説明

電子錠

【課題】例えば、サンプル検査の品質試験が完了するまで製品運搬箱を開錠できないようにする。
【解決手段】好適な実施形態の一例である電子錠は、複数の開錠キーを、それぞれ固有の設定キーに対応づけて登録しうるように構成されるキー登録手段と;現在の設定キーとして前記設定キーのいずれかをセットしうるように構成される設定手段と;入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する開錠キーに適合する場合に、開錠信号を発生するように構成される、施開錠信号発生手段と;を備える。前記キー登録手段は、前記開錠キーの各々について、それぞれ固有の施錠キーを登録しうるように構成されてもよい。前記開錠信号は、施錠を行うハードウェアを動作させるためのアクチュエータやモータを作動させるための信号として用いられることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子錠に関し、好適には、サンプル検査が完了するまでは製品運搬箱を開錠できないようにするための錠に利用されうる技術に関する。
【発明の背景】
【0002】
出願人は、PET(ポジトロン断層撮影法)やSPECT(単一光子放射断層撮影法)に用いる放射性医薬品の製造販売を、業務分野の1つとしている。これらの放射線医薬品に含まれる放射性トレーサーは、半減期が短いので、製造後なるべく早く病院等の診断施設に届けることが好ましい。特にPET用のトレーサーは半減期が短く、代表的なトレーサーの1つである18Fで、約110分である。このため、放射線医薬品の製造現場からトレーサーを届けることが可能な範囲は、それほど広いものではない。
【0003】
また、トレーサーは、製造したら直ちに使用するという訳にはいかず、それを医薬品として調製した後に、所定の性能を満足しているかどうかを確認する品質試験を行わなければならない。この試験をパスしなければ、実際に臨床に使用するわけにはいかない。しかし、むろんのこと、品質試験にはそれなりの時間を要する。このため、製造完了から出荷までには更に時間を要することになり、これが放射性医薬品の配送可能範囲を更に縮める要因となる。
【0004】
そこで出願人は、配送可能距離を伸ばすため、次のようなことを考えた。すなわち、放射性医薬品の製造が完了したら、その中から品質試験用のサンプルをいくつか抽出すると共に、残りの製品については直ちに出荷し、たとえばトラックに乗せてPET施設へと輸送を開始する。抽出したサンプルについては直ちに品質試験に回す。そして、試験が完了し、サンプルが所要の性能を満たしていることが確認できたら、電話等で配送者やPET施設などに連絡をとり、出荷された製品が使用可能であることを告げる。もしサンプルが所要の性能を満たしていない場合は、当然ながら、出荷された製品は使われない訳である。このようにすれば、品質試験に要する時間をも配送に使うことができるため、配送可能距離を伸ばすことが可能となる。
【0005】
この方式においては、サンプルが所要の性能を満たしていることが確認できない場合に、出荷された製品が使用されることを確実に防止する必要がある。このためには、例えば製品を箱に入れて施錠し、品質試験の結果が判明するまでは、その箱を開錠しないことが好ましい。しかし、PET施設の担当者や配送者などが自由に開錠できるのであれば、意図せずに開錠されて製品が使用される可能性があることは否定できない。
【0006】
このような背景から、出願人は、出荷時には開錠者に開錠鍵などを与えず、品質試験が合格であった場合にのみ、開錠を可能とする手段が必要であると考えるに至った。
【0007】
特開2002−161657号公報の段落0001〜0007および0012〜0013には、管理者が、開錠者の移動端末に開錠情報を無線配信する電子錠システムが記載されている。この電子錠システムにおいては、錠も無線通信手段を有し、開錠者の移動端末から開錠情報を無線で受信することによって、開錠されるように構成されている(0012)。そこで、このシステムを利用し、サンプルの品質試験が合格した場合のみ、開錠情報を開錠者へ送信することが考えられる。しかし、このシステムでは、開錠情報を無線で提供するためのインフラの整備が必要となる。例えば、無線による管理を司る専用の管理センタが必要となり、錠前や移動端末にも無線通信手段や専用ソフトウェアを搭載することが必要となる。従って、高コストのソリューションとならざるを得ない。また、特開2002−161657号公報では、移動端末として携帯電話やPHSを用いることを想定しているが(0013)、これらの端末は電池が比較的早く消耗してしまうため、開錠を必要とする際には電池が切れてしまっているという事態が容易に発生しかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−161657号公報
【発明の概要】
【0009】
これらの事情に鑑み、本願の出願書類に開示される電子錠技術は、サンプルの品質試験が完了するまでは製品運搬箱を開錠できないようにするための、新しい技術を得ることを目的として開発されたものである。しかし、本明細書の説明や図面、各請求項に規定される好適な実施形態の構成からも明らかであるように、本発明による電子錠技術は、前述の目的に沿った利用に限定されることなく、施開錠を必要とするあらゆる分野において、制限なく利用可能な技術である。
【0010】
