説明

電気バスセンタリングの方法および装置

正バスレール、負バスレール、およびグランドを含む航空機電力配電システムに使用するバスセンタリングデバイスを説明する。このデバイスは、中心ノードと、中心ノードを第1の既定デューティサイクルおよび第2の既定デューティサイクルでそれぞれ正レールおよび負レールに結合するように構成された第1のスイッチング構成要素および第2のスイッチング構成要素とを含む。デバイスは、中心ノードとグランドの間に結合された誘導性構成要素を含み、中心ノードの電圧をグランドにほぼ等しく維持するように構成され、正レールと中心ノードの間の電圧が、負レールと中心ノードの間とほぼ等しい電圧に維持される。デバイスは、第1のスイッチング構成要素および第2のスイッチング構成要素がオフにされたときに、誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成された第1の電流制限デバイスおよび第2の電流制限デバイスを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に航空機電力システムに関し、より具体的には電気バスセンタリングの方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機電力システムでは、多数の構成要素に電力を供給する。最近の傾向として、航空機に搭載される電気構成要素が多くなっている。この傾向により、航空機電力配電システムからの電力需要が増大することになる。少なくとも一部の知られている航空機電力配電システムでは、配電、すなわちバス、の電圧レベルを高めることによって、給電線重量を最小限にしている。一部の知られている航空機では、航空機バス電圧が直流270ボルト(VDC)を超える。
【0003】
航空機バス電圧が高くなるにつれ、偶発的な放電の危険が増すことで、付随する危険が保守要員および他の航空機構成要素に対して増大することになる。さらに、航空機バス電圧が高いことで、望ましくないコロナ放電の危険が増大する。したがって、一部の知られている航空機システムでは、単極性バスではなく、航空機シャーシグランドにセンタリングされた双極性バスを使用して、270VDCを超える航空機バス電圧が供給される。しかし、少なくとも一部の知られている双極性バス実施では、効率が単極性バス実施よりも低い。さらに、少なくとも一部の知られている双極性バス実施では、単極性バス実施と比べて航空機の重量が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,295,215号明細書
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、正バスレール、負バスレール、およびグランドを含む航空機電力配電システムに使用するバスセンタリングデバイスが提示される。このバスセンタリングデバイスは、中心ノードと、中心ノードを第1の既定デューティサイクルで正バスレールに結合するように構成された第1のスイッチング構成要素と、中心ノードを第2の既定デューティサイクルで負バスレールに結合するように構成された第2のスイッチング構成要素とを含む。このデバイスはまた、中心ノードとグランドの間に結合された誘導性構成要素を含む。この誘導性構成要素は、中心ノードの電圧をグランド電位にほぼ等しく維持するように構成され、正バスレールと中心ノードの間の電圧が、負バスレールと中心ノードの間とほぼ等しい電圧に維持される。デバイスはまた、第1のスイッチング構成要素および誘導性構成要素に結合された第1の電流制限デバイスを含む。第1の電流制限デバイスは、第1のスイッチング構成要素がオフにされたときに、誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成されている。デバイスは、第2のスイッチング構成要素および誘導性構成要素に結合された第2の電流制限デバイスを含む。第2の電流制限デバイスは、第2のスイッチング構成要素がオフにされたときに、誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成されている。
【0006】
別の実施形態では、正バスレール、負バスレール、およびグランドを含む航空機電気バスシステムが提示される。このシステムは、電源、負荷、およびバスセンタリングデバイスを含む。このバスセンタリングデバイスは、中心ノードと、中心ノードを第1の既定デューティサイクルで正バスレールに結合するように構成された第1のスイッチング構成要素と、中心ノードを第2の既定デューティサイクルで負バスレールに結合するように構成された第2のスイッチング構成要素とを含む。このデバイスはまた、中心ノードとグランドの間に結合された誘導性構成要素を含む。この誘導性構成要素は、中心ノードの電圧をグランド電位にほぼ等しく維持するように構成され、正バスレールと中心ノードの間の電圧が、負バスレールと中心ノードの間とほぼ等しい電圧に維持される。デバイスはまた、第1のスイッチング構成要素および誘導性構成要素に結合された第1の電流制限デバイスを含む。第1の電流制限デバイスは、第1のスイッチング構成要素がオフにされたときに、誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成されている。デバイスは、第2のスイッチング構成要素および誘導性構成要素に結合された第2の電流制限デバイスを含む。第2の電流制限デバイスは、第2のスイッチング構成要素がオフにされたときに、誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成されている。
