説明

電子装置及び消費電力削減方法

【課題】専用のセンサを使用することなく電子装置の非使用状態を検出し省電力モードへ移行すること。
【解決手段】ソフトウェアキーを表示する表示部150と、この表示部に付設され、ソフトウェアキーに対する操作を検出する操作部140と、操作部への人体や物体又は指示入力媒体の接近を検出するセンサ部170と、センサ部が人体や物体又は指示入力媒体の接近を検出した場合に、ソフトウェアキーを表示部に表示させる制御部110と、を備える携帯用電子装置10において、センサ部170が人体や物体又は指示入力媒体の接近を所定時間以上検出した場合、装置が非使用状態にあると判定し、消費電力を低減させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、特に、センサによって装置の使用状態を判定し、非使用時に装置の不要部分への電力供給を停止又は低減させる機能を備えた電子装置及び消費電力削減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機や携帯情報端末、ナビゲーション装置等の電子装置において、電力消費を低減させることは一つの重要な課題となっている。なぜなら、電力消費を抑えることによって、電子装置に内蔵された電池の電力供給時間や電池の寿命を長くすることができるからである。消費電力を抑えるための一つの方法として、非使用時に省電力モードへ移行することが挙げられる。これは、電子装置が使用状態にあるかそれとも非使用状態にあるかを判断し、非使用状態であれば電子装置の各部に供給する電力を停止或いは低減させる方法である。電子装置が使用状態にあるか非使用状態にあるかを判断する方法には様々なものがある。
【0003】
例えば、所定の時間電子装置に対し操作が行われなかった場合に非使用状態であると判断し、自動的に電源を停止する電子装置がある。さらに、下記特許文献1(特開2004−046386号公報)は、実際にユーザが使用する時だけ電源を投入するようにした「携帯型情報端末」とその「省電力方法」を開示している。この発明では、携帯型情報端末の筐体側面に2本の導体を設置して接触センサを構成しており、この2本の導体に人の手が同時に接触した時に人体を介して流れる電流を感知することで、使用者が手に持っているかどうかを認識する。また、カメラを表示部取付け面と同じ面に設置して顔向きセンサを構成し、使用者が端末機に顔を向けているか否かを認識する。そして、接触センサによって接触が感知されない場合又は顔向きセンサで人が表示部に顔を向けていないと判断された場合に省電力モードに移行する。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の携帯型情報端末では、ユーザが手に持っているかどうか或いは顔を表示部に向けているかどうかを判定するために専用のセンサを設ける必要があり、これらを生産するための費用と製造工数の増加という問題がある。
【0005】
ところで、下記特許文献2(特開平11−083504号公報)は、タッチパネル式のディスプレイと、その表示画面に運転者等の手が近づいたときにこれを検出する赤外線センサとを備えて構成されたナビゲーション装置を開示している。運転者等が手をディスプレイの表示画面に近づけると、赤外線センサがこの状態を検出し、ディスプレイに表示されていた地図画像上に動作指示領域の画像を表示する。これにより、運転者等が操作を行うために手を近づけたときだけ指示入力用の動作指示領域が表示されるので、操作性が高まる。
【0006】
下記特許文献3(特開2000−329577号公報)は、赤外線検出器等の人体検出部をタッチパネルに設け、タッチパネルに人体が接近したことを検出した場合に表示部上に操作案内画面を重畳表示する電子装置を開示している。これにより、必要以外の時に地図画像等必要な画面が操作案内画面によって遮られることを防止することができる。
【0007】
しかしながら、下記特許文献2、3のいずれの場合も、指や人体を近づけたときにのみ、もともと表示されていた画像の上に操作入力用の画像を重ね合わせて表示し、視認性を向上させることについて述べているに過ぎず、電子装置を使用状態にあるかそれとも非使用状態にあるかを判定して省電力モードへ移行することについては何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−046386号公報
【特許文献2】特開平11−083504号公報
