説明

電気光学パネル、電気光学表示装置及び電子機器

【課題】光センサーと駆動回路をアクティブマトリクス基板上の同一辺に配置しても周縁部の増大がないアクティブマトリクス装置を提供する。
【解決手段】走査線駆動回路を左右両周縁部に分散配置し、その表示領域を隔てて逆側に光センサーを配置する。また、光センサーと走査線駆動回路を交互に配置し、走査線駆動回路ユニット間は走査線でタイミングの受け渡しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学パネル、当該電気光学パネルを備える電気光学表示装置、及び当該電気光学表示装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置上、特に薄膜トランジスターを用いた液晶表示装置において光センサー機能を搭載する技術の開発が進んでいる(例えば特許文献1)。光センサーを搭載する目的は(1)外光を測定して輝度等を調整することで消費電力低減・画質向上を図る、(2)バックライトを測定し輝度あるいは色度を調整する、(3)指やライトペンの位置を認識しタッチキーとして使用する、の3つがあげられる。光センサー素子としては薄膜トランジスター、PIN(P-Intrinsic-N)ダイオード、PNダイオードなどがあげられる。いずれの場合も受光部はシリコン薄膜であって、製造上のコストを増大させないため、表示のスイッチング素子を構成するシリコン薄膜と同一製造工程で製造されることが望ましい。特に表示のスイッチング素子をポリシリコン薄膜で製造する場合は光センサーの検出機能や表示の駆動回路を部分的にポリシリコン薄膜トランジスターで形成することでコストの低減や額縁の縮小が達成できる。この場合、特許文献2に記載されているように駆動回路と光センサーの配置位置はお互いに干渉しないようにする必要がある。
【0003】
【特許文献1】特開2006−118965号公報
【特許文献2】特開2007−72242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内蔵した光センサーで外光の光照度を正確に検出しようとする場合、例えば操作者の指の影などが光センサーにかかって検出結果に影響しないように、表示領域に対して光センサーをなるべく多くの周縁辺に分散して配置することが望ましい。しかしながら、前記のように光センサーの配置位置は内蔵駆動回路と互いに干渉しないように配置する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は例えば、表示領域と、前記表示領域の第1の周縁部と、前記表示領域の第2の周縁部と、前記表示領域内に配置される走査線と、前記第1の周縁部に配置され、前記走査線を駆動する第1の走査線駆動回路と、前記第2の周縁部に配置され、前記走査線を駆動する第2の走査線駆動回路と、前記第1の周縁部に配置される第1の光センサーと、前記第2の周縁部に配置される第2の光センサーと、を備えてなる電気光学パネルであって、前記第1の周縁部と前記第2の周縁部は前記表示領域を隔てて向かい合った領域に位置することを特徴とした電気光学パネルを提案する。
【0006】
このように走査線駆動回路ならびに光センサーを互いに向かい合った周縁部(額縁領域)に分散して配置することで、電気光学パネルの外形サイズを小さくすることができ、なおかつ光センサーも互いに向かい合った周縁部に分散して配置されるから、指などで光センサーをふさぐことで誤検出することがない。
【0007】
またさらに、前記第1の光センサーは複数の第1の光センサーユニットより構成され、前記第2の光センサーは複数の第2の光センサーユニットより構成され、前記第1の走査線駆動回路は複数の第1の走査線駆動回路ユニットより構成され、前記第2の走査線駆動回路は複数の第2の走査線駆動回路ユニットより構成され、前記複数の第1の光センサーユニットと前記複数の第1の走査線駆動回路ユニットは前記表示領域に沿って交互に配置され、前記複数の第2の光センサーユニットと前記複数の第2の走査線駆動回路ユニットは前記表示領域に沿って交互に配置されることを提案する。
【0008】
このようにそれぞれのユニットを交互にならべることで、光センサーユニットを両周縁部(額縁)の全領域に分散配置できるのでより効果的に指などで光センサーをふさぐことでの誤動作を防止でき、かつ外形サイズが大きくなることもない。
【0009】
またさらに、前記複数の第1の走査線駆動回路ユニットの一つと前記複数の第2の走査線駆動回路ユニットは互いに前記複数の走査線の一つを介してタイミング信号の受け渡しを行い、前記複数の第1の走査線駆動回路ユニットの隣接したユニット間でタイミング信号の受け渡しを行うための配線が存在せず、前記複数の第2の走査線駆動回路ユニットの隣接したユニット間でタイミング信号の受け渡しを行うための配線が存在しないことを提案する。
