説明

電子鍵を使用したマンションの総合管理システム

【課題】 マンションのような集合住宅においては、家賃管理、建物設備管理、清掃管理、鍵の交換や管理などの各種の管理業務があり、管理人を常駐させて業務を行っているものが多い。各種のマンション管理業務の一部はコンピュータによる自動化の作業に置き換わっているが、マンション管理全体を統括的に管理するシステムは実現されていない問題があった。
【解決手段】 本発明は、各住戸に電子鍵の設置されたマンションにおいて、電子鍵の個人識別認証信号を使用して、マンションの各種の管理を統括的に実効するマンションの総合管理システムを実現することにより問題点を解決したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子鍵を使用したマンションの総合管理システムに関する。
本発明の電子鍵を使用したマンションの総合管理システムは、マンション管理サーバーと、マンションに設置されたエントランス端末との間をネットワークで相互に接続して電子鍵のデータを使用してマンションの管理業務を総合的に行うようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの建屋内に複数の住戸が設けられているマンションのような集合住宅においては、これを維持管理するために各種の管理業務を行う必要がある。マンションの建物の側では、家賃管理、建物設備管理、清掃管理、鍵の交換や管理などの各種の管理業務があり、管理人を常駐させて業務を行っているものが多い。又、住民の側では、理事会、総会などの各種会合の案内や点検工事などの連絡業務が多いが、これらの案内は掲示板に掲示されることが多く掲示板を見ないと分からない等の問題があった。
これらの各種のマンション管理業務の一部はコンピュータによる自動化の作業に置き換わっているが、マンション管理全体を統括的に管理するシステムは実現されていない。
【0003】
【特許文献1】特開2002−207810号公報,
【特許文献2】特開2002−351958号公報,
【特許文献3】特開2002−11776号公報,
【特許文献4】特開2008−46742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的はマンションの管理業務を簡便かつ短時間で正確に行うことができるマンションの総合管理システムを実現することにある。
最近、ICタグ(ICチップ)を内蔵した電子鍵が実用化されている。電子鍵は、記憶部に所有者及び個人に係る個人識別認証信号を記憶しておき、送信部から電子鍵に送信する電子鍵と、受信した個人識別認証信号を取り出した個人認証情報と情報記憶部に記憶させてある個人認証番号を比較認証し、二つの情報が一致した場合は解錠信号を、不一致の場合は施錠信号を発生させて解錠、施錠制御を行う電子鍵により構成されている。
本発明は、この電子鍵の個人識別認証信号を使用して、マンションの各種の管理を統括的に実効するマンションの総合管理システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のマンションの総合管理システムは、建屋内に複数の住戸と共用施設とを設けているマンションに、各住戸の電子鍵により自動解錠される玄関ドアと、マンションの玄関ホールに設けた表示装置を備えたエントランス端末を設置し、エントランス端末を通信回線を介してインターネット上に設けたマンション管理サーバーに接続し、マンションの玄関ドアの開閉制御、居住者の家賃等の管理、マンション居住者に対する共通の連絡、各住戸の居住者に対する個別の連絡、各住戸電子鍵の管理等の全ての管理業務をエントランス端末とマンション管理サーバーにより電子鍵の個人識別認証信号を使用して総合して行うことができるようにしたものである。
本発明のマンションの総合管理システムは、フェリカ(登録商標)やマイフェア(登録商標)といったICタグを内蔵したカードや携帯電話に登録した電子鍵の個人識別認証信号で、個人の住民(使用者)を特定できるため、プライベート情報を配信することが可能で特定の住民に対する告知が可能になる。これにより、郵送及び電話による告知業務が削減される。
さらに、この個人を特定した情報配信を応用して、アンケート収集や広告の配信を行い、管理会社やマンションオーナーへの広告料収入といったこれまでなかった新しい収益源を確保できる。
