電子装置及びその製造方法
【課題】バンプ電極の潰れ具合を均一化できるようにした電子装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】封止板40と、封止板40の表面に形成されたバンプ電極43と、封止板40に形成された凸部41bと、を備え、凸部41bは、バンプ電極43が配線35に接合される際に基板1表面に接触してバンプ電極43の潰れ具合を決定する。このような構成であれば、凸部41bで囲まれた領域において、複数個のバンプ電極の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極と配線との接触面積のばらつきを少なくすることができる。バンプ電極と配線との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極と配線との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。
【解決手段】封止板40と、封止板40の表面に形成されたバンプ電極43と、封止板40に形成された凸部41bと、を備え、凸部41bは、バンプ電極43が配線35に接合される際に基板1表面に接触してバンプ電極43の潰れ具合を決定する。このような構成であれば、凸部41bで囲まれた領域において、複数個のバンプ電極の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極と配線との接触面積のばらつきを少なくすることができる。バンプ電極と配線との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極と配線との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びその製造方法に関し、特に、バンプ電極の潰れ具合を均一化できるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット式記録ヘッドにおいて、圧電素子を駆動するための回路(以下、ドライバ回路という。)はIC素子として別基板に製造されたものが記録ヘッドに装着され、各圧電素子とIC素子との接続はワイヤーボンディングで行われている。しかしながら、インク液を吐出するノズル開口部は高密度化が進んでおり、ワイヤーボンディングによる上記の接続は限界に近づきつつある。
このような問題に対し、ドライバ回路を別基板に形成するのではなく、例えば特許文献1に開示されているように、記録ヘッドを構成する流路形成基板に直接形成することを行えば、ワイヤーボンディングに依らずにドライバ回路と圧電素子とを電気的に接続することが可能となるので、ノズル開口部の高密度化に対応することが可能となる。
【0003】
また、ドライバ回路と圧電素子を電気的に接続する端子の形成方法として、例えば特許文献2に開示されているような方法がある。このような方法によれば、バンプ電極を介して、ドライバ回路と圧電素子とを電気的に接続することができる。ワイヤーボンディングよりも狭ピッチに、且つ、厚さを抑えて上記の接続を実現することができるので、ノズル開口部を高密度化することができ、さらに、インクジェット式記録ヘッドの小型化を進展させることができる。
【特許文献1】特開2001−205815号公報
【特許文献2】特開2005−101527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば特許文献2等に開示された方法では、バンプ電極を配線等に接合する際に、接合圧力によってバンプ電極の潰れ具合が変化する。このため、接合圧力のばらつきが大きいと、基板面内やバッチ間でバンプ電極の潰れ具合が不均一となり、インクジェット式記録ヘッドの歩留まりと、電気的接続の信頼性が低下する可能性があった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、バンプ電極の潰れ具合を均一化できるようにした電子装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔発明1〜5〕 発明1の電子装置は、第1基板、を含み、前記第1基板は、前記第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極と、前記第1基板に形成された当接部と、を備え、前記当接部は、前記バンプ電極が他の基板の所定領域に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とするものである。
発明2の電子装置は、発明1の電子装置において、前記バンプ電極を複数個備え、前記当接部は、前記第1基板の一方の面内で前記複数個のバンプ電極を囲むように配置されていることを特徴とするものである。
【0006】
発明3の電子装置は、発明1又は発明2の電子装置において、前記第1基板の一方の面に形成された集積回路、をさらに備え、前記バンプ電極は前記集積回路に接続していることを特徴とするものである。ここで、集積回路は、例えば、インクジェット式記録ヘッドを駆動するためのドライバ回路である。
発明4の電子装置は、発明1から発明3の何れか一の電子装置において、前記他の基板として第2基板、を含み、前記第2基板は、前記第2基板の一方の面に形成された配線、を備え、前記第1基板の一方の面が前記第2基板の一方の面に対向し、前記当接部が前記第2基板に接触した状態で、前記配線に前記バンプ電極が接合されていることを特徴とするものである。
【0007】
発明5の電子装置は、第2基板、を含み、前記第2基板は、前記第2基板の一方の面に形成された配線と、前記第2基板に形成された当接部、とを備え、前記当接部は、他の基板の一方の面に形成されたバンプ電極が前記配線に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とするものである。
発明1〜5の電子装置によれば、例えば、第1基板の一方の面に形成された複数個のバンプ電極を、第2基板の一方の面に形成された配線にそれぞれ接合する際に、これらバンプ電極の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極と配線との接触面積のばらつきを少なくすることができる。これにより、バンプ電極と配線との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極と配線との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。よって、電子装置の歩留まりと信頼性の向上に寄与することができる。
【0008】
〔発明6〜10〕 発明6の電子装置は、発明4又は発明5の電子装置において、前記第2基板に形成された圧力発生室と、前記圧力発生室を覆うように前記第2基板の一方の面上に形成された振動膜と、前記振動膜上に形成された圧電素子と、をさらに備えることを特徴とするものである。
発明7の電子装置は、発明6の電子装置において、前記第2基板の一方の面と対向する他方の面に接合された第3基板、をさらに備え、前記第3基板には、前記圧力発生室に連通するノズル開口部が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
発明8の電子装置は、発明6又は発明7の電子装置において、前記第1基板の一方の面に形成された凹部の底面に前記バンプ電極が形成されており、前記凹部を囲む凸部が前記当接部であることを特徴とするものである。
発明9の電子装置は、発明8の電子装置において、前記凹部内に前記圧電素子が封止されることを特徴とするものである。
発明10の電子装置は、発明6から発明9の何れか一の電子装置において、前記圧力発生室に連通すると共に、外部からインク液の供給を受けるリザーバ、をさらに備え、前記リザーバは前記第1基板に形成されていることを特徴とするものである。
発明6〜10の電子装置によれば、歩留まりと信頼性の高いインクジェット式記録ヘッドと、当該記録ヘッドを具備したインクジェット式記録装置を提供することができる。
【0010】
〔発明11〕 発明11の電子装置の製造方法は、第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極を第2基板の所定領域に接合する際に前記第1基板又は第2基板の一方に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定する当接部を、前記第1基板又は前記第2基板の他方に予め設けておくことを特徴とするものである。
このような方法によれば、例えば、バンプ電極の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極と配線との接触面積のばらつきを少なくすることができる。これにより、バンプ電極と配線との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極と配線との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。よって、電子装置の歩留まりと信頼性の向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の構成例を示す断面図である。図1に示すように、このインクジェット式記録ヘッド100は、例えば基板1と、振動膜20と、圧電素子(即ち、ピエゾ素子)30と、圧電素子30と対向する領域に凹部41aを有する封止板40と、ノズルプレート60と、を備える。
【0012】
これらの中で、基板1は、例えば面方位(100)のバルクシリコン基板である。この基板1は、例えば、50μm〜500μmの厚さを有し、個々に区画された複数のインク流路が形成されている。ここで、インク流路とは、インク液が流れる経路のことであり、圧力発生室10が含まれる。
また、この基板1の裏面には、図示しない接着剤等を介してノズルプレート60が接合されている。このノズルプレート60は、例えば面方位(100)のバルクシリコン基板からなり、その表面から裏面にかけて貫通孔が設けられている。この貫通孔がノズル開口部62である。ノズル開口部62は圧力発生室10に連通している。なお、インク液に圧力を与える圧力発生室10の容積と、ノズル開口部62の大きさは、インク液の吐出量とその吐出スピード、吐出周波数などに応じて最適化されている。
【0013】
振動膜20は弾性膜であり、基板1の表面上に形成されて圧力発生室10を覆っている。また、圧電素子30は、振動膜20を介して圧力発生室10の真上に形成されている。この圧電素子30は、下部電極31と、下部電極31上に形成された圧電体32と、圧電体32上に形成された上部電極33とを有する。ここで、下部電極31は、例えば複数の圧電素子30にわたる共通の電極である。また、圧電体32は、電圧を加えると伸長、収縮する、又は、歪みが生じるような誘電体であり、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。さらに、上部電極33は、下部電極31とは異なり共通の電極ではなく、個々の圧電体と1:1で対応した個別の電極である。このような構成の圧電素子30は、個々の圧力発生室10の真上にそれぞれ設けられている。また、圧電素子30に繋がる配線34、35が基板1の表面上に形成されている。配線34は下部電極31を引き出すための配線であり、配線35は上部電極33を引き出すための配線である。
【0014】
