説明

電子部品用の封入剤

百万重量部当たり約150〜約1,000重量部(ppm)の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされた架橋エチレン共重合体を含む組成物で封入された電子部品を含む電子デバイス、およびその電子デバイスの製造。好ましい一電子デバイスは、電子部品が光電池を含み、そして組成物が透明な組成物である太陽光電池モジュールである。加えて、百万重量部当たり約150〜500重量部(ppm)未満の脂肪酸アミドの共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む組成物。さらに、透明ガラスの少なくとも1つの層と、百万重量部当たり約150〜1,000重量部の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む透明な組成物の少なくとも1つの層とを含む透明ラミネート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に援用される、2006年3月21日出願の米国特許出願第11/386,143号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、太陽電池モジュール、および太陽光電池を中に封入するためのエチレン共重合体封入剤の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
電子部品はしばしば保護のために封入される。例えば、太陽電池モジュール(ソーラーパネルまたはモジュールとしても知られる)は典型的には、湿気および衝撃からの保護のために水密モジュールへ封入された太陽光電池(すなわち、半導体)を含む。多くのモジュールの主な構成要素は、ガラスグレイジングと、架橋エチレン共重合体封入剤と、シリコンウェーハおよび関連配線と、保護バックシートとである。薄膜表面層を含有する可撓性モジュールはまた入手可能であり、フルオロポリマーフィルム、例えばテドラー(Tedlar)(登録商標)およびテフゼル(Tefzel)(登録商標)フィルム(デュポン(DuPont))、または二軸延伸ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))フィルムなどの、薄い透明ポリマーフィルムと、架橋エチレン共重合体封入剤と、シリコンウェーハおよび関連配線と、可撓性保護バックシートとを含む。デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company、Wilmington,DE)(デュポン)からエルバックス(ELVAX)(登録商標)として入手可能な、エチレン−酢酸ビニル(EVA)は、太陽光電池を封入するために使用されるエチレン共重合体の一例であり、それが優れた光学的品質を有し、加工するのが容易であり、かつ、熱および機械的安定性をはじめとする優れた物理的特性を有するので普通に選択される。例えば、米国特許第4,499,658号明細書、同第5,380,371号明細書、同第6,093,757号明細書、および欧州特許第1 164 167号明細書を参照されたい。当業者は、次の特性:高い透明性、良好な耐候性、高い熱安定性、および比較的低い弾性率で高い機械的強度を有する封入用のEVAを所有することを望むであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、百万重量部当たり約150〜約1,000重量部(ppm)の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされた架橋エチレン共重合体を含む組成物で封入された電子部品を含む電子デバイスに関する。
【0005】
好ましくは電子デバイスは、電子部品が光電池(例えば、光起電性シリコンウェーハ)を含む太陽光電池モジュールである。
【0006】
好ましくは太陽光電池モジュールは、ガラスグレイジングと、本組成物で封入されたシリコンウェーハおよび関連配線と、保護バックシートとを含む。
【0007】
別の好ましい実施形態は、薄い透明な可撓性ポリマーフィルムと、本組成物で封入された光電池(例えば、シリコンウェーハ)および関連配線と、可撓性保護バックシートとを含む、可撓性太陽光電池モジュールに関する。
【0008】
好ましくは電子デバイスは、電子部品が、透明カバー層、透明層の反対側上のバックシート、透明カバー層とバックシートとの間に配置され、かつそれぞれ本組成物を含む第1および第2シート、ならびに第1支持シートと第2支持シートとの間に配置された電気的に相互接続された光電池のアレイを含むラミネートから製造された光電池を含む太陽光電池モジュールである。
【0009】
本発明はまた、百万重量部当たり約150〜500重量部(ppm)未満の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む組成物に関する。好ましくは本組成物は透明な組成物である。好ましくは本組成物は490ppm以下、最も好ましくは450ppm以下の脂肪酸アミドを含有する。好ましくは本組成物は少なくとも約200ppmの脂肪酸アミドを含有する。
【0010】
本発明は、透明硬質または可撓性シート、好ましくはガラスまたはハードコート、最も好ましくはガラスの少なくとも1つの層と、百万重量部当たり約150〜約1,000重量部(ppm)の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む透明な組成物の少なくとも1つの層とを含む透明ラミネートにさらに関する。好ましくは本組成物は透明な組成物である。
【0011】
好ましくは本組成物は透明な組成物である。好ましくは本組成物は、500ppm未満、より好ましくは490ppm以下、最も好ましくは450ppm以下の脂肪酸アミドを含有する。
【0012】
好ましくは本組成物は、少なくとも約200ppmの脂肪酸アミドを含有する。
【0013】
脂肪酸アミドは好ましくは、オレフィン系ビスオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、およびそれらの混合物からなる群から、より好ましくはオレフィン系ビスオレイン酸アミドおよびそれらの混合物からなる群から選択される。さらにより好ましくは脂肪酸アミドは、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジエルシル(dierucyl)アジピン酸アミド、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0014】
好ましくは本組成物は、約20以下のヘイズ値を有する。
【0015】
好ましくは本組成物は、少なくとも約25℃の粘着温度を有する。
【0016】
好ましくは本組成物は、脂肪酸アミドなしで調製された同じ組成物より10%未満高いヘイズ値を有する。
【0017】
好ましい一実施形態では、本エチレン共重合体はエチレン酢酸ビニル共重合体である。別の好ましい実施形態では、本エチレン共重合体は、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体からなる群から選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
