説明

電子装置及びその使用方法

【課題】データ処理システム、及びそれぞれが1つ又は複数の発光電子素子と、1つ又は複数の光感知素子又はそれらの任意の組合せを含むピクセル集合を有する電子装置及びその使用方法を提供すること。
【解決手段】データ処理システムは、ピクセル集合に関するデータにアクセスして、そのデータに対応する少なくとも1つの較正値を判定するように構成される。較正値(単数又は複数)の数は、集合に属するピクセルの数より少ない。データ処理システムは、さらに、較正値(単数又は複数)と他の値とを比較し、較正値(単数又は複数)が所定の量を超えて他の値と異なる場合に、少なくとも1つの調整係数を変更するように構成される。調整係数(単数又は複数)の数は、集合に属するピクセルの数より少ない。データ処理システム可読媒体、及び電子装置を使用する方法についても記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びその使用方法に関し、より詳細には、発光電子素子を有する電子装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機電子装置(organic electronic device)は、かなりの注目を集めてきている。この有機電子装置の例としては、高分子系発光ダイオード(PLED)及び低分子系有機発光ダイオード(SMOLED)を含む有機発光ダイオード(OLED)がある。
【0003】
このOLEDの動作寿命を支配する有機エレクトロルミネッセンス材料の発光特性が劣化するために、静止画像での長時間動作を行うと、表示画面上に焼付パターンを生じ、表示品質がかなり低下する。この画像記憶を消去するために、次の2つの手法が利用可能である。すなわち、1つ目の手法は、(1)新材料の開発であり、2つ目の手法は、(2)表示パネルの全領域にわたって表示強度を均一に保つための表示パネルに対する補償機構の導入(例えば、発光電子素子のピクセル駆動回路と付随した補償機構、又は各発光電子素子を駆動する周辺駆動電子機器における補償機構の導入)である。
【0004】
本出願と共通の譲受人を有する特許文献1には、表示パネルの空間不均一性(例えば、ピクセル間のばらつきなど)を処理するために発光強度を補償する駆動スキームについて説明されている。
【0005】
【特許文献1】WO 2004/023443 A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に記載されている駆動スキームは、かなりコストがかさむため、特定の用途にのみ限定される可能性がある。他の多くの用途に対しては、この駆動スキームは、複雑すぎ、かつ/又は高コストすぎるという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、データ処理システム、及びそれぞれが1つ又は複数の発光電子素子と1つ又は複数の光感知素子又はそれらの任意の組合せからなるピクセル集合を備えた電子装置及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ピクセル集合とデータ処理システムとを備えた電子装置である。このピクセル集合は、それぞれ、1つ又は複数の発光素子と、1つ又は複数の光感知素子又はこれらの任意の組合せからなる。データ処理システムは、このピクセル集合に関するデータにアクセスするように構成され、このデータは、ピクセル集合から発光される光又はピクセル集合により感知される光に対応する。また、このデータ処理システムは、データに対応する少なくとも1つの較正値を判定するように構成され、この較正値の数は、ピクセル集合に含まれるピクセル数より少ない。さらに、このデータ処理システムは、較正値を他の値と比較し、この較正値が他の値と所定の量を超えて異なる場合は、少なくとも1つの調整係数を変更するように構成されている。この調整係数の数は、集合に含まれるピクセルの数より少ない。
【0009】
本発明の電子装置は、第1発光電子素子のダミー表示と、第2発光電子素子のユーザ表示とを備えている。
【0010】
データ処理システム可読媒体は、電子装置を使用するコードを有する。この電子装置は、それぞれが1つ又は複数の発光電子素子と、1つ又は複数の光感知電子素子又はこれらの任意の組合せからなるピクセル集合を備えている。コードは、データ処理システム可読媒体内で具体的な形となっている。このコードは、ピクセル集合に関するデータにアクセスするための命令を有し、このデータは、ピクセル集合から発光される光又はピクセル集合により感知される光に対応する。また、このコードは、データに対応する少なくとも1つの較正値を判定するための命令を有している。この較正値の数は、ピクセル集合に含まれるピクセルの数より少ない。さらに、このコードは、較正値を他の値と比較する命令を有し、この較正値が他の値と所定の量を超えて異なる場合は、少なくとも1つの調整係数を変更する命令をさらに有している。この調整係数の数は、ピクセル集合に含まれるピクセルの数よりも少ない。
【0011】
それぞれが1つ又は複数の発光電子素子と、1つ又は複数の光感知電子素子又はそれらの任意の組合せからなるピクセル集合を備えた電子装置の使用方法である。ピクセル集合が発光素子からなる場合に、この使用方法は、そのピクセル集合を起動すること、及びそのピクセル集合から発光される光に対応するデータを収集することを含み、ピクセル集合の起動及びデータ収集は、少なくとも1つの時点において同時に生じる。ピクセル集合が光感知素子からなる場合に、この使用方法は、光源を起動すること、及びそのピクセル集合を使用してデータを収集することを含んでいる。ピクセル集合は、光源から発光される光を感知する。光源の起動及びピクセル集合の起動は、少なくとも1つの時点において同時に生じる。この使用方法は、収集したデータに対応する少なくとも1つの較正値を判定することをさらに含み、較正値の数は、集合に属するピクセルの数より少ない。この使用方法は、較正値と他の値とを比較することと、較正値が所定の量を超えるほど他の値と異なる場合は、少なくとも1つの調整係数を変更することをさらに含んでいる。調整係数の数は、集合に属するピクセルの数より少ない。
【0012】
上述した発明の概要、及び以下の詳細な説明は、例示及び説明のみを目的とし、添付の請求項に規定された本発明を限定する意図はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面に示した各構成要素は、簡潔にかつ明確にするために例示されたものであり、必ずしも縮図として描かれたものではないことは、当業者には明らかである。例えば、図に示した一部の要素の寸法は、本発明の実施態様の理解を深める一助となるように、他の要素に対して誇張されている場合もある。
【0014】
本発明の電子装置は、ピクセル集合とデータ処理システムとを備えている。このピクセル集合内の各ピクセルは、1つ又は複数の発光素子と、1つ又は複数の受光素子又はこれらの任意の組合せからなる。データ処理システムは、ピクセル集合に関するデータにアクセスするように構成され、このデータは、ピクセル集合から発光される光又はピクセル集合により感知される光に対応する。また、このデータ処理システムは、データに対応する少なくとも1つの較正値を判定するように構成され、この較正値の数は、ピクセル集合に含まれるピクセル数よりも少ない。さらに、このデータ処理システムは、較正値を他の値と比較し、この較正値が他の値と所定の量を超えて異なる場合は、少なくとも1つの調整係数を変更するように構成されている。この調整係数の数は、ピクセル集合に含まれるピクセル数よりも少ない。
【0015】
1つの実施態様においては、このピクセル集合は、発光素子からなる。また、データ処理システムは、信号のタイミングを制御する同期ユニットを備えている。この信号は、ピクセル集合を起動し、このピクセル集合から発光される光に対応するデータの収集を開始するのに使用される。同期ユニットは、このピクセル集合の起動とデータの収集とが、少なくとも一時点において同時に生じるように構成されている。具体的な実施態様においては、第2電子装置がデータを収集し、電子装置に結合するように構成され、この第2電子装置は、物理的に電子装置と分離している。他の具体的な実施態様においては、電子装置は、少なくとも1つの光感知素子をさらに有し、この少なくとも1つの光感知素子はデータを収集するように構成されている。
【0016】
他の実施態様においては、ピクセル集合は光感知素子からなる。また、データ処理システムは、信号のタイミングを制御する同期ユニットを備えている。この信号は、光源から発光される光に対応するデータを収集する際に、この光源の起動を開始し、またピクセル集合を起動するのに使用される。同期ユニットは、光源の起動と、ピクセル集合の起動とが、少なくとも一時点において生じるように構成されている。ある具体的実施態様においては、第2電子装置は光源を備え、この第2電子装置は、物理的に電子装置とは分離している。他の具体的実施態様においては、電子装置は、さらに光源を備えている。
【0017】
本発明の電子装置は、第1発光電子素子のダミー表示と、第2発光電子素子のユーザ表示とを備えている。
【0018】
1つの実施態様においては、このダミー表示は、第1発光電子素子のベクトルに構成され、ユーザ表示は、第2発光電子素子のマトリックスで構成されている。他の実施態様においては、ダミー表示は、第1発光電子素子のマトリックスに構成され、ユーザ表示は、第2発光電子素子のマトリックスに構成されている。
【0019】
さらに他の実施態様においては、ダミー表示は、電子装置の視野の外に位置する。
【0020】
さらに他の実施態様においては、電子装置は、ダミー表示と光学的に結合した光感知電子素子をさらに備えている。具体的な実施態様においては、この光感知電子素子は、較正回路の一部である。他の実施態様においては、ダミー表示と光感知電子素子とは、光導波路によって光学的に相互に結合される。さらに具体的な実施態様においては、ダミー表示と光感知電子素子とは、反射器を使用して光学的に相互に結合されている。
【0021】
データ処理システム可読媒体は、電子装置を使用するためのコードを有する。この電子装置は、それぞれが1つ又は複数の発光電子素子と、1つ又は複数の光感知電子素子又はこれらの任意の組合せからなるピクセル集合を備えている。コードは、データ処理システム可読媒体と一体化している。このコードは、ピクセル集合に関するデータにアクセスする命令を含み、このデータは、ピクセル集合から発光される光、又はピクセル集合により感知される光に対応する。また、このコードには、データに対応する少なくとも1つの較正値を判定する命令が含まれる。この較正値の数は、ピクセル集合に含まれるピクセルの数より少ない。さらに、このコードは、較正値を他の値と比較する命令を含み、この較正値と他の値とが所定の量を超えて異なる場合は、少なくとも1つの調整係数を変更する命令がさらに含まれる。この調整係数の数は、ピクセル集合に含まれるピクセルの数より少ない。
【0022】
1つの実施態様においては、このコードは、第1出力信号を得るために、調整係数と第1入力信号とを乗算する命令がさらに含まれる。より具体的な実施態様においては、このコードは、第2出力信号を得るために、第1出力信号を増幅する命令をさらに備えている。
【0023】