【0010】
このように構成すると、左右の周縁部に配置された走査線駆動回路ユニットのタイミングのやりとりに走査線の信号を使用することで隣接したユニット間のタイミング信号配線が存在せず、光センサーユニットを置く間隙を最大化できる。
【0011】
またさらに、本発明では前記第1の走査線駆動回路を構成する薄膜トランジスターと、前記第2の走査線駆動回路を構成する薄膜トランジスターと、前記第1の光センサーを構成する光素子と、前記第2の光センサーを構成する光素子と、は製造工程において同時に形成され、同一の膜厚の薄膜シリコンで構成されることを提案する。
【0012】
このように構成することで、走査線駆動回路と光センサーを同時に内蔵しつつ、コストの増大をおさえることができる。
【0013】
また、本発明ではこれらのアクティブマトリクス基板を用いた表示装置、およびその表示装置を用いた電子機器を提案する。複数辺に光センサーを内蔵しているので指等の影による誤検出を抑えつつ精度良く照度を測定してバックライトを制御でき、消費電力を無意味に増大させることが無く、コストも上昇しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る液晶表示装置910の斜視構成図(一部断面図)である。液晶表示装置910は、アクティブマトリクス装置としてのアクティブマトリクス基板101と対向基板912とをシール材923により一定の間隔で貼り合わせ、ネマティック相液晶材料922を挟持してなる。アクティブマトリクス基板101上には、図示しないが、ポリイミドなどからなる配向材料が塗布されラビング処理されて配向膜が形成されている。また、対向基板912は、図示しないが、画素に対応したカラーフィルタと、光抜けを防止してコントラストを向上させるための低反射・低透過率樹脂よりなるブラックマトリクスとが形成される。ネマティック相液晶材料922と接触する面には、ポリイミドなどからなる配向材料が塗布され、アクティブマトリクス基板101の配向膜ラビング処理方向と平行かつ逆向きにラビング処理されている。
【0016】
さらに対向基板912の外側には、上偏光板924を、アクティブマトリクス基板101の外側には、下偏光板925を各々配置し、互いの偏光方向が直交するよう(クロスニコル状)に配置する。さらに下偏光板925下には、バックライトユニット926と導光板927が配置され、バックライトユニット926から導光板927に向かって光が照射され、導光板927はバックライトユニット926からの光をアクティブマトリクス基板101に向かって垂直かつ均一な面光源となるように光を反射屈折させることで液晶表示装置910の光源として機能する。バックライトユニット926は、本実施形態ではLEDユニットであるが、冷陰極管(CCFL)であってもよい。バックライトユニット926はコネクタ929を通じて電子機器本体に接続され、電源を供給されるが、本実施形態では電源が適宜適切な電流・電圧に調整されることでバックライトユニット926からの光量が調整される機能を有する。図示しないが、さらに必要に応じて、周囲を外殻で覆っても良いし、あるいは上偏光板924のさらに上に保護用のガラスやアクリル板を取り付けても良いし、視野角改善のため光学補償フィルムを貼っても良い。
【0017】
また、アクティブマトリクス基板101は、対向基板912から張り出す、張り出し部110が設けられ、その張り出し部110には、FPC(可撓性基板)928及び駆動IC921が実装され、張り出し部110上に設けられた端子を通じて電気的に接続されている。駆動IC921はアクティブマトリクス基板101の駆動に必要な信号と電源を供給し、FPC928は電子機器1000を構成する外部電源回路784及び映像処理回路780(図4参照)から必要な信号と電源を駆動IC921及びアクティブマトリクス基板101に供給する。なお、本実施形態では、張り出し部110に駆動IC921を実装するCOG(Chip On Glass)実装としたが、張り出し部110にはFPC928のみを実装し、駆動IC921はFPC928に実装するCOF(Chip On Film)実装としてもよい。
【0018】
図2はアクティブマトリクス基板101の構成図である。アクティブマトリクス基板101上には480本の走査線201(201−1〜201−480)と2400本のデータ線202(202−1〜202−2400)が直交して形成されている。走査線201−1〜201−480は第1の走査線駆動回路301(301−1)および第2の走査線駆動回路301(301−2)に接続されて駆動される。また、データ線202−1〜202−1920はデータ線駆動回路302に接続されて駆動される。ここで第1の走査線駆動回路301−1、第2の走査線駆動回路301−2、データ線駆動回路302を構成する薄膜トランジスターは後述する画素スイッチング素子401(401−n−m)と同一の製造工程で製造された、いわゆる駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス基板101である。
