説明

電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器

【課題】均一な機能膜を備えた電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器を提
供すること。
【解決手段】隣接する隔壁内領域36cについては、一の隔壁内領域36cの端部が、他
の隔壁内領域36cの端部に対して長手方向にずれた位置に設けられているので、隣接す
る隔壁内領域36cにおいて、端部同士が短手方向に隣接するのを回避することができる
。したがって、隣接する隔壁内領域36cの短手方向の距離をより小さくすることができ
る。これにより、基体上に隔壁内領域36cを高密度化させることができる。あるいは、
一定の画素数を有する電気光学装置においては、隔壁内領域36cの占める基体上のスペ
ースを縮小することができるので、有機EL装置を小型化することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置のうち、例えば有機エレクトロルミネセンス装置(以下、「有機EL装置
」という。)の発光層や、液晶装置のカラーフィルタ層等の機能膜を形成する際に、液滴
吐出法と呼ばれる方法が用いられている。液滴吐出法は、複数種類の液体を混合した溶媒
に機能膜を形成する機能材料を溶解させてなるインクを基板上の画素領域に塗布し、この
インクの溶媒を蒸発させインクを乾燥することで機能膜を形成する手法である。液滴吐出
法を行う際には、各画素領域の周囲に隔壁を設けるようにしている。この隔壁によって、
一の画素領域に塗布された液状組成物が他の位置に塗布された液状組成物と混ざり合うの
を回避することができ、高精細なパターニングが可能となる。
【0003】
この液滴吐出法で液状組成物を乾燥させる場合において、塗布された液状組成物の溶媒
の蒸発は極めて速い。とりわけ、基板の外周付近に塗布された液状組成物は、基板の中央
部に塗布された液状組成物よりも溶媒分子分圧が低く、最も速く蒸発する。このため、基
板の外周付近に塗布された液状組成物と基板の中央部に塗布された液状組成物とでは、そ
の乾燥時間に差が生じる。液状組成物の乾燥時間の差があると、画素領域内あるいは異な
る画素毎に膜厚ムラが生じ、輝度ムラ等や表示ムラの原因となってしまう。
【0004】
これに対して、基板上の外周に表示に関与しないダミーの塗布領域を設けることで塗布
領域を広げた有機EL素子に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)
。この技術によれば、基板の表示領域における溶媒分子分圧を均一にすることができ、表
示に関与する発光層の膜厚ムラを防止することができる。
【特許文献1】特開2002−222695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液状組成物の乾燥状態は、各隔壁の表面状態によっても影響を受けてし
まう。したがって、上記のようにダミーの塗布領域を設けても、各隔壁の表面状態が均一
にならない場合、均一な膜を形成することは困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、均一な機能膜を備えた電気光学装置
、電気光学装置の製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る発光装置は、複数の画素領域を有する基板と、
前記複数の画素領域を囲むように前記基板上に設けられた隔壁と、前記基板上のうち前記
隔壁で囲まれた隔壁内領域の前記各画素領域上に設けられた複数の機能膜とを具備し、前
記隔壁内領域が、長手方向と当該長手方向に交差する短手方向とを有しており、前記基板
上には、前記隔壁内領域が少なくとも前記短手方向に複数設けられており、前記各隔壁内
領域のうち、前記長手方向の端部には、前記長手方向の中央部よりも前記短手方向の寸法
が大きい拡幅部が設けられており、隣接する前記隔壁内領域は、一の隔壁内領域の前記拡
幅部が、他の隔壁内領域の前記拡幅部に対して前記長手方向にずれた位置に設けられてい
ることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、複数の画素領域を囲むように基板上に設けられた隔壁と、基板上のう
ち隔壁で囲まれた隔壁内領域に設けられ、各画素領域上に設けられた複数の機能膜とを有
しており、複数の機能膜が一つの隔壁内領域に設けられているので、これらの機能膜を液
滴吐出法によって形成する場合、吐出された液状組成物の乾燥時間が隔壁の表面状態によ
って機能膜毎に異なることは無い。しかも、本発明では、隔壁内領域が少なくとも短手方
向に複数設けられているので、各隔壁内領域に塗布された液状組成物から蒸発する溶媒が
複数の隔壁内領域全体を覆うことになる。これにより、個々の隔壁内領域から蒸発する溶
媒の蒸発速度を均一にすることもできる。
【0009】
また、本発明によれば、隔壁内領域が、長手方向と当該長手方向に交差する短手方向と
を有しており、各隔壁内領域のうち、長手方向の端部では、長手方向の中央部よりも、短
手方向の寸法が大きい拡幅部が設けられているので、例えば液滴吐出法によって機能膜を
形成する場合に、長手方向の中央部よりも拡幅部の方が単位面積当たり液状組成物が多く
供給されることになる。したがって、吐出された液状組成物の乾燥速度が短手方向より長
手方向の方が速くても、機能膜が形成されている部分においては乾燥速度をほぼ同程度に
