説明

電子部品を載せた担体を処理するための装置の製品関連調整を行うデバイスおよび方法

【課題】本発明は、担体上に取り付けた電子部品を処理するための装置に関する。
【解決手段】この装置は、担体上に係合するときに共作用する、少なくとも二つの係合要素からなる。本発明は、また、担体上に取り付けた電子部品を処理するための処理要素に関する。この処理要素は、本発明による装置へ交換可能に結合可能である。本発明は、さらに、そのような装置の製品関連調整のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体上に取り付けた電子部品を処理するための、担体上に係合するときに相互作用する少なくとも二つの係合要素からなる装置に関する。本発明は、また、担体上で取り付けた電子部品を処理するための処理要素に関する。この処理要素は、本発明による装置に、取り換えて結合することができる。本発明は、さらに、そのような装置の、製品関連調整を行うための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
担体上に取り付けた電子部品、より詳しくは、チップ等の半導体要素を結合した担体(IC)の処理は、産業において広く利用されている。特にチップの製造中においては、(「リード・フレーム」または「ボード」とも言及する)そのような担体は、(半製造)製品の収納、(半製造)製品の運搬、種々の処理、例えば、電気的接続の確立(「ワイヤ・ボンディング」)、構成要素の封入(「モールディング」)等の実行、製品パーツの分離および変形(「トリミングおよびフォーミング」)、製品のテスト等の間、係合される。担体上に取り付けた電子部品を処理するための既存の装置は、通常、特定な寸法の担体のみを処理するように適応しているため、寸法の異なる担体を処理するには、(とりわけ、製品寸法に応じて、交換可能なパーツを取り替えることによって)修正を施すのに、かなりの努力が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、担体上に取り付けた電子部品を処理するための改善型の装置および方法を提供することである。この場合、装置は、多様な形態の製品を連続的に処理可能であり、この目的のために、大がかりな変換作業および変換手段を必要としない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この目的のために、担体上に取り付けた電子部品を処理するための、担体上に係合するために共作用する少なくとも二つの係合要素からなる装置を提供する。これらの係合要素は、係合する担体の寸法に応じて、調節可能な状態で相対定位に配置可能である。この場合、係合要素には、相対定位を定める基準手段との共作用のための、少なくとも一つの基準位置が設けられている。係合要素の設定相対定位を固定するために、係合要素には、固定手段が設けられることが好ましい。変位可能な係合要素は、特定な寸法を持つ製品(電子部品を載せた担体)を処理するのに適切に、装置を設定することを可能にする。結局、単一の担体上に係合するときに共作用する二つ、または二つ以上の係合手段を、相互共作用で、係合すべき製品の寸法に適応させなければならない。この場合の基準手段は、確定製品に対して必要な調整の寸法を定める。係合手段の単純な、迅速な、そして信頼可能な製品関連調整の利点に加えて、これは、さらに、製品に関連して交換が必要なパーツの数をかなり減少させる。また、コストの面でも利点があり、ロジスティックスを単純化し、および/あるいは装置の稼働コストを減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
特定の好適実施例では、装置には、また、電子部品を持つ担体を処理するための、交換可能な処理要素が設けられる。そして処理要素には、統合基準手段が設けられる。そのような処理要素は、例えば、モールディング・モジュール、切断モジュール、切断プレート、パンチ・プレート、変形モジュールまたは製品ホルダからなる。種々の製品を処理することが可能な装置には、通常、また、交換して装置と共に使用可能な処理要素を備えている。通常の状態においては、装置の変換中に、処理要素は置換されていなければならないため、製品に関する寸法を持つ装置の他の構成要素の調整のために、処理要素が同時に寸法を定める(すなわち、基準手段を形成する)と、さらに有利である。したがって、製品関連の処理要素の(いずれにしろ、既に必要な)位置決めと一緒に、係合要素も、関連する相対定位へ同時に配置できる。作業負担を減少させることに加えて、これは、さらに、設定が、誤った組み合わせになる機会が少ないという利点を持つ。装置は、通常、フレームからなり、それに対して、係合要素は変位可能であり、また処理要素も変位可能である。しかし、ここで注目すべきことは、他方で、また、分離した基準手段を使用することを選択することも可能であることである。
【0006】