【0019】
第1の走査線駆動回路301−1は第1の周縁部121に、第2の走査線駆動回路301−2は第2の周縁部122に配置されてなる。ここで第1の周縁部121と第2の周縁部122は互いに表示領域を隔てて向かい合う位置に存在する周縁部である。
【0020】
第1の走査線駆動回路301−1は第1,3,5,…,479の走査線駆動回路ユニット510(510−1,510−3,510−5,…,510−479)(図面では「Vunit」で示す)により構成される。第2の走査線駆動回路301−2は第2,4,6,…,480の走査線駆動回路ユニット510−2,510−4,510−6,…,510−480により構成される。ここで第nの走査線駆動回路ユニット510−n(n=1〜480)は互いに同一の回路から構成される回路ユニットであり、それぞれ第n−1の走査線201−n−1(n=1の場合のみ信号GSP)、第nの走査線201−n、第n+1の走査線201−n+1(n=480の場合のみ信号GSP)に接続され、第n−1の走査線201−n−1(n=1の場合のみ信号GSP)または第n+1の走査線201−n+1(n=480の場合のみ信号GSP)のいずれかの信号タイミングを入力して第nの走査線201−nを駆動する回路ユニットである。
【0021】
また第1の光センサー309(309−1)が第1の周縁部121に、また第2の光センサー309(309−2)が第2の周縁部122に、それぞれ配置される。第1の光センサー309−1は第2,4,6,…,480の光センサーユニット530(530−2,530−4,530−6,…,530−480)(図面では「ALS」で示す)よりなり、第2の光センサー309−2は第1,3,5,…,479の光センサーユニット530(530−1,530−3,530−5,…,530−479)よりなる。第nの光センサーユニット530−n(n=1〜480)は互いに同一の回路構成よりなるユニットであって、第n−1の走査線駆動回路ユニット510−n−1と第n+1の走査線駆動回路ユニット510−n+1に隣接して配置される。
【0022】
第1の走査線駆動回路301−1および第2の走査線駆動回路301−2は走査線駆動配線群511に接続される。また、第1の光センサー309−1および第2の光センサー309−2を構成する第nの光センサーユニット530−n(n=1〜480)は光センサー配線群531に接続される。走査線駆動配線群511および光センサー配線群531はそれぞれ張り出し部110で実装端子に接続され、駆動IC921により適切に駆動される。
【0023】
図3は表示領域310におけるm番目の第mのデータ線202−mとn番目の第nの走査線201−nの交差部付近の回路図である。第nの走査線201−nと第mのデータ線202−mの各交点にはnチャネル型電界効果ポリシリコン薄膜トランジスターよりなる画素スイッチング素子401−n−mが形成されており、そのゲート電極は第nの走査線201−nに、ソース・ドレイン電極はそれぞれ第mのデータ線202−mと画素電極402(402−n−m)に接続されている。画素電極402−n−mは共通電極(COM)930と誘電体をはさんで補助容量コンデンサーを形成し、また液晶表示装置として組み立てられた際には液晶素子をはさんで共通電極(COM)930とやはりコンデンサーを形成する。ここで共通電極(COM)930はアクティブマトリクス基板101上の表示領域310全体に配置された透明な共通電極であって、各画素電極402−n−mとアクティブマトリクス基板101上でコンデンサーを形成し、電界がアクティブマトリクス基板101と平行な方向に印加されるいわゆるIPS(In Plane Switching)モードの液晶表示装置となるように構成されている。共通電極(COM)930は本実施形態では一定周期で反転するAC駆動を行われるが、常に一定電位を保つDC駆動であっても差し支えない。
【0024】
図4は本実施形態での電子機器1000の具体的な構成を示すブロック図である。液晶表示装置910は図1で説明した液晶表示装置であって、外部電源回路784、映像処理回路780がFPC(可撓性基板)928およびコネクタ929を通じて必要な信号と電源を液晶表示装置910に供給する。中央演算回路781は外部I/F回路782を介して入出力機器783からの入力データを取得する。ここで入出力機器783とは例えばキーボード、マウス、トラックボール、LED、スピーカー、アンテナなどである。中央演算回路781は外部からのデータをもとに各種演算処理を行い、結果をコマンドとして映像処理回路780あるいは外部I/F回路782へ転送する。映像処理回路780は中央演算回路781からのコマンドに基づき映像情報を更新し、液晶表示装置910への信号を変更することで、液晶表示装置910の表示映像が変化する。
