説明

電気光学素子の製造方法及び製造装置

【課題】液滴の塗布量を増大することなく、液滴の充填不良を回避する。
【解決手段】電気光学素子の製造方法は、電気光学素子の構成材料を高沸点溶媒で分散又は溶解させた液滴26bを画素領域40に塗布する塗布工程と、画素領域40に塗布された液滴26bを低沸点溶媒の蒸気に曝す蒸気供給工程とを備える。画素領域40に塗布された液滴26bを低沸点溶媒の蒸気に曝すことによって、液滴26bの部分的又は局所的な濡れ不足を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴吐出法により電気光学素子を製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、電流駆動型の自発光素子であるため、バックライトが不要となる上に、低消費電力、高視野角、高コントラスト比が得られるメリットがあり、フラットパネルディスプレイの開発において期待されている。有機EL素子は、陽極と陰極との間に介在する発光層を備えた電気光学素子であり、順バイアス電流を供給することで、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが再結合する際の再結合エネルギーにより自発光する。有機EL素子の製造方法として、例えば、有機EL素子を構成する発光層の有機材料を溶媒で溶解又は分散させて液状化し、これを液滴吐出装置から画素領域に吐出して乾燥させる液滴吐出法が知られている。液滴吐出法では、液滴の画素領域への着弾性を高めることが重要であることから、特許文献1では、画素領域を区画する隔壁の上部側の撥液性をその下部側の撥液性よりも強くすることで、液滴が隔壁を乗り越えて混合することを回避しつつ、隔壁によって囲まれた画素領域の充填不良を抑制する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−46306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画素領域への液滴の充填不良は、被塗布面近傍の隔壁の濡れ不足だけでなく被塗布面自体の濡れ不足も大きく影響している。このような充填不良を抑制するための対策として、液滴の塗布量を多くすることも考えられるが、隔壁を乗り越えて混合する虞があるため、好ましくない。一方、液滴の塗布量を少なくすると、充填不良を起こしやすくなり、電気光学素子の短絡を引き起こす要因となる。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解決し、液滴の塗布量を増大することなく、液滴の充填不良を回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係わる電気光学素子の製造方法は、電気光学素子の構成材料を第1の溶媒で分散又は溶解させた液滴を画素領域に塗布する塗布工程と、画素領域に塗布された液滴を第1の溶媒よりも沸点の低い第2の溶媒の蒸気に曝す蒸気供給工程と、を備える。画素領域に塗布された液滴を第2の溶媒の蒸気に曝すことによって、液滴の部分的又は局所的な濡れ不足を解消することができる。
【0007】
蒸気供給工程を複数回繰り返すのが好ましい。これにより、第2の溶媒の蒸気を画素領域へ入れ換える際に蒸気圧を変動又は脈動させることができ、液滴と蒸気との相互作用を強めることができるので、液滴の濡れ不足解消に効果的である。
【0008】
蒸気供給工程は、第2の溶媒の蒸気圧を脈動させる工程を更に含んでもよい。これにより、液滴と蒸気との相互作用を強めることができるので、液滴の濡れ不足解消に効果的である。
【0009】
第2の溶媒の蒸気圧は飽和蒸気圧が好ましい。これにより、蒸気分子の液滴表面への吸着を促進できるため、液滴の濡れ不足解消に効果的である。
【0010】
塗布工程は、複数の画素領域のそれぞれに液滴を塗布する工程を含み、蒸気供給工程は、複数の画素領域のうち液滴の付着が均一でない画素領域を選択的に第2の溶媒の蒸気に曝す工程を含むのが好適である。これにより、全ての画素領域を第2の溶媒の蒸気に曝す必要がなく、充填不良のある画素領域の濡れ性を選択的に改善できる。
【0011】
本発明に係わる電気光学素子の製造装置は、電気光学素子の構成材料を第1の溶媒で分散又は溶解させた液滴を画素領域に塗布する液滴吐出装置と、画素領域に塗布された液滴を第1の溶媒よりも沸点の低い第2の溶媒の蒸気に曝す蒸気供給装置と、を備える。画素領域に塗布された液滴を第2の溶媒の蒸気に曝すことによって、液滴の部分的又は局所的な濡れ不足を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係わる有機EL装置の回路図である。