例えば、東京都在住の30代女性にのみ配信といった地域や年齢、属性等を絞り込みして配信することが可能で、広告主としても効率のよい早くて安価な広告料金で告知が可能となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のマンション総合管理システムは、管理業務を簡便かつ短時間で正確に行うことができる。
さらに、本発明のマンション総合管理システムは、マンション管理サーバーに通信ネットワークを介してパソコン端末や携帯電話端末からのアクセスが可能となるため、データや資料を効率的に利用することができ、管理業務に係る連絡及び一般入居者との情報伝達を容易かつ迅速に実施することができ、業務の効率化を図ることができる。
本発明によれば、複数のマンションをまとめて管理することができ、業務効率を向上させることができる。さらに、マンションの住人に対しては、24時間のサービスを提供することができるので住人の満足感を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明の電子鍵を使用したマンションの総合管理システムの構成を示すシステム説明図である。
図1において、10はインターネット上に設置されたマンション管理サーバーである。NTはインターネット等の通信回線、11は通信回線NTに接続された管理者用操作端末で、鍵として使用されるICタグ内のデータを読み取りや書き込みを行うリーダー/ライター12を備えている。
MNは、1つの建屋内に複数の住戸と、マンション玄関ドアと、玄関ホールなどの共用施設とを設けられた一つのマンションを示す。
13は、マンションMN内に設置されインターネット等の通信回線NTと接続されており、マンションMN内の各種装置と接続されているルーターである。
14は、マンションMNに設置されたルーター13に接続されたエントランス端末でパソコンを使用し、表示装置15とICタグ内のデータを読み書きするための機能とマンション玄関ドア18の開閉やエレベーターの制御を行う制御盤17への電気信号を発信するリーダー/ライター16を備えている。19は電子鍵のリーダー/ライターを具備した建屋内の複数の住戸の電子錠である。
マンション管理サーバー10はインターネット等の通信回線NTを介してマンションMNに設けられたルーター13に接続されている。
【0008】
ここで、図1に示したマンション管理サーバー10及びエントランス端末14は、1台のサーバーマシンを意味しているものではなく、複数のサーバーマシンの結合によって後述する機能を有するようにしているものであってもよい。
大型マンションでエントランス等の出入り口が多数あり、エントランス端末14を多数設置するような場合、各エントランス端末を制御するためにマンション内に小型サーバーを設置し、各エントランス端末とマンション管理サーバーの処理を小型サーバーで同期処理させることによりマンション管理サーバー10での処理を省くことができスムーズな処理を行うことができるようにさせることができる。
このように構成された本発明の電子鍵を使用したマンションの総合管理システムの各種の機能について以下に説明する。
本発明の電子鍵を使用したマンションの総合管理システムには電子鍵管理機能、一般情報伝達機能、個別情報伝達機能がある。
電子鍵管理機能は、マンション管理サーバー10でマンションの全ての鍵の開閉の制御、鍵の設定変更、取り消しなどを行うようにしたものである。
一般情報伝達機能は、マンション管理会社からの連絡事項を表示する電子掲示板機能や、近所連絡帳や、よくされる質問事項の回答集を表示、一般的な情報の伝達機能を持っている。特に、電子掲示板機能によって、管理組合の総会の内容や、マンション管理会社からの連絡事項を、住人が見たいときにいつでも閲覧することができるので、連絡漏れを防止することができる。
個別伝達機能は、マンションの各居住者の個別情報の伝達を個別に行うことができるようにしている。ここで個別情報とは、登録されたメッセージである。
【0009】
以下に、電子鍵管理機能の詳細について説明する。
電子鍵の個人識別認証信号は本発明の基本データであり、マンション管理サーバー10では、登録された各種のコード(ID)データを連携させるため電子鍵の個人識別信号を使用してデータの管理を行っている。マンション管理会社やマンションオーナー(以下「管理者」という)が、マンション情報、電子鍵の個人識別認証信号と住民情報を管理者用操作端末11からマンション管理サーバー10のデータベースに登録する。
