説明

電子部品の装着方法

【課題】電子部品の吸着姿勢の不良が発生したときに、吸着ノズルの真空吸着のために真空源に切替え接続するための切替弁が駆動するタイミングを変更することにより、電子部品の吸着姿勢の不良を極力減少させること。
【解決手段】連鎖吸着の過程において、CPU15は装着ヘッド6A又は6Bの吸着姿勢不良フラグの内容がONであれば、エア切替バルブ電磁弁35がONしてから真空度100%に到達までの時間tnをRAM17から読み込む。吸着ノズル5の下降を開始させ、吸着ノズル5の下限位置への到達を確認したら、エア切替バルブ電磁弁35をONさせて真空側に切替え、真空/正圧切替弁33を介して真空源に連通させ、電子部品取出しのための真空吸引動作を開始する。このエア切替バルブ電磁弁35をONさせたらタイマ40をスタートさせ、時間tnが経過したことを確認したら、上下軸駆動モータを制御して吸着ノズル5の上昇を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置より装着ヘッドに備えられた複数の吸着ノズルにより電子部品を吸着して取り出し、前記吸着ノズルに吸着保持された電子部品の吸着姿勢を検出装置で検出して、正常の吸着姿勢の場合には基板上に装着する電子部品の装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品供給装置より装着ヘッドに取り付けられた吸着ノズルにより電子部品を吸着して取り出し、基板上に装着する電子部品装着装置は、特許文献1等に開示されている。そして、前記吸着ノズルの電子部品の吸着姿勢不良の要因の一つに真空圧のバラツキがある。例えば、真空圧のバラツキにより、前記吸着ノズルが部品供給装置の部品取出し位置に到達する前に、電子部品の吸い上げ開始の真空度を超えてしまうと、また吸着後の前記吸着ノズルの上昇時に満足真空度に到達しないと、吸着姿勢不良となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−87305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

従来の電子部品の吸着取出し動作について、図14に基づいて説明する。先ず、電子部品の吸着は、装着ヘッドに設けられた吸着ノズルを下降させて、真空源に連通するエア切替バルブ電磁弁をON(オン)し、満足真空度に到達したところで電子部品を真空吸着して前記吸着ノズルが上昇する。この場合、満足真空度と吸着ノズルの上昇は予め計算した時間で、タイミングを合わせて制御している。
【0005】
即ち、前記吸着ノズルの下降開始からする上昇開始するまでの時間t1とエア切替バルブ電磁弁がONしてから満足真空度に到達までの時間t2とを計算する。そして、吸着ノズルが原点位置から下降を開始し(B位置)、この下降が開始してからA時間(t1−t2)が経過したC位置で、前記エア切替バルブ電磁弁をONする。そして、吸着ノズルが部品供給装置の部品取出し位置のD位置に到達したら、満足真空度に到達と同時に(E位置)、前記吸着ノズルが上昇するように、制御される。
【0006】
このように制御すると、真空度を表示しているように、前記エア切替バルブ電磁弁がONしてから、真空圧が掛かり出すバラツキの時間Fが発生し、また電子部品の吸い上げ開始から満足真空度が得られるまでの真空圧が増加するバラツキGが発生する。
【0007】
このために、前記エア切替バルブ電磁弁がONしてから、真空圧が掛かり出すバラツキにより、前記吸着ノズルが部品供給装置の部品取出し位置に到達する前に、電子部品の吸い上げ開始の真空度を超えてしまうことが起こったり、また真空圧が増加するバラツキにより、吸着後の前記吸着ノズルの上昇時に満足真空度に到達しないことが起こり、電子部品の吸着姿勢不良となる。
【0008】
そこで本発明は、電子部品の吸着姿勢の不良が発生したときに、吸着ノズルの真空吸着のために真空源に切替え接続するための切替弁が駆動するタイミングを変更することにより、電子部品の吸着姿勢の不良を極力減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため第1の発明は、部品供給装置より装着ヘッドに備えられた複数の吸着ノズルにより電子部品を吸着して取り出し、前記吸着ノズルに吸着保持された電子部品の吸着姿勢を検出装置で検出して、正常の吸着姿勢の場合には基板上に装着する電子部品の装着方法において、
前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際に、
前記吸着ノズルが前記部品供給装置より電子部品を吸着して取出すために下降し、
前記吸着ノズルが下限に到達したら、前記切替弁を駆動させて前記真空源に切替え接続し、
前記切替弁が駆動して前記真空源に切替えてからタイマが計時して、
切替弁が駆動して真空吸着のための真空源に切替え接続されてから通常の前記吸着ノズルが電子部品を吸着する真空度より高く予め定められた真空度に到達するまでの時間tnを計時したら前記吸着ノズルが上昇すること
を特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記時間tnは、真空度が100%に到達するまでの時間であることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際とは、前記吸着姿勢の不良が検出された電子部品を吸着保持する前記吸着ノズルを備えた前記装着ヘッドについて、前記部品供給装置と前記基板との1回の往復分で電子部品の取り出し処理及び装着処理するための電子部品の連鎖吸着をする際であることを特徴する。
【0012】
第4の発明は、第1の発明において、前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際とは、前記吸着姿勢の不良が検出された電子部品を吸着保持する前記吸着ノズルについて、前記部品供給装置と前記基板との1回の往復分で電子部品の取り出し処理及び装着処理するための電子部品の連鎖吸着をする際であることを特徴する。