【特許文献3】特開2000−329577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、専用のセンサを使用することなく電子装置の非使用状態を検出し省電力モードへ移行する機能を備えた電子装置及び消費電力削減方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の電子装置は、ソフトウェアキーを表示する表示部と、前記表示部に付設され、前記ソフトウェアキーに対する操作を検出する操作部と、前記操作部への物体の接近を検出するセンサ部と、前記センサ部が物体の接近を検出した場合に、前記ソフトウェアキーを前記表示部に表示させる制御部と、を備える電子装置であって、前記制御部は、前記センサ部が所定期間内に物体の接近後の非接近を所定回数以上検出した場合、若しくは、所定期間内に非接近後の接近を所定回数以上検出した場合、又は、前記センサ部が物体の接近を所定期間以上継続して検出した場合に、前記電子装置が非使用状態にあると判定し、前記電子装置の消費電力を低減させる制御を行うことを特徴とする。
【0011】
また、上記電子装置の一態様は、前記センサ部が物体の接近を所定期間以上継続して検出し、且つ、当該期間内に前記操作部に対する操作を検出しなかった場合、前記制御部は、前記電子装置が非使用状態にあると判定し、消費電力を低減させる制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、上記電子装置の一態様は、前記センサ部が赤外線センサを備えることを特徴とする。
【0013】
また、上記電子装置の一態様は、前記消費電力の低減制御は、前記表示部及び/又は前記操作部への電力供給を停止又は低減することであることを特徴とする。
【0014】
また、上記電子装置の一態様は、前記制御部は、前記電子装置が内蔵バッテリ駆動である場合に、前記電子装置が非使用状態にあるか否かを判定し、非使用状態である場合に前記電子装置の消費電力を低減させる制御を行うことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の電子装置の消費電力削減方法は、ソフトウェアキーを表示する表示部と、前記表示部に付設され、前記ソフトウェアキーに対する操作を検出する操作部と、前記操作部への物体の接近を検出するセンサ部と、制御部と、を備える電子装置における消費電力削減方法であって、前記センサ部が前記操作部への物体の接近を検出するステップと、物体の接近を検出した場合に、前記制御部が前記表示部にソフトウェアキーを表示させるステップと、前記制御部が、前記センサ部が所定期間内に物体の接近後の非接近を所定回数以上検出した場合、若しくは、所定期間内に非接近後の接近を所定回数以上検出した場合、又は、前記センサ部が物体の接近を所定期間以上継続して検出した場合に、前記電子装置が非使用状態にあると判定するステップと、前記電子装置が非使用状態にある場合に前記制御部が前記電子装置の消費電力を低減させる制御を行うステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記構成により、本発明は下記に説明する優れた効果を発揮する。すなわち、本発明の電子装置及び消費電力削減方法は、操作部に対して物体の接近をセンサ部によって検出した場合に表示部にソフトウェアキーを表示する一方で、このセンサ部による検出結果に基づいて非使用状態か否かを判断し、非使用状態の場合には電子装置の消費電力を低減させる制御を行うことができる。これにより、電子装置の使用状況を判定するための専用のセンサを使用することなく、ソフトウェアキーの表示判断を行うためのセンサを使用して非使用状態か否かの判定を行い、消費電力を低減させた制御に移行することが可能となり、製造コストや製造工数を低減させることもできる。
【0017】
本発明の電子装置の一態様によれば、物体の接近をセンサ部が所定期間以上継続して検出するとともにこの期間内に操作部に対する操作を検出しなかった場合に非使用状態であると判定して消費電力を低減させた制御に移行する。これにより、電子装置が鞄の中にしまってある場合やポケットの中に挿入されている非使用状態を物体の近接状態の継続と操作部に対しての物体の接触のないこととによって判定し、消費電力を低減させた制御に移行することが可能となる。
【0018】
本発明の電子装置の一態様によれば、センサ部として赤外線センサを採用する。これにより、物体の接近を容易に判断することができるので、物体の接近に基づいて非使用状態か否かを判定でき、消費電力を低減させた制御に移行することが可能となる。
【0019】
本発明の電子装置の一態様によれば、消費電力の低減制御として、表示部及び/又は操作部への電力供給を停止又は低減する。これにより、非使用時に電力消費の大きい表示部への電力を停止又は低減することで、電力消費量を少なくすることができる。さらに、操作部に対する電力供給を停止又は低減させることで、非使用時に不必要な部分への電力供給を行うことを避けることが可能となる。
【0020】
