説明

電極組立体及びこれを用いたリチウムイオン二次電池

【課題】電極組立体の内周部と外周部で,正極板と負極板の各無地部と活物質層の形成位置を最適化し電極組立体の幅方向の厚さが均一に巻き取り,外周部でのショートの発生を防止する二次電池の提供。
【解決手段】 正極集電体132と正極活物質層134とを備え両側に正極無地部133が形成された正極板130と負極集電体142と負極活物質層144を備え両側に負極無地部を形成した負極板及び正極板130と負極板140とを絶縁するセパレータ150を共に巻取り形成し,正極無地部133と負極無地部143とに各々固定する正極タップ136と負極タップ146とを含む電極組立体で,電極組立体の内周部から外周部に正極板130と負極板140とを巻取る際,電極組立体の幅方向を基準として電極組立体の内周部に位置する正極板130の正極無地部133領域内に電極組立体の外周部に位置する負極板140の活物質層144の終端部が位置するように巻取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電極組立体及びこれを用いたリチウムイオン二次電池に関し,より詳細には,電極組立体の内周部と外周部で正極板と負極板の無地部と活物質層の形成位置を最適化して電極組立体の幅方向の厚さが均一に巻取られ,外周部でのショート発生を防止できる電極組立体及びこれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
通常,二次電池(secondary battery)は,充電が不可能な一次電池とは異なり,充電及び放電が可能な電池を言うものであって,携帯電話,ノートブックコンピュータ,キャムコーダ等の尖端電子機器分野で広く使われている。
【0003】
特に,リチウム二次電池市場は,作動電圧が3.7Vであって,携帯用電子装備電源として大いに使われているニッケル−カドミウム電池や,ニッケル−水素電池より3倍も高く,単位重量当たりエネルギー密度が高いという点で急速に伸びている趨勢である。
【0004】
このようなリチウムイオン二次電池は,一般的に,正極活物質としてリチウム系酸化物,負極活物質としては炭素材を使用している。また,電解液の種類によって,液体電解質電池と高分子電解質電池とに分類され,液体電解質を使用する電池をリチウムイオン電池といい,高分子電解質を使用する電池をリチウムポリマー電池という。また,リチウム二次電池は色々な形状で製造されているが,代表的な形状としては円筒形,缶形及びパウチ形を挙げることができる。
【0005】
缶形リチウムイオン二次電池は,図1及び図2に示すように,缶10と,缶の内部に受容する電極組立体20と,上記缶10の上段開口部を封入するキャップ組立体70とを含んで形成する。
【0006】
上記缶10は略直六面体の形状を有する金属材で形成することができ,それ自体が端子の役割を遂行することが可能である。上記缶10はその一面が開口された上段開口部10aを含み,上段開口部10aを通じて電極組立体20を受容する。
【0007】
上記電極組立体20は,図2のように,正極板30,負極板40及びセパレータ50を含む。上記正極板30と負極板40とはセパレータ50が間に介されて積層された後,ジェリー−ロール(jelly−roll)形態で巻き取られる。
【0008】
上記正極板30は薄板のアルミニウム箔からなる正極集電体32と上記正極集電体32の両面にコーティングするリチウム系酸化物を主成分とする正極活物質層34とを含んでいる。正極集電体32上には正極活物質層34がコーティングされていない領域の正極無地部(positeve electrode uncoated area)32aが正極板30の両端部に各々形成する。上記正極無地部32aには正極タップ36が超音波熔接されて固定され,上記正極タップ36の端部は上記正極集電体32の上段部上に突出するように固定する。正極タップ36は,通常,ニッケルまたはニッケル合金で形成され,他の金属素材も使われることができる。
【0009】
上記負極板40は薄板の銅箔からなる負極集電体42と上記負極集電体42の両面にコーティングされた炭素材を主成分とする負極活物質層44とを含んでいる。上記負極集電体42にも負極活物質層44がコーティングされていない領域である負極無地部(negative electrode uncoated area)42aが負極板40の両端部に所定領域で形成する。上記負極無地部42aには負極タップ46が超音波熔接されて固定され,上記負極タップ46の端部も上記負極集電体42の上段部上に突出するように固定する。負極タップ46は,通常,ニッケルまたはニッケル合金で形成され,他の金属素材も使われることができる。
【0010】
