説明

電子部品の打ち抜き装置及び打ち抜き方法

【課題】繰り出しスプロケットの交換によって生じるキヤリアテープのずれを自動で補正することができる打ち抜き装置を提供する。
【解決手段】スプロケット11が着脱可能に設けられ供給リールからキヤリアテープ1を繰り出すときにスプロケットを回転駆動する駆動源21と、キヤリアテープが位置決めされた状態でTABを打ち抜く金型装置と、スプロケットの歯11aをスプロケットの回転方向の初期原点位置として検出する歯検出センサ23と、スプロケットの回転角度を検出するエンコーダ29と、初期原点位置からスプロケットを回転させて金型装置の位置決めピンとキヤリアテープの係合孔とを位置合わせしたときのスプロケットの回転角度を検出して補正原点位置として記憶し、補正原点位置を基準にしてキヤリアテープをスプロケットによって繰り出させる制御装置を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は供給リールから繰り出されるキヤリアテープから、このキヤリアテープに実装された電子部品を打ち抜く打ち抜き装置及び打ち抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置の組立工程では、2枚のガラス基板を貼り合わせた液晶パネルの周辺部に電子部品としてのTAB(Tape Automated Bonding)を粘着性の異方性導電テープを介して実装する工程がある。
【0003】
上記TABは、キヤリアテープにインナリードボンダによって実装された半導体チップを、上記キヤリアテープの一部とともに打ち抜くことで形成される。上記キヤリアテープからTABを打ち抜くには、通常、タブ・リールユニットと呼ばれている打ち抜き装置が用いられる。そして、この打ち抜き装置によって上記キヤリアテープから打ち抜かれたTABは、実装装置に供給されて上記液晶パネルの周辺部に実装される。
【0004】
上記打ち抜き装置は、チップが実装されたキヤリアテープが巻装される供給リールを有する。この供給リールに巻かれたキヤリアテープは駆動源によって回転駆動されるスプロケットによって繰り出される。
【0005】
つまり、キヤリアテープの幅方向両端には係合孔が所定のピッチで形成され、幅方向両端の係合孔に上記スプロケットの歯が係合する。したがって、上記スプロケットが上記駆動源によって回転駆動されることで、上記キヤリアテープが上記供給リールから繰り出される。
【0006】
上記供給リールから繰り出されたキヤリアテープは巻き取りリールによって巻き取られる。供給リールと巻き取りリールとの間には上記キヤリアテープからTABを打ち抜くための金型装置が配設されている。金型装置は下型と上型を有し、下型には上記キヤリアテープの係合孔に係合する位置決めピンが突設され、上型は上下駆動される。
【0007】
上記位置決めピンが上記係合孔に係合することで、上記キヤリアテープが下型に対して位置決めされる。キヤリアテープが下型に対して位置決めされた状態で、上型が下降方向に駆動されれば、キヤリアテープから上記TABが打ち抜かれることになる。
【0008】
上記TABには大きさの異なる品種があり、その品種に応じてキヤリアテープの幅寸法が異なる。品種換えによってキヤリアテープの幅寸法が異なった場合、キヤリアテープを供給リールから繰り出すためのスプロケットも、上記キヤリアテープの幅方向両端の係合孔に係合する幅寸法のものに交換される。
【0009】
上記スプロケットは駆動源の出力軸に取り付けられている。スプロケットは出力軸に対し、たとえばキーとキー溝或いはスプライン軸とスプライン溝とによって上記出力軸に対して回転方向に位置決めされる。
【0010】
キヤリアテープをスプロケットで搬送し、このキヤリアテープからTABを打ち抜く従来技術は特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2004−47553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、キヤリアテープの幅寸法に対応するそれぞれのスプロケットに形成されたキー溝或いはスプライン溝の幅寸法や、各溝とスプロケットの歯との相対的な位置関係にはばらつきがある。