住民で、他のICタグを内蔵したカードや携帯電話などを電子鍵として登録したい場合は、エントランス端末14や携帯電話、パソコンから登録の申請を行い、管理者が承認することでマンション管理サーバー10に登録する。登録された電子鍵の個人識別認証信号は、該当するマンションのエントランス端末14や各部屋に設置された電子錠19に送信され、使用することが可能となる。
【0010】
図2は、マンション管理サーバー10において登録されたデータを連携させるために使用される各種のコード(ID)を示したものである。
図2に示すように、管理サーバー10では、登録されたデータを連携させるため各種のコード(ID)を使用してデータの管理を行っている。
管理者IDは、マンション管理会社やマンションオーナー等、管理物件を管理するためのIDである。
マンションIDは、建物(物件)ごとのIDで一つの建物につき1つのIDで管理する。その他、建物情報(名称や住所など)が同時に登録される。
エントランス端末ID は、マンションに設置されたエントランス端末14のIDである。
電子錠IDは、マンションの各部屋に設置された電子錠19の本体のIDで、一つの建物に複数のIDを管理する。その他、住民情報(氏名や連絡先など)が同時に登録される。
電子鍵IDは、電子鍵(カード、携帯電話等)のICタグ内にあるIDで1つのエントランス端末14や電子錠19に複数のIDを管理する。その他、使用者情報(氏名や連絡先など)が同時に登録される。
【0011】
マンション管理サーバー10は、これらのコード(ID)情報を蓄積管理し、各マンションに設置されたエントランス端末14や電子錠19に登録情報を送信することで、カギの開閉を可能にし、メンテナンスを行う。
これらのコード(ID)の構造は、図3のようになる。
一つの管理者IDで複数のマンションIDを管理し、マンションIDごとに共通のメッセージ(マンション管理上の案内など)を一つのマンションMN内に設置されたエントランス端末14に送信する。
さらにマンションIDは、複数の電子錠IDを管理し住民の情報を管理するとともに、個人ごとに電子鍵IDと組み合わせし、個々の電子鍵IDに対し電子鍵の使用者宛に個別メッセージを送信することで、個人宛のメッセージが表示可能となる。
【0012】
図4はマンション管理サーバー10に電子鍵を登録するフローチャートを示したものである。
図4のフローチャートに示すように、入居者がエントランス端末14に設置された電子錠のリーダー/ライター16に入居時に予め1枚のみ渡される電子鍵登録用マスター鍵(カード)をかざしてマンション管理サーバー10へのログインを行う。
まず、マスター鍵であるかどうかの判断を行い、マスター鍵であれば鍵発行画面(申請画面)を表示し、新たに登録する電子鍵を電子鍵のリーダー/ライター16にかざして、当マンションに未登録の電子鍵であれば、あらかじめマンション管理会社により登録された該当の部屋の住民が表示され、電子鍵の使用者情報と電子鍵の使用者とを選択しデータを連結する。1つの部屋に複数のカードを登録する場合は、同様に全ての電子鍵IDを登録する。
マンション管理サーバー10に登録された電子鍵IDは、エントランス端末14、電子鍵のリーダー/ライター16及び各部屋の電子錠19に送信され、マンション玄関ドアや各部屋の電子錠の解錠が可能となる。
なお、セキュリティの観点から、自動的に登録するのではなく、マンション管理サーバー10に登録した時点ではエントランス端末14、電子鍵のリーダー/ライター16及び各部屋の電子錠19には電子錠IDを送信しないで、管理者が住民の確認を取った上でエントランス端末14、電子鍵のリーダー/ライター16及び各部屋の電子錠19に電子錠IDを送信することも可能である。
また、企業のように、社員の権限により使用できる部屋を管理する場合は、権限にランクを設けて各電子錠19に電子鍵IDを登録することで、容易にセキュリティの高いカギを発行することが可能となる。
【0013】
このように、電子鍵情報を個人情報に関連つけて、マンション管理サーバー10に登録しておき統括的に管理することにより、カギ管理業務の効率化ができる。
ICタグを搭載したカードや携帯電話を使って、新しく鍵を発行でき、また鍵情報を削除できるため、これまでは住民がスペアキーをいくつ作ったなどについては不明であったが、デジタル化することにより管理が可能となり、鍵は鍵屋で成形するのではなく、フェリカなどのICタグを搭載したカードもしくは携帯電話をマンション管理サーバー10に登録することで鍵とすることができるためマンション側に鍵設定料金といったこれまでに発生しなかった収益が見込める。