【0007】
別の実施形態では、正バスレール、負バスレール、およびグランドを含む航空機電力配電システムをセンタリングする方法が提示される。この方法は、電源、および電源に結合される負荷を用意するステップと、正バスレール、負バスレール、およびグランドにバスセンタリングデバイスを結合するステップとを含む。このバスセンタリングデバイスは、中心ノード、第1のスイッチング構成要素、第2のスイッチング構成要素、および誘導性構成要素を含む。この誘導性構成要素は中心ノードとグランドの間に結合されている。この方法はまた、第1の既定デューティサイクルで中心ノードを正バスレールに結合するステップと、第2の既定デューティサイクルで中心ノードを負バスレールに結合するステップと、中心ノードの電圧をグランド電位にほぼ等しく維持するステップとを含み、正バスレールと中心ノードの間の電圧は、負バスレールと中心ノードの間とほぼ等しい電圧に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的な航空機電力配電システムのブロック図である。
【図2】図1に示された航空機電力配電システムと共に使用できる従来技術の電力配電システムの一部分の概略図である。
【図3】図1に示された航空機電力配電システムと共に使用できる例示的なバスセンタリングデバイスの概略図である。
【図4】図1に示された航空機電力配電システムと共に使用できる代替のバスセンタリングデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、例示的な航空機電力配電システム10のブロック図である。システム10は、航空機配電ライン、すなわちバス50を介して少なくとも1つの負荷40に結合された少なくとも1つの電源20を含む。この例示的な実施形態では、電源20は、ロータおよびステータ(図示せず)を含む三相同期交流発電機である。例示的な実施形態では、電源20は、三相交流を直流(DC)に変換する整流回路(図示せず)を含み、この直流を使用してバス50に通電し、最終的に負荷40に通電する。電源20は、航空機シャーシグランド(図示せず)に対して浮いているDC電力を発生することができる。このように、バスセンタリングデバイス30をバス50に結合して、バス50を実質的にグランドにセンタリングすることができる。本明細書では、「センタリング」という語は、第1の電圧レールおよび第2の電圧レールを、第1の電圧レールが基準点の上のある正レベルである電圧レベルを有し、第2の電圧レールが第1の電圧レベルとほぼ等しいが基準点に対して負である電圧レベルを有するように調整することを指す。例えば、あるバスは、300VDCの第1の電圧レールおよび100VDCの第2の電圧レールを有することができる。このバスを0VDCのグランドレベルでセンタリングすると、+100VDCの第1の電圧レール、および−100VDCの第2のレールが得られる。
【0010】
図2は、従来技術の電力配電システム100の一部分の概略図である。従来技術のシステム100は、正端子102および負端子104を含む。端子102および104は、バス50(図1に示す)などの航空機電気バスに接続するように構成されている。正端子102および負端子104は、それぞれコンデンサ108および110を介して航空機シャーシグランド106に結合される。従来技術のシステム100はまた、発電の際に使用する三相Y接続ステータまたは変圧器などの発電機112を含む。発電機112は、共通中心点120で一緒に結合されている第1の巻線114、第2の巻線116、および第3の巻線118を含む。中心点120はシャーシグランド106に結合され、これにより従来技術のシステム100をグランド106でセンタリングすることが容易になる。インダクタ140を、下記のように中心点120とシャーシグランド106の間に結合することができる。第1の巻線114の端子122が、ダイオード128を介して正端子102に結合され、またダイオード134を介して負端子104に結合される。第2の巻線116の端子124が、ダイオード130を介して正端子102に結合され、またダイオード136を介して負端子104に結合される。第3の巻線118の端子126が、ダイオード132を介して正端子102に結合され、またダイオード138を介して負端子104に結合される。
【0011】