本発明は、一例として、複数の開錠キーを、それぞれ固有の設定キーに対応づけて登録しうるように構成されるキー登録手段と;現在の設定キーとして前記設定キーのいずれかをセットしうるように構成される設定手段と;入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する開錠キーに適合する場合に、開錠信号を発生するように構成される、施開錠信号発生手段と;を備える電子錠として、実施されることができる。この開錠信号は、施錠を行うハードウェアを動作させるためのアクチュエータやモータを作動させるための信号として用いられることができる。
【0011】
すなわち、上記の電子錠は、現在の設定キーを切り替えることにより、複数の開錠キーを利用することができる。そこで、上記の電子錠を用いると、管理者は、施錠前に設定キーを切り替えておき、サンプルの品質試験が合格した場合にのみ、当該設定キーに対応する開錠キーを電話等で教えて、製品運搬箱を開錠可能とすることができる。従って、出荷者の意図に反して製品運搬箱が開錠され、製品が使用されてしまうという事態が生じる可能性を著しく減少させることができる。そして、この電子錠を使用するために、管理者が準備しなければならないものは、設定キーと開錠キーの組み合わせの一覧表のみである。前掲の特許文献1記載の技術のように、無線通信のためのインフラや装備を導入する必要はない。従って、上記の電子錠の使用は、特許文献1記載の技術を利用した場合に比べて、使用が簡単で安価なソリューションとなりうる。
【0012】
上記の電子錠は、施錠をオートロックで行うように構成されてもよい。しかし、一旦施錠してしまうと、管理者から開錠キーを教えてもらわなければ開錠できないため、意図せずに施錠されてしまう事態は避けたい。施錠は、施錠してもよいことを十分に確認した上で、行うことが好ましい。このような目的のためには、オートロックは必ずしも好ましい手段であるとは言えない。
【0013】
そこで、前記キー登録手段は、前記開錠キーの各々について、それぞれ固有の施錠キーを登録しうるように構成され、前記施開錠信号発生手段は、入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する施錠キーに適合する場合に、施錠信号を発生するように構成されることが好ましい。
【0014】
この実施形態によれば、施錠者は、施錠キーを入力しなければ施錠を行うことができないため、安易に施錠を行うことができず、従って施錠前に諸確認を行うための十分な時間を確保することができる。管理者は、施錠前は、現在設定中の設定キーに対応する施錠キーのみを施錠者に教え、製品の試験が合格した場合のみ、開錠キーを開錠者へ教えるように、この電子錠を使用することができる。管理者が準備しなければならないものは、設定キーと、施錠キーおよび開錠キーの組み合わせの一覧表のみであり、やはり簡単且つ安価なソリューションである。
上述の実施形態においては、開錠キーや施錠キーを、複数登録し、利用することができるように構成されていることに留意されたい。開錠キーや施錠キーを管理者のみが管理し、管理者以外には知られないようにしていても、開錠キーや施錠キーとして各々1つのキーしか利用することができなければ、長い時間の間には、意図せずに管理者以外の様々な者にキーを覚えられてしまう危険がありうる。その場合は、当該鍵を利用する、例えば流通システムの信頼性を、著しく損ねることになるだろう。上述の実施形態においては、複数の開錠キーや施錠キーを利用することができるように構成されていることで、かかる危険性を減らし、電子錠の安全性を高めている。
また、上述の実施形態においては、開錠キーと施錠キーとの組み合わせを、設定キーに対応付けて複数登録できるように構成されていることに留意されたい。安全性を高めるために、複数の開錠キーや施錠キーを登録し、これらをランダムに組み合わせるという構成も考えられる。しかし、単にランダムに組み合わせて使用するだけでは、管理が煩雑になり、使いにくい場合がある。これに対して上述の実施形態においては、開錠キーと施錠キーとの組み合わせが各々個別の設定キーに対応付けられるので、これらの対応関係を記録した一覧表を用意するだけで、容易に管理が可能となる。すなわち、開錠キーと施錠キーとの組み合わせを、固有の設定キーを用いて、容易に管理・使用することが可能となる。
【0015】
本発明はまた、一例として、電子錠が備えるプロセッサに次のような処理を実行させうるように構成される、コンピュータ・プログラムとして実施されることができる。この処理には、複数の開錠キーを、それぞれ固有の設定キーに対応づけて登録すること;現在の設定キーとして前記設定キーのいずれかを設定すること;入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する開錠キーに適合する場合に、開錠信号を発生すること;が含まれることができる。好適には、前記開錠キーの各々について、それぞれ固有の施錠キーを登録すること;入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する施錠キーに適合する場合に、施錠信号を発生すること;を含んでもよい。
【0016】
以下に紹介する実施例においては、上記の電子錠関連技術に関係する更なる技術的課題や解決手段、効果が開示される。本願の特許請求の範囲には、出願人が現在特許を求める技術的構成が、請求項に区分されて、いくつか定義されている。しかし出願人は、現時点では特許請求の範囲に記載されていなくとも、本願明細書や図面から把握されうるあらゆる新規な技術的特徴について、将来的に特許を請求する可能性があることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の一例となりうる、電子錠100の外観を描いた図である。