一方、封止板40は例えばバルクシリコン基板からなる。この封止板40の表面であって圧電素子30と対向する領域には、圧電素子30を封止するための凹部41aと、凹部41aを囲む凸部41bとが設けられている。図1に示すように、封止板40の凸部41bは基板1表面に図示しない接着剤等を介して接合されており、圧電素子30は、その運動を阻害しない程度の空間が確保された状態で凹部41a内に封止(即ち、密封)されている。
また、この凹部41aの底面には、圧電素子30を駆動するためのドライバ回路42が一体に形成されている。ドライバ回路42の能動面(即ち、回路形成面)には複数個のバンプ電極43が形成されており、これらのバンプ電極43が配線34、35にそれぞれ電気的に接続されている。
【0015】
図2は、バンプ電極43の構成例を示す断面図である。図2に示すように、ドライバ回路42の能動面には、アルミニウム(Al)などで構成されたパッド電極81が形成され、その周りにはシリコン酸化(SiO2)膜 などの絶縁材料で構成されるパッシベーション膜83が形成されている。すなわち、パッシベーション膜83は、パッド電極を露出させた状態で能動面を覆っている
上記のパッシベーション膜83上におけるパッド電極81から離れた位置には弾性を有する内部樹脂(バンプコア)43aが突出するように形成されている。この内部樹脂43aは、例えばパッシベーション膜83の表面に弾性樹脂膜をコーティングし、その後エッチングなどのパターニング処理を行うことにより形成されている。また、内部樹脂43aの表面には導電膜43bが形成されており、この導電膜43bはパッド電極81に電気的に接続されている。この導電膜43bは、Au、Cu、Ni等の導電膜を蒸着やスパッタリングなどによって成膜し、パターニング処理を行うことにより形成されている。また、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、Alなどで構成された下地の導電膜の表面をさらにAuメッキ等で覆うことにより、導電膜43bの導電接触性が高められていても良い。このような内部樹脂43aと導電膜43bとによって、バンプ電極43が構成されている。
【0016】
なお、バンプ電極43の構成は上記に限定されるものではない。例えば、図1、2に示す半球状のバンプ電極43全体が、Au、Cu、Ni等の導電膜だけで構成されていても良い。
また、図1に示す封止板40には、その表面から裏面にかけて形成された貫通穴が形成されている。この貫通穴が、外部からインク液の供給を受けるリザーバ45である。リザーバ45は、前述の全ての圧力発生室10の容積よりも十分に大きい容積を持つように、大きく形成されている。
【0017】
このような構成のインクジェット式記録ヘッド100は、図示しない外部インク供給手段からリザーバ45にインク液を取り込み、図中の矢印で示すように、リザーバ45からノズル開口部62に至るまでの間をインク液で満たしておく。そして、ドライバ回路42からの記録信号に従い、圧電素子30の上部電極33と下部電極31との間に電圧を印加して圧電体32を伸長、収縮させ、又は、歪みを生じさせる。これにより、振動膜20が変形して圧力発生室10内の圧力が高まり、ノズル開口部62からインク液が吐出される。
【0018】
ところで、このインクジェット式記録ヘッド100では、封止板40の表面に設けられた凸部41bが基板1表面に接触して、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離が確保され、これにより、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定されている。即ち、凹部41aの底面から見て、凸部41bの高さが大きい場合は、バンプ電極43の潰れ具合は小さく、バンプ電極43と配線35との接触面積は小さい。また、凸部41bの高さが小さい場合は、バンプ電極43の潰れ具合が大きく、バンプ電極43と配線35との接触面積は大きい。このように、凸部41bの高さとバンプ電極43の潰れ具合との間には相関がある。このため、インクジェット式記録ヘッド100を設計する際は、実験又はシミュレーションにより上記相関を求めておき、バンプ電極43の潰れ具合が所望の形状となるように凸部41bの高さを所定の値に設定しておくことが好ましい。
【0019】
次に、上記のインクジェット式記録ヘッド100の製造方法について説明する。図3〜図6は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す断面図である。
図3(a)に示すように、まず始めに、例えばバルクシリコンからなる基板1を用意する。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、基板1の表面側を部分的にエッチングして、インク流路となる領域に溝部51を形成する。次に、図3(b)に示すように、基板1の表面全体に犠牲膜53を形成して溝部51を埋め込む。犠牲膜53の厚さは、例えば、基板1の表面からの溝部51の底面までの深さと略同一の厚さ、又はそれ以上の厚さとする。次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polish)により、犠牲膜53に平坦化処理を施して、溝部51以外の領域から犠牲膜53を除去する。これにより、図3(c)に示すように、溝部51内にのみ犠牲膜53を残すことができる。
【0020】
なお、犠牲膜53は、後の工程で除去される。このため、犠牲膜53には、基板1に対してエッチングの選択性が高い膜(即ち、所定のエッチング条件において基板1よりもエッチングされ易い膜)を用いることが好ましい。例えば、基板1がSiからなる場合は、犠牲膜53にSiO2膜又はSiGe膜を用いることができる。犠牲膜53としてのSiO2膜は、エッチングレートが比較的速いPSG膜でも良い。
【0021】
また、溝部51内への犠牲膜53の形成方法は上記の方法(即ち、CVDによる成膜工程と、CMPによる平坦化工程の組み合わせ)に限定されない。例えば、1μm以下の超微粒子をヘリウム(He)等のガスの圧力によって高速で基板1に衝突させることにより成膜するいわゆるガスデポジション法或いはジェットモールディング法と呼ばれる方法を用いて、犠牲膜53を形成しても良い。このような方法によれば、CMPによる平坦化工程を経なくても、溝部51内に犠牲膜53を埋め込むように形成する(即ち、充填する)ことができる。
【0022】
次に、図4(a)に示すように、基板1表面及び犠牲膜53上に振動膜20を形成する。振動膜20は上述したように弾性膜であり、例えばSiO2膜又は酸化ジルコニウム(ZrO2)、若しくはこれらを積層した膜からなり、その厚さは例えば1〜2μmである。振動膜20にZrO2を用いる場合は、例えば、O2を含んだプラズマでジルコニウム(Zr)をスパッタ成膜(反応性スパッタ成膜)することにより、ZrO2を形成する。あるいは、基板1表面及び犠牲膜53上にZrを形成し、その後、Zrを500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより、ZrO2を形成すれば良い。なお、振動膜20の材料は上記の種類に限定されないが、犠牲膜53を除去する工程でエッチングされない若しくはエッチングされにくい材料を用いることが好ましい。
【0023】
次に、図4(b)に示すように、個々の圧力発生室10に対応して振動膜20上に圧電素子30を形成する。ここでは、例えば、スパッタリング法により振動膜20上に下部電極膜を形成する。この下部電極膜の材料としては、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等が好適である。その理由は、スパッタリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。下部電極膜の材料には、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持することができるような材料を選択して用いる必要がある。特に、圧電体膜としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いる場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないような材料を選択して用いることが望ましい。このような条件を満たす材料として、Pt、Ir等が好適である。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、下部電極膜を部分的にエッチングして、共通電極としての形状を有した下部電極31を形成する。
【0024】
そして、圧電体膜を成膜する。ここでは、例えば、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布し乾燥してゲル化し、さらに高温で焼結すること(即ち、ゾルーゲル法)で圧電体膜を形成する。圧電体膜の材料としては、PZT系の材料が好適であり、その場合の焼結温度は例えば700℃程度である。なお、この圧電体膜の成膜方法は、ゾルーゲル法に限定されず、例えば、スパッタリング法、又は、MOD法(有機金属熱塗布分解法)などのスピンコート法により成膜しても良い。或いは、ゾルーゲル法又はスパッタリング法若しくはMOD法等によりPZTの前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法により成膜しても良い。このような方法により形成される圧電体膜の厚さは、例えば0.2〜5μmである。
【0025】
次に、上部電極膜を成膜する。上部電極膜は、導電性の高い材料であれば良く、Al、金(Au)、ニッケル(Ni)、Pt等の金属膜や、導電性酸化物等を使用することができる。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、上部電極膜及び圧電体膜を順次、部分的にエッチングして、所定形状の上部電極33と圧電体32とを形成する。これにより、振動膜20上に、下部電極31と圧電体32と上部電極33とからなる圧電素子30が完成する。
なお、本実施形態では、下部電極31を圧電素子30の共通電極とし、上部電極33を圧電素子30の個別電極としているが、ドライバ回路42や配線の都合でこれを逆にしても良い。つまり、下部電極31を個別電極とし、上部電極33を共通電極としても良い。
【0026】
次に、基板1の表面全体に導電膜を形成する。この導電膜には、例えば、Al、Au、Ni、Pt等の金属膜を使用することができる。
そして、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、導電膜を部分的にエッチングする。これにより、図4(c)に示すように、共通の電極である下部電極31を基板表面1に引き出す配線34と、個々の圧電素子30の上部電極33を基板表面1に引き出す配線35とを形成する。
【0027】
なお、本実施形態では、図示しないが、配線34、35を形成する前に、圧電素子30を覆うように保護膜を形成しても良い。保護膜は例えばアルミナ(Al2O3)であり、その形成は例えばスパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)、又は、MOCVD(Metal Organic CVD)で行うことができる。このように、圧電素子30を覆う保護膜を形成する場合は、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、保護膜を部分的にエッチングして下部電極31上及び上部電極33上にそれぞれコンタクトホールを形成し、このコンタクトホールを埋め込むように配線34、35を形成すれば良い。
