説明

電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法及び加工装置

【課題】加工工程を簡素化することができ、内周面形状の寸法精度を容易に高めることができるようにする。
【解決手段】金属からなる板状の外刃素材に複数の凹凸を形成しつつ当該外刃素材を曲面形状に成型する転写・曲げ工程12と、曲面形状に成型された外刃素材を焼き入れする焼入工程と、焼き入れされた曲面形状の外刃素材の内周面側の凹凸を研削することにより複数の貫通孔が設けられた刃を形成する研削工程14と、刃の形成された外刃素材を焼き戻す焼戻工程15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髭を外刃と内刃とで挟み込むことにより切断する電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法及び加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、髭を外刃と内刃とで挟み込むことにより切断するようにした電気かみそりが汎用されている。この電気かみそりは、例えば図24に示すように、扁平状のハウジング200の先端に刃部201が配設されて構成されている。この刃部201は、ハウジング200内部に配設されている図略のモータにより左右方向に揺動される内刃202と、この内刃202を覆うように配設された曲面形状を有する外刃203とで構成されている。
【0003】
この外刃203を加工するには、板状の外刃素材をダイとパンチとで押圧することにより凹凸を形成し、この凹凸を形成した外刃素材を焼き入れ処理した後に内刃と接する側を研削して刃を得るという従来公知の方法が採用される(例えば、特許文献1)。すなわち、具体的には、外刃203は、図25に示すように、鍛造圧印工程204、焼入工程205、研削工程206、焼戻工程207、冷間曲げ工程208、焼入矯正工程209及び焼戻工程210を経て加工される。
【0004】
この鍛造圧印工程204では、図26(a)〜(c)に示すように、ダイ(第1の金型)212とパンチ(第2の金型)213との間に、金属からなる板状の外刃素材214が配置され(図26(a))、ダイ212とパンチ213とで外刃素材214が押圧されて外刃素材214に複数の凹凸215がメッシュ状に形成され(図26(b))、その後に押圧が解除されて凹凸215の形成された外刃素材214が外部に取り出される(図26(c))。
【0005】
焼入工程205では、凹凸215の形成された外刃素材214に対して焼き入れ処理が行われる。これにより、硬度が高くなることで次工程の研削処理時に不要なバリが生じにくくなって良好な刃先を形成することができる。
【0006】
研削工程206では、図27(a)〜(b)に示すように、凹凸215の形成された外刃素材214が回転駆動される研削砥石217上に送り込まれ(図27(a))、研削砥石217により凹凸215の底面側が研削されることで外刃素材214に複数の貫通孔218がメッシュ状に形成される(図27(b))。
【0007】
焼戻工程207では、貫通孔218の形成された外刃素材214に対して焼き戻し処理が行われる。これにより、外刃素材214が柔らかくなることで次工程における曲げ処理が容易となる。
【0008】
冷間曲げ工程208では、図28(a)〜(c)に示すように、台座220上の貫通孔221の形成された位置に所定間隔をおいて左右方向に配設され、互いに対向する方向に付勢するバネ部材222、223が配設された一対の下金型225、226上に貫通孔218の形成された外刃素材214が配置され(図28(a))、この外刃素材214が曲面形状を有する上金型227により押圧されて一対の下金型225、226間に挿入されることで曲面形状に成型され(図28(b))、上金型227を台座220の貫通孔221に貫通させることで曲面形状に成型された外刃素材214が台座220の下方に排出される(図28(c))。この台座220の下方に排出された外刃素材214は、弾性変形することになる。
【0009】
焼入矯正工程209では、図29に示すように、弾性変形した外刃素材214がセラミック製などの耐熱性下型229内に設置され、セラミック製などの耐熱性上型230により押圧された状態で焼き入れされることで所定の曲面形状に矯正される。そして、焼戻工程210では、所定の曲面形状に矯正された外刃素材214が焼き戻され、これにより脆さの取り除かれた外刃203(図24)を得ることができる。
【特許文献1】特公昭45−3712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記の加工方法によれば、それぞれ複数回の焼入処理と焼戻処理とが必要となるため、加工工程が煩雑となって低廉化を促進することが困難となり、しかも、外刃203の内周面形状(内のり形状)を曲げ処理によって得るため、内周面形状(内のり形状)の寸法精度を高めるのに制約が生じることになり、切れ味にばらつきが生じ易くなるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、加工工程を簡素化することができ、しかも、内周面形状の寸法精度を容易に高めることのできる電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法及び加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、髭を外刃と内刃とで挟み込むことにより切断する電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法であって、金属からなる板状の外刃素材に複数の凹凸を形成しつつ当該外刃素材を曲面形状に成型する第1の工程と、前記曲面形状に成型された外刃素材を焼き入れする第2の工程と、前記焼き入れされた曲面形状の外刃素材の内周面側の凹凸を研削することにより複数の貫通孔が設けられた刃を形成する第3の工程と、前記刃の形成された外刃素材を焼き戻す第4の工程とを備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に係る方法において、前記第1の工程では、板状部材の表面に複数の歯が形成されてなる第1の金型と、曲面形状部材の外周面に前記第1の金型の歯に噛み合う複数の歯が形成されてなる第2の金型とを備え、前記板状の外刃素材を前記第1の金型面に配置し、この外刃素材に対して前記第2の金型により押圧力を加えつつ当該第2の金型をその外周面に前記外刃素材を巻き付けながら前記第1の金型に沿って転動させることを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2に係る方法において、前記第1の工程では、前記第2の金型をその外周面にフィルムシートを介して前記外刃素材を巻き付けながら前記第1の金型に沿って転動させることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明は、髭を外刃と内刃とで挟み込むことにより切断する電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置であって、板状部材の表面に複数の歯が形成されてなる第1の金型と、外周面が前記外刃の内周面形状に合致した形状を有する曲面形状部材の当該外周面に前記第1の金型の歯に噛み合う複数の歯が形成されてなる第2の金型と、前記第1の金型面に配置した板状の外刃素材に対して前記第2の金型により押圧力を加えつつ当該第2の金型をその外周面に前記外刃素材を巻き付けながら前記第1の金型に沿って転動させる転動機構部とを備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4に係るものにおいて、前記第2の金型が、その外周面に前記外刃素材の端部を係止する係止部を設けたものであり、前記転動機構部が、前記外刃素材の端部を前記係止部に係止させた状態で前記第2の金型を前記第1の金型に沿って転動させるものであることを特徴としている。
