説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】電気光学装置における映り込みを防止して例えば電子ビューファインダーにおいて的確な撮像画面を表示する。
【解決手段】電気光学装置は、複数の画素が配置された画像領域(10a)を有する電気光学パネル(100)と、電気光学パネルの表示光の光出射面側に、画像領域の周縁の少なくとも一部に沿って形成され、光出射面に対して画像領域の内周側に向かって傾斜しつつ突出する遮光部(625)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、液晶パネル等の電気光学パネルが実装ケースに実装ないしは収容されてなり、例えばデジタルカメラ等の電子ビューファインダー(EVF;Electronic View Finder)に適用される場合がある。例えば特許文献1に開示されている電子ビューファインダーの構成では、表示された映像とその映像の周辺部分との輝度差を小さくするために、有効径の小さい液晶パネルと、有効径の大きい接眼レンズとの間に、テーパ状の内周面を有する鏡胴を配置する。
【0003】
【特許文献1】特開平10−170858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ビューファインダーにおいて、接眼部外(即ち、接眼部を覗き込む観察者の側)から接眼レンズに光が進入し映り込みが生じると、液晶パネルによる正確な撮像画面を観察者が視認し難くなり、デジタルカメラ等の撮影に支障をきたすおそれがある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、映り込みを防止して例えば電子ビューファインダーにおいて的確な撮像画面を表示することが可能な電気光学装置、及びこのような電気光学装置を電子ビューファインダーに適用したデジタルカメラ等の電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、複数の画素が配置された画素領域を有する電気光学パネルと、該電気光学パネルの表示光の光出射面側に、前記画素領域の周縁の少なくとも一部に沿って形成され、前記光出射面に対して前記画素領域の内周側に向かって傾斜しつつ突出する遮光部とを備える。
【0007】
本発明の電気光学装置において、電気光学パネルの一例たる液晶パネルでは、画素領域において各画素の単位で印加される電圧レベルに応じて、例えば電気光学物質である液晶において光を変調する。このように液晶において変調された光源からの光は表示光として液晶パネルから出射される。このような液晶パネルを有する電気光学装置たる液晶装置を、例えばデジタルカメラ等の電子ビューファインダーに用いる場合には、液晶パネルの表示画像は出射される表示光により、例えば接眼部の接眼レンズを介して観察者に拡大表示される。
【0008】
本発明の電気光学装置では、電気光学パネルの表示光の光出射面側に、画素領域の周縁に少なくとも部分的に沿って遮光部が、光を遮ることが可能な遮光性を有する材料により形成される。遮光部は、電気光学パネルにおける画素領域からの表示光が出射可能な窓を少なくとも部分的に規定する。遮光部は、典型的には、画素領域を取り囲むように形成される。
【0009】
例えば電子ビューファインダーにおいては上述したように、接眼レンズを介して電気光学パネルからの表示光が出射されるが、この表示光の進行方向とは逆方向に電気光学パネルに向かって、観察者の側から光が接眼レンズを介して進入することがある。遮光部は、電気光学パネルの表示光の光出射面に対して、画素領域の内周側に向かって傾斜しつつ突出するように設けられる。遮光部は、例えば、電気光学パネルの光出射面から画素領域の周縁において突出すると共に画素領域の中央に向かって傾斜するように形成される。従って、観察者の側から接眼レンズを介して進入する光を遮光部によって例えば反射させることにより遮光することが可能となる。例えば遮光部において観察者の側から進入する光について、電気光学パネルに対して画素領域の外周側から内周側に向かう進行方向を、電気光学パネルの光出射面に対して所定角度で傾斜する遮光部において、電気光学パネルと異なる方向で且つ画素領域外に進行する方向に反射させ、変更することができる。従って、観察者の側から進入し、電気光学パネルの画素領域内に入射する光を低減することができる。
【0010】
ここで、遮光部が電気光学パネルの光出射面に対して傾斜する角度は、例えば電子ビューファインダーにおける接眼レンズのf値に応じて設定されるとよい。即ち、電気光学パネルの光出射面に対する遮光部の傾斜角度は、電子ビューファインダーにおける接眼レンズによって集光される観察者の側からの光を少なくとも部分的に遮ることが可能なように、接眼レンズのf値に応じて調整されるのが好ましい。ここで「f値」とは、接眼レンズの集光による焦点距離を意味する。よって、接眼レンズによって集光され、f値で規定される集光作用に応じた入射角度で電気光学パネルに対して進行してくる光を、遮光部の傾斜面でより確実に例えば反射させることにより遮ると共に、反射された光をより確実に電気光学パネルとは異なる方向で且つ画素領域外に進行させることが可能となる。
【0011】
よって、以上説明したような本発明の電気光学装置では、観察者の側から進入する光により、電気光学パネルの表示画像に観察者が視認できるほど顕著な映り込みが生じるのを防止することができる。その結果、例えば電子ビューファインダーを用いたデジタルカメラ等において、観察者が、電気光学パネルにおけるより的確な撮像画面を観察しつつ、撮影等を行うことが可能となる。