【図2】本実施形態に係わる有機EL素子の製造装置の機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係わる有機EL装置の製造工程断面図である。
【図4】本実施形態に係わる有機EL装置の製造工程断面図である。
【図5】本実施形態に係わる有機EL装置の製造工程断面図である。
【図6】本実施形態に係わる有機EL装置の製造工程断面図である。
【図7】本実施形態に係わる電子機器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各図を参照しながら本発明に関わる実施形態について説明する。同一符号の部材は同一の部材を示すものとして重複する説明を省略する。また、本明細書において特に断りがない限り、上下方向は、図3乃至図6に示す基板10の厚み方向を意味するものとする。
【0014】
図1は本実施形態に係わる有機EL装置11の回路構成図である。有機EL装置11には、走査線駆動回路16に接続する複数の走査線12と、信号線駆動回路15に接続するとともに各走査線12に交差する方向に延在する複数の信号線13と、各信号線13に並行に延在する複数の電源線14とがそれぞれ配線されている。走査線12と信号線13とが交差する箇所には、走査線12からの走査信号がそのゲート端子に供給されるスイッチングトランジスタ21と、スイッチングトランジスタ21がオン状態のときにスイッチングトランジスタ21を介して信号線13から供給される画素信号を保持する保持容量22と、保持容量22の電位がそのゲート端子に供給される駆動トランジスタ23と、駆動トランジスタ23がオン状態のときに駆動トランジスタ23を介して電源線14に接続する有機EL素子27が配置されている。有機EL素子27は、電気的作用により光の光学的状態を変化させる電気光学素子として機能するものであり、発光作用を担う機能層26を陽極(画素電極)24と陰極(共通電極)25との間に備えている。
【0015】
上述の回路構成により、走査線12から走査信号がスイッチングトランジスタ21のゲート端子に供給されて、スイッチングトランジスタ21がオン状態になると、信号線13から保持容量22に画素信号が供給される。駆動トランジスタ23のオン/オフ状態は、保持容量22の電位に応じて定まり、駆動トランジスタ23がオン状態になると、電源線14から駆動トランジスタ23のチャネルを介して有機EL素子27に電流が流れる。有機EL素子27は、電流に応じた輝度で発光する。
【0016】
なお、本実施形態では、機能層26の積層構造として、電子輸送層/正孔阻止層/発光層/正孔注入輸送層を例示するが、これに限られるものではなく、少なくとも発光層を含む二層以上の有機層を有していればよい。
【0017】
図2は本実施形態に係わる有機EL素子の製造装置50の機能ブロックを示す。製造装置50は、有機EL素子27の構成材料を高沸点溶媒(第1の溶媒)で分散又は溶解させた液滴を画素領域に塗布する液滴吐出装置51と、画素領域に塗布された液滴を高沸点溶媒よりも沸点の低い低沸点溶媒(第2の溶媒)の蒸気に曝す蒸気供給装置52と、液滴吐出装置51及び蒸気供給装置52を制御する制御装置53とを備える。制御装置53は、ハードウェア資源(プロセッサ、メモリ、入出力インタフェース等)を備えるコンピュータシステムである。液滴吐出装置51は、微小な液滴を高解像度で吐出可能な装置であり、例えば、電気機械変換方式、帯電制御方式、加圧振動方式、電気熱変換方式、又は静電吸引方式等により、液滴を吐出する装置が好ましい。蒸気供給装置52の詳細については後述する。
【0018】
次に、図3乃至図6を参照しながら有機EL素子27の製造工程について説明する。本実施形態では、正孔注入輸送層及び発光層を液滴吐出法で形成し、正孔阻止層及び電子輸送層を蒸着法で形成する場合を例示する。蒸着法は、蒸発させた膜材料の粒子を基板表面に堆積させることにより成膜する方法であり、その原理は公知であるため詳細な説明を省略する。なお、本実施例では、画素領域から光を取り出す方式として、ボトムエミッションを例示するが、トップエミッションにも適用可能である。
【0019】
