説明

電気ケトル

【課題】 電気ケトル内部でコーヒーやお茶等の飲料を抽出することができる電気ケトルを提供すること。
【解決手段】 上方が開口し、上端に注ぎ口が形成された所定量の液体が収容されるケトル本体と、ケトル本体に収容された液体を加熱する加熱手段と、ケトル本体の開口を覆う着脱自在な蓋体と、を有する電気ケトルにおいて、蓋体には、前記ケトル本体で加熱された液体をケトル本体の注ぎ口に案内する流路が形成され、流路には飲料形成材料を収容し得る貯留部が形成され、蓋体の頂部には、前記貯留部内と外部との間を密閉及び開放し得るシャッターが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケトルに関し、詳しくは、電気ケトル内部でコーヒーやお茶等の飲料を抽出することができる電気ケトルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ケトルは、持ち運びが簡単で手軽にお湯を沸かすことができるものとして広く普及してきている。この電気ケトルは、通常、所定量の水などを入れて加熱する電熱部を有するケトル本体と、ケトル本体の電熱部へ電力を供給する外部電源コードが接続された基台とを有し、この基台にケトル本体をセットして、電源スイッチをオンすることによって、お湯を沸かすことができる構成となっている(例えば、下記文献1参照)。
【0003】
この電気ケトルは、比較的少量のお湯を素早く沸騰させることを目的としているので、保温機構は設けられていないのが大部分であり、ユーザーは例えばお茶やコーヒーを淹れるたびごとにお湯を沸かし、急須やドリッパー等を用いてお茶やコーヒーを淹れることとなる。しかし、お茶やコーヒーを淹れるために急須やドリッパー等の別の器具を使用することになり、煩雑さが生じる。
【0004】
なお、電気ポットは多量のお湯を沸かして保温しておくことを目的としており、お湯を注ぐ場合には手動ポンプないし電動ポンプを用いてお湯を注ぐようになされているが、電気ケトルの場合と同様の煩雑さを避けるため、電気ポットにコーヒー等の飲料を抽出する機構を設けたものが知られている。
【0005】
例えば、下記特許文献2には、戴置状態で熱湯を汲み出すポットにおいて、前記ポットから汲み出された熱湯の流下経路に引き抜き可能に介装され、コーヒーの粉等の飲料源を収容すると共に汲み出された熱湯を前記飲料源によりコーヒー等の飲料にて抽出させるフィルタを備えてなることを特徴とするコーヒー等の飲料の抽出装置を備えたポットが開示されている。このポットにおいては、汲み出された熱湯を案内する注出路の中間部が欠如され、その欠如部に抽出容器が保持されて、抽出容器にコーヒーの粉末等の飲料源を収容する紙製のフィルタが取り出し可能に収容されている。抽出容器の下部には透孔が設けられており、熱湯が注出路から抽出容器に流入すると、コーヒー等の飲料が透孔を通じて抽出されるようになっている。
【0006】
また、下記特許文献3には、コーヒー等の飲料を容易に抽出でき、且つ、長時間おいても本来のコーヒー等の旨みが持続し、さらに保温時の消費電力も低減できるとともに、手軽に持ち運びできる飲料抽出器が開示されている。この飲料抽出機においては、容器本体と、内容器と、内容器を加熱する加熱手段と、内容器の内容液を揚水する電動ポンプと、抽出通路と内容液を外部に取り出す吐出通路とを切り替える切替弁と、内容器の上方に設けられる中蓋と、コーヒー等の飲料を抽出するための抽出部と、内容器内の内容液を揚水するための揚水パイプとを備えており、中蓋に抽出部及び揚水パイプを設け、揚水した内容液が揚水パイプより切替弁、抽出部及び内容器にいたる抽出通路を循環することにより、コーヒー等の飲料を抽出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−000157号公報
【特許文献2】特開2005−319060号公報
【特許文献3】特開2003−339538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2に記載のポットにおいては、熱湯が注出路から抽出容器に流入すると、コーヒー等の飲料が透孔を通じて抽出されるが、汲み出しポンプによって抽出容器の上部から流入する熱湯は抽出容器下部の透孔から流出してしまうため、飲料によっては抽出が十分に行えない場合があった。また、フィルタの目詰まり等で透孔から十分な速度で飲料が流出しない場合、上部から過剰に流入した熱湯が溢れる危険性があった。