一方,上記セパレータ50は各電極板30,40間の絶縁のために,上記正極板30と負極板40との間に配置されている。上記セパレータ50はポリエチレン若しくはポリプロピレン,ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルムからなっている。上記セパレータ50は,上記正極板30と負極板40より幅を広く形成することが極板30,40間の短絡の防止に一層有利である。
【0011】
上記キャップ組立体70は,キャッププレート71,絶縁プレート72,ターミナルプレート23及び負極端子74を含んで構成する。キャップ組立体70は別途の絶縁ケース79と結合して缶10の上段開口部10aに結合して缶を封入することになる。
【0012】
しかし,上記電極組立体20は,図2のように,幅方向を基準として,正極タップ36と正極板30及び負極板40の活物質コーティング層34,44が互いに重なるように形成されているので,電極組立体20の幅方向には厚さが不均一になる。即ち,図3のように,電極組立体20の幅方向に厚さのバラツキがひどく表れている。特に,中心を基準として左側の所定位置では他の部分に比べて厚さの増加がひどく表れているが,これは上記正極タップ36と正極板30及び負極板40の活物質コーティング層34,44が同時に存在するためである。このような場合には電極組立体を均一で,かつ,コンパックに巻き取ることが困難になり,缶に挿入する電極組立体は最適の体積を有しなくなる。従って,二次電池のエネルギー密度の増加が難しくなる問題がある。
【0013】
また,リチウムイオン二次電池のエネルギー密度が増加することにつれて,充放電時に発生する過充放電,または,電極のショート時に缶の内部から発熱現象が増加することになる。特に,缶の内部において負極板42と正極板32に各々正極タップ36と負極タップ46とが熔接する部位は異種金属が接合する部位であるので,内部抵抗(internal resistance;IR)が増加されて発熱が集中する。電極タップの周囲で発熱が集中すれば正極板と負極板を絶縁させるセパレータは溶融されて収縮する。特に,図2において,正極タップと接触されている部分では発熱がひどくなり,正極タップに位置したセパレータの末端で収縮がひどくなって負極板と正極板との間のセパレータがなくなる現象が発生する。従って,負極板と正極板との間で追加的なショートが生じるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は,上記のような問題点の解決のためのものであって,電極組立体の内周部と外周部において,正極板及び負極板の無地部と活物質層の形成位置とを最適化して,電極組立体の幅方向の厚さが均一に巻き取られ,外周部でのショートの発生を防止できる電極組立体及びこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するための本発明の電極組立体は,正極集電体と正極活物質層とを備えて両側に正極無地部が形成された正極板と,負極集電体と負極活物質層とを備えて両側に負極無地部が形成された負極板及び正極板と負極板とを絶縁させるセパレータが共に巻取られて形成され,上記正極無地部と負極無地部に各々固定する正極タップと負極タップとを含む電極組立体において,上記電極組立体の内周部から外周部に上記正極板と負極板とが巻取られる際,上記電極組立体の幅方向を基準として上記電極組立体の内周部に位置する上記正極板の正極無地部領域内に上記電極組立体の外周部に位置する上記負極板の活物質層の終端部が位置するように巻取られることを特徴とする。
【0016】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記電極組立体の内周部に位置する上記正極板の正極無地部の終端部と上記電極組立体の外周部に位置する上記負極板の正極活物質層の終端部とが上記電極組立体の幅方向で同じ位置に形成してもよい。
【0017】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記電極組立体の幅方向を基準として上記電極組立体の外周部に位置する上記正極板の外面と内面とに形成された正極活物質層の終端部が上記電極組立体の内周部に位置する上記負極集電体の外面に形成する負極無地部の領域内に位置するように形成することができる。
【0018】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記電極組立体の幅方向を基準として上記電極組立体の内周部に位置する上記負極板の外面に形成する負極無地部の終端部と上記電極組立体の外周部に位置する上記正極板の外面に形成された正極活物質層の終端部とが同じ位置に位置するように形成することができる。
【0019】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記電極組立体の内周部に位置する上記負極集電体の外面に形成する負極無地部の終端部と上記電極組立体の外周部に位置する上記正極集電体の内面に形成された正極活物質層の終端部とが上記電極組立体の幅方向を基準として同じ位置に位置するように形成することができる。