【0012】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記電気光学パネルは、前記画素領域の周縁に額縁状に形成された遮光膜を有し、前記遮光部は、前記遮光膜より前記画素領域に対して外周側において、前記表示光が出射可能な窓を前記画素領域に対応して少なくとも部分的に規定する。
【0013】
この態様によれば、電気光学パネルにおいて画素領域からの表示光による画像表示の領域が額縁状の遮光膜によって規定される。即ち電気光学パネルにおいて表示光が出射可能な領域が、額縁状の遮光膜によって規定される。
【0014】
遮光部は、遮光膜よりも画素領域に対して外周側において表示光が出射可能な窓を少なくとも部分的に規定する。従って、遮光部を設けることで電気光学パネルからの表示光が出射可能な領域を狭めることなく、表示画像をより広い領域で表示することが可能となる。
【0015】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネルをその周縁部から包囲しつつ収容する実装ケースを備え、前記遮光部は、前記実装ケースの一部として形成される。
【0016】
この態様では、電気光学パネルは実装ケース内に収容されると共に、遮光部は実装ケースに設けられる。従って、実装ケースと一体的に電気光学パネルに対して遮光部を設けることにより、電気光学装置をより容易に小型化しつつより簡易に製造することが可能となる。
【0017】
上述した実装ケースを備える態様では、前記実装ケースは、前記電気光学パネルを包囲する開口部を有する第1の保持部材と、前記開口部を覆うように前記第1の保持部材に装着される第2の保持部材とを含み、前記遮光部は、前記第2の保持部材の一部として形成されてもよい。
【0018】
この場合には、実装ケースの構成を簡略化して電気光学装置を小型化することができる。
【0019】
第1の保持部材は、例えば、電気光学パネルを収容するための開口を規定する開口部を有する。実装ケース内において、電気光学パネルはその周縁部側から第1の保持部材の開口部に包囲され、その開口内に収容される。第2の保持部材は、例えば、板状部材により形成され、開口部による開口を覆うように第1の保持部材に対して、電気光学パネルの光の出射側に装着される。この態様では、遮光部は、第2の保持部材に設けられる。従って、実装ケースの一部を構成する第2の保持部材において、画素領域からの表示光が出射可能な窓が少なくとも部分的に規定されると共に、観察者の側から接眼部を介して進入する光を遮ることが可能となる。よって、例えば、上述したような箱型の如き形状の第1の保持部材に遮光部を設ける構成と比較して、例えば板状部材により形成される、より簡易な構成の第2の保持部材の一部を加工することで遮光部を形成するため、実装ケースの構成を簡略化すると共により容易に製造することができる。
【0020】
上述した実装ケースを備える態様では、前記実装ケース内に収容され、前記電気光学パネルに対して入出射される光について所定の光学系を少なくとも部分的に構成する光学部材を備え、該光学部材は、前記実装ケースに対して離間して配置されてもよい。
【0021】
この場合には、電気光学パネルに入射又は出射する光を偏光する偏光板や、その位相差補償を行う位相差板等の光学部材が、実装ケースの内壁に接触して応力が加わることで破損や歪みが生じるのをより有効に防止することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記遮光部は、前記光出射面に対してなす角度が30゜以下となるように傾斜している。
【0023】
この態様によれば、観察者の側から進入して遮光部に入射した光をその傾斜面で反射させることで、より確実にその進行方向を電気光学パネルと異なる方向で且つ画素領域外に進行する方向に変更させることができる。遮光部の傾斜が電気光学パネルの光出射面に対して30゜よりも大きくなると、観察者の側から進入してくる光を遮光部においてより有効に遮ることができなくなるか、又は遮光部において反射されても、その後画素領域内に進行してしまう光がより多くなるおそれがある。従って、この態様では、観察者の側から進入する光を遮光部によってより確実に遮光することが可能となる。
【0024】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0025】
本発明の電子機器によれば、より的確な撮像画面を観察しつつ撮影等を行うことが可能な、例えば電子ビューファインダーを有するデジタルカメラ、ビデオカメラなどの各種電子機器を実現できる。
【0026】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の電気光学装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態では、本発明の電気光学装置として、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げる。
【0028】
先ず、液晶装置を電子ビューファインダーに適用した、本発明の電子機器の一例であるデジタルカメラについて説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラを概略的に示す斜視図である。
【0030】
図1において、本実施形態に係るデジタルカメラ3000は、撮影用のレンズ3300や液晶モニタ画面3100と共に、電子ビューファインダー3200を有している。電子ビューファインダー3200には、本実施形態に係る液晶装置が適用され、液晶装置に表示された撮像画面が接眼部において拡大され、観察者がこれを目視にて観察しながら、デジタルカメラ3000で撮影を行うことが可能となっている。
【0031】
