説明

電子装置

【課題】 端子構造が簡単で、しかも確実に端子を清掃できて、良好な接触を確保できるようにする。
【解決手段】 電子装置11は、電極端子15を具えた電池パック14を収容する電池パック収容部12を有し、この電池パック収容部12に前記電極端子15と電気的に接続するための弾性を有する接続端子13を具えている。電池パック収容部12には、前記電池パック14を当該電子装置11に装着する時に前記電極端子15と前記接続端子13とが接触した状態で当該電池パック14を所定角度だけ回転させる支点となる突起19が、当該電子装置11の前記電池パック収容部12の接続端子13から所定距離だけ離した位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックを着脱可能に装着するようにした電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば携帯電話やデジタルカメラ、あるいはPDA、携帯用音楽プレーヤーなどの電子装置としては、電極端子を具えた電池パックを収容する電池パック収容部を有し、この電池パック収容部に前記電極端子と電気的に接続するための弾性を有する接続端子を具えた構成のものがある。図19にはその従来構成を示している。
この図19において、電子装置1には電池パック収容部2が形成され、この収容部2の図示左側の面には接続端子3が常時矢印A方向へ移動付勢されることより弾性を有する構成となっている。一方、電池パック4の図示左側面には電極端子5が具えられている。なお、該電池パック収容部2は蓋6によって閉塞されるようになっている。また、電池パック収容部2には電池パック4取出し用の帯7が設けられている。
【0003】
この電子装置1において、電池パック4の電極端子5を接続端子3に接続する場合には、図20に示すように、電池パック4を、その電極端子5が接続端子3に接触するようにしながら、電池パック収容部2に挿入配置する。この場合、電極端子5に対する接続端子3との接触個所は挿入開始から挿入配置終了まで殆ど変化しない。
このため、接触導通部分の酸化皮膜の除去などの異物除去が図られない欠点があった。
【0004】
電子装置たる携帯端末の充電器において、接続端子及び電極端子の端子清掃を図るものとして特許文献1に記載されたものがある。
このものにおいては、携帯端末の充電器本体の充電端子に、電池パック背面の電極端子と電気的に接続される接続凸部を形成すると共に、にクリーニング突起を形成し、電極端子が接続端子に接触する前に、クリーニング端子がこの電極端子に接触することで、電池パックの電極面を清掃する構成となっている。
【特許文献1】特開平11−185827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1に記載のものでは、充電端子に本来接続用の接続凸部とクリーニング突起とを形成しており、端子構造が複雑で、しかも電池パックの背面に電極端子が設けられている場合に限って清掃可能である。すなわち、電池パックの底面(先端面)に電極端子が有る場合には、上記のような清掃は行なわれない。このため、付着した汚れなどが電極端子の接触部から除去されず、接触不良が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてされたものであり、端子構造が簡単で、しかも確実に端子を清掃できて、良好な接触を確保できる電子装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、電極端子を具えた電池パックを収容する電池パック収容部を有し、この電池パック収容部に前記電極端子と電気的に接続するための弾性を有する接続端子を具えた電子装置であって、前記電池パックを当該電子装置に装着する時に前記電極端子と前記接続端子とが接触した状態で当該電池パックを所定角度だけ回転させる支点となる突起を、当該電子装置の前記電池パック収容部の接続端子から所定距離だけ離した位置に設けたことを特徴とするものであり、これにより、電池パックを電池パック収容部に対して装着あるいは離脱させるときに、前記突起を支点とした電池パックの所定角度だけの回転により、電子装置側の接続端子及び電池パック側の電極端子の双方の接触個所が相対的に摺動することとなって両端子の接触面の清掃が、良好に行なわれる。また、端子構造としてはクリーニング突起は必要としないので、端子構造も簡単となる。
【0008】
この場合、前記電池パックの前記電極端子を、当該電池パックの挿入前方の面に形成し、前記突起を、前記電池パック収容部に、前記電池パックの底面又は側面と向き合う位置に設ける構成としても良い(請求項2の発明)。このようにすると、突起が電池パック収容部側にあるので、電池パックとしては突起のない単純形状とすることができる。
また、当該電子装置の電池パック収容部に、前記電池パックの装着時に前記接続端子に過大な荷重が加わることを防止するために、該電池パックの位置を制限するストッパを具える構成としても良い(請求項3の発明)。このようにすると、電池パックの装着時に接続端子に過大な荷重が作用することがなくて、その弾性劣化や変形を防止することができる。
【0009】
さらに、前記突起を、前記電池パック装着時の前記電池パックの回転を円滑にするために曲面に形成するようにしても良い(請求項4の発明)。このようにすると、電池パックが突起に対してわずかに滑りながら回転するようになり、電池パックの電極端子が接続端子に対して円滑に摺動するようになり、両端子に対する清掃効果が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施例について図1ないし図3を参照しながら説明する。電子装置11は、携帯電話やデジタルカメラ、あるいはPDA、携帯用音楽プレーヤーなどの電子装置であり、この電子装置11には電池パック収容部12が形成され、この収容部12の図示左側の面にはピン状の接続端子13が常時矢印A方向へ移動付勢されることより弾性を有する構成となっている。一方、電池パック14の図示左側面には幅広な導通板からなる電極端子15が具えられている。なお、該電池パック収容部12は蓋16によって閉塞されるようになっている。また、電池パック収容部12には電池パック14取出し用の帯17が設けられている。
