112は、例えばラバー、シリコン、プラスチックで製造される。
【0049】
図10A、図10B、図10Cは、第1の実施例に係るLボタン46Lの動作を示す図である。本実施形態におけるLボタンは、支点が固定されない点に特徴がある。図10Aは、ユーザがボタン本体110の左側、つまり、筐体10の縁側の端を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体110が押されると、第1の係止手段に対応する平面部材116のステップが、筐体10から延び出す受け部分120と係合して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図10A中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第2の係止手段に対応する垂直部分118は、筐体10の接触部分122から離れる。
【0050】
図10Bは、ユーザがボタン本体110の右側、つまり、筐体10の中央に近い端を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体110が押されると、第2の係止手段に対応する垂直部分118の下端が、筐体10の接触部分122の壁面の下端と接触して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図10B中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第1の係止手段に対応する平面部材116は、筐体10の受け部分120から離れる。
【0051】
図10Cは、ユーザがボタン本体110の中央を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体が押されると、平面部材116と垂直部分118は両方とも筐体10の受け部分120と接触部分122から離れる。ボタン本体110は、下方向に移動して変形部材112を押下する。
【0052】
図11A、図11Bは、LRボタンの構造の第2の実施例を示す図である。ここでも、Lボタン46Lのみを説明するが、Rボタン46RもLボタン46Lと左右対称であり同様の構造である。図9Bと同じく、図11に示すように、Lボタン46Lは、細長形状のボタン本体110と、変形部材112と、通電部材115と、スイッチ接点114と、を含む。変形部材112は、ボタン本体110の背面に相対するように設けられる。通電部材115は通電性を有し、変形部材112の内部に設けられる。係止手段116、128は、それぞれ、ボタン本体110の長手方向の両端に設けられている。係止手段116、128のそれぞれは、筐体10の内側に当接して、筐体10からのボタン本体110の離脱を防止する。係止手段116、128は、それぞれ、筐体10に設けられる対応する受け部分120、132と接触するために、異なる形状を有する。第1の係止手段は、平面部材116である。平面部材116は、ボタン本体110の幅とほぼ同一の幅で、ボタン本体110の一端からフランジのように長手方向に延び出す。平面部材116は、ユーザの指により押される押圧面に対して下がったステップを有する。第2の係止手段は、ボタン本体110の他端から、ボタン本体110の長手方向に対し略垂直方向に延び出す棒状部材128である。この棒状部材128は、図11Aに示すように、ボタン本体110の両側から厚み方向に延び出すように設けられることが好ましいが、いずれか一方の側からのみ延び出すように設けられてもよい。変形部材112、通電部材115およびスイッチ接点114の構造および機能については、第1の実施例と同様である。
【0053】
第1および第2の係止手段はボタン本体110の両側で異なる形状を有している必要はない。代替的に、第1および第2の係止手段の両方が、上述した平面部材、垂直部分または棒状部材であってもよい。第1および第2の係止手段は、ボタン本体110が筐体10から離脱することを防止することができる構造であれば、ほかの形状をしていてもよい。
【0054】
図12A、図12B、図12Cは、第2の実施例に係るLボタン46Lの動作を示す図である。図12Aは、ユーザがボタン本体110の左側、つまり、筐体10の縁側の端を押圧した場合の様子を示す。ボタン本体130が押されると、第1の係止手段に対応する平面部材116のステップが筐体10から延び出す受け部分120と接触して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図12A中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第2の係止手段に対応する棒状部材128は、筐体10の内側132から離れる。
【0055】
図12Bは、ユーザがボタン本体110の右側、つまり、筐体10の中央に近い端を押圧した場合の様子を示す。このとき、第2の係止手段に対応する棒状部材128が、筐体10の内側132と接触して、支点の役割を果たす。ボタン本体110は、図12B中の白抜き矢印で示す方向に、この支点を軸としてわずかに回動して、変形部材112を押下する。このとき、第1の係止手段に対応する平面部材116は、筐体10から延び出す受け部分120から離れる。
【0056】
図12Cは、ユーザがボタン本体110の中央を押圧した場合の様子を示す。このとき、平面部材116、棒状部材128は両方とも筐体10の受け部分120、内側132からそれぞれ離れる。ボタン本体110が下方向に移動して変形部材112を押圧する。
【0057】
第1の実施例および第2の実施例で述べたように、LRボタンは、ボタン本体の押圧位置に応じて、ボタン本体の動作が右支点回りの回動、左支点回りの回動、あるいは垂直移動の間で切り替わる両持ち構造を有するように構成されている。
【0058】
筐体10を把持するユーザの手の大きさや指の長さにより、LRボタン46を押しやすい位置は異なるが、本実施形態のLRボタン構造によれば、ボタン本体110のいずれの位置を押しても携帯型電子装置100に確実に指示を入力することができる。したがって、携帯型電子装置100の操作性が向上する。また、ボタン本体110のいずれの位置を押しても、ユーザがLRボタンを押すとLRボタンが一定の距離だけ下方に移動するので、ユーザはクリック感を感じることができる。