【0020】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記電極組立体の内周部に位置する上記正極板の正極無地部の終端部は,上記電極組立体の内周部に位置する上記負極板の内面と外面の負極活物質コーティング層の領域内において上記負極板の内面と外面の負極無地部の終端部と上記電極組立体の幅方向に所定距離離隔して位置するように形成することができる。
【0021】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記正極板の正極無地部の終端部と上記負極板の内面と外面の負極無地部の終端部とは2mm〜4mm離隔して位置するように形成してもよい。
【0022】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記電極組立体の外周部に位置する上記負極板の負極活物質層の終端部は,上記電極組立体の外周部に位置する上記正極板の内面と外面の正極無地部の領域内において上記正極板の内面及び外面の正極活物質層の終端部と所定距離離隔して位置するように形成することができる。
【0023】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記負極板の負極活物質層の終端部と上記正極板の内面及び外面の正極活物質層の終端部とは2mm〜4mm離隔して位置するように形成してもよい。
【0024】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記正極タップは,上記電極組立体の外周部に位置する上記正極板の正極無地部に形成され,上記電極組立体の内周部に位置する上記正極板の正極無地部の終端部から上記正極板の正極活物質層方向に所定距離離隔して位置するように形成することができる。
【0025】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記正極タップは,上記正極無地部の内面または外面に形成することができる。
【0026】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記正極タップは,上記電極組立体の内周部に位置する上記正極板の正極無地部と上記電極組立体の幅方向を中心として反対側に形成してもよい。
【0027】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記電極組立体の外周部に位置する上記負極板の負極無地部は上記負極板の負極活物質層の終端部から所定幅で形成することができる。
【0028】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記負極無地部の終端部は,上記電極組立体の外周部が直線で形成する領域に位置するように形成することができる。
【0029】
また,本発明において,上記電極組立体は,上記負極板の負極無地部は2mm〜4mmで形成してもよい。
【0030】
また,本発明のリチウムイオン二次電池は,負極板と正極板及び上記負極板と正極板とを絶縁させるセパレータが共に巻取られて形成する電極組立体と,上記電極組立体が受容する缶と,上記缶の上段開口部を封入するキャッププレートと上記キャッププレートに形成する端子通孔に絶縁されて挿入する電極端子とを備えるキャップ組立体を含むリチウムイオン二次電池において,上記電極組立体が上述した電極組立体のいずれかで形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると,二次電池に使われる電極組立体の内周部と外周部において,正極板と負極板の各無地部と活物質層の形成位置とを最適化することにより,電極組立体の幅方向の厚さが均一に,電極組立体を形成できる効果がある。
【0032】
また,本発明によると,電極組立体の外周部に形成する負極板の負極無地部を最小限の長さで形成して正極タップ部位の発熱に係るセパレータの収縮時にも上記負極板と正極板とが短絡することを防止できるので,二次電池の安全性を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に,添付した図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する発明特定事項については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0034】
以下,添付の図面を参考しながら,本発明の好適な実施の形態についてより詳細に説明する。
【0035】