【0025】
また、液晶表示装置910上の光センサーユニット530(530−1〜530−480)の出力は駆動IC921に入力され、駆動IC921で照度に変換された後、照度データをFPC(可撓性基板)928を通じて中央演算回路781に出力する。中央演算回路781はEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)よりなる参照テーブル785にアクセスし、入力された照度データから適切なバックライトユニット926へ出力するPWM波形デューディー比に対応する値に再変換し、外部電源回路784に送信する。外部電源回路784はこの送信された値に対応したデューディー比のPWM波形電源を液晶表示装置910内のバックライトユニット926にコネクタ929を通じて供給する。バックライトユニット926の輝度は外部電源回路784より供給されるPWM波形デューティー比によって変化するので、液晶表示装置910の全白表示時輝度も変化することになる。ここで電子機器とは具体的にはモニター、TV、ノートパソコン、PDA(Personal Digital(Data) Assistants)、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話、携帯フォトビューワー、携帯ビデオプレイヤー、携帯DVDプレイヤー、携帯オーディオプレイヤーなどである。
【0026】
図5は参照テーブル785によって設定される検出された外光の照度データとバックライトユニット926の出力の関係式である。このように、外光の照度があがるほどバックライトユニット926の出力を上げて表示領域の輝度を上げ、外光の照度が1500ルクス程度でバックライトユニットの出力は最大になるように設定することで常に外光の照度に対して最適化された輝度で表示することができ、外光に関わらず視認性を良好に保つと共に、平均的な消費電力を低減できるのである。なお、ここでいうバックライトユニット926の出力とは、外部電源回路784からバックライトユニット926へ供給されるPWM波形の電源のデューティー比に対応する。
【0027】
図6は第nの光センサーユニット530−nの回路図である(n=1〜480)。第1のPINダイオード532−n及び第2のPINダイオード533−nはいずれもラテラル型薄膜シリコンPINダイオードであり、そのチャネル幅は100μmであり、チャネル長は10μmである。第1のPINダイオード532−n及び第2のPINダイオード533−nは画素スイッチング素子401−n−mを構成する薄膜シリコンと同一の製造工程で作られた薄膜シリコンを能動層として有する。また、第1のPINダイオード532−nは液晶表示装置910に組み込まれた時には外光が照射される位置に配置されてなり、第2のPINダイオード533−nは外光が遮光される位置に配置されてなる。第1のPINダイオード532−nのカソード電極は電源配線VHに接続され、第2のPINダイオード533−nのアノード電極は電源配線VLに接続され、第1のPINダイオード532−nのアノード電極及び第2のPINダイオード533−nのカソード電極は配線SENSEに接続される。ここで電源配線VH、電源配線VL、配線SENSEは図2の光センサー配線群531を構成する配線であって、駆動IC921に接続される。駆動IC921から電源配線VHには電位5Vが与えられ、電源配線VLには電位0Vが与えられる。配線SENSEには周期的に2V電位が印加された後、一定期間フローティング状態となる。
【0028】
このように構成されると、配線SENSEの電位はフローティング状態にある間、外光の照射量に比例した速度で電位が2.5Vに近づく。そこで配線SENSEがフローティング状態になってから電位が2.5Vになるまでの時間t1を駆動IC921で測定すれば、時間t1は外光照度の逆数となるので容易に外光状態が判明するので、図4及び図5で説明したようなバックライトの外光照度に応じた調整が可能となる。なお、本実施形態では全ての光センサーを同一の配線(SENSE)に接続することで全ての光センサーの平均値を照度として測定するように構成されている。このため、指等で影になった光センサーの個数が全体の数より十分少なければ照度の検出に大きな影響を与えない。表示領域自体が小さい表示装置などでこの前提が確保できない場合、別の構成としていくつかの光センサー群(例えば左右領域の光センサーそれぞれ)を別々の配線に接続し、光センサー群ごとに照度を検出して、その中で確からしい(例えば最も照度の高い)データのみを選択する構成としてもよい。
【0029】