【図2】電子錠100における施錠機構を説明するための図である。
【図3】電子錠100の制御に関する要素を説明するためのブロック図である。
【図4】設定キー,施錠キー,開錠キーの対応表の例である。
【図5】施錠キーや開錠キーの登録を行う例示的処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図6】現在の設定キーをセットするための例示的処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図7】施錠を行うための例示的処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図8】開錠を行うための例示的処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図9】現在の設定キーを表示するための例示的処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態の例について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態の一例となりうる、電子錠100の外観を描いた図である。電子錠100は、錠本体102に、留め金として押し込み式のU字型シャックル202を有する、いわゆる南京錠タイプの錠として構成されている。錠本体102には、0〜9の数字にそれぞれ対応する10個の数字ボタン104や、入力された数字を決定するための決定ボタン106、施錠時に使用する施錠ボタン108、開錠時に使用する開錠ボタン110、発明の概要で説明された設定手段を作動させるために使用する設定ボタン112を備える。また錠本体102には、数字ボタン104を通じて入力された数字を表示するためのディスプレイ114も設けられている。本実施例におけるディスプレイ114は、図に点線で示されているように、5個までの文字を表示可能なように構成されている。錠本体102には、コンピュータとの接続などに用いることのできる、接続端子116が設けられていてもよい。
【0020】
図2は、電子錠100における施錠機構を説明するための図であり、断面図のような形式で描かれている。前述のように、電子錠100は、錠本体102に、留め金として押し込み式のU字型シャックル202を有する、いわゆる南京錠タイプの錠として構成されている。シャックル202の一端部204には、支柱206を介して、錠本体102との間にバネ208が設けられており、図示されている施錠状態において、バネ208は、シャックル202を上方に付勢している。シャックル202の他端部210には、ラッチ214に係合する係合溝212が設けられている。図示されるように、シャックル202の他端部210が錠本体102に収容されている状態で、ラッチ214が係合溝212に係合することにより、施錠が実現される。すなわち、バネ208がシャックル202を上方に付勢しているにも関わらず、ラッチ214が係合溝212に係合することにより、シャックル202は上方へ移動することができず、シャックル202の他端部210が錠本体から露出することができない。しかし、ラッチ214が係合溝212から外れると、シャックル202は上方へ移動することができ、バネ208の弾性力により、シャックル202の他端部210が錠本体から露出する程度まで、シャックル202が押し上げられる。これによって、開錠が実現される。ラッチ214は、図示されているような、係合溝212に係合する位置と、ラッチハウジング216に収容されて係合溝212から外れる位置の、少なくとも2つの位置の間を移動しうる。ラッチ214の移動は、アクチュエータやモータなどの駆動手段308(図3参照)によって制御される。本実施例では、駆動手段308として、ステッピングモータを使用する。ステッピングモータ308は、CPU302から供給される信号によって作動し、CPU302の指示に従って、ラッチ214を、図示される係合位置と、ラッチハウジング216に収容されて係合溝212とは係合しない位置との間のいずれかの位置に移動させる。
【0021】
図3は、電子錠100の制御に関する要素を説明するためのブロック図である。錠本体には、CPU302およびメモリ304が搭載されている。メモリ304は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであることができる。メモリ304は、CPU302に電子錠100の諸機能を実行させるためのコンピュータ・プログラム305を格納することができる。プログラム305は、実行時には、より高速のメモリ(SRAMなど、図示せず)にコピーされて実行されてもよい。メモリ304は、CPU302が、プログラム305を実行するために必要な情報を格納する記憶庫としても使用されうる。今後、特に断らない限り、以下に説明される電子錠100の各機能は、プログラム305の命令に従って、CPU302が動作することにより、少なくともその一部が実現されるものと考えて構わない。
【0022】
電子錠100はさらに、キーパッド306を有する。キーパッド306は、図1に関連して説明したボタン104〜112を備え、これらのボタンが押されると、CPU302にそれを伝えることができるように構成される。CPU302には、図1に関連して説明されたディスプレイ114も接続される。メモリ304に格納されるプログラム命令は、CPU302を制御して、ボタン104〜112からの入力などに応じて、ディスプレイ114に所定の情報を提示するように構成される。