次に、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図2から図6を参照して説明する。尚、以下の図では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各図ごとに各層・各部材ごとの縮尺を異ならしめて図示されることもある。
【0032】
先ず、図2及び図3を参照して、液晶装置に設けられた液晶パネルの構成について説明する。
【0033】
図2は、本実施形態に係る液晶パネルの全体構成を示す平面図であり、図3は、図2のH−H’線での断面図である。
【0034】
図2及び図3において、本実施形態に係る液晶パネル100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。シール材52は、両基板を貼り合わせるための、紫外線硬化樹脂からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材(図示せず)が散布されている。
【0035】
図2において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0036】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0037】
対向基板20の4つのコーナー部に対して、両基板間において上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0038】
図3において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の詳細な説明については図示を省略してあるが、画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。画素電極9aは、典型的にはITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料により、画素毎に所定のパターンで島状に形成される。
【0039】
画素電極9a上には、配向膜(図示せず)が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。対向電極21上には配向膜(図示せず)が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0040】
液晶パネル100の駆動時において、画素毎に画素電極9aには画像信号が供給され、対向電極21との間で一定期間保持される。このようにして印加される電圧レベルにより液晶層50を構成する液晶は、分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として画像表示領域10aにおいて画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。尚、詳細な説明は省略するが、各画素はデータ線や走査線に画像信号等の各種信号が供給されることにより駆動され、画素電極9aは画素スイッチング用TFTによりスイッチング制御される。
【0041】
ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の他に、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0042】
本実施形態に係る液晶装置は、以上に説明したような液晶パネル100が実装ケース内に収容されてなる。
【0043】
図4は、実装ケースの構成の一例を概略的に示す断面図である。
【0044】
図4において、実装ケース600は、液晶パネル100を収容するフレーム610と、バックライト800を収容するバックライト用ケース630とがフック620によって一体的に連結されて構成される。尚、フレーム610は、本発明に係る「第1の保持部材」の一例であり、フック620は、本発明に係る「第2の保持部材」の一例である。ここで、「保持部材」とは、直接的に液晶パネル100を保持する部材はもちろんであるが、例えば、液晶パネル100が一方の部材から剥離した場合に、液晶パネル100の受け部材として機能する他方の部材等、間接的に保持する部材をも含むものとする。
【0045】
液晶パネル100は、その表面(より具体的には、図2及び図3を参照して上述した、TFTアレイ基板10及び対向基板20の各々における液晶層50に面する側とは反対側の表面)に偏光板や位相差板を含む光学部材200が設けられた状態で、フレーム610内に収容される。フレーム610及びバックライト用ケース630には各々の継ぎ目において、光源たるバックライト800から供給される光が、図4中の白抜き矢印で示すように液晶パネル100に対して入射可能なように窓が規定される。液晶パネル100の各画素において変調されたバックライト800からの光は表示光として、フック620によって規定される窓625hから、図4中の白抜き矢印で示すように出射される。
【0046】
フレーム610を構成する部材は、液晶パネル100を収容するためくり抜かれたような状態となっており、これによる開口を開口部615が規定している。フレーム610内に液晶パネル100はその周縁部側から開口部615に包囲され、その開口内に収容される。
【0047】
このような蓋無き箱型の如き形状を有するフレーム610に対して、いわば蓋として機能し得るフック620が装着される。フック620は、例えばアルミニウム等の金属から形成された板状の部材である。フック620は、実装ケース600内において液晶パネル100の一面に対向して開口部615を覆うようにフレーム610に対して装着される。フック620の一部を構成する遮光部625は、窓625hを規定するように形成される。尚、遮光部625の構成については、後に詳細に説明する。