全ての出版物、特許出願、特許、およびそれらに言及される他の参考文献は、全体を参照により援用される。特に明記しない限り、本明細書に用いられる全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。不一致のケースでは、定義をはじめとする、本明細書が支配するであろう。
【0019】
明確に言及される場合を除き、商品名は大文字で示される。
【0020】
本明細書に記載されるものと類似のまたは同等の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は本明細書に記載される。
【0021】
特に明記しない限り、全ての百分率、部、比などは重量基準である。
【0022】
量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが範囲か、好ましい範囲か好ましい上限値と好ましい下限値とのリストかのどれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上方の範囲限界または好ましい値と任意の下方の範囲限界または好ましい値との任意のペアから形成される全ての範囲を具体的に開示するとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙される場合、特に明記しない限り、該範囲は、それの終点、および該範囲内の全ての整数および分数を包含することを意図される。本発明の範囲が範囲を画定するときに列挙される具体的な値に限定されることは意図されない。
【0023】
用語「約」がある値または範囲の終点を記載するのに用いられるとき、本開示は、言及される具体的な値または終点を包含すると理解されるべきである。
【0024】
本明細書で用いるところでは、用語「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「はじめとする」、「含有する」、「で特徴づけられる」、「有する」、「有している」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にはリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を包含してもよい。さらに、その反対を明記されない限り、「または」は、包含的またはを意味し、排他的またはを意味しない。例えば、条件AまたはBは、次のうちのどれか1つによって満たされる:Aは真実であり(または存在し)、Bは誤りである(または存在しない)、Aは誤りであり(または存在せず)、Bは真実である(または存在する)、そしてAおよびBの両方とも真実である(または存在する)。
【0025】
「ア(a)」または「アン(an)」の使用は、本発明の要素および成分を記載するために用いられる。これは便宜上、および本発明の一般的な意味を与えるために行われるに過ぎない。この説明は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、単数形はまた、それが違ったふうに意図されることが明らかでない限り複数形を包含する。
【0026】
本発明を記載するおよび/または特許請求する際に、用語「共重合体」は、2種以上のモノマーを含有するポリマーに言及するために用いられる。用語「ターポリマー」および/または「ターモノマー」の使用は、共重合体が少なくとも3種の異なるコモノマーを有することを意味する。
【0027】
ある種のポリマーを記載する際に、時々出願者がそれらを製造するために使用されたモノマーまたはそれらを製造するために使用されたモノマーの量によってポリマーに言及していることが理解されるべきである。かかる記載は、最終ポリマーを記載するために用いられる具体的な命名を包含しなくてもよいか、または生成物−バイ−プロセス専門用語を含有しなくてもよいが、モノマーおよび量への任意のかかる言及は、該ポリマーがそれらのモノマーまたは該モノマーの当該量から製造され、そして相当するポリマーおよびそれらの組成物がそれらから製造されることを意味すると解釈されるべきである。
【0028】
本明細書での材料、方法、および実施例は例示的であるに過ぎず、具体的に述べられる場合を除いて、限定的であることを意図されない。
【0029】
本組成物は、百万重量部当たり約150〜重量部(ppm)の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む。好ましくはそれらは、少なくとも約175ppm、より好ましくは少なくとも約200ppmの脂肪酸アミドを含有する。好ましくはそれらは、500部未満、より好ましくは490ppm以下、最も好ましくは約450ppm以下の脂肪酸アミドを含有する。これらの組成物は、文献に記載された一般タイプのものであり、米国特許第4,510,281号明細書、米国特許第6,528,174 B1号明細書、および米国特許出願公開第2005/0065250 A1号明細書などの、文献に記載された一般技法によって調製することができる。
【0030】
本発明で有用なエチレン共重合体は周知である。2、3の好ましい共重合体は以下に記載される。
【0031】
エチレン共重合体の好ましい一クラスはエチレン酢酸ビニル共重合体である。
【0032】
エチレン酢酸ビニル共重合体の好ましい一クラスは、エチレンと酢酸ビニルとからの繰り返し単位を主として含む。好ましくはエチレンの量は、共重合体の重量に基づいて、少なくとも約45重量パーセントである。好ましくはエチレンの量は、共重合体の重量に基づいて、約82重量パーセント以下である。好ましくは酢酸ビニルの量は、共重合体の重量に基づいて、少なくとも約18重量パーセントである。好ましくは酢酸ビニルの量は、共重合体の重量に基づいて、約55重量パーセント以下である。
【0033】
エチレン酢酸ビニル共重合体の別の好ましいクラスは、エチレン、酢酸ビニルおよび一酸化炭素から主として製造されたターポリマーである。好ましくはエチレンの量は、共重合体の重量に基づいて、少なくとも約48重量パーセントである。好ましくはエチレンの量は、共重合体の重量に基づいて、約77重量パーセント以下である。好ましくは酢酸ビニルの量は、共重合体の重量に基づいて、少なくとも約20重量パーセントである。好ましくは酢酸ビニルの量は、共重合体の重量に基づいて、約40重量パーセント以下である。好ましくは一酸化炭素の量は、共重合体の重量に基づいて、少なくとも約3重量パーセントである。好ましくは一酸化炭素の量は、共重合体の重量に基づいて、約12重量パーセント以下である。
【0034】
エチレン共重合体の別の好ましいクラスには、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレンとメチルアクリレート、エチルアクリレート、またはn−ブチルアクリレートとの好ましい共重合体が包まれる。好ましくはエチレンの量は、共重合体の重量に基づいて、少なくとも50重量パーセントである。好ましくはエチレンの量は、共重合体の重量に基づいて、約75重量パーセント以下である。(メタ)アクリレートの量は好ましくは、共重合体の重量に基づいて、少なくとも25重量パーセント、好ましくは約50重量パーセント以下である。
【0035】