【0012】
そのため、品種変更の際、スプロケットをキヤリアテープの幅寸法に応じたものに交換すると、そのスプロケットによって繰り出されるキヤリアテープの位置決め精度にもばらつきが生じることになる。
【0013】
したがって、スプロケットを交換する毎に、作業者はキヤリアテープの位置決め精度のばらつきを補正しなければならないということがあるため、その作業に多くの手間が掛かるということがあったり、作業ミスによって位置決め精度が十分に得られず、打ち抜き不良が生じるなどのことがあった。
【0014】
この発明は、キヤリアテープの品種に応じてスプロケットを交換した場合、そのスプロケットを用いることにより生じるキヤリアテープの位置決め精度のばらつきを自動的の補正することができるようにした電子部品の打ち抜き装置及び打ち抜き方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、キヤリアテープに設けられた電子部品を打ち抜く電子部品の打ち抜き装置であって、
上記キヤリアテープが巻装された供給リールと、
上記キヤリアテープに形成された係合孔に係合する歯を有するスプロケットと、
このスプロケットが着脱可能に設けられ上記供給リールから上記キヤリアテープを繰り出すときに上記スプロケットを回転駆動する駆動源と、
上記スプロケットによって上記供給リールから繰り出されたキヤリアテープを巻き取る巻き取りリールと、
上記キヤリアテープの係合孔に係合する位置決めピンを有し、この位置決めピンが上記係合孔に係合して上記キヤリアテープが位置決めされた状態でこのキヤリアテープから上記電子部品を打ち抜く金型装置と、
上記スプロケットの歯をこのスプロケットの回転方向の初期原点位置として検出する歯検出センサと、
上記駆動源に設けられ上記駆動源によって上記スプロケットを回転させたときの回転角度を検出するエンコーダと、
上記初期原点位置から上記スプロケットを回転させて上記キヤリアテープを送って上記位置決めピンと上記キヤリアテープの係合孔とを位置合わせしたとき、上記スプロケットの上記初期原点位置からの回転角度を上記エンコーダによって検出して補正原点位置として記憶し、その補正原点位置を基準にして上記駆動源の駆動を制御して上記キヤリアテープを上記スプロケットによって繰り出させる制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の打ち抜き装置にある。
【0016】
この発明は、キヤリアテープに設けられた電子部品を打ち抜く電子部品の打ち抜き方法であって、
上記キヤリアテープに形成された係合孔に係合する歯を有するスプロケットを回転駆動して上記キヤリアテープを繰り出す工程と、
上記スプロケットによって繰り出されたキヤリアテープを巻き取る工程と、
上記キヤリアテープの係合孔に位置決めピンを係合させることで位置決めされた上記キヤリアテープから上記電子部品を打ち抜く工程と、
上記スプロケットの歯をこのスプロケットの回転方向の初期原点位置として検出する工程と、
上記初期原点位置から上記スプロケットを回転させて上記キヤリアテープを送って上記位置決めピンと上記キヤリアテープの係合孔とを位置合わせしたとき、上記スプロケットの上記初期原点位置からの回転角度を検出して補正原点位置として記憶し、その補正原点位置を基準にして上記スプロケットの回転駆動を制御して上記キヤリアテープを繰り出す工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の打ち抜き方法にある。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、キヤリアテープの品種に応じて異なる幅寸法のスプロケットを用いた場合に生じるキヤリアテープの位置決め精度のばらつきを予め記憶しておき、スプロケットを交換したならば、記憶されたばらつきに応じてキヤリアテープの位置決めを自動的に補正することができる。
【0018】