動作時、発電機112は三相交流電力を発生する。より具体的には、ロータ(図示せず)が第1の巻線114、第2の巻線116および第3の巻線118それぞれの中に交番磁界を誘起する。この磁界により、交流電流が、ほぼ0°、120°、および240°の位相オフセットで巻線114、116、および118を流れる。ダイオード128、130、132、134、136、および138により、巻線114、116、および118から供給される交流を直流に変換することが容易になる。巻線114、116、および118を流れる電流の位相オフセットにより、端子102と104に結合されうる1つまたは複数の負荷(図示せず)にほぼ均一な電力を供給することが容易になる。巻線114、116および118のY構成により、1つまたは複数の大振幅第3高調波電流が中心点120接続部にシャーシグランド106へ向けて生じうる。これらの電流を最小にするために、インダクタ140が設けられる。しかし、高調波電流を適正に低減するには、インダクタ140が十分に高いインダクタンスを有さなければならない。そのため、インダクタ140により相当な重量が電力配電システムに付加される可能性がある。複数の発電機が航空機電力配電システムに設けられる場合には、複数のインダクタ140が設けられなければならない。したがって、従来技術のシステム100では、航空機電力配電システムの重量が大幅に、また望ましいことではなく増大する。
【0012】
図3は、本発明の例示的な一実施形態によるバスセンタリングデバイス200の概略図である。この例示的な実施形態では、デバイス200は、正バス端子202および負バス端子204を含む。端子202および204は、電気バス50(図1に示す)などの一次配電ラインに接続するように構成されている。より具体的には、例示的な実施形態では、正端子202はバス50の正DC電圧レール(図示せず)に結合され、負端子204はバス50の負DC電圧レール(図示せず)に結合される。正端子202は正ノード222に結合され、負端子204は負ノード224に結合され、シャーシグランド206はグランドノード226に結合される。第1のコンデンサ208は、正ノード222とグランドノード226の間に結合される。第2のコンデンサ210は、負ノード224とグランドノード226の間に結合される。第1のスイッチングデバイス212のコレクタが正ノード222に結合され、第1のスイッチングデバイス212のドレインが共通ノード228に結合される。第2のスイッチングデバイス214のコレクタが共通ノード228に結合され、第2のスイッチングデバイス214のドレインが負ノード224に結合される。インダクタ216が共通ノード228とグランドノード226の間に結合される。
【0013】
例示的な実施形態では、第1のスイッチングデバイス212は、トランジスタQ1、およびトランジスタQ1と並列に結合されたダイオード218を含む。より具体的には、トランジスタQ1は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。例示的な実施形態では、第2のスイッチングデバイス214は、トランジスタQ2、およびトランジスタQ2と並列に結合されたダイオード220を含む。より具体的には、トランジスタQ1はIGBTである。ダイオード218および/または220は、トランジスタQ1および/またはQ2が「オフ」状態に切り替わったときにインダクタ216からの電流を継続させるように構成されている。一代替実施形態では、第1のスイッチングデバイス212および第2のスイッチングデバイス214のそれぞれは、別々のトランジスタの種類を含み、あるいは本明細書で説明する動作ができる他の任意のスイッチングデバイスを含む。本明細書で説明するように、デバイス200では、インダクタ140(図2に示す)などの第3高調波抑制インダクタの使用を必要とせずに、バス50をセンタリングすることが容易になる。もっと正確に言えば、デバイス200の設計では、インダクタ140よりも小さいインダクタンスを有するインダクタ216を用いて、バス50をセンタリングすることが容易になる。このように、インダクタ216には、比較的小さなコアおよび/または巻線を備えることができ、これによりデバイス200の重量を低減することが容易になる。
【0014】
動作時、バス50を介して、VpがVnよりも正になるように第1のDC電圧Vpが正端子202に加えられ、第2のDC電圧Vnが負端子204に加えられる。第1のスイッチングデバイス212が、第1の外部制御デバイスによって第1のデューティサイクルで切り替えられる。第2のスイッチングデバイス214が、第2の外部制御デバイスによって第2のデューティサイクルで切り替えられる。例示的な実施形態では、第1のデューティサイクルが約50%、第2のデューティサイクルが約50%であるが、第2のスイッチングデバイス214の導通開始は、第1のスイッチングデバイス212の導通開始から約180°位相遅延される。そのようにして、第1のスイッチデバイス212と第2のスイッチングデバイス214は、交互の時間に切り替わる。より具体的には、第1のスイッチングデバイス212が「オン」状態に切り替えられるときに、第2のスイッチングデバイス214が「オフ」状態に切り替えられる。第1のスイッチングデバイス212が「オフ」状態に切り替えられるときに、第2のスイッチングデバイス214が「オン」状態に切り替えられる。そのようにして、共通ノード228の電圧は、第1のDC電圧Vpと第2のDC電圧Vnの間で、ほぼ方形波のパターンで交番する。こうして、共通ノード228の平均電圧は(Vp+Vn)/2とおおよそ等しくなる。インダクタは一般に、DC電流を実質的に妨げずにインダクタに流すことができるので、インダクタ216により、共通ノード228の電圧がグランド206の電圧とおおよそ等しくされる。こうして、バスセンタリングデバイス200は、VpおよびVn、ならびにバス50を実質的にグランド206にセンタリングする。より具体的には、グランド206に対して、第1のDC電圧Vpはほぼ(Vp+Vn)/2にされ、第2のDC電圧Vnはほぼ−(Vp+Vn)/2にされる。