装置の、もう一つの好ましい変形例では、フレームに対する第一の係合要素の変位によって、少なくとも第二の係合要素の強制的変位が生じるように、係合要素はフレームに結合される。これは、例えば、複数の係合要素を、ロッドのシステム(ロッド・アセンブリ)を介して組み付けることによって実現できる。この好適実施例の利点は、単一の(第一の)係合要素の変位が、それに同期する、一つ以上の(第二の)係合要素の変位を引き起こすことである。この場合、この目的のために特に注意を払う必要はない、また、第二の係合要素の調整(定位の確定)のために基準手段を必要としない。
【0007】
係合要素は、コンベヤの構成要素、例えば、ガイド経路の両側面によって形成することができる。もう一つの可能性は、係合要素を、供給容器の構成要素、例えば、供給チューブの二つ以上の壁部分によって形成することである。
【0008】
基準位置は、例えば、ストップ面、基準ピン、基準開口または、そのような要素の組み合わせによって形成できる。係合要素の正確な位置決めのためには、基準手段と係合要素との間に、正確な(再生可能な)接触を実現できることが必要である。正確さを向上させるためには、この目的のために、必須ではないが、係合要素と基準手段との間に嵌合共作用を適用するのが有利である。
【0009】
本発明は、また、担体上に取り付けた電子部品を処理するための、前述のように装置に取り換えて結合可能な処理要素を提供する。この場合、処理要素には、統合基準手段が設けられる。例えば、そのような型半体、切削工具または変形要素の利点は、本発明による装置を参照して、先に既に説明した。しかし、注目すべきは、状態に応じて、例えば、基準板、基準ピン、その他の、分離基準手段の使用を選択することも可能であることである。
【0010】
本発明は、さらに、先に述べたような、担体上に取り付けた電子部品を処理するための装置の製品関連調整のための方法を提供する。この方法は、次の処理ステップからなる。A)装置の確定調整のために必要な基準手段を選択するステップ。そしてB)係合要素の位置が基準手段によって確定されるまで、製品のための係合要素を変位させるステップ。製品を処理するための装置は、製品を、例えば、輸送、変形、成形、切断する装置を意味すると理解すべきである。しかし、製品を在庫として保持することも可能な装置も含む。本発明による方法によって、そのような装置の製品関連調整は、非常に単純、迅速になる。しかも、装置の改造に必要な技術は、これまでよりも低度である。これは、従来の技術による方法に比べ、コストが低く、エラーの可能性も少ない。
【0011】
処理ステップA)による基準手段の選択が、統合基準手段を持つ、電子部品を載せた担体を処理するための交換可能な処理要素を選択することによる場合は、さらに転換作業の簡略化を実現できる。本発明による方法の、この好ましい応用では、処理要素の(必要な)転換が、追加の操作なしで直接的に、係合要素の転換を引き起こす。この場合、少なくとも二つの共作用する係合要素の相対位置は、処理ステップB)中、同時に調節される。
【0012】
処理ステップB)によって、少なくとも一つの係合要素を変位させた後、その後の処理ステップC)において、係合要素の正確な位置が変化することを防止するために、変位係合要素の位置を固定できる。
【0013】
本発明を、以下の図面に示す多数の非限定的で模範的な実施例に基づいて、さらに説明する。
【0014】
図1は、リード・フレーム上に取り付けた半導体を処理するための装置1の一部を示す。装置1内には、ツール2が設置されつつある。この設置のために、装置1には、他の構成要素に加えて、装置1内に正確にツール2を配置可能なガイド3が設けられている。また、リードフレームをツール2へ供給して、そしてツール2から取り去るために係合可能な輸送ホイール4、5、6が示されている。二つの共作用するホイール4間の相互距離は、輸送すべきリード・フレームの寸法に応じて調節しなければならない。本発明によれば、ツール2には、基準ピン7、8(基準手段)が設けられており、これらは、装置内へのツール2の設置が完了したときに、各々のホイール4、5を支持するホイール・キャリヤ9、10と共作用する。この場合、ホイール・キャリヤ9には、基準ピン8がホイール・キャリヤ10に係合することが可能なように、基準ピン8が通過するための開口11が設けられている。装置1内にツール2が完全に設置されると、基準ピン7は、図中一番手前のホイール・キャリヤ7に係合する。基準ピン7、8がホイール・キャリヤ9、10に係合すると、これら後者は、それらの定位がツール2に対応する位置への付勢に対抗するように強いられる。これを、図2を参照して、さらに説明する。
【0015】
図2も、付勢に対抗して、ガイド・バー12上を、基準ピン7、8によってホイール・キャリヤ9、10を後方へ駆りたてるツール2を示す。ここに明確に示すように、基準ピン7が手前のホイール・キャリヤ9の最終位置を決定し、他の基準ピン8が後側のホイール・キャリヤ10の最終位置を決定する。したがって、基準ピン7、8は、ホイール・キャリヤ9、10が配置される位置を決定する。明白であるが、ホイール・キャリヤ9、10の位置は、リード・フレームに係合する輸送ホイール4、5の相互距離および位置に直接関係する。また、この図から分かることは、開口11は、図示の状況において後側ホイール・キャリヤ10に係合する基準ピン8の通過を可能にするよう、手前のホイール・キャリヤ9に設けられている。
【0016】
