電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置の製造方法
【課題】 多重露光を行う際でも、露光マスク同士の位置ずれが発生しない電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】 液晶装置100の電気光学装置用基板の製造工程において、4枚の露光マスク210、20、230、240で大型基板400に塗布した感光性樹脂138を順次露光して、累積露光量を領域毎に相違させることにより、高さ寸法の異なる複数種類の凸部を備えた下地層を形成する。その際、大型基板400に予め、アライメントマーク129を形成しておき、露光マスク210、20、230、240の位置決めを行う。
【解決手段】 液晶装置100の電気光学装置用基板の製造工程において、4枚の露光マスク210、20、230、240で大型基板400に塗布した感光性樹脂138を順次露光して、累積露光量を領域毎に相違させることにより、高さ寸法の異なる複数種類の凸部を備えた下地層を形成する。その際、大型基板400に予め、アライメントマーク129を形成しておき、露光マスク210、20、230、240の位置決めを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反射モードで画像を表示可能な半透過反射型電気光学装置、あるいは全反射型電気光学装置では、光反射部を有する電気光学装置用基板が使用されている。ここで、反射面が平坦面であると、画面に背景が写り込んでしまうため、反射層の下層側に、感光性材料によって凹凸を備えた下地層を形成しておき、その表面に反射層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示されている方法は、図12(a)に示すように、基板500上にポジタイプの感光性樹脂510を塗布した後、図12(b)に示すように、塗布された感光性樹脂510を露光マスク520を介して露光する。この露光マスク520のうち、ランダムに配置された透光部530は、下地層540aの凹凸面を形成するためのものである。このような露光マスク520にて感光性樹脂510を露光した後、現像処理を施すと、図12(c)に示すように、表面に凹凸面を有する下地層540aが形成される。次に、図12(d)に示すように、ポジタイプの感光性樹脂を再度塗布した後、パネル表示領域周辺の実装領域を露光し、次に現像処理を施すと、凹凸面を有する下地層540bが形成される。従って、下地層540bの表面にアルミニウムなどからなる反射層560を形成すると、表面に下地層540a、540bの凹凸が反映され、高さ寸法が同一の多数の凸部を備えた反射層560を形成することができる。ここで、反射層560の表面に形成された凸部に規則性があると、干渉縞が発生するため、上記特許文献1では、凸部が平面方向にランダムに配置されている。
【特許文献1】特開2003−75987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、凸部を平面方向にランダムに配置しても、その配置パターンには限りがあるため、干渉縞の発生を完全に防止することができないという問題点がある。
【0005】
ここに本願発明者は、高さ寸法の異なる複数種類の凸部を形成し、凸部に対する設計の自由度を高めることにより、干渉縞の発生を完全に防止することを提案するものである。
【0006】
かかる凸部を従来の技術で構成しようとすると、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで感光性樹脂に多重露光を行って感光性樹脂に対する累積露光量を領域毎に相違させた後、現像し、累積露光量の差に対応した高さの凸部を備えた下地層を形成した後、下地層の表面に反射層を形成することになる。しかしながら、従来技術では、露光マスク同士の位置ずれによって、所望の凹凸を形成できないという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、多重露光を行う際でも、露光マスク同士の位置ずれが発生しない電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、前記基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明では、多重露光工程を行う前にアライメントマーク形成工程を行い、多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には、アライメントマークに基づいて露光マスクの位置決めを行う。従って、多重露光を行っても、露光マスク相互の位置ずれを防止できるので、精度の高い露光を行うことができる。それ故、下地層には高さ寸法の異なる複数種類の凸部を所定位置に形成できるので、反射層表面に光散乱用の凹凸を所定位置に形成できる。よって、光散乱用の凹凸の配置パターンについては、平面方向の位置に加えて、高さ寸法というパラメータを追加できるので、干渉縞の発生を完全に防止することができる。なお、多重露光工程の全ての露光前に、アライメントマークに基づく位置決めを行うのが好ましいが、少なくとも2回目以降の各露光前にアライメントマークに基づく位置決めを行えば、多重露光工程で用いる露光マスク同士の位置ずれを効果的に防止することができる。また、アライメントマークを用いずに、基板の基準辺を用いて露光装置で位置合わせをすることも可能であるが、この場合、位置合わせ精度はアライメントマークを用いた場合に比べて格段に低下してしまうという問題がある。
【0010】