図4は,本発明の第1の実施の形態に係る電極組立体の巻取り後の平面図を示す。図5は,本発明の第2の実施の形態に係る電極組立体の巻取り後の平面図を示す。図6は,図4の電極組立体において,電極組立体の幅方向への厚さの変化を測定したグラフを示す。
【0036】
本発明に係るリチウムイオン二次電池は,図1と図4のように,缶10と,缶10の内部に受容する電極組立体100と,上記缶10の上段開口部を封入するキャップ組立体70とを含んで形成する。従来の二次電池と同じ部分は図1の図面符号を使用して説明する。
【0037】
上記缶10は,図1のように,略直六面体の形状を有する金属材で形成することができ,それ自体が端子の役割を遂行することが可能である。上記缶10はその一面が開口された上段開口部10aを含み,上段開口部10aを通じて電極組立体100が受容する。
【0038】
上記キャップ組立体70は,キャッププレート71,絶縁プレート72,ターミナルプレート23及び負極端子74を含んで構成する。上記負極端子74は,上記キャッププレート71に形成する端子通孔に絶縁して固定する。上記キャップ組立体70は別途の絶縁ケース79と結合して缶10の上段開口部10aに結合して缶10を封入することになる。
【0039】
上記電極組立体100は,図4のように,正極板130と負極板140及びセパレータ150で構成され,正極板130と負極板140とを絶縁させるセパレータ150が介されて積層された後,ジェリー−ロール(jelly−roll)形態で巻取られる。
【0040】
以下の説明では,上記電極組立体の巻取り際,中心部分を内周部と表現し,電極組立体100の外部側は外周部と表現する。従って,上記電極組立体の内周部は外周部に対応する概念である。
【0041】
上記電極組立体100の内周部には,上記負極板140の負極無地部に熔接され,上部に突出する負極タップ146が形成されており,外周部には上記正極板130の正極無地部に熔接されて上部に突出する正極タップ136が形成されている。上記負極タップ146と正極タップ136は,形成する位置が反対にすることができることは勿論である。
【0042】
上記正極板130は,正極集電体132と正極活物質層134と正極タップ136とを含んで構成する。
【0043】
上記正極集電体132は薄板のアルミニウム箔で形成され,10〜30μmの厚さで形成する。上記正極集電体132の両面にはリチウム系酸化物を主成分とする正極活物質層134が形成する。また,正極集電体132の両端には正極活物質層134がコーティングされていない領域の正極無地部133a,133b(以下,内周部に形成された無地部と外周部に形成された無地部とを区分する必要のない場合には,“133”と表示する)が所定領域で形成する。その際,電極組立体100の外周部の所定領域では上記正極集電体132の一面のみに正極活物質層134が形成され,他面には正極無地部133bが形成する。上記正極活物質層134は上記正極集電体132の両面に各々厚さが60〜100μmで形成する。
【0044】
上記正極タップ136は,上記正極板130の一端に形成する正極無地部133にレーザー熔接または抵抗熔接によって固定する。上記正極タップ136はニッケル金属で形成され,上段部が正極集電体132の上段部上に突出するように固定する。上記正極タップ136は,80〜120μmの厚さで形成してもよい。
【0045】
上記負極板140は,負極集電体142と負極活物質層144と負極タップ146と負極断熱板148とを含んで構成する。
【0046】
上記負極集電体142は薄板の銅箔で形成され,10〜30μmの厚さで形成してもよい。負極集電体142の両面には炭素材を主成分とする負極活物質層144が塗布する。また,負極集電体142の両端には負極活物質層144がコーティングされていない領域の負極無地部143a,143b(以下,内周部に形成された無地部と外周部に形成された無地部とを区分する必要のない場合には“143”と表示する)が形成する。その際,電極組立体100の内周部の所定領域では上記負極集電体142の一面には負極活物質層144が形成され,他面には負極無地部143aが形成する。上記負極活物質層144は上記負極集電体142の両面に各々80〜100μmの厚さで形成する。
【0047】
上記負極タップ146は,ニッケル金属で形成され,上記負極板140の両端中から上記電極組立体100の内周部に位置する負極無地部143にレーザー熔接,または,抵抗熔接により固定する。上記負極タップ146は,その上段部が負極集電体140の上段部上に突出するように固定する。上記負極タップ146は,80〜120μmの厚さで形成してもよい。
【0048】
上記セパレータ150は,図4のように,上記電極組立体100で上記正極板130と負極板140とを絶縁させるために,上記正極板130と負極板140との間に介されて巻取られる。
【0049】
