説明

電子部品

【課題】移動体の移動ストロークを長くできてその電気的出力の分解能を大きくとることができる電子部品を提供すること。
【解決手段】ケース80と、ケース80にスライド移動自在に収納される移動体30と、移動体30のスライド移動によって電気的出力を変化する摺動子40等からなる電気的機能部と、移動体30の上部に揺動自在に設置されるキートップ130と、第1,第2のリンク51,61を連結部71にて回動自在に連結してなる移動体駆動機構50とを具備する。第1のリンク51の一端側をケース80に回動自在に取り付け、第2のリンク61の他端側を移動体30に回動自在に取り付ける。キートップ130に設けた押圧当接部135を当接部75に当接させる。キートップ130を揺動し当接部75を移動させることで移動体30をスライド移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式電子部品の上部に揺動自在にキートップを設置し、このキートップによって前記スライド式電子部品を操作する構造の電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばビデオカメラやデジタルカメラのズーム用の操作部材として、シーソー型電子部品が利用されている。この種のシーソー型電子部品は、たとえば特許文献1の図2に示すように、スライド式電子部品(130)の上部に揺動自在にキートップ(150)を設置し、キートップ(150)を揺動した際に下降した側のキートップ(150)の下面に設けた押圧当接部(157)が移動体(40)に設けた当接部(47)に当接して移動体(40)を一方のスライド移動方向に押圧してスライド移動させ、スライド式電子部品(130)の電気的出力を変化させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−21407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に示すシーソー型電子部品においては、キートップ(150)に設けた押圧当接部(157)によって直接スライド式電子部品(130)の移動体(40)の当接部(47)を押圧する構成なので、キートップ(150)の揺動による上下動移動距離に対して移動体(40)のスライド移動距離(ストローク)をそれほど大きくすることができなかった。移動体(40)のストロークが大きくとれないと、スライド式電子部品(130)の電気的出力の分解能が低下してしまう。この問題はシーソー型電子部品を小型化すればするほど大きくなる。
【0005】
前記移動体(40)のストロークを大きくするには、キートップ(150)の揺動軸(105,153)の高さをスライド式電子部品(130)に対してより高い位置に設置し、これによってキートップ(150)の揺動による上下移動距離を長くするようにすればよい。しかしながらこのように構成するとシーソー型電子部品の高さ寸法(厚み寸法)が大きくなり、シーソー型電子部品の厚みの薄型化が阻害されてしまう。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、キートップの揺動寸法が短くても移動体の移動ストロークを長くできてその電気的出力の分解能を大きくとることができる、小型化に好適な電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、固定側部材と、前記固定側部材に対してスライド移動自在に設置される移動体と、前記移動体のスライド移動によって電気的出力を変化する電気的機能部と、前記移動体の上部に揺動自在に設置されるキートップと、を具備し、第1,第2のリンクを連結部にて回動自在に連結してなる少なくとも1つの移動体駆動機構を有し、この移動体駆動機構の一端側を前記固定側部材に回動自在に取り付け、他端側を前記移動体に回動自在に取り付けるとともに、前記キートップに設けた押圧当接部を前記連結部の部分に設けた当接部に当接させ、キートップを揺動して当接部を移動させることで移動体をスライド移動させることを特徴とする電子部品にある。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子部品であって、前記キートップの押圧当接部は曲線形状に形成されていることを特徴とする電子部品にある。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子部品であって、略リング形状で中央に挿通部を設けるとともに、一対の対向する位置に弾発部を設けてなる弾発手段を具備し、前記弾発手段の挿通部に前記移動体を設置するとともに、前記一対の弾発部を前記キートップの揺動中心軸を挟んだその両側に設けた一対の被弾接部に弾接させることで、前記キートップを中立位置に保持することを特徴とする電子部品にある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、移動体駆動機構の連結部の部分に設けた当接部をキートップの押圧当接部が押圧してこれを下降させる運動を、移動体のスライド移動運動に変換するので、キートップの揺動距離に対して移動体の移動ストロークを長くすることができる。