図7(a)は第1の走査線駆動回路301−1を構成する第1,3,5,…,479の走査線駆動回路ユニット510−1,510−3,510−5,…,510−479の回路図である。第1のインバーター回路421と第2のインバーター回路422は互いに出力端と入力端を接続したSRAM型ラッチ回路を構成する。第1のインバーター回路421の入力端であるノードAにはnチャネル型トランジスター432とnチャネル型トランジスター429とnチャネル型トランジスター430のドレイン電極が接続され、第2のインバーター回路422の入力電極であるノードBにはnチャネル型トランジスター427とnチャネル型トランジスター428のドレイン電極とnチャネル型トランジスター433のゲート電極が接続される。nチャネル型トランジスター429のソース電極はnチャネル型トランジスター424のドレイン電極に接続され、nチャネル型トランジスター430ソース電極はnチャネル型トランジスター426のドレイン電極に接続され、nチャネル型トランジスター427のソース電極はnチャネル型トランジスター423のドレイン電極に接続され、nチャネル型トランジスター428ソース電極はnチャネル型トランジスター425のドレイン電極に接続される。
【0030】
nチャネル型トランジスター423、nチャネル型トランジスター424、nチャネル型トランジスター425、nチャネル型トランジスター426、nチャネル型トランジスター432、nチャネル型トランジスター433の各ソース電極は負電源(Low電位)に接続される。nチャネル型トランジスター423、nチャネル型トランジスター424のゲート電極は信号UDに、nチャネル型トランジスター425、nチャネル型トランジスター426のゲート電極は信号XUDに、nチャネル型トランジスター428、nチャネル型トランジスター429のゲート電極は第n−1の走査線201−n−1(n=1の場合は信号GSP)に、nチャネル型トランジスター427、nチャネル型トランジスター430のゲート電極は第n+1の走査線201−n+1(n=480の場合は信号GSP)に、それぞれ接続される。nチャネル型トランジスター432のゲート電極は信号RSTに接続される。伝送ゲート431の一端は信号GEN1(n=1,3,5,…,479の場合)もしくは信号GEN2(n=2,4,6,…,480の場合)に接続され、他端はnチャネル型トランジスター433のドレイン電極および第3のインバーター回路434の入力端子に接続される。伝送ゲート431を構成するnチャネル型トランジスターのゲート電極はノードAに、伝送ゲート431を構成するpチャネル型トランジスターのゲート電極はノードBに接続される。第3のインバーター回路434の出力端子は第4のインバーター回路435の入力端子に接続され、第4のインバーター回路435の出力端子は第nの走査線201−nに接続される。
【0031】
図7(b)は第2の走査線駆動回路301−2を構成する第2,4,6,…,480の走査線駆動回路ユニット510−2,510−4,510−6,…,510−480の回路図である。図7(a)と比較して互いに左右反転であること、第1,3,5,…,479の走査線駆動回路ユニット510−1,510−3,510−5,…,510−479では伝送ゲート431の一端が信号GEN1に、第2,4,6,…,480の走査線駆動回路ユニット510−2,510−4,510−6,…,510−480では伝送ゲート431の一端が信号GEN2に接続されるほかは同一の回路構成であるので、同じ番号を付与することで説明は省略する。
【0032】
ここで信号UD、信号XUD、信号GSP、信号GEN1、信号GEN2はいずれも走査線駆動配線群511を構成する配線信号であり、駆動IC921から−4.5V/+9.5Vで駆動される。また、第1の走査線駆動回路301−1および第2の走査線駆動回路301−2の正電源は+9.5V、負電源は−4.5Vを同じく駆動IC921より供給される。
【0033】
このように回路を構成すると、スキャン方向信号UD=High(+9.5V)、反転スキャン方向信号XUD=Low(−4.5V)の時(正方向スキャン時)、各走査線駆動回路ユニット510−nは、前段に接続された第n−1の走査線201−n−1がHigh(+9.5V)になってから、次段に接続された第n+1の走査線201−n+1がHigh(+9.5V)になるまでの期間は信号GEN1もしくは信号GEN2と同一のタイミングを第nの走査線201−nに出力し、それ以外の期間は第nの走査線201−nにLow(−4.5V)を出力する。スキャン方向信号UD=Low(−4.5V)、反転スキャン方向信号XUD=High(+9.5V)の時(逆方向スキャン時)は次段と前段が逆転する。
【0034】