【0017】
請求項6の発明は、請求項4又は5に係るものにおいて、前記転動機構部が、前記第2の金型の対向する両側面にそれぞれ設けられ、外周縁における先端位置からの距離が外周縁における他の位置からの距離よりも長くなる箇所に突出する支持軸体と、前記第2の金型の対向する両側面側にそれぞれ設けられ、前記支持軸体を挿入した状態で前記第1の金型の一端側と他端側との間を摺動可能で前記第1の金型に対してアーチ状となるスライド孔の形成されたガイド部材と、前記支持軸体を前記ガイド部材のアーチ状のスライド孔に沿って移動させる移動機構とを備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れかに係るものにおいて、前記第2の金型が、その内部に当該第2の金型の外周面から流体を吐出させる流体通路を設けたもので、前記第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を当該外周面から離脱させるときに前記流体通路に流体を供給するようにしたことを特徴としている。
【0019】
請求項8の発明は、請求項4乃至6の何れかに係るものにおいて、前記第2の金型が、中央に配した中央部材と、この中央部材の両側にそれぞれ配した外側部材と、これらの外側部材を互いに中央部材側に付勢する付勢部材とを備えたもので、前記第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を当該外周面から離脱させるときに前記中央部材を外方に引き抜くことにより前記外側部材を前記付勢部材により互いに引き寄せるようにしたことを特徴としている。
【0020】
請求項9の発明は、請求項4又は5に係るものにおいて、前記転動機構部が、前記第1の金型面に直交する第1の方向及び前記第1の金型面に平行な第2の方向に駆動可能なカムと、前記第2の金型の内部に形成されて前記カムを摺動させるもので、前記第2の金型の外周面に対応する曲面に沿って形成されたカム受け部と、前記カムを前記第1の方向に押圧力を加えた状態で前記カム受け部に摺動させて前記第2の方向に移動させる移動機構とを備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項10の発明は、請求項4乃至9の何れかに係るものにおいて、前記転動機構部が、前記外刃素材に対する前記第2の金型の外周面における接触面積が大きい曲面位置では小さい曲面位置よりも押圧力を大きくし、前記外刃素材に対する前記第2の金型の外周面における接触面積が小さい曲面位置では大きい曲面位置よりも押圧力を小さくするようにしたものであることを特徴としている。
【0022】
請求項11の発明は、請求項4又は5に係るものにおいて、前記第2の金型が、外周面が前記外刃の内周面形状に合致した形状を有する2つの曲面形状部材を互いに逆方向を向くように対向させて一体化した形状を有する曲面形状部材により構成されたもので、その曲面形状部材の外周面に前記第1の金型の歯に噛み合う複数の歯が形成されたものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、焼入処理及び焼戻処理の工程数を少なくすることができ、しかも、板状の外刃素材に対する凹凸の形成と曲面形状への成型とを同一の工程で行うことができるため、全体の工程数を効果的に削減することができる結果、製造コストの低廉化を容易に促進することができる。また、板状の外刃素材を所定の曲面形状に成型した後に内周面側を研削して刃を形成することで外刃を得るため、外刃の内周面形状の寸法精度を高めることができ、内刃とのクリアランスを正確に設定することができるようになる結果、かみそりの切れ味を効果的に向上させることができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、第1の金型面に配置した板状の外刃素材に対して第2の金型により押圧力を加えつつ、第2の金型をその外周面に外刃素材を巻き付けながら転動させるため、板状の外刃素材に対する凹凸の形成と曲面形状への成型とを同一の工程において確実に行うことができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、第2の金型の外周面にフィルムシートを介して外刃素材が巻き付けられるため、フィルムシートの端部を引っ張ることで曲面形状に成型された外刃素材を第2の金型から容易に離脱させることができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、第2の金型が板状の外刃素材に対して押圧力を加えつつ、その外周面に外刃素材を巻き付けながら転動されるため、板状の外刃素材に対する凹凸の形成と曲面形状への成型とを同時に行うことができ、工程数を効果的に削減することができる結果、製造コストの低廉化を容易に促進することができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、板状の外刃素材の端部を外周面の係止部に係止させた状態で第2の金型を転動させるため、板状の外刃素材に対する凹凸の形成と曲面形状への成型とを確実に行うことができる。
【0028】
請求項6の発明によれば、第2の金型の両側面に設けられた支持軸体をガイド部材のスライド孔に沿って移動させるため、第2の金型を第1の金型に沿って確実に転動させることができる結果、板状の外刃素材に対する凹凸の形成と曲面形状への成型とを確実に行うことができる。
【0029】
請求項7の発明によれば、第2の金型の内部に設けた流体通路に流体を供給することにより、第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を第2の金型の外周面から容易に離脱させることができる。
【0030】
請求項8の発明によれば、中央部材を外方に引き抜いて外側部材を付勢部材により互いに引き寄せるようにすることにより、第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を第2の金型の外周面から容易に離脱させることができる。
【0031】
請求項9の発明によれば、カムを第2の金型の内部に形成されたカム受け部に摺動させて移動させるため、第2の金型を第1の金型に沿って確実に転動させることができる結果、板状の外刃素材に対する凹凸の形成と曲面形状への成型とを確実に行うことができる。
【0032】
請求項10の発明によれば、第2の金型の外刃素材に対する接触面積に対応して外刃素材に対する押圧力が調整されるため、外刃素材を第2の金型の外周面に確実に巻き付けることができ、外刃素材をより正確な寸法で成型することができる。
【0033】
請求項11の発明によれば、第2の金型を第1の金型に対して一回転させることで2つの外刃の転写・曲げ工程を同時に行うことができるため、転写・曲げ工程における作業効率を効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法を説明するための工程を示す図である。すなわち、本発明に係る電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法は、髭を外刃と内刃とで挟み込むことにより切断する従来例に示した電気かみそりの外刃であって、図2に示すように、複数の貫通孔10がメッシュ状に形成されており、長手方向(X1―X2)と直交する方向(Y1―Y2)の側面がU字に近似した曲面形状を有する外刃11を得るためのものであり、第1の工程である転写・曲げ工程12と、第2の工程である焼入工程13と、第3の工程である研削工程14と、第4の工程である焼戻工程15とを備えている。
