説明

電子部材の製造方法

【課題】携帯電話内蔵アンテナ、LEDパッケージ(放熱基板等)、等の、3次元的でかつ細密な回路を高精度で有する電子部材を、材料コスト・製造コストを廉価に、かつ環境破壊原因物質を使用することなく、高い歩留まりで製造する方法を提供する。
【解決手段】(1)合成樹脂基体1に合成樹脂による被覆層2をパターン状に設ける工程、(2)該合成樹脂被覆層2の上方からサンドブラスト処理する工程、(3)無電解メッキ用触媒成分を付与する工程、(4)前記合成樹脂被覆層2を除去する工程、(5)無電解メッキする工程、を含む電子部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話内蔵アンテナ、自動車アンテナ、LEDマウント部材、回路基板、LEDパッケージ(放熱基板等)、電子ディバイスパッケージ等の各種の電子・電気機器に装備される各種の電子部材の製造方法に関し、特に3次元的でかつ細密な回路を高精度で有する電子部材を、材料コストはもとより製造コストをも廉価にし、しかも環境破壊原因物質を使用することなく、高い歩留まりで製造することができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話内蔵アンテナ、自動車アンテナ、LEDマウント部材、LEDパッケージ(放熱基板等)、電子ディバイスパッケージ等の各種電子部材は、様々な方法で製造されている。
一般的には、エレメント部分をプリントやメッキにより成形する技術が実施されている。
【0003】
また、近年の電子部材の軽薄短小化に伴い、プリント不可能な部分に回路やエレメントを成形する必要があったり、あるいは高い寸法精度で回路やエレメントを成形しなければならないなどの要請がある。
これらの場合において、たとえば、(1)基材の回路あるいはエレメント成形部以外の部分を各種材料で高精度にマスキングする→回路あるいはエレメント部を成形する→マスキング材を除去する方法、(2)基材の全面に回路あるいはエレメント材料層を設ける→全面に基材と同等材で被覆層を設ける→被覆層をパターン状に除去して回路あるいはエレメント部を露出させる方法などにより、電子部材の軽薄短小化に対応している。
上記(1)におけるマスキングは水溶性または水分解性の合成樹脂を射出成形により行い、回路あるいはエレメント部はメッキにより成形し、マスキング材は水処理により除去する技術(特開2000−80480公報等)が知られており、上記(2)における基材全面に回路あるいはエレメント層を設けるには箔状導電性材料の貼り付けやメッキなどで行い、この後の被覆層の形成は基材と同等の材料を貼り付けたり、射出成形したり、コーティングするなどで行い、次の被覆層のパターン状での除去は(フォトあるいはケミカル)エッチング、サンドブラストなどで行うことが一般的である。
【0004】
ところで、近年、地球環境悪化を防止するための問題提起が種々なされており、その中に、上記(2)の場合におけるフォトエッチング後の余分な被覆層の除去用液、ケミカルエッチング用のエッチング液として、クロム酸混液などが使用されることがあり、該液中のクロムイオンのような環境破壊物質の処理も問題視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−80480公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の環境破壊物質の使用を要せず(よって環境に優しく)、しかも簡単な工程(よって低コスト)で、かつ高寸法精度(よって高品質)な電子部材を3次元的でかつ煩雑な回路を有して製造することができる方法と、この方法で得られる3次元的でかつ煩雑な回路やエレメントを有する電子部材とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するために検討を重ねた結果、
先ず、合成樹脂基体の表面に導電性物質層を形成する際に行う該基体の表面粗面化をサンドブラスト処理(バレル内での処理あるいはベルト上での処理)により行う手法を選び、
このサンドブラスト処理の条件(サンドの粒径や硬度、サンド噴射の強さ≪すなわちサンド噴射量や、噴射圧≫など)を最適化し、
これにより、合成樹脂基体の表面粗さを制御し、
次いで、上記のサンドブラスト処理に先立って、回路またはエレメント設置(形成)部以外の部分に、水溶性または水分解性の合成樹脂による射出成形で被覆層を設け、
この水溶性または水分解性の合成樹脂による被覆層の上からサンドブラスト処理することにより、
