説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置において迷光を低減することで高品位な表示画像を表示させる。
【解決手段】液晶を挟持する一対の透明基板(10、20)を有する反射型の液晶パネル(100)と、液晶パネル(100)の入射光が入射される側と反対側に配置された金属材料からなる放熱板(303)と、放熱板(303)において、少なくとも第1の表面部分(303a)を覆うように設けられた第1の反射防止膜(306)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクター等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、電気光学パネルの一例として液晶パネルを有する。例えば特許文献1では、透過型の液晶パネルを有する電気光学装置において、液晶パネルに光を照射する照明装置からの迷光を遮光する技術が開示されている。例えば、反射型の液晶パネルをライトバルブとして用いた液晶プロジェクターにおいて、光源からの強い光が照射されることで液晶パネルで発生する熱を放熱させるため、金属材料からなる放熱板が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−239693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら反射型の液晶パネルにおいて、入射光が入射される一方のパネル面側と反対側の他方のパネル面にまで、入射光の一部が迷光となって進行して到達し、他方のパネル面から出射されることがある。これにより、他方のパネル面側に配置された放熱板において反射された迷光が、表示光に紛れ込んで表示画像へ写り込んでしまったり、或いは画素電極をスイッチング制御する画素スイッチング用のトランジスタに入射されることで光リーク電流が生じて動作不良を生じさせる等の不具合を引き起こすおそれがある。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、迷光を低減することで高品位な表示画像を表示させることが可能な電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、電気光学物質を挟持する一対の透明基板を有し、入射される入射光を反射して表示を行う反射型の電気光学パネルと、前記電気光学パネルの前記入射光が入射される側と反対側に配置された金属材料からなる放熱部材と、前記放熱部材において、少なくとも前記電気光学パネルが配置される側に位置する第1の表面部分を覆うように設けられた第1の反射防止膜とを備える。
【0007】
本発明の電気光学装置において、反射型の電気光学パネルとして例えば液晶パネルでは、各画素の単位で印加される電圧レベルに応じて例えば電気光学物質である液晶において光を変調する。例えば各画素において画素電極はアルミニウム(Al)等から形成され、入射光を反射させることが可能な反射電極を兼ねる。このような液晶パネルを液晶プロジェクターにおけるライトバルブに用いる場合、光源からの光が入射光として各画素に入射され、液晶において変調されて画素電極によって反射され、電気光学パネルから表示光として出射される。
【0008】
前述のような光源からの強い光により電気光学パネルに発生する熱を放熱させるため、放熱部材が設けられる。放熱部材は、電気光学パネルに対して入射光が入射される側と反対側に配置され、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属材料により形成される。従って、放熱部材において電気光学パネルで発生する熱を効率良く熱伝導させて、放熱させることができる。
【0009】
電気光学パネルにおいて電気光学物質は夫々好ましくは石英ガラスからなる一対の透明基板に挟持される。既に説明したように、各画素で入射された入射光の一部から迷光が発生した場合、電気光学パネルの透明基板を比較的光の透過し易い例えば石英ガラスにより構成すると、シリコン等により形成する場合と比較してより多量の迷光が透明基板を透過して、電気光学パネルから出射され、且つ放熱部材において反射されるおそれがある。
【0010】
本発明の電気光学装置では、第1の反射防止膜が、放熱部材において少なくとも電気光学パネルが配置される側に位置する第1の表面部分を覆うように設けられる。第1の反射防止膜は例えば入射光を吸収することにより、光の反射を低減することが可能な材料により形成される。従って、放熱部材において電気光学パネルが配置される側では第1の反射防止膜により電気光学パネルからの迷光の反射を低減することが可能となる。よって、放熱部材では第1の反射防止膜により電気光学パネルから出射される迷光を低減することができる。
【0011】
従って、放熱部材において反射された迷光が表示光に紛れ込み、表示画像に映り込んだり、或いは各画素で画素電極をスイッチング制御する画素スイッチング用のトランジスタに迷光が照射されることで光リーク電流が生じる等の不具合を回避することが可能となる。その結果、本発明の電気光学装置ではより高品位な表示画像を表示させることができる。
【0012】
本発明に係る電気光学装置の一態様では、前記第1の反射防止膜は、少なくとも前記第1の表面部分上に黒色材料を塗装することにより形成される。
【0013】
この態様によれば、第1の反射防止膜において入射光を吸収し熱エネルギーに変換することで、光の反射を低減することができる。これにより第1の反射防止膜で生じる熱は放熱部材に伝導され放熱される。よって、放熱部材において電気光学パネルが配置される側で、電気光学パネルから出射される迷光の反射を低減することが可能となる。
【0014】
この第1の反射防止膜が黒色材料を塗装することにより形成される態様では、前記黒色材料は、セラミック材料により形成されるように構成してもよい。
【0015】
このように構成すれば、第1の反射防止膜では伝導された熱を輻射により放熱させることが可能となる。電気光学パネルからの熱は、第1の反射防止膜を介して放熱部材に伝導するか、これに加えて若しくは代えて放熱部材を介して第1の反射防止膜に更に伝導する。従って、放熱部材に加えて第1の反射防止膜の輻射熱によって、電気光学パネルから伝導する熱を放熱させることが可能となる。これにより、放熱部材における放熱性を向上させて、電気光学パネルの冷却効率を向上させることができる。