本発明の電子装置の一態様によれば、内蔵バッテリによって電子装置が駆動されているときにのみ非使用時に省電力制御を行う。それにより、外部電源に接続されている時等には不必要な省電力制御を行わないようにするとともに、非使用時に内蔵バッテリの電力消費を低減させることによって内蔵バッテリの使用可能時間を最大限長く維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例の携帯用ナビゲーション装置の内部ブロック図である。
【図2】本実施例の携帯用ナビゲーション装置における省電力モードへの移行制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例として図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電子装置として、携帯用ナビゲーション装置を例示して説明するものであって、本発明をこの携帯用ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなくその他の電子装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0023】
まず、図1を参照して本実施例の携帯用ナビゲーション装置について説明する。なお、図1は本実施例の携帯用ナビゲーション装置の内部ブロック図である。携帯用ナビゲーション装置10は、制御部110、現在位置検出部120、地図情報記憶部130、操作部140、表示部150、音声出力部160、近接センサ部170、電源供給部180を備えて構成される。
【0024】
制御部110は、CPU、ROM、RAM(それぞれ図示せず)を備えて構成され、ROMやRAMに記憶された制御プログラムをCPUにおいて実行することにより、携帯用ナビゲーション装置10全体及び下記の各機能の動作を制御・統括する。すなわち、制御部110は、使用状態判定機能111、表示制御機能112、動作制御機能113、経路探索機能114、経路案内機能115として機能する。
【0025】
使用状態判定機能111は、後述する近接センサ部170からの出力に基づいて物体(指などの人体を含む)が操作部140に接近したか否かの判定を行う。さらに、近接センサ部170の出力に基づく操作部140への物体(指などの人体を含む)の接近の有無、及び、操作部140の操作状況に基づいてユーザがこの携帯用ナビゲーション装置10を使用している状態(使用状態)か、それともポケットに挿入した状態、ケースや布などをかぶせた状態や鞄の中にしまって使用していない状態(非使用状態)かを判定する。この判定の方法については後述する。
【0026】
表示制御機能112は、表示部150に表示するための画像を生成するとともに表示制御する。表示制御機能112は、例えば、現在位置検出部120によって検出された現在位置周辺の地図データを地図情報記憶部130から取得して地図画像を作成し、これに現在位置表示画像を重ね合わせて表示部150に表示する。また、表示制御機能112は、経路案内機能115からの指示に基づいて、経路案内画像を生成して表示部150上の地図画像に重ね合わせて表示する。経路案内画像は、例えば、右左折の指示画像等である。また、近接センサ部170において物体が操作部140に接近したことを検出した際に、使用状態判定機能111からの指示に基づいてソフトウェアキーの画像を生成し、地図画像に重ね合わせて表示部150に表示する。さらに、物体が操作部140から離れたことを近接センサ部170が検出した場合には、表示されているソフトウェアキーを消去する。
【0027】
動作制御機能113は、表示部150に表示されているソフトウェアキーをユーザが指等で選択操作した際(操作部140が操作されてソフトウェアキーが選択操作された際)に、どのソフトウェアキーが選択されたかを判定し、操作指示に対応する機能を呼出して実行させる。例えば、ユーザがソフトウェアキーを操作して経路探索の指示を行った場合、以下に説明する経路探索機能114を呼出して実行する。
【0028】
経路探索機能114は、出発地と目的地を、操作部140を操作して入力設定するようにユーザに要求し、出発地と目的地が設定されると、地図情報記憶部130に記憶された地図データを参照してダイクストラ法等の手法によって出発地から目的地に到達する経路を探索し、道路データを構成するリンクのリンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を最適経路データとして生成する。出発地は現在位置検出部120によって検出された現在位置であってもよい。
【0029】
経路案内機能115は、探索された経路探索機能114によって探索された最適経路の最適経路データと現在位置検出部120によって特定された現在位置の情報に基づいて、ユーザが現在位置からどのように進むべきかを案内する。この案内は、経路案内画像の表示指示を表示制御機能112に対して行うことによって、表示部150に表示されている地図上に案内経路、及び現在位置を重ね合わせて表示させるとともに、右左折の指示等の経路案内画像を表示部150に表示させることによって行う。さらに、音声案内メッセージを音声出力部160に出力して音声出力部160から音声メッセージを音声出力させることによって行う。