【0013】
第5の発明は、第1の発明において、前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際とは、前記吸着姿勢の不良が検出された電子部品を吸着保持する前記吸着ノズルが前記電子部品を取出した前記部品供給装置を構成する部品供給ユニットについて、この部品供給ユニットと前記基板との1回の往復分で電子部品の取り出し処理及び装着処理するための電子部品の連鎖吸着をする際であることを特徴する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、吸着ノズルの真空吸着のために真空源に切替え接続するための切替弁が駆動するタイミングを変更することにより、電子部品の吸着姿勢の不良を極力減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子部品装着装置の平面図である。
【図2】ラインセンサユニットの概略図である。
【図3】装着ヘッドの真空吸着及びエア吹出しの制御を示す図である。
【図4】電子部品装着装置の制御ブロック図である。
【図5】装着データを示す図である。
【図6】電子部品の吸着及び装着に係る第1の実施形態のフローチャートを示す図である。
【図7】図6のフローチャートに続くフローチャートを示す図である。
【図8】装着ヘッドのヘッド番号毎の吸着姿勢不良フラグの内容を図である。
【図9】吸着ノズルの上下方向の位置と真空度との関係図である。
【図10】電子部品の吸着及び装着に係る第2の実施形態のフローチャートを示す図である。
【図11】吸着ノズルのノズル番号毎の吸着姿勢不良フラグの内容を図である。
【図12】電子部品の吸着及び装着に係る第3の実施形態のフローチャートを示す図である。
【図13】部品供給ユニットの部品配置番号毎の吸着姿勢不良フラグの内容を図である。
【図14】吸着ノズルの上下方向の位置と真空度との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図1に基づき、基板としてプリント基板P上に電子部品を装着する電子部品装着装置1について、本発明の実施の形態を説明する。この電子部品装着装置1には、各プリント基板Pの搬送を並列に行なう搬送装置2と、装置本体の手前側と奥側に配設され電子部品を供給する部品供給装置3A、3Bと、駆動源により一方向に移動可能(Y方向に往復移動可能)な一対のビーム4A、4Bと、それぞれ吸着ノズル5を備えて前記各ビーム4A、4Bに沿った方向に各駆動源により移動可能な装着ヘッド6A、6Bとが設けられている。
【0017】
前記搬送装置2は電子部品装着装置1は供給コンベア2Aと、プリント基板Pを位置決め固定する位置決め部2Bと、排出コンベア2Cとを備えている。そして、前記供給コンベア2Aは上流より受けた各プリント基板Pを位置決め部2Bに搬送し、この各位置決め部2Bで位置決め装置により位置決めされた各基板上に電子部品が装着された後、排出コンベア2Cに搬送され、その後下流側装置に搬送される構成である。
【0018】
そして、前記部品供給装置3A、3Bは前記搬送装置2の奥側位置と手前側位置に配設され、取付台であるカート台7A、7Bのフィーダベース上に部品供給ユニット8を多数並設したものである。各カート台7A、7Bは部品供給ユニット8の部品供給側の先端部がプリント基板Pの搬送路に臨むように前記装置本体に連結具を介して着脱可能に配設され、各カート台7A、7Bが正規に装置本体に取り付けられるとカート台7A、7Bに搭載された部品供給ユニット8に電源が供給され、また前記連結具を解除して把手を引くと下面に設けられたキャスタにより移動できる構成である。
【0019】
そして、X方向に長い前後一対の前記ビーム4A、4Bは、各リニアモータから構成されるY方向モータ9の駆動により左右一対の前後に延びたガイドに沿って前記各ビームに固定されたスライダが摺動して個別にY方向に移動する。前記Y方向モータ9は、左右一対の基体1A、1Bに沿って固定された上下一対の固定子と、前記ビーム4A、4Bの両端部に設けられた取付板の下部に固定された可動子9Aとから構成される。
【0020】
また、前記ビーム4A、4Bにはその長手方向(X方向)にリニアモータから構成されるX方向モータ10によりガイドに沿って移動する前記装着ヘッド6A、6Bが夫々内側に設けられており、前記X方向モータ10は各ビーム4A、4Bに固定された前後一対の固定子と、各固定子の間に位置して前記装着ヘッド6A、6Bに設けられた可動子とから構成される。
【0021】
従って、各装着ヘッド6A、6Bは向き合うように各ビーム4A、4Bの内側に設けられ、前記装着ヘッド6Aは対応する奥側の部品供給装置3Aの部品供給ユニット8から電子部品の取出し作業を行い、搬送装置2上のプリント基板Pに装着することができ、装着ヘッド6Bは対応する手前側の部品供給装置3Bから電子部品を取り出して前記プリント基板Pに装着することができる。
【0022】
そして、各装着ヘッド6A、6Bには各バネにより下方へ付勢されている吸着ノズル5が円周上に所定間隔を存して4本配設されており、この吸着ノズル5は上下軸モータ12により昇降可能であり、またθ軸モータ13により装着ヘッド6A、6Bを鉛直軸周りに回転させることにより、結果として各装着ヘッド6A、6Bの各吸着ノズル5はX方向及びY方向に移動可能であり、垂直線回りに回転可能で、且つ上下動可能となっている。
【0023】
なお、前記Y方向モータ9、X方向モータ10、上下軸モータ12、θ軸モータ13には、それぞれエンコーダ9E、10E、12E、13Eが接続され、回転数、回転角度が監視把握される。
【0024】