【0016】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネルを保持すると共に前記入射光を入射させるための窓を規定し、金属材料からなる保持部材と、該保持部材において、少なくとも前記窓に対して前記入射光が入射される側に位置する第2の表面部分を覆うように設けられ、前記入射光のうち前記第2の表面部分に向かって進行し入射される光の反射を低減することが可能な第2の反射防止膜とを備える。
【0017】
この態様によれば、保持部材は電気光学パネルに対して放熱部材が設けられる側と反対側に配置され、電気光学パネルは保持部材内に収容される。保持部材に収容された状態で、電気光学パネルに対して入射光は保持部材において規定された窓を介して入射される。保持部材は、放熱部材と同様に金属材料により形成される。従って、放熱部材に加えて保持部材においても、電気光学パネルにおいて発生する熱を効率良く熱伝導させて、放熱させることができる。
【0018】
この態様では、第2の反射防止膜が、保持部材における少なくとも窓に対して入射光が入射される側に位置する第2の表面部分を覆うように設けられる。第2の反射防止膜は、例えば、第1の反射防止膜と同様に、光の反射を低減することが可能な材料により形成される。従って、電気光学パネルに入射される入射光のうち、保持部材において第2の表面部分に向かって進行する迷光が反射されるのを低減することが可能となる。従って、電気光学パネルとして例えば液晶パネルを液晶プロジェクターに用いる場合、保持部材において反射された迷光が表示光に紛れ込んで表示画像に映り込むような事態をより確実に防止することができる。その結果、電気光学装置により、より高品位な表示を行うことが可能となる。
【0019】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
【0020】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、より高品位な表示画像を表示させることが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビューファインダー型又はモニター直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル機能を有するPDA等の携帯情報端末などの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0021】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】液晶装置の主要な構成要素ごとに分解して示す分解斜視図である。
【図2】液晶パネルを収容した状態のフレーム及び放熱板の各々の構成を示す分解斜視図である。
【図3】液晶装置の主要な構成を概略的に示す断面図である。
【図4】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる液晶プロジェクターの図式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電気光学装置及び電子機器の各実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係る電気光学装置の一例としてアクティブマトリクス駆動方式を採用した反射型の液晶装置を挙げる。尚、以下の図では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各図ごとに各層・各部材ごとの縮尺を異ならしめて図示することもある。
【0024】
本実施形態に係る液晶装置の構成について、図1から図3を参照して説明する。
【0025】
図1は、液晶装置の主要な構成要素ごとに分解して示す分解斜視図であり、図2は、液晶パネルを収容した状態のフレーム及び放熱板の各々の構成を示す分解斜視図であり、図3は、液晶装置の主要な構成を概略的に示す断面図である。
【0026】
図1から図3において、本実施形態に係る液晶装置は、液晶パネル100と、液晶パネル100を収容する本発明に係る「保持部材」の一例であるフレーム202と、液晶パネル100に対してフレーム202と反対側に配置された本発明に係る「放熱部材」の一例である放熱板303とを備えている。
【0027】
液晶パネル100は、本発明に係る「電気光学パネル」の一例であり、TFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いたアクティブマトリクス駆動方式の反射型の液晶パネルである。液晶パネル100は、図1に示すように互いに対向配置された素子基板10と対向基板20との間に液晶が封入されている。対向基板20側には、対向電極や配向膜等が形成され、素子基板10側には、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に、例えばアルミニウム(Al)等から形成され、入射光を反射させることが可能な反射電極を兼ねる画素電極がマトリクス状に設けられ、画素電極上には配向膜が形成される。
【0028】
液晶パネル100の駆動時において、画素毎に設けられた画素電極には画像信号が供給され、対向電極との間で一定期間保持される。このようにして印加される電圧レベルにより液晶は、分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。例えば液晶装置を後述するような液晶プロジェクターのライトバルブに用いる場合、光源から照射された光が液晶パネル100に入射光として供給される。液晶パネル100において入射光は液晶に入射されて変調され、出射される。尚、詳細な説明は省略するが、各画素はデータ線や走査線に画像信号等の各種信号が供給されることにより駆動され、画素電極は画素スイッチング用TFTによりスイッチング制御される。
【0029】