合成樹脂被覆層もサンドブラスト処理されるため、この後の該被覆層の水による除去を極めて容易にすることができ、
また、本発明では、基体と被覆層の全面にサンドブラスト処理を良好に行うことができるため、回路やエレメントの形成に必要なメッキ処理に先立つサンドブラスト処理による表面粗面化を、3次元的でかつ煩雑な構造のもの(基体に設けられた貫通孔の内壁面など)にも良好に行うことができ、回路やエレメントを3次元的でかつ煩雑な構造にすることができることを見出し、本発明を提案するに至った。
【0008】
すなわち、本発明における電子部材の製造方法は、
(1)合成樹脂基体に、合成樹脂による被覆層をパターン状に設ける工程、
(2)該合成樹脂被覆層の上方からサンドブラスト処理する工程、
(3)無電解メッキ用触媒成分を付与する工程
(4)前記合成樹脂被覆層を除去する工程
(5)無電解メッキする工程、
を含むことを特徴とする。
このとき、(i)サンドブラスト処理は、粒径50〜1000μm、モース硬度10〜15のサンドを用い、ブラスト用空気圧0.1〜1MPa、ブラスト量500〜1000g/min./サンドブラストノズル1本、ブラスト時間60〜300sec.で行うこと、(ii)基体をバレルに投入して行うことが好ましく、(iii)サンドブラスト処理後の合成樹脂基体は、表面粗さRaが0.5〜3μmであることが好ましく、(iv)合成樹脂被覆層は、水溶性または水分解性の合成樹脂の射出成形により設けられることが好ましい。
また、本発明における電子部材は、本発明の上記方法で製造され、メッキ面が基体の曲面部、一方の表面から他方の表面までの貫通孔内壁面、該貫通孔の適宜個所に適宜角度で交わって該内壁面と一体化する適宜表面からの貫通孔内壁面であることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明において、前記基体を構成する合成樹脂は、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、
液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer≪LCP≫)、ポリアミド(PA)などの誘電率ε3〜20程度のものが好ましく、前記被覆層を構成する合成樹脂は、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)などが好ましい。
【0010】
本発明においては、先ず、上記の合成樹脂による基体を成形する。この成形方法は、どのような手法によるものであってもよいが、軽薄短小のものを多様なデザインでかつ低ロス・低コストで成形するには、射出成形方法が好ましい。上記の合成樹脂(SPS、ABS、PPS、LCP、PA)は、射出成形方法に適しており、極微細でかつ多様な構造(デザイン)のものを、低ロス・低コストで成形することができる。
【0011】
次に、上記の合成樹脂基体に、合成樹脂による被覆層をパターン状に設ける。この被覆層も、上記の基体と同様に、射出成形方法により設けることが、軽薄短小のものを多様なデザインでかつ低ロス・低コストで成形するうえで好ましい。この射出成形は、基体を金型の一部とし、基体と該金型の間に形成されるパターン状のキャビティ内に、被覆層用の合成樹脂を射出して行われる。
この被覆層を形成する合成樹脂は、水溶性または水分解性の合成樹脂を使用することが好ましく、なかでも上記したPLAやPVAが、射出成形方法にも適しており、極微細でかつ多様な構造(デザイン)の被覆パターンを、低ロス・低コストで成形するうえでも好ましい。
なお、被覆層の厚さは、基体の大きさにより異なり、一概には決められないが、基体が近年の軽薄短小に対応する携帯電話内蔵アンテナ、自動車アンテナ、LEDマウント部材、LEDパッケージ(放熱基板等)、電子ディバイスパッケージ、回路基板程度の大きさの場合、0.5〜2.0mm程度が適している。この程度の厚さを有していれば、本発明における基体の表面粗さRaを0.5〜2.5μmにするサンドブラスト条件下でのブラスト処理の際に基体を十分に保護できるのみならず、該処理を経ることにより被覆層表面から内部に該被覆層の除去に際して良好に作用する(すなわち、被覆層の溶解・分解に要する水の内部への侵入を良好にする)亀裂を生じさせることができ、本発明の方法を良好に実施することができる。
【0012】
上記のようにして被覆層をパターン状に設けた後、該被覆層の上から、サンドブラスト処理をする。
