説明

電子計算機,電子計算機の管理方法及びプログラム

【課題】本発明の目的は、安全性の向上や対人被害の軽減を行える電子計算機を実現することである。
【解決手段】人の存在、および人までの距離を感知するセンサーを取付ける。このセンサーが出力する値を元に、電子計算機内蔵のソフトウェアが演算を行う。このソウトウェアの演算により、電子計算機と人との間の距離を計測し、その値に応じて処理速度を低下させる、あるいはキーボードかマウスからの入出力動作ができないようにさせる。または、ハードディスクからのアクセスを停止させる等の電子計算機自身の機能を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子計算機,電子計算機の管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年個人用途や或いは産業用に多く電子計算機が使われている。この電子計算機はハードディスク等の要素部品で構成されている。これら電子計算機を構成する部品は振動等の外的な影響で故障することがあり、そのため、これら影響に起因する故障を回避するために種々の対策が考えられている。例えばハードディスクへのアクセス中に異常な振動を検出した時に、ハードディスクのヘッドを記憶領域から退避させることで、振動に起因するデータの破壊を防ぐものがある。このような技術は例えば特開平10−162529号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−162529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、計算機には、振動を検知すると、ハードディスクへのアクセスを止めて故障を防ぐ機能のものが存在するが、振動が加わらなければ継続してアクセス可能状態となるため、例えば、操作者が電子計算機に振動を与えて電子計算機が故障する場合があり問題であった。
【0005】
また、計算機のファン等の構成部品は、機械的な動作が伴うものであり、回転等による騒音を避けることができず、計算機を操作する操作者にとって問題であった。さらに、電子計算機は秘密情報或いは制御情報等の多くの重要な情報が蓄えられており、情報操作者のセキュリティ管理が問題であった。
【0006】
本発明は、上記の問題点の少なくとも1つを解決することにあり、電子計算機の故障に対する安全性の向上,騒音の低減或いはセキュリティの向上が可能となる電子計算機,電子計算機の管理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、移動体との間の距離に関する距離情報を入力し、前記距離情報に基づいて前記移動体が所定の領域内にあるかを判断し、前記移動体が所定の領域内にあると判断された場合に所定の機能を制限するように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、故障に対する安全性の向上,騒音の低減或いはセキュリティが向上される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1の全体図。
【図2】図1のテーブル14の内容を示した表。
【図3】実施形態2の全体図。
【図4】図2のテーブル15の内容を示した表。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を順に実施形態1及び実施形態2として説明する。
【0011】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の全体的な構成を示している。
【0012】
電子計算機1には、CPU10が内蔵されている。また、ファン11,ハードディスク12,ポート132,ポート133,ポート134,ポート135が内蔵されており、これらはCPU10と電子計算機1内で接続されている。CPU10はハードディスク12に格納されているプログラムを記憶領域20(RAM)に読み出して動作する。すなわち、ハードディスク12には以下に説明する電子計算機1を動作をさせるプログラムが格納されている。また、演算に必要な各種データが記憶領域20に記憶される。ファン11の回転速度は、CPUの処理速度に応じて変化する。また、センサー2はポート132を、ディスプレイ3はポート133を、キーボード4はポート134を、マウス5はポート135を介して電子計算機1と接続されている。
【0013】
センサー2は、人の発する赤外線を感知して、人の在否、および電子計算機から人までの距離を算出する。この情報を距離情報と称する。このセンサー2からの距離情報は記憶領域20に記憶される。その算出した結果を、電子計算機1が読み取る。センサー2から出力されたデータを、電子計算機1が読み取り、テーブル14(記憶領域20に記憶されている)に従って電子計算機1の機能の制限を行う。
【0014】
図2は、テーブル14の具体的な内容を示している。すなわち、センサー2からの出力が電子計算機1に入力され、このセンサー2からの距離情報に基づいて、無人時および人(移動体とも称する)と電子計算機1の距離が10m以上と判断した時は、電子計算機1は通常通りの動作を行う。次に、電子計算機1が人と電子計算機1との距離が3〜10mと判断した時、電子計算機1は、CPUの処理速度を人との距離に比例するように低下させる。例えば、人との距離が9mであればCPUの処理速度を通常の90%…、人との距離が8mであれば80%…、のように処理速度を低下させる。最後に、電子計算機1が、人と電子計算機1との距離が3m未満と判断すると、電子計算機1はCPUの処理速度は通常時の30%とする。
【0015】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について説明する。実施形態1と異なる部分を計測し同様な部分は説明を省略する。図3は、本実施形態の全体的な構成を示している。
【0016】