また、各部品認識カメラ14は、各装着ヘッド6A、6Bに設けられた各吸着ノズル5に吸着保持された電子部品を一括して撮像する。なお、部品吸着姿勢検出装置として、図2に示すようなラインセンサ24を使用するが、以下説明する。このラインセンサ24は、装着ヘッド6A、6Bの略中央部に設けられた円筒状の発光ユニット取付体26内上部にLED等の発光素子27を配設すると共にその下方にレンズ28及びそのレンズ28の下方に円錐状の反射面29を有する反射体30を配設して構成された発光ユニット31と、前記反射体30を介する前記発光素子27からの光を受光する複数の受光素子であるCCD素子を備えた受光ユニット32とから構成される。
【0025】
図3において、33は真空源に連通する真空/正圧切替弁、34はエア供給源に連通するブローON/OFF切替弁、35は前記吸着ノズル5に対応して設けられ真空源に連通して吸着ノズル5が吸引するかエア供給源に連通して吸着ノズル5がエア吹き出しするかを切り替えるエア切替バルブ電磁弁である。
【0026】
このエア切替バルブ電磁弁35が励磁すると、真空/正圧切替弁33を介して真空引き用通路36とノズル連通通路37とが連通可能であり、ノズル連通通路38とエアブロー用通路39とが遮断され、吸着ノズル5はノズル連通通路37、真空/正圧切替弁33、真空引き用通路36を介して真空源と連通可能となり、吸着ノズル5は電子部品の真空吸着を維持できる。また、前記エア切替バルブ電磁弁35が励磁すると、真空源に連通した真空引き用通路36とノズル連通通路37とが遮断され、ブローON/OFF切替弁34を介してノズル連通通路38とエアブロー用通路39とが連通可能であり、吸着ノズル5による電子部品Dの真空吸着を止めると共に吸着ノズル5にエア供給源からの空気がエアブロー用通路39、ブローON/OFF切替弁34、ノズル連通通路38を介して吹き込まれる。
【0027】
図4は電子部品装着装置1の電子部品装着に係る制御のための制御ブロックであり、以下説明する。電子部品装着装置1の各要素はCPU15(セントラル・プロセッシング・ユニット)15が統括制御しており、この制御に係るプログラムを格納するROM(リ−ド・オンリー・メモリ)16及び各種データを格納するRAM17(ランダム・アクセス・メモリ)17がバスライン18を介して接続されている。また、CPU15には操作画面等を表示するモニタ19及び該モニタ19の表示画面に形成された入力手段としてのタッチパネルスイッチ20がインターフェース21を介して接続されている。また、前記Y方向モータ9等が駆動回路22、インターフェース21を介して前記CPU15に接続されている。なお、前記CPU15は制御手段、確認手段、判定手段などの機能を果たす。
【0028】
前記RAM17には、プリント基板Pの種類毎に装着データが記憶されている。この装着データは、その装着順序(装着ステップ番号)毎に、装着ヘッド6A、6Bのヘッド番号(装着ヘッド6Aは「1」、装着ヘッド6Bは「2」)、吸着ノズル5のノズル番号(「1」から「4」)、各部品供給ユニット8の部品配置番号情報、プリント基板P内での各電子部品の装着座標のX方向の位置情報(装着座標X)、Y方向の位置情報(装着座標Y)、装着角度情報(装着角度θ)とから構成される。
【0029】
また、前記RAM17には、カート台7A、7B上に配設された前記各部品供給ユニット8の部品配置番号に対応した各電子部品の種類(部品ID)の部品配置データが格納されている。更には、RAM17には装着ヘッド毎や、吸着ノズル5のノズル番号毎や、部品配置番号毎に吸着姿勢不良フラグの内容が格納されている。
【0030】
そして、一方のカート台7A上に配設された前記各部品供給ユニット8の部品配置番号は、「101」〜「126」であり、他方のカート台7B上に配設された前記各部品供給ユニット8の部品供給ユニット配置番号(FDR番号)は、「201」〜「226」である。
【0031】
更には、前記RAM17には、電子部品の特徴を表す形状データ・認識データ・制御データ・部品供給データから成る電子部品毎の部品ライブラリデータ等が格納されている。
【0032】
23はインターフェース21を介して前記CPU15に接続される認識処理装置で、前記部品認識カメラ14により撮像して取込まれた画像の認識処理が該認識処理装置23にて行われ、CPU15に処理結果が送出される。即ち、CPU15は部品認識カメラ14により撮像された画像を認識処理(位置ずれ量の算出など)するように指示を認識処理装置23に出力すると共に、認識処理結果を認識処理装置23から受取るものである。
【0033】
また、タイマ40がインターフェース21を介して前記CPU15に接続されている。
【0034】
以下、第1の実施形態である図6及び図7のフローチャートに基づいて、以下動作について説明する。基板であるプリント基板Pは上流装置より供給コンベア2Aを介して位置決め部2Bに搬送されて位置決め固定され、CPU15は装着ヘッド6A及び6Bが連鎖吸着のために、図5に示す装着データから前記部品供給装置3A、3Bとプリント基板Pとの1回の往復分で電子部品の取り出し処理及び装着処理する装着ステップ番号の切出しをし、初めに装着ステップ番号「0001」の装着ヘッド6Aのヘッド番号「1」を取得する(ステップS01)。この場合、各装着ヘッド6A、6Bに備えられた吸着ノズル5の最大数「4」について電子部品の連鎖吸着が可能であり、例えば装着ヘッド6A、6Bの4本全ての吸着ノズル5の吸着動作が行われることとなる。
【0035】
次いで、電子部品を吸着して取出すために、部品供給ユニット8の部品取出し位置へ移動する(ステップS02)。即ち、奥側のヘッド番号「1」の装着ヘッド6Aが、Y方向はY方向モータ9が駆動してビーム4Aが移動し、X方向はX方向モータ10が駆動してXY方向に移動し、部品供給ユニット8の部品取出し位置へ移動する。
【0036】