本発明で有用なエチレン共重合体には、グレード名称210、220、250/3180、260/3175、3185、3185/150/PV1400、240、PV1410で販売されるものをはじめとする、商標エルバックスでデュポンによって販売されるもの、ならびにグレード名称1330AC、3135ACおよび3427ACで販売されるものをはじめとする、商標エルバロイ(ELVALOY)で販売されるものとが包まれる。
【0036】
本発明の組成物は脂肪酸アミドを含む。好ましい脂肪酸アミドは、オレフィン系ビスオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、およびそれらの混合物から選択される。
【0037】
脂肪酸アミドの好ましい一グループは、オレフィン系ビスオレアミドである。オレフィン系ビスオレアミドは一般に、式:
R−C(O)−NHCH2CH2NHC(O)−R
(式中、RはC4〜C25飽和または不飽和炭化水素部分から選択される)
の化合物から選択される。最も好ましいオレフィン系ビスオレアミドは、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、およびN,N’−ジエルシルアジピン酸アミドからなる群から選択される。N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド(最も好ましい添加剤)は、名称「アドバワックス(Advawax)」240でローム・アンド・ハース(ペンシルバニア州フィラデルフィア)(Rohm and Haas(Philadelphia,PA))から、名称「ケマミド(Kemamide)」W−20でケムツラ(コネチカット州ミッデルバリー)(Chemtura(Middelbury,CT))から、および名称「グリコルーベ(Glycolube)」VLでロンザ(スイス国)(Lonza(Switzerland))から商業的に入手可能である。
【0038】
本発明の組成物が当該技術内で公知の添加剤と共に使用できることは理解される。それらには、例えば、可塑剤、加工助剤、流動促進添加剤、滑剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃性改良剤、結晶化度を高めるための核剤、シリカなどのブロッキング防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマーなどが含まれ得る。例えば、典型的な着色剤には、黄変を減らすための青味剤が含まれてもよく、着色剤はラミネートを着色するまたは太陽光をコントロールするために添加されてもよい。
【0039】
本発明の組成物は有効量の熱安定剤を組み込んでもよい。熱安定剤は当該技術内で十分に開示されている。いかなる公知の熱安定剤も本発明内で実用性を見いだすであろう。好ましい一般クラスの熱安定剤には、フェノール系酸化防止剤、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノン、アルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アミニック酸化防止剤、アリールアミン、ジアリールアミン、ポリアリールアミン、アクリルアミノフェノール、オキサミド、金属失活剤、ホスファイト、ホスホナイト、ベンジルホスホネート、アスコルビン酸(ビタミンC)、過酸化物を破壊する化合物、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオ相乗剤、ベンゾフラノン、インドリノンなど、およびそれらの混合物が含まれる。これは限定的と考えられるべきではない。当該技術内で公知の本質的にいかなる熱安定剤も本発明内で実用性を見いだすであろう。本発明の組成物は好ましくは、組成物の総重量を基準として、約0〜約10重量パーセントの熱安定剤を組み込む。より好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、約0〜約5重量パーセントの熱安定剤を組み込む。最も好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、約0〜約1重量パーセントの熱安定剤を組み込む。
【0040】
本発明の組成物は、有効量のUV吸収剤を組み込んでもよい。UV吸収剤は当該技術内で十分に開示されている。いかなる公知のUV吸収剤も本発明内で実用性を見いだすであろう。好ましい一般クラスのUV吸収剤には、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、置換および非置換安息香酸のエステルなどならびにそれらの混合物が含まれる。これは限定的と考えられるべきではない。当該技術内で公知の本質的にいかなるUV吸収剤も本発明内で実用性を見いだすであろう。本発明の組成物は好ましくは、組成物の総重量を基準として、約0〜約10重量パーセントのUV吸収剤を組み込む。より好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、約0〜約5重量パーセントのUV吸収剤を組み込む。最も好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、約0〜約1重量パーセントのUV吸収剤を組み込む。
【0041】
本発明の組成物は、有効量のヒンダードアミン光安定剤(HALS)を組み込んでもよい。ヒンダードアミン光安定剤(HALS)は一般に、当該技術内で十分に開示されている。一般に、ヒンダードアミン光安定剤は、アミン官能に隣接した炭素原子上への脂肪族置換から一般に誘導される、立体障害をさらに組み込む第二級、第三級の、アセチル化された、N−ヒドロカルビルオキシ置換、ヒドロキシ置換、N−ヒドロカルビルオキシ置換、または他の置換環式アミンであると開示される。これは限定的と考えられるべきではなく、当該技術内で公知の本質的にいかなるヒンダードアミン光安定剤も本発明内で実用性を見いだすかもしれない。本発明の組成物は好ましくは、組成物の総重量を基準として、約0〜約10重量パーセントのヒンダードアミン光安定剤を組み込む。より好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、約0〜約5重量パーセントのヒンダードアミン光安定剤を組み込む。最も好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、約0〜約1重量パーセントのヒンダードアミン光安定剤を組み込む。
【0042】
いかなる公知の可塑剤も本組成物で使用されてもよい。可塑剤の例には、例えば、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジヘキシル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、セバシン酸ブチル、テトラエチレングリコールヘプタノエート、トリエチレングリコールジペラルゴナートなど、およびそれらの混合物などの、多塩基酸エステルおよび多価アルコールエステルが挙げられる、一般に、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)樹脂組成物内の可塑剤レベルは、全組成物の重量を基準として約5重量パーセントを超えない。
【0043】
本組成物は好ましくは有機過酸化物を組み込む。好ましくは、有機過酸化物は、10時間の半減期にて約70℃以上の熱分解温度を有する。
【0044】