【0048】
図5は、液晶装置を適用した電子ビューファインダーの構成を模式的に示す模式図である。電子ビューファインダーは、上述のように構成された液晶装置と、この液晶装置の表示画像を拡大可能な接眼部500とを含んで構成される。図5には、図4に示す液晶装置の主要な構成として、実装ケース600のうち、液晶パネル100及び光学部材200が収容されたフレーム610、及びフレーム610に装着されたフック620を示してある。
【0049】
液晶装置において図4を参照して既に説明したが、図5中白抜き矢印で示すようにバックライト800から供給された光は、液晶パネル100の各画素において変調され、表示光として窓625hから出射される。液晶装置から表示光が接眼部500に入射され、接眼レンズ510から出射されることで、接眼部500において液晶装置の表示画像である撮像画面が拡大されて、観察者A0がこれを観察することが可能となっている。
【0050】
本実施形態では特に、フック620には遮光部625が設けられている。遮光部625は、液晶パネル100の表示光の光出射面側に、画像表示領域10aの周縁に少なくとも部分的に沿って、光を遮ることが可能な遮光性を有する材料により形成される。
【0051】
図6は、実装ケースに液晶パネルが収容された状態における、遮光部と液晶パネルの額縁遮光膜との配置関係を示す平面図である。フレーム610に収容された液晶パネル100の額縁遮光膜53よりも、画像表示領域10aに対して外周側に、フック620の窓625hを少なくとも部分的に規定する遮光部625が配置される。本実施形態では一例として遮光部625により、フック620における窓625hの全体が規定される。
【0052】
図2又は図3を参照して説明したように、液晶パネル100において、表示光が出射され表示画像の領域を規定する画像表示領域10aが、額縁遮光膜53によって規定される。遮光部625は、額縁遮光膜53よりも画像表示領域10aに対して外周側において表示光が出射可能な窓625hを規定する。従って、フック620において液晶パネル100からの表示光が出射可能な領域を狭めることなく、表示画像をより広い領域で表示することが可能となる。
【0053】
図5において、電子ビューファインダーでは接眼レンズ510を介して液晶パネル100からの表示光が出射されるが、図5中に一例として矢印P1で示すように、表示光の進行方向とは逆方向に液晶パネル100に向かって、観察者の側から光が接眼レンズ510を介して進入することがある。尚、図5中の矢印P1は、観察者A0の側から接眼部500に進入する光の進行方向の一例を示している。
【0054】
本実施形態では特に、遮光部625は、図4又は図5に示すように、液晶パネル100の表示光の光出射面に対して、画像表示領域10aの内周側に向かって傾斜しつつ突出するように設けられる。従って、観察者A0の側から接眼レンズ510を介して進入する光を遮光部625によって例えば反射させることにより遮光することが可能となる。例えば遮光部625において観察者A0の側から進入する光について、図5中矢印P1で示すように、液晶パネル100に対して画像表示領域10aの外周側から内周側に向かう進行方向を、液晶パネル100の光出射面に対して所定角度θ[°]で傾斜する遮光部625において、液晶パネル100と異なる方向で且つ画像表示領域10a外に進行する方向に反射させ、変更することができる。
【0055】
尚、遮光部625において少なくとも液晶装置の外側に面し、上述したように観察者A0の側からの光を反射する反射面部分は、フレーム610よりも反射率を低くするのが好ましい。具体的には、例えば金属から形成される遮光部625(或いはフック620の全体)は、その表面が例えばつや消し黒に着色されることで、その反射率が低減されていることが好ましい。これにより、電子ビューファインダー内で遮光部625において反射された光が多量に再反射されて、観察者A0が撮像画面を視認し難くなる等の弊害が生じるのを防止することができる。
【0056】
ここに接眼部500は、接眼レンズ510により液晶パネル100の表示光により表示画像を観察者A0に拡大することが可能であると共に、観察者A0の側から入射する光を集光可能なように形成される。接眼レンズ510による集光作用はf値により規定される。観察者A0の側から接眼部500に進入した光は、図5中矢印P1で示すように、接眼レンズ510により集光されて、液晶パネル100に対して画像表示領域10aの内周側に進行してくる。
【0057】
本実施形態では、液晶パネル100の光出射面に対する遮光部625の傾斜角度θ[°]は、接眼レンズ510によって集光される観察者A0の側からの光を少なくとも部分的に遮ることが可能なように、接眼レンズ510のf値に応じて調整されるのが好ましい。これにより接眼レンズ510において集光され、f値で規定される集光作用に応じた入射角度で液晶パネル100に対して進行してくる光を、遮光部625の傾斜面でより確実に例えば反射させることにより遮ると共に、反射された光をより確実に液晶パネル100とは異なる方向で且つ画像表示領域10a外に進行させることが可能となる。
【0058】
本実施形態では、遮光部625の傾斜角度θ[°]は30°以下とするのが好ましい。遮光部625の傾斜角度θ[°]が30゜よりも大きくなると、観察者A0の側から進入してくる光を遮光部625においてより有効に遮ることができなくなるか、又は遮光部625において反射されても、その後画像表示領域10a内に進行してしまう光がより多くなるおそれがある。
【0059】