【0028】
次に、図5(a)に示すように、封止板40として、例えばバルクシリコンからなる封止板40を用意する。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、封止板40の表面を部分的にエッチングして、圧電素子を封止するための凹部41aを形成する。ここでは、例えば、凹部41aの平面視による形状が圧電素子と相似形で且つその面積が大きく、しかも、凹部41aの深さが圧電素子の厚さよりも大きくなるように、凹部41aを形成する。これにより、圧電素子の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、圧電素子を封止可能な凹部41aを形成することができる。
【0029】
また、本発明では、圧電素子を個別に封止するのではなく、複数個の圧電素子を1つの凹部41a内に配置し、これにより、複数個の圧電素子を1つの凹部41aでまとめて封止するようにしても良い。この場合は、複数個の圧電素子をまとめて封止できるように、凹部41aを広く形成すれば良い。
なお、凹部41aの形成と同時に、凹部の外周には凸部41bが形成されることとなる。上述したように、凹部41a底面から見た凸部41bの高さと、バンプ電極43の潰れ具合との間には相関があるので、後の工程でバンプ電極43の潰れ具合が所望の形状となるように、ここでは凹部41aを所定の深さに形成しておく。
【0030】
次に、図5(b)に示すように、凹部41aの底面に、圧電素子30を駆動するためのドライバ回路42を形成する。このドライバ回路42の形成は半導体プロセス(即ち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程など)で行う。そして、図5(c)に示すように、このドライバ回路42の能動面にバンプ電極43を形成する。バンプ電極43は例えば内部樹脂43aと導電膜43bとにより構成され、その形成方法は上述した通りである。
次に、図5(c)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、封止板40を部分的にエッチングして貫通させ、貫通穴からなるリザーバ45を形成する。ここでは、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いたウェットエッチング、又は、ドライエッチングにより、リザーバ45を形成する。
【0031】
次に、図6に示すように、リザーバ45が形成された封止板40を接着剤等を介して基板1表面に接合する。ここでは、凹部41aが圧電素子30と正しく重なり、且つ、複数個のバンプ電極43が配線34、35とそれぞれ正しく重なるように、封止板40と基板1とを位置合わせする。そして、このように位置合わせした状態で、封止板40の表面を基板1表面に接合する。これにより、圧電素子30は凹部41a内に配置されて封止される共に、バンプ電極43と配線34、35とがそれぞれ電気的に接続される。また、リザーバ45がインク流路と対向して配置される。
【0032】
なお、図6に示す接合工程では、バンプ電極43が配線34、35の表面に接触した後で、凸部41bが基板1の表面に接触する。そして、凸部41bが基板1表面に接触することにより、封止板40と基板1との間に一定の離間距離が確保され、凹部41aの底面に形成された複数個のバンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、凹部41aの底面において、バンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極43と配線34、35との接触面積のばらつきを少なくすることができる。
【0033】
次に、基板1の裏面を研削して溝部51の底面を開口させる。この研削により、基板1の裏面から犠牲膜53(例えば、図4参照。)が露出することとなる。また、この研削と前後して、封止板40をマスクに振動膜20をエッチングして除去し、犠牲膜53の一部を露出する開口部46を形成する。そして、リザーバ45及び開口部46と、基板1裏面に開口した溝部51の底面とを介して、犠牲膜53をエッチングする。これにより、犠牲膜53が完全に取り除かれ、圧力発生室10が形成される。犠牲膜53のエッチングはドライエッチング又はウェットエッチングのどちらで行っても良いが、ここでは、基板1のエッチング速度よりも犠牲膜53のエッチング速度の方が大きいエッチングガス、又はエッチング液を用いて犠牲膜53をエッチングする。例えば、基板1と封止板40がSiで、犠牲膜53がSiO2膜の場合には、上記の条件を満たすエッチングガスの一例として四フッ化炭素(CF4)を使用することができ、又、同条件を満たすエッチング液の一例としてフッ化水素溶液(HF)を使用することができる。
【0034】
その後、図6に示すように、ノズル開口部62が形成されたノズルプレート60を、接着剤等を介して基板1の裏面に接合する。以上のような工程を経て、図1に示したインクジェット式記録ヘッド100が完成する。
このように、本発明の第1実施形態によれば、封止板40の表面に形成された複数個のバンプ電極43を基板1表面に形成された配線34、35にそれぞれ接合する際に、凸部41bで囲まれた領域(即ち、凹部41aの底面)において、これらバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極43と配線34、35との接触面積のばらつきを少なくすることができる。これにより、バンプ電極43と配線34、35との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極43と配線34、35との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。よって、電子装置の歩留まりと信頼性の向上に寄与することができる。
【0035】
この第1実施形態では、封止板40が本発明の「第1基板」に対応し、封止板40の表面が本発明の「第1基板の一方の面」に対応している。また、凸部41bが本発明の「当接部」に対応し、ドライバ回路42が本発明の「集積回路」に対応している。さらに、基板1が本発明の「第2基板」に対応し、基板1の表面が本発明の「第2基板の一方の面」に対応し、基板1の裏面が本発明の「第2基板の他方の面」に対応している。また、ノズルプレート60が本発明の「第3基板」に対応している。そして、インクジェット式記録ヘッド100と、当該ヘッド100を具備したインクジェット式記録装置が本発明の「電子装置」に対応している。
【0036】
(2)第2実施形態
上述の第1実施形態では、基板1に圧力発生室10を形成する際に、基板1に凹部51を形成し、そこに犠牲膜53を埋め込む場合について説明した(図3参照。)。しかしながら、本発明では、犠牲膜53を用いなくても圧力発生室10を形成することが可能である。この第2実施形態では、犠牲膜を必要としない、圧力発生室10の形成方法について説明する。
【0037】
図8及び図9は、本発明の第2実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す断面図である。
図8(a)に示すように、まず始めに、基板1を用意する。基板1には、面方位が(110)のバルクシリコン基板を用いることが好ましい。次に、基板1の表面上に振動膜20を形成する。上述したように、振動膜20は弾性膜であり、例えばSiO2膜又はZrO2、若しくはこれらを積層した膜からなり、その厚さは例えば1〜2μmである。
【0038】
次に、図8(b)に示すように、振動膜20上に、下部電極31と圧電体32と上部電極33とからなる圧電素子30を形成する。圧電体30の形成方法は第1実施形態と同じである。即ち、振動膜20上に下部電極膜をまず成膜し、成膜された下部電極膜をパターニングして下部電極31を形成する。次に、下部電極31を覆うように圧電体膜をゾルーゲル法などで成膜し、さらに、圧電体膜上に上部電極膜を成膜する。そして、上部電極膜と圧電体膜をパターニングして、上部電極33と圧電体32を形成する。これにより、圧電素子30が完成する。
【0039】
次に、図8(b)において、圧電素子30を覆うように保護膜(図示せず)を形成する。保護膜は例えばAl2O3である。そして、この保護膜を部分的にエッチングして、上部電極33に至る開口部(図示せず)と、下部電極31に至る開口部(図示せず)をそれぞれ形成する。次に、これら開口部を埋め込むように基板1の表面全体に導電膜を形成する。そして、この導電膜を部分的にエッチングする。これにより、図8(c)に示すように、下部電極31を基板表面1に引き出す配線34と、個々の圧電素子30の上部電極33を基板表面1に引き出す配線35とを形成する。
【0040】
次に、図9(a)に示すように、リザーバ45が形成された封止板40を接着剤等を介して基板1表面に接合する。封止板40の形成方法は、例えば図5(a)〜(d)を参照しながら説明したとおりである。第1実施形態と同様、この接合工程では、凹部41aが圧電素子30と正しく重なり、且つ、複数個のバンプ電極43が配線34、35とそれぞれ正しく重なるように、封止板40と基板1とを位置合わせして、封止板40の表面を基板1表面に接合する。これにより、圧電素子30は凹部41a内に配置されて封止される共に、バンプ電極43と配線34、35とがそれぞれ電気的に接続される。また、リザーバ45がインク流路と対向して配置される。
【0041】
次に、図9(b)に示すように、基板1の裏面を所望の厚さまで研削する。例えば、厚さが650μm程度の基板1を、その厚さが50μm程度となるまで研削する。なお、このような研削を、封止板40を接合する前に行うと、基板1があたかも紙のように薄くて破れやすくなり、ハンドリングが極めて困難となる。従って、この研削は、封止板40を接合した後で行うことが好ましい。これにより、封止板40は基板1を支持する支持基板としても機能し、基板1を安定的にハンドリングすることができる。
【0042】
次に、図9(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィー及びエッチング技術により、基板1の裏面を部分的にエッチングして、圧力発生室10を形成する。このエッチング処理は、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらで行うことも可能であるが、基板1が面方位(110)のバルクシリコン基板の場合は、KOH水溶液で異方的にエッチングすることができ、圧力発生室10の内壁を基板1の表裏面に対して垂直に形成することができる。
【0043】
これ以降の工程は、上記の第1実施形態と同じである。即ち、図6に示したように、ノズル開口部62が形成されたノズルプレート60を、接着剤等を介して基板1の裏面に接合する。これにより、図1に示したインクジェット式記録ヘッド100が完成する。
このように、本発明の第3実施形態によれば、圧力発生室10を形成する際に、犠牲膜53の形成を必要としないので、第1実施形態と比べて、工程数を減らすことができ、製造コストの削減に寄与することができる。
【0044】
(3)第3実施形態
上述の第1実施形態では、本発明の「当接部」が凸部41bであり、この凸部41bを封止板40の表面に設ける場合について説明した。このような構成であれば、図7(a)及び(b)に示すように、凸部41bが基板1表面に接触することにより、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。しかしながら、本発明の「当接部」の形成位置は封止板40に限定されることはなく、例えば、基板1であっても良い。