【0015】
図4は、本発明の一代替実施形態によるバスセンタリングデバイス300の概略図である。この代替実施形態では、デバイス300は正バス端子302および負バス端子304を含む。端子302および304は、電気バス50(図1に示す)などの一次配電ラインに接続するように構成されている。より具体的には、代替実施形態では、端子302はバス50の正DC電圧レール(図示せず)に結合され、端子304はバス50の負DC電圧レール(図示せず)に結合される。正端子302は正ノード358に結合され、負端子304は負ノード360に結合され、航空機シャーシグランド306はグランドノード362に結合される。正端子302は、第1のコンデンサ308を介してグランド306に結合される。負端子304は、第2のコンデンサ310を介してグランド306に結合される。第1のスイッチングデバイス312、第3のスイッチングデバイス316および第5のスイッチングデバイス320のそれぞれのコレクタは、正ノード358に結合される。第2のスイッチングデバイス314、第4のスイッチングデバイス318および第6のスイッチングデバイス322のそれぞれのドレインは、負ノード360に結合される。第1のスイッチングデバイス312のドレイン、および第2のスイッチングデバイス314のコレクタは、第1の共通ノード366に結合される。第3のスイッチングデバイス316のドレイン、および第4のスイッチングデバイス318のコレクタは、第2の共通ノード368に結合される。第5のスイッチングデバイス320のドレイン、および第6のスイッチングデバイス322のコレクタは、第3の共通ノード370に結合される。デバイス300はさらに、インダクタ332および三脚相間変圧器324を含み、三脚相間変圧器324は、第1の巻線326、第2の巻線328、および第3の巻線330を含む。第1の巻線326の第1の端子334は、第1の共通ノード366に結合される。第2の巻線328の第1の端子338は、第2の共通ノード368に結合される。第3の巻線330の第1の端子342は、第3の共通ノード370に結合される。第1の巻線326、第2の巻線328、および第3の巻線330はそれぞれ、共通インダクタノード364に一緒に結合されているそれぞれの第2の端子336、340、および344を含む。インダクタ332は、グランドノード362とインダクタノード364の間に結合される。一実施形態では、インダクタノード364は、インダクタ332を介してグランド306に結合される。代替実施形態では、インダクタ332が省かれ、第1の巻線の第2の端子336、第2の巻線の第2の端子340および第3の巻線の第2の端子344のそれぞれが直にグランド306に結合される。
【0016】
代替実施形態では、第1のスイッチングデバイス312、第2のスイッチングデバイス314、第3のスイッチングデバイス316、第4のスイッチングデバイス318、第5のスイッチングデバイス320、および第6のスイッチングデバイス322は、それぞれのトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6と、それぞれのトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6に結合された付随するダイオード346、348、350、352、354および356とを含む。より具体的には、代替実施形態では、トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5およびQ6は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。ダイオード346、348、350、352、354および/または356は、トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5および/またはQ6が「オフ」状態に切り替えられたときに、インダクタ216からの電流を継続させるように構成されている。別の実施形態では、第1のスイッチングデバイス312、第2のスイッチングデバイス314、第3のスイッチングデバイス316、第4のスイッチングデバイス318、第5のスイッチングデバイス320、および第6のスイッチングデバイス322は、別のトランジスタの種類を含み、あるいは本明細書で説明する動作ができる他の任意のスイッチングデバイスを含む。本明細書で説明するように、デバイス300では、インダクタ140(図2に示す)などの第3高調波抑制インダクタの使用を必要とせずに、バス50をセンタリングすることが容易になる。もっと正確に言えば、デバイス300の設計では、インダクタ140よりも小さいインダクタンスを有するインダクタ332および/または三脚相間変圧器324を用いて、バス50をセンタリングすることが容易になる。このように、インダクタ332および/または三脚相間変圧器324には、少なくとも1つの比較的小さなコアおよび/または巻線を備えることができ、これによりデバイス300の重量を低減することが容易になる。