このため電子部品の薄型化のためにキートップの揺動中心軸の位置を低くしてその揺動ストロークを短くしたり、電子部品全体の外形寸法の小型化のためにキートップの外形寸法が小型化されてその揺動ストロークが短くなったりしても、電気的出力の分解能を大きく維持することができ、電子部品の薄型化・小型化に対応できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、キートップがどの揺動位置にあっても、その押圧当接部を常に移動体駆動機構の当接部に当接させておくことができるので、キートップを揺動した際に、両者間が接離することで音が生じたり衝撃が発生したりすることを防止できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、移動体を囲む位置に弾発手段を設置したので、電子部品の厚みを厚くすることなく、キートップを確実に中立位置に弾発・保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】シーソー型電子部品1の斜視図である。
【図2】シーソー型電子部品1の側断面図である。
【図3】シーソー型電子部品1(その上部の部品)の分解斜視図である。
【図4】シーソー型電子部品1(その下部の部品)の分解斜視図である。
【図5】シーソー型電子部品1(その上部の部品)を下側から見た分解斜視図である。
【図6】シーソー型電子部品1(その下部の部品)を下側から見た分解斜視図である。
【図7】移動体駆動機構50の拡大分解斜視図である。
【図8】シーソー型電子部品1の組立途中の状態を示す斜視図である。
【図9】シーソー型電子部品1の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の1実施形態に係る電子部品(以下「シーソー型電子部品」という)1の斜視図、図2はシーソー型電子部品1の側断面図(図1のA−A断面図)、図3はシーソー型電子部品1(その上部の部品)の分解斜視図、図4はシーソー型電子部品1(その下部の部品)の分解斜視図、図5はシーソー型電子部品1(その上部の部品)を下側から見た分解斜視図、図6はシーソー型電子部品1(その下部の部品)を下側から見た分解斜視図である。これらの図に示すようにシーソー型電子部品1は、取付部材(以下「取付板」という)10上に、回路基板(以下「フレキシブル回路基板」という)20と、摺動子40を取り付けた移動体30と、一対の移動体駆動機構50と、ケース80と、弾発手段(以下「弾発バネ」という)110と、キートップ130とを設置して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは移動体30からキートップ130側を見る方向をいい、「下」とはその反対方向をいうものとする。また下記する移動体30がケース80内を移動していく移動方向をスライド移動方向Cといい、水平面上においてスライド移動方向Cに直交する方向を左右方向という。
【0015】
取付板10は硬質板であり、例えば金属板や合成樹脂板によって構成されている。取付板10の所定位置(4か所)には貫通する小孔からなる取付部11が設けられている。
【0016】
フレキシブル回路基板20は可撓性を有する絶縁基板22の表面に一対の摺接パターン23を形成し、その周囲の所定位置(前記各取付部11に対向する4か所の位置)に各取付部11と同一形状の貫通する小孔からなる取付固定部21を形成して構成されている。摺接パターン23は電気的機能部であり、一対の摺接パターン23の内、一方は抵抗体パターン、他方は導電体パターンである。フレキシブル回路基板20上には図示しない回路パターンが配線され、摺接パターン23に接続されている。
【0017】
移動体30は合成樹脂を略矩形平板状に成形し、その下面の摺動子取付面31から一対の取付突起33を突出して構成されている。移動体30の上面の両端近傍位置(スライド移動方向Cを向いてその前後方向の両端近傍位置)には、一対の軸受部35が形成されている。軸受部35はスライド移動方向Cに直交する方向に向かって延びる略半円形の凹溝によって構成されている。
【0018】
摺動子40は弾性金属板を略矩形状に形成してなる摺動子基部41の一辺から一対のアーム部43を突出し、それらの根元部分を180°折り返し、折り返した先端近傍部分を弾接部45として構成されている。摺動子基部41には、一対の取付孔47が設けられている。摺動子40は電気的機能部である。
【0019】