以下,上記電極組立体100を構成する上記正極板130と負極板140の無地部133,143と活物質層134,144の形成位置についてより詳細に説明する。本実施の形態に対する説明では,上記電極組立体100の内周部から外周部方向に巻取られることを基準として説明する。
【0050】
また,上記電極組立体100の幅方向に垂直に設定する任意の基準線a,bを基準として説明する。即ち,本発明では上記電極組立体100の巻取り時に上記電極組立体100の内周部と外周部に各々形成する無地部及び活物質層の形成位置に対する相互関係を説明の便宜のために,所定位置に設定する基準線を使用して説明する。
【0051】
また,上記電極組立体100の中心を基準として上記正極板130と負極板140の両面中において,各々上記電極組立体100の中心方向を対向する面は内面と表現して,上記内面の反対面は外面と表現する。
【0052】
まず,上記電極組立体100の内周部に位置する上記正極板130の正極無地部133aと上記電極組立体の外周部に位置する上記負極板140の負極活物質層144の終端部の形成位置について説明する。
【0053】
電極組立体100の内周部に位置する上記正極板130は,上記負極板140 間の所定位置から始まり,上記正極集電体132の両面に所定幅で正極無地部133aが形成する。上記正極板130の正極無地部133aは少なくともその幅が2mmからなる。上記正極無地部133aの無地部幅が2mmより小さくなれば正極板130の正極活物質層134を形成する過程で正極集電体132から外れて活物質層が形成されて活物質が損失する問題が発生する。
【0054】
上記電極組立体100の外周部に位置する上記負極板140の負極活物質層144の終端部は,上記電極組立体100の内周部から外周部に上記正極板130と負極板140とが巻取られる際,上記電極組立体100の幅方向を基準として上記電極組立体100の内周部に位置する上記正極板130の正極無地部133領域内に位置するように形成する。より詳細に説明すると,上記負極板140の負極活物質層144の終端部は,上記電極組立体100の内周部に位置する上記正極板130の正極無地部133の終端部(基準線a)と上記正極板130の終端部との間に位置することになる。上記負極板140の負極活物質層144の終端部と上記正極板130の正極無地部の終端部は基準線aに位置するように形成してもよい。このような位置に形成する場合に,上記電極組立体100の厚さの変化を最小化しながら,上記正極活物質層134と負極活物質層144の面積を最大にすることができるという長所がある。
【0055】
次に,上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板140の負極無地部143aの終端部と上記電極組立体の外周部に位置する上記正極板130の正極活物質層134の終端部の形成位置について説明する。
【0056】
上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板140は,上記電極組立体100の内周部で所定位置から始まり,上記負極集電体142の両面で各々一定の間隔をおいて負極無地部143aが形成する。上記負極無地部143aには上記負極タップ146が設けられるので,上記負極無地部143aは負極タップ143の形成に必要とする所定幅を有するように形成する。上記負極無地部143aは上記負極板140の終端部から所定距離に亘って形成され,図4を参考すると,上記基準線bまでは上記負極集電体142の両面に全て負極無地部143aが形成する。上記基準線bにおいて,上記負極集電体142の外面には上記負極無地部143aの終端部が形成されながら負極活物質層144が形成され,内面には負極無地部143aが維持する。上記負極板140は1回巻取られた後の上記基準線bから上記負極集電体142の内面にも上記負極無地部143aが終了され,負極活物質層144が始まって,上記負極板140の両面で負極無地部143aが完全に終了する。従って,上記負極板140の内面と外面で各負極無地部143aの終端部は,上記電極集電体100の幅方向を基準として同じ位置に形成され,上記基準線bに位置するように形成する。
【0057】
上記電極組立体100の外周部に位置する上記正極板130は,上記電極組立体の最外郭の直前に位置する上記正極集電体142の外面で,正極活物質層134の終端部は,上記電極組立体100の幅方向に上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板の外面に形成する負極無地部134aの領域内に位置するように形成する。また,上記電極組立体100の外周部に位置する上記正極板130は,上記電極組立体の最外郭に位置する上記正極集電体142の内面で,正極活物質層134の終端部は,上記電極組立体100の幅方向に上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板140の外面または内面に形成する負極無地部134aの領域内に位置するように形成する。