1つの実施態様においては、他の値は、前回の較正値である。他の実施態様においては、ピクセル集合は、ユーザ表示内の1列のピクセル又は1行のピクセルを含んでいる。さらに他の実施態様においては、ピクセル集合は、ユーザ表示内の全てのピクセル、又はダミー表示内の全てのピクセルを含んでいる。さらに他の実施態様においては、電子装置は、データ処理システム可読媒体を含んでいる。
【0024】
本発明は、ピクセル集合を備えた電子装置の使用方法であって、このピクセル集合内の各ピクセルには、1つ又は複数の発光電子素子と、1つ又は複数の光感知電子素子又はこれらの任意の組合せからなることを特徴とするピクセル集合を備えた電子装置の使用方法である。このピクセル集合が発光素子からなる場合は、この方法は、ピクセル集合の起動と、このピクセル集合から発光される光に対応したデータの収集とを含んでいる。このピクセル集合の起動とデータの収集とは、少なくとも一時点において同時に生じる。ピクセル集合が光感知素子からなる場合は、この方法は、光源の起動と、ピクセル集合を使用したデータの収集とを含んでいる。このピクセル集合が、光源から発光される光に相当する光を感知する。光源の起動とピクセル集合の起動とは、少なくとも一時点において同時に生じる。さらに、この方法は、収集したデータに対応する少なくとも1つの較正値の判定を含み、この較正値の数は、ピクセル集合に含まれるピクセルの数より少ない。さらに、この方法は、較正値と他の値との比較を含み、この較正値と他の値とが所定の量を超えて異なる場合は、少なくとも1つの調整係数の変更をさらに含んでいる。この調整係数の数は、ピクセル集合に含まれるピクセルの数より少ない。
【0025】
1つの実施態様においては、他の値は、前回の較正値である。
【0026】
他の実施態様においては、この方法は、第1出力信号を得るための、少なくとも1つの調整係数と第1入力信号との乗算をさらに含んでいる。具体的な実施態様においては、この方法は、第2入力信号の受信と、この第2入力信号の、第1入力信号への変換とをさらに含んでいる。より具体的な実施態様においては、第1入力信号は電圧であり、第2入力信号は電流である。他の具体的な実施態様においては、この方法は、第2出力信号を得るための、第1出力信号の増幅を含んでいる。より具体的な実施態様においては、第1出力信号及び第2出力信号は、それぞれ電圧である。
【0027】
さらに他の実施態様においては、ピクセル集合の起動には、ユーザ表示内の1行のピクセル又は1列のピクセルの起動を含んでいる。さらに他の実施態様においては、ピクセル集合の起動は、ユーザ表示内にある全てのピクセルの起動を含んでいる。さらに他の実施態様においては、ピクセル集合の起動は、ダミー表示内にある全てのピクセルの起動を含んでいる。
【0028】
本明細書に記載のいかなる実施態様においても、発光電子素子は、それがユーザ表示内、又はダミー表示内、あるいはその両方であっても、少なくとも1つの有機活性層を含んでいる。
【0029】
以下の詳細な説明では、まず「用語の定義及び説明」を述べ、その後、「電子装置の構造及び較正中の光感知」、「較正中に電子装置を使用する方法及び通常動作モード」、「その他の実施態様」、及び「効果」の説明を行い、最後に「実施例」の説明をする。
【0030】
1.用語の定義及び説明
以下の詳細な実施態様を説明する前に、いくつかの用語を定義して明らかにする。本明細書で使用する用語「起動」は、それを発光電子素子に関して用いる場合は、所望の波長あるいは波長スペクトルを持つ光が発光されるように、発光電子素子に適切な信号を供給することを意図して使用される。
【0031】
用語「調整係数」は、電子装置内の材料の経年変化又は劣化を補償するために、電子素子アレイに入る信号又は電子素子アレイから出る信号に加えるある係数を意味するものとして使用される。
【0032】
用語「アレイ」、「周辺回路」、及び「遠隔回路」は、異なる領域又は異なる素子を意味する目的で用いる。例えば、アレイは、素子内の(通常は、行と列とで表される)規則的な配列に、多くのピクセル、セル、あるいはその他の電子素子を含んでもよい。この電子素子は、周辺回路によって素子上で局部的に制御されてもよく、この周辺回路は、アレイと同じ素子上であり、かつこのアレイの外部に配置されても良い。周辺回路の例としては、行デコーダ又は列デコーダ、あるいは行配列ストローブ又は列配列ストローブなどがある。遠隔回路は、通常は異なった素子上に配置され、(通常は周辺回路を介して)アレイとの間で信号を送受信できる。
【0033】
用語「較正値」は、較正処理中に得た値であり、その当時(較正処理が行われている際)のシステム又はシステムの一部の状態を反映する値を意味する。
【0034】
用語「コード」は、例えば、コンピュータ等の機械が実行できる形式に容易にコンパイルし、又はされる、1つ又は複数の命令を表す1組の符号を意味する。異なった種類のコードの例としては、ソースコード、オブジェクトコード、又はアセンブリコードがある。
【0035】
用語「データ処理システム」は、信号(例えば、電子信号、電気信号、機械信号、電気機械信号)光(例えば、可視光、マイクロウエーブ光など)、あるいはこれらの任意の組合せの形式で入力されるデータを処理するように構成された1つ又は複数の構成要素を意味する。データ処理システムは、独立ユニット(例えば、パーソナルコンピュータなど)であってもよく、あるいはより大規模システム(例えば、携帯電話など)内のサブアセンブリであってもよい。
【0036】
用語「データ処理システム可読媒体」は、データ処理システムが読み取ることのできる媒体を意味する。コンピュータ可読媒体は、このデータ処理システム可読媒体の一例である。データ処理システム可読媒体の例としては、さらに、リードオンリメモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、ハードディスク(「HD」)、データベース、記憶領域ネットワーク・システム(「SANS」)アレイ、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光学記憶装置、CD−ROM、あるいはこれらの任意の組合せがある。
【0037】
用語「ダミー表示」は、電子装置内部であり、かつユーザ表示の外部に位置する、少なくとも1つの発光電子素子を含むピクセル集合を意味する。このダミー表示の発光電子素子は、較正処理中にのみ使用してもよく、電子装置の視野の外に配置してもよく、あるいはこれらの両方(較正処理中の使用及び視野外への配置)を行ってもよい。
【0038】
用語「電子素子」は、電気的な機能を実行する最低位レベルの回路を意味する目的で用いる。電子素子には、トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサ、インダクタなどがある。なお、電子素子には、寄生抵抗(例えば、配線抵抗など)や寄生容量(例えば、異なった電子素子に接続された2つの導体間の結合容量であって、この2つの導体間にコンデンサが意図せず、又は付随して形成される)は含まれない。
【0039】
用語「電子装置」は、回路、又は有機電子素子、あるいはその両方の集合体であり、適切に接続され、適切な電位が供給されると、機能を実行する集合体を意味する目的で用いる。電子装置は、システムの一部を含んでもよいし、システムの一部であってもよい。この電子装置の例としては、表示装置、センサアレイ、コンピュータシステム、航空電子機器、自動車、携帯電話、及び他の多くの消費者向け電子製品や産業用電子製品がある。
【0040】
用語「マトリックス」は、2方向に広がる電子素子の構成を意味する目的で用いる。マトリックスは、少なくとも2つの行と少なくとも2つの列とを含むことができる。
【0041】
用語「光学的に結合した」は、2つ以上の電子素子、回路、あるいはシステム間が、光学信号を、一方の電子素子、回路、あるいはシステムから、他方の電子素子、回路、あるいはシステムに転送できるように接続された、リンクされた、あるいは関連付けされた状態を意味する目的で用いる。
【0042】
用語「有機活性層」は、1つ又は複数の有機層であって、少なくともこの有機層の1つが、それ自身で、あるいは異質材料と接続された場合に、整流接合を形成することができる有機層を意味する目的で用いる。
【0043】
用語「有機電子装置」は、1つ又は複数の有機半導体層又は有機半導体材料を含む装置を意味する。この有機電子装置には、(1)電気エネルギーを光に変換する装置(例えば、発光ダイオード、LED表示、半導体レーザ、又は照明パネル等)、(2)電子過程を介して信号を検出する装置(例えば、光導電セル、光抵抗器、光スイッチ、光トランジスタ、光電管等)、(3)光を電気エネルギーに変換する装置(例えば、光起電装置あるいは太陽電池等)、及び(4)1つ又は複数の有機半導体層を備える1つ又は複数の電子素子を含む装置(例えば、トランジスタあるいはダイオードなど)がある。
【0044】
用語「ピクセル」は、表示装置あるいはセンサに含まれる最小完成品単位を意味する。このピクセルは、1つ又は複数の発光電子素子、1つ又は複数の光感知電子素子を含むことができる。フルカラー表示装置では、フルカラーのピクセルは、赤色、緑色、及び青色のスペクトル領域に対応する3種類の発光電子素子を含むことができる。モノクロ表示装置の場合は、ピクセルは、単一の発光電子素子を含むことができる。
【0045】
用語「物理的に離れた」は、2つ以上の物体が、相互に接触していない、あるいは各物体の機能に影響を及ぼさずに、相互に接続を切断された状態を意味する目的で用いる。例えば、カメラの場合は、画像をダウンロードする場合に、配線又はケーブルを用いてデータ処理システムに接続することができる。しかし、カメラとデータ処理システムとの間の接続を切断することができ、カメラは、それでも画像を捉えることができ、またデータ処理システムはデータを処理することができる(例えば、カメラから転送された画像の処理など)。
【0046】
用語「発光素子」は、適切にバイアスが加えられると、目的とする波長又は波長スペクトルを持つ光を放射する電子素子を意味する目的で用いる。この光は、可視光スペクトル領域、可視光スペクトル領域外(紫外(「UV」)又は赤外)、又はその双方でもよい。発光ダイオードは、この発光素子の一例である。
【0047】
用語「光感知素子」は、適切にバイアスが加えられると、目的とする波長又は波長スペクトルを持つ光を感知することができる電子素子を意味する。この光は、可視光スペクトル領域であっても、可視光スペクトル領域外(紫外(「UV」)又は赤外)であってもよく、又はその両方であってもよい。赤外線センサは、この光感知素子の一例である。
【0048】
用語「整流接合」は、半導体層内の接合、又は半導体層と異質の材料との間の界面によって形成される接合であって、一方の型の電荷は、逆方向に対する場合よりも容易にこの接合を通して一方向に流れる性質を持つことを特徴とする接合を意味する。pn接合は、ダイオードとして用いることができる整流接合の一例である。
【0049】
用語「反射器」は、光の向きを変えるという主要な役目を持つ層、部材、構造、あるいはこれらの組合せを意味する。ミラーは、この反射器の一例である。
【0050】
用語「信号」は、電流又は電圧を意味することを意図している。この信号は、電源からの電圧又は電流であってもよいし、単独で、又は他の信号、データ、又は他の情報と組合せて表してもよい。信号は、実質的に一定であってもよいし(例えば、電源電圧など)、時間に対して変化してもよい(例えば、ON状態用の一方の電圧とOFF状態用の他方の電圧など)。