【0011】
この場合電池パック14は図2に矢印B方向に挿入されるものであり、従って、前記電池パック14の前記電極端子15は、当該電池パック14挿入前方の面に形成されている。
前記電池パック収容部12には、一段高い段部18が形成されており、この段部18の角部分が突起19を構成している。この突起19は、電池パック収容部12の接続端子13から所定距離だけ離した位置に設けられており、前記電池パック14の底面と向き合う位置に設けられている。そして、この突起19は前記電池パック14装着時の前記電池パック14の回転を円滑にするために曲面(円弧面)に形成されている。
【0012】
また前記電池パック収容部12には、前記電池パック14の装着時に前記接続端子13に過大な荷重が加わることを防止するために、該電池パック14の位置を制限するストッパ20が形成されている。
さて、前記電池パック14を電池パック収容部12内に装着する場合、図2に示すように、電池パック14をその電極端子15を接続端子13に近づけるように斜めに挿入し、この状態から、電池パック14の底面が突起19に当たるようにしてさらに矢印B方向へ挿入すると、図3に示すように、電極端子15の上部が接続端子13に接触すると共に、電池パック14の底面が突起19に当たるが、電池パック14の後部(図示右部)を下方へ押しながら矢印B方向へ挿入すると、それ以上の挿入がストッパ20によって制限されると共に、この突起19を支点として電池パック14が所定角度αだけ矢印Cで示すように回転する。この所定角度αは、電極端子15と前記接続端子13とが十分な摺動距離を確保できる角度となっており、この所定角度αは、接続端子13からの突起19の離間距離や突起19の高さなどに依存するが、電極端子15に必要な摺動距離も考慮に入れて設定されるものである。
【0013】
この場合、突起19が曲面に形成されているから、電池パック14はこの突起19に対してわずかに滑りながら回転する。この結果、電極端子15が接続端子13に対して上方向へ円滑に摺動する。そして、電池パック14は段部18に載置された配置形態となり、適正な配置姿勢(両端子13、15が相対して接触する姿勢)となる。
このように本実施例によれば、電池パック14の挿入配置時において突起19を支点として該電池パック14が所定角度αだけ回転し、電極端子15が接続端子13に対して上方向へ摺動するようになるため、両端子13、15の接触面の清掃が、良好に行なわれる。また、端子構造としては従来のクリーニング突起は必要としないので、端子構造も簡単となる。なお、電池パック14を電池パック収容部12に対して離脱させるときにおいては、動作が逆となるだけであって、両端子13、15の接触面の清掃が、良好に行なわれる。
【0014】
また、本実施例によれば、前記電池パック14の前記電極端子15を、当該電池パック14の挿入前方の面に形成し、前記突起19を、前記電池パック収容部12に、前記電池パック14の底面と向き合う位置に設ける構成としたから、電池パック14としては突起のない単純形状とすることができる。
また、電池パック収容部12に、前記電池パック14の装着時に前記接続端子13に過大な荷重が加わることを防止するために、該電池パック14の位置を制限するストッパ20を形成したから、電池パック14の装着時に接続端子13に過大な荷重が作用することがなくて、その弾性劣化や変形を防止することができる。
【0015】
さらに本実施例によれば、前記突起19を、曲面に形成したから、電池パック14が突起19に対してわずかに滑りながら回転するようになり、電池パック14の電極端子15が接続端子13に対して円滑に摺動するようになり、両端子13、15に対する清掃効果が向上する。
図4ないし図6は本発明の第2の実施例を示しており、この実施例においては、次の点が第1の実施例と異なる。すなわち、電池パック収容部12における接続端子13上方に、庇状の張出部21を形成し、蓋22もこの張出部21を考慮した形状に形成している。
【0016】
これによれば、電池パック14挿入時において、該電池パック14の電極端子15部分を上下から規制できて、突起19による支点作用を確実に得ることができて、両端子13、15の清掃を簡単且つ確実に行なうことができる。
図7及び図8は本発明の第3の実施例を示しており、この実施例においては、突起31を電池パック14側に設けた点が第1の実施例と異なる。この突起31は電池パック14の底部に、接続端子13から所定距離離した位置に、曲面例えば半円弧状に形成されている。なお、電池パック14の後部(図示右側)の底部には、該電池パック14の配置姿勢を傾かないようにするための脚部32が形成されている。この第3の実施例においては、電池パック14に設けた突起31が、該電池パック14の挿入配置時に、該電池パック14を回転させる支点として作用する。従って、この第3の実施例においても、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0017】
図9及び図10は本発明の第4の実施例を示しており、この実施例においては、電池パック14に段部41及び突起42を形成した点が第1の実施例と異なるが、この第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
図11ないし図13は本発明の第5の実施例を示しており、この実施例においては、次の点が第1の実施例と異なる。すなわち、電池パック14の両側面14a、14bの前側(図示左側)に円柱状(曲面状)の突起51、51を設け、後ろ側に姿勢保持用の凸部52、52を設け、電池パック収容部12の両側面12a、12bに、前記突起51及び凸部52が挿入される支持凹部53、53を形成している。この支持凹部53、53の前側(図示左側)の隅部53aに連なる端面53bは後方へ斜め傾斜していて、電池パック14を電池パック収容部12に挿入するときに斜め後方からしか挿入できないようにしており(図13参照)、電極端子15が接続端子13に確実に接触するようになっている。