そのため、キヤリアテープの品種変更に応じてスプロケットを交換しても、その都度、作業者がキヤリアテープの位置決め精度のばらつきを補正するという作業を行なわずにすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はこの発明の打ち抜き装置の概略的構成図であって、この打ち抜き装置はキヤリアテープ1が巻装された供給リール2を有する。キヤリアテープ1には図3に示すようにデバイスホール3が所定間隔(1つのみ図示)で形成されている。
【0020】
デバイスホール3の部分にはインナリード4が形成され、さらにキヤリアテープ1の幅方向の両端部には矩形状の係合孔1aが長手方向に対して所定間隔で形成されている。上記インナリード4には半導体チップ5が実装されている。そして、図3に鎖線で示すように上記半導体チップ5とともにインナリード4を打ち抜くことで、電子部品としてのTAB6が形成される。なお、デバイスホール3に実装された半導体チップ5は図示しない樹脂によってコーティングされている。
【0021】
上記キヤリアテープ1は図1に示すスペーサテープ7とともに上記供給リール2に巻装されている。上記キヤリアテープ1は繰り出しスプロケット11によって上記供給リール2から後述するように繰り出される。キヤリアテープ1とともに供給リール2から繰り出されたスペーサテープ7はスペーサテープ巻き取りリール12に巻き取られる。
【0022】
上記スプロケット11によって上記供給リール2から繰り出されたキヤリアテープ1はガイドスプロケット13によって幅方向のずれが防止された状態で、ガイドローラ14及びダンサローラ15を介して図示せぬ駆動源によって回転駆動される巻き取りリール16に巻き取られる。
【0023】
上記ダンサローラ15は矢印Zで示す上下方向に変位可能にガイドされていて、上記繰り出しスプロケット11から繰り出されたキヤリアテープ1を上記巻き取りリール16が巻き取るときに、キヤリアテープ1の弛み量の減少に応じて上昇する。そして、キヤリアテープ1の弛み量が所定の量まで減少すると、そのことを検知する図示しないセンサからの信号によって上記巻き取りリール16によるキヤリアテープ1の巻取りが停止されるようになっている。
【0024】
図2に示すように、上記繰り出しスプロケット11は駆動源21によって回転駆動される。この駆動源21はモータと減速機とが一体化されていて、その出力軸22に上記繰り出しスプロケット11のボス部10が着脱可能に嵌着される。
【0025】
上記出力軸22に嵌着された繰り出しスプロケット11は、たとえばキーとキー溝或いはスプライン溝とスプライン軸などの結合手段によって回転方向に位置決めされる。つまり、繰り出しスプロケット11の歯11aの位置が出力軸22の回転方向に対して位置決めされる。
【0026】
なお、繰り出しスプロケット11は一対の円盤部18を有し、一対の円盤部18の外周面に上記歯11aが上記キヤリアテープ1に形成された係合孔1aと同じ間隔で設けられている。つまり、一対の円盤部18の外周面一形成された歯11aは、キヤリアテープ1に形成された係合孔1aの幅方向及び長手方向の間隔が同じに設定されている。
【0027】
上記繰り出しスプロケット11の歯11aの位置は、上記駆動源21にブラケット23aを介して設けられた、たとえば光反射型などの歯検出センサ23によって検出される。この歯検出センサ23の検出信号は図4に示すように制御装置24に出力される。制御装置24は、記憶演算部25、設定操作部26及び出力部27を有する。設定操作部26には詳細は図示しないが、TAB6の品種を設定するための複数の設定釦が設けられている。
【0028】
上記駆動源21には出力軸22の回転角度を検出するエンコーダ29が設けられている。エンコーダ29からの出力は上記制御装置24に入力される。そして、上記歯検出センサ23が繰り出しスプロケット11の歯11aを検知したときに、上記エンコーダ29からの出力が繰り出しスプロケット1の回転角度の初期原点位置として上記制御装置24の記憶演算部25に記憶されるようになっている。
【0029】
上記繰り出しスプロケット11と上記ガイドスプロケット13との間には、上記キヤリアテープ1からTAB6を打ち抜く金型装置31が配置されている。この金型装置31はメス型である下型32と、オス型である上型33を有する。
【0030】
上記下型32の上面には、上記キヤリアテープ1の幅方向の一対の係合孔1aに対応する間隔で一対の位置決めピン34(図3に示す)が設けられている。上型33は図示しないシリンダなどによって上下方向に駆動されるようになっている。
【0031】
上記キヤリアテープ1の係合孔1aに上記位置決めピン34が係合すると、上記キヤリアテープ1が上記下型32に対して所定の精度で位置決めされる。すなわち、上型33が下降方向に駆動されると、図示しないテープ押えによって上記キヤリアテープ1が下型32の上面に押圧保持される。そして、キヤリアテープ1と下型32とに位置ずれがなければ、キヤリアテープ1の一対の係合孔1aが一対の位置決めピン34に係合する。
【0032】
その状態から上型33がさらに下降することで、上記キヤリアテープ1から半導体チップ5が実装された部分がインナリード4とともに打ち抜かれる。つまり、上記キヤリアテープ1からTAB6が打ち抜かれる。
【0033】
上記キヤリアテープ1の送り方向の上記金型装置31よりも上流側にはキヤリアテープ1のデバイスホール3に半導体チップ5が実装されているか否かを検出するTAB検出部36が設けられている。
【0034】
TAB検出部36がデバイスホール3に実装された半導体チップ5を検出すれば、その半導体チップ5が金型装置31に搬送されてきたとき、この金型装置31が作動してキヤリアテープ1からTAB6を打ち抜く。
【0035】
デバイスホール3に半導体チップ5が実装されておらず、TAB検出部36が半導体チップ5を検出しない場合には、キヤリアテープ1のその部分が金型装置31に搬送されても、金型装置31は作動することがないようになっている。
【0036】
つぎに、上記構成の打ち抜き装置によってキヤリアテープ1からTAB6を打ち抜く手順を説明する。
まず、この発明の打ち抜き装置は品種A〜CのTAB6を適宜に品種交換して打ち抜くものと仮定する。キヤリアテープ1の幅寸法は品種ごとに異なる。最初に、幅寸法がW1のキヤリアテープ1から品種AのTAB6を打ち抜く場合、その品種のキヤリアテープ1に応じた幅寸法の繰り出しスプロケット11を駆動源21の出力軸22に取り付ける。これを第1の繰り出しスプロケット11とする。
【0037】
出力軸22に第1の繰り出しスプロケット11を取り付けたならば、設定操作部26に設けられた品種Aの設定釦を押してから、駆動源21を手動で回転させ、歯検出センサ23によって第1の繰り出しスプロケット11の歯を検出する。そのときのエンコーダ29からの出力が第1の繰り出しスプロケット11の回転の初期原点位置として制御装置24の記憶演算部25に記憶される。
【0038】
つぎに、第1の繰り出しスプロケット11が初期原点位置にあるとき、第1の繰り出しスプロケット11の回転方向の位置決め精度のばらつきによって図3にdで示すように下型32の位置決めピン34と、キヤリアテープ1の係合孔1aとにずれが生じる。
【0039】
その場合、上記下型32の位置決めピン34と、キヤリアテープ1の係合孔1aを位置合わせする。つまり、作業者は駆動源21を手動で作動させて第1の繰り出しスプロケット11を回転させ、キヤリアテープ1を図3に矢印Xで示す方向に上記ずれ量dに対応する寸法だけ送ることで、係合孔1aを位置決めピン34に位置合わせする。係合孔1aと位置決めピン34が位置合わせされたときに出力されるエンコーダ29からの信号である、第1の繰り出しスプロケット11の回転位置が補正原点位置として制御装置24の記憶演算部25に記憶される。
【0040】
すなわち、初期原点位置と、補正原点位置との回転角度の差が第1の繰り出しスプロケット11を駆動源21の出力軸22に取り付けたときに生じる、第1の繰り出しスプロケット11に形成されたキー溝或いはスプライン溝の幅寸法や、各溝と第1の繰り出し11スプロケットの歯11aとの相対的な位置関係による回転角度のばらつきとして記憶演算部25に記憶される。
【0041】
つまり、品種AのTAB6を打ち抜く際に、第1の繰り出しスプロケット11を出力軸22に取り付けると、そのときに生じる第1の繰り出しスプロケット11の初期原点位置と補正原点位置との回転角度のずれ量がティーチングされる。
【0042】
このようにして、第1の繰り出し用スプロケット11の初期原点位置と補正原点位置とが記憶演算部25に記憶した後、制御装置24の設定操作部26の品種Aの操作釦を操作すると、出力部27から駆動信号が出力され、その駆動信号によって駆動源21が作動される。
【0043】
出力部27は、記憶演算部25に記憶された第1の繰り出し用スプロケット11の初期原点位置と、補正原点位置との回転角度の差を補正して駆動源21を作動させる。それによって、第1の繰り出し用スプロケット11が回転されてキヤリアテープ1が繰り出される。
【0044】
補正原点位置はキヤリアテープ1の係合孔1aが下型32の位置決めピン34に係合する位置である。したがって、ティーチングされた補正原点位置に基き、第1の繰り出し用スプロケット11によって供給リール2から繰り出されるキヤリアテープ1は、係合孔1aが位置決めピン34に係合するよう位置決めされる。そのため、金型装置31によってキヤリアテープ1からTAB6を位置ずれが生じることなく精密に打ち抜くことが可能となる。
【0045】
つぎに、幅寸法がW2のキヤリアテープ1から品種BのTAB6を打ち抜く場合、その品種のキヤリアテープ1に応じた幅寸法の繰り出しスプロケット11を駆動源21の出力軸22に取り付ける。品種BのTAB6に対応する繰り出しスプロケットを第2の繰り出しスプロケット11とする。
【0046】
品種BのTAB6を打ち抜く場合も、品種AのTAB6の場合と同様、設定操作部26の品種B用の設定釦を押してから、第2の繰り出しスプロケット11を手動で回転させてその歯11aを歯検出センサ23によって検出する。そのときのエンコーダ29からの出力が第2の繰り出しスプロケット11の回転の初期原点位置として制御装置24の記憶演算部25に記憶される。
【0047】
ついで、駆動源21を手動で作動させて第2の繰り出しスプロケット11を回転させ、下型32の位置決めピン34にキヤリアテープ1の係合孔1aを位置合わせする。そのときに第2のエンコーダ29から出力される信号である、第2の繰り出しスプロケット11の回転位置が補正原点位置としてティーチングされて記憶演算部25に記憶される。つまり、第2の繰り出しスプロケット11の初期原点位置と、補正原点位置の回転角度のずれ量が制御装置24の記憶演算部25に記憶される。
【0048】
したがって、第2のスプロケット11の初期原点位置と補正原点位置をティーチングした後、設定操作部26の品種B用の設定釦を操作すれば、第2の繰り出しスプロケット11は、出力部27から出力される駆動信号によって補正原点位置を基準にして回転駆動される。それによって、キヤリアテープ1は係合孔1aが位置決めピン34に係合する位置に位置決めされるから、キヤリアテープ1からTAB6を位置ずれが生じることなく打ち抜くことができる。
【0049】
以下同様にして、キヤリアテープ1から品種CのTAB6を打ち抜く場合、この品種CのTAB6に用いられる第3の繰り出しスプロケット11によって生じる特有の回転角度のずれ量である、初期原点位置と補正原点位置がティーチングされ、制御装置24の記憶演算部25に記憶される。
【0050】
このようにして、品種A〜C毎の初期原点位置と補正原点位置をティーチングして記憶演算部25に記憶しておけば、たとえばTAB6を品種Bから品種Aに変更する際、キヤリアテープ1を交換するとともに、第2の繰り出し用スプロケット11を第1の繰り出しスプロケット11に交換したならば、制御装置24の設定操作部26に設けられた品種Aの操作釦を操作する。
【0051】
それによって、制御装置24は予めティーチングされて記憶演算部25に記憶された品種Aの補正原点位置に基いて駆動源21が駆動され、第1の繰り出しスプロケット11の回転が制御させる。したがって、第1の繰り出しスプロケット11によって繰り出されるキヤリアテープ1は、係合孔1aが金型装置31の下型32に設けられた位置決めピン34に係合するよう位置決めされるため、キヤリアテープ1から品種AのTAB6を精密に打ち抜くことができる。
【0052】
つまり、TAB6の品種に応じて使用されるそれぞれの繰り出しスプロケット11毎の初期原点位置と補正原点位置を、予めティーチングして制御装置24の記憶演算部25に記憶させておくことで、その記憶に基いてキヤリアテープ1を位置決めすることができる。
【0053】
したがって、品種が変更になる毎に繰り出しスプロケット11を手動で回転させ、キヤリアテープ1の係合孔11aを位置決めピン34に一致するよう、位置合わせする作業を行なわずにすむから、作業性の向上や作業ミスによる打ち抜き不良の発生を防止することができる。
【0054】
なお、TABの品種変更に応じて幅寸法の異なる繰り出しスプロケット11を交換したならば、ガイドスプロケット13も繰り出しスプロケット11と同じ幅寸法のものに交換される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の一実施の形態を示す打ち抜き装置の概略的構成図。
【図2】繰り出しスプロケットを回転駆動する駆動源の平面。
【図3】下型に設けられた位置決めピンとキヤリアテープの係合孔とがずれた状態を説明するための平面図。
【図4】制御系統を示すブロック図。
【符号の説明】
【0056】
1…キヤリアテープ、2…供給リール、6…TAB、16…巻き取りリール、21…駆動源、23…歯検出センサ、24…制御装置、25…記憶演算部、26…設定操作部、27…出力部、29…エンコーダ、31…金型装置、32…下型、33…上型、34…位置決めピン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キヤリアテープに設けられた電子部品を打ち抜く電子部品の打ち抜き装置であって、
上記キヤリアテープが巻装された供給リールと、
上記キヤリアテープに形成された係合孔に係合する歯を有するスプロケットと、
このスプロケットが着脱可能に設けられ上記供給リールから上記キヤリアテープを繰り出すときに上記スプロケットを回転駆動する駆動源と、
上記スプロケットによって上記供給リールから繰り出されたキヤリアテープを巻き取る巻き取りリールと、
上記キヤリアテープの係合孔に係合する位置決めピンを有し、この位置決めピンが上記係合孔に係合して上記キヤリアテープが位置決めされた状態でこのキヤリアテープから上記電子部品を打ち抜く金型装置と、
上記スプロケットの歯をこのスプロケットの回転方向の初期原点位置として検出する歯検出センサと、
上記駆動源に設けられ上記駆動源によって上記スプロケットを回転させたときの回転角度を検出するエンコーダと、
上記初期原点位置から上記スプロケットを回転させて上記キヤリアテープを送って上記位置決めピンと上記キヤリアテープの係合孔とを位置合わせしたとき、上記スプロケットの上記初期原点位置からの回転角度を上記エンコーダによって検出して補正原点位置として記憶し、その補正原点位置を基準にして上記駆動源の駆動を制御して上記キヤリアテープを上記スプロケットによって繰り出させる制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の打ち抜き装置。
【請求項2】
キヤリアテープに設けられた電子部品を打ち抜く電子部品の打ち抜き方法であって、
上記キヤリアテープに形成された係合孔に係合する歯を有するスプロケットを回転駆動して上記キヤリアテープを繰り出す工程と、
上記スプロケットによって繰り出されたキヤリアテープを巻き取る工程と、
上記キヤリアテープの係合孔に位置決めピンを係合させることで位置決めされた上記キヤリアテープから上記電子部品を打ち抜く工程と、
上記スプロケットの歯をこのスプロケットの回転方向の初期原点位置として検出する工程と、
上記初期原点位置から上記スプロケットを回転させて上記キヤリアテープを送って上記位置決めピンと上記キヤリアテープの係合孔とを位置合わせしたとき、上記スプロケットの上記初期原点位置からの回転角度を検出して補正原点位置として記憶し、その補正原点位置を基準にして上記スプロケットの回転駆動を制御して上記キヤリアテープを繰り出す工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の打ち抜き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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