次に、CPU15は、エンコーダ10E、9Eからの位置情報に基づいてX方向モータ10及びY方向モータ9の各回転位置を把握し、部品供給ユニット8の部品取出し位置に到達したかを確認する(ステップS03)。CPU15は到達を確認したら、RAM17に装着ヘッド6Aに対応する吸着姿勢不良フラグの内容(図8参照)を取得する(ステップS04)。この場合、吸着姿勢不良が発生して、複数の受光素子及び発光素子27を間隔を存して縦に配置し、前記間隔に位置した電子部品による遮光状態に基づいて吸着姿勢により吸着不良と判断された際に、RAM17にその不良が発生した装着ヘッドの吸着姿勢不良フラグの内容として「ON」を格納するが、格納されない場合は「OFF」のままである。
【0037】
次に、CPU15はステップ番号「0001」の装着ヘッド6Aのヘッド番号「1」の吸着姿勢不良フラグの内容が「ON」か否かを確認し(ステップS05)、「OFF」であれば、図14に示すように、装着ヘッド6Aの前記吸着ノズル5の下降開始から上昇開始するまでの時間t1をRAM17から読み込む(ステップS06)。次に、CPU15はエア切替バルブ電磁弁35がONしてから、通常、電子部品の吸着するときの真空度であって吸着ノズル5により確実に吸着できる満足真空度に到達までの時間t2をRAM17から読み込み(ステップS07)、次に前記時間t1から時間t2を引いて時間tを算出する(ステップS08)。なお、前記時間t1、t2は、予め計測されて前記RAM17に格納されている。
【0038】
そして、CPU15は前記吸着ノズル5の下降を開始させるように上下軸駆動モータ12を制御し(ステップS09)、タイマ40をスタートさせる(ステップS10)。そして、前記吸着ノズル5の下降が開始してから計時するタイマ40が時間tを計時したら(ステップS11)、エア切替バルブ電磁弁35をON(「駆動」の意、以下同じ。)させて真空側に切替え(ステップS12)、真空側に切り替わっている真空/正圧切替弁33を介して真空源(図示せず)に連通させ、電子部品の取り出しのための真空吸引動作を開始する。
【0039】
そして、CPU15は、エンコーダ12Eからの位置情報に基づいて上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、前記吸着ノズル5が下限位置に到達したかを確認し(ステップS13)、下限位置への到達を確認したら、上下軸駆動モータ12を制御して吸着ノズル5の上昇を開始させる(ステップS14)。
【0040】
次に、前記吸着ノズル5が上昇して、CPU15がエンコーダ12Eからの位置情報に基づいて上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、原点位置に到達したか否かが確認され(ステップS15)、原点位置に到達したことを確認すると、前記吸着ノズル5による電子部品Dの吸着姿勢を検出装置であるラインセンサ24が検出する(ステップS16)。
【0041】
この場合、前記吸着ノズル5による電子部品の姿勢が吸着すべきでない面を吸着した所謂「立ちチップ状態」などの場合には、ラインセンサ24の検出出力に基づいて、CPU15が吸着姿勢不良か否かを判定した際に(ステップS17)、吸着姿勢が不良と判定され、この装着ヘッド6Aの吸着姿勢不良フラグの内容として「ON」をRAM17に格納させるが(ステップS18)、吸着姿勢が不良でないと判定した場合には、「OFF」のままとする。
【0042】
そして、いずれにおいても、次には装着ヘッド6A又は6Bの次の吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定し(ステップS19)、ある場合には前述したステップS01へ戻る。この場合、連鎖吸着として、この装着ヘッド6A、6Bに備えられた吸着ノズル5の最大数「4」について電子部品の吸着が可能であり、例えば装着ヘッド6A、6Bの4本全ての吸着ノズル5の吸着動作が行われることとなる。
【0043】
この連鎖吸着の過程において、前述したステップS05において、CPU15は装着ヘッド6A又は6Bの吸着姿勢不良フラグの内容が「ON」か否かを確認し、「ON」であれば、図9に示すように、CPU15はエア切替バルブ電磁弁35がONしてからこの電子部品装着装置1に設けられた真空源により到達できる最も高い真空の状態である真空度100%に到達までの時間tnを読み込む(ステップS20)。そして、CPU15は前記吸着ノズル5の下降を開始させるように、上下軸駆動モータ12を制御する(ステップS21)。
【0044】
なお、前記時間tnは、予め計測してRAM17に格納されている。そして、この時間tnは真空度100%に到達するまでの時間より短く、上述した満足真空度より高く真空度100%より低い真空度に到達するまでの時間としてもよく(例えば、満足真空度が50%なら90%にする等)、このように前記時間tnを真空度100%又は100%に十分近い真空度に到達するまでの時間とすることにより一層確実に電子部品を吸着することができる。このことは、以下説明する第2の実施形態である図10のフローチャート、第3の実施形態である図12のフローチャートにおいても、同様である。
【0045】
そして、CPU15は、エンコーダ12Eからの位置情報に基づいて前記上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、前記吸着ノズル5が下限位置に到達したかを確認し(ステップS22)、下限位置への到達を確認したら、エア切替バルブ電磁弁35をONさせて真空側に切替え(ステップS23)、真空/正圧切替弁33を介して真空源(図示せず)に連通させ、電子部品の取り出しのための真空吸引動作を開始する。
【0046】
そして、このエア切替バルブ電磁弁35をONさせたら前記タイマ40をスタートさせ(ステップS24)、CPU15は前記エア切替バルブ電磁弁35がONしてからの時間を計時し(ステップS25)、エア切替バルブ電磁弁35がONしてから真空度100%に到達までの時間tnが経過したことを確認したら、ステップS14に移り、上下軸駆動モータ12を制御して吸着ノズル5の上昇を開始させる。以下前述したように、進み、ステップS19へと移る。