【0017】
動作時、バス50を介して、VpがVnよりも正になるように第1のDC電圧Vpが正端子302に加えられ、第2のDC電圧Vnが負端子304に加えられる。第1のスイッチングデバイス312が、外部制御デバイスによって第1のデューティサイクルで切り替えられる。第2のスイッチングデバイス314が、外部制御デバイスによって第2のデューティサイクルで切り替えられる。代替実施形態では、第1のデューティサイクルが約50%、第2のデューティサイクルが約50%であるが、第2のスイッチングデバイス314の導通開始は、第1のスイッチングデバイス312の導通開始から約180°位相遅延される。第3のスイッチングデバイス316が、外部制御デバイスによって第3のデューティサイクルで切り替えられる。第4のスイッチングデバイス318が、外部制御デバイスによって第4のデューティサイクルで切り替えられる。代替実施形態では、第3のデューティサイクルが約50%、第4のデューティサイクルが約50%であるが、第4のスイッチングデバイス318の導通開始は、第3のスイッチングデバイス316の導通開始から約180°位相遅延される。さらに、第3のスイッチングデバイス316の導通開始は、第1のスイッチングデバイス312の導通開始から約120°位相遅延され、第4のスイッチングデバイス318の導通開始は、第2のスイッチングデバイス314の導通開始から約120°位相遅延される。第5のスイッチングデバイス320が、外部制御デバイスによって第5のデューティサイクルで切り替えられる。第6のスイッチングデバイス322が、外部制御デバイスによって第6のデューティサイクルで切り替えられる。代替実施形態では、第5のデューティサイクルが約50%、第6のデューティサイクルが約50%であるが、第6のスイッチングデバイス322の導通開始は、第5のスイッチングデバイス320の導通開始から約180°位相遅延される。さらに、第5のスイッチングデバイス320の導通開始は、第1のスイッチングデバイス312の導通開始から約240°位相遅延され、第6のスイッチングデバイス322の導通開始は、第2のスイッチングデバイス314の導通開始から約240°位相遅延される。別の実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5および/または第6のデューティサイクルは約50%とは相違し、かつ/または第1のスイッチングデバイス312、第2のスイッチングデバイス314、第3のスイッチングデバイス316、第4のスイッチングデバイス318、第5のスイッチングデバイス320および第6のスイッチングデバイス322の切替えが、必要に応じて異なる量だけ位相遅延される。代替実施形態では、第1のスイッチングデバイス312、第2のスイッチングデバイス314、第3のスイッチングデバイス316、第4のスイッチングデバイス318、第5のスイッチングデバイス320、および第6のスイッチングデバイス322は、1つの外部制御デバイスによって切り替えられる。別の実施形態では、第1のスイッチングデバイス312、第2のスイッチングデバイス314、第3のスイッチングデバイス316、第4のスイッチングデバイス318、第5のスイッチングデバイス320、および第6のスイッチングデバイス322は、複数の外部制御デバイスによって切り替えられる。
【0018】
こうして、第1のスイッチングデバイス312と第2のスイッチングデバイス314は、図3で前述したのと同様に、交互の時間に切り替わる。同様に、第3のスイッチングデバイス316と第4のスイッチングデバイス318が交互の時間に切り替わり、第5のスイッチングデバイス320と第6のスイッチングデバイス322が交互の時間に切り替わる。したがって、バスセンタリングデバイス300は、各対が前の対から120°インタリーブされている3対の交互スイッチングデバイスを用いて動作すること以外は、バスセンタリングデバイス200(図3に示す)と同じように動作する。そのようにして、第一の共通ノード366の電圧は、第1のDC電圧Vpと第2のDC電圧Vnの間で、ほぼ方形波のパターンで交番し、(Vp+Vn)/2とおおよそ等しい平均電圧を有する。インダクタは一般に、DC電流を実質的に妨げずにインダクタに流すことができるので、第1の巻線326により、第1の共通ノード366の電圧がグランド306の電圧とおおよそ等しくされる。同様に、第2の巻線328により、第2の共通ノード368の電圧がグランド306の電圧とおおよそ等しくされ、第3の巻線330により、第3の共通ノード370の電圧がグランド306の電圧とおおよそ等しくされる。こうして、バスセンタリングデバイス300は、VpおよびVn、ならびにバス50を実質的にグランド306にセンタリングする。より具体的には、グランド306に対して、第1のDC電圧Vpはほぼ(Vp+Vn)/2にされ、第2のDC電圧Vnはほぼ−(Vp+Vn)/2にされる。