【0051】
用語「状態」は、ある時点での較正要因に使用される情報について参照することを意味する。例えば、初めて電子装置が較正されたときを初期状態としてもよい。この電子装置が2回目に較正されたときを、次の較正までは最新状態としてもよく、このとき、前記「初期状態」は「前回の状態」となる。3番目の較正には、最新状態に対して収集したデータを含むことができ、2番目の較正時に収集された情報は、この時点で「前回の状態」とすることができる。
【0052】
用語「同期ユニット」は、2つ以上の素子、回路、システム、又はサブシステム間のタイミングを調整する回路、システム、又はサブシステムを意味する。この2つ以上の素子、回路、システム、又はサブシステムと同期ユニットとは、1つの電子装置内に備えられてもよく、何台かの電子装置内に備えてもよい。
【0053】
用語「ユーザ表示」は、電子装置内にあるユーザが見ることが可能な表示用の発光電子素子又はその一部を意味する。
【0054】
電子装置の「ユーザ側」という用語は、電子装置において透明電極に隣接した側であり、この電子装置を通常動作させる際に主に使用される側を示す。表示素子の場合、電子装置の表示素子を有する側が、ユーザ側となる。検出器又は太陽電池の場合は、ユーザ側とは、検出する光又は電気エネルギーに変換する光を主に受光する側となる。
【0055】
用語「ベクトル」は、直線又は線分に沿った電子素子の構成を意味する目的で用いる。例えば、電子素子のベクトルは、行、列、対角線などに沿って配置することができる。
【0056】
用語「視野」は、電子装置の通常動作の際に、ユーザが見ることが可能な電子装置のあらゆる部分を意味する。電子装置が分解される際、あるいは保守、較正、又は他の類似の処理が施される間でなければ見ることができない部分は含まれない。
【0057】
用語「導波路」は、層、部材、又は構造であって、光の大部分が導波路に沿って伝送されることを特徴とする層、部材、又は構造を意味する。導波路の作用は、高屈折率材料が低屈折率材料に周りを囲まれる時に生じる。本明細書の目的上、この導波路は、(1)高屈折率の材料が、それより低屈折率を有す液体と接触し、その液体に取り囲まれた場合の、その高屈折率の材料自身、あるいは(2)低屈折材料が固体である場合の、低屈折率材料とそれより高屈折材料との組合せを含んでも良い。光導波路は、可視光スペクトル領域内の光を伝送するのに用いることができる導波路の一例である。
【0058】
本明細書で用いられる動詞「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「有す(has)」、「有している(having)」、あるいはこれらの他の活用形は、非制限的包含を意味する目的で用いる。例えば、リスト上の複数の要素を含む手法、方法、品物、あるいは装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されるわけではなく、明示的にリスト上に記載されていない他の要素や、そのような手法、方法、品物、あるいは装置に内在する他の要素を含んでもよい。さらに、それとは反対に明示的に述べられなければ、接続詞「又は(or)」は、包含的な「又は」のことを言っており、排他的な「又は」のことを言っているわけではない。例えば、条件A又は条件Bという場合は、「Aは真(又は存在している)かつBは偽(又は存在していない)」、「Aは偽(又は存在していない)かつBは真(又は存在している)」、及び「AもBも真(存在している)」のうちのいずれか1つを満足する。
【0059】
また、不定冠詞「a」又は「an」の使用法としては、本発明の複数の要素や素子を説明するのに用いられる。これは、単に便宜上のためであり、かつ本発明の一般的な意味を与えるためになされる。「1つの」又は「少なくとも1つの」という意味を含むように、この明細書を読む必要があり、単数形はまた、別途、意味を持つことが明らかではない限りは、複数形を含んでいる。
【0060】
元素周期律表の列に対応する群番号は、『CRC Handbook of Chemistry and Physics 81版、2000年』に記載の「新表記法」を用いる。
【0061】
本明細書に記載されない範囲においても、具体的な材料、処理方法、及び回路に関する数多くの詳細な事柄は、一般的な範囲内であり、有機発光表示、有機光検出器、有機半導体、及び有機マイクロエレクトロニクス回路に関する技術の範囲内で、教科書や他の情報源から知ることが可能である。発光素子、ピクセル、サブピクセル、及びピクセル/サブピクセル回路構成に関する詳細を、光感知素子及びその回路構成の詳細に立ち入る前に説明する。
【0062】
2.電子装置の構造及び較正中の光感知
アレイ内の発光電子素子の劣化、又は経年変化、あるいはその双方を補償する調整係数(単数又は複数)を生成するために使用できる発光中のデータを収集するために、以下に実施形態を、図面を参照して説明する。1つの実施形態においては、アレイに対して単一の調整係数を与えるためのデータを、発光電子素子アレイ全体に対して収集することができる。また、他の実施形態においては、アレイ内の行、列、又は他の部分に対してデータを収集し、各行、各列、又は他の各部分それぞれに対して、1つの較正値を与えることができる。より多くの、あるいはより少ない調整係数を試用することも可能である。1つの実施形態においては、調整係数の数は、アレイ内のピクセルの数より少ない。後で説明するように、この概念は、光感知電子素子などの他の電子素子に拡張できる可能性がある。
【0063】
図1は、本発明に係るユーザ表示とダミー表示とを有する電子装置の一実施形態を説明するための平面図で、ユーザ表示120とダミー表示162と光感知電子素子(radiation−sensing electronic compoment)164とを有する電子装置100を示し、ダミー表示162から光を発光すると、光感知電子素子164で感知できるように構成されている。
【0064】
ダミー表示162は、複数の発光電子素子(radiation−emitting electronic compoment)を備えている。本実施形態においては、ユーザ表示120及びダミー表示162は、同種の発光電子素子を有し、また、他の実施形態においては、ユーザ表示120及びダミー表示162は、少なくとも1つの異種の発光電子素子を有している。1つの特定の実施形態においては、ユーザ表示120は、赤、緑、及び青色の発光電子素子を含むフルカラーの能動マトリックス型OLED(「AMOLED」)であり、ダミー表示162は、赤、緑、あるいは青色の発光電子素子のうちの任意の1つ又は複数を含んでいる。他の実施形態においては、ユーザ表示120は、白色発光電子素子を含み、ダミー表示162は、赤、緑、あるいは青色の発光電子素子のうちの任意の1つ又は複数を含んでいる。さらに他の実施形態においては、ユーザ表示120は、赤、緑、及び青色の発光電子素子を含み、ダミー表示162は白色発光電子素子を含んでいる。さらに他の実施形態においては、ユーザ表示120、ダミー表示162、又はその双方が単色であり、1種類の発光電子素子のみを有している。
【0065】
1つの実施形態においては、光感知電子素子164は、単一の光感知電子素子であり、他の実施形態においては、複数の光感知電子素子164が使用される。この複数の光感知電子素子164は、同種のものでも、異種のものでもよい(例えば、1つは緑色−青色発光領域に対しより感度が高く、もう1つは黄色−赤色発光領域に対しより感度が高い)。
【0066】
図1に示すように、実線140は、ユーザ表示120に対する視野122の縁に対応する。この電子装置100のユーザは、ディスプレイの視野122に対応する部分は見ることができるが、ユーザ表示120の他の部分、ダミー表示162、あるいは光感知電子素子164を見ることはできない。例えば、電子装置100の筐体が、ユーザ表示120、ダミー表示162、及び光感知電子素子164の一部を覆ってもよい。また、他の実施形態(不図示)においては、ユーザ表示120、ダミー表示162、及び光感知電子素子164の全て、又は任意のこれらの組合せが、視野122内に位置する。
【0067】
図1に示すような実施形態においては、ダミー表示162及び光感知電子素子164のそれぞれは、視野122の幅に相当する長さを有す。他の実施形態においては、ダミー表示162及び光感知電子素子164のそれぞれは、ユーザ表示120の幅に相当する長さを有す。さらに他の実施形態においては、ダミー表示162及び光感知電子素子164のそれぞれは、視野122の幅よりも短い長さを有す。さらに他の実施形態においては、ダミー表示162及び光感知電子素子164は、視野122の長さ方向に沿って配置される。さらに他の実施形態においては、視野122のいずれかの縁に沿ってそれぞれ配置されるダミー表示162及び光感知電子素子164は、それぞれが対応する縁の長さよりも長い長さを有している。
【0068】
図2は、本発明に係るユーザ表示とダミー表示とを有する電子装置の他の実施形態を説明するための平面図で、電子装置100と同様の電子装置200を示している。ただし、光感知電子素子264は、ダミー表示162の長さと(図1の場合)ではなく、ダミー表示162の幅と光学的に結合している。電子装置100のユーザ表示120、視野122、又はその双方に対する、ダミー表示162と光感知電子素子164の大きさと方向は、電子装置200のディスプレイ162と光感知電子素子264に対しても使用できる。また、図1の光感知電子素子164に関する電子素子の数や、電子素子のいかなる任意の組合せも、光感知電子素子264に使用することができる。
【0069】
図3は、アレイ状のピクセルと、導波路と、導波路の端部に沿った光感知電子素子とを備えた電子装置を説明するための平面図で、光感知電子素子364が、ユーザ表示120の側面に沿って位置する電子装置300を示している。図3に示すような1つの実施形態においては、光感知電子素子364は、ユーザ表示120の幅に沿って位置する。他の実施形態(不図示)においては、光感知電子素子364は、ユーザ表示120の長さに沿って位置する。図1に示す電子装置100内の光感知電子素子164の大きさと方向とは、電子装置300内の光感知電子素子364に対しても使用することができる。また、図1の光感知電子素子164に関する電子素子の数や電子素子のいかなる任意の組合せも、光感知電子素子364に用いることができる。
【0070】
図4は、アレイ状のピクセルと、導波路と、導波路の端部に沿った光感知電子素子とを備えた電子装置を説明するための断面図である。この電子装置300は、保護層又は保護用遮蔽体402と、ピクセル404の行方向と列方向に方向づけられたアレイとを含むことができ、このピクセル404からなる行と列とは、アレイの端406まで広がる。各ピクセル404には、光408(矢印で示す)を放射する少なくとも1つの発光電子素子がある。1つの実施形態においては、フルカラーのピクセルは、赤色発光電子素子、緑色発光電子素子、及び青色発光電子素子を含んでいる。他の実施形態においては、各ピクセルは、白色発光電子素子を含んでいる。保護用遮蔽体402は、ピクセル404と他の電子回路とを、環境危険又は他の条件(例えば、引っかき傷、湿気、可動イオン、他の汚染など)があるとすれば、それらから保護することができる。電子装置300は、加工した基板405を有してもよく、その基板405の一部は、導波路440の機能を果たすことができる。光感知電子素子364は、その基板405内に位置してもよい。電子装置300の、基板405とユーザ側320の空気との組み合わせは、導波路の機能を果たすことができる。