【0047】
即ち、連鎖吸着するための吸着ノズルが吸着すべき電子部品があるかを判定し(ステップS19)、ある場合には前述したステップS01へ戻って、前述したような次のステップ番号の吸着動作が行われることとなって、以下順次各装着ヘッド6A、6Bの連鎖吸着を行うこととなる。そして、この連鎖吸着を終えて連鎖吸着するための吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定して、無い場合には前記吸着ノズル5が位置決めされたプリント基板P上の所定位置に前記電子部品を装着するように移動する途中において、装着ヘッド6A、6Bが移動しながら吸着ノズル5に吸着保持された電子部品が部品認識カメラ14により撮像され(フライ認識)、部品の認識処理動作が行われる(ステップS26)。
【0048】
次に、CPU15は前記装着データに基づいて装着ヘッド番号を取得し(ステップS27)、前記装着データに基づいて電子部品の装着位置へ移動し(ステップS28)、装着すべき電子部品に対応する吸着ノズル5に吸着保持された電子部品が認識処理動作で認識不良と判定された電子部品か否かが判定され(ステップS29)、不良と判定された場合にはステップS32に移るが、不良でないと判定された場合には、吸着姿勢不良か否かが判定される(ステップS30)。
【0049】
即ち、「立ちチップ状態」で認識不良と判定された電子部品は、吸着姿勢不良と判定された場合にはステップS32に移るが、吸着姿勢不良でないと判定された場合には、プリント基板Pへの電子部品の装着動作が行われる(ステップS31)。
【0050】
この場合、正圧側に真空/正圧切替弁33を切替えると共に、ブローON/OFF切替弁34をエア吹出しができるように切替えすると共にエア切替バルブ電磁弁35をブローON/OFF切替弁34側に切替接続して、エアを吹出して吸着ノズル5に吸着保持された電子部品をプリント基板P上に装着する。そして、次の吸着ノズル5に装着すべき電子部品があるかが判定される(ステップS32)。
【0051】
従って、この装着ヘッド6A、6Bに装着すべき電子部品が無い場合には、リカバリすべき電子部品があるか否か判定され(ステップS33)、有る場合には吸着姿勢不良とされ吸着ノズル5に吸着保持された電子部品を廃棄した後にステップS01に戻るが、無い場合にはこの装着ヘッド6A、6Bの吸着姿勢不良フラグの内容を「OFF」して(ステップS34)、次の連鎖吸着に係るサイクルに移る。
【0052】
以上のように、吸着ノズル5の真空吸着のために真空源に切替え接続するためのエア切替バルブ電磁弁35のONするタイミングを変更することにより、電子部品の吸着姿勢の不良を極力減少させることができる。特に、この第1の実施形態は、電子部品の吸着姿勢不良の原因が装着ヘッドにある場合に有効である。
【0053】
以下、第2の実施形態である図10のフローチャートに基づいて、以下動作について説明する。初めに、プリント基板Pは上流装置より供給コンベア2Aを介して位置決め部2Bに搬送されて位置決め固定され、CPU15は連鎖吸着のための装着ステップ番号の切出しをし、前記装着データから装着ステップ番号「0001」の装着ヘッド6Aのヘッド番号「1」及び吸着ノズル5のノズル番号「1」を取得する(ステップS41)。次いで、電子部品を吸着して取出すために、部品供給ユニット8の部品取出し位置へ移動し(ステップS42)、CPU15はエンコーダ10E、9Eからの位置情報に基づいてX方向モータ10及びY方向モータ9の各回転位置を把握し、前記部品取出し位置に到達したかを確認する(ステップS43)。
【0054】
そして、CPU15は到達を確認したら、RAM17に吸着ノズル5に対応する吸着姿勢不良フラグの内容(図11参照)を取得する(ステップS44)。この場合、吸着姿勢不良が発生した際に、RAM17にその不良が発生した吸着ノズル5の吸着姿勢不良フラグの内容として「ON」を格納するが、格納されていない場合は「OFF」である。
【0055】
次に、CPU15はステップ番号「0001」の装着ヘッド6Aのヘッド番号「1」の番号「1」の吸着ノズルのノズル番号「1」の吸着姿勢不良フラグの内容が「ON」か否かを確認し(ステップS45)、「OFF」であれば、図14に示すように、前記吸着ノズル5の下降開始から上昇開始するまでの時間t1をRAM17から読み込む(ステップS46)。次に、CPU15はエア切替バルブ電磁弁35がONしてから、通常、電子部品の吸着するときの真空度であって吸着ノズル5により確実に吸着できる満足真空度に到達までの時間t2をRAM17から読み込む(ステップS47)。次に前記時間t1から時間t2を引いて時間tを算出する(ステップS48)。
【0056】
そして、CPU15は前記吸着ノズル5の下降を開始させるように、上下軸駆動モータ12を制御し(ステップS49)、タイマ40をスタートさせる(ステップS50)。そして、前記吸着ノズル5の下降が開始してから計時するタイマ40が時間tを計時したら(ステップS51)、エア切替バルブ電磁弁35をONさせて真空側に切替え(ステップS52)、真空側に切り替わっている真空/正圧切替弁33を介して真空源(図示せず)に連通させ、電子部品の取り出しのための真空吸引動作を開始する。
【0057】
そして、CPU15は、エンコーダ12Eからの位置情報に基づいて上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、前記吸着ノズル5が下限位置に到達したかを確認し(ステップS53)、下限位置への到達を確認したら、上下軸駆動モータ12を制御して吸着ノズル5の上昇を開始させる(ステップS54)。
【0058】