【0009】
また、上記特許文献3に記載の飲料抽出器においては、抽出された液体を再度内容器に戻し、所定時間抽出部及び内容器にいたる抽出通路を循環することにより、コーヒー等の飲料を抽出するとともに、抽出した飲料を保温加熱することにより、長時間おいても本来のコーヒー等の旨みが持続し、さらに保温時の消費電力も低減できるという効果を奏する。
【0010】
しかしながら、一般的な電気ケトルにおいては、通常手動ポンプや電動ポンプを備えていないために、液体を抽出部と内容器を循環させることは困難であり、また保温機構も用いられていない場合には、抽出された液体が内容器に貯留されても温度が低下してしまい、飲料の風味を損ない、また品質が低下してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、その目的は、電気ケトル内部でコーヒーやお茶等の飲料を抽出することができる電気ケトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の電気ケトルは、上方が開口し、上端に注ぎ口が形成された所定量の液体が収容されるケトル本体と、前記ケトル本体に収容された前記液体を加熱する加熱手段と、前記ケトル本体の開口を覆う着脱自在な蓋体と、を有する電気ケトルにおいて、前記蓋体には、前記ケトル本体で加熱された液体を前記ケトル本体の注ぎ口に案内する流路が形成され、前記流路には飲料形成材料を収容し得る貯留部が形成され、前記蓋体の頂部には、前記貯留部内と外部との間を密閉及び開放し得るシャッターが形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の電気ケトルにおいて、前記貯留部は、前記蓋体から取り外し可能なアタッチメントが収納可能とされており、前記アタッチメントには前記流路の注ぎ口側にフィルター手段が形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の電気ケトルにおいて、前記蓋体には、前記流路の前記加熱容器と前記貯留部との間に、前記流路を開閉するロック機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1にかかる電気ケトルにおいては、ケトル本体で加熱された液体は蓋体に形成された流路を経て注ぎ口まで導入されるが、蓋体に形成された流路の途中に飲料形成部材を収容し得る貯留部が形成されている。そして、蓋体の頂部には、貯留部内と外部との間を密閉及び開放し得るシャッターが形成されているため、シャッターを開放することにより貯留部内に茶葉やコーヒー粉等の飲料形成材料を収容することができる。そのため、本発明の請求項1にかかる電気ケトルによれば、貯留部に茶葉、コーヒー粉等の飲料形成部材を収容した後にシャッターを密閉し、ケトル本体を持ち上げて加熱された液体を注ぐと、加熱された液体は貯留部に収容された茶葉、コーヒー粉等の飲料形成材料を通過した後に注ぎ口まで案内されるので、所望の飲料を抽出することができるようになる。なお、貯留部に収容した茶葉、コーヒー粉等の飲料形成材料はシャッターを開放することにより取り出すことができるが、貯留部に直接茶葉、コーヒー粉等の飲料形成材料を収容するときはいわゆるティーバッグ式のものを用いることが望ましい。
【0016】
また、本発明の請求項2にかかる電気ケトルにおいては、貯留部に蓋体から取り外し可能なアタッチメントを収容することで、飲料形成材料をアタッチメント内に収容してからこのアタッチメントを貯留部に収容するだけで飲料を抽出することができるようになり、また、アタッチメントを取り出すだけで同時に貯留部内に収容した飲料形成材料を取り出すことができる。そのため、本発明の請求項2にかかる電気ケトルによれば、貯留部内に飲料形成材料を収容することが容易になり、また使用後に飲料形成材料を収容していたアタッチメントを容易に洗浄することができるようになる。さらに、流路の注ぎ口側にフィルター手段が形成されているため、茶葉やコーヒー粉などの飲料形成材料を直接アタッチメントに収容しても抽出された飲料に飲料形成材料が混ざることがなく、ティーバッグ式の飲料形成材料を用いる必要がない。