【0035】
転写・曲げ工程12は、金属からなる板状の外刃素材に複数の凹凸をメッシュ状に形成しつつ当該外刃素材を曲面形状に成型する工程である。図3は、この転写・曲げ工程12を実施するための加工装置16の構成例を模式的に示すもので、板状部材17の表面に複数の歯18がメッシュ状に形成されてなる第1の金型20と、曲面形状部材21の曲面を有する外周面に第1の金型20の歯18に噛み合う複数の歯22がメッシュ状に形成されてなる第2の金型23とを備えている。
【0036】
この第2の金型23を構成する曲面形状部材21は、歯22の形成される外周面が外刃11の内周面形状(内のり形状)に合致した曲面形状を有するものである。すなわち、この曲面形状部材21は、図4に示すように、長手方向(X1―X2)と直交する方向(Y1―Y2)の断面がU字(半楕円形状又は半長円形状)に近似した輪郭を有するものであり、先端aの両側に線対称となる互いに外側に膨らんだ曲面b、cを有する長手方向(X1―X2)に伸びる外周面dと、長手方向(X1―X2)に互いに対向する2つの側面e、fと、2つの側面e、fを結ぶ平面gとを備えたブロック体からなるものである。
【0037】
この転写・曲げ工程12では、第1の金型20面に沿って金属からなる板状の外刃素材24を配置し、この外刃素材24に対して第2の金型23により押圧力(プレス力)を加えつつ、第2の金型23をその外周面に外刃素材24を巻き付けながら第1の金型20に沿って転動させる。
【0038】
すなわち、第2の金型23を先端aが外刃素材24の中央部側に向き、一方の曲面bが外刃素材24に向くような状態で横臥させ、その一方の曲面bにおける先端aから所定寸法だけ離間した箇所に外刃素材24の端部を係止させて固定しておき、この状態で第2の金型23を外刃素材24に対して押圧力を加えながら第1の金型20に沿って転動させることで第2の金型23を立ち上がらせ、この立ち上がった第2の金型23を横臥させて他方の曲面cにおける先端aから所定寸法だけ離間した箇所が外刃素材24に当接するまで外刃素材24に対して第2の金型23により押圧力を加えながら第1の金型20に沿って転動させる。
【0039】
これにより、図5に示すように、第1の金型20と第2の金型23とにより外刃素材24に凹凸26がメッシュ状に形成(転写)され、この凹凸26の形成された外刃素材24が第2の金型23の外周面形状に合致した内周面形状を有する曲面形状に成型されることになる。
【0040】
焼入工程13は、曲面形状に成型された図5に示す外刃素材24を焼き入れ処理する工程であり、セラミックなどで構成された型内に外刃素材24を保持させるなどして炉内に収納し、その金属材料に適合した温度で所定時間だけ加熱したのち、急速に冷却することで焼き入れ処理が行われる。これにより、所定の曲面形状に矯正されると共に、金属材料の硬度が高められることで、研削工程14で外刃素材24を研削するときの不要なバリの発生が抑制され、良好な刃先が形成されることになる。
【0041】
研削工程14は、焼き入れ処理された曲面形状の外刃素材24の内周面側の複数の凹凸26を研削することにより複数の貫通孔がメッシュ状に設けられてなる刃を形成する工程であり、図6に示すように、焼き入れ処理された曲面形状を有する外刃素材24をセラミックなどで構成された型27の曲面形状を有する保持部28内に収納して保持させ、この状態で外刃素材24の内周面側の凹凸26を砥石などの切削部材で切削することで、図7に示すように、複数の貫通孔29がメッシュ状に形成されてなる刃30が形成されることになる。
【0042】
この外刃素材24の凹凸26は、例えば、次のようにして切削される。すなわち、図8に示すように、外周面が外刃素材24の内周面(内のり面)に合致した形状を有する円盤状の切削部材32を回転させ、この回転している切削部材32の外周部分に型27に保持された外刃素材24の内周部分が嵌まり込むようにして外刃素材24を上流側から下流側に向けて切削部材32を通過させることにより、外刃素材24の内周面側の凹凸26が切削される。これにより、刃30の内周面形状を高精度で仕上げることができる。すなわち、刃30の内周面形状は、切削部材32の外周部分の形状により決まるため、切削部材32の外周部分の形状を管理しておくことで容易に刃30の内周面形状を高精度で仕上げることができることになる。
【0043】
焼戻工程15は、刃30の形成された外刃素材24を焼き戻す工程であり、セラミックなどで構成された型内に外刃素材24を保持させるなどして炉内に収納し、その金属材料に適合した温度で所定時間だけ加熱することで焼き戻し処理が行われる。これにより、金属材料の硬度が低くなって外刃素材24の弾力性が高められ、髭剃りに適した外刃11を得ることができる。
【0044】
以上のように、本発明の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法によれば、従来の加工方法に比べて焼入処理及び焼戻処理の工程数を少なくすることができ、しかも、外刃素材24に対する凹凸26の形成と曲面形状への成型とを同一の工程で行うことができるため、全体の工程数を効果的に削減することができる結果、製造コストの低廉化を容易に促進することができる。また、板状の外刃素材24を所定の曲面形状に成型した後にその内周面側を研削して刃30を形成することで外刃11を得るため、外刃11の内周面形状の寸法精度を高めることができ、内刃とのクリアランスを正確に設定することができるようになる結果、かみそりの切れ味を効果的に向上させることができる。
【0045】
図9は、転写・曲げ工程12において用いられる加工装置16の具体的構成例を示す図である。すなわち、加工装置16は、上述した第1の金型20及び第2の金型23(いずれも歯18、22の図示を省略)と、第1の金型20面に沿わせて配置した板状の外刃素材24に対し第2の金型23により押圧力を加える一方、第2の金型23をその外周面に外刃素材24を巻き付けながら第1の金型20に沿って転動させることで、外刃素材24に凹凸26(図5)をメッシュ状に形成しつつ外刃素材24を曲面形状に成型する転動機構部31とを備えている。
【0046】
ここで、第1の金型20は、台座37上に設置されている。また、転動機構部31は、第2の金型23の両側面(紙面を貫く方向の手前側及び奥行側)にそれぞれ設けられ、各側面の外周縁における先端aの位置(先端位置)からの距離が当該外周縁における他の位置からの距離よりも長くなる箇所において同軸状に突出する支持軸体33、33(手前側の一方のみ図示)と、第2の金型23の両側面側(紙面を貫く方向の手前側及び奥行側)にそれぞれ配設されたもので、支持軸体33、33をそれぞれ挿入した状態で当該支持軸体33、33を第1の金型20の一端側(図示の左端側)と他端側(図示の右端側)との間において摺動可能で第1の金型20に対してアーチ状となる(上方に向けて凸状となる)スライド孔34を有するアーチ状ガイド部材35、35(手前側の一方のみ図示)と、支持軸体33、33をスライド孔34に挿入した状態でアーチ状ガイド部材35、35の一端側(図示の左端側)と他端側(図示の右端側)との間をスライド孔34に沿って移動させる移動機構36とを備えている。
【0047】
移動機構36は、アーチ状ガイド部材35、35の一端側と他端側とにおける台座37上にそれぞれ立設された支柱38、38と、この支柱38、38に跨って配設された天板39と、この天板39に取り付けられた金型駆動部40とを備えている。
【0048】