図3に示すように、基板10には、回路素子層30が形成されている。基板10の材質として、適度な機械的強度と光透過性を有する材質が好ましく、例えば、ガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子樹脂を用いることができる。回路素子層30には、上述の各種回路素子(走査線12、信号線13、電源線14、スイッチングトランジスタ21、保持容量22、及び駆動トランジスタ23)が埋め込み形成されている。回路素子層30の材質として、光透過性を有する絶縁膜が好ましく、例えば、シリコン酸化膜が好適である。走査線12と信号線13とが交差する箇所には、画素領域40が形成されている。画素領域40は、有機EL素子27が形成される領域であり、基板10側に向けて断面凹状に陥没している。同図に示す例では、有機EL素子27の陽極24が画素領域40に対応して回路素子層30に形成された状態が示されている。陽極24の材質として、正孔注入効果の高い材料が好ましく、例えば、インジウム錫酸化物等の金属酸化物を用いることができる。回路素子層30には、画素領域40を区画するための隔壁32が形成されている。隔壁32の材質として、適度な耐熱性及び耐溶剤性を有する絶縁膜が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料、ポリシラザン、ポリシロキサン等を含有した有機・無機ハイブリッド材料等が好適である。隔壁32の形成方法としては、リソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、回路素子層30上に隔壁32の構成材料からなる層を形成した後、エッチングやアッシング等によりパターニングすればよい。
【0020】
なお、画素領域40の内側に酸素プラズマ処理を施して親液性にし、隔壁32の表面にフッ素プラズマ処理を施して撥液性にするのが好ましい。親液性とは、液滴との接触角が相対的に小さい性質を意味し、撥液性とは、液滴との接触角が相対的に大きい性質を意味する。
【0021】
図4に示すように、液滴吐出装置51から正孔注入輸送層の構成材料を高沸点溶媒で分散又は溶解させた液滴26aを画素領域40に塗布する。正孔注入輸送層の構成材料としては、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、ポリスチレンスルフォン酸、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸との混合物(PEDOT/PSS)等を用いることができる。また、高沸点溶媒としては、150℃〜300℃の沸点を有する溶媒が好適に用いられ、例えば、トリメチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等が好適である。
【0022】
なお、正孔注入輸送層用の高沸点溶媒としては、正孔注入輸送層の構成材料にダメージを与えることなく安定した液滴吐出が可能になる条件を満たす溶媒であることが好ましい。例えば、液滴26aの表面張力は、0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。表面張力が0.02N/m未満であると、液滴吐出装置51のノズル面に対する濡れ性が増大するため、飛行曲りが生じやすくなる。一方、表面張力が0.07N/mを超えると、液滴吐出装置51のノズル先端でのメニスカスの形状が不安定になり、液滴26aの吐出量や吐出タイミングの制御が困難になる。液滴26aの粘度は、1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。1mPa・sより小さい場合には、液滴吐出装置51のノズル周辺部が液滴26aの流出により汚染されやすくなり、一方、粘度が50mPa・sより大きい場合は、液滴吐出装置51のノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴26aの吐出が困難となる。液滴26aが充填不良を起こすことなく、画素領域40へ塗布されたならば、これを減圧乾燥させて不活性雰囲気内で焼成し、正孔注入輸送層を得る。
【0023】