好ましくは、有機過酸化物は約100℃以上の熱分解温度を有する。適切な有機過酸化物の選択は、シート形成温度、組成物の調製方法、硬化(結合)温度、接合されるべき物体の耐熱性、貯蔵安定性などを考慮して、当業者によって行われてもよい。好ましい有機過酸化物の具体的な例には、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3−ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセテート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスペルオキシベンゾエート、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、ヒドロキシヘプチルペルオキシド、クロロヘキサノンペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、クミルペルオキシオクタノエート、コハク酸ペルオキシド、アセチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレートおよび2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシドなど、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、有機過酸化物レベルは、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)樹脂組成物の総重量を基準として、約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの範囲内である。
【0045】
あるいはまた、本組成物は光によって硬化させられてもよい。この場合には、有機過酸化物は、光開始剤または光増感剤と置き換えられてもよい。好ましくは、光開始剤のレベルは、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)樹脂組成物の総重量を基準として、約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの範囲内である。好ましい光開始剤の具体的な例には、例えば、ベンゾイン、ベンゾフェノン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、5−ニトロアセナフテン、ヘキサクロロシクロベンタジエン、p−ニトロジフェニル、p−ニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン、1,2−ベンゾアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアントロンなど、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0046】
本組成物はまた、接着強度を高めるためにシランカップリング剤を組み込んでもよい。好ましいシランカップリング剤の具体的な例には、例えば、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなど、およびそれらの混合物が挙げられてもよい。これらのシランカップリング剤物質は好ましくは、組成物の総重量を基準として、約5重量パーセント以下のレベルで使用される。これらのシランカップリング剤物質はより好ましくは、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)樹脂組成物の総重量を基準として、約0.001重量パーセント〜約5重量パーセント、より好ましくは約0.1重量パーセント〜約1重量パーセントの範囲内のレベルで使用される。
【0047】
本発明の組成物は任意の従来技法によって調製することができる。例えば、それらは、米国特許第4,510,281号明細書、米国特許第6,528,174 B1号明細書、および米国特許出願公開第2005/0065250 A1号明細書などの文献に記載されている一般技法によって調製することができる。米国特許第6,528,174 B1号明細書に従って、脂肪酸アミドは、その溶融温度より下で乾燥粉末として、または同じもしくは任意の相溶性ポリマー中のコンセントレートとして、溶融体状態のエチレン共重合体に加えることができる。脂肪酸アミドはエチレン共重合体と十分にブレンドされる。別の好ましい実施形態では、エチレン共重合体と、組成物に基づいて、約5〜15重量パーセント(好ましくは約10重量%)の脂肪酸アミドをエチレン共重合体中に含むマスターバッチとは別々に準備され、溶融体として一緒に加えられる。
【0048】
本組成物は好ましくは、脂肪酸アミドなしで調製された同じ組成物より10%未満高いヘイズ値を有する。
【0049】
本発明の組成物は好ましくは、以下に記載される測定技法を用いて約20以下のヘイズ値を有する。ヘイズ値はできる限り低いものであるべきであり、薄膜では0ほどに低いものであることができる。より厚いフィルムでヘイズ値は典型的には約5〜20、好ましくは約15以下であろう。
【0050】
本組成物は好ましくは少なくとも約25℃の粘着温度を有する。約50℃以上の粘着温度は、本発明の組成物の幾つかを使用して達成することができる。
【0051】
電子部品はしばしば保護のために封入され、本発明の組成物は、多くの技法を用いてそれらを封入するために使用することができる。
【0052】
本発明の太陽電池モジュール(ソーラーパネルまたはモジュールとしても知られる)は、本発明の組成物で封入された太陽光電池(すなわち、半導体)を含む。本モジュールは好ましくは水密性である。
【0053】
本発明の好ましいモジュールの主要構成要素は、透明なグレイジングまたは入射層、好ましくはガラスと、封入剤と、シリコンウェーハおよび関連配線と、保護バックシートまたはバッキングとである。他の構成要素を含めることができる。
【0054】
代わりの実施形態では、本発明は薄膜表面層を含有する可撓性モジュールに関する。それらは、フルオロポリマーフィルム、例えば、テドラー(登録商標)およびテフゼル(登録商標)フィルム(デュポン)、または二軸延伸ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))フィルム(好ましくはフルオロポリマーもしくはポリエステルフィルムを含む)などの、薄い透明ポリマーフィルムと、架橋エチレン共重合体封入剤と、シリコンウェーハおよび関連配線と、可撓性保護バックシートとを含む。他の構成要素を含めることができる。
【0055】
好ましい一実施形態では、太陽電池モジュールは、シートもしくはフィルムの形態で提供される封入剤から構成される。1つ以上、好ましくは2つもしくは3つのかかるシートまたはフィルムを使用することができる。本実施形態の好ましいバージョンによれば、次の部品が最上部、または入射層(すなわち、入射光によって最初に接触される層)から出発してバッキング(入射層から最も遠くに離れた層)に続く:(1)入射層/(2)封入剤層/(3)電圧発生層/(4)第2封入剤層/(5)バッキング。入射層、封入剤、電池の「ストリング」、封入剤からなる上記構造は、封入剤を電池の周りに流れさせ、そして入射層、電池およびバッキング層に接合させるために加熱され、必要ならば封入剤の架橋を達成するためにさらに加熱される。好ましくは生じた「ラミネート」は次に、好ましくは銅リボンを用いて、エッジおよびエンド周りをシールされ、硬質異形材(典型的には押出アルミニウム)を用いて骨組みを作られる。電気接続がモジュールを完成するために追加される。