また、住民がカギを紛失した場合などは即時に停止できるためセキュリティが向上する上、住民がマンション退去後には鍵や錠前の交換が必要であったが、電子鍵データの削除で入室できなくなるため鍵交換が不要となりコスト削減効果も見込める。
さらに、マンション管理サーバー10側で時間制限を設けて電子鍵を発行することも可能となるため、親戚や友人に一時的に入室可能な電子鍵を作ることも可能となる。
同様に、マンション営業担当者も時間制限付きで、かつ電子鍵を即時発行できることから、入居希望者に部屋を公開する場合も会社まで鍵を取りに行くなどの業務が低減される。
なお、電子鍵に関連した個人情報等は、すべてマンション管理サーバー10にて管理を行うため、エントランス端末14や電子錠のリーダー/ライター16、電子錠19においては個人情報を持たず、それぞれの電子鍵IDだけをマンション管理サーバー10から取得しIDのみで制御を行うため、個人情報も守られる。
【0014】
マンションの応用としてホテルで使用する場合は、エントランス端末14を情報配信端末として使用しホテル周辺の情報(広告)を表示させ、パンフレット等の削減を行う。また、エントランス端末14に小型のプリンタを内蔵することで、地図や割引クーポンなどを印刷することも可能である。さらに、エントランスと併せて各部屋に小型タッチパネル画面を設置することで、広告を含め施設案内やサービス案内を表示させることで、サービスの向上を図ることが可能となる。
戸建の場合は、玄関、勝手口、倉庫、車庫の鍵をまとめることが可能であるため、複数の鍵を持ち歩く必要もなくなる。また、戸建の場合は電子錠19に携帯電話のブラウザを自動起動させるプログラムを入れておくことで、マンション同様に情報の配信が可能となる。
【0015】
電子鍵は、現在フェリカやマイフェアといったICタグを利用した鍵システムが主流となっており、通常はそれぞれのICタグにある特定のIDを利用して管理を行うが、今後様々な方式の非接触型ICタグ開発や普及も考慮し、独自でIDを発番しICタグに書き込むことで、管理を行うことも可能になる。
フェリカを例にすると、データを書き込みできる領域を持っているため、リーダー/ラーターにICをタッチした際、読み込みを行い瞬時に特定のIDを発番し書き込むことが可能である。また、このデータ書き込み領域に現在利用されているポイントサービスやクーポンサービスとは異なり、時間を書き込みすることで、その時間だけ開くカギを発行することも可能である。
時間制限付きの電子鍵については、ICタグに時間を書き込み電子錠19側で時間を確認し解錠する方法と、電子錠19がネットワークに接続されている場合は、電子錠19に直接電子鍵IDと時間を書き込むことで同様のことが可能となる。
【0016】
エントランス端末14はパソコンを使用し、メッセージ表示部15はタッチパネル端末を使用する。メッセージ表示部は、インターネットのブラウザ機能を使用するためリアルタイムに変更、更新が可能であり、タッチパネル端末を使用するため画面に触れることで別のページに移動したり、詳細ページを表示したり、画像や映像、音声など様々な表現が可能である。
また、エントランス端末14に使用しているパソコンとリーダー/ライター16を連携(接続)することで、電子鍵をリーダー/ライター16にかざした際にマンション管理サーバー10から該当する電子錠IDを検索することで個人宛のデータやメッセージをメッセージ表示部15に表示させることが可能となる。さらに、リーダー/ライター16をネットワークを介して制御盤に接続することで、エントランス端末14が正常に動作しない場合においてもエントランスドアへ解錠信号を直接送信することにより、エントランスドアの解錠をすることが可能となる。
【0017】
次に、本発明の電子鍵を使用したマンションの総合管理システムを採用したマンションの居住者が自分の住居に入るまでのプロセスについて以下に説明する。
本発明の電子鍵を使用したマンションの総合管理システムでは、マンションの居住者が自分の住居に入る際に居住者に対する一般情報の共通メッセージと、特定の入居者に対する個別メッセージとが伝達される。マンションの住民に対する一般情報と個別情報の伝達(配信)は全てマンション管理サーバー10のデータベースに予め登録され、通信回線を通して行われる。