【0058】
従って,上記電極組立体100の外周部に位置する上記正極板130の内面及び外面に形成する正極無地部133bの開始部,即ち,上記正極板130の正極活物質層134の終端部は,上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板140の外面に形成する負極無地部143aの領域内に位置するように形成する。上記電極組立体100の外周部に位置する上記正極集電体132の外面に形成された正極活物質層134の終端部及び上記正極集電体132の内面に形成された正極活物質層134の終端部は,上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板140の外面に形成する負極無地部143aの終端部が形成する位置と上記電極組立体100の幅方向を基準として同じ位置に位置するようにしてもよい。即ち,上記正極集電体132の外面に形成された正極活物質層134の終端部及び上記正極集電体132の内面に形成された正極活物質層134の終端部と上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板140の外面に形成する負極無地部143aの終端部は,上記基準線に位置するように形成する。このような位置に形成する場合に,上記電極組立体100の厚さの変化を最小化しながら,上記正極活物質層134と負極活物質層144の面積を最大にすることができるという長所がある。
【0059】
また,上記基準線bは上記基準線aと所定距離離隔して設定する。従って,上記電極組立体100の内周部に位置する上記正極板130の正極無地部133aの終端部は,上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極集電体142の内面と外面に形成する負極無地部143の終端部と所定距離離隔して位置する。上記正極無地部133aの終端部と上記負極無地部143aの終端部は2〜4mmに離隔して形成してもよい。上記正極無地部133aの終端部と上記負極無地部143aの終端部の距離が2mmより小さくなれば,上記正極板130と負極板140の巻取り過程において,正極活物質層134が負極板140の負極無地部143aと直接対向する場合が発生できる。また,上記正極無地部133aの終端部と上記負極無地部143aの終端部の距離が4mmより大きくなれば,正極活物質層134が減少されて電池の容量を減少させることになる。
【0060】
また,上記電極組立体100の外周部に位置する上記負極板140の負極活物質層144の終端部は,上記電極組立体100の外周部に位置する上記正極板130の内面と外面の正極無地部133bの領域内に位置し,上記正極板130の内面及び外面の正極活物質層134の終端部と所定距離離隔して位置するように形成する。上記負極板140の負極活物質層144の終端部と上記正極板130の正極活物質層134の終端部は2〜4mm離隔して位置するように形成してもよい。上記負極活物質層144の終端部と上記正極活物質層134の終端部の距離が2mmより小さくなれば,上記正極板130と負極板140の巻取り過程で正極活物質層134が負極板140の負極無地部143aと直接対向する場合が発生できる。また,上記負極活物質層144の終端部と上記正極活物質層134の終端部の距離が4mmより大きくなれば,正極活物質層134が減少して電池の容量を減少させることになる。
【0061】
上記正極板130の正極無地部133bは電極組立体100をさらに半回転巻き取られて形成する。
【0062】
上記正極タップ136は,上記電極組立体100の外周部に位置する上記正極板130の正極無地部133bに形成され,上記電極組立体100の内周部に位置する上記正極板130の正極無地部133aの終端部から上記正極板130の正極活物質層134方向に所定距離離隔して位置するように形成する。その際,上記正極タップ136は上記正極無地部133bの内面または外面に形成することができる。また,上記正極タップ136は上記電極組立体100の幅方向を中心として上記電極組立体100の内周部に位置する上記正極板130の正極無地部133aと反対側に形成してもよい。上記正極板130の正極無地部133bは電極組立体100内部から生じる熱を外部に放出する役割を遂行するので所定距離以上で形成することが好ましい。
【0063】
上記負極タップ146は,上記電極組立体100の内周部に位置する上記負極板140の外面の負極無地部143bの領域内で上記負極無地部143bの内面または外面に形成する。
【0064】
上記のように,電極集電体100では,上記正極板130及び負極板140の無地部133,143が始まる位置と上記正極板130及び負極板140の活物質層134,144が終了する位置が一致するように形成して,上記電極組立体100の厚さが均一に形成することができる。