液晶パネル100を駆動するための駆動回路は、液晶パネル100内に作り込まれるか或いは実装されて設けられるか、或いは少なくとも部分的に液晶パネル100外の外部回路として設けられることもある。このような外部回路を実装し、液晶装置をこれが組み込まれる電子機器と電気的に接続するために、液晶パネル100にはフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)45が電気的に接続される。
【0030】
フレキシブル基板45は、好ましくは、その一端が、平面的に見て矩形状の素子基板10の2辺の長辺、及び長辺よりも夫々短い2辺の短辺のうち、長辺に接続されると共に、その他端が、長辺側から短辺側に向かう方向に導出される。この場合、図1又は図2に示すようにフレキシブル基板45の形状は平面的に見てL字状に形成される。このように構成した場合、フレキシブル基板45との電気的接続のために素子基板10上に設けられる外部回路接続端子、或いは外部回路接続端子と電気的に接続するためのフレキシブル基板45上の配線や端子の配置間隔(隣り合う配線或いは端子同士の間隔(ピッチ))をより大きくすることができる。その結果、より容易にフレキシブル基板45の一方側を液晶パネル100と電気的に接続させることが可能となる。これに加えて、フレキシブル基板45の他端側を、一端側から素子基板10の長辺側から短辺側に向かう方向で導出することにより、他端側を一端側よりも素子基板10の短辺に対応する、より小さいサイズとし、例えば電子機器である液晶プロジェクター内での電気的な接続に要するスペースもより小さくし、部品コスト等が増大するのを回避することが可能となる。
【0031】
図1から図3において、放熱板303は、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の金属材料から形成され、液晶パネル100に対して入射光が入射される側と反対側に配置される。従って、上述のような液晶ライトバルブにおいて光源からの強い光により液晶パネル100で発生する熱を、放熱板303において効率良く熱伝導させて、放熱させることができる。尚、好ましくは図1又は図2に示すように、放熱性をより向上させるために、放熱板303において例えば液晶パネル100が配置される側と反対側に放熱フィンが設けられる。
【0032】
図1から図3において、フレーム202は、液晶パネル100に対して放熱板303とは反対側に配置され、好ましくは放熱板303と同様に金属材料により形成される。フレーム202は、液晶パネル100を収容するための開口を有しており、図2又は図3に示すように、液晶パネル100はその周辺部から保持されて開口内に収容される。
【0033】
尚、図2において、フレーム202内に液晶パネル100が収容された状態で、フレキシブル基板45を導出するため、フレーム202の側壁部分を部分的に切り欠いて導出口が設けられる。また好ましくは、液晶パネル100が収容された状態で、液晶パネル100に対してフレーム202とは反対側から放熱板303を配置させて、放熱板303とフレーム202とは互いを嵌め合わせることが可能なように夫々構成される。
【0034】
フレーム202は、液晶パネル100における入射光を入射させるため(及び表示光を出射させるため)の窓を規定する窓部203を有する。例えば液晶プロジェクターにおける光源からの光は、図3中の下向きの白抜き矢印で示されるように、窓部203によって規定される窓から、液晶パネル100の対向基板20(図1参照)に対して入射され、例えば各画素で画素電極によって反射され、図3中の上向きの白抜き矢印で示されるように、再び対向基板20の側から窓部203における窓より出射される。
【0035】
フレーム202は、上述したように金属材料により形成されるため、放熱板303に加えてフレーム202においても、液晶パネル100において発生する熱を効率良く熱伝導させて、放熱させることができる。
【0036】
ここに、液晶パネル100において各画素に入射又は反射された入射光の一部が、放熱板303が設けられる側(即ち、入射光が入射される側と反対側)へ図3中波線矢印で示されるように迷光となって進行し、液晶パネル100から出射されることがある。液晶パネル100において、対向基板20及び素子基板10は夫々好ましくは石英ガラスからなる透明基板により形成される。前述のように迷光が発生した場合、特に素子基板10を比較的光の透過し易い石英ガラスにより構成すると、シリコン等により形成する場合と比較してより多量の迷光が素子基板10を透過して、液晶パネル100から出射され、且つ放熱板303において反射されるおそれがある。
【0037】
図1から図3において、本実施形態では、放熱板303における液晶パネル100が配置される側に位置する第1の表面部分303aを少なくとも覆うように第1の反射防止膜306が形成される。第1の反射防止膜306は例えば入射光を吸収することにより、光の反射を低減することが可能な材料により形成される。第1の反射防止膜306は例えば、少なくとも第1の表面部分303a上に黒色材料を塗装することにより形成される。第1の反射防止膜306は好ましくは、図3に示すように、放熱板303の表面を概ね全体的に覆うように形成される。
【0038】
従って、第1の反射防止膜306では入射光を吸収し熱エネルギーに変換することで、光の反射を低減することができる。これにより第1の反射防止膜306で生じる熱は放熱板303に伝導され放熱される。よって、放熱板303において液晶パネル100が配置される側では第1の反射防止膜306により液晶パネル100からの迷光の反射を低減することが可能となる。よって、放熱板303では第1の反射防止膜306により液晶パネル100から出射される迷光を低減することができる。
【0039】
従って、放熱板303において反射された迷光が表示光に紛れ込み、表示画像に映り込んだり、或いは各画素で画素スイッチング用TFTに迷光が照射されることで光リーク電流が生じる等の不具合を回避することが可能となる。その結果、本実施形態の液晶装置によれば、より高品位な表示画像を表示させることができる。
【0040】