することができる。これにより、機能膜の膜厚は、隔壁内領域の長手方向の拡幅部では厚
くなっていても、長手方向の中央部ではほぼ均一になる。
【0010】
ここで、本発明では、基板上には隔壁内領域が少なくとも短手方向に複数設けられてお
り、各隔壁内領域には短手方向の寸法が大きくなっている拡幅部が形成されている。電気
光学装置は画質の向上が求められており、また、画素数を維持したまま小型化することも
求められている。画質を向上させるためには、より多くの隔壁内領域を基板上に設ける必
要がある。また、画素数を維持したまま小型化するためには、一定の隔壁内領域をできる
だけ小さな基板に設ける必要がある。しかし、拡幅部が中央部よりも広くなっている分、
そのスペースが隔壁内領域の高密度化を妨げるおそれがある。
【0011】
これに対して、本発明では、隣接する隔壁内領域については、一の隔壁内領域の拡幅部
が、他の隔壁内領域の拡幅部に対して長手方向にずれた位置に設けられているので、隣接
する隔壁内領域において、拡幅部の位置が短手方向に干渉するのを回避することができる
。したがって、隣接する隔壁内領域の短手方向の距離をより小さくすることができる。こ
れにより、基板上に隔壁内領域を高密度化させることができる。あるいは、一定の画素数
を有する電気光学装置においては、隔壁内領域の占める基板上のスペースを縮小すること
ができるので、電気光学装置を小型化することが可能となる。
【0012】
また、前記複数の隔壁内領域のうちの第1の隔壁内領域に対して、前記第1の隔壁内領
域に前記短手方向に隣接する第2の隔壁内領域が、前記長手方向のうち一方向にずれるよ
うに配置されており、前記第2の隔壁内領域に対して、前記第2の隔壁内領域に前記短手
方向に隣接する第3の隔壁内領域が、前記一方向にずれるように配置されていることが好
ましい。
本発明によれば、第1の隔壁内領域に対して、第2の隔壁内領域が長手方向のうち一方
向にずれるように配置されており、さらにこの第2の隔壁内領域に対して第3の隔壁内領
域が当該一方向にずれるように配置されているので、短手方向に隣接する隔壁内領域が長
手方向に広がるように配置されることになる。このため、隔壁内領域に吐出された液滴組
成物が基板の広い範囲で蒸発するため、各隔壁内領域における蒸発環境を均一にすること
ができる。
【0013】
また、隣接する前記一の隔壁内領域の前記拡幅部が、前記他の隔壁内領域の前記拡幅部
の長手方向の長さだけずれるように配置されていることが好ましい。
本発明によれば、隣接する隔壁内領域のずれを、当該隔壁内領域に設けられる拡幅部の
長さにすることにより、隣接する隔壁内領域のずれを最小限にしながら拡幅部同士の位置
が干渉しないようにすることができる。

また、前記基板上の複数の画素領域には、異なる色の光を射出する機能膜が設けられて
おり、前記隔壁内領域ごとに、単一の色を射出する複数の機能膜が設けられていることが
好ましい。
本発明によれば、基板上の複数の画素領域に、異なる色の光を射出する機能膜が設けら
れており、各隔壁内領域に、単一の色を射出する機能膜が設けられているので、複数の色
の光を射出する機能膜について、画素領域内あるいは異なる画素毎に膜厚ムラが生じるの
を回避することができる。これにより、輝度ムラや色ムラ等の表示不良の無い電気光学装
置を得ることができる。
【0014】
また、前記基板上の複数の画素領域には、赤色、緑色及び青色の光を射出する機能膜が
設けられていることが好ましい。
赤色、緑色、青色の3色によりカラー表示を行う電気光学装置は、極めて広く用いられ
ている。本発明によれば、基板上の複数の画素領域には、赤色、緑色及び青色の光を射出
する機能膜が設けられているので、かかる3色の光を射出する機能膜について、画素領域
内あるいは異なる画素毎に膜厚ムラが生じるのを回避することができる。これにより、輝
度ムラや色ムラ等の表示不良の無い電気光学装置を得ることができる。
【0015】
また、前記赤色の光を射出する機能膜が設けられた隔壁内領域に対して、前記緑色の光
を射出する機能膜が設けられた隔壁内領域が前記端部の長手方向の長さだけずれるように
配置されており、前記緑色の光を射出する機能膜が設けられた隔壁内領域に対して、前記
青色の光を射出する機能膜が設けられた隔壁内領域が前記端部の長手方向の長さだけ更に
ずれるように配置されていることが好ましい。
本発明によれば、同一色の機能膜が設けられた隔壁内領域を、それぞれ基板上の長手方
向の同じ位置に配置することによって、例えば液滴吐出法で機能膜を形成する場合に、乾
燥工程における乾燥の環境が、赤色、緑色、青色のそれぞれ色においてほぼ同一の環境に
することができる
また、前記隔壁内領域のうち、前記拡幅部に挟まれた領域にのみ前記画素領域が設けら
れていることが好ましい。
本発明では、拡幅部に挟まれた領域、すなわち、膜厚が均一な中央部にのみ画素領域が
設けられているため、輝度ムラや色ムラ等の表示不良を一層確実に回避することができる

【0016】
また、前記複数の隔壁内領域のうち一の隔壁内領域の前記拡幅部が、他の隔壁内領域に
配置された機能膜よりも前記基板の前記長手方向外側の領域に設けられていることが好ま
しい。
上述したように、本発明では複数の隔壁内領域が短手方向に設けられているため、液滴
吐出法により吐出された液状組成物を蒸発させる際には短手方向に隣接する隔壁内領域の
蒸発の影響を受けやすい。本発明によれば、複数の隔壁内領域のうち一の隔壁内領域の拡
幅部が、他の隔壁内領域に配置された機能膜よりも基板の長手方向外側の領域に設けられ