【0071】
ユーザ表示120の各縁に沿って光感知電子素子522、524、526、528が電子装置500に含まれることを除いては、図5と図6は、図3及び図4と同様であって、かつそれらの他の実施形態である。通常動作(例えば、表示動作)中、複数のピクセル404は、基板405及び導波路440を通して光408を発光することが可能である。
【0072】
図1乃至図6は、任意の別個又はその他外部の、光センサや光反射器(例えば、鏡など)なども必要とせずに、較正動作中に光感知電子素子を使用することができる実施形態を示している。図7乃至図10では、別個あるいはその他外部の、光センサや光反射器又はその双方を使用することができる電子装置の実施形態を示している。
【0073】
図7は、アレイ状のピクセル及び別個の光感知装置を示す断面図で、電子装置700と、別個の光感知装置720とを有する較正システムを示している。各ピクセル404は、図7の矢印408で示すように発光することができる。光感知装置720は、ユーザ側320と接触して、あるいはユーザ側320のすぐ近傍に配置することができる。ここで、この光感知装置720は、その端部722がアレイの端部406を越えていることから、アレイと同じ大きさ、あるいはアレイよりも大きなことに注意すべきである。光感知装置720は、pn接合を含むフォトダイオード又は感光トランジスタでよい。示されてはいないが、フォトダイオード又は感光トランジスタに、電気的接続とセンスアンプが結合されていてもよい。較正中は、アレイ内の一部又は全てのピクセル404は、それらの発光強度が光感知装置720によって測定されている間に、同時に起動されることができる。
【0074】
図8は、アレイ状のピクセルと別個の光感知装置及び導波路を示す断面図で、他の較正システムを示している。光感知装置800を使用して、ピクセル404からの光408の強度を測定することができる。図7と同様に、この光感知装置800は、電子装置700のユーザ側320と接触して、あるいは電子装置700のユーザ側320のすぐ近傍に配置してもよい。この実施形態においては、光感知装置800は、光感知電子素子864と導波路820とを含んでもよい。この導波路820の端部822は、アレイの端部406のすぐ近傍にあり、かつその端部406を越える。他の実施形態においては、導波路820の端部822は、アレイの端部406を越えることはない。
【0075】
この導波路820は、相対的に低い屈折率の材料に取り囲まれた相対的に高い屈折率の材料を含んでもよい。一例としては、約1.0の屈折率を有す空気に取り囲まれた約1.45の屈折率を有す石英(二酸化シリコン)ブロックがある。あるいはまた、窒化シリコン(屈折率:約2.0)、ポリエチレン・ナフタレート(屈折率幅:約1.65〜1.90)、ポリイミド(屈折率:約1.5〜1.7)、あるいは他の材料を用いてもよい。屈折率は、材料の組成(結晶性又は結晶性の欠如も含む)、及び光の波長により変化することに留意されたい。屈折率の数値は、導波路の一般的な構成を描くために与えられる。光感知電子素子864は、導波路820の一方の端部822に接続される。この導波路820は、ピクセル404を光感知電子素子864に光学的に結合させる。図7に示すシステムと同様に、アレイ内の一部又は全てのピクセル404は、それらの発光強度が光感知装置864によって測定されている間に、同時に起動することができる。
【0076】
図9は、導波路及びアレイ状のピクセルとこのアレイ端部近傍のフォトダイオードとを備えた電子装置を示す断面図で、複合型較正システムを含む1つの実施形態を示している。この特定の実施形態においては、電子装置900は、ピクセル404と、光感知電子素子964と、保護用遮蔽体402とを含むことが可能である。導波路920には端部922があり、その端部922は、少なくとも光感知電子素子964まで広がる。導波路920は、組成的に導波路820と同様でよいし、また同じような方法で用いてもよい。ただし、図8に示すシステムとは異なり、光感知電子素子964は電子装置900内部に組込まれる。より具体的には、別個の装置に組込まれていた場合とは対照的に、基板405に組込まれる。較正の際には、ピクセル404からの光408は、光感知電子素子964に達するまで、導波路920に沿って伝播することができる。
【0077】
図10は、反射器及びアレイ状のピクセルと埋込型フォトディテクタとを備えた電子装置を示す断面図で、他の複合型較正システムを含む1つの実施形態を示している。この電子装置1000は、保護層又は保護用遮蔽体1002に埋め込まれた光感知電子素子1064を含むことが可能である。作製の際は、この保護用遮蔽体1002は、基板405に沿ってピクセル404が形成された後に形成してもよい。較正中は、反射器1060はアレイ上方に置いてもよい。ピクセル404からの光408は、反射器1060で、光感知電子素子1064方向に反射させてもよい。この反射光を、図中の矢印1080で示す。さらに他の実施形態(不図示)では、図4乃至図6に示されたものと同様の、導波路と光感知電子素子の組み合わせは、アレイ下部に位置する保護用遮蔽体1002に組み込んでもよい。
【0078】
次に、保護用遮蔽体1002の作製について簡単に説明する。ピクセル404を形成後、基板405及びピクセル404の上に、保護用遮蔽体1002の第1の部分を形成する。光感知電子素子1064は、シリコン材料のプラズマ化学気相蒸着又は物理蒸着によって形成することができる。適切なn型ドーピング及びp型ドーピングは、蒸着の途中に本来の場所で行ってもよいし、また、蒸着後に行ってもよいし、あるいはそれらを組み合わせて行ってもよい。光感知電子素子1064をパターニングするために、場合によっては、エッチング工程が用いられる。この光感知電子素子1064の上方に、遮蔽体材料をもう1層形成し、保護用遮蔽体1002の形成が完了する。この電子装置1000のユーザは、ユーザ側320を見ることになる。
【0079】
導波路と光感知電子素子とが、光感知電子素子1064の代わりに、組み合わせて形成される場合は(図10に不図示)、作製工程は場合によっては異なる。ピクセル404の形成後、基板405及びピクセル404上に、保護用遮蔽体1002の第1の部分が形成される。導波路用の材料は、窒化シリコン材料のプラズマ化学気相蒸着又は物理蒸着によって形成することができる。次に、この窒化シリコン材料に対して、導波路を形成するために、場合によってはパターニングが行われる。光感知電子素子は、シリコン材料のプラズマ化学気相蒸着又は物理蒸着によって形成することができる。適切なn型ドーピング及びp型ドーピングは、蒸着の途中に本来の場所で行ってもよいし、蒸着後に行ってもよいし、あるいはそれらを組み合わせて行ってもよい。導波路上のシリコン材料を除去するために、研磨工程を用いてもよい。その後、パターニングを行うことによって、光感知素子の外側の縁(導波路と接触しない側の縁)を形成することができる。この光感知電子素子及び導波路の上に、保護用遮蔽体の残りの部分を形成し、保護用遮蔽体層の形成が完了する。他の方法では、光感知電子素子は、導波路の形成前に形成してもよい。
【0080】
他の作製方法や手順を実行することも可能である。例えば、導波路と光感知電子素子とは、ピクセル404から離れた保護用遮蔽体の中に作製してもよい。この導波路と光感知電子素子とを組込んだ保護用遮蔽体は、場合によっては、後で基板405に取り付けられる。この導波路と光感知電子素子との形成条件は、ピクセル404内で用いられる材料によって決まる条件には制限されない。さらに他の実施形態では、他の材料を、この導波路に用いてもよい。導波路用材料の一部については、既に説明を加えた。
【0081】
さらに他の実施形態(不図示)では、光感知素子のアノード、又はカソード、あるいはこれらの任意の組合せは、ピクセル404からの光に対して透明でもよい。この実施形態では、反射器は必ずしも必要ではなく、また、光感知電子素子、あるいは光感知電子素子と導波路との組合せは、電子装置1000におけるピクセル404とユーザ側320との間には必ずしも位置しない。
【0082】
他の実施形態においては(不図示)、光感知電子装置720又は光感知電子素子1064は、行、又は列、あるいはその両方に配列した一連の光感知電子素子を備えることが可能である。さらに他の電子装置では(不図示)、各ピクセル404は、それぞれが対応する光感知電子素子を有してもよい。各ピクセルに光感知素子とそれに対応する光感知素子とが含まれる場合は、光感知電子素子の一方の電極、又は両方の電極は、透明でもよい。光感知電子素子の数が増加すれば、それに伴う回路の数や他の電気接続も、設計の複雑さやコストを増加させる可能性がある。本明細書の記載から、当業者は、どのような光感知構成ならばその当業者の必要性や要求に適合するかを判断できる。
【0083】
3.較正中に電子装置を使用する方法及び通常動作モード
図11は、光感知装置と較正中の電子装置及び較正動作中の工程フローチャートとを説明するための複合型の断面図である。図11に示す較正システムを使用して較正データを収集することができる。電子装置700は、ピクセル404が有機的に形成される基板405で構成されている。1つの実施態様においては、ピクセルは、複数の行と列とから成るアレイに配置されている。ピクセル404はそれぞれが、少なくとも1つの発光電子素子で構成されている。白黒表示の場合、各ピクセルは、発光電子素子を1つだけ備えている。フルカラー表示の場合、各ピクセルは、赤色発光電子素子と緑色発光電子素子と青色発光電子素子とを備えている。白黒表示の場合、光感知装置800は、一種類の光感知電子素子だけを備えている。光感知電子素子864と導波管820とについては上述した。
【0084】
電子装置700が作製されると、ピクセル404はオンになり光408を発光する。1つの実施態様においては、ピクセル404アレイ全体が起動される。他の実施態様においては、アレイの一部、例えば、1つの行とか列とか4分区間あるいはそれらの組合せ部分が起動される。ピクセル404を制御する信号が算出されて、所望の発光強度が達成される。室内表示の場合、発光強度は200cd/m2くらいである。フルカラー室内表示の場合、発光強度は、赤色で50cd/m2くらい緑色で100cd/m2くらい青色で50cd/m2くらいである。室外表示の場合、発光強度は5〜10倍高くなる。他の実施態様においては、所定の信号レベルでピクセル404を起動する。
【0085】
光感知電子素子864から1つ又は複数の信号が電荷積分器又はI−V変換器、ここでは、積分器1102へ送信される。1つの実施態様においては、積分器1102は、演算増幅器あるいは差分増幅器でよい。積分器1102が差分増幅器の場合、積分器の他の入力端子(不図示)が低電圧に接続される。抵抗性電子素子は、1つの端子が積分器1102の入力端子に接続され、他の端子が積分器1102の出力端子に接続される。積分器1102の出力は、1つの実施態様においては電圧であり、メモリ1104に送信される。1つの実施態様においては、メモリ1104はレジスタかランダムアクセスメモリかハードドライブなどである。元のリーディングは、VrefとVO(tM)として記憶領域1104に記憶される。他の実施態様においては、Vref、VO(tM)又はその双方が (図12を参照して説明した)分圧器に送信される。表示が1種類以上の発光電子素子を備えている場合、上記の方法が、異なる種類の発光電子素子1つ1つに対して繰り返される。1つの実施態様においては、アレイは、赤色電子素子と緑色電子素子と青色電子素子とで構成される。したがって、Vref-redとVO-red(tM)とVref-greenとVO-green(tM)とVref-blueとVO-blue(tM)とが記憶される。