【0019】
スイッチングデバイス312、314、316、318、320および322の第1、第2、第3、第4、第5および第6のデューティサイクルのインターリービングの結果として、リップル電流が第1の巻線の第2の端子336、第2の巻線の第2の端子340および第3の巻線の第2の端子344の共通端点で生じる。このリップル電流は、バスセンタリングデバイス300のスイッチング周波数のほぼ3倍になる周波数を有する。より具体的には、リップル電流は、第1のスイッチングデバイス312、第2のスイッチングデバイス314、第3のスイッチングデバイス316、第4のスイッチングデバイス318、第5のスイッチングデバイス320および第6のスイッチングデバイス322のスイッチング周波数のほぼ3倍になる周波数を有する。さらに、上記の各デューティサイクルのインターリービングの結果として、リップル電流は、バスセンタリングデバイス200で見られるリップル電流振幅のほぼ3分の1になる振幅を有する。こうして、当業者には、バスセンタリングデバイス300は、より大きい電力配電システムと共に使用することが容易になることが理解されよう。当業者にはまた、バスセンタリングデバイス300は、追加のスイッチングデバイスおよび/または変圧器巻線を含むように拡張して、より高い配電システム電力レベルに対処できることが理解されよう。
【0020】
上述の各実施形態では、電気バスセンタリングのための効率的で費用効果が大きい方法および装置を実現することが容易になる。説明した各実施形態では、電力配電システムをグランドにセンタリングするためのより軽量で効率的なデバイスを実現することが容易になる。バスセンタリングデバイスにより、第3高調波抑制インダクタを使用しないで第3高調波電流を低減することが容易になる。上述の各実施形態ではまた、複数の電源を並列に結合できるようにすることも容易になる。さらに、このデバイスにより、電力配電システム内のリップル電流の大きさを低減することが容易になる。
【0021】
電気バスセンタリングの方法および装置の例示的な諸実施形態を以上で詳細に説明している。これらの方法および装置は、本明細書で説明した特定の実施形態に限定されず、むしろ、この装置の諸構成要素および/またはこの方法の諸ステップは、本明細書で説明した他の構成要素および/またはステップとは独立して、また別個に利用することができる。例えば、バスセンタリングデバイスはまた、他の測定システムおよび方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書で説明した航空機電力配電システムと共に実施することだけには限定されない。むしろ、例示的な実施形態は、多くの他の電力システム応用例と関連して実施および利用することができる。
【0022】
本発明の様々な実施形態の具体的な特徴は、一部の図面に示され、他の図面には示されていないことがあるが、これは単に便宜のためにすぎない。本発明の原理によれば、ある図面のどの特徴も、他の任意の図面のどの特徴とも組み合わせて参照および/または特許請求することができる。
【0023】
本明細書では諸例を用いて、本発明をベストモードを含めて開示し、また当業者が本発明を実施することを、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、および組み込まれる任意の方法を実施することを含めて可能にしている。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲に定義されており、また当業者に想到される他の例を含むことができる。このような他の例は、それが特許請求の範囲の文字通りの言葉と相違しない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的な違いがない等価の構造要素を有する場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0024】
200 バスセンタリングデバイス
202 正端子
204 負端子
206 シャーシグランド、グランド
208 第1のコンデンサ
210 第2のコンデンサ
212 第1のスイッチングデバイス
214 第2のスイッチングデバイス
216 インダクタ
218 ダイオード
220 ダイオード
222 正ノード
224 負ノード
226 グランドノード
228 共通ノード
300 バスセンタリングデバイス
302 正バス端子
304 負バス端子
306 航空機シャーシグランド、グランド
308 第1のコンデンサ
310 第2のコンデンサ
312 第1のスイッチングデバイス
314 第2のスイッチングデバイス
316 第3のスイッチングデバイス
318 第4のスイッチングデバイス
320 第5のスイッチングデバイス
322 第6のスイッチングデバイス
324 三脚相間変圧器
326 第1の巻線
328 第2の巻線