【0045】
具体的には、図10(a)及び(b)に示すように、本発明の「当接部」として基板1表面に凸部1bを設けても良い。この場合は、凸部1bに囲まれた凹部1aの底面に圧電素子や、圧電素子に繋がる配線35等が形成される。そして、封止板40に形成された複数個のバンプ電極43を配線35等に接合する際は、凸部1bが封止板40の表面に接触することにより、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、凸部1bで囲まれた領域において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
この第3実施形態では、凸部1bが本発明の「当接部」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0046】
(4)第4実施形態
上述の第1実施形態では、本発明の「当接部」が凸部41bであり、この凸部41bを封止板40の表面に設ける場合について説明した。また、第3実施形態では、本発明の「当接部」が凸部1bであり、この凸部1bを基板1表面に設ける場合について説明した。しかしながら、本発明の「当接部」は封止板40又は基板1のどちらか一方ではなく、これらの両方にそれぞれ設けても良い。
【0047】
具体的には、図11(a)及び(b)に示すように、封止板40の表面に凸部41bを設けると共に、凸部41bと対向する領域の基板1表面に凸部1bを設けても良い。この場合は、複数個のバンプ電極43を配線35等に接合する際に、凸部41bと凸部1bとが接触して、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、凸部1b、41bに囲まれた領域において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1〜第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
この第4実施形態では、凸部41bと凸部1bの両方が本発明の「当接部」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0048】
(5)第5実施形態
上述の第4実施形態では、封止板40に設けられた凸部41bと、基板1に設けられた凸1bの両方が本発明の「当接部」である場合について説明した。しかしながら、本発明の「当接部」は凸部に限定されず、例えば凹部であっても良い。
具体的には、図12(a)及び(b)に示すように、封止板40の表面に凸部41bを設けると共に、凸部41bと対向する領域の基板1表面に凹部1b´を設け、凸部41bと凹部1b´との組み合わせにより本発明の「当接部」を構成しても良い。或いは、図13(a)及び(b)に示すように、封止板40の表面に凹部41b´を設けると共に、凹部41b´と対向する領域の基板1表面に凸部1bを設け、凹部41b´と凸部1bとの組み合わせにより本発明の「当接部」を構成しても良い。どちらの場合も、凸部が凹部の底面に接触して封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、上記の凹凸部で囲まれた領域において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1〜第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
この第5実施形態では、凸部41bと凹部1b´の組み合わせ、又は、凹部41b´と凸部1bの組み合わせが本発明の「当接部」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0049】
(6)第6実施形態
上述の第1〜第5実施形態では、本発明の「当接部」を封止板40や基板1に設ける場合について説明した。しかしながら、本発明の「当接部」は封止板40や基板1だけでなく、IC素子に形成しても良い。
例えば、図14(a)及び(b)に示すように、バルクシリコンからなる基板71の表面の外周部に凸部71bを形成し、この凸部71bで囲まれた凹部71aの底面にドライバ回路42と複数個のバンプ電極43とを形成して、IC素子70を構成しても良い。このような構成であれば、基板71に形成された複数個のバンプ電極43を、図示しない他の基板の所定領域(例えば、配線)に接合する際に、凸部71bが他の基板に接触することにより、基板71と他の基板との間に一定の離間距離が確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。他の基板とは、例えばインターポーザなどの配線基板である。従って、基板71の表面において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1〜第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお、この第6実施形態では、図15(a)及び(b)に示すように、各バンプ電極43の両側に隣接するように凸部71bを配置しても良い。このような構成であれば、接合の際に、個々のバンプ電極43の両側で基板71を支えることができるので、各バンプ電極43の潰れ具合をさらに精度良く決定することができ、その潰れ具合について、よりいっそうの均一化が可能となる。
この第6実施形態では、基板71が本発明の「第1基板」に対応し、凸部71bが本発明の「当接部」に対応し、IC素子70が本発明の電子装置に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0051】
(7)第7実施形態
上述の第1〜第6実施形態では、バンプ電極43の接合対象である配線34、35を、例えば、Al、Au、Ni、Pt等の金属膜で構成する場合について説明した。しかしながら、配線34、35の構成はこれに限られることはない。例えば図16(a)及び(b)に示すように、バンプ電極43と同様、配線35は内部樹脂35aと、内部樹脂35aを覆う導電膜35bとにより構成され、導電膜35bが図示しない圧電素子の上部電極と電気的に接続していても良い。図示しないが、下部電極と電気的に接続する配線34についても同じである。
【0052】
このような構成であっても、例えば、封止板40に設けられた凸部41bが基板1表面に接触することにより、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離隔距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合と、配線34、35の潰れ具合がそれぞれ自動的に決定される。従って、複数個のバンプ電極43の潰れ具合と、複数本の配線34、35の潰れ具合をそれぞれ均一化することができ、第1〜第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の構成例を示す図。
【図2】バンプ電極43の構成例を示す図。
【図3】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その1)。
【図4】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その2)。
【図5】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その3)。
【図6】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その4)。
【図7】本発明の「当接部」の一例を示す図(第1実施形態)。
【図8】第2実施形態に係る製造方法を示す図(その1)。
【図9】第2実施形態に係る製造方法を示す図(その2)。
【図10】本発明の「当接部」の一例を示す図(第3実施形態)。
【図11】本発明の「当接部」の一例を示す図(第4実施形態)。
【図12】本発明の「当接部」の一例を示す図(第5実施形態)。
【図13】本発明の「当接部」の一例を示す図(第5実施形態)。
【図14】第6実施形態に係るIC素子70の構成例を示す断面図と、底面図。
【図15】第6実施形態に係るIC素子70の他の構成例を示す断面図と、底面図。
【図16】第7実施形態に係る配線35の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0054】
1 基板、1a、41a、71a、1b´、41b´ 凹部、1b、41b、71b 凸部、10 圧力発生室、20 振動膜、30 圧電素子、31 下部電極、32 圧電体、33 上部電極、34、35 配線、35a、43a 内部樹脂、35b、43b 導電膜、40 封止板、42 ドライバ回路、43 バンプ電極、45 リザーバ、51 溝部、53 犠牲膜、60 ノズルプレート、62 ノズル開口部、70 IC素子、100 インクジェット式記録ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及びその製造方法に関し、特に、バンプ電極の潰れ具合を均一化できるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット式記録ヘッドにおいて、圧電素子を駆動するための回路(以下、ドライバ回路という。)はIC素子として別基板に製造されたものが記録ヘッドに装着され、各圧電素子とIC素子との接続はワイヤーボンディングで行われている。しかしながら、インク液を吐出するノズル開口部は高密度化が進んでおり、ワイヤーボンディングによる上記の接続は限界に近づきつつある。
このような問題に対し、ドライバ回路を別基板に形成するのではなく、例えば特許文献1に開示されているように、記録ヘッドを構成する流路形成基板に直接形成することを行えば、ワイヤーボンディングに依らずにドライバ回路と圧電素子とを電気的に接続することが可能となるので、ノズル開口部の高密度化に対応することが可能となる。
【0003】
また、ドライバ回路と圧電素子を電気的に接続する端子の形成方法として、例えば特許文献2に開示されているような方法がある。このような方法によれば、バンプ電極を介して、ドライバ回路と圧電素子とを電気的に接続することができる。ワイヤーボンディングよりも狭ピッチに、且つ、厚さを抑えて上記の接続を実現することができるので、ノズル開口部を高密度化することができ、さらに、インクジェット式記録ヘッドの小型化を進展させることができる。
【特許文献1】特開2001−205815号公報
【特許文献2】特開2005−101527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば特許文献2等に開示された方法では、バンプ電極を配線等に接合する際に、接合圧力によってバンプ電極の潰れ具合が変化する。このため、接合圧力のばらつきが大きいと、基板面内やバッチ間でバンプ電極の潰れ具合が不均一となり、インクジェット式記録ヘッドの歩留まりと、電気的接続の信頼性が低下する可能性があった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、バンプ電極の潰れ具合を均一化できるようにした電子装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔発明1〜5〕 発明1の電子装置は、第1基板、を含み、前記第1基板は、前記第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極と、前記第1基板に形成された当接部と、を備え、前記当接部は、前記バンプ電極が他の基板の所定領域に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とするものである。