図7は移動体駆動機構50の拡大分解斜視図である。同図に示すように移動体駆動機構50は、第1のリンク51と第2のリンク61とを具備して構成されている。第1のリンク51は合成樹脂の成形品であり、柱状のアーム部53の一端側に左右方向に向かって突出する円柱状の軸部55を設け、他端側に左右方向に向かって開口する円形の軸受部57を設けて構成されている。第2のリンク61は合成樹脂の成形品であり、柱状のアーム部63の一端側に左右方向の内の一方の方向に向かって突出する円柱状の軸部65を設け、他端側に左右方向に向かって突出する円柱状の軸部67を設けて構成されている。つまり軸部55の中心軸と軸受部57の中心軸と軸部65の中心軸と軸部67の中心軸とは平行になっている。軸部55は下記するケース80に設けた軸受部85に回動自在に挿入される寸法に形成されている。軸受部57は軸部65を回動自在にぴったり挿入される寸法に形成されている。軸部67は前記移動体30に設けた軸受部35に回動自在にぴったり挿入される寸法に形成されている。
【0020】
そして第1のリンク51の軸受部57に第2のリンク61の軸部65を回動自在にぴったり挿入することで連結部71を構成し、図4に示すような移動体駆動機構50が構成される。第1,第2のリンク51,61を回動自在に連結した連結部71の部分の凸となっている上部側の部分の外周面は、下記するキートップ130の押圧当接部135が当接する当接部75となっている。
【0021】
ケース80はスライド移動方向Cに向かって長尺な略長方形状のケース本体部81と、ケース本体部81の左右両側辺に連結して設けられる略矩形状のキートップ取付部101とを一体に成形して構成されている。ケース本体部81はその下面に略矩形状に凹む移動体収納部83を有しており、その両端近傍位置にはスライド移動方向Cに直交する方向に向かって延びる半円形凹状の軸受部85が設けられ、さらにケース本体部81の上面中央にはスライド移動方向Cに向かって伸びる直線状の穴からなる挿通部87が同一直線上に一対設けられている。
【0022】
キートップ取付部101は、それらの左右両外周辺の中央付近にキートップ軸支部103を設け、またそれらの下面の外側の角部付近に下方向に向かって突出する一対ずつの小突起状の取付固定部105を設け、さらにそれらの上面に一対ずつの小突起状のバネ取付部107を設けて構成されている。キートップ軸支部103は、キートップ取付部101の上面上にアーチ形状の軸支部109を設けることで、その中央に下記するキートップ130の軸部131を挿入・軸支する軸支孔111を形成して構成されている。各取付固定部105は前記フレキシブル回路基板20の各取付固定部21に対向する位置に設けられ、各バネ取付部107は下記する弾発バネ110の各取付部115に対向する位置に設けられている。
【0023】
弾発バネ110は金属製の弾性板を略長円形のリング形状に形成して構成されており、これによって中央に挿通部111を設けている。弾発バネ110のスライド移動方向Cに沿って180°対向する位置には一対の弾発部113が設けられ、弾発バネ110の左右方向に沿って180°対向する位置には一対ずつの小孔からなる取付部115が設けられている。弾発部113は略矩形状の板部分を上方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲して構成されている。弾発バネ110の取付部115の両側部分は屈曲していてそれより先の部分は上方向に向かって斜めに上昇するアーム部119となっている。
【0024】
キートップ130は合成樹脂を略長円形の板状に成形して構成されており、その左右両側面の中央から外方に向かって軸部131を突出し、またその下面中央にスライド移動方向Cに沿って略棒状に伸びる突条部133を形成している。突条部133の下面中央からスライド移動方向Cに沿って同一距離の位置には、曲線状の凹面からなる一対の押圧当接部135が形成され、さらにスライド移動方向Cに沿ってそれらの外側位置には、直線状で外側に向かって上方向に傾斜する傾斜面からなる被弾接部137が形成されている。 押圧当接部135の曲線形状は、このキートップ130が揺動する各位置において下記するように移動体駆動機構50の当接部75が当接する凹状の曲線形状に形成されている。
【0025】
次にシーソー型電子部品1の組立方法を説明する。まず予め移動体30の摺動子取付面31に摺動子40の摺動子基部41を設置し、その際移動体30の取付突起33を摺動子40の取付孔47に挿入し、何れか一方の取付突起33の先端を熱カシメして固定する。また前述のように、第1,第2のリンク51,61を用いて移動体駆動機構50を組み立てておく。一方ケース80のキートップ取付部101の表面に弾発バネ110の取付部115を形成している部分を載置し、ケース80の各バネ取付部107を弾発バネ110の各取付部115に挿入し、各バネ取付部107の先端を熱カシメする。
【0026】
次にケース80下面の移動体収納部83内に前記一対の移動体駆動機構50と移動体30とを収納し、その際、各移動体駆動機構50の軸部55をケース80の軸受部85に回動自在に挿入し、各移動体駆動機構50の軸部67を移動体30の軸受部35に回動自在に挿入する。
【0027】
このときの状態を図8に示す。同図に示すように、弾発バネ110の挿通部111にケース80のケース本体部81、すなわち移動体30が設置される。同時に移動体駆動機構50の連結部71の部分は、上側(キートップ130側)に凸となるように折り曲げられた状態で、ケース80の挿通部87を通してケース80の上面側に突出する。