次に、前記吸着ノズル5が上昇して、CPU15がエンコーダ12Eからの位置情報に基づいて上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、原点位置に到達したか否かが確認され(ステップS55)、原点位置に到達したことを確認すると、前記吸着ノズル5による電子部品の吸着姿勢をラインセンサ24が検出する(ステップS56)。
【0059】
この場合、前記吸着ノズル5による電子部品の姿勢が吸着すべきでない面を吸着した所謂「立ちチップ状態」などの場合には、ラインセンサ24の検出出力に基づいて、CPU15が吸着姿勢不良か否かを判定した際に(ステップS57)、吸着姿勢が不良と判定され、この装着ヘッド6Aの吸着ノズル5のノズル番号の吸着姿勢不良フラグの内容として「ON」をRAM17に格納させるが(ステップS58)、吸着姿勢が不良でないと判定した場合には、「OFF」のままとする。
【0060】
そして、いずれにおいても、次には装着ヘッド6A又は6Bの次の吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定し(ステップS59)、ある場合には前述したステップS41へ戻る。この場合、前記連鎖吸着として、この装着ヘッド6A、6Bに備えられた吸着ノズル5の最大数「4」について電子部品の吸着が可能であり、例えば装着ヘッド6A、6Bの4本全ての吸着ノズル5の吸着動作が行われることとなる。
【0061】
この連鎖吸着の過程において、前述したステップS45において、CPU15は吸着姿勢不良フラグの内容が「ON」か否かを確認し、「ON」であれば、図9に示すように、CPU15はエア切替バルブ電磁弁35がONしてから真空度100%に到達までの時間tnをRAM17から読み込む(ステップS60)。そして、CPU15は前記吸着ノズル5の下降を開始させるように、上下軸駆動モータ12を制御する(ステップS61)。
【0062】
そして、CPU15は、エンコーダ12Eからの位置情報に基づいて前記上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、前記吸着ノズル5が下限位置に到達したかを確認し(ステップS62)、下限位置への到達を確認したら、エア切替バルブ電磁弁35をONさせて真空側に切替え(ステップS63)、真空/正圧切替弁33を介して真空源(図示せず)に連通させ、電子部品の取り出しのための真空吸引動作を開始する。
【0063】
そして、このエア切替バルブ電磁弁35をONさせたら前記タイマ40をスタートさせ(ステップS64)、CPU15は前記エア切替バルブ電磁弁35がONしてからの時間を計時し(ステップS65)、エア切替バルブ電磁弁35がONしてから真空度100%に到達までの時間tnが経過したことを確認したら、ステップS14に移り、上下軸駆動モータ12を制御して吸着ノズルの上昇を開始させる。以下前述したように、進み、ステップS59へと移る。
【0064】
即ち、連鎖吸着するための吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定し(ステップS59)、ある場合には前述したステップS41へ戻って、前述したような次のステップ番号の吸着動作が行われることとなって、以下順次各装着ヘッド6A、6Bの連鎖吸着を行うこととなる。そして、この連鎖吸着を終えて連鎖吸着するための吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定して、無い場合には前記吸着ノズル5が位置決めされたプリント基板P上の所定位置に前記電子部品を装着するように移動する途中において、装着ヘッド6A、6Bが移動しながら吸着ノズル5に吸着保持された電子部品が部品認識カメラ14により撮像され(フライ認識)、電子部品の認識処理動作が行われる(ステップS66)。
【0065】
次に、CPU15は前記装着データに基づいて装着ヘッド6A又は6Bの装着ヘッド番号及び吸着ノズル5のノズル番号を取得し(ステップS67)、前記装着データに基づいて電子部品の装着位置へ移動し(ステップS68)、装着すべき電子部品に対応する吸着ノズル5に吸着保持された電子部品が認識処理動作で認識不良と判定された電子部品か否かが判定され(ステップS69)、不良と判定された場合にはステップS73に移るが、不良でないと判定された場合には、吸着姿勢不良か否かが判定される(ステップS70)。
【0066】
即ち、「立ちチップ状態」で認識不良と判定された電子部品は、吸着姿勢不良と判定された場合にはステップS73に移るが、吸着姿勢不良でないと判定された場合には、プリント基板Pへの電子部品の装着動作が行われる(ステップS71)。
【0067】
この場合、正圧側に真空/正圧切替弁33を切替えると共に、ブローON/OFF切替弁34をエア吹出しができるように切替えすると共にエア切替バルブ電磁弁35をブローON/OFF切替弁34側に切替接続して、エアを吹出して吸着ノズル5に吸着保持された電子部品をプリント基板P上に装着する。
【0068】
次に、装着ヘッド6A、6Bの吸着ノズル5のノズル番号の吸着姿勢不良フラグの内容を「OF」とし(ステップS72)、次の吸着ノズル5に装着すべき電子部品があるかが判定される(ステップS73)。
【0069】
従って、この装着ヘッド6A、6Bに装着すべき電子部品が無い場合には、リカバリすべき電子部品があるか否か判定され(ステップS74)、有る場合には吸着姿勢不良とされ吸着ノズル5に吸着保持された電子部品を廃棄した後にステップS41に戻るが、無い場合には次のサイクル(連鎖吸着)に移る。
【0070】
以上のように、吸着ノズル5の真空吸着のために真空源に切替え接続するためのエア切替バルブ電磁弁35のONするタイミングを変更することにより、電子部品の吸着姿勢の不良を極力減少させることができる。特に、この第2の実施形態は、電子部品の吸着姿勢不良の原因が吸着ノズルにある場合に有効である。
【0071】