【0030】
現在位置検出部120は、GPS受信手段、自律航法手段(それぞれ図示せず)を備えて構成される。GPS受信手段は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波(衛星信号)を受信し、それに基づいて位置情報(GPS測位位置)を所定時間間隔毎に算出する。自律航法手段は、携帯用ナビゲーション装置10に内蔵、或いは車両に取付けられた加速度センサや角速度センサからの加速度や角速度の出力値に基づいてGPS受信手段によって検出された現在位置を補完する。
【0031】
地図情報記憶部130は地図データを記憶しているが、それら地図データはメッシュ単位に分けて記憶され、さらに、道路データ、建物データ、背景データ、テキストデータから構成される。道路データは、道路をその屈曲点、分岐点等の結節点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとしたリンクデータから構成される。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、交差点情報や交差点名称、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。
【0032】
建物データは、建物の少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、駅、ビル、民家等の建物の種別、表示色のデータを含んで構成される。また背景データは、海岸線、湖沼、河川形状、山林等の背景画像データとなる少なくとも3点からなる位置座標(緯度・経度)、表示色のデータを含んで構成される。テキストデータは、それぞれの地名や河川名等の文字(名称)、及びその座標(緯度・経度)のデータを含んで構成される。
【0033】
操作部140は、タッチパッド等によって構成された位置入力装置であり、表示部150の表面上に形成される。表示部150は、本実施例では液晶パネルであり、表示制御機能112によって生成される地図画像や経路案内画像、ソフトウェアキーの表示を行う。表示部150と操作部140はタッチパネル或いはタッチスクリーンを構成する。
【0034】
音声出力部160はアンプやスピーカを備えて構成される。そして、音声出力部160は、経路案内機能115から出力指示される音声案内メッセージを音声として出力する。
【0035】
近接センサ部170は、接近センサを備えており、操作部140への物体の接近を検出する。接近センサは携帯用ナビゲーション装置10の表示部150に近接した筐体部分に設けられる。好ましくは、接近センサは表示部150に隣接した筐体の下部中央に設けられる。すなわち、接近センサは、接近センサへの物体の接近を検出するものであるが、本実施例において、接近センサは、表示部150(操作部140)に近接した筐体部分に設けられるため、操作部140への物体の接近を検出するものとして説明を行なう。接近センサは赤外線センサであってもよい。なお、接近センサは電磁波を発射し、反射波を用いて物体の近接を検出する反射型のものであることが好ましい。
【0036】
電源供給部180は、内蔵バッテリ或いは外部電源から供給される電力の供給制御を行う。これには、供給する電力を一定に維持する等の電圧制御、電力の供給先の選択制御が含まれる。また電源供給部180は、省電力制御をも行う。これは、制御部110の使用状態判定機能111によって省電力での制御を行うべきであると判定された場合に供給電力の電圧値を通常時よりも低くしたり、操作部140や表示部150への電力供給を停止させたりすることによって行う。さらに、これらの省電力制御は、携帯用ナビゲーション装置10が内蔵バッテリを使用している場合にのみ行えるようにする。
【0037】
次に、図2を参照して、本実施例の携帯用ナビゲーション装置10における省電力モードへの移行制御について説明する。なお、図2は、本実施例の携帯用ナビゲーション装置10における省電力モードへの移行制御を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS201において、近接センサ部170は、物体が携帯用ナビゲーション装置10の操作部140に接近したか否かを検出する。何も接近していない場合はステップS201の処理を継続し、操作部140への物体の接近検出を監視する。近接センサ部170が操作部140に物体が接近したことを検出すると、ステップS202において、使用状態判定機能111は操作部140に物体が接近したことに基づいてソフトウェアキーの表示指示を表示制御機能112に出力し、表示制御機能112は使用状態判定機能111からの指示に基づいてソフトウェアキーの画像を生成し、既に表示部150に表示されている地図画像に重ね合わせて表示する。