330 第3の巻線
332 インダクタ
334 第1の巻線の第1の端子
336 第1の巻線の第2の端子
338 第2の巻線の第1の端子
340 第2の巻線の第2の端子
342 第3の巻線の第1の端子
344 第3の巻線の第2の端子
346 ダイオード
348 ダイオード
350 ダイオード
352 ダイオード
354 ダイオード
356 ダイオード
358 正ノード
360 負ノード
362 グランドノード
364 共通インダクタノード、インダクタノード
366 第1の共通ノード
368 第2の共通ノード
370 第3の共通ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正バスレール、負バスレール、およびグランドを含む航空機電力配電システムに使用するバスセンタリングデバイスであって、
中心ノードと、
第1の既定デューティサイクルで前記中心ノードを前記正バスレールに結合するように構成された第1のスイッチング構成要素と、
第2の既定デューティサイクルで前記中心ノードを前記負バスレールに結合するように構成された第2のスイッチング構成要素と、
前記中心ノードとグランドの間に結合された誘導性構成要素であって、前記中心ノードの電圧をグランド電位にほぼ等しく維持するように構成され、前記正バスレールと前記中心ノードの間の電圧が、前記負バスレールと前記中心ノードの間とほぼ等しい電圧に維持される、誘導性構成要素と、
前記第1のスイッチング構成要素および前記誘導性構成要素と結合された第1の電流制限デバイスであって、前記第1のスイッチング構成要素がオフにされたときに、前記誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成された第1の電流制限デバイスと、
前記第2のスイッチング構成要素および前記誘導性構成要素と結合された第2の電流制限デバイスであって、前記第2のスイッチング構成要素がオフにされたときに、前記誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成された第2の電流制限デバイスとを備える、デバイス。
【請求項2】
前記第1のスイッチング構成要素が約50%の第1のデューティサイクルで切り替えられ、前記第2のスイッチング構成要素が約50%の第2のデューティサイクルで切り替えられ、前記第2のスイッチング構成要素の切替えが、前記第1のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
第3のスイッチング構成要素、第4のスイッチング構成要素、第5のスイッチング構成要素、および第6のスイッチング構成要素を備える、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記第3のスイッチング構成要素が約50%の第3のデューティサイクルで切り替えられ、前記第4のスイッチング構成要素が約50%の第4のデューティサイクルで切り替えられ、前記第4のスイッチング構成要素の切替えが、前記第3のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
前記第5のスイッチング構成要素が約50%の第5のデューティサイクルで切り替えられ、前記第6のスイッチング構成要素が約50%の第6のデューティサイクルで切り替えられ、前記第6のスイッチング構成要素の切替えが、前記第5のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項3記載のデバイス。
【請求項6】
前記誘導性構成要素が三脚相間変圧器を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項7】
正バスレール、負バスレール、およびグランドを含む航空機電力配電システムであって、
電源と、
負荷と、
バスセンタリングデバイスとを備え、前記バスセンタリングデバイスが、
中心ノードと、
第1の既定デューティサイクルで前記中心ノードを前記正バスレールに結合するように構成された第1のスイッチング構成要素と、
第2の既定デューティサイクルで前記中心ノードを前記負バスレールに結合するように構成された第2のスイッチング構成要素と、
前記中心ノードとグランドの間に結合された誘導性構成要素であって、前記中心ノードの電圧をグランド電位にほぼ等しく維持するように構成され、前記正バスレールと前記中心ノードの間の電圧が、前記負バスレールと前記中心ノードの間とほぼ等しい電圧に維持される、誘導性構成要素と、
前記第1のスイッチング構成要素および前記誘導性構成要素と結合された第1の電流制限デバイスであって、前記第1のスイッチング構成要素がオフにされたときに、前記誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成された第1の電流制限デバイスと、
前記第2のスイッチング構成要素および前記誘導性構成要素と結合された第2の電流制限デバイスであって、前記第2のスイッチング構成要素がオフにされたときに、前記誘導性構成要素からの電流を継続させるように構成された第2の電流制限デバイスとを備える、システム。