【0086】
次の較正処理では、元来Vrefを示す制御信号と同一の制御信号が使用される。光感知電子素子864は、第1較正シーケンスの場合と同様に、ピクセル404から光408の少なくとも一部を受信する。光感知素子864からの出力は、積分器1102によって受信される。積分器からの出力はVO(tM)として記憶される。他の実施態様においては、VO(tM)は分圧器1224(図12参照)へ送信される。しかし、Vrefは変化しない。ピクセル404における光発光電素子が劣化あるいは経年変化するにつれて、VO(tM)の値は、一般的に使用や経年、又はその双方と共に低下する。
【0087】
図12は、較正後の電子装置とこの電子装置の通常(例えば、表示)動作中の工程フローチャートとを説明するための複合型の断面図である。較正中に生成された値を使用して表示に搭載された電子素子の劣化あるいは経年変化を補償するために表示へ出力された信号を調整する方法を示している。映像入力信号は、表示制御器1222によって受信される。映像入力信号は、電子装置700の表示に示す画像などの情報に対応する。1つの実施態様においては、映像入力信号は、電流Is(t)である。表示制御器は電流を電圧Vs(t)へ変換する。他の実施態様においては、映像入力信号は、電圧Vs(t)であり、したがって、映像入力信号の電流から電圧への変換は必要ない。表示がフルカラー表示の場合、1つ又は複数の映像入力信号が受信されるか、又は1つ又は複数の表示制御器出力が映像入力信号から生成される。この実施態様においては、VO(tM)は較正値である。1つ又は複数の較正値が使用される。1つの実施態様においては、較正値の数はアレイ内のピクセル404の数より少ない。
【0088】
表示制御器からの出力は、分圧器1224へ送信され、分圧器1224によって受信される。分圧器1224は、VrefとVO(tM)とを記憶するためのレジスタを備えている。さもなければ、分圧器1224は、Vref、VO(tM)又はその双方の数値を持合わせていない場合、記憶領域1104にアクセスして求めるか、記録領域1104から受信する。1つの実施態様においては、Vref/VO(tM)は調整係数である。1つ又は複数の調整係数が使用される。1つの実施態様においては、調整係数の数はアレイ内のピクセル404の数より少ない。
【0089】
分圧器1224は、表示制御器からの出力信号(例えばVs(t))を調整係数(例えばVrefのVO(tM)による商)で乗ずる。1つの実施態様においては、分圧器1224は、信号を調整してピクセル404の状態を最も新しい較正状態として反映させる。分圧器1224からの出力は、データドライバ1226へ送信され、データドライバ1226によって受信される。1つの実施態様においては、データドライバ1226は、従来型のものでありライン毎の走査によって動作する。ピクセル404が赤色発光電子素子と緑色発光電子素子と青色発光電子素子を含む場合、上記の方法は、異なる種類の発光電子素子1つ1つに対して繰返される。他の回路(例えば、行ドライバ)を使って信号を同期させて、適切な発光強度の正しい画像などの情報を電子装置700のユーザに表示する。
【0090】
他の電子装置用の較正手順を同様に実施することができる。1つの実施態様においては、図1に示すように、ダミー表示162を使用すれば、外部機器を使用しなくても、又は電子装置のユーザに表示された画像などの情報を妨害することなく、較正が可能である。他の実施態様においては、ダミー表示162は、ユーザ表示120と同じ信号の、少なくとも一部を使用可能である。例えば、最初の段階で、ダミー表示162は、ユーザ表示120内の1番目の列のピクセルを駆動するために使用されるのと同じ信号を使用する。次の段階で、ダミー表示162は、ユーザ表示120内の2番目の列のピクセルを駆動するために使用されるのと同じ信号を使用する。このように、ダミー表示162は、ユーザ表示120の平均的な駆動状態を反映する。
【0091】
さらに他の実施態様においては、ダミー表示162は、ユーザ表示120内に存在するピクセルアレイ内の対物線上のピクセルからのと同じ信号を使用する。さらに他の実施態様においては、ダミー表示162は、ユーザ表示120内の無作為に選択されたピクセルからのと同じ信号を使用する。無作為に選択されるピクセルは定期的に変更される。さらに他の実施態様においては、ダミー表示162内のピクセルは、ユーザ表示120内のピクセルの平均化された値(例えば、平均値、幾何平均、中央値など)を反映する信号によって駆動される。例えば、ダミー表示162内の第1行のピクセルは、ユーザ表示120内の第1行のピクセルからの信号の平均値を反映する信号によって駆動される。さらに他の実施態様においては、ダミー表示162は、ユーザ表示120の長さに相当する長さを有する。他にも多数の実施態様が可能であるが、全てを列記するのは不可能に近い。本明細書の記載から、当業者ならば、ダミー表示162を使用して、ユーザ表示120内のピクセルの劣化状態や経年変化状態を少なくとも部分的には再現できることが認識できる。
【0092】
4.ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア
上述した方法は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組合せにおいて実現可能である。
【0093】
図17は、データ処理システムを有する電子装置の概略図で、図1を参照して上述したユーザ表示120を有する電子装置1700を示している。この電子装置1700は、さらに、二方向でユーザ表示120に接続されたデータ処理システム1710と光感知電子装置1762とを含んでいる。本実施態様においては、光感知電子装置1762は、電子装置1700から物理的に分離される。1つの実施態様においては、光感知電子装置1762は、デジタルカメラである。他の実施態様においては、電子装置1700は、1つ又は複数の光感知素子を含んでいる。
【0094】
データ処理システム1710は、中央処理部(CPU)1720、1つ又は複数のリードオンリメモリ(ROM)1722、ランダムアクセスメモリ(RAM)1724、及び同期ユニット1726を含んでいる。同期ユニット1726は、表示120と光感知電子装置1762とに送信される信号のタイミングを制御するために使用される。同期ユニット1726は、専用のクロック(不図示)を所有するか、又は、データ処理システム1710のクロック(不図示)を使用する。同期ユニット1726は、従来からあるものであり事象管理部とも呼ばれる。1つの実施態様においては、1つ又は複数のタイマを使用して光感知電子装置1762へ送信される信号を遅延させて、光1782が光感知電子装置1762によって受信される時に、表示120が確実にオンとなり光(波線1782で示す)を発光するようにする。
【0095】
電子装置1700は、さらに、1つ又は複数の入出力ポート(I/O)1742を含んでいる。入出力ポート1742に接続可能な装置は、どの1つ又は複数のハードディスク(HD)1764、キーボード、モニタ、プリンタ、電子ポインティングデバイス(例えばマウスやトラックボール)等を含むことができる。図示の実施態様においては、入出力ポート1742は、二方向でCPU1720、同期ユニット1726、光感知電子装置1762、及びHD1764に接続される。
【0096】
その他の実施態様は多数可能である。1つの実施態様においては、表示120を、複数の光感知素子を有するセンサアレイに置換えることができる。また、光感知電子装置1762は、1つ又は複数の光源を含む他の電子装置に置換えることができる。
【0097】
他の実施態様においては、データ処理システム1710の一部、又は全ては、電子装置1700の外部に常駐させても、させなくてもよい。例えば、データ処理システム1710は、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータである。ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組合せの実際の構成は、部分的には実際の電子装置に依存する。例えば、電子装置1700は、携帯端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、ポケットベル、携帯電話(例えば、セル方式携帯電話)等を含むことができる。したがって、電子装置1700は、HD1764を含んでいてもいなくてもよい。さらに他の実施態様においては、データベース(不図示)が入出力ポート1728のいずれかを介して電子装置1700に接続される。これによって、HD1764の必要性がなくなる可能性がある。
【0098】
本明細書の記載から、当業者ならば、他にも多数の構成が可能であり、それら全てを列記することは不可能に近いことが認識できる。また、データ処理システム1710あるいはその変形例を他の表示と先述のセンサ構成とともに使用することができる。
【0099】
本明細書に記載の方法は、ROM1722、RAM1724、HD1764、又はそれらの組合せの内部に常駐する適宜のソフトウェアコードにおいて実現される。上記の種類のメモリの他に、実施態様で使用される命令を、他のデータ処理システム可読記憶媒体に格納してもよい。あるいは、命令を記憶領域ネットワーク、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、電子リードオンリメモリ、光学記憶装置、CD−ROM、他の適宜のデータ処理システム可読媒体、記憶装置、又はそれらの組合せに、常駐のソフトウェアコードとして記憶される。本明細書で述べるメモリには、CPU1720で読み取り可能な媒体も含まれる。したがって、メモリはそれぞれがデータ処理システム可読媒体を備えている。本明細書においては、ファームウェアはデータ処理システム可読媒体と見なされる。
【0100】
本明細書に記載の方法の一部は、その方法を実施するための命令から成る適宜のソフトウェアコードにおいて実現される。1つの実施態様においては、命令は、ソースコード列か目的コード列かアセンブリコード列である。特定の実施態様においては、命令は、C++やJava(登録商標)などの言語のコンパイル済みコード列である。コードは、1つ又は複数のデータ処理システム可読媒体内に格納される。
【0101】
データ処理システム1710の機能は、データ処理システム1710に実質的に同一の他の装置、又はコンピュータやサーバブレードなどによって部分的に実行される。さらに、そのようなコードを備えたソフトウェアは、1つ又は複数のデータ処理システムにおける1つ又は複数のデータ処理システム可読媒体において実現される。
【0102】
電子装置1700内の通信、又は電子装置と光感知電子装置1762等の他の電子装置との間の通信は、無線周波数信号、電子信号、又は光学信号を使用して行なわれる。ユーザが電子装置1700のユーザの場合、電子装置1700は、ユーザに通信を送信するときは、人間に理解できる形式に信号を変換し、ユーザからの入力を電子装置1700が使用する適切な信号へ変換してもよい。