【0056】
封入(封入剤)層は、脆い結晶シリコン電池を封入し、保護するようにデザインされる。好ましい実施形態では、封入剤層は、電圧発生層の周りにサンドイッチされた2つのポリマー層を含む。2つの封入剤層は、同じ材料または異なる別個の材料であることができる。しかしながら、少なくとも第1封入剤層の光学的特性は、光を電圧発生層へ効果的に透過することができるようなものでなければならない。従って、第1層は好ましくは本発明の組成物である。加えて、任意の他の封入層も好ましくは本発明の組成物である。
【0057】
入射層の機能は、日光を電池モジュール中へ入れるであろう透明な保護窓を提供することである。入射層は典型的には、ガラス板または、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、もしくはフルオロポリマー(例えば、エチレン−テトラフルオロエチレン(例えばテフゼル、ETFE(デュポン)、またはテドラー(登録商標)(デュポン))などの、透明な有機ポリマーである。それは、日光を通し、そして意図される環境向けの好適な透明性および物理的特性を提供する任意の材料であることができる。ガラスが多くの用途に好適である。
【0058】
多くのタイプの太陽光電池(すなわち、半導体)を本発明の組成物で封入することができる。それらには、(1)単結晶シリコン太陽電池、(2)多結晶シリコン太陽電池、(3)非晶質シリコンベース太陽電池、(4)セレン化銅インジウム太陽電池、(5)化合物半導体太陽電池、および(6)色素増感太陽電池と呼ばれるものなどの、光を電気エネルギーに変換することができる任意の物品が含まれる。結晶シリコン電池のケースでは、電圧発生層は典型的には結晶シリコン電池の「ストリング」である。「ストリング」は、1電地の陽極が導体、一般にはんだ付けで電池に取り付けられた銅リボンによって電気的におよび機械的に次の電池の陰極に接続されている、直列に接続された電池のセットからなる。電池は一般に、陰極および陽極を反対面上に配置されるが、幾つかのデザインは、陽極および陰極を両方とも太陽の反対側に置かれる(「裏面接触電池」)。電極の両セットを同じ面上に有すると、電気接続が簡単になる。
【0059】
太陽電池バッキングは、太陽電池モジュールを環境の有害な影響から保護する機能を果たす。太陽電池バッキングに関する要件は、(1)良好な耐候性(すなわち、気候の影響への耐性)、(2)高い絶縁耐力、(3)低い水蒸気透過率(MVTR)、および(4)機械的強度である。バッキング層はまた、層間剥離を防ぐために、第2封入剤層への良好な接着性を持たなければならない。
【0060】
必要ならば、フィルムおよびシートの一面もしくは両面が、他のラミネート層への接着性を高めるために処理されてもよい。この処理は、接着剤、シランなどのプライマー、米国特許第2,632,921号明細書、同第2,648,097号明細書、同第2,683,894号明細書および同第2,704,382号明細書内に開示されているなどの、火炎処理、米国特許第4,732,814号明細書内に開示されているなどの、プラズマ処理、電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理、溶剤処理など、およびそれらの組み合わせをはじめとする、当該技術内で公知のいかなる形態を取ってもよい。例えば、カーボンの薄層が、米国特許第4,865,711号明細書に開示されているような真空スパッタリングによってポリマーフィルムの一面もしくは両面上に蒸着されてもよい。例えば、米国特許第5,415,942号明細書は、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム用の接着促進プライマーとして役立つかもしれないヒドロキシ−アクリル・ヒドロゾルプライマーコーティングを開示している。
【0061】
太陽電池ラミネートの層のどれも(例えば、ガラスなどの)が、必要ならば、ラミネート層間の接合強度を高めるために接着剤もしくはプライマーの層を有してもよい。接着層は好ましくはコーティングの形態を取る。接着剤/プライマーコーティングは、厚さが約1ミル未満である。好ましくは、接着剤/プライマーコーティングは、厚さが約0.5ミル未満である。より好ましくは、接着剤/プライマーコーティングは、厚さが約0.1ミル未満である。接着剤は、当該技術内で公知の任意の接着剤もしくはプライマーであってもよい。好ましくは、接着剤もしくはプライマーは、アミン官能を組み込むシランである。かかる物質の具体的な例には、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシランなど、およびそれらの混合物が挙げられる。かかる物質の市販例には、例えば、A−1100(登録商標)シラン(γ−アミノプロピルトリメトキシシランであると考えられる、シルクエスト・カンパニー(Silquest Company)製、以前はユニオン・カーバイド・カンパニー(Union Carbide Company)製)およびZ6020(登録商標)シラン(ダウ・カンパニー(Dow Company)製)が挙げられる。
【0062】
接着剤は、溶融プロセスによってまたは溶液、エマルジョン、分散系などの塗装プロセスによって塗布されてもよい。当業者は、コーティング形成のために用いられる組成物およびプロセスに基づいて、適切なプロセスパラメーターを特定することができるであろう。当該技術での任意の方法によってコーティングを製造するための上記プロセス条件およびパラメーターは、任意の所与の組成物および所望の塗布について当業者によって容易に決定される。例えば、接着剤もしくはプライマー組成物は、表面上へキャストする、吹き付ける、エアナイフで塗る、刷毛塗りする、ローラーで付ける、注ぐまたはプリントすることなどができる。一般に接着剤もしくはプライマーは、表面一面への一様な被覆率を与えるために塗布前に液体媒体中へ希釈される。液体媒体は、接着剤もしくはプライマーが溶液を形成するための溶剤としての機能を果たすかもしれないし、または接着剤もしくはプライマーが分散系もしくはエマルジョンを形成するための非溶剤としての機能を果たすかもしれない。接着コーティングはまた、溶融した噴霧接着剤もしくはプライマー組成物を表面上へ吹き付けることによって塗布されてもよい。かかるプロセスは、例えば、米国特許第5,078,313号明細書、同第5,281,446号明細書、および同第5,456,754号明細書にワックスコーティングについて当該技術内で開示されている。
【0063】
ガラス積層製品は、安全性を高めるために、輸送機関または車両用途(例えば自動車、飛行機、列車、ボートなどで、窓、ウィンドシールド、横窓、ライトなどとして)、建築用途(窓、階段、天井、壁、天窓、棚、ディスプレイキャビネット、間仕切りなどをはじめとする、ビルディングおよび他の構造物)などに使用される。典型的にはガラス積層製品は、強度、接着性、または他の特性をラミネートに与える他の層を形成するフィルムもしくはシートに積層されたガラスまたは他の透明硬質材料の少なくとも1つのシートを含有する。本発明は、百万重量部当たり約150〜約1,000重量部の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む組成物のシートもしくはフィルムのかかるラミネートでの層としての使用に関する。
