説明

電気めっき浴のための容器

【課題】電気めっき浴のための容器において、これらの浴の耐久性を改善することができるものを提供する。
【解決手段】容器がフレキシブルなカバーを有しており、該フレキシブルなカバーに取出開口(3)が配置され、気密性また非透光性で酸素拡散バリア性を持つ材料でカバーを形成し、該取出開口(3)に調量弁(4)が配置されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電気めっき浴のための容器であって、該容器に取出開口が設けられている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
電気めっき浴は、特に電気めっき技術において使用される電解質浴である。これらの電解質浴は活性剤を有している。このような電気めっき浴はボトル、例えばプラスチックボトル内に提供されている。ボトルの開放後には、空気がこれらの浴に到達する。特に開放後にボトル内に進入し、液体の上方に位置している空気中酸素との反応により、浴は効果を失い、これにより、浴の耐久性が制限されてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明の課題は、電気めっき浴のための容器において、これらの浴の耐久性を改善することができるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決した本発明の手段によれば、容器がフレキシブルなカバーを有しており、該カバーに取出開口が配置されており、該取出開口に調量弁が配置されている。
【発明の効果】
【0005】
有利な構成が従属請求項に記載されている。容器がフレキシブルなカバーを有しており、このカバーに取出開口が配置されていることにより、容器は、取出開口が下端に位置している形で、例えば懸吊して使用することができる。液体が、取出開口に配置された調量弁によって取り出される。この場合に容器内には負圧が生じ、その結果カバーが収縮する。この場合に調量弁を通過して実際に空気が進入することはできず、フレキシブルなカバーは、特に空気が吸い込まれることを阻止する。前記容器は、電気めっき溶を実際に空気作用に対して閉鎖することを可能するので、電気めっき浴の耐久性が空気との反応により制限されることはない。フレキシブルなカバーとは、この場合には特に容器の排出時に生じた負圧により変形され、この場合に電気めっき浴により充填されたカバーのもとの形状を回復するために重要な戻し力が構成されないカバーを意味する。
【0006】
有利には、前記フレキシブルなカバーは袋、特にチューブ状袋の形状を有している。チューブ状袋の代わりに別の形で形成された袋、例えば互いに結合された(例えば接着又は溶接された)複数の部分から形成された、いわば「シール縁部付き袋」を使用することもできる。有利には、前記カバーは気密性及び/又は非透光性の材料から成っている。特に前記カバーは多層の材料複合体より形成されていてよく、この場合に金属層、特にアルミニウム層を有していてよい。このカバーは、特に層の形の、酸素拡散バリアを有していてよい。この酸素拡散バリアはカバーの内室全体を有意義に取り囲んでいる。さらに容器、有利にはカバーは保持装置を有している。これにより、このカバーは例えば懸吊して固定することができる。
【0007】
前記課題は、フレキシブルなカバーを有する容器、特に袋、有利にはチューブ状袋を電気めっき浴のための包装材として使用するための使用法によっても解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。図面は本発明による容器を示している。この容器は主に袋1から成っている。この袋1はチューブ状袋の形で形成されていてよい、すなわち、長く延びた形状を有していてよい。この袋1は非透光性の多層状の薄膜から形成されており、この場合にこの薄膜は2つのプラスチック層の間にアルミニウム遮断層を有している。上端部には前記袋1は、架台内に懸吊するための固定はとめ2を有している。この固定はとめ2の代わりに、例えばフック又はクランプを使用することもできる。下端には取出開口3が配置されており、この取出開口3は調量弁4により開閉することができるようになっている。袋1内には電気めっき浴、電解質が配置されている。この電気めっき浴は使用時に取出開口3から取り出され、これにより、電気化学的又は化学的な方法で金属の層を形成するために使用することができる。取出時には袋1は自動的に収縮し、これにより、空気が吸い込まれないようになっており、残された容積は実際にはほぼ完全に液体により充填されている。このような袋は、例えば義歯を電気めっき式に製造するための金浴のための包装材として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による容器の概略図である。
【符号の説明】
【0010】
1 袋、 2 固定はとめ、 3 取出開口、 4 調量弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電気めっき浴のための容器であって、該容器に取出開口が設けられている形式のものにおいて、容器がフレキシブルなカバーを有しており、該フレキシブルなカバーに取出開口(3)が配置されており、該取出開口(3)に調量弁(4)が配置されていることを特徴とする、電気めっき浴のための容器。
【請求項2】
前記フレキシブルなカバーが、袋(1)、特にチューブ状袋の形状を有している、請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記カバーが、気密性及び/又は非透光性の材料より形成されている、請求項1又は2記載の容器。
【請求項4】
カバーが、多層の複合材料より形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の容器。
【請求項5】
カバーが、金属層、特にアルミニウム層を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の容器。
【請求項6】
カバーが、特に層の形の、酸素拡散バリアを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の容器。
【請求項7】
前記容器が保持装置を有しており、該保持装置が、有利にはカバーに配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の容器。
【請求項8】
フレキシブルなカバーを有する容器の使用法において、電気めっき浴のための包装材として使用することを特徴とする、フレキシブルなカバーを有する容器の使用法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−282284(P2006−282284A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98324(P2006−98324)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(399011900)ヘレーウス クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング  (56)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Kulzer GmbH 
【Fターム(参考)】