【0017】
また、請求項3にかかる電気ケトルの発明によれば、流路の加熱容器と貯留部との間を開閉するロック機構が設けられているため、飲料抽出時に、ロック機構を開けてケトル本体を傾けることによってケトル本体から流路を通じて加熱された液体を貯留部に滞留させ、ロック機構を閉めて所定時間経過させることにより、加熱された液体と飲料形成材料との接触時間をコントロールすることができるので、任意の濃度の飲料を抽出することができるようになる。また、ロック機構を有することにより、電気ケトルが転倒した時にも、ケトル本体の液体が流出することがなく、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る電気ケトルの斜視図である。
【図2】図1の電気ケトルの蓋体部分の分解斜視図である。
【図3】図1の電気ケトルの液体吐出時の縦断面図である。
【図4】図1の電気ケトルの液体貯留時の縦断面図である。
【図5】図1の電気ケトルにおける液体流路を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための電気ケトルを例示するものであって、本発明をこの電気ケトルに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0020】
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る電気ケトルを説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る電気ケトルの斜視図、図2は図1の電気ケトルの蓋体部分の分解斜視図、図3は図1の電気ケトルの液体吐出時の縦断面図、図4は図1の電気ケトルの液体貯留時の縦断面図、図5は図1の電気ケトルにおける液体流路を説明する平面図である。なお、図5は、内部の液体流路を示すため、シャッターを取り外した状態の平面図となっている。
【0021】
電気ケトル1は、図1、図2に示すように、上方が開口し所定量の水などの液体が収容されるケトル本体2と、ケトル本体2の上方の開口3を覆う着脱自在な蓋体4と、このケトル本体2が載置される基台5を有し、ケトル本体2の側壁部に半円型の取っ手ハンドル6を設けた構成となっている。
【0022】
ケトル本体2は、上方に開口3を有し、有底円筒状の外部ケース7と、この外部ケース7の側壁に外方へ突出した半円型の取っ手ハンドル6と、水などの液体を収容する加熱容器8を備えている。外部ケース7は耐熱性を有する樹脂成型体で形成されている。なお、図示を省略するが、この外部ケース7内壁の開口3近くには、蓋体4を係止するための係止部が設けられている。その下方には加熱容器8が収容され、加熱容器8の底部は加熱ヒータ9と接するよう固定されている。上方の開口3には、取っ手ハンドル6と対向する一端に注出口3aが形成されている。また、加熱容器8の内壁に設けられた最大収容水位ラインは、このラインまで水が収容されて、加熱沸騰して水面が波立っても上方の開口3及びから熱湯が吹き零れないラインに設定されている。
【0023】
加熱容器8の底部の下部には加熱ヒータ9が設けられている。この加熱ヒータ9は、所定の厚さを有するステンレス製板にシーズヒータ(図示省略)が装着されたものとなっている。このシーズヒータは電気コネクタ10に接続されている。電気コネクタ10は、後述の基台5に設けられた凸型の電気コネクタに対応して凹型の形状となっており、ケトル本体2が基台5上に載置されたときに、基台5に設けられた電気コネクタに接続されるようになっている。
【0024】
取っ手ハンドル6は、図1、図3に示すように、注出口3aとは反対側の外部ケース7の側壁に設けられている。この取っ手ハンドル6を構成する部材内に、温度センサ(図示省略)の検出値を入力して加熱ヒータ9を制御する制御手段(図示省略)が収納されており、温度センサと制御手段とは、図示しないがリード線で接続されている。また、この取っ手ハンドル6には、半円型のハンドル部材の外側頂部付近に加熱ヒータ9への通電をオン・オフするスイッチ11が配設されている。
【0025】