発明2の電子装置は、発明1の電子装置において、前記バンプ電極を複数個備え、前記当接部は、前記第1基板の一方の面内で前記複数個のバンプ電極を囲むように配置されていることを特徴とするものである。
【0006】
発明3の電子装置は、発明1又は発明2の電子装置において、前記第1基板の一方の面に形成された集積回路、をさらに備え、前記バンプ電極は前記集積回路に接続していることを特徴とするものである。ここで、集積回路は、例えば、インクジェット式記録ヘッドを駆動するためのドライバ回路である。
発明4の電子装置は、発明1から発明3の何れか一の電子装置において、前記他の基板として第2基板、を含み、前記第2基板は、前記第2基板の一方の面に形成された配線、を備え、前記第1基板の一方の面が前記第2基板の一方の面に対向し、前記当接部が前記第2基板に接触した状態で、前記配線に前記バンプ電極が接合されていることを特徴とするものである。
【0007】
発明5の電子装置は、第2基板、を含み、前記第2基板は、前記第2基板の一方の面に形成された配線と、前記第2基板に形成された当接部、とを備え、前記当接部は、他の基板の一方の面に形成されたバンプ電極が前記配線に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とするものである。
発明1〜5の電子装置によれば、例えば、第1基板の一方の面に形成された複数個のバンプ電極を、第2基板の一方の面に形成された配線にそれぞれ接合する際に、これらバンプ電極の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極と配線との接触面積のばらつきを少なくすることができる。これにより、バンプ電極と配線との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極と配線との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。よって、電子装置の歩留まりと信頼性の向上に寄与することができる。
【0008】
〔発明6〜10〕 発明6の電子装置は、発明4又は発明5の電子装置において、前記第2基板に形成された圧力発生室と、前記圧力発生室を覆うように前記第2基板の一方の面上に形成された振動膜と、前記振動膜上に形成された圧電素子と、をさらに備えることを特徴とするものである。
発明7の電子装置は、発明6の電子装置において、前記第2基板の一方の面と対向する他方の面に接合された第3基板、をさらに備え、前記第3基板には、前記圧力発生室に連通するノズル開口部が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
発明8の電子装置は、発明6又は発明7の電子装置において、前記第1基板の一方の面に形成された凹部の底面に前記バンプ電極が形成されており、前記凹部を囲む凸部が前記当接部であることを特徴とするものである。
発明9の電子装置は、発明8の電子装置において、前記凹部内に前記圧電素子が封止されることを特徴とするものである。
発明10の電子装置は、発明6から発明9の何れか一の電子装置において、前記圧力発生室に連通すると共に、外部からインク液の供給を受けるリザーバ、をさらに備え、前記リザーバは前記第1基板に形成されていることを特徴とするものである。
発明6〜10の電子装置によれば、歩留まりと信頼性の高いインクジェット式記録ヘッドと、当該記録ヘッドを具備したインクジェット式記録装置を提供することができる。
【0010】
〔発明11〕 発明11の電子装置の製造方法は、第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極を第2基板の所定領域に接合する際に前記第1基板又は第2基板の一方に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定する当接部を、前記第1基板又は前記第2基板の他方に予め設けておくことを特徴とするものである。
このような方法によれば、例えば、バンプ電極の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極と配線との接触面積のばらつきを少なくすることができる。これにより、バンプ電極と配線との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極と配線との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。よって、電子装置の歩留まりと信頼性の向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の構成例を示す断面図である。図1に示すように、このインクジェット式記録ヘッド100は、例えば基板1と、振動膜20と、圧電素子(即ち、ピエゾ素子)30と、圧電素子30と対向する領域に凹部41aを有する封止板40と、ノズルプレート60と、を備える。
【0012】
これらの中で、基板1は、例えば面方位(100)のバルクシリコン基板である。この基板1は、例えば、50μm〜500μmの厚さを有し、個々に区画された複数のインク流路が形成されている。ここで、インク流路とは、インク液が流れる経路のことであり、圧力発生室10が含まれる。
また、この基板1の裏面には、図示しない接着剤等を介してノズルプレート60が接合されている。このノズルプレート60は、例えば面方位(100)のバルクシリコン基板からなり、その表面から裏面にかけて貫通孔が設けられている。この貫通孔がノズル開口部62である。ノズル開口部62は圧力発生室10に連通している。なお、インク液に圧力を与える圧力発生室10の容積と、ノズル開口部62の大きさは、インク液の吐出量とその吐出スピード、吐出周波数などに応じて最適化されている。
【0013】
振動膜20は弾性膜であり、基板1の表面上に形成されて圧力発生室10を覆っている。また、圧電素子30は、振動膜20を介して圧力発生室10の真上に形成されている。この圧電素子30は、下部電極31と、下部電極31上に形成された圧電体32と、圧電体32上に形成された上部電極33とを有する。ここで、下部電極31は、例えば複数の圧電素子30にわたる共通の電極である。また、圧電体32は、電圧を加えると伸長、収縮する、又は、歪みが生じるような誘電体であり、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。さらに、上部電極33は、下部電極31とは異なり共通の電極ではなく、個々の圧電体と1:1で対応した個別の電極である。このような構成の圧電素子30は、個々の圧力発生室10の真上にそれぞれ設けられている。また、圧電素子30に繋がる配線34、35が基板1の表面上に形成されている。配線34は下部電極31を引き出すための配線であり、配線35は上部電極33を引き出すための配線である。
【0014】
一方、封止板40は例えばバルクシリコン基板からなる。この封止板40の表面であって圧電素子30と対向する領域には、圧電素子30を封止するための凹部41aと、凹部41aを囲む凸部41bとが設けられている。図1に示すように、封止板40の凸部41bは基板1表面に図示しない接着剤等を介して接合されており、圧電素子30は、その運動を阻害しない程度の空間が確保された状態で凹部41a内に封止(即ち、密封)されている。
また、この凹部41aの底面には、圧電素子30を駆動するためのドライバ回路42が一体に形成されている。ドライバ回路42の能動面(即ち、回路形成面)には複数個のバンプ電極43が形成されており、これらのバンプ電極43が配線34、35にそれぞれ電気的に接続されている。
【0015】
図2は、バンプ電極43の構成例を示す断面図である。図2に示すように、ドライバ回路42の能動面には、アルミニウム(Al)などで構成されたパッド電極81が形成され、その周りにはシリコン酸化(SiO2)膜 などの絶縁材料で構成されるパッシベーション膜83が形成されている。すなわち、パッシベーション膜83は、パッド電極を露出させた状態で能動面を覆っている
上記のパッシベーション膜83上におけるパッド電極81から離れた位置には弾性を有する内部樹脂(バンプコア)43aが突出するように形成されている。この内部樹脂43aは、例えばパッシベーション膜83の表面に弾性樹脂膜をコーティングし、その後エッチングなどのパターニング処理を行うことにより形成されている。また、内部樹脂43aの表面には導電膜43bが形成されており、この導電膜43bはパッド電極81に電気的に接続されている。この導電膜43bは、Au、Cu、Ni等の導電膜を蒸着やスパッタリングなどによって成膜し、パターニング処理を行うことにより形成されている。また、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、Alなどで構成された下地の導電膜の表面をさらにAuメッキ等で覆うことにより、導電膜43bの導電接触性が高められていても良い。このような内部樹脂43aと導電膜43bとによって、バンプ電極43が構成されている。
【0016】
なお、バンプ電極43の構成は上記に限定されるものではない。例えば、図1、2に示す半球状のバンプ電極43全体が、Au、Cu、Ni等の導電膜だけで構成されていても良い。
また、図1に示す封止板40には、その表面から裏面にかけて形成された貫通穴が形成されている。この貫通穴が、外部からインク液の供給を受けるリザーバ45である。リザーバ45は、前述の全ての圧力発生室10の容積よりも十分に大きい容積を持つように、大きく形成されている。
【0017】
このような構成のインクジェット式記録ヘッド100は、図示しない外部インク供給手段からリザーバ45にインク液を取り込み、図中の矢印で示すように、リザーバ45からノズル開口部62に至るまでの間をインク液で満たしておく。そして、ドライバ回路42からの記録信号に従い、圧電素子30の上部電極33と下部電極31との間に電圧を印加して圧電体32を伸長、収縮させ、又は、歪みを生じさせる。これにより、振動膜20が変形して圧力発生室10内の圧力が高まり、ノズル開口部62からインク液が吐出される。
【0018】
ところで、このインクジェット式記録ヘッド100では、封止板40の表面に設けられた凸部41bが基板1表面に接触して、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離が確保され、これにより、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定されている。即ち、凹部41aの底面から見て、凸部41bの高さが大きい場合は、バンプ電極43の潰れ具合は小さく、バンプ電極43と配線35との接触面積は小さい。また、凸部41bの高さが小さい場合は、バンプ電極43の潰れ具合が大きく、バンプ電極43と配線35との接触面積は大きい。このように、凸部41bの高さとバンプ電極43の潰れ具合との間には相関がある。このため、インクジェット式記録ヘッド100を設計する際は、実験又はシミュレーションにより上記相関を求めておき、バンプ電極43の潰れ具合が所望の形状となるように凸部41bの高さを所定の値に設定しておくことが好ましい。
【0019】
次に、上記のインクジェット式記録ヘッド100の製造方法について説明する。図3〜図6は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す断面図である。