ているので、機能膜が配置される領域での蒸発の環境を均一にすることができる。機能膜
の膜厚を確実に均一にすることができる。
【0017】
また、前記機能膜が、有機エレクトロルミネセンス膜であることが好ましい。
本発明では、有機EL装置を構成する有機EL膜の膜厚について、画素領域内あるいは
異なる画素毎に膜厚ムラが生じるのを回避することができる。これにより、輝度ムラや色
ムラ等の表示不良の無い電気光学装置(有機EL装置)を得ることができる。ここで、有
機EL膜については、有機EL装置を構成する要素のうち有機EL材料によって形成され
た発光膜(発光層)等が挙げられる。
【0018】
本発明に係る電気光学装置の製造方法は、基板上に機能膜が複数設けられた電気光学装
置の製造方法であって、長手方向と当該長手方向に交差する短手方向とを有する領域が、
前記基板上の前記短手方向に複数設けられ、各領域のうち、前記長手方向の端部が前記長
手方向の中央部よりも前記短手方向の寸法が大きい拡幅部となり、隣接する前記領域は、
一の領域の前記拡幅部が、他の領域の前記拡幅部に対して前記長手方向にずれた位置に設
けられるように、隔壁を基板上に形成する隔壁形成工程と、前記機能膜を構成する機能材
料を溶媒に溶解又は分散させた液状組成物を、前記隔壁によって区画された前記領域に配
置する液状組成物配置工程と、前記領域に配置された前記液状組成物に含まれる前記溶媒
を蒸発させる溶媒蒸発工程とを具備することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、長手方向と当該長手方向に交差する短手方向とを有する領域が、基板
上の短手方向に複数設けられ、各領域のうち、長手方向の端部では、長手方向の中央部よ
りも短手方向の寸法が大きい拡幅部となるように隔壁を形成することによって、液状組成
物配置工程において液状組成物を配置したときに、当該領域の長手方向の中央部よりも拡
幅部の方が単位面積当たり液状組成物は多く供給されることになる。これにより、溶媒蒸
発工程において液状組成物の乾燥速度が短手方向よりも長手方向の方が速くても、機能膜
が形成されている部分においては乾燥速度をほぼ同程度にすることができる。この結果、
機能膜が囲まれている領域における長手方向の端部では発光層の膜厚が厚くなっていても
、機能膜が形成されている中央部においてはほぼ均一にすることができる。
【0020】
また、隣接する領域においては、一の領域の拡幅部が、他の領域の拡幅部に対して長手
方向にずれた位置に設けられるように隔壁を形成することによって、隣接する領域の短手
方向の距離をより小さくすることができる。これにより、基板上に当該領域を高密度化さ
せることができる。あるいは、一定の画素数を有する電気光学装置においては、当該領域
の占める基板上のスペースを縮小することができるので、電気光学装置を小型化すること
が可能となる。
【0021】
本発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、機能膜の膜厚が均一であり、輝度ムラや色ムラ等の表示不良の無い電
気光学装置を搭載したので、表示性能の高い電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(有機EL装置)
図1は、有機EL装置1の全体構成を概略的に示す斜視図である。以下の図では、各部
材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。
【0023】
有機EL装置1は、基板2に配線や絶縁層等が形成された基体10と、この基体10上
に形成された有機EL素子部3と、基体10の端部2aに取り付けられた駆動部4と、有
機EL素子部3及び基体10を覆う封止部材5とを有しており、駆動部4から供給される
電気信号に応じて有機EL素子部3が発光することで、画像や動画等を表示できるように
なっている。本実施形態では、薄膜トランジスタ(Thin film Transistor:TFT)が形
成されたアクティブマトリクス型であり、有機EL素子部3により発生した光が基体10
を透過して取り出されるボトムエミッション型である有機EL装置1を例に挙げて説明す
る。
【0024】
図2は、有機EL装置1の平面図である。この図では、有機EL素子部3及び封止部材
5を省略している。
同図に示すように、基体10は、画素部7(一点鎖線内の領域)と周縁部8(当該一点
鎖線の外の領域)とに区画されており、画素部7内では、実表示領域P(二点鎖線内の領
域)とダミー領域Q(一点鎖線と二点鎖線との間の領域)とに更に区画されている。画素
部7の実表示領域Pには、当該発光領域14からの光が通過する画素領域Kがマトリクス
状に設けられている。画素領域Kの間の領域には、図中X方向に延在する走査線15aと
、図中Y方向に延在するデータ線17aとが形成されている。
【0025】
図3は、有機EL装置1のA−A断面を概略的に示す図である。図4は、有機EL装置
1のB−B断面を概略的に示す図である。
図3及び図4に示すように、基体10の構成要素である基板2は、例えば、ガラス、石
英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等からなる透明基板である。本実施形
態に係る有機EL装置1はボトムエミッション型のものであり、光を取り出すには基板2
を透明にする必要がある。基板2の表面2bには、下地として例えばSiO等の透明な