以下、第3の実施形態である図12のフローチャートに基づいて、以下動作について説明する。初めに、プリント基板Pは上流装置より供給コンベア2Aを介して位置決め部2Bに搬送されて位置決め固定され、CPU15は連鎖吸着のための装着ステップ番号の切出しをし、前記装着データから装着ステップ番号「0001」の部品配置番号「101」を取得する(ステップS81)。次いで、電子部品を吸着して取出すために、部品供給ユニット8の部品取出し位置へ移動し(ステップS82)、CPU15はエンコーダ10E、9Eからの位置情報に基づいてX方向モータ10及びY方向モータ9の各回転位置を把握し、前記部品取出し位置に到達したかを確認する(ステップS83)。
【0072】
そして、CPU15は到達を確認したら、RAM17に部品供給ユニット8の部品配置番号に対応する吸着姿勢不良フラグの内容(図13参照)を取得する(ステップS84)。この場合、吸着姿勢不良が発生した際に、RAM17にその不良が発生した部品供給ユニット8の配置番号の吸着姿勢不良フラグの内容として「ON」を格納するが、格納されていない場合は「OFF」である。
【0073】
次に、CPU15はステップ番号「0001」の部品供給ユニット8の部品配置番号「101」の吸着姿勢不良フラグの内容が「ON」か否かを確認し(ステップS85)、「OFF」であれば、図14に示すように、前記吸着ノズル5の下降開始から上昇開始するまでの時間t1をRAM17から読み込む(ステップS86)。次に、CPU15はエア切替バルブ電磁弁35がONしてから、通常、電子部品の吸着するときの真空度であって吸着ノズル5により確実に吸着できる満足真空度に到達までの時間t2をRAM17から読み込む(ステップS87)。次に前記時間t1から時間t2を引いて時間tを算出する(ステップS88)。
【0074】
そして、CPU15は前記吸着ノズル5の下降を開始させるように、上下軸駆動モータ12を制御し(ステップS89)、タイマ40をスタートさせる(ステップS90)。そして、前記吸着ノズル5の下降が開始してから計時するタイマ40が時間tを計時したら(ステップS91)、エア切替バルブ電磁弁35をONさせて真空側に切替え(ステップS92)、真空側に切り替わっている真空/正圧切替弁33を介して真空源(図示せず)に連通させ、電子部品の取り出しのための真空吸引動作を開始する。
【0075】
そして、CPU15は、エンコーダ12Eからの位置情報に基づいて上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、前記吸着ノズル5が下限位置に到達したかを確認し(ステップS93)、下限位置への到達を確認したら、上下軸駆動モータ12を制御して吸着ノズル5の上昇を開始させる(ステップS94)。
【0076】
次に、前記吸着ノズル5が上昇して、CPU15がエンコーダ12Eからの位置情報に基づいて上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、原点位置に到達したか否かが確認され(ステップS95)、原点位置に到達したことを確認すると、前記吸着ノズル5による電子部品の吸着姿勢をラインセンサ24が検出する(ステップS96)。
【0077】
この場合、前記吸着ノズル5による電子部品の姿勢が吸着すべきでない面を吸着した所謂「立ちチップ状態」などの場合には、ラインセンサ24の検出出力に基づいて、CPU15が吸着姿勢不良か否かを判定した際に(ステップS97)、吸着姿勢が不良と判定され、この部品供給ユニット8の部品配置番号の吸着姿勢不良フラグの内容として「ON」をRAM17に格納させるが(ステップS8)、吸着姿勢が不良でないと判定した場合には、「OFF」のままとする。
【0078】
そして、いずれにおいても、次には装着ヘッド6A又は6Bの次の吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定し(ステップS99)、ある場合には前述したステップS81へ戻る。この場合、前記連鎖吸着として、この装着ヘッド6A、6Bに備えられた吸着ノズル5の最大数「4」について電子部品の吸着が可能であり、例えば装着ヘッド6A、6Bの4本全ての吸着ノズル5の吸着動作が行われることとなる。
【0079】
この連鎖吸着の過程において、前述したステップS85において、CPU15は吸着姿勢不良フラグの内容が「ON」か否かを確認し、「ON」であれば、図9に示すように、CPU15はエア切替バルブ電磁弁35がONしてから真空度100%に到達までの時間tnをRAM17から読み込む(ステップS100)。そして、CPU15は前記吸着ノズル5の下降を開始させるように、上下軸駆動モータ12を制御する(ステップS101)。
【0080】
そして、CPU15は、エンコーダ12Eからの位置情報に基づいて前記上下軸駆動モータ12の回転位置を把握し、前記吸着ノズル5が下限位置に到達したかを確認し(ステップS102)、下限位置への到達を確認したら、エア切替バルブ電磁弁35をONさせて真空側に切替え(ステップS103)、真空/正圧切替弁33を介して真空源(図示せず)に連通させ、電子部品の取り出しのための真空吸引動作を開始する。
【0081】
そして、このエア切替バルブ電磁弁35をONさせたら前記タイマ40をスタートさせ(ステップS104)、CPU15は前記エア切替バルブ電磁弁35がONしてからの時間を計時し(ステップS105)、エア切替バルブ電磁弁35がONしてから真空度100%に到達までの時間tnが経過したことを確認したら、ステップS14に移り、上下軸駆動モータ12を制御して吸着ノズルの上昇を開始させる。以下前述したように、進み、ステップS99へと移る。
【0082】