金型駆動部40は、天板39に取り付けられた一対の軸受け42、42により回転可能に軸支され、第2の金型23の上方に配設されたねじ軸43と、このねじ軸43に螺合され、ねじ軸43の回転により軸方向に移動されるナット部材44と、このナット部材44に接続されて第2の金型23の両側面側にそれぞれ伸びるように配設され、支持軸体33、33をそれぞれ挿入した状態で第1の金型20に直交する方向(図示の上下方向)に摺動可能なストレート状のスライド孔45の形成されたストレート状ガイド部材46、46(手前側の一方のみ図示)と、天板39に取り付けられ、ねじ軸43を回転駆動する駆動モータ47とを備えている。
【0049】
このように構成された加工装置16によれば、ねじ軸43の回転によりナット部材44がねじ軸43の一端側(図示の左端側)と他端側(図示の右端側)との間を移動することで支持軸体33、33がストレート状ガイド部材46、46により第1の金型20面に平行する方向(図示の左右方向)に押圧され、アーチ状ガイド部材35、35のスライド孔34、34に沿って第1の金型20の一端側(図示の左端側)と他端側(図示の右端側)との間を移動する結果、第2の金型23が第1の金型20の一端側と他端側との間で第1の金型20に沿って転動することになる。なお、アーチ状ガイド部材35、35は、支持軸体33、33がアーチ状ガイド部材35、35のスライド孔34、34に沿って移動するとき、第2の金型23が第1の金型20面に配置された外刃素材24に対して押圧力を加えることのできる位置に配設されている。
【0050】
すなわち、支持軸体33、33がアーチ状ガイド部材35、35の一端側に移動されるときには、支持軸体33、33が第1の金型20に近づく方向(図示の下方)にガイドされることで第2の金型23が先端aを第1の金型20の中央部側に向けて横臥された状態となり、支持軸体33、33がアーチ状ガイド部材35、35の中央部に移動されるときには、支持軸体33、33が第1の金型20から離反する方向(図示の上方)にガイドされることで第2の金型23が立直された状態となる。また、支持軸体33、33がアーチ状ガイド部材35、35の他端側に移動されるときには、支持軸体33、33が第1の金型20に近づく方向(図示の下方)にガイドされることで第2の金型23が先端aを第1の金型20の中央部側に向けて横臥された状態となる。
【0051】
これにより、第1の金型20面に沿って板状の外刃素材24を配置し、第2の金型23の一方の曲面bにおける先端aから離間した箇所に外刃素材24の端部を係止した状態で第2の金型23をアーチ状ガイド部材35、35の一端側から他端側に向けて移動させることにより第2の金型23は外刃素材24に対して押圧力を加えながら転動されることになる結果、外刃素材24は凹凸26がメッシュ状に形成された状態で第2の金型23の外周面に巻き付けられて曲面形状に成型されることになる。
【0052】
図10は、外刃素材24の端部を第2の金型23の外周面に係止するための係止構造の具体例を示す図であり、(a)は、第2の金型23の外周面に鉤状のピンからなる係止部50を形成したもの、(b)は、第2の金型23の外周面にスリットからなる係止部51を形成したもの、(c)は、第2の金型23の外周面にクランプ機構(締付け具)からなる係止部52を設けたもので、いずれか1の係止構造を採用することができる。なお、第2の金型23の外周面に鉤状のピンからなる係止部50を形成する場合は、外刃素材24の端部に係止部50に嵌合可能な孔を形成しておく必要がある。
【0053】
図11は、外刃素材24の端部の第2の金型23への係止状態を示す図であり、(a)は、外刃素材24の端部に形成した孔を第2の金型23の外周面に形成した係止部50に嵌合させることで外刃素材24の端部を係止させたもので、これにより第2の金型23を転動させたときに外刃素材24が第2の金型23の外周面に巻き付けられるようにしたもの、(b)は、外刃素材24の端部を第2の金型23の外周面に形成した係止部51に差し込むことで外刃素材24の端部を係止させたもので、これにより第2の金型23を転動させたときに外刃素材24が第2の金型23の外周面に巻き付けられるようにしたもの、(c)は、外刃素材24の端部を第2の金型23の外周面に設けた係止部52に挟み込むことで外刃素材24の端部を係止させたもので、第2の金型23を転動させたときに外刃素材24が第2の金型23の外周面に巻き付けられるようにしたものである。
【0054】
図12は、転写・曲げ工程12を実施するための加工装置16の別の構成例を模式的に示すもので、板状部材57の表面に複数の歯58がメッシュ状に形成されてなる第1の金型60と、曲面形状部材61の曲面を有する外周面に第1の金型60の歯58に噛み合う複数の歯62がメッシュ状に形成されてなる第2の金型63と、第1の金型60面に直交する第1の方向及び第2の金型60面に平行な第2の方向に駆動可能なカム64と、第2の金型60の内部に形成された空洞部65においてカム64を摺動させるもので、第2の金型60の外周面に対応する曲面に沿って形成されたカム受け部66とを備えている。
【0055】
この第2の金型63を構成する曲面形状部材61は、歯62の形成される外周面が外刃11の内周面形状(内のり形状)に合致した曲面形状を有するものである。すなわち、この曲面形状部材61は、図13に示すように、長手方向(X1―X2)と直交する方向(Y1―Y2)の断面がU字(半楕円形状又は半長円形状)に近似した輪郭を有するものであり、先端aの両側に線対称となる互いに外側に膨らんだ曲面b、cを有する長手方向(X1―X2)に伸びる外周面dと、長手方向(X1―X2)に互いに対向する2つの側面e、fと、2つの側面e、fを結ぶ平面gとを備えたブロック体からなるものである。なお、カム64は、第2の金型63の空洞部65内に配設され、空洞部65における第2の金型63の内周面に形成されたカム受け部66を摺動するようになっており、第1の金型60面に直交する方向の押圧力が加えられることで第2の金型63を第1の金型60側に押圧する。
【0056】
このような構成になる加工装置16では、図3に示す構成と同様に、第1の金型60面に沿って外刃素材24を配置し、この外刃素材24に対して第2の金型63により押圧力を加える一方、第2の金型63をその外周面に外刃素材24を巻き付けながら第1の金型60に沿って転動させる。
【0057】
すなわち、第2の金型63を先端aが外刃素材24の中央部側に向き、一方の曲面bが外刃素材24に向くような状態で横臥させ、その一方の曲面bにおける先端aから所定寸法だけ離間した箇所に外刃素材24の端部を係止させて固定しておき、この状態でカム64をカム受け部66に対して押圧力を加えつつ第1の金型60面に平行な方向に移動させる。これにより、カム受け部66がカム64の移動に応じて順次押圧されていくことで、第2の金型63は外刃素材24の中央部で立ち上がり、その後に横臥されて他方の曲面cにおける先端aから所定寸法だけ離間した箇所が外刃素材24に当接するまで転動されることになる。
【0058】
これにより、図5に示すように、第1の金型60と第2の金型63とにより凹凸26がメッシュ状に形成(転写)された状態で外刃素材24が第2の金型63の外周面に巻き付けられることで、外刃素材24が第2の金型63の外周面形状に合致した内周面形状を有する曲面形状に成型されることになる。
【0059】
図14は、転写・曲げ工程において用いられる上述した別の構成例の加工装置16の具体的構成例を示す図である。すなわち、加工装置16は、上述した第1の金型60及び第2の金型63(いずれも歯58、62の図示を省略)と、第1の金型60面に沿わせて配置した板状の外刃素材24に対し第2の金型63により押圧力を加える一方、第2の金型63をその外周面に外刃素材24を巻き付けながら第1の金型60に沿って転動させることで、外刃素材24に凹凸26(図5)をメッシュ状に形成しつつ外刃素材24を曲面形状に成型する転動機構部68とを備えている。
【0060】