第1の反射防止膜306は、黒色のセラミック材料を塗装することにより形成されるようにしてもよい。これにより、第1の反射防止膜306では伝導された熱を輻射により放熱させることが可能となる。この場合、液晶パネル100からの熱は、第1の反射防止膜306を介して放熱板303に伝導するか、これに加えて若しくは代えて放熱板303を介して第1の反射防止膜306に更に伝導する。従って、放熱板303に加えて第1の反射防止膜306の輻射熱によって、液晶パネル100から伝導する熱を放熱させることが可能となる。これにより、放熱板303における放熱性を向上させて、液晶パネル100の冷却効率を向上させることができる。
【0041】
一方、フレーム202の側において、図1又は図3において、窓に対して入射光が入射される側に位置する第2の表面部分202aに対して、図3に示すように好ましくは、少なくとも表面部分202aを覆うように第2の反射防止膜206が設けられる。第2の反射防止膜206は、第1の反射防止膜306と同様に、例えば黒色材料を塗装することにより形成される。第2の反射防止膜206は好ましくは、図3に示すように、フレーム202の表面を概ね全体的に覆うように形成される。
【0042】
従って、図3中下向きの矢印で示されるように液晶パネル100に入射される入射光のうち、同図中波線矢印で示されるように第2の表面部分202aに向かって進行する迷光が反射されるのを低減することが可能となる。従って、液晶パネル100を液晶プロジェクターに用いる場合、フレーム202において反射された迷光が表示光に紛れ込んで表示画像に映り込むような事態をより確実に防止することができる。その結果、液晶装置により、より高品位な表示を行うことが可能となる。
【0043】
次に、上述した反射型の液晶装置を電子機器に適用する場合について説明する。ここでは、本発明に係る電子機器として、投射型液晶プロジェクターを例にとる。ここに、図4は、本実施形態に係る投射型液晶プロジェクターの図式的断面図である。
【0044】
図4において、液晶プロジェクター1100は、夫々RGB用の液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの3枚を用いた複板式カラープロジェクターとして構築されている。液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの各々は、上述した反射型の液晶装置が使用されている。
【0045】
図4に示すように、液晶プロジェクター1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、2枚のミラー1106、2枚のダイクロイックミラー1108及び3つの偏光ビームスプリッター(PBS)1113によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応する液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。尚、この際、光路における光損失を防ぐために、光路の途中にレンズを適宜設けてもよい。そして、液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、クロスプリズム1112により合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー映像として投射される。
【0046】
尚、液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bの各々において液晶パネルには、ダイクロイックミラー1108及び偏光ビームスプリッター1113によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0047】
尚、図4を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピューターや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0048】
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
10…素子基板、20…対向基板、100…液晶パネル、202…フレーム、202a…第2の表面部分、206…第2の反射防止膜、303…放熱板、303a…第1の表面部分、306…第1の反射防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学物質を挟持する一対の透明基板を有し、入射される入射光を反射して表示を行う反射型の電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの前記入射光が入射される側と反対側に配置された金属材料からなる放熱部材と、
前記放熱部材において、少なくとも前記電気光学パネルが配置される側に位置する第1の表面部分を覆うように設けられた第1の反射防止膜と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1の反射防止膜は、少なくとも前記第1の表面部分上に黒色材料を塗装することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記黒色材料は、セラミック材料により形成されることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記電気光学パネルを保持すると共に前記入射光を入射させるための窓を規定し、金属材料からなる保持部材と、
該保持部材において、少なくとも前記窓に対して前記入射光が入射される側に位置する第2の表面部分を覆うように設けられた第2の反射防止膜と
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−256665(P2010−256665A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107414(P2009−107414)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】