【0103】
図18は、図17に示すデータ処理システムで実行可能な動作を説明するためのフローチャートに示す図である。使用可能な1つの実施態様のフローチャートである。データ処理システム1710は、プログラムして動作に対応する命令を含むことのできるコードを介してフローチャートにある動作を実行することができる。コードは、ピクセル集合に関するデータにアクセスする命令を含むことができる。その際、データは、ピクセル集合から発光される光、又はピクセル集合によって感知される光に対応する(図18のブロック1822)。
【0104】
1つの実施態様においては、情報は、ピクセル集合が起動されている間にそのピクセル集合から収集されたデータに対応する。ピクセル集合は、表示120内のピクセル全て、又は1つ又は複数の行、1つ又は複数の列、象限等の表示120内のピクセルの部分集合を含むことができる。図17を参照すると、同期ユニット1726は、信号を送信して(CPU1720を介して)表示120内のピクセル集合を起動し、さらに信号を光感知電子装置1762へ送信して、表示120内のピクセル集合から発光される光に対応するデータの収集を開始させるように構成される。同期ユニット1726によって、ピクセル集合の起動とデータ収集とが確実に少なくとも一時点において同時に実行される。
【0105】
他の実施態様においては、表示120はセンサアレイに置換えられ、光感知電子装置1762は、1つ又は複数の光源に置換えられる。本実施態様においては、同期ユニット1726は、信号を送信して光源(単数又は複数)を起動し、(CPU1720を介して)センサアレイ内のピクセル集合を起動するように構成される。ピクセル集合は、光源から発光される光に対応するデータを収集する。同期ユニット1726によって、光源の起動とピクセル集合の起動とが確実に少なくとも一時点において同時に実行される。
【0106】
アクセスは、メモリ(例えば、RAM1724、HD1764、データベース、記憶領域ネットワーク等)から収集又は取り出す際にデータを取得することを含んでいる。したがって、「アクセス」は、広く解釈すべきである。
【0107】
コードは、データに対応する少なくとも1つの較正値を判定する命令を含んでいる(ブロック1842)。1つの実施態様においては、較正値の数(単数又は複数)は、集合に属するピクセル数より少ない。コードは、さらに較正値(単数又は複数)と他の値とを比較する命令を含んでいる(ブロック1844)。
【0108】
コードは、さらに、較正値(単数又は複数)が、所定の量を超えて他の値と異なる場合に少なくとも1つの調整係数を変更する命令を含んでいる(ブロック1862)。1つの実施態様においては、調整係数の数(単数又は複数)は、集合に属するピクセル数より少ない。コードは、調整係数を第1入力信号で乗じて第1出力信号を取得する命令(ブロック1864)と、第1出力信号を増幅して第2出力信号を取得する命令(ブロック1866)とをさらに含んでいる。
【0109】
5.その他の実施態様
上述した実施態様は、AMOLED表示に最適である。さらに、本明細書に説明した概念は、他の種類の発光電子素子に適用できる。他の発光電子素子には、電球、III−VやII−VIベースの無機発光素子などの無機LEDを含むことがある。1つの実施態様においては、発光電子素子は、可視光スペクトル内の光を発光してもよい。また、他の実施態様においては、発光電子素子は、可視光スペクトル外の光(例えばUVやIR)を発光してもよい。この実施態様は、受動マトリックス表示に使用してもよい。
【0110】
他の実施態様においては、本明細書に記載の概念は、他の種類の電子装置に拡張適用してもよい。1つの実施態様においては、センサアレイは、光感知電子素子アレイを含んでもよい。1つの実施態様においては、異なる光感知電子素子は、同一又は異なる活物質を有してもよい。これらの活物質の感受性は、時間とともに変化する。光感知電子素子の場合、(較正を繰り返しても)ほぼ一定の発光強度の光源を使用してピクセル404を照射することができる。各ピクセルは、1つ又は複数の光感知電子素子を含んでいる。ピクセル404によって生成された電子信号は、積分器1102へ送信される。通常の(感知)動作においては、調整係数は、感知増幅器又はその他の回路によって電子素子の劣化や経年変化を補償するために使用することができる。発光電子素子を備えた電子装置と同様に、光感知電子素子を備えた電子装置は、耐用年数が長い。
【0111】
図示してはいないが、光感知電子素子は、(ユーザ表示であれダミー表示であれ)表示の上部に直接設置することができる。本実施態様においては、反射器や導波路は必要ない。
【0112】
さらに他の実施態様においては、電子装置は、発光素子及び光感知素子が同一のアレイに配置することができる。
【0113】
ここに記載した方法の一部あるいは全部は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組合せにおいて実施できる。ソフトウェアの場合、本方法に対応する命令は、アセンブリコード列、又はC++言語、Java(登録商標)言語又はその他の言語のコンパイル済みコード列でもよい。コードは、データ処理可読媒体、ハードディスク、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光学記憶装置、ネットワーク化記憶装置、ランダムアクセスメモリ、又はその他の適宜のデータ処理システム可読媒体又は記憶装置に常駐させてもよい。データ処理システム可読媒体は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等のデータ処理システムで読取ってもよい。
【0114】
6.効果
ここに記載した1つ又は複数の実施態様は、電子機器の耐用年数を延ばすことができる。較正方法は、アレイ全体又はその一部に対して較正値を1つだけ生成する。較正データは、ピクセル毎に収集されるわけではないので、較正手順は、より迅速に実行され、しかもあまり多いメモリを必要としない。同様に、アレイ全体又はその一部に対して使用する調整係数は、1つだけでよい。調整係数(単数又は複数)は、ピクセル毎に適用されるわけではないので、あまり多いメモリは必要ではない。較正モード及び通常(例えば表示)モードは、より高速かつ低電力で実行される(記憶及び取り出すデータが少ないため)。
【0115】
フルカラー表示では、それぞれのピクセルは、それぞれ赤色と緑色と青色とを発光する3個のサブピクセルを含んでいる。3色のサブピクセルの集合は、経年変化の機序や経年変化率が異なる可能性がある。上述した較正手順は、3原色のエミッタセットにも拡張適用される。エミッタセット内のサブピクセル強度を較正するとき、フルカラー表示の白色バランスも維持される。
【0116】
1つの実施態様において、較正方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組合せにおいて実施することができ、ユーザ表示120に使用される基板を変更することはない。他の実施態様においては、ユーザ表示120に使用される基板を変更することなしに、光感知電子素子を基板又は保護シールドに追加することができる。
【0117】
さらに他の実施態様においては、ダミー表示162は、電子装置の視野122内にあっても、なくてもよい。1つの特定の実施態様においては、ダミー表示162は、電子装置の視野122の外側にある。ダミー表示162の使用は、ユーザにははっきりとは感知されない。これは、電子装置の箱体などの部分がダミー表示162とユーザとの間に存在するからである。較正手順は、たとえユーザ表示120が使用中であっても(電子装置のユーザに画像などの情報を表示している時)ほぼいつでも実行可能であるが、これは、ダミー表示が視野122の外側に存在するからである。
【0118】
実施例
以下に説明する具体的な実施例は、本発明を説明するためのものであり、その範囲を制限する意図はない。
【実施例1】
【0119】
実施例1では、補償装置と方法によって、発光電子素子の耐用期間を通してより一定した発光強度が実現できることを示している。ポリマー活性層を形成する2個のOLEDは、従来の手順で製作される。ガラス/ITOは、基板と透明陽極として使用される。ポリアニリンの薄層あるいはポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の薄層をガラスあるいはITO上に蒸着する。次に、ポリフルオレン系有機活性層は、ポリアニリン又はPEDOTの薄層上に蒸着する。Ba/Alの金属薄層は、ポリフルオレン有機活性層上に真空蒸着され、陰極として機能する。電子装置から発光される光の色は、有機活性層内の物質の光電特性に依存する。1つの電子装置を従来の駆動方法、すなわち、約7mAの定電流で作動する。他の電子装置は、上述した方法などの補償駆動方法を使用して作動させ、発光強度を一定に保つ。
【0120】
図13は、通常の定電流駆動スキームを使用した場合の発光強度と動作電圧との関係を示す図である。従来の駆動方法では、発光強度が耐用期間中に約50%も変動することを示している。図14は、本明細書で説明する方法を用いた場合の発光強度と動作電圧との関係を示す図である。ある補償駆動方法では、電子装置の動作耐用期間中の発光強度の不均一性が0.4%未満であることを示している。
【実施例2】
【0121】
実施例2では、本明細書に開示された方法は、電子素子の経年変化を補償するばかりでなく、他の原因、例えば、ピクセル駆動回路内の電子素子の経年変化に起因する最大強度変化も補償することを示している。実施例2は、また、図8に示す構成を使用して、10×10マトリックスOLED表示の光強度を測定できることを示している。ある実施態様においては、マトリックスは能動マトリックスであり、他の実施態様においては、マトリックスは受動マトリックスである。
【0122】
図15は、ピクセル駆動回路及び発光素子の回路図である。パワートランジスタ1502、容量性電子素子1504、スイッチ1506、及び有機電子素子1508を有する電子装置1500の回路図を示している。有機電子素子1508は、発光電子素子、光感知電子素子等でもよい。1つの実施態様においては、電子装置1500は、図15に示すように回路のアレイを含んでいる。アレイ内の他の有機電子素子はそれぞれ、有機電子素子1508と実質的に同一である。また、各有機電子素子と共に使用される回路構成図は、図15に示したものと実質的に同一である。データドライバ1226(図12に示す)からの信号は、データ線を介して送信され、図15に示すように回路にVDLと受信される。選択信号VSLがスイッチ1506によって受信されると、VDL信号は、容量性電子素子1504とパワートランジスタ1502の制御電極(例えばゲート電極)とに送信され受信される。
【0123】