【0064】
硬質シートは、ガラスまたは、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリアクリレート、エチレン・ノルボルネンポリマーなどの環状ポリオレフィン、メタロセン触媒ポリスチレンなど、およびそれらの組み合わせなどの、硬質透明プラスチックシートであってもよい。金属またはセラミック板は、硬質ポリマーシートまたはガラスと置き換えられてもよい。用語「ガラス」は、窓ガラス、板ガラス、ケイ酸塩ガラス、シートガラス、およびフロートガラスを包含するのみならず、色ガラス、例えばソーラーヒーティングを制御するための原料を包含する特殊ガラス、例えば、日照調整目的のための、銀または酸化インジウムスズなどのスパッタード金属での被覆ガラス、Eガラス、トロガラス(Toroglass)、ソレックス(Solex)(登録商標)ガラスなども包含することを意図される。かかる特殊ガラスは、例えば、米国特許第4,615,989号明細書、同第5,173,212号明細書、同第5,264,286号明細書、同第6,150,028号明細書、同第6,340,646号明細書、同第6,461,736号明細書、および同第6,468,934号明細書に開示されている。ある特定のラミネートのために選択されるべきガラスのタイプは、意図される用途に依存する。
【0065】
このように、一実施形態では本発明は、
(a)ガラスまたは他の透明硬質材料、好ましくはガラスのシート、
(b)ラミネートにおける層としての百万重量部当たり約150〜500重量部未満の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む組成物の層
を含むラミネートに関する。
【0066】
上記の実施形態は、勿論、かかるラミネートで有用な他の層だけでなく、ガラスまたは本組成物の追加の層を含有することができる。
【0067】
ガラスまたは他の透明硬質材料のシートは、本組成物のレイに直接または間接積層する(すなわち、接着する)することができる。好ましい実施形態では、それらは互いに接着させられる。別の好ましい実施形態では、それらは、米国特許出願公開第2005−0129954 A1号明細書に記載されているなどの、ポリアリルアミンコーティングでコートされた(好ましくは両面上にコートされた)ポリエステルフィルム(好ましくはポリエチレンテレフタレート)の層によって互いに接着させられる。
【0068】
ガラス・ラミネートは好ましくは、ラミネートの一または両外面上にガラスまたは硬質層を含有する。幾つかのガラス・ラミネートは、外層上に通常ガラス付きの外層の1つ上にポリシロキサン耐摩耗性コーティングなどの、ハードコートを含む。これらのハードコートは、本発明の組成物、他の中間層に、または米国特許出願公開第2005−0129954 A1号明細書に記載されているなどの、ポリアリルアミンコーティングでコートされた(好ましくは両面上にコートされた)ポリエステルフィルムなどの特別層を通して接着させることができる。
【0069】
使用することができる他の典型的なポリマー中間層は、ポリビニルアセタール(好ましくはポリビニルブチラール)、アイオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、エチレン共重合体(本発明のもの以外(例えば、エチレン・ビニルアセタール))、およびエチレン酸共重合体からなる群から選択されたポリマーを含むポリマー層である。(例えば、米国特許出願公開第2005−0129954 A1号明細書を参照されたい。)これらの中間層は、接着添加物、過酸化物添加物、UVまたは熱安定剤パッケージなどのような添加剤を含有することができる。
【0070】
本発明のラミネートは、追加のポリマーフィルムを組み込んでもよい。好ましくは、ポリマーフィルムは透明である。好ましいポリマーフィルム材料には、ポリエステル(好ましくはポリ(エチレンテレフタレート))、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、スチレン−アクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ナイロン、ポリ(ウレタン)、アクリル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セロファン、塩化ビニルポリマー、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどが含まれる。最も好ましくは、ポリマーフィルムは、二軸延伸ポリエステル、さらにより好ましくは二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムである。
【0071】
ポリマーフィルムの厚さは決定的に重要であるわけではなく、特定の用途に依存して変わってもよい。一般に、ポリマーフィルムの厚さは約0.1ミル(0.003mm)〜約10ミル(0.26mm)の範囲であろう。自動車風防向けには、ポリマーフィルム厚さは好ましくは約1ミル(0.025mm)〜約4ミル(0.1mm)の範囲内であってもよい。
【0072】
ガラス・ラミネートの典型的な配置は次の通りである:
ガラス/COMP/ガラス
ガラス/COMP/HC
ガラス/COMP/ADD/HC
ガラス/COMP/INTL(COMPではない)/ガラス
ガラス/COMP/INTL(COMPではない)/HC
ガラス/INTL(COMPではない)/COMP/HC
ガラス/COMP/INTL(COMPではない)/ADD/HC
ガラス/INTL(COMPではない)/COMP/ADD/HC
ガラス/COMP/ADD/INTL/HC
ガラス/INTL/ADD/COMP/ADD/HC
ガラス/COMP/ADD/INTL/ADD/HC
ガラス/INTL/ADD/COMP/ADD/HC
ガラス/COMP/ADD/INTL/ADD/INTL/ガラス
ガラス/COMP/ADD/INTL/ADD/INTL/HC
ガラス/COMP/ADD/INTL/ADD/ADD/INTL/ガラス
ガラス/COMP/ADD/INTL/ADD/INTL/HC
ガラス/COMP/ADD/INTL/ADD/ADD/INTL/HC
ガラス/INTL/ADD/INTL/ADD/COMP/HC
ガラス/INTL/ADD/INTL/ADD/COMP/ADD/HC
その他
ここで、
COMP=かかるラミネートにおける層としての百万重量部当たり約150〜500重量部未満の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む組成物の層、
INTL=ポリビニルアセタール(好ましくはポリビニルブチラール)、アイオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、エチレン共重合体(本発明のもの以外(例えば、エチレン酢酸ビニル))、およびエチレン酸共重合体からなる群から選択されたポリマーを含む層、またはCOMPの第2層。好ましくはこの層がCOMPではないとき、それはポリビニルブチラールまたはアイオノプラスト樹脂の層である。