図3(a)に示すように、まず始めに、例えばバルクシリコンからなる基板1を用意する。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、基板1の表面側を部分的にエッチングして、インク流路となる領域に溝部51を形成する。次に、図3(b)に示すように、基板1の表面全体に犠牲膜53を形成して溝部51を埋め込む。犠牲膜53の厚さは、例えば、基板1の表面からの溝部51の底面までの深さと略同一の厚さ、又はそれ以上の厚さとする。次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polish)により、犠牲膜53に平坦化処理を施して、溝部51以外の領域から犠牲膜53を除去する。これにより、図3(c)に示すように、溝部51内にのみ犠牲膜53を残すことができる。
【0020】
なお、犠牲膜53は、後の工程で除去される。このため、犠牲膜53には、基板1に対してエッチングの選択性が高い膜(即ち、所定のエッチング条件において基板1よりもエッチングされ易い膜)を用いることが好ましい。例えば、基板1がSiからなる場合は、犠牲膜53にSiO2膜又はSiGe膜を用いることができる。犠牲膜53としてのSiO2膜は、エッチングレートが比較的速いPSG膜でも良い。
【0021】
また、溝部51内への犠牲膜53の形成方法は上記の方法(即ち、CVDによる成膜工程と、CMPによる平坦化工程の組み合わせ)に限定されない。例えば、1μm以下の超微粒子をヘリウム(He)等のガスの圧力によって高速で基板1に衝突させることにより成膜するいわゆるガスデポジション法或いはジェットモールディング法と呼ばれる方法を用いて、犠牲膜53を形成しても良い。このような方法によれば、CMPによる平坦化工程を経なくても、溝部51内に犠牲膜53を埋め込むように形成する(即ち、充填する)ことができる。
【0022】
次に、図4(a)に示すように、基板1表面及び犠牲膜53上に振動膜20を形成する。振動膜20は上述したように弾性膜であり、例えばSiO2膜又は酸化ジルコニウム(ZrO2)、若しくはこれらを積層した膜からなり、その厚さは例えば1〜2μmである。振動膜20にZrO2を用いる場合は、例えば、O2を含んだプラズマでジルコニウム(Zr)をスパッタ成膜(反応性スパッタ成膜)することにより、ZrO2を形成する。あるいは、基板1表面及び犠牲膜53上にZrを形成し、その後、Zrを500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより、ZrO2を形成すれば良い。なお、振動膜20の材料は上記の種類に限定されないが、犠牲膜53を除去する工程でエッチングされない若しくはエッチングされにくい材料を用いることが好ましい。
【0023】
次に、図4(b)に示すように、個々の圧力発生室10に対応して振動膜20上に圧電素子30を形成する。ここでは、例えば、スパッタリング法により振動膜20上に下部電極膜を形成する。この下部電極膜の材料としては、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等が好適である。その理由は、スパッタリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。下部電極膜の材料には、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持することができるような材料を選択して用いる必要がある。特に、圧電体膜としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いる場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないような材料を選択して用いることが望ましい。このような条件を満たす材料として、Pt、Ir等が好適である。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、下部電極膜を部分的にエッチングして、共通電極としての形状を有した下部電極31を形成する。
【0024】
そして、圧電体膜を成膜する。ここでは、例えば、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布し乾燥してゲル化し、さらに高温で焼結すること(即ち、ゾルーゲル法)で圧電体膜を形成する。圧電体膜の材料としては、PZT系の材料が好適であり、その場合の焼結温度は例えば700℃程度である。なお、この圧電体膜の成膜方法は、ゾルーゲル法に限定されず、例えば、スパッタリング法、又は、MOD法(有機金属熱塗布分解法)などのスピンコート法により成膜しても良い。或いは、ゾルーゲル法又はスパッタリング法若しくはMOD法等によりPZTの前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法により成膜しても良い。このような方法により形成される圧電体膜の厚さは、例えば0.2〜5μmである。
【0025】
次に、上部電極膜を成膜する。上部電極膜は、導電性の高い材料であれば良く、Al、金(Au)、ニッケル(Ni)、Pt等の金属膜や、導電性酸化物等を使用することができる。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、上部電極膜及び圧電体膜を順次、部分的にエッチングして、所定形状の上部電極33と圧電体32とを形成する。これにより、振動膜20上に、下部電極31と圧電体32と上部電極33とからなる圧電素子30が完成する。
なお、本実施形態では、下部電極31を圧電素子30の共通電極とし、上部電極33を圧電素子30の個別電極としているが、ドライバ回路42や配線の都合でこれを逆にしても良い。つまり、下部電極31を個別電極とし、上部電極33を共通電極としても良い。
【0026】
次に、基板1の表面全体に導電膜を形成する。この導電膜には、例えば、Al、Au、Ni、Pt等の金属膜を使用することができる。
そして、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、導電膜を部分的にエッチングする。これにより、図4(c)に示すように、共通の電極である下部電極31を基板表面1に引き出す配線34と、個々の圧電素子30の上部電極33を基板表面1に引き出す配線35とを形成する。
【0027】
なお、本実施形態では、図示しないが、配線34、35を形成する前に、圧電素子30を覆うように保護膜を形成しても良い。保護膜は例えばアルミナ(Al2O3)であり、その形成は例えばスパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)、又は、MOCVD(Metal Organic CVD)で行うことができる。このように、圧電素子30を覆う保護膜を形成する場合は、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、保護膜を部分的にエッチングして下部電極31上及び上部電極33上にそれぞれコンタクトホールを形成し、このコンタクトホールを埋め込むように配線34、35を形成すれば良い。
【0028】
次に、図5(a)に示すように、封止板40として、例えばバルクシリコンからなる封止板40を用意する。次に、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、封止板40の表面を部分的にエッチングして、圧電素子を封止するための凹部41aを形成する。ここでは、例えば、凹部41aの平面視による形状が圧電素子と相似形で且つその面積が大きく、しかも、凹部41aの深さが圧電素子の厚さよりも大きくなるように、凹部41aを形成する。これにより、圧電素子の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、圧電素子を封止可能な凹部41aを形成することができる。
【0029】
また、本発明では、圧電素子を個別に封止するのではなく、複数個の圧電素子を1つの凹部41a内に配置し、これにより、複数個の圧電素子を1つの凹部41aでまとめて封止するようにしても良い。この場合は、複数個の圧電素子をまとめて封止できるように、凹部41aを広く形成すれば良い。
なお、凹部41aの形成と同時に、凹部の外周には凸部41bが形成されることとなる。上述したように、凹部41a底面から見た凸部41bの高さと、バンプ電極43の潰れ具合との間には相関があるので、後の工程でバンプ電極43の潰れ具合が所望の形状となるように、ここでは凹部41aを所定の深さに形成しておく。
【0030】
次に、図5(b)に示すように、凹部41aの底面に、圧電素子30を駆動するためのドライバ回路42を形成する。このドライバ回路42の形成は半導体プロセス(即ち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程など)で行う。そして、図5(c)に示すように、このドライバ回路42の能動面にバンプ電極43を形成する。バンプ電極43は例えば内部樹脂43aと導電膜43bとにより構成され、その形成方法は上述した通りである。
次に、図5(c)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、封止板40を部分的にエッチングして貫通させ、貫通穴からなるリザーバ45を形成する。ここでは、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いたウェットエッチング、又は、ドライエッチングにより、リザーバ45を形成する。
【0031】
次に、図6に示すように、リザーバ45が形成された封止板40を接着剤等を介して基板1表面に接合する。ここでは、凹部41aが圧電素子30と正しく重なり、且つ、複数個のバンプ電極43が配線34、35とそれぞれ正しく重なるように、封止板40と基板1とを位置合わせする。そして、このように位置合わせした状態で、封止板40の表面を基板1表面に接合する。これにより、圧電素子30は凹部41a内に配置されて封止される共に、バンプ電極43と配線34、35とがそれぞれ電気的に接続される。また、リザーバ45がインク流路と対向して配置される。
【0032】
なお、図6に示す接合工程では、バンプ電極43が配線34、35の表面に接触した後で、凸部41bが基板1の表面に接触する。そして、凸部41bが基板1表面に接触することにより、封止板40と基板1との間に一定の離間距離が確保され、凹部41aの底面に形成された複数個のバンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、凹部41aの底面において、バンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極43と配線34、35との接触面積のばらつきを少なくすることができる。
【0033】
次に、基板1の裏面を研削して溝部51の底面を開口させる。この研削により、基板1の裏面から犠牲膜53(例えば、図4参照。)が露出することとなる。また、この研削と前後して、封止板40をマスクに振動膜20をエッチングして除去し、犠牲膜53の一部を露出する開口部46を形成する。そして、リザーバ45及び開口部46と、基板1裏面に開口した溝部51の底面とを介して、犠牲膜53をエッチングする。これにより、犠牲膜53が完全に取り除かれ、圧力発生室10が形成される。犠牲膜53のエッチングはドライエッチング又はウェットエッチングのどちらで行っても良いが、ここでは、基板1のエッチング速度よりも犠牲膜53のエッチング速度の方が大きいエッチングガス、又はエッチング液を用いて犠牲膜53をエッチングする。例えば、基板1と封止板40がSiで、犠牲膜53がSiO2膜の場合には、上記の条件を満たすエッチングガスの一例として四フッ化炭素(CF4)を使用することができ、又、同条件を満たすエッチング液の一例としてフッ化水素溶液(HF)を使用することができる。