蓋体4は、加熱容器8の開口及び注出口3aを覆う略円盤状の樹脂成型体で形成されており、側面の左右2カ所に設けられた係止爪(図示省略)によってケトル本体2に着脱可能に係止される。蓋体4の上部中央付近には係止爪を操作する2つの操作部材12が設けられており、蓋体4が閉成されているときは、係止爪がケトル本体2内の係止部に係止されている。この状態で、操作部材12が左右から蓋体中央方向へ押されると、この操作部材12が蓋体中央部へ向かって移動し、それに伴って係止爪が蓋体4内部へ引き込まれ、本体の係止部から外れる。その後、蓋体4を開口3から上方へ引き抜くことにより、蓋体4を開成することができる。また、蓋体4を閉成するには、まず操作部材12を左右から蓋体中央方向へ押し、係止爪を一度引っ込めて、蓋体4を開口3に嵌め込む。係止爪が係止部に係止される位置まで達した後に、操作部材12の押圧を停止して、係止爪を係止部に係止させる。
【0026】
基台5は、図1に示すように、ケトル本体2の直径と略同じ直径を有する略円盤状の樹脂成型体で形成されており、基台5の中央部から突出するように電気コネクタ(図示省略)が設けられている。基台5は不図示の電源に接続されており、基台5にケトル本体2が戴置された状態では、電気コネクタがケトル本体2側の電気コネクタ10と接触し、ケトル本体2への通電が可能となる。
【0027】
電気ケトル1の加熱時には、加熱容器8に水などの液体を収納し、ケトル本体2を基台5に戴置した状態で、スイッチ11の加熱作動部13を押し下げると、ケトル本体2への通電が起こり、加熱ヒータ9による加熱が開始される。加熱容器8内の液体が沸騰し、温度センサが所定温度に達したことを検知すると、制御手段によりスイッチ11が加熱停止位置へと位置するよう制御され、加熱ヒータ9の加熱が停止される。
【0028】
次に、本実施形態の電気ケトルの蓋体の内部構造について、図3〜5を参照して説明する。本実施形態の電気ケトルの蓋体は、図2〜5に示すように、加熱容器8の開口を覆う大きさの板状の内蓋14と、内蓋に固定され、上部に開口を有し、内部に液体流路を有する中蓋15と、中蓋15の開口を覆う上蓋16から構成されている。
【0029】
内蓋14にはその周囲に加熱容器8を密閉するためのパッキンが設けられており、また内蓋14を貫通する複数の開口からなる液体流路口17及び内蓋14を貫通する開口である蒸気通路口18が設けられている。液体流路口17及び蒸気通路口18は中蓋に設けられた液体流路及び蒸気通路にそれぞれ連通している。
【0030】
中蓋15は底部及び所定の高さの側壁部を有し、液体流路19、蒸気通路20及び操作部材12を内部に有する樹脂成型体からなる。略中央部に前述の操作部材が設けられており、蒸気通路20は取っ手ハンドル6側に設けられ、蒸気通路口18から流入する蒸気を上蓋16に設けられた蒸気口21まで案内するとともに、一部を前述の温度センサに接触させる。なお、蒸気通路20には内部に弁が設けられ、電気ケトルが転倒しても蒸気口21から液体が流れ出ることがないようにされている。また、側壁部の上部には、蓋体4がケトル本体2に係止された状態で左右2カ所から操作部材12に連動する係止爪(図示省略)が突出している。
【0031】
液体流路口17の上方には、空間22を開けて、液体流路19におけるロック機構である防水弁23が設けられ、防水弁23の上部に液体流路19が設けられている。防水弁23は弁本体25と弁本体中央から上方に突出した突起26と、弁本体から突起26の逆側に配置されたスプリング27からなる。スプリング27は内蓋に設けられた凹部28に配置されており、スプリングの弾性により通常は中蓋の底部に押しつけられて液体流路19を塞いでいるが、後述する防水弁操作部材からの押圧によって防水弁23が下方に動くことにより空間22と液体流路19が連通する。液体流路19は、図5に示されるように、中蓋15の注出口側の略中央から注出口3a方向に向かったのち、隔壁29に突き当たって左右に分かれ、それぞれの液体流路は取っ手ハンドル6方向へ向かったのちに幅を広げて貯留部30a、30bを形成している。その後、液体流路19は隔壁29の注出口3a側で合流し、注出口3aに接する側壁部の下部に設けられた流路出口24から注出口3aへ連通する。
【0032】