このサンドブラスト処理工程は、後述する被覆層の除去工程を容易に行ううえで重要な工程であり、特に、被覆層の合成樹脂として上記の水溶性あるいは水分解性の合成樹脂を使用する場合には、サンドブラスト処理の後、該被覆層を水のみで除去することができることがある。すなわち、被覆層に水溶性あるいは水分解性の合成樹脂を使用しても、水のみでの良好な除去は困難であり、一般には酸やアルカリを添加した水の使用(酸・アルカリによる被覆層の面粗し処理)が余儀なくされるが、本発明においては、被覆層にもサンドブラスト処理がなされるため、被覆層の表面に微細な凹凸が形成され、この凹凸から水が被覆層の内部にまで浸透することができ、水のみで被覆層を構成している水溶性あるいは水分解性の合成樹脂を溶解・分解除去することができる。
【0013】
本発明におけるサンドブラスト処理の効果を纏めると次の通りとなる。
(a)サンドブラスト処理時に被覆層の表面層もある程度除去される。
(b)残っている被覆層の表面は粗面(微細凹凸が無数に形成されており、また被覆層の表面から内部に至る亀裂が無数に形成されている)となっている。
(c)水はこの粗面から(亀裂を通って)侵入するため、被覆層の内部にまで容易に浸透することができる。
(d)この結果、水溶性あるいは水分解性の合成樹脂からなる被覆層は、水のみでも良好に除去することができる。もちろん、完全除去がなされない場合には、たとえば、被覆層の除去工程において、高温水を高圧で噴射したり、あるいはサンドブラスト工程において、粗面の程度を適宜調整する(上記したように、本発明では、被メッキ面となる合成樹脂基体の表面粗さRaを0.5〜2.5μmとすることが適しているが、この範囲内でRaを大きくすれば被覆層の水のみでの除去も容易となる)などしてもよい。
【0014】
このような効果を得るうえで、また後述する合成樹脂基体の表面粗さRaを0.5〜3μmとするうえで、サンドブラスト処理は、粒径50〜1000μm、モース硬度10〜15のサンドを用い、ブラスト用空気圧0.1〜1MPa、ブラスト量500〜1000g/min./サンドブラストノズル1本(すなわち、サンド噴射ノズル1本当たり500〜1000g/分程度)、ブラスト時間60〜300sec.で行うことが好ましい。
この条件でサンドブラスト処理することにより、被覆層として水溶性あるいは水分解性の合成樹脂を使用する場合の後述の被覆層の除去工程において、前述した効果を奏することができるのみならず、合成樹脂基体への無電解メッキ用触媒の付与、延いては無電解メッキ層を良好に形成するうえで重要な合成樹脂基体の表面粗さRaを上記範囲内にすることができる。
【0015】
また、サンドブラスト処理は、基体をブラストさせるべき面を上にしてベルト上に載置し、該ベルトを稼働させることで、基体をサンド噴出部へ移動(この“移動”を “スライド”と記すこともある)させ、上記面に前記した条件でサンドブラスト処理を行う。あるいは基体をバレルに投入し、該バレル内で基体を振動その他適宜の手段によりランダムに上下・左右・前後方向へ往復動させたり回転させるなどの運動を行わせ、このような運動の間にバレルの上蓋・底部・側壁部などに設けたサンド噴射ノズルから前記した条件でサンドを噴射し、ブラスト処理を行う。
【0016】
前者の基体をベルト上に載置してスライドさせる手法であると、1回のスライドでの被ブラスト面は(ベルトの上方に)限られるため、3次元のブラスト処理を行おうとすると、1回のスライド毎に基体の載置角度を変えて、複数回のスライドを行う必要がある。
【0017】
一方、バレル内でのサンドブラスト処理では、上記のように、基体がランダムに上下・左右・前後方向への往復動や回転などの運動を行い、この間に各種の方向(たとえば1個の基体に対し360°全方向)から噴射されるサンドによるブラスト処理が行われるため、3次元(貫通孔の内壁面など)のブラスト処理がバレルの1回の稼働で行われる。
【0018】
上記のようなサンドブラスト処理後の合成樹脂基体は、表面粗さRaが0.5〜3μmとなっていることが好ましい。基体の表面粗さがこの程度であると、合成樹脂基体への無電解メッキ用触媒の付与、延いては無電解メッキ層を良好に形成することができるとともに、被覆層の表面も水の内部への浸透を良好に進行させるうえで好適な粗さとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法によれば、特に3次元的でかつ細密な回路を高精度で有する電子部材を、環境破壊原因物質を使用することなく、簡単な工程(よって低製造コスト)で、かつ高寸法精度(よって高品質)で、しかも高い歩留まりで製造することができる。