符号1・10・11・12・132・133・134・135・2・3・4・5は実施形態1と同じである。それに加えて、ポート136・無線ポート137が電子計算機1に内蔵され、CPU10に接続されている。また、警報機6がポート136を介して電子計算機1と接続されている。また、テーブル15に従って電子計算機1の機能を制限する。
【0017】
携帯用認証端末7は、無線ポート137を通して電子計算機1と無線通信可能な構造である。電子計算機1と通信可能になった時、電子計算機1に個人認証情報を送る。また、通信可能な間は、継続して個人認証情報を送り続ける。
【0018】
図4は、テーブル15の具体的な内容を示している。電子計算機1はテーブル15の内容を逐次読み取り、センサー2からの距離情報に応じて動作する。また、電子計算機1は、携帯用認証端末7から受け取った個人認証情報を元にユーザー認証を行い、認証に成功した場合は、使用可能状態に遷移する。使用可能状態(非接触個人認証に成功時の挙動)では、電子計算機1が人までの距離が3m以上と判断した場合、電子計算機1は使用可能状態に遷移し、電子計算機1は一通りの電子計算機使用を可能とする。すなわち、通常の使用が可能となる。電子計算機1が人までの距離が1m未満と判断した場合、電子計算機1は、一通りの電子計算機使用を可能とするが、ただし、ハードディスクへのアクセスは除外して、ハードディスクへのアクセスを停止させる。使用可能状態の間は、継続して個人認証情報を受信できているかを監視し、個人認証情報を受信できなくなった場合、携帯用認証端末7とのセッションを切断して無人状態に遷移する。無人状態からは、センサー2から出力された距離の値に応じて状態が遷移する(非接触個人認証に失敗時の挙動)。
電子計算機1が人までの距離が3〜10mと判断した場合、電子計算機1は、警戒状態に遷移し、ディスプレイ3に警告文を表示し、それ以外は何も表示されないようにする。電子計算機1が、人までの距離が3m以下になったと判断した場合、電子計算機1は準危険状態に遷移し、警報機6に対して警報音を鳴らし、またキーボード4・マウス5が動作しないようにする。
【0019】
使用可能状態・準危険状態において、電子計算機1が、人との距離が1m以下になったと判断した場合、電子計算機1は、それぞれ使用中状態・危険状態に遷移する。この時電子計算機1は、ハードディスク12へのアクセスを停止させる。
【0020】
このように、本実施例では、人の存在、および人までの距離を感知するセンサーを取付ける。このセンサーが出力する値を元に、電子計算機の機能を制限する。
【0021】
以上、実施形態1及び実施形態2においては、周囲の人の存在のみならず、人と電子計算機との間の距離に応じて、電子計算機が自らの機能を制限し、故障の予防・騒音低減を行う。
【0022】
無人時は、通常通りの運転をする。
【0023】
近隣に人がいる場合は、電子計算機の処理速度を落とし、ファンの回転数を下げ、騒音を減らすことができる。また、距離に応じて回転数を連続的に変化させ、性能の低下を必要最小限にとどめられる。
【0024】
また、非接触ユーザー認証システムや警報機と組み合わせ、周辺に人がいるが認証可能ユーザーがいない場合には、距離に応じて段階的に、ディスプレイに何も表示しない・警告メッセージを表示する・警報音を鳴らす・警備施設等に通報するといったことが可能であり、部外者による電子計算機の盗難の防止に役立つ。
【0025】
電子計算機に直接触れることができる距離まで近づいた場合は、ハードディスクへのデータ記録を停止させ、ハードディスクの故障を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0026】
1 電子計算機
2 センサー
3 ディスプレイ
4 キーボード
5 マウス
6 警報機
7 認証用携帯端末
10 CPU
11 ファン
12 ハードディスク
14,15 テーブル
20 記憶領域
132 ポート(センサー接続ポート)
133 ポート(ディスプレイ接続ポート)
134 ポート(キーボード接続ポート)
135 ポート(マウス接続ポート)
136 ポート(警報機接続ポート)
137 ポート(無線ポート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体との間の距離に関する距離情報を入力する手段と、前記距離情報に基づいて前記移動体が所定の領域内にあることを判断する手段と、前記移動体が所定の領域内にあることと判断された場合に所定の機能を制限することを特徴とする電子計算機。
【請求項2】
請求項1において、前記距離情報は、前記移動体までの距離を測定するセンサーで測定された情報であり、前記判断するための情報は、距離に対応して機能を制限する手順を格納するテーブルとして記憶されていることを特徴とする電子計算機。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記判断に基づいて、CPUの性能を低下させ、ファンの回転数を低くすることを特徴とする電子計算機。
【請求項4】
請求項1又は2において、非接触個人認証システムに接続され、前記判断と共に、前記非接触個人認証システムから送信される認証情報に基づいて機能を制限することを特徴とする電子計算機。
【請求項5】
請求項4において、警報装置を有し、前記認証情報を元に警報装置を作動させることを特徴とする電子計算機。
【請求項6】
請求項4において、前記判断と共に前記認証情報に基づいて入出力動作を停止させることを特徴とする電子計算機。
【請求項7】
請求項1において、前記判断に基づいてハードディスクへのアクセスを停止する電子計算機。
【請求項8】
移動体との間の距離に関する距離情報を入力し、前記距離情報に基づいて前記移動体が所定の領域内にあるかを判断し、前記移動体が所定の領域内にあると判断された場合に所定の機能を制限する電子計算機の管理方法。
【請求項9】
移動体との間の距離に関する距離情報を入力し、前記距離情報に基づいて前記移動体が所定の領域内にあるかを判断し、前記移動体が所定の領域内にあると判断された場合に所定の機能を制限するように電子計算機を動作させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate