説明

電子部品の打ち抜き装置及び打ち抜き方法

【課題】この発明はキヤリアテープから半導体チップを打つ抜くとき、キヤリアテープに位置ずれが生じないようにした打抜装置を提供することにある。
【解決手段】キヤリアテープ1が巻装された供給リール7と、供給リールに巻装されたキヤリアテープを巻き取る巻き取りリール25と、キヤリアテープの供給リールと巻き取りリールとの間で水平に支持された部分からキヤリアテープに実装された半導体チップを打ち抜く金型装置9を具備し、
金型装置は、上下方向に駆動可能に設けられ上昇方向に駆動されることでキヤリアテープの水平部分の下面を支持する下型11と、下型の上方に対向して上下所方向に駆動可能に設けられ下降方向に駆動されることでキヤリアテープの下型によって下面が支持された部分の上面を加圧してキヤリアテープから半導体チップを打ち抜く上型12とによって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は所定方向に走行搬送されるテープ状部材から電子部品を金型装置によって打ち抜く打ち抜き装置及び打ち抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、TAB(Tape Automated Bonding)やCOF(Chip On Film)などは、電子部品としての半導体チップが実装されたテープ状部材である、フィルム状のキヤリアテープを搬送装置によって所定方向に搬送しながら位置決めし、そのキヤリアテープの上記半導体チップが実装された部分を打ち抜くことで形成される。
【0003】
すなわち、上記キヤリアテープは供給リールに巻装されている。このキヤリアテープには、デバイスホールが形成されていて、このデバイスホールの周辺部には一端部が上記キヤリアテープに設けられ他端部を上記デバイスホールに突出させたリードが形成されている。そして、上記リードの上記デバイスホールに突出させた他端部に上記半導体チップが下面に設けられたバンプを接合させて実装される。
【0004】
上記供給リールから繰り出されたキヤリアテープは巻き取りリールによって巻き取られる。上記キヤリアテープの上記供給リールと巻き取りリールとの間の部分の少なくとも一部分は水平に走行させるようになっていて、このキヤリアテープの水平に走行する部分には金型装置が設けられている。この金型装置は下型と上型を有し、上記キヤリアテープは型開状態にある金型装置の下型と上型との間をピッチ送りされる。下型は固定して設けられ、上型は上下方向に駆動可能に設けられている。
【0005】
上記キヤリアテープの幅方向両側には長手方向に対して所定間隔で係合孔が形成されていて、上記下型の上面には上記係合孔に係合する位置決めピンが突設されている。金型装置の下型と上型が開いた状態において、上記キヤリアテープは下型の位置決めピンに当たらないよう、一対の保持ローラによって上記下型に対して上昇した位置で走行可能に保持されている。
【0006】
上記キヤリアテープがピッチ送りされると、一対の保持ローラが下降方向に駆動される。それによって、キヤリアテープの係合孔が下型の位置決めピンに係合するから、その状態で上型を下降方向に駆動して型を閉じれば、上記キヤリアテープから電子部品を打ち抜くことができるようになっている。
【0007】
電子部品を打ち抜いたならば、一対の保持ローラを上昇方向に駆動してキヤリアテープの係合孔を位置決めピンから外し、上記キヤリアテープをピッチ送りするということが繰り返される。
【0008】
特許文献1にはキヤリアテープから電子部品を打ち抜く際、下型を固定し、上型を下降させて、上記キヤリアテープから電子部品を打ち抜くことが示されている。
【特許文献1】特開2001−326253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記構成の打ち抜き装置によると、キヤリアテープは、上述したように搬送されるときには下型に対向する部分が保持ローラによって上記下型の上面の位置決めピンから離れる位置まで上昇されて保持され、その状態でピッチ送りされたならば、上記保持ローラを下降させて上記係合孔を下型の位置決めピンに係合させてから、上型を下降させて型を閉じることで、電子部品を打ち抜くようにしている。
【0010】
そのため、上記キヤリアテープは、保持ローラによって上昇位置に保持された状態でピッチ送りされ、ピッチ送りされると上記保持ローラが下降してキヤリアテープの上昇位置に保持された部分が下降方向に変位させられることになる。
【0011】
その結果、上記保持ローラの上下動によって上記キヤリアテープに加わる張力が変動し、その張力の変動によってキヤリアテープに位置ずれが生じるから、上型を下降させてキヤリアテープを押圧したとき、キヤリアテープの係合孔が位置決めピンに引っ掛かり、電子部品の打ち抜きが円滑かつ精密に行えなくなるということがある。
【0012】
しかも、キヤリアテープの下型に対向する部分を上下動させると、その部分が上下方向に振れるから、その振れが静定する前に上型を下降させて打ち抜きを行うと、そのことによっても位置ずれが生じるということがある。
【0013】
キヤリアテープの振れによる位置ずれを防止するためには、キヤリアテープの振れが静定するのを待って電子部品を打ち抜かなければならない。しかしながら、キヤリアテープの振れが静定するのを待つようにすると、その待ち時間によってタクトタイムが長くなるから、生産性が低下するということになる。
【0014】
この発明はずれや振れが生じることなく、搬送されて位置決めされたテープ状部材から、電子部品を円滑かつ精密に、しかも能率よく打ち抜くことができるようにした電子部品の打ち抜き装置及び打ち抜き方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、テープ状部材に実装された電子部品を打ち抜く打ち抜き装置であって、
上記テープ状部材が巻装された供給リールと、
この供給リールに巻装された上記テープ状部材を巻き取る巻き取りリールと、
上記テープ状部材の上記供給リールと上記巻き取りリールとの間の水平に支持された部分から上記電子部品を打ち抜く金型装置を具備し、
上記金型装置は、上下方向に駆動可能に設けられ上昇方向に駆動されることで上記テープ状部材の水平部分の下面を支持する下型と、この下型の上方に対向して上下方向に駆動可能に設けられ下降方向に駆動されることで上記テープ状部材の上記下型によって下面が支持された部分から上記電子部品を打ち抜く上型と
によって構成されていることを特徴とする電子部品の打ち抜き装置にある。
【0016】
上記金型装置は、
上下方向に離間して設けられた第1の支持部及び第2の支持部を有し、上下方向に移動可能に設けられた可動支持体と、
上記第1の支持部の上面に設けられた上記下型と、ロッドを有し、上記第2の支持部に軸線を上記上下方向に沿わせて設けられた両ロッドシリンダと、
この両ロッドシリンダのロッドの下端に上記下型と対向して設けられた上記上型と、
上記ロッドの上端に一端が回動可能に設けられ他端が上記可動支持体に枢着されていて、上記ロッドが駆動されることで上記他端を支点として回動するレバーと、
このレバーの他端の回動に連動して回動するカム及びこのカムの外周面に当接し回動する上記カムの形状に応じて上記可動支持体を上下動させるカムフォロアを有するカム手段を具備し、
上記カムは、上記ロッドが下降方向に駆動されたときに、上記可動支持体を上記下型の上面が上記キヤリアテープの下面を支持する高さ位置まで上昇方向に駆動し、
上記ロッドは、上記上型を下降方向に駆動して上記下型によって下面が支持された上記テープ状部材から上記上型によって電子部品を打ち抜かせることが好ましい。
【0017】
上記金型装置の下型の上記テープ状部材の下面に接触するまでのストロークは、上記上型の上記テープ状部材の上面に接触するまでのストロークよりも小さく設定されていて、
上記下型は上記テープ状部材の下面に接触した位置で上昇が停止し、上記上型は上記下型の上昇が停止した後で上記テープ状部材から上記電子部品を打ち抜くことが好ましい。
【0018】
上記金型装置の上流側と下流側には一対のスプロケットが設けられ、上記テープ状部材の幅方向両端には上記スプロケットに形成された歯に係合する複数の係合孔が長手方向に沿って所定間隔で形成されていて、
上記テープ状部材は上記一対のスプロケット間で水平に支持され、これら一対のスプロケットは、上記テープ状部材の上記一対のスプロケット間に位置する部分に弛みが生じない張力を与える回転角度に設定され、上記一対のスプロケットは設定された回転角度で同期して回転駆動されることが好ましい。
【0019】
上記一対のスプロケットは異なる幅寸法のテープ状部材を搬送する大径部と小径部が形成された二段歯スプロケットであって、
上記一対のスプロケット間には一対の支持ローラが同じ高さで水平方向に所定間隔で離間して配置されていて、
上記一対の支持ローラは上記テープ状部材が上記大径部或いは上記小径部のいずれによって搬送される場合であっても、そのテープ状部材の上記一対のスプロケット間に位置する部分を水平に支持することが好ましい。
【0020】
この発明は、テープ状部材に実装された電子部品を打ち抜く打ち抜き方法であって、
供給リールに巻装されたテープ状部材を巻き取りリールに巻き取るとともに、このテープ状部材の上記供給リールと上記巻き取りリールの間に位置する部分を水平に支持する工程と、
上記テープ状部材の上記水平に支持された部分から金型装置の上型と下型とによって上記電子部品を打ち抜くときに上記下型を上昇方向に駆動して上記テープ状部材の下面を支持してから上記上型で上記テープ状部材から上記電子部品を打ち抜く工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の打ち抜き方法にある。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、下型を上昇させてテープ状部材の下面を支持してから、上型によってテープ状部材から電子部品を打ち抜くため、テープ状部材を上下動させずに電子部品の打ち抜きを行うことが可能となる。
【0022】
そのため、電子部品を打ち抜く際、テープ状部材に与えられた張力が変動したり、振れが生じることがないから、テープ状部材に位置ずれが生じて打ち抜き精度の低下を招くということがないばかりか、振れの静定を待たずにすむため、タクトタイムを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1はテープ状部材としてのキヤリアテープ1W又は1Nに実装された電子部品としての図3に示す半導体チップ2を打ち抜いて図示しない実装装置に供給するための打抜装置を示す。上記キヤリアテープ1W又は1Nには図3に示すように幅方向の中央部にデバイスホール3が所定間隔で形成されている。
なお、図6に鎖線で示すようにキヤリアテープ1Wは広幅キヤリアテープであり、キヤリアテープ1Nはキヤリアテープ1Wよりも幅寸法が小さい狭幅キヤリアテープである。
【0025】
図3に示すように、キヤリアテープ1W又は1Nのデバイスホール3の部分には一端部がキヤリアテープ1W又は1Nに接合され他端部がデバイスホール3内に突出したリード4が設けられている。さらに、キヤリアテープ1W又は1Nの幅方向の両端部には矩形状の複数の係合孔1aが長手方向に対して所定間隔で形成されている。
【0026】
上記リード4には上記半導体チップ2が実装されている。そして、図3に鎖線で示すように上記半導体チップ2とともにリード4を後述するように打ち抜くことでTCPが形成される。なお、デバイスホール3に実装された半導体チップ2は図示しない樹脂によってコーティングされている。
【0027】
上記キヤリアテープ1W又は1Nは、このキヤリアテープ1W又は1Nに実装された半導体チップ2を保護するスペーサテープ6と重ねて供給リール7に巻装されている。供給リール7からは上記キヤリアテープ1W又は1Nとともに上記スペーサテープ6が繰り出される。
【0028】
図1に示すように、キヤリアテープ1W又は1Nは第1のガイドローラ8によってガイドされて金型装置9の下型11と上型12との間に通される。金型装置9の上流側には第1のスプロケット13が設けられ、下流側には上記第1のスプロケット13と同じ形状の第2のスプロケット14が設けられている。
【0029】
図6に示すように、上記第1のスプロケット13と第2のスプロケット14は円盤状の本体部15を有する。この本体部15の幅方向両端部には一対の大径部15aが幅方向に所定間隔で形成され、この大径部の15aの幅方向内方には溝部15bを挟んで一対の小径部15cが幅方向に所定間隔で形成されている。
【0030】
一対の大径部15aの外周面には第1の歯16aが周方向に所定間隔で形成され、一対の小径部15cの外周面には第2の歯16bが周方向に所定間隔で形成されている。それによって、キヤリアテープ1W又は1Nはその幅寸法に応じて幅方向の両端部に形成された係合孔1aを上記第1の歯16a或いは第2の歯16bに係合させて第1、第2のスプロケット13,14間に架設されるようになっている。
【0031】
図6に鎖線で示すように、係合孔1aを大径部15aの第1の歯16aに係合させて架設される幅寸法のキヤリアテープを広幅キヤリアテープ1Wとし、係合孔1aを小径部15cの第2の歯16bに係合させて架設される幅寸法のキヤリアテープを狭幅キヤリアテープ1Nとする。
【0032】
そして、上記第1のスプロケット13と第2のスプロケット14は、広幅キヤリアテープ1Wの係合孔1aを大径部15aの第1の歯16aに係合させて架設したとき、これらスプロケット13,14間に位置する部分が水平に支持される高さに設定されている。
【0033】
具体的には、図9(a)、(b)に示すように、第1のスプロケット13の大径部15aの外周面の下端と、第2のスプロケット14の大径部15aの外周面の上端とが同じ高さになるよう、これら一対のスプロケット13、14の高さが設定されている。
【0034】
広幅キヤリアテープ1Wが一対のスプロケット13、14によって水平に支持されるよう、これら一対のスプロケット13、14の高さを設定すると、一対のスプロケット13,14の小径部15cの高さが異なってくる。そのため、狭幅キヤリアテープ1Nの係合孔1aを小径部15cに設けられた第2の歯16bに係合させると、狭幅キヤリアテープ1Nは図9(a)に鎖線で示すように水平方向に対して傾いてしまう。
【0035】
そこで、狭幅キヤリアテープ1Nを一対のスプロケット13,14の第2の歯16bに係合させて架設したとき、狭幅キヤリアテープ1Nの一対のスプロケット13,14間に位置する部分が傾かずに水平に支持されるようにするため、一対のスプロケット13、14間には図4及び図9(b)に示すように一対の支持ローラ17が同じ高さで、しかも水平方向所定間隔で離間して設けられている。
【0036】
すなわち、一方の支持ローラ17は狭幅キヤリアテープ1Nの第1のスプロケット13の近くの部分の上面を支持し、他方の支持ローラ17は第2のスプロケット14の近くの部分の下面を支持するよう配置されている。
【0037】
それによって、一対のスプロケット13,14が幅寸法の異なる2種類のキヤリアテープ1W、1Nに対応することができる、第1の歯16aと第2の歯16bを有する、2段歯スプロケットであっても、図9(b)に示すように狭幅キヤリアテープ1Nであっても、一対のスプロケット13、14間に位置する部分を水平に支持することができるようになっている。
【0038】
この実施の形態では、広幅キヤリアテープ1Wの一対のスプロケット13,14間に位置する部分が水平に支持されるよう、一対のスプロケット13、14の高さが設定されているが、広幅キヤリアテープ1Wの一対のスプロケット13,14間に位置する部分は水平であるから、広幅キヤリアテープ1Wの一対のスプロケット13,14間に位置する部分も上記一対の支持ローラ17によって支持されることになる。
【0039】
つまり、一対の支持ローラ17は、一対のスプロケット13、14の高さに位置に係りなく、広幅キヤリアテープ1W或いは狭幅キヤリアテープ1Nを水平に支持することができる。
【0040】
言い換えれば、第1のスプロケット13の大径部15aの下端と、第2のスプロケット14の大径部15aの上端とが同じ高さになるよう一対のスプロケット13、14の高さを設定しなくとも、一対の支持ローラ17によって、広幅キヤリアテープ1Wと狭幅キヤリアテープ1Nのいずれであっても、それらのキヤリアテープ1W、1Nの一対のスプロケット13、14間に位置する部分を水平に支持することができる。
【0041】
上記第1のスプロケット13はサーボモータからなる第1の駆動源26によって回転駆動され、上記第2のスプロケット14はサーボモータからなる第2の駆動源27によって回転駆動される。第1の駆動源26と第2の駆動源27は図2に示す制御装置28によって駆動が制御される。制御装置28は第1のスプロケット13と第2のスプロケット14が同期して回転するよう、上記第1、第2の駆動源26、27の駆動を制御するようになっている。
【0042】
たとえば、第1、第2のスプロケット13、14間に広幅キヤリアテープ1Wを架設する場合について説明すると、まず、広幅キヤリアテープ1Wの係合孔1aを第1、第2のスプロケット13、14の第1の歯16aに係合させ、広幅キヤリアテープ1Wを第1、第2のスプロケット13、14間に弛みのある状態で設ける。
【0043】
ついで、第1のスプロケット13を、図8に矢印Fで示す広幅キヤリアテープ1Wの送り方向と逆方向に回転させる。それによって、同図に示すように第1のスプロケット13の第1の歯16aは上記係合孔1aの上記送り方向Fの上流側の一端に当たり、第2のスプロケット14の第1の歯16aは、上記係合孔1aの送り方向の下流側の他端に当たるから、第1、第2のスプロケット13、14間に広幅キヤリアテープ1Wを所定の張力で弛みなく、しかも張力が加わり過ぎることのない状態で架設することができる。
【0044】
そして、そのときの第1、第2のスプロケット13,14の回転角度を第1、第2の駆動源26、27を介して制御装置28にティーチングすれば、一対のスプロケット13,14はそのティーチングに基いて同期して回転駆動される。つまり、第1のスプロケット13と第2のスプロケット14は同じ回転角度で同期して回転駆動される。
【0045】
それによって、広幅キヤリアテープ1Wの一対のスプロケット13、14間に位置する部分は上述したように弛まず、しかも過度に引っ張られて変形することのない状態で、図1に矢印Fで示す方向にピッチ送りされることになる。
【0046】
なお、キヤリアテープが広幅キヤリアテープ1Wでなく、狭幅キヤリアテープ1Nの場合であっても、第1のスプロケット13と第2のスプロケット14は同様に同期して回転駆動される。
【0047】
上記上型12にはポンチ12aが設けられ、上記下型11にはポンチ12aが入り込む打ち抜き孔11aが形成されている。さらに、下型11の上面には上記キヤリアテープ1W又は1Nの係合孔1aが係合する複数の位置決めピン11bがキヤリアテープ1W又は1Nに形成された係合孔1aと対応する間隔で突設されている。
【0048】
上記下型11と上記上型12は後述するごとく関連して上下駆動される。下型11が下降位置から上昇してキヤリアテープ1の下面に接触するまでのストロークh(図10に示す)は、上型12が上昇位置から下降してポンチ12aの先端面がキヤリアテープ1W又は1Nの上面に接触するまでのストロークよりも小さく設定されている。
【0049】
それによって、下型11の位置決めピン11bがキヤリアテープ1W又は1Nの係合孔1aに係合し、その下型11の上面がキヤリアテープ1W又は1Nの下面を支持してから、上記上型12のポンチ12aがキヤリアテープ1の上面を加圧し、このキヤリアテープ1から半導体チップ2をリード4とともに打ち抜くようになっている。
【0050】
上記金型装置9の下型11と上型12との間を通されて半導体チップ2が打ち抜かれたキヤリアテープ1W又は1Nは、第2のガイドローラ34にガイドされて巻き取りリール35に巻き取られる。巻き取りリール35は第3の駆動源36によって回転駆動されて半導体チップ2が打ち抜かれたキヤリアテープ1W又は1Nを巻き取る。
【0051】
上記キヤリアテープ1W又は1Nの上記第2のスプロケット14と上記第2のガイドローラ34との間の部分は下方に向かってU字状に屈曲して弛まされ、その部分には第1のダンサローラ37が設けられる。
【0052】
上記第1のダンサローラ37の高さ位置、つまりキヤリアテープ1W又は1Nの弛み量は高さ検知手段としてのリニアスケール38によって検知される。リニアスケール38の検知信号は上記制御装置28に出力され、この制御装置28に設定された基準値と比較される。
【0053】
比較の結果、キヤリアテープ1W又は1Nの弛み量が基準値よりも大きくなると、制御装置28から第3の駆動源36に駆動信号が出力されて巻き取りリール35が回転駆動され、上記キヤリアテープ1W又は1Nの弛んだ部分を第1のダンサローラ37が鎖線で示す位置に上昇するまで巻き取るようになっている。
【0054】
上記供給リール7からキヤリアテープ1W又は1Nとともに繰り出されたスペーサテープ6は第3のガイドローラ41と第4のガイドローラ42にガイドされて上記巻き取りリール35に上記キヤリアテープ1と一緒に巻き取られる。
【0055】
上記スペーサテープ6の上記第3のガイドローラ41と第4のガイドローラ42の間の部分は下方に向かってU字状に屈曲し、その屈曲部には第2のダンサローラ43が設けられる。
【0056】
上記スペーサテープ6の弛み量は、上記キヤリアテープ1の第1のダンサローラ37による弛み量とほぼ同じになっている。つまり、第2のダンサローラ43が鎖線で示す位置に上昇するまで、上記キヤリアテープ1W又は1Nと一緒に巻き取られる。
【0057】
それによって、スペーサテープ6の弛みがリニアスケール38によって検知されていなくとも、巻き取りリール35にキヤリアテープ1W又は1Nとスペーサテープ6が同時に巻き取られたとき、スペーサテープ6が巻き取られ過ぎて弛みがなくなるといことがないようになっている。つまり、スペーサテープ6に張力が掛かり過ぎて破断するのが防止されるようになっている。
【0058】
上記供給リール7は第4の駆動源44によってこの供給リール7に巻装されたキヤリアテープ1W又は1Nとスペーサテープ6を繰り出す方向に回転駆動されるようになっている。すなわち、上記供給リール7は、上記第1、第2スプロケット13,14が上記第1、第2の駆動源26,27によって同期して駆動されてキヤリアテープ1W又は1Nをピッチ送りしたとき、その送りに同期して第4の駆動源44によって駆動されてキヤリアテープ1W又は1Nとスペーサテープ6を繰り出すようになっている。
【0059】
上記金型装置9は図4と図5に示すように構成されている。すなわち、金型装置9は可動支持体としてのブラケット51を有する。このブラケット51の背面には幅方向及び上下方向にそれぞれ一対のスライダ52(図5に幅方向一方の一対のスライダだけを示す)が設けられている。
【0060】
各幅方向一対のスライダ51はベース53のガイド面54に設けられた一対のガイドレール55(一方のみ図示)に移動可能に係合している。つまり、上記ブラケット51は上下方向に移動可能に設けられている。
【0061】
上記ブラケット51の前面には水平板状の第1の支持部57と第2の支持部58が上下方向に所定間隔で離間して設けられている。上記第1の支持部57の上面には上記下型11が設けられている。上記第2の支持部58の上面には第5の駆動源としての両ロッドシリンダ59が設けられている。
【0062】
上記両ロッドシリンダ59のロッド60の下端には上記上型12が設けられ上端には側面形状がコ字状をなしたシフタ61が設けられている。このシフタ61にはレバー62の一端に枢着されたローラ63が転動可能に係合している。上記レバー62の他端は上記ブラケット51の上部の幅方向一端部に回転可能に支持された支軸64の一端部に取付けられている。
【0063】
なお、図示しないが、レバー62の一端に長孔を形成し、ロッド60の上端に上記長孔にスライド可能に係合するピンを設け、上記レバーの一端がロッド60に対して回動可能かつ移動可能になるよう連結するようにしてもよく、ロッド60の上端にレバー62の一端をロッド60の上下動に連動するよう設ける構造は限定されるものでない。
【0064】
図5に示すように、上記支軸64は上記ブラケット51を貫通し、一対の軸受64aによって回転可能に設けられている。上記支軸64の上記ブラケット51の背面側に突出した他端部にはカム65が嵌着されている。上記カム65の外周面は、上記ベース53の上端面に支持部材66に取付けられたカムフォロア67に当接している。上記カム65とカムフォロア67はカム手段68を構成している。
【0065】
上記両ロッドシリンダ59はたとえば空気圧によって駆動されるエアシリンダであって、この両ロッドシリンダ59への圧縮空気の供給・排出は図示しない制御弁によって行なわれるようになっていて、その制御弁は上記制御装置28によって駆動が制御される。つまり、両ロッドシリンダ59は上記制御装置28によって駆動が制御される。
【0066】
上記両ロッドシリンダ59のロッド60が下降方向に駆動されると、ロッド60の下端に設けられた上型12が連動して下降する。それと同時に、ロッド60の上端のシフタ61に係合したローラ63を介してレバー62が図4に矢印で示す時計方向に回転する。
【0067】
上記レバー62が時計方向に回転すると、その回転に支軸64及びこの支軸64に取付けられたカム65が連動する。図7(a)はカム65の形状を示し、図7(b)カム65のカム曲線を示している。図10(a)〜図10(c)はカム65の回転に連動する下型11と上型12の動きを示している。
【0068】
図7(a)においてA点はロッド60が下降方向に駆動される前の初期状態におけるカムフォロア67に対するカム65の接触点であって、この初期状態では図10(a)に示すように下型11の上面はキヤリアテープ1W又は1Nの一対のスプロケット13、14間に水平に張設された部分の下面よりも寸法hだけ下方に位置している。
【0069】
初期状態から両ロッドシリンダ59のロッド60が下降方向に駆動されてレバー62が時計方向に回転し、このレバー62とともにカム65が回転すると、カムフォロア67に対するカム65の接触点がA点からB点へと移行する。それによって、ブラケット51はA点とB点との高さの差分だけ上昇する。
【0070】
カム65のA点とB点との高さの差は、初期状態におけるキヤリアテープ1W又は1Nの下面と、下型11の上面との間の寸法と同じ寸法hに設定されている。それによって、その間の回転によって図10(b)に示すように下型11の上面がキヤリアテープ1W又は1Nの下面に接触し、キヤリアテープ1W又は1Nが水平な状態で支持されることになる。
【0071】
なお、初期状態における上型12のポンチ12aの下端面とキヤリアテープ1W又は1Nの上面との間隔は、図10(a)に示すように下型11の上面とキヤリアテープ1W又は1Nの下面との高さhに比べて十分に大きな寸法Hに設定されている。したがって、下型11の上面がキヤリアテープ1W又は1Nの下面に接触した時点では上型12のポンチ12aはキヤリアテープ1W又は1Nの上面から離間している。
【0072】
上記両ロッドシリンダ59のロッド60はさらに下降方向に駆動される。それによって、カムフォロア67に対してカム65の曲面Cが接触する。この曲面Cはカム65の回転中心からの距離が一定に設定されている。それによって、カム65の曲面Cがカムフォロア67に当接している間はブラケット51の高さが一定に維持される。つまり、ブラケット51に設けられた下型11は上面がキヤリアテープ1W又は1Nの下面に接触した高さで維持される。
【0073】
カム65の曲面Cがカムフォロア67に当たりながら回転している間、両ロッドシリンダ59のロッド60が下降方向に駆動される。それによって、図10(c)に示すように上型12がさらに下降し、この上型12に設けられたポンチ12aがキヤリアテープ1W又は1Nから半導体チップ2を打ち抜く。
【0074】
キヤリアテープ1W又は1Nから打ち抜かれた半導体チップ2は下型11の抜き孔11aから、ブラケット51の第1の支持部57に上記抜き孔11aと対向して形成された排出孔57a(図5に示す)を通って排出され、図示しない受け具によって受けられて実装装置に供給されるようになっている。
【0075】
上型12が下降してキヤリアテープ1W又は1Nから半導体チップ2を打ち抜くと、ロッド60の下降方向への駆動が停止され、駆動方向が上昇方向に変換される。それによって、レバー62は図4に矢印で示す時計方向と逆方向に回転するから、カム65とレバー62は先程とは逆方向に回転する。
【0076】
それによって、カムフォロア67とカム65との当接は、曲面CからB点へ移行する。この間、上型12は図10(b)に示すように上昇してキヤリアテープ1W又は1Nの上面から離間するが、下型11の上面はキヤリアテープ1W又は1Nの下面に接触した状態が維持される。
【0077】
ロッド60の上昇によってカム65がさらに回転し、カムフォロア67との接触がB点からA点に移行すると、図10(a)に示すようにブラケット51が下降して下型11がキヤリアテープ1W又は1Nの下面から離れて初期状態に戻る。その時点で、両ロッドシリンダ59のロッド60の駆動が停止する。そして、一対のスプロケット13、14が同期して回転駆動されてキヤリアテープ1W又は1Nをピッチ送りすることで、打ち抜きの1サイクルが終了する。
【0078】
このような構成の打ち抜き装置によれば、キヤリアテープ1W又は1Nの第1のスプロケット13と第2のスプロケット14の間の部分を一対の支持ローラ17によって水平に支持してピッチ送りするようにした。
【0079】
そして、キヤリアテープ1W又は1Nの水平に支持された部分から半導体チップ2を打ち抜くとき、金型装置9の両ロッドシリンダ59のロッド60を下降方向に駆動することで、下型11によってキヤリアテープ1W又は1Nの下面を支持してから、上型12によって上記半導体チップ2を打ち抜くようにした。つまり、キヤリアテープ1W又は1Nを押し上げたり、下方へ弛ませることなく、上記キヤリアテープ1W又は1Nの水平に保持された部分から半導体チップ2を打ち抜くことができる。
【0080】
したがって、半導体チップ2を打ち抜く際、キヤリアテープ1W又は1Nに加わる張力が変動しないから、張力の変動によって位置ずれが生じることがない。それによって、上昇方向に駆動される下型11に設けられた位置決めピン11bがキヤリアテープ1W又は1Nの係合孔1aに引っ掛かり、半導体チップ2の打ち抜きが円滑かつ精密に行えなくなるということが防止される。
【0081】
しかも、キヤリアテープ1W又は1Nに加わる張力が変動しないため、キヤリアテープ1W又は1Nが上下方向に振れることもない。そのため、キヤリアテープ1W又は1Nをピッチ送りした後、キヤリアテープ1W又は1Nの振れが静定するのを待つことなく、下型11を上昇させ、上型12を下降させてキヤリアテープ1W又は1Nから半導体チップ2を精密に打ち抜くことができるから、タクトタイムが短縮され、生産性の向上を図ることができる。
【0082】
キヤリアテープ1W又は1Nから半導体チップ2を打ち抜き、上型12を上昇させてから、下型11を下降させた後、キヤリアテープ1W又は1Nをピッチ送りするとき、第1のスプロケット13と第2のスプロケット14を同期させて回転駆動するようにした。
【0083】
たとえば、キヤリアテープが広幅キヤリアテープ1Wの場合、図8に示すように第1のスプロケット13の大径部15aに設けられた第1の歯16aは広幅キヤリアテープ1Wの係合孔1aの、キヤリアテープ1Wの送り方向上流側Uの一端に係合し、第2のスプロケット14の第1の歯16aは広幅キヤリアテープ1Wの係合孔1aの、広幅キヤリアテープ1Wの送り方向下流側Dの他端に係合するよう第1、第2のスプロケット13、14の回転角度を設定した。そして、その回転角度で第1、第2のスプロケット13,14が同期して回転駆動させるようにした。
【0084】
そのため、広幅キヤリアテープWは一対のスプロケット13、14間において常に張力が一定の状態でピッチ送りされることになるから、そのことによっても打ち抜き精度の向上や振れの発生を防止してタクトタイムの短縮を図ることが可能となる。
なお、広幅キヤリアテープ1Wに代わって狭幅キヤリアテープ1Nの場合も同様である。
【0085】
第1のスプロケット13と第2のスプロケット14は、図6に示すように大径部15aと小径部15cを有する二段歯スプロケットを用いている。一対の大径部15aに設けられた第1の歯16aの外径と、一対の小径部15cに設けられた第2の歯16bの外径は異なる。そのため、大径部15aの第1の歯16aを利用すれば、広幅キヤリアテープ1Wをピッチ送りすることができ、小径部15cの第2の歯16bを利用すれば、狭幅キヤリアテープ1Nをピッチ送りすることができる。
【0086】
つまり、第1、第2のスプロケット13,14に二段歯スプロケットを用いることで、スプロケットを変更することなく、幅寸法の異なる2種類のキヤリアテープ1W、1Nに対応することができる。
【0087】
第1、第2のスプロケット13,14の第1の歯16a設けられた大径部15aと、第2の歯16bが設けられた小径部15cとでは外径寸法が異なる。そのため、キヤリアテープの品種変えを行なうと、一対のスプロケット13、14間において、キヤリアテープ1W又は1N、この実施の形態では狭幅キヤリアテープ1Nが図9(a)に鎖線で示すように水平に支持されなくなる。
【0088】
しかしながら、第1、第2のスプロケット13、14間には同じ高さで水平方向に所定間隔で離間した一対の支持ローラ17が設けられている。
そのため、狭幅キヤリアテープ1Nの係合孔1aが係合する第2の歯16bが設けられた第1のスプロケット13の小径部15cの下端と、第2のスプロケット14の小径部15cの上端との高さが異なっていても、狭幅キヤリアテープ1Nの一対のスプロケット13、14間に位置する部分は、図9(b)に示すように一対の支持ローラ17によって水平に支持されることになる。
【0089】
つまり、広幅キヤリアテープ1Wを水平に支持することができるよう、第1、第2のスプロケット13、14の高さが設定されている場合、広幅キヤリアテープ1Wから狭幅キヤリアテープ1Nに品種変えしても、その狭幅キヤリアテープ1Nの第1、第2のスプロケット13、14間に位置する部分を一対の支持ローラ17によって水平に支持することができる。
【0090】
それによって、キヤリアテープを品種変更する毎に第1、第2のスプロケット13,14を品種変更したキヤリアテープを水平に支持できるよう、径の異なるものに変更したり、高さを調整するなどのことをせずにすむから、キヤリアテープの品種変更を迅速かつ確実に行なうことが可能となる。
【0091】
上記下型11と上型12をブラケット51の第1の支持部57と第2の支持部58に設けるようにした。そのため、金型装置9を上下動させたときに下型11と上型12が一体的に上下動するので、これら下型11と上型12の位置がずれることがないから、キヤリアテープ1W又は1Nからの半導体チップ2の打ち抜きを精密に行なうことができる。
【0092】
上記下型11と上型12の上下方向の駆動を1つの駆動源、すなわち両ロッドシリンダ59で行なうようにした。そのため、下型11と上型12を上下動させるための構成が簡略化されるから、装置全体の低価格化を図ることができる。
【0093】
しかも、下型11と上型12は上記両ロッドシリンダ59によって連動して一体的に上下動されるため、下型11と上型12の相対的な動きを調整する必要がないばかりか、上下動の調整を1回行なえば、その後の調整は不要となるから、調整作業を簡略化することができる。
【0094】
上記下方11の上昇駆動をカム65で行なうようにしたから、下型11はブラケット51を介してカム65によって下方へ変位することなく確実に支持される。そのため、キヤリアテープ1W又は1Nから半導体チップ2を打ち抜くとき、両ロッドシリンダ59のロッド60によって下降方向に駆動される上型12から押圧力を受けても、下方へ変位することがないから、そのことによってもキヤリアテープ1W又は1Nからの半導体チップ2の打ち抜き精度を向上させることができる。
【0095】
上記一実施の形態では、第1、第2のスプロケットが広幅キヤリアテープを水平に支持できる高さに設定されている場合について説明したが、広幅キヤリアテープに代わり狭幅キヤリアテープを水平に支持する高さに設定してもよく、或いは広幅キヤリアテープを水平に支持する高さと、狭幅キヤリアテープを支持する高さの間の高さに設定してもよい。
【0096】
要は、一対のスプロケット間に、一対の支持ローラを水平方向に同じ高さで、しかも所定間隔で離間させて配置すれば、一対のスプロケットの高さやキヤリアテープの品種に係りなく、そのキヤリアテープの一対のスプロケット間に位置する部分を水平に支持することができる。
【0097】
上記一実施の形態では下型と上型を1つの両ロッドシリンダによって上下方向に駆動する構成としたが、下型と上型をそれぞれ別々の駆動源によって上下方向に駆動する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】この発明の一実施の形態を示す打ち抜き装置の概略的構成図。
【図2】打ち抜き装置の制御系統のブロック図。
【図3】キヤリアテープの一部分を示す平面図。
【図4】金型装置の正面図。
【図5】図4に示す金型装置の側面図。
【図6】スプロケットの一部分の拡大断面図。
【図7】(a)は金型装置に用いられるカムの正面図、(b)はカム曲線の図。
【図8】同期して回転駆動される一対のスプロケットの回転角度を設定する説明図。
【図9】(a)は広幅キヤリアテープが水平に架設できるよう設けられた一対のスプロケット間に狭幅キヤリアテープを架設したときに傾斜する状態の説明図、(b)は一対のスプロケット間に狭幅キヤリアテープが一対の支持ローラによって水平に支持される説明図。
【図10】(a)は初期状態における下型と上型の位置の説明図、(b)は下型が上面をキヤリアテープの下面に接触する位置まで上昇したときの説明図、(c)は上型によってキヤリアテープが打ち抜かれたときの説明図。
【符号の説明】
【0099】
1…キヤリアテープ、2…半導体チップ(電子部品)、7…供給リール、9…金型装置、11…下型、12…上型、13…第1のスプロケット、14…第2のスプロケット、15a…大径部、15c…小径部、16a…第1の歯、16b…第2の歯、17…支持ローラ、28…制御装置、35…巻き取りリール、57…第1の支持部、58…第2の支持部、59…両ロッドシリンダ、62…レバー、65…カム、67…カムフォロア、68…カム手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状部材に実装された電子部品を打ち抜く打ち抜き装置であって、
上記テープ状部材が巻装された供給リールと、
この供給リールに巻装された上記テープ状部材を巻き取る巻き取りリールと、
上記テープ状部材の上記供給リールと上記巻き取りリールとの間の水平に支持された部分から上記電子部品を打ち抜く金型装置を具備し、
上記金型装置は、上下方向に駆動可能に設けられ上昇方向に駆動されることで上記テープ状部材の水平部分の下面を支持する下型と、この下型の上方に対向して上下方向に駆動可能に設けられ下降方向に駆動されることで上記テープ状部材の上記下型によって下面が支持された部分から上記電子部品を打ち抜く上型と
によって構成されていることを特徴とする電子部品の打ち抜き装置。
【請求項2】
上記金型装置は、
上下方向に離間して設けられた第1の支持部及び第2の支持部を有し、上下方向に移動可能に設けられた可動支持体と、
上記第1の支持部の上面に設けられた上記下型と、ロッドを有し、上記第2の支持部に軸線を上記上下方向に沿わせて設けられた両ロッドシリンダと、
この両ロッドシリンダのロッドの下端に上記下型と対向して設けられた上記上型と、
上記ロッドの上端に一端が回動可能に設けられ他端が上記可動支持体に枢着されていて、上記ロッドが駆動されることで上記他端を支点として回動するレバーと、
このレバーの他端の回動に連動して回動するカム及びこのカムの外周面に当接し回動する上記カムの形状に応じて上記可動支持体を上下動させるカムフォロアを有するカム手段を具備し、
上記カムは、上記ロッドが下降方向に駆動されたときに、上記可動支持体を上記下型の上面が上記キヤリアテープの下面を支持する高さ位置まで上昇方向に駆動し、
上記ロッドは、上記上型を下降方向に駆動して上記下型によって下面が支持された上記テープ状部材から上記上型によって電子部品を打ち抜かせることを特徴とする請求項1記載の打ち抜き装置。
【請求項3】
上記金型装置の下型の上記テープ状部材の下面に接触するまでのストロークは、上記上型の上記テープ状部材の上面に接触するまでのストロークよりも小さく設定されていて、
上記下型は上記テープ状部材の下面に接触した位置で上昇が停止し、上記上型は上記下型の上昇が停止した後で上記テープ状部材から上記電子部品を打ち抜くことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品の打ち抜き装置。
【請求項4】
上記金型装置の上流側と下流側には一対のスプロケットが設けられ、上記テープ状部材の幅方向両端には上記スプロケットに形成された歯に係合する複数の係合孔が長手方向に沿って所定間隔で形成されていて、
上記テープ状部材は上記一対のスプロケット間で水平に支持され、これら一対のスプロケットは、上記テープ状部材の上記一対のスプロケット間に位置する部分に弛みが生じない張力を与える回転角度に設定され、上記一対のスプロケットは設定された回転角度で同期して回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の電子部品の打ち抜き装置。
【請求項5】
上記一対のスプロケットは異なる幅寸法のテープ状部材を搬送する大径部と小径部が形成された二段歯スプロケットであって、
上記一対のスプロケット間には一対の支持ローラが同じ高さで水平方向に所定間隔で離間して配置されていて、
上記一対の支持ローラは上記テープ状部材が上記大径部或いは上記小径部のいずれによって搬送される場合であっても、そのテープ状部材の上記一対のスプロケット間に位置する部分を水平に支持することを特徴とする請求項1記載の打ち抜き装置。
【請求項6】
テープ状部材に実装された電子部品を打ち抜く打ち抜き方法であって、
供給リールに巻装されたテープ状部材を巻き取りリールに巻き取るとともに、このテープ状部材の上記供給リールと上記巻き取りリールの間に位置する部分を水平に支持する工程と、
上記テープ状部材の上記水平に支持された部分から金型装置の上型と下型とによって上記電子部品を打ち抜くときに上記下型を上昇方向に駆動して上記テープ状部材の下面を支持してから上記上型で上記テープ状部材から上記電子部品を打ち抜く工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の打ち抜き方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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