また、本発明の製造方法では、合成樹脂基体へのメッキに先立って必要とする該基体表面(メッキ面)の粗面化をサンドブラストにより行うため、ケミカルエッチングによる従来技術では使用困難とされていた合成樹脂、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドなどをも、基体の材料として使用することができる。
【0020】
本発明の製造方法で得られる電子部材は、3次元的でかつ煩雑な回路を、高寸法精度で有するのみならず、電子部材の用途に応じて要求される誘電率を有する誘電体(合成樹脂)を自由に選択して使用することができるうえ、材料コスト・製造コストをも低減可能であり、近年のユビキタス社会において貢献度は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の製造方法の一実施態様例を工程順に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施例1]
ポリフェニレンサルファイド(PPS)を射出成形して図1(A)の概略断面図に示す構造の基体1を得た。この基体1は、一方の表面から他方の表面までの貫通孔11を有し、該貫通孔11の適宜個所に適宜角度(本例では約90°)で交わって該貫通孔11の内壁面と一体化する図示表面からの貫通孔12を有している。
上記の基体1を型の一部とする金型(図示省略)を使用し、該基体1と該金型の間に形成されるパターン状のキャビティ内に、被覆層用の合成樹脂としてポリ乳酸(PLA)を射出し、図1(B)に示す構造の被覆層2(厚さ1mm)を成形した。
【0023】
図1(B)に示す態様の部材(多数個)をブラスト用バレル(上・下・側面にブラスト噴射用ノズルを多数備えている。図示省略)に投入し、バレル自体をランダムに回転・反転・振動させて内部の部材を上下・左右・前後方向へ往復動、回転、振動させるなどの運動を行わせつつ、粒径180〜150μm、モース硬度12のサンド(アルミナ含有量99.7%以上の不二製作所社製商品名“フジランダムWA#80”を用い、ブラスト量がサンド噴射ノズル1本当たり700〜800g/min.、(このときのブラスト噴射用空気圧0.3〜0.4MPa)、ブラスト時間150sec.でブラスト処理を行った。
【0024】
図1(C)はブラスト処理後の部材の状態を模式的に示す図であり、被覆層2の表面と、貫通孔11,12の壁面とが粗面化され、該壁面の表面粗さRaは1.5μmであった。被覆層2については、表面が粗面化されているのみならず、表面から基体1の近傍にまで亀裂が多数入っていることが確認された。
【0025】
次に、上記部材の多数個を籠状体(図示省略)に収納し、該籠状体を無電解メッキ用触媒成分(Pd−Sn系触媒成分)の水溶液(100mg/l)を入れた槽内に投入し、該籠状体をランダムに回転・反転・振動させて内部の部材を上下・左右・前後方向へ往復動、回転、振動させるなどの運動を行わせた。
この結果、上記被覆層2が一部剥離溶出(槽内の溶液が被覆層2の粗面化されている表面から上記の亀裂を通って内部にまで浸透し、表面から内部に至るまでの被覆層構成PLAを溶解)し基体の表面が一部露出していることが確認された。また、基体1のサンドブラスト面(図1の場合は貫通孔11,12の壁面)に触媒成分が付着していることも確認された。
【0026】
次いで、上記の部材を籠状体ごと触媒成分の析出用槽(濃度35%塩酸の180ml/l水溶液)に投入し、上記と同様に、該籠状体をランダムに回転・反転・振動させて内部の部材を上下・左右・前後方向へ往復動、回転、振動させるなどの運動を行わせた。
これにより、被覆層2の大部分が溶解し、上記貫通孔11と12の壁面に触媒が析出していることが確認された。
【0027】
被覆層2は、上記の工程で大部分が溶解除去されていたが、残りを除去すべく、籠状体のまま水を入れた槽に入れ、該籠状体を上記と同様にランダムに回転・反転・振動させて内部の部材を上下・左右・前後方向へ往復動、回転、振動させるなどの運動を行わせた。この結果、被覆層2は肉眼で完全に溶解除去されていることが確認された。
【0028】
最後に、上記部材を籠状体ごと無電解メッキ用槽(Cu系メッキ液が注入されている)に入れ、該籠状体を上記と同様にランダムに回転・反転・振動させて内部の部材を上下・左右・前後方向へ往復動、回転、振動させるなどの運動を行わせつつ、無電解メッキを15分間行い、図1(D)に示す態様の電子部材10を得た。