マンション管理サーバー10は、共通メッセージを登録するデータ記憶領域と電子鍵使用者に対する個別メッセージを登録するためのデータ記憶領域とを持っており、これらのデータ記憶領域のメッセージを管理し、通信回線を介してマンションの情報端末(エントランス端末14や携帯電話など)に表示させる。
入居者の個人宛個別メッセージの表示は、エントランス端末14に電子鍵(カードや携帯電話等)をかざした際に、エントランス端末14からインターネット等の回線NTを通じてマンション管理サーバー10へ電子鍵IDを通知し、電子鍵使用者に対するメッセージがあるかどうかを確認する。メッセージがあれば電子鍵使用者に対する個人宛メッセージをマンション管理サーバー10にログインした電子鍵使用者専用ページとしてエントランス端末や携帯電話に表示する。
【0018】
図5はマンションの住民に対する共通メッセージの情報表示(配信)の登録を行うためのフローチャートを示したものである。
マンションの住民に対する共通メッセージの登録は、マンション管理会社等に設置された管理者用操作端末11(パソコン)から行う。図5のフローチャートに示すように、管理者用操作端末11に接続されたリーダー/ライターに管理者用の電子鍵をかざすことで、マンション管理サーバー10へログインし、情報の登録を行う画面が表示される。
情報登録画面には、マンションIDをもとに登録されているマンション一覧が表示されるので、該当のマンションを選択し入居者全員に見せるための共通メッセージと掲載期間を登録する。これにより、指定のマンションに決められた期間及び時間内にエントランス端末14の表示装置15にメッセージを表示させる。
【0019】
図6はマンションの住民に対する個別メッセージの情報表示(配信)の登録を行うためのフローチャートを示したものである。
マンションの住民に対する個別メッセージの登録は、共通メッセージと同様にマンション管理会社等に設置された管理者用操作端末11から行う。図6のフローチャートに示すように、管理者用操作端末11に接続されたリーダー/ライター12に管理者用の電子鍵をかざすことで、マンション管理サーバー10へログインし、情報の登録を行う画面が表示される。
情報登録画面には、マンションIDをもとに登録されているマンション一覧が表示されるので、該当のマンションを選択し、その中から登録済みの入居者を選択しメッセージを表示させたい入居者に見せるための個別メッセージ(請求や督促など)と掲載期間を登録する。これにより、指定の入居者に決められた期間及び時間内にエントランス端末14の表示装置15にメッセージを表示させる。
【0020】
図7は、マンション管理サーバー10に登録された共通メッセージをエントランス端末14に表示するフローチャートを示したものである。
まず、一つのマンションMNに設置されたエントランス端末14は、マンション管理サーバー10に自マンションIDに登録されているメッセージがあるかチェックを行う。共通メッセージがある場合は、メッセージを読み込みメッセージ表示部15に表示させる。
住民が電子鍵をかざす前のメッセージ表示部15は、マンション管理サーバー10に登録された共通メッセージなどを表示しておく。
【0021】
図8は、エントランス端末14に表示する共通となる情報を表示した例を示したものである。
図8において、81は、本日の日付、曜日の表示欄で、マンション管理サーバー10の内蔵カレンダーから表示される。82は、本日の天気表示欄で、インターネットから天気情報を取得し、表示される。
83は、共通メッセージ表示欄で、マンション管理サーバー10に登録した共通メッセージが表示される。84は、共通広告表示欄で、マンション管理サーバー10に登録した共通広告が表示される。85は、操作支持内容表示欄で、動画やFLASHなどのアニメーションなどによる操作ガイダンスが表示される。
86は、鍵発行・利用停止画面遷移ボタンで、入居者自身での鍵発行・利用停止・削除を行うための操作画面への切り替えボタンを表示している。
本画面はWEB技術であるHTMLやFLASHにより作成されるため、各項目の配置や色さらには項目そのものの変更も容易に可能である。また、表示装置15はタッチパネルを使用していることから、共通メッセージ表示欄83や共通広告の表示欄84にリンクを設定することで、表示装置にタッチすることにより詳細画面を表示したり、動画や音声による案内をしたりといった動作が可能となる。