【0059】
ゲーム製作者がゲーム内容を考えるときには、コントローラによる操作性を考慮する必要がある。この意味で、コントローラの機能とゲーム内容とは互いに密接な関係にある。換言すれば、コントローラの機能や操作性によりゲーム内容が制限されてしまうことが多い。本実施形態に係る携帯型電子装置では、サイズがコンパクトながら、十字キー、アナログデバイス、ボタンキー、およびLRボタンを含む、据え置き型のゲーム装置のコントローラの機能と同等以上の操作ボタンを有している。従来の携帯型のゲーム装置では、多種の操作ボタンが備えられていないために、実現可能なゲーム内容が制限されたり、据え置き型のゲームの一部を携帯型ゲーム装置に移植する際にプログラムの変更を施したりする必要があった。しかしながら、本実施形態に係る携帯型電子装置では、そのような問題は生じない。したがって、ゲーム制作者の創作の範囲を広げることができる。
【0060】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザが両手で把持できるようなコンパクトなサイズの筐体に、操作性が高く、拡張性がある携帯型電子装置を提供することができる。
【0061】
いくつかの実施の形態をもとに本発明を説明した。上述の実施形態は例示に過ぎない。したがって、当業者は、構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能であり、そうした変形例も本発明の範囲にあることを理解するであろう。実施の形態で述べた構成要素の任意の組合せもまた、本発明の実施形態として有効である。
【0062】
本発明に係るボタンの構造やボタンの配置は、据え置き型ゲーム装置のゲーム用コントローラについても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯型電子装置の正面図である。
【図2】携帯型電子装置の上側面図である。
【図3】携帯型電子装置の背面図である。
【図4】携帯型電子装置の下側面図である。
【図5】携帯型電子装置の左側面図である。
【図6】携帯型電子装置の右側面図である。
【図7】携帯型電子装置をユーザの両手で把持する様子を示す図である。
【図8A】入力ボタンの構造を示す図である。
【図8B】入力ボタンの構造を示す図である。
【図9A】LRボタンの構造の第1の実施例を示す図である。
【図9B】LRボタンの構造の第1の実施例を示す図である。
【図10A】第1の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図10B】第1の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図
【図10C】第1の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図
【図11A】LRボタンの構造の第2の実施例を示す図である。
【図11B】LRボタンの構造の第2の実施例を示す図である。
【図12A】第2の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図12B】第2の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図12C】第2の実施例に係るLRボタンの動作を説明する図である。
【図13A】従来のLRボタンの構造を示す図である。
【図13B】従来のLRボタンの構造を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面と、背面と、一つ以上の側面を有する筐体であって、該筐体の四隅のいずれかに開口部が設けられ、前記側面には上側面、下側面、左側面、右側面が含まれる筐体と、
開口部に嵌め合わされる細長形状のボタンであって、該ボタンの長手方向に沿って位置し、ユーザの指によって押される押圧面を有するボタンと、を備え、
開口部が位置する前記筐体の一隅を形成する二つの側面のうちの一方である前記筐体の一側面と、前記ボタンの押圧面とが実質的に連続する面を形成し、
前記ボタンは、開口部が位置する前記筐体の一隅を形成する二つの側面のそれぞれの方向に延び出し、前記筐体の開口部から前記ボタンが離脱することを防止する係止手段を各端にさらに備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記二つの側面の他方に延び出す前記係止手段の表面が、前記筐体の開口部の周縁と接触して、前記筐体の開口部からの前記ボタンの離脱を防止することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ボタンの一端の近傍が押されたとき、前記ボタンの他方の端に設けられた前記係止手段が開口部の周縁と接触する接触点を軸として、押された方向に前記ボタン本体が回動することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
両端がユーザの両手によって把持され、正面に表示手段が設けられている筐体であって、前記筐体は、正面と、背面と、一つ以上の側面を有し、前記側面には上側面、下側面、左側面、右側面が含まれる筐体と、
前記筐体の側面に設けられる少なくとも一つのボタン操作手段と、を備え、
前記ボタン操作手段は、
前記筐体に対して当接して該筐体からの離脱を防止する係止手段を長手方向の各端に有する細長形状のボタン本体と、
前記ボタン本体が押下されると該ボタン本体の背面によって押圧される変形部材であって、前記背面はユーザにより押される面の反対側である、変形部材と、
前記変形部材の変形によって導通するスイッチ接点と、をさらに備え、
前記ボタン本体の一端が押圧されると、該ボタン本体の他端に設けられた前記係止手段が前記筐体と接触する接触点を軸として前記ボタン本体が回動することを特徴とする電子装置。