下地保護層11が形成されている。
【0026】
画素部7の実表示領域Pでは、下地保護層11上に、シリコン膜12、第1絶縁層(ゲ
ート絶縁層)13、ゲート電極15、第2絶縁層16、ソース電極17、ドレイン電極1
8、第3絶縁層19が形成されている。また、画素部7のダミー領域Qでは、下地保護層
11上に、走査駆動回路20、データ駆動回路21等が形成されており、駆動部4に接続
されるように電源線(図示せず)が形成されている。
【0027】
シリコン膜12は、チャネル領域、ソース領域及びドレイン領域を有する駆動用トラン
ジスタである。シリコン膜12のうち、ゲート絶縁層13を挟んでゲート電極15と重な
る領域がチャネル領域12aである。チャネル領域12aのソース側には、低濃度ソース
領域12b及び高濃度ソース領域12sが形成され、チャネル領域12aのドレイン側に
は、低濃度ドレイン領域12c及び高濃度ドレイン領域12dが形成されている。このよ
うにシリコン膜12は、LDD(Lightly Doped Drain)構造になっている。
【0028】
高濃度ソース領域12s及び高濃度ドレイン領域12dには、ゲート絶縁層13と第2
絶縁層16とを連通して開孔されたコンタクトホール23、24が形成されている。一方
、高濃度ドレイン領域12d側には、ドレイン電極18に接続されるように、第3絶縁層
19を貫通してコンタクトホール25が形成されている。
ゲート絶縁層13は、例えばSiOやSiN等で形成された透明な層であり、シリコ
ン膜12とゲート電極15とを絶縁している。
【0029】
ゲート電極15は、例えばアルミニウムや銅等により形成されており、走査線15aに
接続されている。ソース電極17は、ゲート電極15と同様にアルミニウムや銅等により
形成されており、データ線17aに接続されている。ソース電極17は、コンタクトホー
ル23を介して高濃度ソース領域12sに接続されている。また、ドレイン電極18は、
高濃度ドレイン領域12dに接続されている。
【0030】
第2絶縁層16は、主にSiOからなる透明な層であり、ゲート電極15、ソース電
極17及びドレイン電極18をそれぞれ絶縁している。
第3絶縁層19は、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とし、ソース電極17とドレイ
ン電極18及びコンタクトホール25とを絶縁している。なお、アクリル系の絶縁膜以外
の材料、例えば、SiN、SiOなどを用いることもできる。
また、ダミー領域Qに設けられる走査駆動回路20は、シフトレジスタ等のメモリや信
号レベルを変換するレベルシフタ等の回路を有しており、走査線15aに接続されている

【0031】
データ駆動回路21は、このシフトレジスタ、レベルシフタの他、ビデオラインやアナ
ログシフタ等の回路を有しており、データ線17aに接続されている。走査駆動回路20
及びデータ駆動回路21は、駆動制御信号線28a、28bを介して駆動部4に接続され
ており、当該駆動部4の制御により走査線15a及びデータ線17aに電気信号を出力す
るようになっている。走査駆動回路20及びデータ駆動回路21は、駆動電源線29a、
29bを介して電源に接続されている。
周縁部8には、有機EL素子部3に接続する接続用配線27が形成されている。この接
続用配線27は駆動部4に接続されており、当該接続用配線27を介して駆動部4からの
電気信号を有機EL素子部3に供給することができるようになっている。
【0032】
一方、有機EL素子部3は、陽極31と、正孔注入層32と、発光層33と、共通電極
(陰極)34と、隔壁36とを有している。これらは上述した基体10上に積層されてい
る。
【0033】
陽極31は、正孔注入層32に正孔を注入する透明な電極であり、例えばITO(Indi
um Tin Oxide)等から形成されている。当該陽極31は、第3絶縁膜19上に形成されて
おり、コンタクトホール25を介してドレイン電極18に接続されている。正孔注入層3
2は、例えば、ポリオレフィン誘導体である3、4−ポリエチレンジオキシチオフェン/
ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)等の材料により形成されている。
【0034】
発光層33は、正孔注入層32からの正孔と陰極34からの電子とが結合して光を発す
る層である。この発光層33には、例えば分子量が1000以上の高分子材料が用いるこ
とが好ましい。具体的には、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニル
カルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、
クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニル
アントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等
をドープしたものが用いられる。
【0035】
発光層33には、赤色光を発する層(33R)、緑色光を発する層(33G)、青色光
を発する層(33B)の3種類がある(図5参照)。このような発光層33からの光が正
孔注入層32、陽極31及び基体10を透過することで、基板2の実表示領域Pに画像や
動画等が表示されるようになっている。
【0036】
陰極34は、駆動部4からの電気信号に応じて発光層33に電子を注入する層であり、