ここで、第1の金型60は、台座69上に設置されている。また、転動機構部68は、第1の金型60面に沿わせて配置した板状の外刃素材24に対し、第2の金型63の接触面積に対応した押圧力(外刃素材24に対する接触面積が少ない曲面領域では接触面積の多い曲面領域よりも小さい押圧力とし、外刃素材24に対する接触面積が多い曲面領域では接触面積の少ない曲面領域よりも大きい押圧力とする。)を第2の金型63により加えるようにしたもので、第2の金型63の空洞部65内に配設された上述のカム64と、カム64を摺動させるカム受け部66と、カム64を第1の金型60面と直交する方向に押圧力を加えながらカム受け部66を摺動して第1の金型60面に平行な方向に移動させる移動機構71とを備えている。
【0061】
ここで、カム64は、図15に示すように、第2の金型63の両側面から外方にそれぞれ突出する支持軸体72、72が同軸状に設けられたものである。また、カム受け部66は、上述したように、第2の金型63の内部に形成されてカム64を摺動させるもので、第2の金型63の外周面に対応する曲面に沿って形成され、図15に示すように、カム64が摺動可能な凹溝73により構成されたものである。
【0062】
移動機構71は、第1の金型60の一端側(図示の左側)と他端側(図示の右側)とにおける台座69にそれぞれ立設された直動アクチュエータ75、75と、この直動アクチュエータ75、75に跨って配設された天板76と、この天板76に取り付けられた金型駆動部77とを備えている。
【0063】
直動アクチュエータ75、75は、軸駆動部78により駆動軸体79が軸方向(図示の上下方向)に伸縮可能に構成されたものである。また、金型駆動部77は、天板76に取り付けられた一対の軸受け80、80により回転可能に軸支され、第2の金型63の上方に配設されたねじ軸81と、このねじ軸81に螺合され、ねじ軸81の回転により軸方向に移動されるナット部材82と、このナット部材82から垂下される押圧部材83と、第2の金型63の両側面側(紙面を貫く方向の手前側及び奥行側)にそれぞれ配設され、支持軸体72、72をそれぞれ支持する支持部材84、84(手前側の一方のみ図示)と、支持部材84、84を上部で連結する平板部材85と、押圧部材83と平板部材85との間に配設された圧力センサ86と、天板76に取り付けられ、ねじ軸81を回転駆動する駆動モータ87とを備えている。この駆動モータ87は、ねじ軸81の回転数を検出するためのエンコーダ88が付設されたものである。
【0064】
このように構成された加工装置16によれば、直動アクチュエータ75、75の駆動軸体79を伸縮させて長さを調節することで天板76をカム64が第2の金型63に対して所定の押圧力を加え得る位置に設定しておき、この状態でねじ軸81の回転によりナット部材82がねじ軸81の一端側(図示の左端側)と他端側(図示の右端側)との間を移動することで、支持部材84、84に支持軸体72、72を介して支持されたカム64がカム受け部66を押圧しつつカム受け部66を摺動して第1の金型60に平行に移動する結果、第2の金型63が第1の金型60の一端側と他端側との間で第1の金型60に沿って転動することになる。
【0065】
すなわち、カム64が第1の金型60の一端側に移動されたときに、第2の金型63が先端aを第1の金型60の中央部側に向けて横臥された状態となるようにカム64と第2の金型63との位置関係を設定しておくことで、カム64が第1の金型60の一端側から第1の金型60の中央部に移動されるときには、カム64がカム受け部66を押圧しつつ摺動する結果、カム受け部66が順次押圧されていくことで第2の金型63が立ち上がった状態となる。また、カム64が第1の金型60の中央部から他端側に移動されるときには、カム64がカム受け部66を押圧しつつ摺動する結果、カム受け部66が順次押圧されていくことで第2の金型63が先端aを第1の金型60の中央部側に向けて横臥された状態となる。
【0066】
このようにして第2の金型63が転動される場合、第2の金型63を構成する曲面形状部材61はU字に近似した曲面形状を有していることから、第2の金型63の第1の金型60に対する接触面積が変動することになるが、直動アクチュエータ75、75の伸縮動作により第1の金型60に対する接触面積が大きい場合には小さい場合に比べて押圧力を大きくし、第1の金型60に対する接触面積が小さい場合には大きい場合に比べて押圧力を小さくすることで、第2の金型63による単位面積当たりの押圧力が略一定に制御される。これにより、外刃素材24を安定した条件で成型することが可能となる。
【0067】
すなわち、第2の金型63の第1の金型60に対する接触面積は第2の金型63が横臥した状態から立直した状態になるに従って小さくなり、立直した状態から横臥した状態になるに従って大きくなる。このため、エンコーダ88により検出したねじ軸81の基準位置からの回転数とカム64の位置(すなわち、ねじ軸81の基準位置からの回転数と第2の金型63の接触面積)とを対応づけておき、ねじ軸81の基準位置からの回転数に応じて直動アクチュエータ75、75の動作を制御する(すなわち、接触面積が小さい場合は直動アクチュエータ75、75の駆動軸体79、79を伸長させ、接触面積が大きい場合は駆動軸体79、79を縮小させる。)ことで、第2の金型63による第1の金型60に対する単位面積当たりの押圧力が略一定に設定される。なお、圧力センサ86は、実際の押圧力を監視するものであり、圧力センサ86から出力される信号に基づいて直動アクチュエータ75、75の軸駆動部78が伸縮される。
【0068】
これにより、第1の金型60面に沿って板状の外刃素材24を配置し、第2の金型63の一方の曲面bにおける先端aから離間した箇所に外刃素材24の端部を係止した状態でカム64を第1の金型60の一端側から他端側に向けて移動させることにより、第2の金型63は外刃素材24に対して接触面積に対応した押圧力を加えながら転動される結果、外刃素材24は凹凸26がメッシュ状に形成された状態で第2の金型63の外周面に巻き付けられて曲面形状に成型されることになる。
【0069】
このように、図14に示す構成の加工装置16では、第2の金型63が外刃素材24に対して接触面積に対応した押圧力を加えながら転動されるため、外刃素材24がより正確な寸法精度で成型されることになる。なお、外刃素材24の端部の係止構造は、図10に示す構成が採用される。
【0070】
図16は、図14に示す構成の加工装置16の押圧力を調整するための制御構成を説明するためのブロック図である。すなわち、加工装置16は、押圧力を調整するための制御部90を備えている。この制御部90は、演算処理を実行するCPU、処理プログラムやデータなどを記憶するROM、及び、データを一時的に記憶するRAMを備えたマイクロコンピュータなどで構成されたもので、圧力センサ86及びエンコーダ88が接続されると共に、直動アクチュエータ75、75及び駆動モータ87が接続されたものである。
【0071】
また、制御部90には、プレス力算出部91、直動アクチュエータ制御部92、押圧力判別部93、モータ制御部94、位置検出部95、及び、位置判別部96の各機能実現部を備えている。ここで、プレス力算出部91は、カム64による第2の金型63(カム受け部66)に対する押圧力を算出するものである。この押圧力は、例えば、ねじ軸81の基準位置からの回転数(あるいは、第2の金型63の第1の金型60に対する位置)から接触面積に対応した押圧力を求める計算式がROMなどの記憶部に記憶されており、この計算式に基づき算出される。
【0072】
直動アクチュエータ制御部92は、直動アクチュエータ75、75の軸駆動部78、78の動作を制御してプレス力算出部91で算出された押圧力を加えるのに必要な位置に駆動軸体79、79を伸縮させるものである。押圧力判別部93は、圧力センサ86から出力される信号に基づいてプレス力算出部91で算出された押圧力が実際に加えられているか否かを判別するものである。