【0018】
図13は、電池パック14を電池パック収容部12に挿入途中の状態を示しており、この状態で、突起51が支持凹部53の隅部53aに接触しており、この状態から電池パック14を押し下げると、電池パック14が所定角度だけ矢印C方向に回転する。この結果、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。なお、支持凹部53は突起51が矢印B方向へ移動するのを制限するから、ストッパとしても作用するものであり、電池パック収容部12にはストッパを設けなくて済む。
【0019】
図14ないし図16は本発明の第6の実施例を示しており、この実施例においては、次の点が第1の実施例と異なる。突起61と姿勢保持用の凸部62とを、電池パック収容部12の両側面に電池パック14の両側面に向き合う位置に形成し、電池パック14の両側面に、突起61と嵌り合う凹部63と、凸部62と嵌り合う凹部64とを形成している。
前記突起61の上端部は、曲面状例えば半円弧状に形成されている。またこの突起61と嵌り合う凹部63は前側の面63aが傾斜することで拡開する形態に形成されている。
【0020】
図16は、電池パック14を電池パック収容部12に挿入途中の状態を示しており、この状態で、突起61が凹部63に嵌り合っており、この状態から電池パック14を押し下げると、電池パック14が所定角度だけ矢印C方向に回転する。この結果、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。なお、凹部63は突起61が矢印B方向へ移動するのを制限するから、ストッパとしても作用するものであり、電池パック収容部12にはストッパを設けなくて済む。
【0021】
図17は本発明の第7の実施例を示すものであり、この実施例においては、次の点が第1の実施例と異なる。すなわち、突起71は電池パック収容部12の底部に半円弧状に形成されており、そして、電池パック収容部12の後部には姿勢保持用の段部72が形成されている。さらに、接続端子13上方には張出部73が形成されている。
この第7の実施例においても、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、突起は、本発明の第8の実施例と示す図18の突起81のように、上端が平坦であっても、初期の目的は達成できるものである。
また、電子装置としては、携帯電話やデジタルカメラ、あるいはPDA、携帯用音楽プレーヤーに限られるものではなく、充電器であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施例を示す電子装置の縦断面図
【図2】電池パックの挿入配置途中の状態を示す縦断面図
【図3】電池パックをさらに挿入した状態を示す縦断面図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【図5】図2相当図
【図6】図3相当図
【図7】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図8】図3相当図
【図9】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図10】図3相当図
【図11】本発明の第5の実施例を示す挿入配置前の状態での電子装置及び電池パックの斜視図
【図12】図1相当図
【図13】図3相当図
【図14】本発明の第6の実施例を示す図11相当図
【図15】図1相当図
【図16】図3相当図
【図17】本発明の第7の実施例を示す図1相当図
【図18】本発明の第8の実施例を示す図1相当図
【図19】従来例を示す図1相当図
【図20】図3相当図
【符号の説明】
【0024】
図面中、11は電子装置、12は電池パック収容部、13は接続端子、14は電池パック、15は電極端子、18は段部、19は突起、20はストッパ、21は張出部、31、42、51は突起、53は支持凹部、61は突起、63は凹部、71、81は突起を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を具えた電池パックを収容する電池パック収容部を有し、この電池パック収容部に前記電極端子と電気的に接続するための弾性を有する接続端子を具えた電子装置であって、
前記電池パックを当該電子装置に装着する時に前記電極端子と前記接続端子とが接触した状態で当該電池パックを所定角度だけ回転させる支点となる突起を、当該電子装置の前記電池パック収容部の接続端子から所定距離だけ離した位置に設けたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置において、
前記電池パックの前記電極端子は、当該電池パックの挿入前方の面に形成され、
前記突起は、前記電池パック収容部に、前記電池パックの底面又は側面と向き合う位置に設けられていることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子装置において、
当該電子装置の電池パック収容部には、前記電池パックの装着時に前記接続端子に過大な荷重が加わることを防止するために、該電池パックの位置を制限するストッパを具えたことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電子装置において、
前記突起は、前記電池パック装着時の前記電池パックの回転を円滑にするために曲面に形成されていることを特徴とする電子装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−86072(P2006−86072A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271449(P2004−271449)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】