【請求項5】
前記ボタン本体の中央付近が押圧されると、前記ボタン本体の両側の前記係止手段が前記筐体から離れ、前記ボタン本体が下方に移動することを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記ボタン本体の任意の位置が押されたとき、前記変形部材がその押圧位置に応じて変形し、前記スイッチ接点を導通させることを特徴とする請求項4または5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記係止手段の一方は、前記押圧面からの段差をもって前記ボタン本体の一端から長手方向に延び出す平面部材であり、前記係止手段の他方は、前記ボタン本体の他端に形成され、前記筐体の切断面と対面する垂直部分であり、
前記ボタン本体が押圧されていないとき、前記平面部材の段差と前記筐体から延び出す対応する受け部分とが係合し、前記垂直部分が前記切断面と接触することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の電子装置。
【請求項8】
前記変形部材がラバーで作成されることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の電子装置。
【請求項9】
前記ボタン操作手段は、前記筐体がユーザによって把持されたとき、ユーザの人差し指または中指による操作が容易である位置に設けられることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の電子装置。
【請求項10】
前記ボタン操作手段は、前記筐体の側面に形成された切り欠きに設けられることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
両端がユーザの両手によって把持される筐体であって、前記筐体は、正面と、背面と、一つ以上の側面を有し、前記側面には上側面、下側面、左側面、右側面が含まれる筐体と、
前記筐体の側面に設けられる少なくとも一つのボタン操作手段と、を備え、
前記ボタン操作手段は、
前記筐体に対して当接して該筐体からの離脱を防止する係止手段を長手方向の各端に有する細長形状のボタン本体と、
前記ボタン本体が押下されると該ボタン本体の背面によって押圧される変形部材であって、前記背面はユーザにより押される面の反対側である、変形部材と、
前記変形部材の変形によって導通するスイッチ接点と、をさらに備え、
前記ボタン本体の一端が押圧されると、該ボタン本体の他端に設けられた前記係止手段が前記筐体と接触する接触点を軸として前記ボタン本体が回動することを特徴とする
ゲーム用コントローラ。
【請求項12】
前記ボタン本体の中央付近が押圧されると、前記ボタン本体の両側の前記係止手段が前記筐体から離れ、前記ボタン本体が下方に移動することを特徴とする請求項11に記載のゲーム用コントローラ。
【請求項13】
前記ボタン本体の任意の位置が押されたとき、前記変形部材がその押圧位置に応じて変形し、前記スイッチ接点を導通させることを特徴とする請求項11または12に記載のゲーム用コントローラ。
【請求項14】
前記係止手段の一方は、前記押圧面からの段差をもって前記ボタン本体の一端から長手方向に延び出す平面部材であり、前記係止手段の他方は、前記ボタン本体の他端に形成され、前記筐体の切断面と対面する垂直部分であり、
前記ボタン本体が押圧されていないとき、前記平面部材の段差と前記筐体から延び出す対応する受け部分とが係合し、前記垂直部分が前記切断面と接触することを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載のゲーム用コントローラ。
【請求項15】
前記変形部材がラバーで作成されることを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載のゲーム用コントローラ。
【請求項16】
前記ボタン操作手段は、前記筐体がユーザによって把持されたとき、ユーザの人差し指または中指による操作が容易である位置に設けられることを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載のゲーム用コントローラ。
【請求項17】
前記ボタン操作手段は、前記筐体の側面に形成された切り欠きに設けられることを特徴とする請求項16に記載のゲーム用コントローラ。
【請求項1】
正面と、背面と、一つ以上の側面を有する筐体であって、該筐体の四隅のいずれかに開口部が設けられ、前記側面には上側面、下側面、左側面、右側面が含まれる筐体と、
開口部に嵌め合わされる細長形状のボタンであって、該ボタンの長手方向に沿って位置し、ユーザの指によって押される押圧面を有するボタンと、を備え、
開口部が位置する前記筐体の一隅を形成する二つの側面のうちの一方である前記筐体の一側面と、前記ボタンの押圧面とが実質的に連続する面を形成し、
前記ボタンは、開口部が位置する前記筐体の一隅を形成する二つの側面のそれぞれの方向に延び出し、前記筐体の開口部から前記ボタンが離脱することを防止する係止手段を各端にさらに備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記二つの側面の他方に延び出す前記係止手段の表面が、前記筐体の開口部の周縁と接触して、前記筐体の開口部からの前記ボタンの離脱を防止することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記ボタンの一端の近傍が押されたとき、前記ボタンの他方の端に設けられた前記係止手段が開口部の周縁と接触する接触点を軸として、押された方向に前記ボタン本体が回動することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
両端がユーザの両手によって把持され、正面に表示手段が設けられている筐体であって、前記筐体は、正面と、背面と、一つ以上の側面を有し、前記側面には上側面、下側面、左側面、右側面が含まれる筐体と、