【0073】
モータ制御部94は、駆動モータ87の速度を制御するもので、カム64を第1の金型60面に平行な方向に一定速度で移動させるものである。位置検出部95は、ねじ軸81の基準位置からの回転数に基づいてカム64(あるいは、第2の金型63)の位置を検出するものである。位置判別部96は、位置検出部95で検出された位置データとプレス終了位置データと比較することでカム64の位置が外刃素材24を成型し終わった位置であるプレス終了位置に達したか否かを判別するものである。
【0074】
図17は、図14に示す構成の加工装置16の動作例を説明するためのフローチャートである。まず、カム64(あるいは、第2の金型63)の現状の位置が位置検出部95により検出され(ステップS1)、その後にカム64の位置がプレス終了位置に達しているか否かが位置判別部96により判別される(ステップS3)。
【0075】
ステップS3における判別が否定されると、現状の位置における第2の金型63の接触面積に対応した押圧力(すなわち、単位面積当りの押圧力を一定にするための押圧力)である目標プレス力がプレス力算出部91により算出され(ステップS5)、その算出された目標プレス力に基づいて直動アクチュエータ75、75の軸駆動部78、78が直動アクチュエータ制御部92により駆動され、駆動軸体79、79が所定の伸縮長さに設定される(ステップS7)。
【0076】
次いで、算出された目標プレス力(押圧力)が第2の金型63に加えられているか否かが押圧力判別部93により判別される(ステップS9)。この判別が肯定されると、駆動モータ87がモータ制御部94により駆動され、カム64が次の位置に移動され(ステップS11)、引き続いてステップS1に移行し、その後のステップが繰り返し実行される。なお、ステップS3における判別が肯定されると、カム64の移動が終了する。また、ステップS9における判別が否定されると、ステップS7に移行し、その後のステップが繰り返し実行される。
【0077】
以上のように、本発明の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法の転写・曲げ工程12において用いられる加工装置16、16は、板状部材の表面に複数の歯が形成されてなる第1の金型20、60と、外周面が外刃の内周面形状に合致した形状を有する曲面形状部材の当該外周面に第1の金型20、60の歯に噛み合う複数の歯が形成されてなる第2の金型23、63と、第1の金型20、60面に配置した板状の外刃素材24に対して第2の金型23、63により押圧力を加えつつ第2の金型23、63をその外周面に外刃素材24を巻き付けながら第1の金型20、60に沿って転動させる転動機構部31、68とを備えているため、刃を形成するための凹凸26の形成(転写)と、外刃素材24の曲面形状への成型とを同時に行うことができる結果、外刃11を加工するための工程数を効果的に削減することができ、製造コストの低廉化を容易に促進することができる。
【0078】
なお、本発明の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法及び加工装置は、上記実施形態のように構成されるものであるが、これらの実施形態のものに限るものではない。例えば、以下に述べるような種々の変形態様を必要に応じて採用することができる。
【0079】
(1)上記実施形態では、上述の加工装置16、16において、第2の金型23、63の外周面に巻き付けられた外刃素材24を第2の金型23、63から離脱させるための格別な構成を採用していないが、例えば、図18乃至図20に示す何れかの構成を採用することもできる。
【0080】
すなわち、図18は、上述の加工装置16、16において、第2の金型23、63の外周面に巻き付けた外刃素材24を第2の金型23、63から容易に離脱させるようにした第1の構成例を示す図である。この第1の構成例では、図18(a)に示すように、外刃素材24と第2の金型23、63との間に、外刃素材24よりも長い寸法を有する樹脂製などのフィルムシート100を介在させた状態で外刃素材24を第2の金型23、63の外周面に巻き付けるようにしたものである。
【0081】
このように、外刃素材24と第2の金型23、63との間にフィルムシート100を介在させる場合、第1の金型20、60上に設置する外刃素材24の上に予めフィルムシート100を載置しておき、この状態で第2の金型23、63を第1の金型20、60に沿って転動させるようにすればよい。このような加工方法によれば、図18(b)に示すように、外刃素材24と第2の金型23、63との間から露出するフィルムシート100の端部を把持して外刃素材24を離脱させる方向に引っ張ることで成型した外刃素材24を第2の金型23、63から容易に離脱させることができる。
【0082】
図19は、上述の加工装置16、16において、第2の金型23、63の外周面に巻き付けた外刃素材24を第2の金型23、63から容易に離脱させるようにした第2の構成例を示す図である。この第2の構成例では、図19(a)に示すように、第2の金型23、63の内部に、第2の金型23、63の外刃素材24が巻き付けられる外周面に設けられた複数の吐出口102から空気などの流体を吐出させる流体通路103を設けたもので、これらの吐出口102を覆うように外刃素材24を第2の金型23、63の外周面に巻き付けるようにしたものである。
【0083】
このように、第2の金型23、63の内部に空気などの流体を吐出させる流体通路103を設けた場合、図19(b)に示すように、流体供給部104から第2の金型23、63の流体通路103に空気などの流体を送り込むようにすると、吐出口102から排出される流体の圧力により第2の金型23、63の外周面に巻き付けられた外刃素材24が押し広げられる結果、外刃素材24を第2の金型23、63の外周面から容易に離脱させることができる。
【0084】
図20は、上述の加工装置16、16において、第2の金型23、63の外周面に巻き付けた外刃素材24を第2の金型23、63から容易に離脱させるようにした第3の構成例を示す図である。この第3の構成例では、図20(a)に示すように、第2の金型23、63を、中央に配設される中央部材106と、この中央部材106の第1の金型20,60の一端側及び他端側である両側に互いに離脱可能に配設される2つの外側部材107、107と、この2つの外側部材107、107を互いに中央部材106側に付勢するバネなどからなる2つの付勢部材108、108とから構成したもので、このように構成した第2の金型23、63の外周面に外刃素材24を巻き付けるようにしたものである。
【0085】
すなわち、中央に位置する中央部材106は、先端が先細り状となる楔形形状を有するもので、2つの外側部材107、107から容易に引き抜くことができるようにしたものである。また、付勢部材108、108は、第2の金型23、63の両側面にそれぞれ設けられたもので(一方の側面のみ図示)、両端がそれぞれの外側部材107、107の側面に設けられたピン体109、109に係止されている。
【0086】
このように、第2の金型23、63を、中央に配設される中央部材106と、この中央部材106の両側にそれぞれ離脱可能に配設される2つの外側部材107、107と、この2つの外側部材107、107を互いに中央部材106側に付勢するバネなどからなる2つの付勢部材108、108とから構成した場合、図20(b)に示すように、引き上げ機構部110により中央部材106を上方に引き抜くことで2つの外側部材107、107が互いに引き寄せられる結果、外刃素材24を第2の金型23、63の外周面から容易に離脱させることができる。
【0087】