例えばカルシウムやアルミニウム等の金属により形成されている。陰極34は、実表示領
域Pおよびダミー領域Qの総面積より広い面積を備え、それぞれの領域を覆うように形成
されたもので、有機EL素子部3の外側を覆った状態で基体10上に形成されている。こ
の陰極34は、接続用配線27に接続されており、当該接続用配線27を介して駆動部4
に接続されている。製造時の陰極34の腐食防止のため、陰極34の上層部に例えばアル
ミニウム等の保護層を形成してもよい。
【0037】
隔壁36は、図3及び図4に示すように、陽極31上に形成されており、親液性を有す
る親液性隔壁36aと、当該親液性隔壁36a上に形成され撥液性を有する撥液性隔壁3
6bとから構成されている。親液性隔壁36aを構成する材料としては、親液性を備えた
材料、例えば、酸化珪素(SiO2)を用いることが好ましい。なお、親液性を備えてい
ない材料であっても、通常用いられる公知の親液化処理を施すことで表面を親液化するこ
とができるものであれば、親液性隔壁36aの材料として用いても構わない。
【0038】
一方、撥液性隔壁36bを構成する材料は、撥液性を備えた材料、例えば、フッ素系樹
脂で構成された材料を用いることが好ましい。なお、撥液性を備えていない材料であって
も、例えばアクリル樹脂やポリイミド樹脂等の有機樹脂をパターン形成し、CF4プラズ
マ処理等により表面を撥液化したものを用いても構わない。
【0039】
図5は、有機EL装置1の隔壁36の構成を示す平面図である。
同図に示すように、親液性隔壁36bは、複数の画素領域Kを囲んでおり(隔壁内領域
36c)、図中Y方向に長手方向を有しX方向に短手方向を有する形状である。隔壁内領
域36cには、長手方向のほぼ中央部であり画素領域Kが配置された画素形成領域39a
と、長手方向の端部であり短手方向の幅L2が画素形成領域39aの短手方向の幅L1よ
りも広くなっている液溜部39bとが設けられている。
【0040】
また、隔壁内領域36cは図中X方向(隔壁内領域36cの短手方向)に複数形成され
ており、隣接する隔壁内領域36cについては、図中右下部分に破線部で示すように、一
の隔壁内領域36cの端部(液溜部39b)が、他の隔壁内領域36cの端部(液溜部3
9b)に対して長手方向(図中Y方向)にずれた位置に設けられている。具体的には、X
方向に隣接する隔壁内領域36cが、ほぼ液溜部39bの長手方向の長さだけずれるよう
に配置されており、これが図中X方向に繰り返すように、千鳥状に形成されている。また
、この千鳥状の隔壁内領域36cの配置は、短手方向にも複数形成されている(一部図示
省略)。
【0041】
撥液性隔壁36bによって囲まれた隔壁内領域36c内のうち、画素形成領域39aに
は、隔壁内領域36cの長手方向に沿うように、開口領域37が形成されている。この開
口領域37は、親液性隔壁36aによって囲まれた矩形の開口部であり、当該開口領域3
7が画素領域Kに相当する。画素領域Kには、赤色、緑色、青色の光を発光する発光層3
3が設けられる。画素領域Kは、図5中X方向に隣接する隔壁内領域36cのうち、画素
形成領域39aが図5中Y方向に重なった部分に設けられている。
【0042】
なお、図5においては、1つの隔壁内領域36cに、画素領域Kが長手方向に3個ずつ
配列された状態で示されているが、実際には隔壁内領域36cの長手方向に数十〜千個程
度配列されている。また、隣接する隔壁内領域36cに設けられる画素領域Kは、長手方
向の位置が揃った状態になっている。
【0043】
また、赤色の光を射出する発光層33が設けられた隔壁内領域36cと、緑色の光を射
出する発光層33が設けられた隔壁内領域36cと、青色の光を射出する発光層33が設
けられた隔壁内領域36cとが順に配列されている。このように、一つの隔壁内領域36
cには、単一の光を発光する発光層33が形成されるようにするのが好ましい。陽極31
のうち開口領域37に平面的に重なる領域が画素電極38である。画素電極38の平面形
状は、開口領域37と同様、矩形である。
【0044】
図3〜図5に示すように、有機EL素子部3は、開口領域37の画素電極38上に正孔
注入層32が形成され、当該正孔注入層32上に発光層33が形成され、当該発光層33
上に陰極34が形成された構成になっている。発光層33は、親液性隔壁36aを覆うよ
うに形成されていると共に、撥液性隔壁36bに囲まれるように形成されている。また、
陰極34は、撥液性隔壁36b及び発光層33上のほぼ全面に形成されている。有機EL
素子部3では、画素電極38と、当該画素電極38と相対して形成した陰極34と、当該
画素電極38と陰極34との間に形成された正孔注入層32及び発光層33とによって個
々の有機EL素子が構成されている。
【0045】
(有機EL装置の製造方法)
次に、このように構成された有機EL装置1を製造する工程を説明する。以下、基体1
0及び有機EL素子部3の画素部7の領域を形成する工程を中心に説明し、周縁部8を形
成する工程の説明は省略する。本実施形態において正孔注入層32及び発光層33を形成
する際には、正孔注入層32の材料及び発光層33の材料を溶媒に溶解させ、所定の場所
に滴下するインクジェット法を行う。
【0046】
まず、基板2にTFT素子や絶縁膜等を形成することにより、基体10を形成する工程
について説明する。
公知の方法により基板2に下地保護層11を形成する。当該下地保護層11の上に、シ
リコン膜12を形成し、レーザーアニールしてポリシリコン化する。ポリシリコン化され