本発明において、前記アライメントマーク形成工程では、前記アライメントマークを形成すると同時に、前記基板上に配線パターンを形成することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記アライメントマーク形成工程では、露光されることで発色または変色する材料を用いて前記基板上に前記アライメントマークを形成し、前記多重露光工程において、最初の露光時に前記アライメントマークを露光し、該アライメントマークを発色または変色させてもよい。このように構成すれば、1回目の露光の際の露光マスクの位置を基準に位置決めが行われるので、多重露光工程で用いる露光マスク同士の位置ずれを確実に防止することができる。
【0012】
本発明において、前記多重露光工程では、例えば、前記現像工程において前記感光性材料の一部の領域が除去されるように露光し、前記反射層形成工程では、前記除去した部分に対応する領域に、反射層が設けられていない領域を形成する。
【0013】
本発明において、前記複数の露光マスクには、外形のサイズが異なるマスクが含まれていることが好ましい。このように構成すると、基板上の露光したい部分に対応するサイズの露光マスクで露光を行うことができる。
【0014】
本発明において、前記複数の露光マスクには、前記基板をステップ露光するためのステップ露光用マスクと、当該基板を一括露光するための一括露光用マスクとが含まれており、前記多重露光工程では、前記ステップ露光用マスクを用いたステップ露光をする工程と、前記一括露光用マスクを用いた一括露光をする工程とを行ってもよい。
【0015】
本発明では、電気光学物質を挟持する一対の基板の一方の基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、前記一方の基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には、前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0017】
[液晶装置の構成]
図1は、本実施形態に係る液晶装置(電気光学装置)の断面図であり、図2は、同液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。図3(a)、(b)はそれぞれ、本実施形態に係る液晶装置に用いた電気光学装置用基板の1ドット分の平面図、およびそのB−B′線断面を模式的に示す説明図である。なお、図1は、図2におけるA−A′線から見た断面に相当する。
【0018】
図1および図2に示すように、本形態の液晶装置100は、電気光学物質としての液晶180(図2においては図示略)を第1基板110と第2基板120との間に保持する液晶パネル102と、この液晶パネル102の第2基板120の側に配設されたバックライトユニット104とを有している。なお、以下の説明においては、便宜上、図1に示したように液晶180に対して第1基板110側を、液晶装置100による表示画像を視認する観察者が位置する側という意味で「観察側」と表記し、液晶180からみて第2基板120側を「背面側」と表記する。
【0019】
バックライトユニット104は、例えば、光透過性樹脂の成形品などからなる導光板106と、LEDや冷陰極管などの光源105とを備えており、この光源105は、板状部材である導光板106の側端面に対して光を照射する。導光板106のうち、液晶パネル102と対向する面には、導光板106からの光を液晶パネル102に対して一様に拡散させる拡散板(図示略)が配置されている。また、この反対側の面には、導光板106から背面側に出射しようとする光を液晶パネル102側に反射させる反射板(図示略)が配置されており、その側端面から入射した光を液晶パネル102の第2基板120に向けて一様に出射する。
【0020】
液晶パネル102の第1基板110は、ガラスなどの光透過性材料からなる板状部材である。第1基板110の観察側の面には、コントラストを改善するための位相差板111(図2では図示略)と、入射光を偏光させるための偏光板112(図2では図示略)が、第1基板110側からこの順で積層されている。第1基板110の液晶180側(背面側)の面には、ITO(Indium Tin Oxide)膜などからなる光透過性の画素電極114がマトリックス状に配置されている。この各画素電極114の間隙には、一方向(図2に示すY方向)に延在する複数の走査線116が形成されており、各画素電極114と各画素電極14に隣接する走査線116とは、非線形な電流−電圧特性を有する二端子型スイッチング素子であるTFD(Thin Film Diode)素子115を介して接続されている。そして、図1に示すように、画素電極114、走査線116およびTFD素子115が形成された第1基板110の表面は、配向膜118(図2では図示略)により覆われている。この配向膜118は、ポリイミドなどの有機薄膜であり、電圧が印加されていないときの液晶180の配向状態を規定するためのラビング処理が施されている。
【0021】
第2基板120は、ガラスなどの光透過性材料からなる板状部材であり、その背面側には、第1基板110と同様に、位相差板121(図2では図示略)、および偏光板122(図2では図示略)が、第2の基板120からこの順に積層されている。一方、第2基板120の液晶180側(観察側)の面には、下地層130、反射層140、3色のカラーフィルタ150R、150G、150B、データ線152、および配向膜154(図2では図示略)が第2基板120からこの順に積層されている。これらの層のうち、配向膜154は、配向膜118と同様、ポリイミドなどの有機薄膜であり、電圧が印加されていないときの液晶180の配向状態を規定するためのラビング処理が施されている。
【0022】
下地層130は、後述するように、感光性材料を露光・現像処理することにより形成されたものであり、その側端面130aは平坦となっている。下地層130は、ドット160の中央付近で樹脂が完全に除去された開口部135が形成され、観察側(表面)には、滑らかな凹凸状の面130b(以下、「凹凸面」と称する)を有している。
【0023】