このエントランス端末14には、マンション玄関ドア18の解錠をするための電子錠のリーダー/ライター16が接続されているため、表示されたメッセージは確実に入居者が見ることとなり、管理者からのメッセージなどを入居者に伝えるためには優れた効果がある。
【0022】
このように、共通メッセージはすべての住民に対するメッセージであり、マンションIDをもとにマンションごとに情報を配信する。
共通メッセージの内容は、例えばこれまでマンションの掲示板に掲載していたマンション設備の点検案内やごみ分別等の周知事項などを表示させる。エントランス端末14に共通メッセージを表示させることで、これまでマンション管理会社の担当者がマンションへ掲示物を張り替えに行くなどの業務が不要となる。
住民がエントランス端末14のリーダー/ライター16に電子鍵をかざすことで、共通メッセージ表示画面から次の動作に移る。
まず、かざされた電子錠IDをマンション管理サーバー10に送信し個別メッセージが登録されているがどうかを確認する。電子鍵の所有者宛(個人宛)の個別メッセージがマンション管理サーバー10に登録されていない場合、マンション管理サーバー10は登録なし情報をエントランス端末14に送信しマンション玄関ドア18をそのまま解錠するが、個別メッセージが登録されている場合はマンション管理サーバー10に登録されているメッセージを表示するために表示装置15の画面が個別メッセージ画面に移行する。
個別メッセージ画面においては、電子鍵媒体がカードである等、表示できる画面を持たない場合はエントランス端末14に電子鍵使用者に関するメッセージを表示し、電子鍵媒体が携帯電話のように表示できる画面がある場合は、エントランス端末14で個別メッセージを見るか携帯電話で個別メッセージを表示するかをエントランス端末14の表示装置15で選択した後、選択された端末に表示させる。なお、電子鍵IDをマンション管理サーバー10に登録する際に、画面表示が可能か不可能かを登録しておくことで、情報を表示できる媒体である場合は自動起動して表示させることも可能である。
【0023】
図9は、エントランス端末14に表示する個別の情報を表示した例を示したものである。
図9において、91は、セグメント広告表示欄で、セグメントされた入居者への個別広告である。管理画面のセグメント広告登録画面で登録した内容が表示される。
92は、入居者宛個別メッセージ表示欄で、各入居者への個別お知らせが表示される。管理画面の入居者宛個別メッセージ登録画面で登録した内容が表示される。
93は、操作支持内容表示欄で、操作ガイダンスが表示される。94は、メッセージ確認及びエントランス開錠ボタンで、このボタンをタッチすることによりマンション玄関ドア18を開き、マンションに入ることが可能になる。
この個別メッセージを表示した画面においても、図8の共通メッセージを表示した画面と同様にWEB技術を利用して作成しているため各項目の配置や色さらには項目そのものの変更も容易に可能である。また、表示装置15はタッチパネルを使用していることから、共通メッセージ表示欄91や共通広告の表示欄92にリンクを設定することで、表示装置にタッチすることにより詳細画面を表示したり、動画や音声による案内をしたりといった動作が可能となる。
【0024】
この個別メッセージの表示においては、エントランス端末14にメッセージを表示した場合はメッセージ確認ボタン94をタッチすることによりマンション玄関ドア18が解錠され、携帯電話等の画面に表示する場合は、携帯電話に電子錠のリーダー/ライター16から個別メッセージ画面のURLを送信することによりマンション玄関ドア18を解錠することから、確実にメッセージを伝えることが可能となる。
また、開封確認(ログ)を保持することから、メッセージを見たか見ていないかの判断も可能である。マンション玄関ドア18を解錠し開けた後は、図8の共通メッセージ画面に戻る。
このように、個別メッセージは、すべての住民に対する個別のメッセージで、電子鍵IDをもとに個別に情報を配信する。
個別メッセージの内容は、例えば理事会や総会に関する案内、家賃等の請求や未納者に対する督促などを配信して表示させる。この配信においては、個人に関する情報であるためエントランス端末14に表示させるより携帯電話に表示させるほうが望ましい。この個別メッセージの配信により、これまで訪問、郵送、電話で対応していた業務が大幅に軽減される。