ガラス=ガラスまたはこのタイプのラミネートでガラスの代わりに使用される硬質材料、そして好ましくはガラスである。
ADD=米国特許出願公開第2005−0129954 A1号明細書に記載されているなどの、ポリアリルアミンコーティングでコートされた(好ましくは両面上をコートされた)ポリエステルフィルム(好ましくはポリエチレンテレフタレート)または類似の層、
HC=上記のようなハードコート
その他=ガラス/ADD/INTL/ADD/COMP/ADD/ADD/INTL/HCなど、COMPおよびINTLが交換されている、上記の多層ラミネートに関する他の変形。
【0073】
プロセスまたは積層条件は周知であり、使用される具体的な材料、サイズなどに依存するであろう。
【0074】
下記は、オートクレーブ法による本発明のガラス/COMPシート/ガラス・ラミネートの製造についての具体的な例を記載する。ラミネートは、当該技術内で公知の従来のオートクレーブ法によって形成されてもよい。典型的な方法では、ガラスシート、COMPシートからなる中間層および第2ガラスシートは、空気を除去するために、熱および圧力および真空(例えば、約27〜28インチ(689〜711mm)Hgの範囲での)下に一緒に積層される。好ましくは、ガラスシートは洗浄され、乾燥させられた。典型的なガラスタイプは、厚さが90ミルの焼きなましフラットガラスである。典型的な手順では、本発明の中間層は2つのガラス板の間に置かれてガラス/中間層/ガラス・アセンブリを形成し、該アセンブリを、真空を持続することができるバッグ(「真空バッグ」)中へ入れ、真空ラインまたはバッグを真空に引く他の手段を用いて空気をバッグから抜き出し、真空を維持しながらバッグをシールし、シールされたバッグをオートクレーブ中に約130℃〜約180℃の温度で、約200psi(15バール)の圧力で約10〜約50分間入れる。好ましくはバッグは、約120℃〜約160℃の温度で20分〜約45分間オートクレーブ処理される。より好ましくはバッグは、約135℃〜約160℃の温度で20分〜約40分間オートクレーブ処理される。最も好ましくはバッグは、約145℃〜約155℃の温度で25分〜約35分間オートクレーブ処理される。真空リングが真空バッグと置き換えられてもよい。真空バッグの一タイプは米国特許第3,311,517号明細書内に開示されている。
【0075】
あるいはまた、他の方法が本発明のラミネートを製造するために用いられてもよい。ガラス/中間層/ガラス・アセンブリ内にトラップされたいかなる空気もニップロール法によって除去されてもよい。例えば、ガラス/中間層/ガラス・アセンブリは、オーブン中約80〜約120℃、好ましくは約90〜約100℃で約30分間加熱されてもよい。その後、加熱されたガラス/中間層/ガラス・アセンブリは、ガラスと中間層との間のボイドスペース中の空気が絞り出され、そしてアセンブリのエッジがシールされるようにニップロールのセットに通される。この段階でのアセンブリはプレ−プレスと言われる。
【0076】
プレ−プレス・アセンブリは次に空気オートクレーブ中に入れられてもよく、そこで温度は約120℃〜約160℃、好ましくは約135℃〜約160℃に、そして圧力は約100psig〜約300psig、好ましくは約200psig(14.3バール)に上げられる。これらの条件は約15分〜約1時間、好ましくは約20分〜約50分間維持され、その後、空気は、それ以上の空気をオートクレーブに全く加えられずに冷却される。約20分の冷却後に、過剰の空気圧はガス抜きされ、ラミネートはオートクレーブから取り出される。これは限定的と考えられるべきではない。当該技術内で公知の本質的にいかなる積層法も本発明の中間層で用いられてもよい。
【0077】
上記のように、本発明のラミネートには、場合により、他の硬質シート、他のポリマーシート、他のポリマーフィルムなどの、追加の層が含まれてもよい。
【0078】
本発明のラミネートはまた非オートクレーブ法によって製造されてもよい。かかる非オートクレーブ法は、例えば、米国特許第3,234,062号明細書、同第3,852,136号明細書、同第4,341,576号明細書、同第4,385,951号明細書、同第4,398,979号明細書、同第5,536,347号明細書、同第5,853,516号明細書、同第6,342,116号明細書、同第5,415,909号明細書、米国特許出願公開第2004/0182493号明細書、欧州特許第1 235 683 B1号明細書、国際公開第91/01880号パンフレットおよび同第03/057478 A1号パンフレット内に開示されている。一般に、非オートクレーブ法には、プレ−プレス・アセンブリの加熱および真空、圧力または両方の適用が含まれる。例えば、プレ−プレスは、加熱オーブンおよびニップロールに引き続いて通されてもよい。
【実施例】
【0079】
粘着温度
以下に引用される実施例で粘着温度は、ポリマーペレットが全て、固定条件下でのホールドアップ後1分未満で試験装置から空になる最高温度と定義される。試験手順は米国特許第4,510,281号明細書に記載されている。
【0080】
所与の共重合体の粘着温度はある程度、ペレットのサイズおよび形状に依存するであろう。より小さい非球形のペレットは、より大きい球形のペレットより容易にブロック化する。それ故、各粘着温度測定について対照実験を行うことが重要である。以下の実施例で使用されるペレットは全て、100ペレット当たり1.8〜3.2gの重さがあり、おおよそ球形であった。加えて、粘着温度は、例えば、特定のペレット化技法および装置ならびにその後のハンドリングなどの、他の因子による影響を受ける。こうして、所与のポリマーの市販ペレットの粘着温度は通常、同じポリマーの実験室製造ペレットのそれより高いだろう。
【0081】
ヘイズ
ヘイズは、次の手順を用いて測定する:
(a)試験されるべきポリマーの0.125インチ(3.175mm)厚さサンプルを以下の方法によって調製する。(このサンプルは、モジュールでの使用前のポリマーであることができるか、またはポリマーをモジュールから得ることによって入手することができる。)
(b)ポリマー(任意の形態であることができるが、典型的にはペレットまたはフィルム形態にある)を、190℃の温度に維持される加熱された水圧プレス中に含有される所望の厚さの金型へ入れる。高溶融ポリマー(すなわち、テフロン(登録商標)(Teflon)フィルムなどの、190℃より高い温度で溶融する)のシートを、金型中のペレットを封入するために金型の両面上に置く。
(c)水圧プレスに「最小」圧力をかける。ここで、「最小」は、溶融させられるべきポリマー/ペレットの表面を接触させ、5分間維持することを意味する。
(d)水圧プレス上の圧力を10,000psiに上げ、3分間維持する。
(e)水圧プレス上の圧力を20,000psiに上げ、1分間維持する。
(f)プレスへの熱供給を止め、冷却水をプレス中に循環させることを開始する。
(g)ポリマーを、それが35℃より下の温度にあるまで冷却する。
(h)サンプルは次に、ASTM(米国材料試験協会)D−1003の規定によって温度および相対湿度の制御条件下に老化させられるべきである。サンプルの表面は適度に平滑であり、かつ、ヘイズを測定するために用いられる光ビームが通過する進路中にデブリまたは指紋を含まないべきである。
(i)ヘイズを次にASTM D−1003の方法によって測定することができる。