【0023】
CPU302には、ステッピングモータ308も接続される、図2に関連して説明したように、ステッピングモータ308は、CPU302から供給される信号に応じて動作し、ラッチ214を、シャックル202の係合溝212と係合する位置と、ラッチハウジング216に収容されて係合溝212とは係合しない位置との間で移動させる。ステッピングモータ308への信号の供給も、プログラム305の命令に従って遂行される。
【0024】
電子錠100には、外部機器とのインターフェース310も設けられている。インターフェース310は、例えばパーソナルコンピュータと接続可能なものであることが好ましく、広く普及しているタイプのものであることが好ましい。インターフェース310は、例えばUSBインターフェースであることができる。
【0025】
電子錠100には、CPU302やモータ308,ディスプレイ114など各構成要素へ電源を供給するバッテリ312も搭載されている。バッテリ312は、不意のバッテリ切れにも容易に対処可能なように、汎用の形状と電圧を有する電池であることが望ましい。
【0026】
電子錠100は、施錠キー及び開錠キーの組み合わせをメモリ304に記憶しうる。電子錠100は、この組み合わせを複数個記憶することができ、また、各組み合わせには、それぞれ固有の設定キーが対応付けられている。このような対応表がメモリ304に記憶されているが、その例を表400(データベース400)として、図4を用いて説明する。表400において、最も左の列が設定キーを表し、中央の列が施錠キーを表し、右端の列が開錠キーを表している。この表によれば、設定キー0001には、施錠キー5824および開錠キー2286が対応付けられている。また、設定キー0002には、施錠キー6697および開錠キー1877が関係付けられている。設定キー0003と0004に関係づけられている施錠キーは、いずれも1326である。しかし、対応する開錠キーは、それぞれ7423,4895である。このように、複数の設定キーが、同一の施錠キーや開錠キーを有する場合があってもよい。大事なことは、特定の施錠キーと開錠キーの組み合わせに固有の設定キーが割り当てられていることであり、しかも、そのような組み合わせを複数個登録することが可能であることである。本実施例では、設定キーとして、0000〜9999の1万個を用いることができるため、最大で1万個の施開錠キーの組み合わせを登録することが可能である。しかし、むろんこれは例であり、例えば5桁の設定キーを用いてもっと多くの組み合わせを登録可能としたり、例えば3桁の設定キーを用いてもっと少ない組み合わせしか登録できないようにしたりしてもよい。また、本実施例においては、設定キーや施錠キー、開錠キーの構成要素として、数字しか利用していないが、実施形態によっては、アルファベットや記号、その他の任意の文字を利用してもよいことは言うまでもない。当業者であれば、設定キーや施錠キー、開錠キーに利用する文字の種類や数に応じて、キーパッド306を適切に構成することが可能であろう。
【0027】
前述のように、表400は、データとしてメモリ304に記憶される。メモリ304は不揮発性であるので、電源の供給が止まってもデータを失うことはない。表400は、コンピュータなどで作成し、それを電子錠100に転送することにより、メモリ304に記憶させることができる。すなわち、接続端子116およびインターフェース回路310を介してコンピュータと電子錠100とを接続し、CPU302の制御の下で、コンピュータから転送されてきたデータをメモリ304に送ることで、記憶させることができる。または、コンピュータで作成されたデータをUSBメモリなどに保存し、それを接続端子116に接続することにより、CPU302の制御の下で、当該USBメモリに格納されているデータをメモリ304に転送することとしてもよい。しかし、電子錠100は、コンピュータがなくとも、電子錠100本体だけで、施錠キーや開錠キーの登録を行うことができるようにも構成されている。その機能はプログラム305によって実装されるが、その処理の流れを図5を用いて説明する。
【0028】
図5は、電子錠100のみを用いて施錠キーや開錠キーの登録を行う処理を説明するためのフローチャートである。500は、電子錠100の電源が投入され、待機状態に入っていることを示す。キー登録機能にアクセスするために、本実施例では、ユーザが、設定ボタン112を一定時間以上長押しすることが必要とされている。一定時間以上長押しすると(502)、ディスプレイ114に、「トウロク」との文字が表示される(504)。そこで、所定時間内に決定ボタン106を押すと、ディスプレイ114に「バンゴウ」との文字が表示される(506)。この状態で、設定キーとして使用する4桁の番号を数字ボタン104を用いて入力し、決定ボタン106を押すと、続けて、その設定番号に対応付けて施錠キーと開錠キーを登録することができるようになる。なお、504で、所定時間内に決定ボタン106を押さないと、処理は500に戻り、電子錠100は待機状態へと復帰する。
【0029】
設定番号を入力すると、次にディスプレイ114に「セジョウ」と表示される。この状態で、施錠キーとして使用する4桁の番号を数字ボタン104を用いて入力し、決定ボタン106を押すと、ステップ506で設定した設定キーに関係付けられて、施錠キーが登録される(508)。施錠キーの登録が終わると、ディスプレイ114には「カイジョ」と表示される。そこで、開錠キーとして使用する4桁の番号を数字ボタン104を用いて入力し、決定ボタン106を押すと、ステップ506で設定した設定キーに関係付けられて、開錠キーが登録される(510)。上記の設定キー,施錠キー,開錠キーの組み合わせは、例えば表400のような形式を有するデータとして、メモリ304に記憶されてもよい。512は処理の終了を表し、電子錠100は待機状態へと復帰する。