【0065】
図4に係る実施の形態では,上記基準線aと基準線bは,上記電極組立体の中央に位置することを基準としたが,上記基準線aと基準線bは中央で左側または右側に一定距離移動して設定できることは勿論である。その時にも,上記正極板130及び負極板140の無地部133,143及び上記正極板130及び負極板140の活物質層134,144が形成する位置に対する相互関係は図4での説明と同様である。
【0066】
図5は,本発明に係る別の実施の形態を示す。本実施の形態に対する説明では図4に係る実施の形態と差がある点についてのみ説明する。
【0067】
本発明の第2の実施の形態に係る電極組立体は,図5のように,電極組立体100’の外周部に形成する負極板140’の負極無地部143b’が短く形成する。上記負極板140’の負極無地部143b’の幅は,上記負極板の負極活物質層が終了する位置から2〜4mmで形成してもよい。上記負極無地部143b’の無地部の幅が2mmより小さくなれば,負極活物質層144’を形成する過程で上記負極活物質層144’が上記負極集電体142’から外れてコーティングする問題が発生できる。また,上記負極無地部143b’の無地部の幅が4mmより大きく形成されれば負極無地部143b’の長さが必要以上に長くなることになるという問題がある。
【0068】
上記セパレータ150’は,上記電極組立体100’の外周部から上記正極板130’が終了する位置まで延びて形成する。
【0069】
従って,上記実施の形態によると,上記電極組立体100’で上記正極タップ136’による電極組立体100’の厚さの増加を最小化できることになる。また,上記セパレータ150’が二次電池の内部の発熱により収縮されても上記負極板140’の負極無地部143b’が露出する問題は発生しなくなる。
【0070】
次に,本発明の実施の形態による作用について説明する。
【0071】
図6のように,本発明に係る電極組立体100では従来の電極組立体(図3参照)とは異なり,電極組立体100の厚さが大いに増加する部分がなくなる。即ち,電極組立体100の幅方向に厚さの変化が非常に少なく表れていることが分かる。
【0072】
また,上記電極組立体100を用いるリチウムイオン二次電池は,幅方向に厚さの変化が少なく形成することができ,外観,特に,厚さの管理が容易になる。
【0073】
以上,説明したように,本発明は,前述の特定の好ましい実施の形態に限るのではなく,特許請求範囲で請求する本発明の要旨を外れない範囲で当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形の実施が可能なことは勿論で,そのような変更は特許請求範囲の記載の範囲内にあることになる。すなわち,以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解する。
【0074】
また,本明細書では本発明の好適な実施の形態として本発明の電極組立体をゼリーロール形状で形成した後,一定に圧着した,缶型二次電池に対して説明したが,これは単に角形二次電池に限るのではなく,本実施の形態のような電極ゼリーロールが使われるパウチ形電池にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】従来のリチウムイオン二次電池の説明図である。
【図2】従来の電極組立体の巻取り後の平面図である。
【図3】図2の電極組立体の幅方向への厚さの変化を測定したグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電極組立体の巻取り後の平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る電極組立体の巻取り後の平面図である。
【図6】図4の電極組立体の幅方向への厚さの変化を測定したグラフである。
【符号の説明】
【0076】
130 正極板
132 正極集電体
133,133a,133b 正極無地部
134 正極活物質層
136 正極タップ
140 負極板
142 負極集電体
143,143a,143b 陰極無地部
144 負極活物質層
146 負極タップ
150 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体と正極活物質層とを備えて両側に正極無地部が形成された正極板と,負極集電体と負極活物質層とを備えて両側に負極無地部が形成された負極板及び正極板と負極板とを絶縁させるセパレータが共に巻取られて形成され,前記正極無地部と負極無地部とに各々固定する正極タップと負極タップとを含む電極組立体において,
前記電極組立体の内周部から外周部に前記正極板と負極板とが巻取られる際,前記電極組立体の幅方向を基準として前記電極組立体の内周部に位置する前記正極板の正極無地部領域内に前記電極組立体の外周部に位置する前記負極板の活物質層の終端部が位置するように巻取られることを特徴とする電極組立体。