【0082】
ペレット
実施例で使用するペレットは全て、添加剤を含まない市販のポリマーペレットを再ペレット化することによって実験室で製造した。
【0083】
表1は、32%VA/43MI共重合体についての異なるセットの結果を含有する。このケースでは、結果は、500ppm以下のEBOレベルでのN、N−エチレンビス−オレイン酸アミド(EBO)のレベルで得られた。アミドの濃度が増加するにつれて粘着温度の小さい上昇が見られ、ハンドリングの改善がアミドをポリマーブレンドに加えるとほとんど直ちに見られることを示唆する。さらに、対照と500ppmのEBO状態との間の粘着温度の差は非常に小さいので、定性的流動性の測定を粘着温度測定の代替として構築した。定性的流動性は、移動中に流れるペレットの傾向を観察しながら、ペレットを1容器から他の容器にゆっくり注ぐことによって測定した。低い流動性数では、ペレットはしばしば互いに「のろのろ進む」ように見え、非一様に流れる傾向があり、そして時々、それらが注がれるときに互いに付着するようにさえ見える。高い流動性数では、流れへの抵抗はほとんど見られず、ペレットは、途切れることなくそして一様に1容器から他の容器へ着実に流れる。定性的流動性はまた、アミド含有率の関数として着実な増加を示す。表1で、0の流動性は、ペレットが一緒に粘着することを意味し、5は、それらが自由に流れることを意味する。流動性の著しい増加は200ppmレベルで見られる。
【0084】
加えて、表1は、0〜3,000ppmのEBOのレベルについて3.175mm厚さ(0.125インチ厚さ)であるプラークに関し上記のヘイズ測定技法を用いて得られたヘイズデータを示す。データは、500ppmまでヘイズへのEBOの影響の予期されない欠如を示す。
【0085】
表1

【0086】
本発明によって製造したペレットは、改善されたハンドリングのために十分なブロック改善を与えながら、ヘイズの影響を受けやすい用途に使用することができる。
【0087】
本発明の実施形態の前述の開示は、例示および説明の目的のために提示されてきた。包括的であること、または開示された正確な形態に本発明を限定することは意図されない。本明細書に記載された実施形態の多くの変形および修正は、上記の開示に照らして当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
百万重量部当たり約150〜約1,000重量部(ppm)の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされた架橋エチレン共重合体を含む組成物で封入された電子部品を含む電子デバイス。
【請求項2】
太陽光電池モジュールであって、前記電子部品が光電池を含み、前記組成物が透明な組成物である請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記太陽光電池モジュールが、ガラスグレイジングと、前記組成物で封入されたシリコンウェーハおよび関連配線と、保護バックシートとを含む請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記太陽光電池モジュールが、薄い透明ポリマーフィルムと、可撓性保護バックシートとして、前記組成物で封入された光電池および関連配線とを含む請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項5】
透明カバー層、透明層の反対側上のバックシート、前記透明カバー層と前記バックシートとの間に配置され、かつそれぞれ前記組成物を含む第1および第2シート、ならびに前記第1支持シートと第2支持シートとの間に配置された電気的に相互接続された光電池のアレイを含むラミネートから製造された請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
百万重量部当たり約150〜500重量部(ppm)未満の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む組成物。
【請求項7】
透明ガラスまたは他の硬質透明材料の少なくとも1つの層と、百万重量部当たり約150〜1,000重量部の脂肪酸アミドのエチレン共重合体とブレンドされたエチレン共重合体を含む透明な組成物の少なくとも1つの層とを含む透明ラミネート。
【請求項8】
前記組成物が500ppm未満の脂肪酸アミドを含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項9】
前記組成物が約450ppm以下の脂肪酸アミドを含有する請求項8に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項10】
前記組成物が少なくとも約200ppmの脂肪酸アミドを含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項11】
前記脂肪酸アミドがオレフィン系ビスオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜10のいずれか一項に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項12】
前記脂肪酸アミドがオレフィン系ビスオレイン酸アミドおよびそれらの混合物からなる群から選択される請求項11に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項13】
前記脂肪酸アミドがN,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジエルシルアジピン酸アミド、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項11に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項14】
前記組成物が約20以下のヘイズ値を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項15】
前記組成物が少なくとも約25℃の粘着温度を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項16】
前記エチレン共重合体がエチレン酢酸ビニル共重合体である請求項1〜15のいずれか一項に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。
【請求項17】
前記エチレン共重合体がエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体からなる群から選択される請求項1〜15のいずれか一項に記載の電子デバイス、組成物または透明ラミネート。

【公表番号】特表2009−530859(P2009−530859A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501521(P2009−501521)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/006937
【国際公開番号】WO2007/109283
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】