たシリコン膜12をゲート絶縁層13で覆った後、ゲート電極15を形成し、その上に再
びゲート絶縁層13を形成する。また、ソース側のコンタクトホール23をパターニング
して形成する。
【0047】
次に、第2絶縁層16を形成し、コンタクトホール24及びこのコンタクトホール24
に接続するソース電極17をパターニングして形成する。第2絶縁層16上には、ソース
電極17及びドレイン電極18をパターニングして形成する。当該ソース電極17及びド
レイン電極18上には第3絶縁層19を形成し、ドレイン側のコンタクトホール25をパ
ターニングして形成する。
このように、基体10が形成される。
【0048】
次に、有機EL素子部3を形成する工程を説明する。
基体10のほぼ全面を覆うように透明な導電膜を形成し、陽極31が所定の領域に形成
されるようにこの導電膜をパターニングする。同時にダミー領域Qのダミーパターン(図
示せず)も形成する。画素領域Kでコンタクトホール25と陽極31とを接続し、陽極と
ドレイン電極18とを導通させる。
【0049】
次に、隔壁36を形成する(隔壁形成工程)。まず、第3絶縁層19をパターニングし
て親液性隔壁36aを形成する。このとき、画素領域Kに平面的に重なる領域では、開口
領域37が形成されるようにする。その後、形成した親液性隔壁36a上に、当該親液性
隔壁36aの一部が張り出すようにフッ素系樹脂を高さが例えば1〜2μm程度になるよ
うにパターニングして撥液性隔壁36bを形成する。このとき、画素領域Kを囲む隔壁内
領域36cが、図5に示すような長手方向及び短手方向を有すると共に、隔壁内領域36
cの端部に液溜部39bが形成されるように撥液性隔壁36bを形成する。
【0050】
ここで、撥液性隔壁36bの形成材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレ
フィン樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料、ポリシラザン、ポリシロキサン等を含有した
有機・無機ハイブリッド材料等が用いられる。バンクBの形成方法としては、リソグラフ
ィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、リソグラフィ法を使用する
場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等
所定の方法で、撥液性隔壁36bの形成材料からなる層を形成した後、エッチングやアッ
シング等によりパターニングすることにより、所定のパターン形状のバンクが得られる。
【0051】
続いて、開口領域37内に発光層33を液体プロセスとしての液滴吐出法によって形成
する(液状組成物配置工程)。即ち、図6(b)に示す通り、発光層33を構成する組成
物としての発光材料を所定の溶媒に溶解又は分散させて形成された液状組成物50を吐出
ヘッド40のノズルNから吐出させる。このとき、吐出ヘッド40に設けられたガイドレ
ール41に沿って吐出ヘッド40を移動させながら液状組成物50を順次吐出することで
開口領域37内に複数回液状組成物50を吐出する。これにより、開口領域37内全面に
液状組成物50を塗布させる。
【0052】
ここで、液溜部39bの短手方向の幅が画素形成領域39aの短手方向の幅よりも広い
ため、液状組成物50の表面張力により画素形成領域39aよりも液溜部39bに多くの
液状組成物50が供給される。つまり、液状組成物50の表面張力によって液溜部39b
で液状組成物50がより盛り上がった状態になり、これにより画素形成領域39aよりも
液溜部39bの方が単位面積当たりより多くの液状組成物50が供給される。
【0053】
ここで、液状組成物50は、導電性微粒子を溶媒に分散させた分散液や有機銀化合物や
酸化銀ナノ粒子を溶媒に分散させた溶液からなるものである。導電性微粒子としては、例
えば、金、銀、銅、パラジウム、及びニッケルのうちの何れかを含有する金属微粒子の他
、これらの酸化物、並びに有機銀化合物や導電性ポリマーや超電導体の微粒子等を用いる
ことができる。
【0054】
液状組成物50に含まれる溶媒としては、発光層33を得るための溶質を分散できるも
ので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール
やエタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン等の炭化水素系化合物、ま
たエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエー
テル系化合物等が挙げられる。
【0055】
次に、液状組成物50の周囲を減圧し、当該液状組成物50中の溶媒を蒸発させる(図
6(c)参照)。ここで、溶媒の蒸発速度(乾燥速度)は、液状組成物50の中央部より
も液状組成物50の端部の方が速くなるが、画素形成領域39aよりも液溜部39bの方
が単位面積当たりより多くの液状組成物50が供給されているため、画素形成領域39a
においては乾燥速度をほぼ均一になる。
【0056】
その後、隔壁36及び発光層33上に、カルシウム層及びアルミニウム層等を蒸着方法
等により積層して陰極34を形成する。続いて、陰極34の上部に光透過性を有する、例
えば樹脂等で構成された封止部材5を形成する。
このように、有機EL装置1を製造する。
【0057】
図7は、発光層33の厚さのばらつきの一例を示す図である。図7(a)は、隔壁内領