従って、本実施形態では観察者A0の側から進入し、液晶パネル100の画像表示領域10a内に入射する光をより確実に低減することができる。よって、観察者A0の側から進入する光により、液晶パネル100の表示画像に観察者A0が視認できるほど顕著な映り込みが生じるのを防止することができる。その結果、図1を参照して説明したようなデジタルカメラ3000の電子ビューファインダー3200において、観察者A0が、液晶装置におけるより的確な撮像画面を観察しつつ、撮影等を行うことが可能となる。
【0060】
本実施形態では、遮光部625が実装ケース600を構成するフック620の一部として設けられるため、実装ケース600と別途に遮光部625を設ける(即ち、フレーム610或いはフック620とは別途に遮光部625を設ける)構成と比較して、実装ケース600の構成を簡略化すると共により容易に製造することができる。尚、上述したような箱型の如き形状のフレーム610に対して、例えば板状部材(典型的には板状金属)により形成されるフック620はより簡易な構成となっており、このフック620の一部を加工することで遮光部625を形成することができる。よって、フレーム610に遮光部625を設けるよりも、実装ケース600の構成をより簡略化することができる。従って、液晶装置をより容易に小型化しつつより簡易に製造することが可能となる。
【0061】
ここに、図5に示すように、光学部材200は、実装ケース600内において、フック620或いはフレーム610と間隙d0を設けて配置するのが好ましい。このように構成すれば、液晶パネル100に入射又は出射する光を偏光する偏光板や、その位相差補償を行う位相差板等が、実装ケース600内においてその内壁に接触して応力が加わることで破損や歪みが生じるのをより有効に防止することができる。その結果、このような光学部材200の破損や歪みに起因して、液晶装置の表示画像に表示ムラ等の表示不良が生じるのをより確実に抑制することが可能となる。
【0062】
本発明は上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電解放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0063】
また本発明は上述のような電子ビューファインダーを有するデジタルカメラの他に、ビデオカメラ、或いはテレビ、携帯電話、POS端末、タッチパネル、プロジェクタ等の各種電子機器に適用することも可能である。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】液晶装置を電子ビューファインダーに適用した、電子機器の一例たるデジタルカメラを概略的に示す斜視図である。
【図2】液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図3】図2のH−H’線での断面図である。
【図4】実装ケースの構成の一例を概略的に示す断面図である。
【図5】液晶装置を適用した電子ビューファインダーの構成を模式的に示す模式図である。
【図6】実装ケースに液晶パネルが収容された状態における、遮光部と液晶パネルの額縁遮光膜との配置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0066】
10a…画像表示領域、100…液晶パネル、600…実装ケース、610…フレーム、620…フック、625…遮光部、625h…窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配置された画素領域を有する電気光学パネルと、
該電気光学パネルの表示光の光出射面側に、前記画素領域の周縁の少なくとも一部に沿って形成され、前記光出射面に対して前記画素領域の内周側に向かって傾斜しつつ突出する遮光部と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記電気光学パネルは、前記画素領域の周縁に額縁状に形成された遮光膜を有し、
前記遮光部は、前記遮光膜より前記画素領域に対して外周側において、前記表示光が出射可能な窓を前記画素領域に対応して少なくとも部分的に規定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記電気光学パネルをその周縁部から包囲しつつ収容する実装ケースを備え、
前記遮光部は、前記実装ケースの一部として形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記実装ケースは、
前記電気光学パネルを包囲する開口部を有する第1の保持部材と、
前記開口部を覆うように前記第1の保持部材に装着される第2の保持部材と
を含み、
前記遮光部は、前記第2の保持部材の一部として形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記実装ケース内に収容され、前記電気光学パネルに対して入出射される光について所定の光学系を少なくとも部分的に構成する光学部材を備え、
該光学部材は、前記実装ケースに対して離間して配置される
ことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記遮光部は、前記光出射面に対してなす角度が30゜以下となるように傾斜していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−96800(P2010−96800A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264876(P2008−264876)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】