反射層140は、例えば、アルミニウムまたは銀などの光反射性を有する材料を図3(a)、(b)に示したように、下地層130のうち観察側の面上に略一定の膜厚にて薄膜形成されたものであり、反射層140の表面は、下地層130の凹凸状の表面形状が反映された散乱反射面になっている。ここで、反射層140は、下地層130の開口135に相当する部分が除去された光透過部142を備えている。従って、本形態において、反射層140は、半透過反射層として構成されている。
【0024】
なお、説明の便宜上、以降の説明においては、第2基板120、下地層130、および反射層140を含む機能性基板を「電気光学装置用基板124」と称する。
【0025】
カラーフィルタ150R、150G、150Bは、各ドット160に対応して設けられた樹脂層である。各カラーフィルタは、顔料などにより赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のいずれかにそれぞれ着色されており、その色に対応する波長の光を選択的に透過させる。なお、図2における「R」、「G」および「B」はドット160の各々が、いずれのカラーフィルタ150R、150G、150Bが配置されるドット160かを示している。
【0026】
ここで、カラーフィルタ150R、150G、150Bの境界領域には遮光層151が形成されており、遮光層151は、例えば、カーボンブラックが分散された黒色樹脂材料や、クロム(Cr)といった金属材料などにより形成されている。なお、遮光層151は、特定の材料によって形成されることに限定されず、例えば、着色層を構成するカラーフィルタ150R、150G、150Bの各着色層を二色または三色重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。
【0027】
複数のデータ線152の各々は、ITOなどの光透過性導電材料により形成された帯状の電極である。図2に示すように、データ線152は、カラーフィルタ150R、150G、150Bの面上に形成されており、上述した走査線116と交差する方向(図2中X方向)に延在し、第1基板110上に列をなす複数の画素電極114と対向するように位置する。そしてデータ線152は、図1に示したように、電気光学装置用基板124の側端面においては、その側端面を跨いで位置し、第2基板120上においては、観察側の面上に位置する。
【0028】
以上説明した構成の第1基板110および第2基板120は、図1に示すように、シール材170を介して貼り合わされるとともに、両基板とシール材170とによって囲まれた領域に、例えばTN(Twisted Nematic)型などの液晶180が封止される。かかる構成の下、第1基板110と第2基板120とにより狭持された液晶180は、画素電極114とこれに対向するデータ線152との間に電圧が印加されることにより、その配向方向が変化する。図2に示すように、この印加電圧に応じて液晶180の配向方向が変化する領域の最小単位160はマトリックス状に配列されており、その各々がサブ画素(ドット)として機能する。この液晶パネル102に観察側から外光が入射すると、外光は、液晶180を透過した後、電気光学装置用基板124により散乱反射されて、再び液晶180を透過した後、観察側に向けて出射され、反射モードでの画像を表示する。一方、液晶パネル102の背面側から入射したバックライトユニット104からの光は、開口部135および光透過部142を通過して液晶180の層に入射した後、観察側に出射され、透過モードで画像が表示される。
【0029】
[電気光学装置用基板124の構成]
図3(a)、(b)に示すように、電気光学装置用基板124は、第2基板120の表面に、下地層130および反射層140がこの順に積層されたものであり、反射層140の表面(反射部)は、下地層130の凹凸状の表面形状が反映された散乱反射面になっている。ここで、下地層130の多数の凸部には、高さ寸法の異なる複数種類の凸部131、132、133が含まれている。すなわち、下地層130の多数の凸部において、凸部132は凸部131よりも高く、凸部133は凸部132よりも高い。従って、電気光学装置用基板124では、凸部131、132、133が平面方向にランダムに配置され、かつ、高さの異なる凸部131、132、133が形成されているので、液晶装置100を構成したとき、反射層140の表面での反射に起因する干渉縞の発生を完全に防止することができる。
【0030】
[電気光学装置用基板124の製造方法]
図4は、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程図である。図5(a)、(b)は、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造に用いた大型基板(第2基板)の説明図、および露光マスクの説明図である。図6、図7および図8は、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0031】
本形態の電気光学装置基板124を製造するにあたっては、図4に示すように、アライメントマーク形成工程P1、塗布工程P2、乾燥工程P3、プリベーク工程P4、多重露光工程P5、現像工程P6、焼成工程P7、および反射層形成工程P8をこの順に行い、アライメントマーク形成工程P1では、図5(a)に示すように、基板上にアライメントマーク129を形成しておく。ここで、図5に示す基板は、電気光学装置用基板124を多数取りできるサイズの大型基板400であり、アライメントマーク129は、電気光学装置用基板124として切り出される領域410の外側のうち、領域410の各角部に近接する位置に形成されている。なお、アライメントマーク129の形成位置は、領域410の各角部に近接する位置に限らず、後述する露光マスクの位置決めに利用できれば、大型基板400上のいずれの位置であってもよい。
【0032】