最後に、図3は、半導体を載せたリード・フレームのための供給容器20を示す。この場合、2枚の対向する、直立した側壁21、22の位置は、基準板23によって決定される。この目的のために、基準板23には、特定な寸法設計が用いられている。この寸法設計は、側壁21、22の相互位置の調整における基準寸法として機能する、特に接触面24および/あるいは基準板23の開口25によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による装置の一部を示す斜視図であり、装置からツールを部分的に取り出している。
【図2】図1に示す装置の詳細を表す斜視図である。
【図3】リード・フレームのための供給容器を示す斜視図であり、その収容空間は、同様に示す基準板によって調節することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体上に取り付けた電子部品を処理するための装置であって、担体上に係合するために共作用する少なくとも二つの係合要素からなり、前記係合要素が、係合するための担体の寸法に応じて、調節可能な状態で相対的な定位で配置可能であり、前記係合要素には、相対的な定位を定める基準手段との共作用のための、少なくとも一つの基準位置が設けられている、装置。
【請求項2】
前記係合要素には、前記係合要素の設定相対定位を固定するための固定手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置には、また、電子部品を持つ担体を処理するための、交換可能な処理要素が設けられており、前記処理要素には、統合基準手段が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、また、前記係合要素を相対的に変位可能なフレームからなることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記係合要素が、前記フレームに対する第一の係合要素の変位によって、少なくとも第二の係合要素の強制的変位が生じるように前記フレームに結合されていることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記係合要素が、コンベヤの構成要素によって形成されていることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記係合要素が、供給容器の構成要素によって形成されていることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記基準位置が、ストップ面によって形成されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記基準位置が、基準ピンによって形成されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記基準位置が、基準開口によって形成されることを特徴とする、前述の請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
担体上に取り付けた電子部品を処理するための処理要素であって、前記処理要素が、前述の請求項のいずれかに記載の装置に交換可能に結合可能であり、前記処理要素には、統合基準手段が設けられている、処理要素。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の、担体上に取り付けた電子部品を処理するための装置の製品関連調整のための方法であって、
A)前記装置の確定調整に必要な基準手段を選択する処理ステップ、そして
B)製品に対して係合要素を変位させ、前記係合要素の位置を前記基準手段によって確定する処理ステップからなる、方法。
【請求項13】
処理ステップA)による前記基準手段の選択が、統合基準手段を持つ、電子部品を載せた前記担体を処理するための交換可能な処理要素を選択することによって行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも二つの共作用する係合要素の相対位置が、処理ステップB)の間に調節されることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
処理ステップB)によって、少なくとも一つの係合要素を変位させた後、その後の処理ステップC)において、前記変位係合要素の位置を固定することを特徴とする、請求項12から14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−512206(P2007−512206A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541059(P2006−541059)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000798
【国際公開番号】WO2005/060327
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(500015836)フィーコ ビー.ブイ. (11)
【Fターム(参考)】