域36cの端部に液溜部39cを形成しない構成における発光層の膜厚のばらつきを示す
図である。また、図7(b)は、隔壁内領域36cの端部に液溜部39bを形成した構成
(本実施形態の構成)における発光層33の膜厚のばらつきを示す図である。
【0058】
なお、上述したように、画素領域Kは、実際には隔壁内領域36cの長手方向(例えば
、図5のY方向)に数十〜千個程度配列されている。当該長手方向に沿って画素領域Kの
各々に連続番号を付し、長手方向の一端に形成された画素領域Kの素子番号を「1」とし
ている。図6においては、横軸にこの画素番号をとり、縦軸に当該画素番号に対応する画
素領域K上に設けられた発光層33の膜厚を示しており、膜厚の単位は[Å]である。
【0059】
図7(a)に示すように、液溜部39bを形成しない構成では、端部に近づくにつれて
発光層33の膜厚が厚くなっている。これに対して、図7(b)に示すように、液溜部3
9bが形成されている本実施形態の構成では、発光層33の膜厚は、多少のばらつきがあ
るものの、ほぼ均一であるということができる。
【0060】
このように、本実施形態によれば、複数の画素領域Kを囲むように基板上に設けられた
隔壁36と、基体10のうち隔壁36で囲まれた隔壁内領域36cに設けられ、各画素領
域K上に設けられた複数の発光層33とを有しており、複数の発光層33が一つの隔壁内
領域36cに設けられているので、これらの発光層33を液滴吐出法によって形成する場
合、吐出された液状組成物50の乾燥時間が隔壁36の表面状態によって発光層33毎に
異なることは無い。
【0061】
しかも、本実施形態では、隔壁内領域36cが基体10の短手方向に複数設けられてい
るので、各隔壁内領域36cに塗布された液状組成物50から蒸発する溶媒が複数の隔壁
内領域36c全体を覆うことになる。これにより、個々の隔壁内領域36cから蒸発する
溶媒の蒸発速度を均一にすることもできる。
【0062】
また、本実施形態によれば、隔壁内領域36cが、長手方向と当該長手方向に交差する
短手方向とを有しており、各隔壁内領域36cのうち、長手方向の端部では、長手方向の
中央部よりも、短手方向の間隔が広くなっているので、例えば液滴吐出法によって発光層
33を形成する場合に、長手方向の中央部よりも端部の方が単位面積当たり液状組成物5
0が多く供給されることになる。したがって、吐出された液状組成物50の乾燥速度が短
手方向より長手方向の方が速くても、発光層33が形成されている部分においては乾燥速
度をほぼ同程度にすることができる。これにより、発光層33の膜厚は、隔壁内領域36
cの長手方向の端部では厚くなっていても、長手方向の中央部ではほぼ均一になる。
【0063】
また、本実施形態では、隣接する隔壁内領域36cについては、一の隔壁内領域36c
の端部が、他の隔壁内領域36cの端部に対して長手方向にずれた位置に設けられている
ので、隣接する隔壁内領域36cにおいて、端部同士が短手方向に隣接するのを回避する
ことができる。したがって、隣接する隔壁内領域36cの短手方向の距離をより小さくす
ることができる。これにより、基体10上に隔壁内領域36cを高密度化させることがで
きる。あるいは、一定の画素数を有する電気光学装置においては、隔壁内領域36cの占
める基体10上のスペースを縮小することができるので、有機EL装置1を小型化するこ
とが可能となる。
【0064】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器について、携帯電話を例に挙げて説明する。
図8は、携帯電話300の全体構成を示す斜視図である。
携帯電話300は、筺体301、複数の操作ボタンが設けられた操作部302、画像や
動画、文字等を表示する表示部303を有する。表示部303には、本発明に係る有機E
L装置1、101、201が搭載される。
このように、機能膜の膜厚が均一であり、輝度ムラや色ムラ等の表示不良の無い有機E
L装置1が搭載されているので、表示性能の高い表示部を有する電子機器を得ることがで
きる。
【0065】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しな
い範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、隣接する隔壁内領域36cのずれを、短手方向の交
互に、ほぼ液溜部39bの長手方向の幅だけずらすように配置する構成としたが、これに
限られることは無く、例えば、図9に示すように、赤色の光を発光する発光層33が配置
される隔壁内領域36cに対して、緑色の光を発光する発光層33が配置される隔壁内領
域36cを液溜部39bの長手方向の幅だけずれるように配置し、この緑色の光を発光す
る発光層33が配置される隔壁内領域36cに対して、青色の光を発光する発光層33が
配置される隔壁内領域36cを液溜部39bの長手方向の幅だけ同じ方向にずれるように
配置する構成としても良い。このように同一色の発光層33が配置された隔壁内領域36
cを、基体10上の長手方向で同じ位置に配置することによって、乾燥工程における乾燥
の環境が、赤色、緑色、青色の各色毎にほぼ同一の環境にすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、電気光学装置として有機EL装置1を例に挙げ、機能膜として
発光層33を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば電気光学装置と