【請求項8】
前記第1のスイッチング構成要素が約50%の第1のデューティサイクルで切り替えられ、前記第2のスイッチング構成要素が約50%の第2のデューティサイクルで切り替えられ、前記第2のスイッチング構成要素の切替えが、前記第1のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記デバイスが第3のスイッチング構成要素、第4のスイッチング構成要素、第5のスイッチング構成要素、および第6のスイッチング構成要素を備える、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記第3のスイッチング構成要素が約50%の第3のデューティサイクルで切り替えられ、前記第4のスイッチング構成要素が約50%の第4のデューティサイクルで切り替えられ、前記第4のスイッチング構成要素の切替えが、前記第3のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記第5のスイッチング構成要素が約50%の第5のデューティサイクルで切り替えられ、前記第6のスイッチング構成要素が約50%の第6のデューティサイクルで切り替えられ、前記第6のスイッチング構成要素の切替えが、前記第5のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記誘導性構成要素が三脚相間変圧器を含む、請求項7記載のシステム。
【請求項13】
前記誘導性構成要素がさらに、前記三脚相間変圧器に結合されたインダクタを含む、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
正バスレール、負バスレール、およびグランドを含む航空機電力配電システムをセンタリングする方法であって、
電源、および前記電源に結合される負荷を用意するステップと、
前記正バスレール、前記負バスレール、および前記グランドにバスセンタリングデバイスを結合するステップであって、前記バスセンタリングデバイスが、
中心ノード、
第1のスイッチング構成要素、第2のスイッチング構成要素、および前記中心ノードとグランドの間に結合された誘導性構成要素を含む、ステップと、
第1の既定デューティサイクルで前記中心ノードを前記正バスレールに結合するステップと、
第2の既定デューティサイクルで前記中心ノードを前記負バスレールに結合するステップと、
前記中心ノードの電圧をグランド電位にほぼ等しく維持するステップとを含み、前記正バスレールと前記中心ノードの間の電圧が、前記負バスレールと前記中心ノードの間とほぼ等しい電圧に維持される、方法。
【請求項15】
前記第1のスイッチング構成要素を約50%の第1のデューティサイクルで切り替えるステップと、前記第2のスイッチング構成要素を約50%の第2のデューティサイクルで切り替えるステップとをさらに含み、前記第2のスイッチング構成要素の切替えが、前記第1のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
第3、第4、第5、および第6のスイッチング構成要素を、第1の入力端子および第2の入力端子のうちの少なくとも一方に結合するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記第3のスイッチング構成要素を約50%の第3のデューティサイクルで切り替えるステップと、前記第4のスイッチング構成要素を約50%の第4のデューティサイクルで切り替えるステップとをさらに含み、前記第4のスイッチング構成要素の切替えが、前記第3のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第5のスイッチング構成要素を約50%の第5のデューティサイクルで切り替えるステップと、前記第6のスイッチング構成要素を約50%の第6のデューティサイクルで切り替えるステップとをさらに含み、前記第6のスイッチング構成要素の切替えが、前記第5のスイッチング構成要素の切替えから約180°位相遅延される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
三脚相間変圧器を前記第1のスイッチング構成要素および前記第2のスイッチング構成要素に結合するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項20】
インダクタを前記三脚相間変圧器に結合するステップをさらに含む、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−528563(P2012−528563A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513071(P2012−513071)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028473
【国際公開番号】WO2010/138234
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】