1つの実施態様においては、パワートランジスタ1502は、pチャネル金属−絶縁物−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)であり、スイッチ1506はnチャネルMISFETである。他の実施態様においては、パワートランジスタ1502は、nチャネルMISFET、接合型電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ等、ほぼいかなる種類のトランジスタでよい。電界効果トランジスタの場合、電界トランジスタは、nチャネル型、pチャネル型、エンハンスメントモード又はデプレッションモードのものが使用できる。バイポーラトランジスタの場合、バイポーラトランジスタは、pnp型又はnpn型でもよい。スイッチ1506は、前述の1つ又は複数のトランジスタ、1つ又は複数のダイオード、機械的スイッチ、電子機械的スイッチ、又はそれらの組合せでもよい。
【0124】
1つの実施態様においては、能動マトリックス表示又は受動マトリックス表示が使用される。発光強度は一般的に次の式によって定義される。
【0125】
L=C1+C2*DL+C3*DL2+C4*DL3+… ・・・(1)
【0126】
この場合、Lは発光強度であり、VDLは、(例えばデータ線上の)データドライバから表示列へ出力されたデータ電圧であり、C1〜Cx(x=2,3,4…)は定数である。例えば、図15に示すように、2個のTFT(薄膜トランジスタ)を備えたピクセル設計の能動マトリックス表示の場合(選択信号VSLがスイッチ1506の制御電圧、Vddが陽極電圧、Vssが陰極電圧、VDLがデータドライバから出力されたデータ電圧(すなわちデータ線上の電圧)である時)、Vssがパワートランジスタ1502の必要とされる飽和電圧と発光電子素子の電圧低下の差の値より小さい場合、発光強度は次のように表される。
【0127】
L=a*(b−Vdatags2 ・・・(2)
【0128】
ここでVdatags(VDL−Vdd)は、パワートランジスタ1502のゲートとソースとの間の電圧であり、aとbとは、チャネル領域内の電荷キャリア移動度、チャネル長さ、チャネル幅、ゲートとチャネルとの間の絶縁体容量、パワートランジスタ1502の他の物理的及び電気的特性、又はそれらの組合せに依存する定数である。1つの実施態様においては、Vddは、ほぼ0ボルトである。したがって、Vdatags=VDLである。
【0129】
式(2)からわかるように、較正で判定する必要があるのは、2つのパラメータ(aとb)だけである。2組のデータ(L1とV1datags(又はVDL1)及びL2及びV2datags(又はVDL2))が、較正の間に測定されるか収集されれば、aとbのパラメータは算出できる。1つの実施態様においては、8ビットデータ入力が使用され、したがって、256の階調レベルが達成される。この実施態様においては、光センサはLgl1からLgl256までの256個のL値を収集して、メモリ1104に記録する。特定の入力データ(映像)に対しては、これに対応するピクセルの階調を表す較正されたLがメモリ1104から取り出され、VDLが等式2から判定されデータドライバ1226によって送信される。
【0130】
1つの実施例においては、センシングモードは較正シーケンスの際に使用される。IRefは、表示パネルの目標発光強度に使用される電流である。目標発光強度で長期に亘ってほぼ一定の表示強度を達成するために、発光強度較正を実行して変数VO(tM)を取得する。センシングモードでは、電圧変動VO(tM)は表示コントローラのメモリ領域に記録される。
【0131】
図16は、較正中の電子装置とこの電子装置の較正動作中の工程フローチャートとを説明するための複合型の断面図で、電子装置700における較正処理中の部分フローチャートと組合せて図8に示した較正システムの説明を含んでいる。
【0132】
図16に示すフローチャートは、図11に類似しているが、より詳細なものを含んでいる。まず、スイッチ1602と1604とは閉になっている。スイッチ1604は、較正処理中は閉じられたままである。デフォルトの較正電圧(Vc)1606は、スイッチ1602を介してデータドライバ1620へ供給することができる。データドライバ1620は、1つ又は複数の信号をアレイ内のピクセル404へ送信することができる。ピクセル404が起動されると、光408は、ピクセル404から発光され、光の少なくとも一部が導波路820に沿って光感知電子素子864へ送信される。光感知電子素子864からの信号は、次に、積分器1102へ送信され受信される。この例では、IM(tM)は、積分器1102からの出力信号である。信号はスイッチ1604を通過して、IM(tM)が許容範囲内であるかどうかが判断される。1つの実施態様においては、IM(tM)は、基準電流Iref±所定値(例えばIref±4%)である必要がある。さもなければ、ピクセル404の出力信号は、その範囲内にはない(ダイアモンド1624の「いいえ」のブランチ)。スイッチ1602は、開かれ、スイッチ1608は閉じられる。データドライバ1620への電圧信号は、新たなVO(tM)(ブロック1626)に変わる。データドライバ1620は、新しいVO(tM)を使用して発光強度を増加又は低下させる。IM(tM)が許容範囲に入るまで、ループは繰返される。IM(tM)が許容範囲内(ダイアモンド1624の「はい」のブランチ)にある場合は、最新値VO(tM)は、メモリ1104に格納される。次にスイッチ1608と1604とは開かれ、第1較正サイクルは終了する(ブロック1644)。
【0133】
較正シーケンスを開始すると(ブロック1662)、その較正シーケンスが最初のシーケンス(tM=0)かどうかが判定される(ダイアモンド1664)。最初のシーケンス(はい)であれば、スイッチ1602は閉じられる(オン)(ブロック1666)。その後の較正シーケンス(ダイアモンド1664の「いいえ」のブランチ)の場合、スイッチ1602は開かれる(オフ)(ブロック1668)。その後較正処理は、較正の開始にはデフォルト値1606ではなくメモリ1104からの値が用いられることを除けば、ほぼ上述の通りに実行される。
【0134】
図16を参照して説明したロジック及び他の処理等は、電子装置700内の回路構成図によって、較正システム用の別個の装置内、リモートコンピュータ(不図示)内、又はそれらの組合せの中で実行してもよい。本明細書を一読すれば、当業者には、これが上述のような電子装置で使用可能ないくつかの較正処理の1つに過ぎないことは認識できる。明らかに、他の較正処理を検討して使用してもよい。当業者であれば、表示の均一性レベルは、基準電圧の許容範囲を変更するだけで、高くも低くもできることは認識できる。
【0135】
表示モードでは、本方法は、図12を参照して記述したものと実質的に同じである。1つの実施態様においては、データドライバ1226(図12に示す)からの信号はデータ線を通り、図15にVDLとして示す回路に受信される。選択信号VSLが、スイッチ1506に受信されると、VDL信号は、容量性電子素子1504及びパワートランジスタ1502の制御電極(例えば、ゲート電極)とに送信され、受信される。
【0136】
1つの実施態様においては、フォトダイオードが(公称)9インチのAMOLEDパネルの前面に搭載される。周囲光強度を判定し、確実に較正目的に許容可能なレベル以下にすることができる。発光素子及びその他の電子素子が使用され経年しても、安定した最大表示強度が電子装置の耐用期間を通して達成できる。
【実施例3】
【0137】
実施例3は、図1と図2で開示された補償方法と装置とが、AMOLED表示において実施でき、安定的な最大発光強度を提供することを示している。本実施例3に示した他の電子装置は、QVGA形式(320×RGB×240ピクセル)の4インチ(公称)AMOLEDユーザ表示を含んでいる。電子装置は、さらに10×RGBの列を表示の両側にダミー表示として含んでいる。ダミー表示は、ユーザ表示の中央部分と同じデータ信号で作動する。ダミー表示の最大発光強度は、所定の期間測定され、その変化量によってダミー表示とユーザ表示の双方の発光強度が調整される。安定的な最大発光強度は、ダミー表示とユーザ表示の双方において達成できる。
【実施例4】
【0138】
実施例4は、本明細書に開示された強度補償機構を備えたOLED表示が、ユーザにより予め設定された異なる光強度で使用でき、随時変更できることを示している。本実施例4は、Vrefを手動で変更して、表示の異なるユーザが所望する発光強度調整を反映させる点を除けば、実施例3と類似している。最大発光強度は、新しいVref値が設定されるまでその設定値のままである。例えば、図1又は図2に示した実施態様を使用すると、ユーザはOLED表示を300cd/m2に設定すると、ダミー表示は自動的に較正され、所望のVref値が判定される。すると、図12に示すように、分圧器1224からの電圧(=Vs(t)×Vref/VO(tM))がデータドライバ1226を介してユーザ表示へ送信される。
【0139】
上述した概要及び実施例の動作の全てが必要とされるわけではなく、特定の動作の一部は必要とされないことがあること、及び更なる動作が上述したものに追加して実行してもよいことに留意すべきである。さらに、各動作を列記した順序は、必ずしも実行する順序ではない。本明細書の記載から、当業者であれば、特定の必要性又は要望について、どの動作が使用できるかを判定することはできるであろう。
【0140】
上述した本明細書において、本発明は、特定の実施態様に関して説明してきた。しかしながら、当業者には容易に認識できるように、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲から逸脱せずに、様々な修正や変更を加えることができる。したがって、本明細書と図面とは、限定する意図ではなく説明のためのものであり、そのような修正は全て本発明の範囲に包含されるものと解釈できる。
【0141】
特定の実施態様に関連して、利益、その他の効果、及び問題点の解決策について述べてきた。しかしながら、利益、効果、問題点の解決策、及び利益、効果又は解決策を生じさせる、又はより顕著にするいかなる要素も、請求項のいずれか、又は全ての決定的な、必要な、又は本質的な特徴又は要素と解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明に係るユーザ表示とダミー表示とを有する電子装置の一実施形態を説明するための平面図である。
【図2】本発明に係るユーザ表示とダミー表示とを有する電子装置の他の実施形態を説明するための平面図である。
【図3】アレイ状のピクセルと導波路と導波路の端部に沿った光感知電子素子とを備えた電子装置を説明するための平面図である。
【図4】アレイ状のピクセルと導波路と導波路の端部に沿った光感知電子素子とを備えた電子装置を説明するための断面図である。
【図5】アレイ状のピクセルと導波路と導波路の端部に沿った光感知電子素子とを備えた電子装置を説明するための平面図である。
【図6】アレイ状のピクセルと導波路と導波路の端部に沿った光感知電子素子とを備えた電子装置を説明するための断面図である。
【図7】アレイ状のピクセル及び別個の光感知装置を示す断面図である。
【図8】アレイ状のピクセルと別個の光感知装置及び導波路を示す断面図である。
【図9】導波路及びアレイ状のピクセルとこのアレイ端部近傍のフォトダイオードとを備えた電子装置を示す断面図である。
【図10】反射器及びアレイ状のピクセルと埋込型フォトディテクタとを備えた電子装置を示す断面図である。
【図11】光感知装置と較正中の電子装置及び較正動作中の工程フローチャートとを説明するための複合型の断面図である。
【図12】較正後の電子装置とこの電子装置の通常(例えば、表示)動作中の工程フローチャートとを説明するための複合型の断面図である。