【0025】
このように、電子鍵を使用したマンション管理システムは、これまで鍵として使用していた物をカードや携帯電話に内蔵されたICタグに置き換え、マンション管理サーバー10でICタグ内の電子鍵IDを中心としてマンション情報や個人情報をトータル管理し、解錠だけではなく情報配信といった機能を持つシステムとなる。さらに物理的な鍵管理がなくなるので、鍵管理業務の削減にも大きな効果がある。
そのため、エントランス端末14や各部屋の電子錠19においては、解錠時のデータを蓄積しマンションの入退出管理を行え、またフェリカなどのICタグは複製が困難なことからセキュリティの高いマンションとして付加価値が向上する。
また、住民がエントランスや自宅に電子鍵をかざしたことがマンション管理サーバー10にリアルタイムに伝わるため、広告事業者等と連携を行うことでタイムリーな広告や情報配信が可能となり、住民、企業双方にとってメリットの大きいシステムとなる。
企業の広告や情報を配信することにより、マンション管理会社やマンション所有者は、これまで発生しなかった広告配信による収益を得ることができ、新たな収益源の確保も可能となる。マンション管理サーバー10では、住民の個人情報を保持しているため、例えば東京在住の30代女性にのみ広告を配信といった地域や年齢、属性等を絞り込んで配信することが可能で、広告主としても効率のよい早くて安価な広告料金での配信が可能となる。また、広告をクリックした内容等を蓄積、分析し、住民の趣味嗜好を捉えさらに精度を上げた配信も可能となる。
【0026】
さらに、水道、電気、ガスの使用量データも電気通信回線を介して同使用量データをマンション管理サーバー10に登録することにより、マンション管理サーバー10によって水道、電気、ガスの使用料の請求管理を行うことができる。また、マンション管理サーバー10に各住戸の水道、電気、ガスの使用量データが蓄積されることにより、同データを上述した住人専用サイトで住人に閲覧させることができるようにして、各使用量の推移を簡単に確認することができるようにすることもできる。
共用施設の集会室などのように使用に際して予約が必要な共用施設の鍵も、マンション管理サーバー10に登録しておき、予め定めた手続きによりマンション内施設予約者の電子鍵により予約時間に達した後にマンション内施設予約者の電子鍵によりドアの扉が開くように制御することも可能である。
すでに完成しているマンションで物理的に自宅の各部屋の電子錠19をネットワークで接続できない場合は、エントランス端末14のみ登録作業をマンション管理サーバー10で行い、各部屋の電子錠19においては、住民が自分で登録を行う。但し、各部屋の電子錠19に携帯電話をかざして解錠した場合に携帯電話のブラウザやアプリケーションを自動起動させることも可能なことから、エントランス端末14とは別の情報配信端末として電子錠19を使用する。特に戸建て住宅の場合はこのようになる。
以上の説明より明らかなように、本発明のマンション総合管理システムは、マンション管理サーバーに通信ネットワークを介してパソコン端末や携帯電話端末からのアクセスを可能となるため、データや資料を効率的に利用することができ、管理業務に係る連絡及び一般入居者との情報伝達を容易かつ迅速に実施することができ、業務の効率化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、電子鍵産業や住宅産業で利用可能である。

【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の電子鍵を使用したマンションの総合管理システムの構成を示すシステム説明図である。
【図2】マンション管理サーバー10において登録されたデータを連携させるために使用される各種のコード(ID)を示したものである。
【図3】マンション管理サーバー10において管理されるIDを示したものである。
【図4】マンション管理サーバー10に電子鍵を登録するフローチャートを示したものである。
【図5】マンションの住民に対する共通メッセージの情報表示(配信)の登録を行うためのフローチャートを示したものである。
【図6】マンションの住民に対する個別メッセージの情報表示(配信)の登録を行うためのフローチャートを示したものである。
【図7】マンション管理サーバー10に登録された共通メッセージをエントランス端末14に表示するフローチャートを示したものである。