【0030】
これらのステップにより、電子錠100のみを用いて施錠キーや開錠キーの登録を行うことが可能となる。なお、このような実装が単なる例であり、登録機能の実装形態には様々な変形が可能であることはもちろんである。例えば、登録機能へのアクセスに、ステップ502では、単に設定ボタンの長押しとしていたが、これを暗証番号を用いるやり方に切り替えてもよい。例えば、まずは予め定められた4桁の暗証番号(例えば9588)を数字ボタン104を使用して入力し、その後に設定ボタン112を押すと、ステップ504に進むように修正してもよい。登録機能へのアクセスに暗証番号を用いる実施形態は、登録機能への安易なアクセスを防止し、セキュリティを高めるという点で、望ましいものである。つまり、管理者以外の者が、自分の所望の設定キーに対応付けて勝手な施開錠キーを登録してしまうというような事態を防止することができる。
【0031】
電子錠100は、現在の設定キーとして、登録されている複数の設定キーのいずれかをセットしうるように構成される。そして、数字ボタン104を用いて入力された番号が、施錠番号や開錠番号に一致する場合、それぞれ施錠や開錠が可能となるように構成される。次に、これらの処理の例を図を用いて説明する。まずは、図6を用いて、現在の設定キーをセットするための例示的処理の流れを説明する。
【0032】
600は、電子錠100の電源が投入され、待機状態に入っていることを示す。現在の設定キーをセットするための機能アクセスするために、本実施例では、ユーザが、設定ボタン112を短く押すことが必要とされている。ここで、一定時間以上長押しすると、施開錠キー等の登録機能へアクセスしてしまう(図5のステップ502参照)ので、注意が必要である。設定ボタン112をはじめ、電子錠100の各ボタンは、押下されると、それを割り込みイベントとしてCPU302に教えることができるように構成されている。設定ボタン112の押下がCPU302に知らされると(602)、プログラム305は、CPU302を制御して、押下されていた時間を調べ、それが所定時間以内であるなら、ディスプレイ114に、「セッテイ」との文字を表示する(604)。この状態で、所定時間内に決定ボタン106を押すことにより、設定キーの入力へと進むことができる。所定時間内に決定ボタン106が押されたことを検出すると、プログラム305は、CPU302を制御して、ユーザに設定キーを入力するように促す。これは、例えば、ディスプレイ114に「バンゴウ」との文字を表示することによって為されてもよい。その状態で、ユーザは、例えば、現在の設定キーとして使用しようとする設定キー(例えば0005)を入力し、決定ボタン106を押す。決定ボタン106が押されたことを検出すると(606)、CPU302は、プログラム305の命令に従って、例えばデータベース400を参照し、ステップ606で入力された設定キーに対応するキーが、データベース400に登録されているか否かをチェック(608)する。対応するキーが見つからない場合は、設定キーのセットは失敗に終わり、適当な報知を行った上で、処理ステップは602の前に戻る。この報知は、例えば、アラームを鳴らしたり、ディスプレイ114に「シッパイ」「Failed」などの文字を表示することであったりしてもよい。ステップ608で、入力された設定キーに対応するキーが、データベース400中に見つかった場合、プログラム305及びCPU302は、その設定キーを現在の設定キーとしてセットする。610は処理の終了を表し、電子錠100は待機状態へと復帰する。
【0033】
このような実装が単なる例であり、現在の設定キーを切り替える機能の実装形態には様々な変形が可能であることはもちろんである。例えば、施開錠キーの登録機能へのアクセスの場合と同様に、現在設定キーの切り替え機能へのアクセスにも、暗証番号を使用することは、セキュリティの向上に好ましいことである。例えば、ステップ602は、単に設定ボタン112を押すのではなく、まずは予め定められた4桁の暗証番号(例えば4731)を数字ボタン104を使用して入力し、その後に設定ボタン112を押さないと、ステップ604に進めないように修正してもよい。このような実施形態によれば、暗証番号を知っている管理者以外は現在の設定キーを変更することができないので、管理者以外の者が不正に開錠することが、より困難になる。つまり、管理者以外の者が、自分が解除番号を知っている設定キーに勝手に変更して、不正に開錠してしまうという事態を防止することができる。
【0034】
図7は、施錠を行う例示的処理の流れを説明するための図である。700は、電子錠100の電源が投入され、待機状態に入っていることを示す。施錠を行うために、本実施例では、ユーザが、施錠ボタン108を押すことが必要とされている。前述のように、施錠ボタン108をはじめ、電子錠100の各ボタンは、押下されると、それを割り込みイベントとしてCPU302に教えることができるように構成されている。施錠ボタン108が押されたことがCPU302に通知されると(702)、CPU302は、プログラム305の命令に従い、ディスプレイ114に、「セジョウ」との文字を表示する(704)。このとき、本実施例では、所定時間内に、シャックル202を施錠位置へと移動させることを求めている。つまり、シャックル202を錠本体102に押し込むことを必要としている。シャックル202の移動をセンサ等で検知すると、プログラム305(図3参照)は、CPU302に、ディスプレイ114に「バンゴウ」の文字を表示させる(706)。なお、所定時間内にシャックル202を施錠位置へと移動させないと、処理は700に戻り、電子錠100は待機状態へと復帰する。その場合は、もう一度施錠ボタン108を押すことからやり直さなければならない。