次に、図5に示すように、液滴吐出装置51から発光層の構成材料を高沸点溶媒で分散又は溶解させた液滴26bを画素領域40に塗布する。発光層の構成材料として、公知のホスト・ゲスト系燐酸材料を用いることができる。例えば、ホスト材料として、CBP,BALq,mCP,CDBP,DCB,P06,SimCP,UGH3を用い、蛍光材料として、ADS109GE,ADS111RE,ADS136BE(アメリカンダイソース社)を用い、燐光材料として、Ir(ppy)3,ppy2Ir(acac),bt2Ir(acac),btp2Ir(acac),FIrpic,Ir(pmb)3,FIrN4,Firtaz(F2MeOppy)2Ir(acac)を用いることができる。
【0024】
なお、発光層用の高沸点溶媒としては、発光層の構成材料にダメージを与えることなく安定した液滴吐出が可能になる条件を満たす溶媒であることが好ましい。液滴26bの表面張力及び粘度の好適な範囲は、液滴26aの表面張力及び粘度の好適な範囲と同じである。
【0025】
ここで、仮に液滴26bが充填不良を起こすことなく、画素領域40へ塗布されたならば、これを減圧乾燥させて不活性雰囲気内で焼成し、発光層を得る。一方、図5に示すように、被塗布面への液滴26bの付着が部分的に不足し、充填不良を起こした場合には、図6に示すように、蒸気供給装置52を用いて、不良画素(充填不良が生じた画素領域)に対して選択的に低沸点溶媒の蒸気を曝す。ここで、低沸点溶媒は、有機EL素子27の構成材料を液滴吐出法で吐出するために用いられる高沸点溶媒の沸点よりも低い沸点を有し、有機物質を分散又は溶解させることのできる溶媒であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、60℃〜150℃の温度範囲の沸点を有する溶媒が好適である。低沸点溶媒は、短時間で蒸気化するため、液膜に蒸気を曝すまでの時間を短縮できる。低沸点溶媒として、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、ヘキサン等を用いることができる。液膜を低沸点溶媒の蒸気に曝す時間は、一回あたり、10秒〜30分程度が好ましく、1分〜3分程度が特に好ましい。
【0026】
低沸点溶媒の蒸気を不良画素に曝すことによって、液滴26bの部分的又は局所的な濡れ不足を解消し、液滴26bを平坦化できるメカニズムの詳細については明らかではないが、本発明者の知見によると、(1)液滴26bが低沸点溶媒の蒸気に曝されることによって、蒸気分子の吸着により液滴26bの表面が次第に柔らかくなり、液滴表面の凹凸が平坦化される作用が働くものと考えられる場合、(2)低沸点溶媒の蒸気に曝されることによって、液滴26bの表面張力が小さくなり、液滴26bの局所的な流動により濡れ不足が解消すると考えられる場合、(3)液滴26bの濡れ不足の箇所に低沸点溶媒の蒸気が付着すると、濡れ性が向上し、液滴26bが平坦化すると考えられる場合の何れかが複合的に作用するものと考えられる。
【0027】
なお、本発明者の実験によると、不良画素を密閉した上で飽和蒸気に曝すと、充填不良を解消する上で特に効果的であった。不良画素を飽和蒸気圧下に閉じ込めることによって、蒸気分子の液滴表面への吸着を促進し、蒸気と液滴26bとの間の相互作用を最大限に強めることができるものと考えられる。また、液滴26bを低沸点溶媒の蒸気に曝したとしても、液滴26bに吸収される低沸点溶媒の量は極微量であるため、液滴26bの組成を殆ど変化させずに、且つ、画素領域40から溢れ出させることなく、濡れ性を制御できる利点を有する。
【0028】
蒸気供給装置52は、不良画素を選択的に密閉するための密閉構造と、密閉空間から蒸気を排気して不活性雰囲気に置換し、その後、新鮮な蒸気を密閉空間に導入するための換気構造とを備えているものが好ましい。本発明者の実験によれば、低沸点溶媒の蒸気を長時間にわたって液滴26bに曝すよりも、低沸点溶媒の蒸気を複数回入れ換えて曝す方が濡れ不足解消に効果的であった。その理由として、不良画素を密閉する空間内の低沸点溶媒の蒸気圧を変動又は脈動させることにより、低沸点溶媒の蒸気と液滴26bとの間の相互作用を強めることができるものと考えられる。
【0029】
また、発光層の構成材料を高沸点溶媒に分散又は溶解させた液滴26bを複数の画素領域40のそれぞれに塗布した後、液滴26bの付着が均一でない画素領域40を選択的に低沸点溶媒の蒸気に曝すのが好ましい。この場合、液滴26bの付着が均一でない画素領域40のみを選択的に密閉して低沸点溶媒の蒸気に曝してもよいが、液滴26bの付着が均一でない画素領域40の周囲にある他の一つ以上の画素領域40をまとめて密閉し、低沸点溶媒の蒸気に曝してもよい。
【0030】