【図8】エントランス端末14に表示する共通の情報を表示した例である。
【図9】エントランス端末14に表示する個別の情報を表示した例である。
【符号の説明】
【0029】
NT・・・インターネット等の通信回線
MN・・・一つのマンション
10・・・インターネット上に設置されるマンション管理サーバー
11・・・マンション管理会社等に設置される管理者用操作端末
12・・・管理者用操作端末11に接続されるICタグ内の情報を読み書きするリーダー/ライター
13・・・インターネット等の通信回線NTに接続されるルーター
14・・・一つのマンションMN内に設置されるエントランス端末
15・・・エントランス端末14の表示装置
16・・・エントランス端末14の電子鍵のリーダー/ライター
17・・・マンション玄関ドア等の制御を行う制御盤
18・・・マンション玄関ドア
19・・・各部屋の玄関ドアに設置される電子錠
81・・・本日の日付、曜日の表示欄
82・・・本日の天気表示欄
83・・・共通メッセージの表示欄
84・・・共通広告の表示欄
85・・・操作指示内容表示欄
86・・・鍵発行、利用停止画面遷移ボタン
91・・・セグメント広告表示欄
92・・・個別メッセージ表示欄
93・・・操作指示内容表示欄
94・・・確認及びマンション玄関ドア18解錠ボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの建屋内に電子錠の設置された複数の住戸と、共用施設の玄関ホールと玄関ドアを設けているマンションにおいて、各住戸の住民の持つの電子鍵により自動解錠される玄関ドアと、マンションの玄関ホールに設置された表示装置を備えたエントランス端末と、エントランス端末と通信回線を介して接続されたインターネット上に設けたマンション管理サーバーとを具備し、マンション管理サーバーは、各住戸の電子錠の管理手段、各住戸の電子鍵の個人識別認証情報を使用したマンションの玄関ドアの開閉制御手段、エントランス端末を使用したマンション居住者に対する共通の連絡と各住戸の居住者に対する個別の連絡手段、各住戸の電子鍵の個人識別認証情報を使用した居住者の家賃等の管理手段を持ち、マンションの管理業務をマンション管理サーバーにより電子鍵の個人識別認証信号を使用して行うことができるようにしたことを特徴とする電子鍵を使用したマンションの総合管理システム。
【請求項2】
請求項1のマンションの総合管理システムにおいて、マンション管理サーバーのデータベースは、各住戸の電子錠のデータと電子錠のデータに関連付けた各住戸の住民の電子鍵に関連づけられた個別データとマンション住民に対する共通のデータとマンション住民に対する個別のデータとを保持していることを特徴とする電子鍵を使用したマンションの総合管理システム。
【請求項3】
請求項1のマンションの総合管理システムにおいて、エントランス端末とエントランス端末にICタグの情報を読み書きするためのリーダー/ライターを設置し、マンションの玄関ドアの開閉制御、各住戸に設置された電子錠の管理を行う機能を具備したことを特徴とする電子鍵を使用したマンションの総合管理システム。
【請求項4】
請求項1のマンションの総合管理システムにおいて、電子鍵には、フェリカ(登録商標)やマイフェア(登録商標)といったICタグを内蔵したカードを使用することを特徴とする電子鍵を使用したマンションの総合管理システム。
【請求項5】
請求項1のマンションの総合管理システムにおいて、電子鍵には、携帯電話のICタグ機能を使用することを特徴とする電子鍵を使用したマンションの総合管理システム。
【請求項6】
請求項1のマンションの総合管理システムにおいて、電子鍵の個人識別認証信号で、個人の住民を特定した情報の配信、広告の配信やアンケート収集を行うことを特徴とする電子鍵を使用したマンションの総合管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−134112(P2011−134112A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293155(P2009−293155)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FLASH
【出願人】(509354400)株式会社 NexTug (1)
【Fターム(参考)】