このように、液体流路19には加熱容器8と貯留部30a、30bとの間を開閉する防水弁23からなるロック機構が設けられているため、飲料抽出時に、防水弁23を開けてケトル本体2を傾けることによってケトル本体から流路を通じて加熱された液体を貯留部に滞留させ、防水弁23を閉めて所定時間経過させることにより、加熱された液体と飲料形成材料との接触時間をコントロールすることができるので、任意の濃度の飲料を抽出することができるようになる。また、防水弁23を有することにより、電気ケトルが転倒した時にも、ケトル本体の液体が流出することがなく、安全性を高めることができる。
【0033】
貯留部30a、30bは飲料形成材料の収容部ともなっており、上部に貯留部開口31を有している。なお、貯留部開口31は貯留部30a、30bで共通のものとなっている。この貯留部開口31から飲料形成材料を挿入することにより、貯留部30a、30bを通過する液体から飲料が抽出される。すなわち、ユーザーは貯留部30a、30bに茶葉、コーヒー粉等の飲料形成部材を収容した後にシャッターを密閉し、ケトル本体2を持ち上げて加熱された液体を注ぐと、加熱された液体は貯留部30a、30bに収容された茶葉、コーヒー粉等の飲料形成材料を通過した後に注ぎ口まで案内されるので、所望の飲料を抽出することができるようになる。なお、貯留部に収容した茶葉、コーヒー粉等の飲料形成材料はシャッターを開放することにより取り出すことができるが、貯留部に直接茶葉、コーヒー粉等の飲料形成材料を収容するときはいわゆるティーバッグ式のものを用いることが望ましい。
【0034】
中蓋の注出口側には注出口3aと略同じ形状の注出口蓋32が設けられている。注出口蓋32が設けられていることにより、注ぎ口に埃等が侵入し難くなっている。
【0035】
上蓋16は、中蓋15の開口を塞ぐ大きさの円盤状の合成樹脂体からなり、中央に防水弁23を操作するための防水弁操作部材33及び蓋体を係止する係止爪を操作する操作部材12が配置され、取っ手ハンドル6側の中央に蒸気をケトル外部に放出する蒸気口21、注ぎ口側に貯留部開口31と同形の上蓋開口34及び上蓋開口34を覆うシャッター35が設けられている。シャッター35には持ち手ハンドル側に軸36が設けられており、また上蓋開口34の側壁には軸36に対応する箇所に軸受穴37が設けられている。シャッターの表側にはつまんでシャッターを開閉させるため突起35aが設けられている。シャッターは軸受穴37に軸36をはめ込むことにより、上蓋16に固定され、軸36を中心に開閉されるようになっている。また、シャッター35の周囲にはパッキンが設けられており、シャッター35を閉じた状態では、ケトル本体2が傾けられても貯留部30a、30b内の液体がシャッター35と上蓋16の隙間から漏れ出ることがないようにされている。なお、シャッターの形状はこのほかにスライド式やプッシュオープン式などの形状のものが利用できる。
【0036】
防水弁操作部材33は、上蓋16の略中央部に配置され、下部に防水弁23の突起26を押圧する押圧部38と、上部に上蓋16に設けられた開口から突出するレバー39とを有している。防水弁23が閉じられた状態では、レバー39は取っ手ハンドル側にスライドされており、この状態では押圧部38も取っ手ハンドル側に位置して突起26を押圧しないため、防水弁23はスプリング27の弾力により中蓋の底部に押しつけられて、液体流路19は分断されている。この状態では加熱容器8は密閉された状態となっており、ケトル本体2が転倒しても内部の液体が流出することがない。一方、注水を行う際には注水口側にレバー39がスライドされて、押圧部38が突起26を押圧する位置に移動し、防水弁23が押し下げられて流路が開く。
【0037】
ユーザーが本実施形態の電気ケトルを使用して飲料を抽出する場合には、まず蓋体4をケトル本体2から取り外して開口3から加熱容器8に水を収容する。続いて蓋体4をケトル本体2に取り付け、シャッター35を開いて貯留部30a、30bにティーバッグやコーヒー粉末の入った袋などの飲料形成材料を収容する。続いてレバー39が閉の状態にあることを確認し、スイッチ11をオンにして加熱ヒータ9を通電させ、加熱容器8内の水を加熱して熱湯とする。防水弁23により液体流路が分断されているため、万一ケトル本体が転倒しても、内部の液体が流出することがない。加熱ヒータ9により水が加熱されるに従って蒸気が発生するが、この蒸気は蒸気通路20を通じて蒸気口21から外気へ放出されるとともに、一部は温度センサに導かれる。加熱容器8内の液体が沸騰し、温度センサが所定温度に達したことを検知すると、制御手段により加熱ヒータ9の加熱が停止される。