【0039】
ステップS203において、使用状態判定機能111は操作部140の操作状況を監視し、ユーザが操作部140を操作したか否かを判定する。ユーザが操作部140を操作したという判定は、操作部140にユーザの指等の他、何らかの物体が接触したか否かを基準にする。
【0040】
操作部140に何らかの物体が接触した(つまり、操作があった)ことを検出した場合、ステップS204の処理に進み、使用状態判定機能111は、近接センサ部170が操作部140に対する接近を所定期間、例えば5分間以上検出したままであるか否かを判定する。接近状態が5分未満であると判定された場合、ステップS205の処理に進み、動作制御機能113が選択操作されたソフトウェアキーに対応する処理を判定し、対応する各機能を実行させ、処理を終了する。
【0041】
例えば、ユーザが表示部150に表示されたソフトウェアキーを操作して経路探索の指示を行った場合、経路探索機能114を呼出して実行する。経路探索機能114は、出発地と目的地を操作部140を操作して入力設定するようにユーザに要求し、出発地と目的地が設定されると、地図情報記憶部130に記憶された地図データを参照し、出発地から目的地に到達する経路を探索し、道路データを構成するリンクのリンク長(リンクコスト)や所要時間を累積し、総リンク長(走行距離)又は総所要時間が最短となる経路を最適経路データとして生成する。
【0042】
ユーザが表示部150に表示されたソフトウェアキーを操作して経路案内の指示を行った場合、経路案内機能115を呼出して実行する。経路案内機能115は、探索された経路探索機能114によって探索された最適経路の最適経路データと現在位置検出部120によって特定された現在位置の情報に基づいて、ユーザが現在位置からどのように進むべきかを案内する。この案内は、経路案内画像の表示指示を表示制御機能112に対して行うことによって、表示部150に表示されている地図上に案内経路、及び現在位置を重ね合わせて表示させるとともに、右左折の指示等の経路案内画像を表示部150に表示させることによって行う。さらに、案内は音声案内メッセージを音声出力部160に出力して音声出力部160から音声出力させることによって行う。
【0043】
ステップS204において、使用状態判定機能111が、近接センサ部170が操作部140に対する物体の接近を所定期間、例えば5分以上検出したままであると判定した場合、使用状態判定機能111は携帯用ナビゲーション装置10が非使用状態にあると判断する。なお、これは、例えば、鞄の中に携帯用ナビゲーション装置10をユーザが入れた場合、或いはポケットの中に携帯用ナビゲーション装置10を入れている場合に相当するが、鞄やポケットの中で何らかの物体が操作部140に接触し、その後もそれらの物体が継続して操作部140へ接近した状態にある場合である。その場合、ステップS208の処理に進み、使用状態判定機能111が電源供給部180に省電力モードへの移行制御の指示を行う。電源供給部180は携帯用ナビゲーション装置10への供給電圧値を低くくしたり、操作部140、表示部150への電力供給を停止させたりして省電力運転を実行し、処理を終了する。
【0044】
なお、ステップS204の処理において、接近状態が5分未満であると判定された場合であっても、その後も、5分間以上接近を検出したままであるか否かを判定し、5分間以上接近を検出したままである場合には、ステップS208の処理に進むことが好ましい。
【0045】
すなわち、通常、5分間以上も指などを操作部140に近づけることは考えにくいため、たとえ、操作部140が操作された場合であっても、それは、例えば、鞄内の物体との接触であるとして、省電力モードへ移行することが好ましい。
【0046】
ステップS203において、使用状態判定機能111が操作部140の操作状況を監視し、ユーザが操作部140を操作しなかった、或いは操作部140に何らかの物体が接触しなかったと判定した場合、ステップS206に進み、使用状態判定機能111は、近接センサ部170の出力に基づいて、いまだに物体が操作部140に接近した状態か否かを判定する。近接センサ部170が物体が接近していない状態を検出した場合(使用状態判定機能111が物体が接近していない状態であると判定した場合)、すなわち、操作部140に物体が接近した後、物体が操作部140から離れた場合、ステップS209に進み、使用状態判定機能111は、表示制御機能112に指示を行い、表示制御機能112は表示部150に表示されているソフトウェアキーを消去し、処理を終了する。
【0047】