して液晶装置やプラズマディスプレイ装置を挙げることも可能である。この場合、液晶装
置及びプラズマディスプレイ装置に設けられるカラーフィルタ層が機能膜に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係る有機EL装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る有機EL装置の平面構成を示す図である。
【図3】本実施形態に係る有機EL装置の断面構成を示す図である。
【図4】同、断面構成図である。
【図5】有機EL装置の隔壁の構成を示す平面図である。
【図6】有機EL装置の製造工程を示す図である。
【図7】有機EL装置の発光層の膜厚を比較した図である。
【図8】本発明に係る電子機器(携帯電話)の構成を示す図である。
【図9】本発明に係る有機EL装置の隔壁の別の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…有機EL装置 3…有機EL素子部 31…陽極 32…正孔注入層 33…発光
層 34…陰極 36…隔壁 36a…親液性隔壁 36b…撥液性隔壁 36c…隔壁
内領域 37…開口領域 38…画素電極 39a…画素形成領域 39b…液溜部 3
9c…液溜部 50…液状組成物 300…携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域を有する基板と、
前記複数の画素領域を囲むように前記基板上に設けられた隔壁と、
前記基板上のうち前記隔壁で囲まれた隔壁内領域の前記各画素領域上に設けられた複数
の機能膜と
を具備し、
前記隔壁内領域が、長手方向と当該長手方向に交差する短手方向とを有しており、
前記基板上には、前記隔壁内領域が少なくとも前記短手方向に複数設けられており、
前記各隔壁内領域のうち、前記長手方向の端部には、前記長手方向の中央部よりも前記
短手方向の寸法が大きい拡幅部が設けられており、
隣接する前記隔壁内領域は、一の隔壁内領域の前記拡幅部が、他の隔壁内領域の前記拡
幅部に対して前記長手方向にずれた位置に設けられている
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の隔壁内領域のうちの第1の隔壁内領域に対して、前記第1の隔壁内領域に前
記短手方向に隣接する第2の隔壁内領域が、前記長手方向のうち一方向にずれるように配
置されており、
前記第2の隔壁内領域に対して、前記第2の隔壁内領域に前記短手方向に隣接する第3
の隔壁内領域が、前記一方向にずれるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
隣接する前記一の隔壁内領域の前記拡幅部が、前記他の隔壁内領域の前記拡幅部の長手
方向の長さだけずれるように配置されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記基板上の複数の画素領域には、異なる色の光を射出する機能膜が設けられており、
前記隔壁内領域ごとに、単一の色を射出する複数の機能膜が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記基板上の複数の画素領域には、赤色、緑色及び青色の光を射出する機能膜が含まれ
ていることを特徴とする
ことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記隔壁内領域のうち、前記拡幅部に挟まれた領域にのみ前記画素領域が設けられてい

ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記複数の隔壁内領域のうち一の隔壁内領域の前記拡幅部が、他の隔壁内領域に配置さ
れた機能膜よりも前記基板の前記長手方向外側の領域に設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記機能膜が、有機エレクトロルミネセンス膜であることを特徴とする請求項1乃至請
求項7のうちいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
基板上に機能膜が複数設けられた電気光学装置の製造方法であって、
長手方向と当該長手方向に交差する短手方向とを有する領域が、前記基板上の前記短手
方向に複数設けられ、各領域のうち、前記長手方向の端部が前記長手方向の中央部よりも
前記短手方向の寸法が大きい拡幅部となり、隣接する前記領域は、一の領域の前記拡幅部
が、他の領域の前記拡幅部に対して前記長手方向にずれた位置に設けられるように、隔壁
を基板上に形成する隔壁形成工程と、
前記機能膜を構成する機能材料を溶媒に溶解又は分散させた液状組成物を、前記隔壁に
よって区画された前記領域に配置する液状組成物配置工程と、
前記領域に配置された前記液状組成物に含まれる前記溶媒を蒸発させる溶媒蒸発工程と
を具備することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴
とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−115563(P2007−115563A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306729(P2005−306729)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】