【図13】通常の定電流駆動スキームを使用した場合の発光強度と動作電圧との関係を示す図である。
【図14】本明細書で説明する方法を用いた場合の発光強度と動作電圧との関係を示す図である。
【図15】ピクセル駆動回路及び発光素子の回路図である。
【図16】較正中の電子装置とこの電子装置の較正動作中の工程フローチャートとを説明するための複合型の断面図である。
【図17】データ処理システムを含む電子装置の概略図である。
【図18】図17に示すデータ処理システムで実行可能な動作を説明するためのフローチャートに示す図である。
【符号の説明】
【0143】
100,200,300,500,700,900,1000,1500,1700 電子装置
120 ユーザ表示
122 視野
162 ダミー表示
164 受光電子素子
264,364,522、524、526、528 光感知電子素子
402 保護層又は保護用遮蔽体
404 ピクセル
405 基板
406 アレイの端
408 光
440,820,920 導波路
720,800 光感知装置
722,822,922 端部
864,964,1064 光感知電子素子
1002 保護層又は保護用遮蔽体
1060 反射器
1102 積分器
1104 メモリ
1222 表示制御器
1224 分圧器
1226 データドライバ
1502 パワートランジスタ
1504 容量性電子素子
1506 スイッチ
1508 有機電子素子
1602,1604,1608 スイッチ
1620 データドライバ
1710 データ処理システム
1720 中央処理部(CPU)
1722 リードオンリメモリ(ROM)
1724 ランダムアクセスメモリ(RAM)
1726 同期ユニット
1762 光感知電子装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが1つ又は複数の発光素子と、1つ又は複数の光感知素子又はそれらの任意の組合せからなるピクセル集合と、
データ処理システムとを備えた電子装置であって、
前記データ処理システムは、
前記ピクセル集合に関するデータをアクセスする手段であって、該データが、前記ピクセル集合から発光される光又は前記ピクセル集合によって感知される光に対応するデータにアクセスする手段と、
前記データに対応する少なくとも1つの較正値を判定する手段であって、該少なくとも1つの較正値の数は、集合に属するピクセルの数より少ない較正値を判定する手段と、
前記少なくとも1つの較正値と他の値とを比較する手段と、
前記少なくとも1つの較正値が他の値と、所定の量を超えて異なっている場合、少なくとも1つの調整係数を変更する手段であって、該少なくとも1つの調整係数の数が、前記集合に属するピクセルの数より少ない調整係数を変更する手段とを備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記ピクセル集合は、前記1つ又は複数の発光素子からなり、
前記データ処理システムは、信号のタイミングを制御する同期ユニットを備え、
前記信号を使用して、前記ピクセル集合を起動し、該ピクセル集合から発光された光に対応するデータの収集を開始し、
前記同期ユニットは、前記ピクセル集合の起動と前記データの収集とが少なくとも1つの時点において同時に生じるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子装置は、前記データを収集し、かつ該電子装置に結合される第2電子装置をさらに備え、
該第2電子装置は、請求項2に記載の電子装置から物理的に分離されていることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
少なくとも1つの光感知素子をさらに備え、
前記少なくとも1つの光感知素子は、データを収集するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記ピクセル集合は、前記1つ又は複数の光感知素子からなり、
前記データ処理システムは、信号のタイミングを制御する同期ユニットを備え、
前記信号を使用して、光源の起動を開始し、該光源から発光される光に対応するデータの収集中に前記ピクセル集合を起動し、
前記同期ユニットは、前記光源の起動と前記ピクセル集合の起動とが、少なくとも一時点において同時に生じるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記第2電子装置は前記光源を備え、
該第2電子装置は、物理的に前記電子装置から分離されていることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記光源をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項8】
第1発光電子素子のダミー表示と、
第2発光電子素子のユーザ表示とを備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
前記ダミー表示は、第1発光電子素子のベクトルに構成され、
前記ユーザ表示は、第2発光電子素子のマトリックスに構成されていることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記ダミー表示は、前記第1発光電子素子のマトリックスに構成され、
前記ユーザ表示は、前記第2発光電子素子のマトリックスに構成されていることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項11】
前記ダミー表示は、前記電子装置の視野外に存在することを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項12】
前記ダミー表示に光学的に結合された光感知電子素子をさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項13】
前記光感知電子素子は、較正回路の一部であることを特徴とする請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記ダミー表示内の発光電子素子は、少なくとも1つの有機活性層を備えていることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項15】
1つ又は複数の発光電子素子と、1つ又は複数の光感知電子素子又はそれらの任意の組合せからなるピクセル集合を備えた電子装置を使用するコードを有するデータ処理システム可読媒体であって、
該データ処理システム可読媒体内に内蔵される前記コードは、
前記ピクセル集合に関するデータにアクセスするための命令であって、前記ピクセル集合から発光される光又は前記ピクセル集合によって感知された光に対応するデータにアクセスするための命令と、
前記データに対応する少なくとも1つの較正値を判定するための命令であって、その際、少なくとも1つの較正値の数が、集合に属するピクセルの数より少ない較正値を判定するための命令と、
前記少なくとも1つの較正値と他の値とを比較する命令と、
前記少なくとも1つの較正値が所定の量を超えて他の値と異なる場合に、少なくとも1つの調整係数を変更する命令であって、その際、少なくとも1つの調整係数の数が、集合に属するピクセルの数より少ない調整係数を変更する命令とを有していることを特徴とするデータ処理システム可読媒体。
【請求項16】
前記他の値は、前回の較正値であることを特徴とする請求項15に記載のデータ処理システム可読媒体。
【請求項17】
コードはさらに、前記少なくとも1つの調整係数を第1入力信号に乗じて第1出力信号を取得する命令を備えていることを特徴とする請求項15に記載のデータ処理システム可読媒体。
【請求項18】
コードはさらに、前記第1出力信号を増幅して第2出力信号を取得する命令を備えていることを特徴とする請求項17に記載のデータ処理システム可読媒体。
【請求項19】
前記ピクセル集合は、ユーザ表示内に1列又は1行のピクセルを有することを特徴とする請求項15に記載のデータ処理システム可読媒体。
【請求項20】
前記ピクセル集合は、ユーザ表示内の全てのピクセルからなることを特徴とする請求項15に記載のデータ処理システム可読媒体。
【請求項21】
前記ピクセル集合は、ダミー表示内の全てのピクセルからなることを特徴とする請求項15に記載のデータ処理システム可読媒体。
【請求項22】
請求項15に記載のデータ処理システム可読媒体を備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項23】
それぞれが1つ又は複数の発光電子素子と、1つ又は複数の光感知電子素子又はそれらの任意の組合せからなるピクセル集合を備えた電子装置の使用方法であって、
前記ピクセル集合が発光素子からなる場合は、
前記ピクセル集合を起動するステップと、
前記ピクセル集合から発光される光に対応するデータを収集するステップであって、その際、前記ピクセル集合の起動と前記データの収集とが少なくとも1つの時点において同時に生じるステップと、
前記ピクセル集合が光感知素子からなる場合は、
光源を起動するステップと、
前記ピクセル集合を使用してデータを収集するステップであって、その際、前記ピクセル集合は光源から発光される光に対応する光を感知し、光源の起動と前記ピクセル集合の起動とが、少なくとも1つの時点において同時に生じるステップと、
収集されたデータに対応する少なくとも1つの較正値を判定するステップであって、その際、前記少なくとも1つの較正値の数が、集合に属するピクセルの数より少ない較正値を判定するステップと、
前記少なくとも1つの較正値と他の値とを比較するステップと、
前記少なくとも1つの較正値が所定の量を超えて他の値と異なる場合は、少なくとも1つの調整係数を変更するステップであって、その際、前記少なくとも1つの調整係数の数が、集合に属するピクセルの数より少ない調整係数を変更するステップとを有することを特徴とする電子装置の使用方法。
【請求項24】
前記他の値は、前回の較正値であることを特徴とする請求項23に記載の電子装置の使用方法。
【請求項25】
前記ピクセル集合の起動は、ユーザ表示内の1列又は1行のピクセルの起動を含むことを特徴とする請求項23に記載の電子装置の使用方法。
【請求項26】
前記ピクセル集合の起動は、ユーザ表示内の全てのピクセルの起動を含むことを特徴とする請求項23に記載の電子装置の使用方法。
【請求項27】
前記ピクセル集合の起動は、ダミー表示内の全てのピクセルの起動を含むことを特徴とする請求項23に記載の電子装置の使用方法。
【請求項28】
前記発光電子素子と、光感知電子素子又はそれらの任意の組合せは、少なくとも1つの有機活性層を有していることを特徴とする請求項23に記載の電子装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−163411(P2006−163411A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352541(P2005−352541)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(500091357)デュポン ディスプレイズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】