同図において、貫通孔11,12の壁面に銅メッキ100が施されていた。この銅メッキ100は、厚さ0.5μmで、表面粗さ計により表面の微細凹凸を見た結果、略均一なメッキ面であることが確認された。
【0029】
[実施例2〜3]
基体1、被覆層2の材料として表1に示す合成樹脂を使用し、サンドブラスト処理の条件を表1に示す通りとする以外は、実施例1と同様にして図1に示す工程に沿って、実施例1と同様の電子部材を得た。
【0030】
【表1】

【0031】
実施例1〜3で得た電子部材と、比較例として市販のCu無電解メッキ板(Cuの厚さ0.1μm)とにつき、下記の評価を行い、結果を表2に示す。
【0032】
(1)耐熱性(試験数30個):+125±3℃に1000時間放置後、常温に戻し、外観(肉眼でピンホールや亀裂等の有無を観察)を観察し、全試験数につき外観に異常がなかったもの(すなわち、全試験数が高品質の電子部材として使用できるもの)を○とし、試験数の半数以上に外観に異常が発生していたもの(すなわち、試験数の半数以上が高品質の電子部材として使用できないもの)を×とした。
(2)はんだ耐熱性(試験数20個):+260±5℃のはんだ槽に10±1秒間浸漬し、引き揚げ後に直ちに浸漬する操作を3回繰り返し、外観(肉眼で「ピンホールや亀裂等の有無を観察)を観察し、全試験数につき外観に異常がなかったもの(すなわち、全試験数が高品質の電子部材として使用できるもの)を○とし、試験数の半数以上に外観に異常が発生していたもの(すなわち、試験数の半数以上が高品質の電子部材として使用できないもの)を×とした。
(3)電極密着力(試験数20個):上記のはんだ耐熱性試験後のピーリング強度を測定し、全試験数が0.8kg/4mm2以上のものを○とし、試験数の半数以上が0.8kg/4mm2未満のものを×とした。
【0033】
【表2】

【0034】
表2から判るように本発明の方法で得られる電子部材は、従来の電子部材(比較例としての市販品)に比べて、外観に遜色なく、高品質の電子部材として使用可能であることが確認される。
【符号の説明】
【0035】
1 基体
2 被覆層
10 電子部材
11,12 貫通孔
100 メッキ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)合成樹脂基体に、合成樹脂による被覆層をパターン状に設ける工程、
(2)該合成樹脂被覆層の上方からサンドブラスト処理する工程、
(3)無電解メッキ用触媒成分を付与する工程、
(4)前記合成樹脂被覆層を除去する工程、
(5)無電解メッキする工程、
を含むことを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項2】
サンドブラスト処理が、粒径1〜1500μm、モース硬度10〜15のサンドを用い、ブラスト用空気圧0.1〜1MPa、ブラスト量500〜1000g/min./サンドブラストノズル1本、ブラスト時間60〜300sec.で行われることを特徴とする請求項1に記載の電子部材の製造方法。
【請求項3】
サンドブラスト処理が、基体をバレルに投入して行われることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部材の製造方法。
【請求項4】
サンドブラスト処理後の合成樹脂基体の表面粗さRaが、0.5〜3μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
【請求項5】
合成樹脂被覆層が、水溶性または水分解性の合成樹脂の射出成形により設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子部材の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法で製造される電子部材であって、メッキ面が、基体の曲面部、一方の表面から他方の表面までの貫通孔壁面、該貫通孔の適宜個所に適宜角度で交わって該壁面と一体化する適宜表面からの貫通孔壁面、の少なくとも1つであることを特徴とする電子部材。

【図1】
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【公開番号】特開2010−222599(P2010−222599A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68392(P2009−68392)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(391014055)カンタツ株式会社 (84)
【Fターム(参考)】