ステップS206において、使用状態判定機能111が、近接センサ部170の出力に基づいて物体が操作部140に接近した状態であると判断した場合、ステップS207に進み、使用状態判定機能111が、近接センサ部170が操作部140に対する物体の接近が所定期間継続したままであるか否かを判定する。ステップS207において、操作部140に対する物体の接近が所定期間、例えば5分以上継続して検出されている場合、使用状態判定機能111は携帯用ナビゲーション装置10が非使用状態にあると判断する。なお、これは、例えば、ポケットや鞄の中等に携帯用ナビゲーション装置10をユーザが入れ、何らかの物体が操作部140に接近したままの状態であり、且つ操作部140が操作されない状態の場合である。その場合、ステップS208の処理に進み、使用状態判定機能111が電源供給部180に省電力モードへの移行制御の指示を行う。電源供給部180は携帯用ナビゲーション装置10への供給電圧値を低くくしたり、操作部140、表示部150への電力供給を停止させたりして省電力運転を実行し、処理を終了する。
【0048】
ステップS207において、操作部140に対する物体の接近が所定期間未満しか継続していないと判定された場合、ステップS203の処理へ戻り、操作を検知する、接近を非検知(非接近)となる、又は、接近が所定期間以上継続するまで処理を繰り返す。(この間は省電力モードではなく、ソフトウェアキーが表示部150に表示されている。)
以上、携帯用ナビゲーション装置10における省電力モードへの移行制御について説明した。なお、上記の省電力モードへの移行制御は、電源供給部180が内蔵バッテリによる電力供給時にのみ行うようにしてもよい。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施例に限られず種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、省電力モードとして、電源供給部180は携帯用ナビゲーション装置10への供給電圧値を低くくしたり、操作部140、表示部150への電力供給を停止させたりすることを記載したが、これに限らず、例えば、表示部150の表示画面の輝度を下げる、現在位置検出部120による現在位置の検出頻度を下げる、又は、表示部150のバックライトをOFFする、ことにより省電力モードを実現してもよい。
【0050】
また、本実施例の図2のフローチャートでは、ステップS204及びステップS207において、近接センサ部170が操作部140に対する接近を所定期間、例えば5分間以上検出したままであるか否かを判定したが、この判定はフローチャートの位置に限られず、近接センサ部170が操作部140に対する接近を検出したときから時間を計測し、例えば5分間以上検出したままとなった時点で省電力モードへ移行する(ステップS208)ことが好ましい。
【0051】
すなわち、近接センサ部170が操作部140に対する接近を所定期間、例えば5分間以上検出したままであれば、非使用状態と判定して、省電力モードへ移行する。
【0052】
なお、省電力モードへ移行した後に、省電力モードから復帰させる場合には、操作部140を特殊操作した場合に復帰させるようにしてもよい。特殊操作としては、例えば、所定時間以上の長押しや、複数回のタッチを必要とする操作が考えられる。
【0053】
また、操作部140(タッチパネル)以外にハードキーなどが携帯用ナビゲーション装置10に設けられている場合、当該ハードキーの操作により省電力モードから復帰させてもよい。
【0054】
このようなユーザの操作に応じて、省電力モードから復帰させる場合には、近接センサ部170への電力供給の停止も省電力モードへ加えてもよい。
【0055】
その他にも、近接センサ部170が接近を検出したままである場合に、省電力モードとし、接近を非検知となったとき(非接近となったとき)に(例えば鞄から取り出したときに)、省電力モードから復帰させるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施例においては、操作部140に対する操作を検知した場合であっても、物体の接近を所定期間継続して検出した場合には、省電力モードへ移行することとしたが、これに限ることはなく、物体の接近を所定期間以上継続し、且つ、当該期間内に操作部140に対する操作を検出しなかった場合にのみ、非使用状態にあると判定し、省電力モードへ移行してもよい。これによって、長時間の操作中に省電力モードへ移行してしまう誤動作を防止することが可能である。すなわち、操作部140に対する操作があった場合、その時点から操作部140が操作されることなく物体の接近を所定期間継続して検出した場合に、非使用状態にあると判定して省電力モードへ移行してもよい。
【0057】
また、本実施例においては、携帯用ナビゲーション装置10を例示したが、これに限ることはなく、車載用ナビゲーション装置にも適用可能である。例えば、車載用ナビゲーション装置にケースや布などがかぶされた場合(操作部140に対する接近を所定期間以上検出したまま)が考えられ、このような場合にも、省電力モードへ移行することにより、車両に搭載されたバッテリの消費電力を削減することができる。