【請求項2】
前記電極組立体の内周部に位置する前記正極板の正極無地部の終端部と前記電極組立体の外周部に位置する前記負極板の正極活物質層の終端部とが前記電極組立体の幅方向で同じ位置に形成することを特徴とする請求項1記載の電極組立体。
【請求項3】
前記電極組立体の幅方向を基準として前記電極組立体の外周部に位置する前記正極板の外面と内面とに形成された正極活物質層の終端部が,前記電極組立体の内周部に位置する前記負極集電体の外面に形成する負極無地部の領域内に位置するように形成することを特徴とする請求項1記載の電極組立体。
【請求項4】
前記電極組立体の幅方向を基準として前記電極組立体の内周部に位置する前記負極板の外面とに形成する負極無地部の終端部と前記電極組立体の外周部に位置する前記正極板の外面に形成された正極活物質層の終端部とが同じ位置に位置するように形成することを特徴とする請求項3記載の電極組立体。
【請求項5】
前記電極組立体の内周部に位置する前記負極集電体の外面に形成する負極無地部の終端部と前記電極組立体の外周部に位置する前記正極集電体の内面に形成された正極活物質層の終端部とが前記電極組立体の幅方向を基準として同じ位置に位置するように形成することを特徴とする請求項4記載の電極組立体。
【請求項6】
前記電極組立体の内周部に位置する前記正極板の正極無地部の終端部は,前記電極組立体の内周部に位置する前記負極板の内面と外面の負極活物質コーティング層の領域内において前記負極板の内面と外面の負極無地部の終端部と前記電極組立体の幅方向に所定距離離隔して位置するように形成することを特徴とする請求項1記載の電極組立体。
【請求項7】
前記正極板の正極無地部の終端部と前記負極板の内面と外面の負極無地部の終端部とは2mm〜4mm離隔して位置するように形成することを特徴とする請求項6記載の電極組立体。
【請求項8】
前記電極組立体の外周部に位置する前記負極板の負極活物質層の終端部は,前記電極組立体の外周部に位置する前記正極板の内面と外面の正極無地部の領域内において前記正極板の内面及び外面の正極活物質層の終端部と所定距離離隔して位置するように形成することを特徴とする請求項6記載の電極組立体。
【請求項9】
前記負極板の負極活物質層の終端部と前記正極板の内面及び外面の正極活物質層の終端部とは2mm〜4mm離隔して位置するように形成することを特徴とする請求項8記載の電極組立体。
【請求項10】
前記正極タップは,前記電極組立体の外周部に位置する前記正極板の正極無地部に形成され,前記電極組立体の内周部に位置する前記正極板の正極無地部の終端部から前記正極板の正極活物質層方向に所定距離離隔して位置するように形成することを特徴とする請求項1記載の電極組立体。
【請求項11】
前記正極タップは,前記正極無地部の内面または外面に形成することを特徴とする請求項10記載の電極組立体。
【請求項12】
前記正極タップは,前記電極組立体の内周部に位置する前記正極板の正極無地部と前記電極組立体の幅方向を中心として反対側に形成することを特徴とする請求項11記載の電極組立体。
【請求項13】
前記負極タップは,前記電極組立体の内周部に位置する前記負極板の外面の負極無地部の領域内において前記負極無地部の内面または外面に形成することを特徴とする請求項10記載の電極組立体。
【請求項14】
前記電極組立体の外周部に位置する前記負極板の負極無地部は前記負極板の 負極活物質層の終端部から所定幅で形成することを特徴とする請求項3記載の電極組立体。
【請求項15】
前記負極無地部の終端部は,前記電極組立体の外周部が直線で形成する領域に位置するように形成することを特徴とする請求項14記載の電極組立体。
【請求項16】
前記負極板の負極無地部は2mm〜4mmで形成することを特徴とする請求項15記載の電極組立体。
【請求項17】
負極板と正極板及び前記負極板と正極板とを絶縁させるセパレータが共に巻取られて形成する電極組立体と,前記電極組立体が受容する缶と,前記缶の上段開口部を封入するキャッププレートと,前記キャッププレートに形成する端子通孔に絶縁されて挿入する電極端子とを備えるキャップ組立体を含むリチウムイオン二次電池において,
前記電極組立体は,請求項1〜16のいずれかに記載の電極組立体で形成することを特徴とするリチウムイオン二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−12813(P2006−12813A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179633(P2005−179633)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】