前記筐体の側面に設けられる少なくとも一つのボタン操作手段と、を備え、
前記ボタン操作手段は、
前記筐体に対して当接して該筐体からの離脱を防止する係止手段を長手方向の各端に有する細長形状のボタン本体と、
前記ボタン本体が押下されると該ボタン本体の背面によって押圧される変形部材であって、前記背面はユーザにより押される面の反対側である、変形部材と、
前記変形部材の変形によって導通するスイッチ接点と、をさらに備え、
前記ボタン本体の一端が押圧されると、該ボタン本体の他端に設けられた前記係止手段が前記筐体と接触する接触点を軸として前記ボタン本体が回動することを特徴とする電子装置。
【請求項5】
前記ボタン本体の中央付近が押圧されると、前記ボタン本体の両側の前記係止手段が前記筐体から離れ、前記ボタン本体が下方に移動することを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記ボタン本体の任意の位置が押されたとき、前記変形部材がその押圧位置に応じて変形し、前記スイッチ接点を導通させることを特徴とする請求項4または5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記係止手段の一方は、前記押圧面からの段差をもって前記ボタン本体の一端から長手方向に延び出す平面部材であり、前記係止手段の他方は、前記ボタン本体の他端に形成され、前記筐体の切断面と対面する垂直部分であり、
前記ボタン本体が押圧されていないとき、前記平面部材の段差と前記筐体から延び出す対応する受け部分とが係合し、前記垂直部分が前記切断面と接触することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の電子装置。
【請求項8】
前記変形部材がラバーで作成されることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の電子装置。
【請求項9】
前記ボタン操作手段は、前記筐体がユーザによって把持されたとき、ユーザの人差し指または中指による操作が容易である位置に設けられることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の電子装置。
【請求項10】
前記ボタン操作手段は、前記筐体の側面に形成された切り欠きに設けられることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
両端がユーザの両手によって把持される筐体であって、前記筐体は、正面と、背面と、一つ以上の側面を有し、前記側面には上側面、下側面、左側面、右側面が含まれる筐体と、
前記筐体の側面に設けられる少なくとも一つのボタン操作手段と、を備え、
前記ボタン操作手段は、
前記筐体に対して当接して該筐体からの離脱を防止する係止手段を長手方向の各端に有する細長形状のボタン本体と、
前記ボタン本体が押下されると該ボタン本体の背面によって押圧される変形部材であって、前記背面はユーザにより押される面の反対側である、変形部材と、
前記変形部材の変形によって導通するスイッチ接点と、をさらに備え、
前記ボタン本体の一端が押圧されると、該ボタン本体の他端に設けられた前記係止手段が前記筐体と接触する接触点を軸として前記ボタン本体が回動することを特徴とする
ゲーム用コントローラ。
【請求項12】
前記ボタン本体の中央付近が押圧されると、前記ボタン本体の両側の前記係止手段が前記筐体から離れ、前記ボタン本体が下方に移動することを特徴とする請求項11に記載のゲーム用コントローラ。
【請求項13】
前記ボタン本体の任意の位置が押されたとき、前記変形部材がその押圧位置に応じて変形し、前記スイッチ接点を導通させることを特徴とする請求項11または12に記載のゲーム用コントローラ。
【請求項14】
前記係止手段の一方は、前記押圧面からの段差をもって前記ボタン本体の一端から長手方向に延び出す平面部材であり、前記係止手段の他方は、前記ボタン本体の他端に形成され、前記筐体の切断面と対面する垂直部分であり、
前記ボタン本体が押圧されていないとき、前記平面部材の段差と前記筐体から延び出す対応する受け部分とが係合し、前記垂直部分が前記切断面と接触することを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載のゲーム用コントローラ。
【請求項15】
前記変形部材がラバーで作成されることを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載のゲーム用コントローラ。
【請求項16】
前記ボタン操作手段は、前記筐体がユーザによって把持されたとき、ユーザの人差し指または中指による操作が容易である位置に設けられることを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載のゲーム用コントローラ。
【請求項17】
前記ボタン操作手段は、前記筐体の側面に形成された切り欠きに設けられることを特徴とする請求項16に記載のゲーム用コントローラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【公表番号】特表2007−525795(P2007−525795A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527175(P2006−527175)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/JP2005/008737
【国際公開番号】WO2005/107906
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/JP2005/008737
【国際公開番号】WO2005/107906
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
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