(2)上記実施形態では、転写・曲げ工程12において用いられる図9に示す加工装置16は、1つの外刃の転写・曲げ加工を行うものであるが、2つの外刃の転写・曲げ加工を同時に行うことができる構成とすることもできる。
【0088】
すなわち、図21は、転写・曲げ工程において用いられる加工装置16として、2つ分の外刃の転写・曲げ加工を同時に行うことができる構成例を模式的に示す図である。この構成例では、上述の第1の金型20に代え、2つ分の外刃を得ることのできる大きさの板状の外刃素材119を配置可能な板状部材120の表面に複数の歯121が形成された第1の金型122を用いると共に、上述の第2の金型23に代え、外周面が外刃の内周面形状に合致した形状(側面が楕円形状又は長円形状に近似した形状)を有する2つの曲面形状部材(第2の金型23を構成する曲面形状部材21に相当するもの)を互いに逆方向を向くように対向させて一体化した形状を有する曲面形状部材123の外周面に第1の金型122の歯121に噛み合う複数の歯124が形成された第2の金型125を用いたものである。
【0089】
この構成例によれば、第1の金型122面に沿って板状の外刃素材119を配置し、この外刃素材119に対して第2の金型125により押圧力を加えつつ、第2の金型125をその外周面に外刃素材119を巻き付けながら第1の金型122に沿って転動させて一回転させることで2つ分の外刃の転写・曲げ加工を同時に行うことができ、転写・曲げ工程12における作業効率を効果的に向上させることができる。なお、2つ分の外刃の転写・曲げ加工の行われた外刃素材119は、その適所にレーザを照射するなどして切断することで2分割するようにすればよい。
【0090】
この図21に示す加工装置16の具体的構成としては、図22に示すように、第2の金型125の両側面(紙面を貫く方向の手前側及び奥行側)の中央部に支持軸体127、127(手前側の一方のみ図示)を設けると共に、第2の金型125の両側面側(紙面を貫く方向の手前側及び奥行側)に第2の金型125を1回転させることのできる形状のアーチ状ガイド部材128、128(手前側の一方のみ図示)を設置しておき、このアーチ状ガイド部材128、128に設けたスライド孔129、129(手前側の一方のみ図示)に支持軸体127、127をそれぞれ挿入した状態でアーチ状ガイド部材128、128の一端側(図示の左端側)と他端側(図示の右端側)との間をスライド孔129、129に沿って移動させるようにすればよい。
【0091】
また、図21に示す加工装置16の別の具体的構成として、図23に示すように、第2の金型125の内部に図12及び図14に示す構成と同様の構成になるカム受け部130と図12及び図14に示す構成と同様の構成になるカム131とを設けておき、このカム131をカム受け部130において押圧力を加えた状態で第1の金型122の一端側から他端側に向けて摺動させるようにすることもできる。
【0092】
(3)上記実施形態では、外刃素材24の端部を第2の金型23、63に係止するための係止構造は、いずれも機械的に係止する構成のものについてしか説明していないが、例えば、外刃素材24を構成する金属材料が磁石に吸着可能なものである場合には、第2の金型23、63の外周面の所定位置に磁石を埋設しておくことで係止部を構成し、この磁石に外刃素材24の端部を吸着させることで係止させることもできる。
【0093】
(4)上記実施形態では、図14に示す構成の加工装置16は、第2の金型63の接触面積に対応して押圧力を調節するようにしたものであるが、例えば、直動アクチュエータ75、75を長さ調節のできない支柱に代えるなどすることにより、押圧力を調節しない構成とすることもできる。また、図14に示す加工装置16の押圧力を調節する構成は、図9に示す構成の加工装置16に適用することもできる。この場合、図14に示す構成の加工装置16の直動アクチュエータ75、75、圧力センサ86などを用いるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法を説明するための工程図である。
【図2】電気かみそりの曲面形状を有する外刃を示す斜視図である。
【図3】転写・曲げ工程を実施するための加工装置の構成例を模式的に示す図である。
【図4】第2の金型を構成する曲面形状部材の形状を説明するための斜視図である。
【図5】外刃素材の転写・曲げ工程を説明するための図である。
【図6】外刃素材の研削工程を説明するための図である。
【図7】外刃素材の研削工程で形成された刃を示す図である。
【図8】外刃素材の研削方法を説明するための図である。
【図9】図3に示す加工装置の具体的構成例を示す図である。
【図10】外刃素材の係止構造の具体例を示す図であり、(a)は、第2の金型の外周面に鉤状のピンからなる係止部を形成したもの、(b)は、第2の金型の外周面にスリットからなる係止部を形成したもの、(c)は、第2の金型の外周面にクランプ機構からなる係止部を設けたものである。
【図11】外刃素材の係止状態を示す図であり、(a)は、外刃素材の端部に形成した孔を第2の金型の外周面に形成したピンからなる係止部に嵌合させることで外刃素材の端部を係止させたもの、(b)は、外刃素材の端部を第2の金型の外周面に形成したスリットからなる係止部に差し込むことで外刃素材の端部を係止させたもの、(c)は、外刃素材の端部を第2の金型の外周面に設けたクランプ機構からなる係止部に挟み込むことで外刃素材の端部を係止させたものである。
【図12】転写・曲げ工程を実施するための加工装置の別の構成例を模式的に示すものである。
【図13】第2の金型を構成する曲面形状部材の形状を説明するための斜視図である。
【図14】図12に示す加工装置の具体的構成例を示す図である。
【図15】カム及びカム受け部の構成を説明するための要部断面図である。
【図16】図14に示す構成の加工装置の押圧力を調整するための制御構成を説明するためのブロック図である。
【図17】図14に示す構成の加工装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図18】第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を第2の金型から容易に離脱させる第1の構成例を示す図で、(a)は、外刃素材の第2の金型への巻き付け時の構成を示す図であり、(b)は、外刃素材の第2の金型からの離脱方法を説明するための図である。
【図19】第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を第2の金型から容易に離脱させる第2の構成例を示す図で、(a)は、第2の金型の構造を説明するための図であり、(b)は、外刃素材の第2の金型からの離脱方法を説明するための図である。
【図20】第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を第2の金型から容易に離脱させる第3の構成例を示す図で、(a)は、第2の金型の構造を説明するための図であり、(b)は、外刃素材の第2の金型からの離脱方法を説明するための図である。
【図21】2つ分の外刃の転写・曲げ工程を同時に実施することができる加工装置の構成例を模式的に示す図である。
【図22】図21に示す加工装置の具体的構成例を示す図である。
【図23】図21に示す加工装置の別の具体的構成例を示す図である。
【図24】電気かみそりの構成を説明するための図である。
【図25】電気かみそりの曲面形状を有する外刃の従来の加工方法を説明するための工程図である。
【図26】従来の加工方法における鍛造圧印工程を説明するための図で、(a)は、ダイとパンチとの間に外刃素材を配置した状態を示す図、(b)は、ダイとパンチとで外刃素材を押圧することで複数の凹凸がメッシュ状に形成された状態を示す図、(c)は、押圧が解除されて凹凸の形成された外刃素材が外部に取り出される状態を示す図である。