図8はスキャン方向信号UD=High(+9.5V)、反転スキャン方向信号XUD=Low(−4.5V)の時(正方向スキャン時)の走査線駆動回路301のタイミングチャートである。信号RSTは電源立ち上がり後、最初のスキャンが行われる(すなわち最初に信号GSPがHighになる)前に50μ秒間Highになり、その後は電源立ち下げまでの間、Lowになる。また、信号GSPは16.667m秒間隔で28μ秒間Highになるスタートパルス信号である。信号GEN1は信号GSPがHighになってから34.6μ秒後に最初にHighになり、パルス幅28μ秒、周期69.2μ秒で241回Highになるパルス信号である。信号GEN2は信号GEN1と34.6μ秒位相がずれるほかは全く同一の信号である。COMは共通電極(COM)930に供給される電位であって34.6μ秒毎に0.2V/4.2V間で反転する信号であり、16.667m秒毎に位相が逆になるように設定される。すなわち、第nの走査線201−nが選択される毎に共通電極(COM)930の極性は反転する。
【0035】
このような信号を入力して走査線駆動回路301を駆動すると、走査線201−1、走査線201−2、走査線201−3、…、走査線201−480の順に、34.6μ秒間隔で28μ秒ずつ走査線が順次選択される。図示しないが、スキャン方向信号UD=Low(−4.5V)、反転スキャン方向信号XUD=High(+9.5V)の時(逆方向スキャン時)は信号GEN1と信号GEN2が逆転するほかは全く同一の信号を入力すれば、走査線201−480、走査線201−479、走査線201−478、…走査線201−1というように逆順で選択されていく。
なお、本発明における走査線駆動回路は本実施形態の回路構成に限定されるものではなく、既知のあらゆるシフトレジスタ回路、順次選択回路を用いてもよいことはもちろんである。
【0036】
図9はデータ線駆動回路302の回路図であり、1:3のデマルチプレクサ回路構成となっている。1920本のデータ線202−1〜202−1920にnチャネル型トランジスターであるデータ線スイッチ451−1〜451−1920のドレイン電極がそれぞれ接続される。データ線スイッチ451−1〜451−3のソース電極は信号VIDEO1に接続され、データ線スイッチ451−4〜451−6のソース電極は信号VIDEO2に接続され、以下同様にデータ線スイッチ451−(n×3−2)〜451−(n×3)のソース電極は信号VIDEOnに接続される(n=1〜640)。またデータ線スイッチ451−1,451−4,451−7,…,451−1918のゲート電極は信号RENBに、データ線スイッチ451−2,451−5,451−8,…,451−1919のゲート電極は信号GENBに、データ線スイッチ451−3,451−6,451−9,…,451−1920のゲート電極は信号BENBに、それぞれ接続される。
【0037】
図10はデータ線駆動回路302の動作を説明するためのタイミングチャートである。信号RENBは、図8で説明したように各第nの走査線201−n(n=1〜480)が選択された(High:+9.5Vになった)タイミングから2μ秒後にHigh(+9.5V)になり、7μ秒後にLow(−4.5V)に戻る信号である。信号GENBは信号RENBから9μ秒、信号BENBは信号RENBから18μ秒、それぞれ位相がずれている他は信号RENBと同一の信号である。ここで信号RENB、信号GENB、信号BENBは、いずれも駆動IC921から−4.5V/+9.5V振幅で供給され、信号VIDEO1〜VIDEO640は駆動IC921から信号入力端子320を介して供給される0V〜4Vのアナログ電位信号であり、信号RENB、信号GENB、信号BENBに同期したタイミングで画像に対応した適切な電位が供給される。
【0038】
なお、本発明におけるデータ線駆動回路は本実施形態の回路構成に限定されるものではなく、例えばアナログ順次駆動回路やDAC内蔵駆動回路など既知のあらゆるデータ線駆動回路を用いてもよいことはもちろんであるし、データ線駆動回路は内蔵せず、駆動ICから直接データ線を駆動しても良い。
【0039】
本実施形態では第1の走査線駆動回路301−1を第1の周縁部121、第2の走査線駆動回路301−2を第2の周縁部122に分散して配置し、第nの走査線駆動回路ユニット510−n間に間隙をもうけて第nの光センサーユニット530−nを両周縁部全域に配置している。このように構成することで、例えば指などが液晶表示装置910にかかったとしても、両方の辺を同時に指等が塞ぐことはほとんど考えられないから、光センサーユニット530−1〜530−480のうち、影になるのはごく一部だけである。駆動IC921は全ての光センサーユニット530−1〜530−480の平均光量を外光として処理するので、ほとんど影響をうけない。従って、指等の影の影響をうけずに外光を正確に測定できるので、より正確にバックライトを適切な見やすい光量に設定できるため視認性があがり、無駄な電力を消費しない。また周縁部のサイズ増大がほとんどないため、よりコンパクトな電子機器を製造できる。また、走査線駆動回路として、走査線自体をタイミングの受け渡しに使用する回路構成をとっているため、第nの光センサーユニット530−nのサイズを最大化でき、感度に優れている。