【0034】
その後、図6に示すように、ノズル開口部62が形成されたノズルプレート60を、接着剤等を介して基板1の裏面に接合する。以上のような工程を経て、図1に示したインクジェット式記録ヘッド100が完成する。
このように、本発明の第1実施形態によれば、封止板40の表面に形成された複数個のバンプ電極43を基板1表面に形成された配線34、35にそれぞれ接合する際に、凸部41bで囲まれた領域(即ち、凹部41aの底面)において、これらバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、バンプ電極43と配線34、35との接触面積のばらつきを少なくすることができる。これにより、バンプ電極43と配線34、35との間に生じる接触抵抗、及び、バンプ電極43と配線34、35との間に働く接着力をそれぞれ均一化することができるので、当該間の電気的接続をより確かなものとすることができる。よって、電子装置の歩留まりと信頼性の向上に寄与することができる。
【0035】
この第1実施形態では、封止板40が本発明の「第1基板」に対応し、封止板40の表面が本発明の「第1基板の一方の面」に対応している。また、凸部41bが本発明の「当接部」に対応し、ドライバ回路42が本発明の「集積回路」に対応している。さらに、基板1が本発明の「第2基板」に対応し、基板1の表面が本発明の「第2基板の一方の面」に対応し、基板1の裏面が本発明の「第2基板の他方の面」に対応している。また、ノズルプレート60が本発明の「第3基板」に対応している。そして、インクジェット式記録ヘッド100と、当該ヘッド100を具備したインクジェット式記録装置が本発明の「電子装置」に対応している。
【0036】
(2)第2実施形態
上述の第1実施形態では、基板1に圧力発生室10を形成する際に、基板1に凹部51を形成し、そこに犠牲膜53を埋め込む場合について説明した(図3参照。)。しかしながら、本発明では、犠牲膜53を用いなくても圧力発生室10を形成することが可能である。この第2実施形態では、犠牲膜を必要としない、圧力発生室10の形成方法について説明する。
【0037】
図8及び図9は、本発明の第2実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す断面図である。
図8(a)に示すように、まず始めに、基板1を用意する。基板1には、面方位が(110)のバルクシリコン基板を用いることが好ましい。次に、基板1の表面上に振動膜20を形成する。上述したように、振動膜20は弾性膜であり、例えばSiO2膜又はZrO2、若しくはこれらを積層した膜からなり、その厚さは例えば1〜2μmである。
【0038】
次に、図8(b)に示すように、振動膜20上に、下部電極31と圧電体32と上部電極33とからなる圧電素子30を形成する。圧電体30の形成方法は第1実施形態と同じである。即ち、振動膜20上に下部電極膜をまず成膜し、成膜された下部電極膜をパターニングして下部電極31を形成する。次に、下部電極31を覆うように圧電体膜をゾルーゲル法などで成膜し、さらに、圧電体膜上に上部電極膜を成膜する。そして、上部電極膜と圧電体膜をパターニングして、上部電極33と圧電体32を形成する。これにより、圧電素子30が完成する。
【0039】
次に、図8(b)において、圧電素子30を覆うように保護膜(図示せず)を形成する。保護膜は例えばAl2O3である。そして、この保護膜を部分的にエッチングして、上部電極33に至る開口部(図示せず)と、下部電極31に至る開口部(図示せず)をそれぞれ形成する。次に、これら開口部を埋め込むように基板1の表面全体に導電膜を形成する。そして、この導電膜を部分的にエッチングする。これにより、図8(c)に示すように、下部電極31を基板表面1に引き出す配線34と、個々の圧電素子30の上部電極33を基板表面1に引き出す配線35とを形成する。
【0040】
次に、図9(a)に示すように、リザーバ45が形成された封止板40を接着剤等を介して基板1表面に接合する。封止板40の形成方法は、例えば図5(a)〜(d)を参照しながら説明したとおりである。第1実施形態と同様、この接合工程では、凹部41aが圧電素子30と正しく重なり、且つ、複数個のバンプ電極43が配線34、35とそれぞれ正しく重なるように、封止板40と基板1とを位置合わせして、封止板40の表面を基板1表面に接合する。これにより、圧電素子30は凹部41a内に配置されて封止される共に、バンプ電極43と配線34、35とがそれぞれ電気的に接続される。また、リザーバ45がインク流路と対向して配置される。
【0041】
次に、図9(b)に示すように、基板1の裏面を所望の厚さまで研削する。例えば、厚さが650μm程度の基板1を、その厚さが50μm程度となるまで研削する。なお、このような研削を、封止板40を接合する前に行うと、基板1があたかも紙のように薄くて破れやすくなり、ハンドリングが極めて困難となる。従って、この研削は、封止板40を接合した後で行うことが好ましい。これにより、封止板40は基板1を支持する支持基板としても機能し、基板1を安定的にハンドリングすることができる。
【0042】
次に、図9(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィー及びエッチング技術により、基板1の裏面を部分的にエッチングして、圧力発生室10を形成する。このエッチング処理は、ウェットエッチング、ドライエッチングのどちらで行うことも可能であるが、基板1が面方位(110)のバルクシリコン基板の場合は、KOH水溶液で異方的にエッチングすることができ、圧力発生室10の内壁を基板1の表裏面に対して垂直に形成することができる。
【0043】
これ以降の工程は、上記の第1実施形態と同じである。即ち、図6に示したように、ノズル開口部62が形成されたノズルプレート60を、接着剤等を介して基板1の裏面に接合する。これにより、図1に示したインクジェット式記録ヘッド100が完成する。
このように、本発明の第3実施形態によれば、圧力発生室10を形成する際に、犠牲膜53の形成を必要としないので、第1実施形態と比べて、工程数を減らすことができ、製造コストの削減に寄与することができる。
【0044】
(3)第3実施形態
上述の第1実施形態では、本発明の「当接部」が凸部41bであり、この凸部41bを封止板40の表面に設ける場合について説明した。このような構成であれば、図7(a)及び(b)に示すように、凸部41bが基板1表面に接触することにより、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。しかしながら、本発明の「当接部」の形成位置は封止板40に限定されることはなく、例えば、基板1であっても良い。
【0045】
具体的には、図10(a)及び(b)に示すように、本発明の「当接部」として基板1表面に凸部1bを設けても良い。この場合は、凸部1bに囲まれた凹部1aの底面に圧電素子や、圧電素子に繋がる配線35等が形成される。そして、封止板40に形成された複数個のバンプ電極43を配線35等に接合する際は、凸部1bが封止板40の表面に接触することにより、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、凸部1bで囲まれた領域において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
この第3実施形態では、凸部1bが本発明の「当接部」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0046】
(4)第4実施形態
上述の第1実施形態では、本発明の「当接部」が凸部41bであり、この凸部41bを封止板40の表面に設ける場合について説明した。また、第3実施形態では、本発明の「当接部」が凸部1bであり、この凸部1bを基板1表面に設ける場合について説明した。しかしながら、本発明の「当接部」は封止板40又は基板1のどちらか一方ではなく、これらの両方にそれぞれ設けても良い。
【0047】
具体的には、図11(a)及び(b)に示すように、封止板40の表面に凸部41bを設けると共に、凸部41bと対向する領域の基板1表面に凸部1bを設けても良い。この場合は、複数個のバンプ電極43を配線35等に接合する際に、凸部41bと凸部1bとが接触して、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、凸部1b、41bに囲まれた領域において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1〜第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
この第4実施形態では、凸部41bと凸部1bの両方が本発明の「当接部」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0048】
(5)第5実施形態
上述の第4実施形態では、封止板40に設けられた凸部41bと、基板1に設けられた凸1bの両方が本発明の「当接部」である場合について説明した。しかしながら、本発明の「当接部」は凸部に限定されず、例えば凹部であっても良い。
具体的には、図12(a)及び(b)に示すように、封止板40の表面に凸部41bを設けると共に、凸部41bと対向する領域の基板1表面に凹部1b´を設け、凸部41bと凹部1b´との組み合わせにより本発明の「当接部」を構成しても良い。或いは、図13(a)及び(b)に示すように、封止板40の表面に凹部41b´を設けると共に、凹部41b´と対向する領域の基板1表面に凸部1bを設け、凹部41b´と凸部1bとの組み合わせにより本発明の「当接部」を構成しても良い。どちらの場合も、凸部が凹部の底面に接触して封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離間距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。従って、上記の凹凸部で囲まれた領域において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1〜第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
この第5実施形態では、凸部41bと凹部1b´の組み合わせ、又は、凹部41b´と凸部1bの組み合わせが本発明の「当接部」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0049】
(6)第6実施形態
上述の第1〜第5実施形態では、本発明の「当接部」を封止板40や基板1に設ける場合について説明した。しかしながら、本発明の「当接部」は封止板40や基板1だけでなく、IC素子に形成しても良い。