【0038】
加熱が停止された後、レバー39を開状態にスライドさせて防水弁23を開状態とし、取っ手ハンドル6を持ってケトル本体2を注ぎ口側に傾ける。防水弁が開状態となっているので、内部の液体は加熱容器8から液体流路19に流入し、図5の点線で示されるように飲料形成材料が収容された貯留部30a、30bに流れ込む。この状態でさらにケトル本体を傾ければ、貯留部30a、30bを通過することによって抽出された飲料が液体流路19を通じ注出口3aから流出する。また、注出口3aから液体が流出せず、貯留部30a、30bに液体が留まる位置にケトル本体2を保持することで、飲料の抽出時間を調節することができる。また、傾けた状態では加熱容器8内部と貯留部30a、30b及び液体流路19が連通したままであるので、加熱容器8内部に、貯留部30a、30bで抽出された飲料が逆流する恐れがあるが、レバー39を操作して防水弁を閉状態にすることで加熱容器8と貯留部30a、30b及び液体流路19を遮断し、好みの濃度に飲料を抽出することもできる。
【0039】
なお、本実施形態においては、貯留部30a、30bに直接ティーバッグ式の飲料形成材料を収容したが、貯留部30a、30bに取り外し可能なアタッチメント状の内容器を収容してもよい。貯留部に蓋体から取り外し可能なアタッチメントを収容することで、飲料形成材料をアタッチメント内に収容してからこのアタッチメントを貯留部に収容するだけで飲料を抽出することができるようになり、また、アタッチメントを取り出すだけで同時に貯留部内に収容した飲料形成材料を取り出すことができる。そのため、貯留部内に飲料形成材料を収容することが容易になり、また使用後に飲料形成材料を収容していたアタッチメントを容易に洗浄することができるようになる。さらに、アタッチメントの流路出口24に対応する箇所に網状のフィルター手段を形成してもよい。フィルター手段を流路出口に形成することにより、茶葉やコーヒー粉などの粉末状の飲料形成材料を直接アタッチメントに収容しても抽出された飲料に飲料形成材料が混ざることがなく、ティーバッグ式の飲料形成材料を用いる必要がない。
【符号の説明】
【0040】
1 電気ケトル
2 ケトル本体
4 蓋体
5 基台
6 取っ手ハンドル
7 外部ケース
8 加熱容器
9 加熱ヒータ
10 電気コネクタ
11 スイッチ
12 操作部材
14 内蓋
15 中蓋
16 上蓋
19 液体流路
20 蒸気通路
21 蒸気口
23 防水弁
25 弁本体
26 突起
27 スプリング
29 隔壁
30a、30b 貯留部
33 防水弁操作部材
35 シャッター
38 押圧部
39 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、上端に注ぎ口が形成された所定量の液体が収容されるケトル本体と、
前記ケトル本体に収容された前記液体を加熱する加熱手段と、
前記ケトル本体の開口を覆う着脱自在な蓋体と、
を有する電気ケトルにおいて、
前記蓋体には、前記ケトル本体で加熱された液体を前記ケトル本体の注ぎ口に案内する流路が形成され、
前記流路には飲料形成材料を収容し得る貯留部が形成され、
前記蓋体の頂部には、前記貯留部内と外部との間を密閉及び開放し得るシャッターが形成されていることを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
前記貯留部は、前記蓋体から取り外し可能なアタッチメントが収納可能とされており、前記アタッチメントには前記流路の注ぎ口側にフィルター手段が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項3】
前記蓋体には、前記流路の前記加熱容器と前記貯留部との間に、前記流路を開閉するロック機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気ケトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−152363(P2012−152363A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13712(P2011−13712)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】