【0040】
なお、本発明は本実施形態で記載のように駆動IC921が実装される周縁辺を下としたとき、光センサー及び走査線駆動回路を右側周縁辺と左側周縁辺に配置したが、下側周縁辺及び上側周縁辺に配置しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】液晶表示装置の斜視構成図。
【図2】アクティブマトリクス基板の構成図。
【図3】アクティブマトリクス基板の画素回路図。
【図4】電子機器の実施形態を示すブロック図。
【図5】外光照度によるバックライト電圧の制御を示すグラフ。
【図6】光センサーユニットの回路図。
【図7】(a)、(b)は走査線駆動回路ユニットの回路図。
【図8】走査線駆動回路の駆動を示すタイミングチャート。
【図9】データ線駆動回路の回路図。
【図10】データ線駆動回路の駆動を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0042】
101…アクティブマトリクス基板、201…走査線、202…データ線、301…走査線駆動回路、302…データ線駆動回路、309…光センサー、510…走査線駆動回路ユニット、530…光センサーユニット、401…画素スイッチング素子、402…画素電極、910…液晶表示装置、921…駆動IC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と、
前記表示領域の第1の周縁部と、
前記表示領域の第2の周縁部と、
前記表示領域内に配置される走査線と、
前記第1の周縁部に配置され、前記走査線を駆動する第1の走査線駆動回路と、
前記第2の周縁部に配置され、前記走査線を駆動する第2の走査線駆動回路と、
前記第1の周縁部に配置される第1の光センサーと、
前記第2の周縁部に配置される第2の光センサーと、
を備えてなる電気光学パネルであって、
前記第1の周縁部と前記第2の周縁部は前記表示領域を隔てて向かい合った領域に位置することを特徴とする電気光学パネル。
【請求項2】
前記第1の光センサーは複数の第1の光センサーユニットより構成され、
前記第2の光センサーは複数の第2の光センサーユニットより構成され、
前記第1の走査線駆動回路は複数の第1の走査線駆動回路ユニットより構成され、
前記第2の走査線駆動回路は複数の第2の走査線駆動回路ユニットより構成され、
前記複数の第1の光センサーユニットと前記複数の第1の走査線駆動回路ユニットは前記表示領域に沿って交互に配置され、
前記複数の第2の光センサーユニットと前記複数の第2の走査線駆動回路ユニットは前記表示領域に沿って交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学パネル。
【請求項3】
前記複数の第1の走査線駆動回路ユニットの一つと前記複数の第2の走査線駆動回路ユニットの一つは互いに前記複数の走査線の一つを介してタイミング信号の受け渡しを行い、前記複数の第1の走査線駆動回路ユニットの隣接したユニット間でタイミング信号の受け渡しを行うための配線が存在せず、前記複数の第2の走査線駆動回路ユニットの隣接したユニット間でタイミング信号の受け渡しを行うための配線が存在しないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気光学パネル。
【請求項4】
前記第1の走査線駆動回路を構成する薄膜トランジスターと、
前記第2の走査線駆動回路を構成する薄膜トランジスターと、
前記第1の光センサーを構成する光素子と、
前記第2の光センサーを構成する光素子と、
は製造工程において同時に形成され、同一の膜厚の薄膜シリコンで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電気光学パネル。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電気光学パネルを備えることを特徴とする電気光学表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学表示装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−122337(P2010−122337A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294149(P2008−294149)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】