例えば、図14(a)及び(b)に示すように、バルクシリコンからなる基板71の表面の外周部に凸部71bを形成し、この凸部71bで囲まれた凹部71aの底面にドライバ回路42と複数個のバンプ電極43とを形成して、IC素子70を構成しても良い。このような構成であれば、基板71に形成された複数個のバンプ電極43を、図示しない他の基板の所定領域(例えば、配線)に接合する際に、凸部71bが他の基板に接触することにより、基板71と他の基板との間に一定の離間距離が確保され、バンプ電極43の潰れ具合が自動的に決定される。他の基板とは、例えばインターポーザなどの配線基板である。従って、基板71の表面において、複数個のバンプ電極43の潰れ具合を均一化することができ、第1〜第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
なお、この第6実施形態では、図15(a)及び(b)に示すように、各バンプ電極43の両側に隣接するように凸部71bを配置しても良い。このような構成であれば、接合の際に、個々のバンプ電極43の両側で基板71を支えることができるので、各バンプ電極43の潰れ具合をさらに精度良く決定することができ、その潰れ具合について、よりいっそうの均一化が可能となる。
この第6実施形態では、基板71が本発明の「第1基板」に対応し、凸部71bが本発明の「当接部」に対応し、IC素子70が本発明の電子装置に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0051】
(7)第7実施形態
上述の第1〜第6実施形態では、バンプ電極43の接合対象である配線34、35を、例えば、Al、Au、Ni、Pt等の金属膜で構成する場合について説明した。しかしながら、配線34、35の構成はこれに限られることはない。例えば図16(a)及び(b)に示すように、バンプ電極43と同様、配線35は内部樹脂35aと、内部樹脂35aを覆う導電膜35bとにより構成され、導電膜35bが図示しない圧電素子の上部電極と電気的に接続していても良い。図示しないが、下部電極と電気的に接続する配線34についても同じである。
【0052】
このような構成であっても、例えば、封止板40に設けられた凸部41bが基板1表面に接触することにより、封止板40の表面と基板1表面との間に一定の離隔距離dが確保され、バンプ電極43の潰れ具合と、配線34、35の潰れ具合がそれぞれ自動的に決定される。従って、複数個のバンプ電極43の潰れ具合と、複数本の配線34、35の潰れ具合をそれぞれ均一化することができ、第1〜第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100の構成例を示す図。
【図2】バンプ電極43の構成例を示す図。
【図3】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その1)。
【図4】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その2)。
【図5】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その3)。
【図6】インクジェット式記録ヘッド100の製造方法を示す図(その4)。
【図7】本発明の「当接部」の一例を示す図(第1実施形態)。
【図8】第2実施形態に係る製造方法を示す図(その1)。
【図9】第2実施形態に係る製造方法を示す図(その2)。
【図10】本発明の「当接部」の一例を示す図(第3実施形態)。
【図11】本発明の「当接部」の一例を示す図(第4実施形態)。
【図12】本発明の「当接部」の一例を示す図(第5実施形態)。
【図13】本発明の「当接部」の一例を示す図(第5実施形態)。
【図14】第6実施形態に係るIC素子70の構成例を示す断面図と、底面図。
【図15】第6実施形態に係るIC素子70の他の構成例を示す断面図と、底面図。
【図16】第7実施形態に係る配線35の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0054】
1 基板、1a、41a、71a、1b´、41b´ 凹部、1b、41b、71b 凸部、10 圧力発生室、20 振動膜、30 圧電素子、31 下部電極、32 圧電体、33 上部電極、34、35 配線、35a、43a 内部樹脂、35b、43b 導電膜、40 封止板、42 ドライバ回路、43 バンプ電極、45 リザーバ、51 溝部、53 犠牲膜、60 ノズルプレート、62 ノズル開口部、70 IC素子、100 インクジェット式記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板、を含み、
前記第1基板は、
前記第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極と、
前記第1基板に形成された当接部と、を備え、
前記当接部は、前記バンプ電極が他の基板の所定領域に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記バンプ電極を複数個備え、
前記当接部は、前記第1基板の一方の面内で前記複数個のバンプ電極を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1基板の一方の面に形成された集積回路、をさらに備え、
前記バンプ電極は前記集積回路に接続していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記他の基板として第2基板、を含み、
前記第2基板は、
前記第2基板の一方の面に形成された配線、を備え、
前記第1基板の一方の面が前記第2基板の一方の面に対向し、前記当接部が前記第2基板に接触した状態で、前記配線に前記バンプ電極が接合されていることを特徴とするに請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項5】
第2基板、を含み、
前記第2基板は、
前記第2基板の一方の面に形成された配線と、
前記第2基板に形成された当接部、とを備え、
前記当接部は、他の基板の一方の面に形成されたバンプ電極が前記配線に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とする電子装置。
【請求項6】
前記第2基板に形成された圧力発生室と、
前記圧力発生室を覆うように前記第2基板の一方の面上に形成された振動膜と、
前記振動膜上に形成された圧電素子と、をさらに備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第2基板の一方の面と対向する他方の面に接合された第3基板、をさらに備え、
前記第3基板には、前記圧力発生室に連通するノズル開口部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1基板の一方の面に形成された凹部の底面に前記バンプ電極が形成されており、
前記凹部を囲む凸部が前記当接部であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記凹部内に前記圧電素子が封止されることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記圧力発生室に連通すると共に、外部からインク液の供給を受けるリザーバ、をさらに備え、
前記リザーバは前記第1基板に形成されていることを特徴とする請求項6から請求項9の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項11】
第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極を第2基板の所定領域に接合する際に前記第1基板又は第2基板の一方に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定する当接部を、前記第1基板又は前記第2基板の他方に予め設けておくことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項1】
第1基板、を含み、
前記第1基板は、
前記第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極と、
前記第1基板に形成された当接部と、を備え、
前記当接部は、前記バンプ電極が他の基板の所定領域に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記バンプ電極を複数個備え、
前記当接部は、前記第1基板の一方の面内で前記複数個のバンプ電極を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1基板の一方の面に形成された集積回路、をさらに備え、
前記バンプ電極は前記集積回路に接続していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記他の基板として第2基板、を含み、
前記第2基板は、
前記第2基板の一方の面に形成された配線、を備え、
前記第1基板の一方の面が前記第2基板の一方の面に対向し、前記当接部が前記第2基板に接触した状態で、前記配線に前記バンプ電極が接合されていることを特徴とするに請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項5】
第2基板、を含み、
前記第2基板は、
前記第2基板の一方の面に形成された配線と、
前記第2基板に形成された当接部、とを備え、
前記当接部は、他の基板の一方の面に形成されたバンプ電極が前記配線に接合される際に当該他の基板に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定することを特徴とする電子装置。
【請求項6】
前記第2基板に形成された圧力発生室と、
前記圧力発生室を覆うように前記第2基板の一方の面上に形成された振動膜と、
前記振動膜上に形成された圧電素子と、をさらに備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第2基板の一方の面と対向する他方の面に接合された第3基板、をさらに備え、
前記第3基板には、前記圧力発生室に連通するノズル開口部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1基板の一方の面に形成された凹部の底面に前記バンプ電極が形成されており、
前記凹部を囲む凸部が前記当接部であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記凹部内に前記圧電素子が封止されることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記圧力発生室に連通すると共に、外部からインク液の供給を受けるリザーバ、をさらに備え、
前記リザーバは前記第1基板に形成されていることを特徴とする請求項6から請求項9の何れか一項に記載の電子装置。
【請求項11】
第1基板の一方の面に形成されたバンプ電極を第2基板の所定領域に接合する際に前記第1基板又は第2基板の一方に接触して前記バンプ電極の潰れ具合を決定する当接部を、前記第1基板又は前記第2基板の他方に予め設けておくことを特徴とする電子装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−252882(P2009−252882A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97044(P2008−97044)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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