即ち、連鎖吸着するための吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定し(ステップS99)、ある場合には前述したステップS81へ戻って、前述したような次のステップ番号の吸着動作が行われることとなって、以下順次各装着ヘッド6A、6Bの連鎖吸着を行うこととなる。そして、この連鎖吸着を終えて連鎖吸着するための吸着ノズル5が吸着すべき電子部品があるかを判定して、無い場合には前記吸着ノズル5が位置決めされたプリント基板P上の所定位置に前記電子部品を装着するように移動する途中において、装着ヘッド6A、6Bが移動しながら吸着ノズル5に吸着保持された電子部品が部品認識カメラ14により撮像され(フライ認識)、部品の認識処理動作が行われる(ステップS106)。
【0083】
次に、CPU15は前記装着データに基づいて部品配置番号を取得し(ステップS107)、前記装着データに基づいて電子部品の装着位置へ移動し(ステップS108)、装着すべき電子部品に対応する吸着ノズル5に吸着保持された電子部品が認識処理動作で認識不良と判定された電子部品か否かが判定され(ステップS109)、不良と判定された場合にはステップS113に移るが、不良でないと判定された場合には、吸着姿勢不良か否かが判定される(ステップS110)。
【0084】
即ち、「立ちチップ状態」で認識不良と判定された電子部品は、吸着姿勢不良と判定された場合にはステップS113に移るが、吸着姿勢不良でないと判定された場合には、プリント基板Pへの電子部品の装着動作が行われる(ステップS111)。
【0085】
この場合、正圧側に真空/正圧切替弁33を切替えると共に、ブローON/OFF切替弁34をエア吹出しができるように切替えすると共にエア切替バルブ電磁弁35をブローON/OFF切替弁34側に切替接続して、エアを吹出して吸着ノズル5に吸着保持された電子部品をプリント基板P上に装着する。
【0086】
次に、部品供給ユニット8の部品配置番号の吸着姿勢不良フラグの内容を「OFF」とし(ステップS112)、次の吸着ノズル5に装着すべき電子部品があるかが判定される(ステップS113)。
【0087】
従って、この装着ヘッド6A、6Bに装着すべき電子部品が無い場合には、リカバリすべき電子部品があるか否か判定され(ステップS114)、有る場合には吸着姿勢不良とされ吸着ノズル5に吸着保持された電子部品を廃棄した後にステップS81に戻るが、無い場合には次のサイクル(連鎖吸着)に移る。
【0088】
以上のように、吸着ノズル5の真空吸着のために真空源に切替え接続するためのエア切替バルブ電磁弁35のONするタイミングを変更することにより、電子部品の吸着姿勢の不良を極力減少させることができる。特に、この第3の実施形態は、電子部品の吸着姿勢不良の原因が部品供給ユニットにある場合に有効である。
【0089】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0090】
1 電子部品装着装置
2 搬送装置
3A、3B 部品供給装置
8 部品供給ユニット
6A、6B 装着ヘッド
15 CPU
17 RAM
P プリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給装置より装着ヘッドに備えられた複数の吸着ノズルにより電子部品を吸着して取り出し、前記吸着ノズルに吸着保持された電子部品の吸着姿勢を検出装置で検出して、正常の吸着姿勢の場合には基板上に装着する電子部品の装着方法において、
前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際に、
前記吸着ノズルが前記部品供給装置より電子部品を吸着して取出すために下降し、
前記吸着ノズルが下限に到達したら、前記切替弁を駆動させて前記真空源に切替え接続し、
前記切替弁が駆動して前記真空源に切替えてからタイマが計時して、
切替弁が駆動して真空吸着のための真空源に切替え接続されてから通常の前記吸着ノズルが電子部品を吸着する真空度より高く予め定められた真空度に到達するまでの時間tnを計時したら前記吸着ノズルが上昇すること
を特徴とする電子部品の装着方法。
【請求項2】
前記時間tnは、真空度が100%に到達するまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の装着方法。
【請求項3】
請求項1において、前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際とは、前記吸着姿勢の不良が検出された電子部品を吸着保持する前記吸着ノズルを備えた前記装着ヘッドについて、前記部品供給装置と前記基板との1回の往復分で電子部品の取り出し処理及び装着処理するための電子部品の連鎖吸着をする際であることを特徴する電子部品の装着方法。
【請求項4】
請求項1において、前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際とは、前記吸着姿勢の不良が検出された電子部品を吸着保持する前記吸着ノズルについて、前記部品供給装置と前記基板との1回の往復分で電子部品の取り出し処理及び装着処理するための電子部品の連鎖吸着をする際であることを特徴する電子部品の装着方法。
【請求項5】
請求項1において、前記検出装置により吸着姿勢不良が検出された際とは、前記吸着姿勢の不良が検出された電子部品を吸着保持する前記吸着ノズルが前記電子部品を取出した前記部品供給装置を構成する部品供給ユニットについて、この部品供給ユニットと前記基板との1回の往復分で電子部品の取り出し処理及び装着処理するための電子部品の連鎖吸着をする際であることを特徴する電子部品の装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−98345(P2013−98345A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239806(P2011−239806)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】