低沸点溶媒の蒸気に曝すことで液滴26bの充填不良が解消したならば、液滴26bを不活性雰囲気中で焼成することで、発光層を得る。続いて、正孔阻止層及び電子輸送層を蒸着法で成膜し、各画素領域40に有機EL素子27を形成する。
【0031】
次に、本実施形態に係わる電子機器の具体例について説明する。
図7(A)に示すように、携帯電話530は、アンテナ部531、音声出力部532、音声入力部533、操作部534、及び表示部500を備える。
図7(B)に示すように、ビデオカメラ540は、受像部541、操作部542、音声入力部543、及び表示部500を備える。
図7(C)に示すように、テレビジョン550は、表示部500を備える。
図7(D)に示すように、ロールアップ式テレビジョン560は、表示部500を備える。
図7(A)乃至図7(D)に示す表示部500は、有機EL装置11によって構成されている。
【0032】
なお、本実施形態に係わる電子機器としては、上述の他、例えば、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイ等がある。
【0033】
上述の実施例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、電気光学装置として、有機EL装置11を例示したが、カラーフィルタを有する液晶装置等にも応用可能である。ここで、電気光学装置とは、電気的作用により光の光学的状態を変化させる電気光学素子を備える電子装置を意味する。また、本発明は、カラーフィルタの製造、有機TFTの形成、金属配線のパターニング等にも応用可能である。
【符号の説明】
【0034】
11…有機EL装置 12…走査線 13…信号線 14…電源線 15…信号線駆動回路 16…走査線駆動回路 21…スイッチングトランジスタ 22…保持容量 23…駆動トランジスタ 24…陽極 25…陰極 26…機能層 26a…液滴 26b…液滴 27…有機EL素子 30…回路素子層 32…隔壁 40…画素領域 50…有機EL素子の製造装置 51…液滴吐出装置 52…蒸気供給装置 53…制御装置 500…表示部 530…携帯電話 531…アンテナ部 532…音声出力部 533…音声入力部 534…操作部 540…ビデオカメラ 541…受像部 542…操作部 543…音声入力部 550…テレビジョン 560…ロールアップ式テレビジョン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学素子の構成材料を第1の溶媒で分散又は溶解させた液滴を画素領域に塗布する塗布工程と、
前記画素領域に塗布された液滴を前記第1の溶媒よりも沸点の低い第2の溶媒の蒸気に曝す蒸気供給工程と、
を備える電気光学素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学素子の製造方法であって、
前記蒸気供給工程を複数回繰り返す、電気光学素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電気光学素子の製造方法であって、
前記蒸気供給工程は、前記第2の溶媒の蒸気圧を脈動させる工程を更に含む、電気光学素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の電気光学素子の製造方法であって、
前記第2の溶媒の蒸気圧は飽和蒸気圧である、電気光学素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の電気光学素子の製造方法であって、
前記塗布工程は、複数の画素領域のそれぞれに前記液滴を塗布する工程を含み、
前記蒸気供給工程は、前記複数の画素領域のうち前記液滴の付着が均一でない画素領域を選択的に前記第2の溶媒の蒸気に曝す工程を含む、電気光学素子の製造方法。
【請求項6】
電気光学素子の構成材料を第1の溶媒で分散又は溶解させた液滴を画素領域に塗布する液滴吐出装置と、
前記画素領域に塗布された液滴を前記第1の溶媒よりも沸点の低い第2の溶媒の蒸気に曝す蒸気供給装置と、
を備える電気光学素子の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248297(P2012−248297A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116640(P2011−116640)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】