【0058】
さらに、本実施例においては、物体の接近を所定期間以上継続して検出した場合に、非使用状態にあると判定したが、これに限ることはなく、例えば、物体の接近・非接近が頻繁に生じている場合なども、非使用状態と判定することが好ましい。
【0059】
具体的には、所定期間内に物体の接近後の非接近を所定回数以上検出した場合(所定期間(1分)内に所定回数(5回)以上S206のYESとなった場合)、或いは、所定期間内に物体の非接近後の接近を所定回数以上検出した場合(所定期間(1分)内に所定回数(5回)以上S201のYESとなった場合、なお、説明の簡略化のため、ステップS209の後は処理を終了すると説明したが、正確にはS201へ戻り、再度、物体の接近があったか否かを判定する。)に、非使用状態と判定し、省電力モードへ移行することが望ましい。
【0060】
特に、物体の接近・非接近が頻繁に生じているにもかかわらず、操作がない(操作部140への接触がない)場合に、非使用状態と判定して省電力モードへ移行することが好ましい。
【符号の説明】
【0061】
10 携帯用ナビゲーション装置
110 制御部
111 使用状態判定機能
112 表示制御機能
113 動作制御機能
114 経路探索機能
115 経路案内機能
120 現在位置検出部
130 地図情報記憶部
140 操作部
150 表示部
160 音声出力部
170 近接センサ部
180 電源供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアキーを表示する表示部と、
前記表示部に付設され、前記ソフトウェアキーに対する操作を検出する操作部と、
前記操作部への物体の接近を検出するセンサ部と、
前記センサ部が物体の接近を検出した場合に、前記ソフトウェアキーを前記表示部に表示させる制御部と、を備える電子装置であって、
前記制御部は、前記センサ部が所定期間内に物体の接近後の非接近を所定回数以上検出した場合、若しくは、所定期間内に非接近後の接近を所定回数以上検出した場合、又は、前記センサ部が物体の接近を所定期間以上継続して検出した場合に、前記電子装置が非使用状態にあると判定し、前記電子装置の消費電力を低減させる制御を行うことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記センサ部が物体の接近を所定期間以上継続して検出し、且つ、当該期間内に前記操作部に対する操作を検出しなかった場合、前記制御部は、前記電子装置が非使用状態にあると判定し、消費電力を低減させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記センサ部が赤外線センサを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記消費電力の低減制御は、前記表示部及び/又は前記操作部への電力供給を停止又は低減することであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記電子装置が内蔵バッテリ駆動である場合に、前記電子装置が非使用状態にあるか否かを判定し、非使用状態である場合に前記電子装置の消費電力を低減させる制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
ソフトウェアキーを表示する表示部と、前記表示部に付設され、前記ソフトウェアキーに対する操作を検出する操作部と、前記操作部への物体の接近を検出するセンサ部と、制御部と、を備える電子装置における消費電力削減方法であって、
前記センサ部が前記操作部への物体の接近を検出するステップと、
物体の接近を検出した場合に、前記制御部が前記表示部にソフトウェアキーを表示させるステップと、
前記制御部が、前記センサ部が所定期間内に物体の接近後の非接近を所定回数以上検出した場合、若しくは、所定期間内に非接近後の接近を所定回数以上検出した場合、又は、前記センサ部が物体の接近を所定期間以上継続して検出した場合に、前記電子装置が非使用状態にあると判定するステップと、
前記電子装置が非使用状態にある場合に前記制御部が前記電子装置の消費電力を低減させる制御を行うステップと、
を有することを特徴とする消費電力削減方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−30065(P2013−30065A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166815(P2011−166815)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】