【0035】
ディスプレイ114に「バンゴウ」の文字が表示された状態(706)で、ユーザが、現在の設定キーに対応する施錠キーを数字ボタン104を使用して入力し、決定ボタン106を押す。決定ボタン106の押下に応答して、プログラム305は、CPU302に命令して、入力されたキーが、現在の設定キーに対応する施錠キーに一致しているか否かを調べる(708)。一致していなければ、一致していないことを報知した上で、処理をステップ706に戻し、改めて施錠キーの入力を求める。報知は、例えば、アラームを鳴らしたり、ディスプレイ114に「シッパイ」「Failed」などの文字を表示することであったりしてもよい。ステップ708で、入力されたキーが、現在の設定キーに対応する施錠キーと適合していることが判明した場合、プログラム305は、CPU302に命令して、ステッピングモータ308を作動させるための信号を出力させる。その信号によりステッピングモータ308が作動すると、ラッチ214が、図2に描かれるような施錠位置へと移動する。710は処理の終了を表し、電子錠100は待機状態へと復帰する。
【0036】
このような実装が単なる例であり、施錠処理の実装形態には様々な変形が可能であることはもちろんである。例えば、施錠を行うために、施錠ボタンを押す段階(ステップ702)は廃し、シャックル202が施錠位置に押し込まれたことを検知して、番号入力を求めるステップ(ステップ706)に移行するように構成してもよい。この場合、ステップ704も省略できるだろう。大事な点は、現在の設定キーに対応する施錠番号を入力することに応じて、施錠が行われる点であり、その実装形態は千差万別であってよい。さらに、実施形態によっては、施錠はオートロックとしてもよい。
【0037】
図8は、開錠を行う例示的処理の流れを説明するための図である。800は、電子錠100の電源が投入され、待機状態に入っていることを示す。開錠を行うために、本実施例では、ユーザが、開錠ボタン110を押すことが必要とされている。開錠ボタン110が押されたことがCPU302に通知されると(802)、CPU302は、プログラム305の命令に従い、ディスプレイ114に、「カイジョウ」との文字を表示する(804)。このとき、本実施例では、所定時間内に決定ボタン106が押されることを必要としている。所定時間内に決定ボタン106の押下がCPU302に通知されないと、プログラム305は、処理を800に戻り、電子錠100を待機状態へと復帰させる。所定時間内に決定ボタン106の押下が通知されると、CPU302は、プログラム305の命令に従い、ディスプレイ114に「バンゴウ」の文字を表示し、ユーザに、開錠キーの入力を求める。ユーザは、現在の設定キーに対応する開錠キーを数字ボタン104を使用して入力し、再び決定ボタン106を押す。決定ボタン106の押下に応答して、プログラム305は、CPU302に命令して、入力されたキーが、現在の設定キーに対応する開錠キーに一致しているか否かを調べる(808)。一致していなければ、一致していないことを報知した上で、処理をステップ806に戻し、改めて開錠キーの入力を求める。図示してはいないが、例えばキーの不一致が何度か続いた場合、処理をステップ802へと戻してもよい。ステップ808で、入力されたキーが、現在の設定キーに対応する施錠キーと適合していることが判明した場合、プログラム305は、CPU302に命令して、ステッピングモータ308を作動させるための信号を出力させる。その信号によりステッピングモータ308が作動し、ラッチ214(図2参照)をラッチハウジング216(図2参照)へと収容し、ラッチ214がシャックル202の係合溝212から外れるようにする。これによって開錠が実現される。810は処理の終了を表し、電子錠100は待機状態へと復帰する。
【0038】
このような実装が単なる例であり、開錠処理の実装形態には様々な変形が可能であることはもちろんである。例えば、ステップ802にて開錠ボタン110が押されたとき、電子錠100が既に開錠状態にある場合が考えられる。開錠状態にあるか否かは、例えばラッチ214の位置や、シャックル202の位置などをセンサ等で調べることにより、検知することが可能である。そこで、プログラム305およびCPU302は、ステップ802で開錠ボタン110が押されたとき、電子錠100が既に開錠状態にあるか否かを調べ、既に開錠状態にある場合には、ステップ804に進まずに、ステップ800に戻って待機状態へと復帰するように構成されてもよい。
【0039】
上述のように、電子錠100は、現在の設定キーを変更することにより、施錠キーと開錠キーの組み合わせを変更することができる。設定キーと施錠キー・開錠キーの対応表は管理者のみが管理し、設定キーのセットも管理者のみが行うことが想定されているため、開錠者は、予め開錠キーを知ることができないことが想定されている。しかし、何度も使用しているうちには、開錠者も、特定の設定キーに対応する開錠キーを覚えてしまうかもしれない。
【0040】