【図27】従来の加工方法における研削工程を説明するための図で、(a)は、凹凸の形成された外刃素材を研削砥石上に送り込む状態を示す図、(b)は、凹凸の底部が研削されることで外刃素材に複数の貫通孔がメッシュ状に形成された状態を示す図である。
【図28】従来の加工方法における冷間曲げ工程を説明するための図で、(a)は、一対の下金型上に貫通孔の形成された外刃素材を配置した状態を示す図、(b)は、外刃素材を下金型間に挿入することで曲面形状に成型した状態を示す図、(c)は、曲面形状に成型された外刃素材を台座の下方に排出させた状態を示す図である。
【図29】従来の加工方法における焼入矯正工程を説明するための図である。
【符号の説明】
【0095】
11 外刃
12 転写・曲げ工程(第1の工程)
13 焼入工程(第2の工程)
14 研削工程(第3の工程)
15 焼戻工程(第4の工程)
16 加工装置
17、57 板状部材
18、22、58、62、121、124 歯
20、60、122 第1の金型
21、61、123 曲面形状部材
23、63、125 第2の金型
24、119 外刃素材
26 凹凸
31、68 転動機構部
33 支持軸体
34 スライド孔
35 アーチ状ガイド部材
36、71 移動機構
50、51、52 係止部
64 カム
66 カム受け部
100 フィルムシート
103 流体通路
106 中央部材
107 外側部材
108 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
髭を外刃と内刃とで挟み込むことにより切断する電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法であって、金属からなる板状の外刃素材に複数の凹凸を形成しつつ当該外刃素材を曲面形状に成型する第1の工程と、前記曲面形状に成型された外刃素材を焼き入れする第2の工程と、前記焼き入れされた曲面形状の外刃素材の内周面側の凹凸を研削することにより複数の貫通孔が設けられた刃を形成する第3の工程と、前記刃の形成された外刃素材を焼き戻す第4の工程とを備えたことを特徴とする電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法。
【請求項2】
前記第1の工程では、板状部材の表面に複数の歯が形成されてなる第1の金型と、曲面形状部材の外周面に前記第1の金型の歯に噛み合う複数の歯が形成されてなる第2の金型とを備え、前記板状の外刃素材を前記第1の金型面に配置し、この外刃素材に対して前記第2の金型により押圧力を加えつつ当該第2の金型をその外周面に前記外刃素材を巻き付けながら前記第1の金型に沿って転動させることを特徴とする請求項1記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法。
【請求項3】
前記第1の工程では、前記第2の金型をその外周面にフィルムシートを介して前記外刃素材を巻き付けながら前記第1の金型に沿って転動させることを特徴とする請求項2記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工方法。
【請求項4】
髭を外刃と内刃とで挟み込むことにより切断する電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置であって、板状部材の表面に複数の歯が形成されてなる第1の金型と、外周面が前記外刃の内周面形状に合致した形状を有する曲面形状部材の当該外周面に前記第1の金型の歯に噛み合う複数の歯が形成されてなる第2の金型と、前記第1の金型面に配置した板状の外刃素材に対して前記第2の金型により押圧力を加えつつ当該第2の金型をその外周面に前記外刃素材を巻き付けながら前記第1の金型に沿って転動させる転動機構部とを備えたことを特徴とする電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。
【請求項5】
前記第2の金型は、その外周面に前記外刃素材の端部を係止する係止部を設けたものであり、前記転動機構部は、前記外刃素材の端部を前記係止部に係止させた状態で前記第2の金型を前記第1の金型に沿って転動させるものであることを特徴とする請求項4記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。
【請求項6】
前記転動機構部は、前記第2の金型の対向する両側面にそれぞれ設けられ、外周縁における先端位置からの距離が外周縁における他の位置からの距離よりも長くなる箇所に突出する支持軸体と、前記第2の金型の対向する両側面側にそれぞれ設けられ、前記支持軸体を挿入した状態で前記第1の金型の一端側と他端側との間を摺動可能で前記第1の金型に対してアーチ状となるスライド孔の形成されたガイド部材と、前記支持軸体を前記ガイド部材のアーチ状のスライド孔に沿って移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。
【請求項7】
前記第2の金型は、その内部に当該第2の金型の外周面から流体を吐出させる流体通路を設けたもので、前記第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を当該外周面から離脱させるときに前記流体通路に流体を供給するようにしたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。
【請求項8】
前記第2の金型は、中央に配した中央部材と、この中央部材の両側にそれぞれ配した外側部材と、これらの外側部材を互いに中央部材側に付勢する付勢部材とを備えたもので、前記第2の金型の外周面に巻き付けられた外刃素材を当該外周面から離脱させるときに前記中央部材を外方に引き抜くことにより前記外側部材を前記付勢部材により互いに引き寄せるようにしたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。
【請求項9】
前記転動機構部は、前記第1の金型面に直交する第1の方向及び前記第1の金型面に平行な第2の方向に駆動可能なカムと、前記第2の金型の内部に形成されて前記カムを摺動させるもので、前記第2の金型の外周面に対応する曲面に沿って形成されたカム受け部と、前記カムを前記第1の方向に押圧力を加えた状態で前記カム受け部に摺動させて前記第2の方向に移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。
【請求項10】
前記転動機構部は、前記外刃素材に対する前記第2の金型の外周面における接触面積が大きい曲面位置では小さい曲面位置よりも押圧力を大きくし、前記外刃素材に対する前記第2の金型の外周面における接触面積が小さい曲面位置では大きい曲面位置よりも押圧力を小さくするようにしたものであることを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。
【請求項11】
前記第2の金型は、外周面が前記外刃の内周面形状に合致した形状を有する2つの曲面形状部材を互いに逆方向を向くように対向させて一体化した形状を有する曲面形状部材により構成されたもので、その曲面形状部材の外周面に前記第1の金型の歯に噛み合う複数の歯が形成されたものであることを特徴とする請求項4又は5記載の電気かみそりの曲面形状を有する外刃の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−195715(P2007−195715A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17473(P2006−17473)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】