【0028】
そして前記移動体30等を収納したケース80の下面側にフレキシブル回路基板20と取付板10とを設置し、ケース80に設けた各取付固定部105をフレキシブル回路基板20の取付固定部21と取付板10の取付部11に挿入し、各取付固定部105の先端を熱カシメによって固定する。そして前記ケース80の上にキートップ130を載置し、その際キートップ130の軸部131をケース80の軸支孔111にスナップインによって回動自在に係合する。これによってシーソー型電子部品1が完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。なおこのシーソー型電子部品1において、ケース80とフレキシブル回路基板20と取付板10とを固定側部材という。
【0029】
このとき図2に示すように、一対の移動体駆動機構50の当接部75は何れもキートップ130の一対の押圧当接部135に当接している。また弾発バネ110の一対の弾発部113は何れもキートップ130の一対の被弾接部137に弾接してキートップ130を中立位置(キートップ130が水平となる位置)に弾発・保持している。つまりこのとき一対の当接部75は同一高さにあり、移動体30はケース80の移動体収納部83内の中央に位置している。
【0030】
そして例えば図2に示すキートップ130の左側の上面を下方向(矢印E方向)に向けて押圧すれば、キートップ130は軸部131(その中心の揺動中心軸)を中心にして揺動し、図9に示すように左側が下降する。これによって左側の移動体駆動機構50の当接部75が下方向に押圧され、その第1のリンク51は軸部55を中心にして下方向に向かって回転し、同時にその第2のリンク61の軸部67が移動体30を水平に右方向(矢印G方向)に押圧してこれを移動し、移動した距離だけ摺動子40の弾接部45が摺接パターン23上を摺動してその電気的出力を変化する。このときもう一方の移動体駆動機構50の第2のリンク61の軸部67も右方向に移動するので、同時にその移動体駆動機構50の当接部75は上方向に上昇するが、押圧当接部135は前述のようにキートップ130が揺動する各位置において当接部75が当接する曲線形状に形成されているので、上昇した当接部75はキートップ130の押圧当接部135に当接した状態を維持する。つまりキートップ130が何れの揺動位置にあっても、両移動体駆動機構50の当接部75はキートップ130の押圧当接部135に当接している。
【0031】
このときキートップ130の下降した左側の被弾接部137を弾発している弾発バネ110の弾発部113は押圧されて下降し、より大きく撓んだアーム部119の弾発力によってキートップ130には中立位置への自動復帰力が生じる。従って前記キートップ130への押圧を解除すれば、キートップ130は元の中立位置へ自動復帰し、移動体駆動機構50が前記と逆の動作を行って、移動体30は元の中央位置に自動復帰する。なお図9に示すようにキートップ130が揺動して上昇した右側の被弾接部137を弾発している弾発バネ110の弾発部113は被弾接部137の上昇に追従して上昇している。つまりキートップ130が何れの揺動位置にあっても、弾発バネ110の両弾発部113はキートップ130の被弾接部137に当接している。
【0032】
以上説明したようにこのシーソー型電子部品1は、ケース80と、ケース80に対してスライド移動自在に設置される移動体30と、移動体30のスライド移動によって電気的出力を変化する摺動子40等からなる電気的機能部と、移動体30の上部に揺動自在に設置されるキートップ130と、第1,第2のリンク51,61を連結部71にて回動自在に連結してなる移動体駆動機構50とを有し、この移動体駆動機構50の一端側をケース80に回動自在に取り付け、他端側を移動体30に回動自在に取り付けるとともに、キートップ130に設けた押圧当接部135を連結部71の部分に設けた当接部75に当接させ、キートップ130を揺動することで当接部75を移動させて移動体30をスライド移動させる構成となっている。
【0033】
そしてこのシーソー型電子部品1においては前述のように、移動体駆動機構50の連結部71の部分に設けた当接部75をキートップ130の押圧当接部135が押圧してこれを下降させる運動を、移動体30のスライド移動運動に変換するので、キートップ130の揺動距離に対して移動体30の移動ストロークを長くすることができる。このためシーソー型電子部品1の薄型化のためにキートップ130の揺動中心軸の位置を低くしてその揺動ストローク(揺動時の上下動寸法)を短くしたり、シーソー型電子部品1全体の外形寸法の小型化のためにキートップ130の外形寸法が小型化してその揺動ストロークが短くなったりしても、電気的出力の分解能を大きく維持することができる。つまりシーソー型電子部品1の薄型化・小型化に対応できる。
【0034】