そのような事態を防止するためには、開錠者が、現在の設定キーを見ることができなくすることが好ましい。しかし、現在の設定キーを見ることを全く不可能とすると、管理者が現在の設定キーが何かを確認したいときに、不便であるだろう。
【0041】
そこで、電子錠100は、特定の暗証番号の入力に応じて、現在の設定キーを表示するように構成される。この機能に係る例示的処理の流れを図9を用いて説明する。
【0042】
900は、電子錠100の電源が投入され、待機状態に入っていることを示す。この状態で、予め定められた暗証番号を数字ボタン104を用いて入力し(902)、所定時間内に決定ボタン106を押下するとする(904)。すると、プログラム305は、CPU302に命令して、メモリ304等に予め記憶されている暗証情報と入力された暗証番号が対応しているかどうかを確認し(906)、対応している場合は、現在の設定キーをディスプレイ114に表示する(908)。入力された暗証番号が記憶されている情報に対応しない場合は、処理をステップ902に戻し、改めて暗証番号の入力を求める。このとき、入力した暗証番号が受け付けられなかったことをユーザーに示すために、アラームを鳴らしたり、ディスプレイ114に「シッパイ」「Failed」などの文字を表示してもよい。910は処理の終了を表し、電子錠100は待機状態へと復帰する。
【0043】
セットされた現在の設定キーは、メモリ304に記憶されることが好ましい。それは、メモリ304が不揮発性であるので、電源の供給が止まってもデータを失うことがないからである。従って、施錠中に電池が切れても、新しい電池に入れ替えることで、記憶していた現在の設定キーに対応する開錠キーで、開錠を行うことが可能となる。
【0044】
図7や図8のステップ708や808において、入力されたキーが、現在の設定キーに対応する施錠キーや開錠キーに対応する場合に、施錠や開錠を行うこととしているが、その実装方法には、いくつかバリエーションが考えられる。まず、セットされた現在の設定キーを、どこかに記憶しておく必要がある。適当な場所は、前述の通り、不揮発性メモリ304であるが、図示されない他のメモリ、例えば揮発性メモリに記憶しておくことも、本発明の実施形態のバリエーションから排除しない。また、ハードウェアのダイヤルなどによって、現在の設定キーをセットすることも、本発明の実施形態のバリエーションから排除しない。
【0045】
入力されたキーと、現在の設定キーに対応する施錠キーや開錠キーと比較するためには、これらの施錠キーや開錠キーを保管しておかねばならない。プログラム305は、現在の設定キーに対応する施錠キーや開錠キーを得るために、現在の設定キーを検索キーとして、CPU302にデータ(表)400を検索させるように構成されてもよい。プログラム305は、現在の設定キーに対応する施錠キーや開錠キーが必要となるたびに、すなわち図7や図8のステップ708や808で入力されたキーとの比較を必要とする度に、データ400を検索させるように構成されてもよい。または、現在の設定キーがセットされたときに、対応する施錠キーや開錠キーをデータ400から検索し、それらをメモリ304に記憶させるように、構成されてもよい。後者の場合、入力されたキーとの比較を行う際(708,808)に、改めてデータ400から検索する必要がなく、記憶された施錠キーや開錠キーを読み出すだけでよいため、処理が簡単で済むという利点がある。
【0046】
前述のように、電子錠100に係る技術は、PETの撮影に使用する放射性医薬品などを運搬する箱を施錠することを目的として開発されたものであるが、この目的に沿った利用に限定されることなく、施開錠を必要とするあらゆる分野において、制限なく利用可能な技術であることは明らかであろう。しかし、実施形態によっては、電子錠100を、放射性医薬品を運搬する箱(通常は放射能遮蔽機能を備え遮蔽箱)に一体化してもよい。そのような箱も、本発明の実施形態の一例である。
【0047】
製造された放射性医薬品は、一カ所の施設だけへ配送されるだけでなく、複数の施設へ別々に配送される場合がある。その場合、配送先毎に個別に設定キーをセットしてもよいが、管理が大変になるので、全ての配送先に対して同じ設定キーをセットし、同じ開錠キーで開錠が可能になれば、便利である。このため、電子錠100は、単体で販売されるだけでなく、設定キー・施錠キー・開錠キーの登録情報が同一の電子錠を複数台含む、セットとして製造・販売されることがある。このようなセットも、本発明の実施形態の一例である。
【0048】
また、これまでの説明で理解されたと思われるが、電子錠100の主な機能は、プログラム305によって実装されることができる。従って、かかるプログラムを単体の製品として製造販売することも可能である。プログラムは、インターネットなどを通じてダウンロード販売されたり、CD−ROMやUSBメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されて販売されたりすることができる。このようなプログラムや記憶媒体も、本発明の実施形態の一例である。なお、実施例によっては、上記の機能の少なくとも一部を、ハードウェア回路やプログラマブル回路で実現することもできることはむろんである。
【0049】
図1,図2に関連して説明してきたように、電子錠100は、南京錠として構成されていたが、本発明の実施形態は、むろん南京錠への実装に限らず、様々なタイプの錠前に実装することが可能である。なお、南京錠の錠前部分の詳細な構成が、特開平8−184233号公報や、特表2001−516831号公報に記載されているので、必要であれば参照されたい。本発明の実施形態が、これらの南京錠へも実装可能であることは言うまでもない。
【0050】
以上、電子錠100の様々な側面を説明することを通じて、本発明の実施形態の様々な例を説明してきたが、これらの説明は本発明の範囲を限定することを目的として提供されたものではなく、本発明のより深い理解に資するために提供されたものであり、特許を受けるための法的要件を満たすために提供されたものである。請求項には本発明の好適な実施形態がいくつか定義されているが、これらの実施形態も、本発明の思想を逸脱することなく、様々な具体的構成として具現化されうることはいうまでもない。そして、それらの具体的実施形態は、請求項に係る発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
100 電子錠
102 錠本体
104 数字ボタン
106 決定ボタン
108 施錠ボタン
110 開錠ボタン
112 設定ボタン
114 ディスプレイ
116 接続端子
202 シャックル
204 一端部
206 支柱
208 バネ
212 係合溝
214 ラッチ
216 ラッチハウジング
304 メモリ
305 プログラム
306 キーパッド
308 ステッピングモータ
310 インターフェース
312 バッテリ
400 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開錠キーを、それぞれ固有の設定キーに対応づけて登録しうるように構成されるキー登録手段と;
現在の設定キーとして前記設定キーのいずれかをセットしうるように構成される設定手段と;
入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する開錠キーに適合する場合に、開錠信号を発生するように構成される、施開錠信号発生手段と;
を備える、電子錠。
【請求項2】
前記キー登録手段は、前記開錠キーの各々について、それぞれ固有の施錠キーを登録しうるように構成され、
前記施開錠信号発生手段は、入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する施錠キーに適合する場合に、施錠信号を発生するように構成される、
請求項1に記載の電子錠。
【請求項3】
暗証番号の入力に応じて前記現在の設定キーを設定可能とするように構成される、請求項1または2に記載の電子錠。
【請求項4】
暗証番号の入力に応じて前記現在の設定キーを表示するように構成される、請求項1から3のいずれかに記載の電子錠。
【請求項5】
セットされた前記現在の設定キーを不揮発性メモリに記憶するように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の電子錠。
【請求項6】
前記キー登録手段が外部インターフェースを備える、請求項1から5のいずれかに記載の電子錠。
【請求項7】
放射性医薬品を収容する放射能遮蔽箱を施錠するために使用される、請求項1から6のいずれかに記載の電子錠。
【請求項8】
放射性医薬品の運搬に使用される箱に一体化される、請求項1から6のいずれかに記載の電子錠。
【請求項9】
錠本体と、少なくとも1つの開放端を有する留め金と、前記開放端のいずれもが前記錠本体に収容された状態で、前記留め金に設けられた溝に係合して前記留め金を固定しうるラッチと、前記ラッチを、前記溝に係合する位置と前記溝に係合しない位置との間で移動させうるアクチュエータ又はモータとを備え、
前記施錠信号が、前記ラッチを前記溝に係合させるように前記アクチュエータ又はモータを動作させ、前記開錠信号が、前記ラッチを前記溝から外すように前記アクチュエータ又はモータを動作させるように構成される、
請求項1から6のいずれかに記載の電子錠。
【請求項10】
前記錠本体に、前記施錠キー又は前記開錠キーを入力するためのボタンと、前記設定手段の作動に関連する設定ボタンとを備える、請求項9に記載の電子錠。
【請求項11】
請求項1から7および9から10のいずれかに1項に記載の電子錠を複数個有する、電子錠セット。
【請求項12】
電子錠が備えるプロセッサに、
複数の開錠キーを、それぞれ固有の設定キーに対応づけて登録すること;
現在の設定キーとして前記設定キーのいずれかを設定すること;
入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する開錠キーに適合する場合に、開錠信号を発生すること;
を実行させうるように構成される、コンピュータ・プログラム。
【請求項13】
前記プロセッサに、
前記開錠キーの各々について、それぞれ固有の施錠キーを登録すること;
入力されたキーが、前記現在の設定キーに対応する施錠キーに適合する場合に、施錠信号を発生すること;
をさらに実行させうるように構成される、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
前記プロセッサに、前記現在の設定キーを、不揮発性メモリに記憶させるように構成される、請求項12または13に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
プロセッサと、請求項12から14のいずれかに記載のコンピュータ・プログラムを格納するメモリとを備える、電子錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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