また前述のように、キートップ130の押圧当接部135は曲線形状に形成されているので、キートップ130がどの揺動位置にあっても、押圧当接部135を常に移動体駆動機構50の当接部75に当接させておくことができ、このためキートップ130を揺動した際に、両者間が接離することで音が生じたり、衝撃が発生したりすることを防止できる。さらにこのシーソー型電子部品1においては弾発バネ110の弾発部113もキートップ130の被弾接部137に常に当接しているので、この部分においても両者が離れた位置から当接する際に生じる音や衝撃の発生を防止できる。
【0035】
また前述のように、略リング形状で中央に挿通部111を設けるとともに、一対の対向する位置に弾発部113を設けてなる弾発バネ110を具備し、弾発バネ110の挿通部111に移動体30(及び一対の移動体駆動機構50)を設置するとともに、一対の弾発部113をキートップ130の揺動中心軸を挟んだその両側に設けた一対の被弾接部137に弾接させることで、キートップ130を中立位置に保持しているので、シーソー型電子部品1の厚みを厚くすることなく、キートップ130を確実に中立位置に弾発・保持することができる。
【0036】
なお上記実施形態ではスライド移動方向Cとして直線方向を示したが、スライド移動方向Cは、円弧方向やその他の曲線方向など、直線方向以外の各種方向を含む概念である。
【0037】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記シーソー型電子部品1においては、ケース80とフレキシブル回路基板20と取付板10とを固定側部材としたが、移動体30に対して静止している部材であれば、ケース80等以外の部材で固定側部材を構成してもよい。要は固定側部材に対して移動体をスライド移動自在に設置すればよい。
【0038】
また上記シーソー型電子部品1では、摺接パターン23として抵抗体パターンと導電体パターンとを用いたが、スイッチパターンなどの他の機能を有する摺接パターンを用いてもよい。また上記シーソー型電子部品1では、電気的機能部として摺動子50と摺接パターン23を用いたが、これら以外の構成要素からなる電気的機能部であってもよい。要は移動体30のスライド移動によって電気的出力を変化する電気的機能部であればよい。
【0039】
また移動体駆動機構50は2つ設置する以外に、1つ、さらには3つ以上設置しても良い。即ち少なくとも1つ以上設置すればよい。また上記シーソー型電子部品1では移動体駆動機構50の当接部75を、第1,第2のリンク51,61を回動自在に連結した連結部71の部分の外周面としたが、たとえば前記連結部71の部分から上方向に突起を突出してその先端部分などを当接部としてもよい。
【0040】
また上記シーソー型電子部品1では、キートップ130の押圧当接部135を、このキートップ130が揺動する各位置において当接部75が当接する曲線形状に形成したが、場合によっては直線形状に形成しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 シーソー型電子部品(電子部品)
10 取付板(取付部材、固定側部材)
20 フレキシブル回路基板(回路基板、固定側部材)
23 摺接パターン(電気的機能部)
30 移動体
40 摺動子(電気的機能部)
50 移動体駆動機構
51 第1のリンク
61 第2のリンク
71 連結部
75 当接部
80 ケース(固定側部材)
110 弾発バネ(弾発手段)
111 挿通部
113 弾発部
130 キートップ
135 押圧当接部
137 被弾接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側部材と、前記固定側部材に対してスライド移動自在に設置される移動体と、前記移動体のスライド移動によって電気的出力を変化する電気的機能部と、前記移動体の上部に揺動自在に設置されるキートップと、を具備し、
第1,第2のリンクを連結部にて回動自在に連結してなる少なくとも1つの移動体駆動機構を有し、この移動体駆動機構の一端側を前記固定側部材に回動自在に取り付け、他端側を前記移動体に回動自在に取り付けるとともに、
前記キートップに設けた押圧当接部を前記連結部の部分に設けた当接部に当接させ、キートップを揺動して当接部を移動させることで移動体をスライド移動させることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品であって、
前記キートップの押圧当接部は曲線形状に形成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品であって、
略リング形状で中央に挿通部を設けるとともに、一対の対向する位置に弾発部を設けてなる弾発手段を具備し、
前記弾発手段の挿通部に前記移動体を設置するとともに、前記一対の弾発部を前記キートップの揺動中心軸を挟んだその両側に設けた一対の被弾接部に弾接させることで、前記キートップを中立位置に保持することを特徴とする電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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