また、本形態において、多重露光工程P5は、図5(b)に示すように、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスク、本形態では、4枚の露光マスク210、220、230、240で感光性樹脂を順次、露光して感光性樹脂に対する累積露光量を領域毎に相違させる。ここで、4枚の露光マスク210、220、230、240はいずれも、大型基板400をステップ露光するステップ露光用マスクであり、多重露光工程P3では、これらの露光マスク210、220、230を用いたステップ露光を繰り返すことにより感光性材料に対する多重露光を行う。また、露光マスク210、220、230、240には、それを大型基板400の所定領域に配置したときに、大型基板400のアライメントマーク129と位置合わせを行うためのアライメントマーク219、229、239、249が形成されている。
【0033】
以下、本形態の電気光学装置基板124の製造方法をより具体的に説明する。まず、図6(a)に示すように、第2基板120の観察側となる面に、クロムやアルミニウムなどといった薄膜128を形成した後、薄膜128の表面にレジストマスク127を形成し、この状態で、薄膜128をパターニングして、図6(b)に示すように、大型基板400(第2基板120)にアライメントマーク129を形成する(図4:プロセスP1/アライメントマーク形成工程)。
【0034】
次に、図6(c)に示すように、大型基板400に、例えばスピンコート法などにより、感光性材料の一種であるポジタイプの感光性樹脂138を塗布する(図4:プロセスP2/塗布工程)。この感光性樹脂138としては、例えばアクリル樹脂などを用いることができる。
【0035】
次に、第2基板120に塗布した感光性樹脂138を減圧環境下において乾燥させ(図4:プロセスP3)、乾燥した感光性樹脂138を85℃から105℃の範囲にてプリベーグする(図4:プロセスP4)。
【0036】
次に、図7(a)〜図7(d)に示すように、図5を参照して説明した露光マスク210、220、230、240を用いて感光性樹脂138を多重露光を行う(図4:プロセスP5/多重露光工程)。ここで、露光マスク210、220、230、240は、ガラスなどの光透過性を有する基板にクロムなどの遮光層が形成されたものであり、本形態では、かかる遮光層などを利用して、露光マスク210、220、230、240にはアライメントマーク219、229、239、249が形成されている。
【0037】
多重露光工程P5では、ステッパ露光装置において、図7(a)に示すように、まず、アライメントマーク129、219を用いて大型基板400と第1の露光マスク210とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(1回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第1の露光マスク210でステップ露光する。ここで、第1の露光マスク210は、図3(b)を参照して説明した凸部133に対応する領域のみに遮光部分211を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第1の露光マスク210の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(a)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0038】
次に、同じくステッパ露光装置において、図7(b)に示すように、アライメントマーク129、229を用いて大型基板400と第2の露光マスク220とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(2回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第2の露光マスク220でステップ露光する。ここで、第2の露光マスク220は、図3(b)を参照して説明した凸部132、133に対応する領域のみに遮光部分221を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第2の露光マスク220の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(b)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0039】
次に、同じくステッパ露光装置において、図7(c)に示すように、アライメントマーク129、239を用いて大型基板400と第3の露光マスク230とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(3回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第3の露光マスク230でステップ露光する。ここで、第3の露光マスク230は、図3(b)を参照して説明した凸部131、132、133に対応する領域のみに遮光部分231を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第3の露光マスク230の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(c)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0040】
次に、同じくステッパ露光装置において、図7(d)に示すように、アライメントマーク129、249を用いて大型基板400と第4の露光マスク240とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(4回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第4の露光マスク240でステップ露光する。ここで、第4の露光マスク240は、次の現像工程を終えた段階で感光性樹脂138を完全除去した部分を形成するための露光パターンを備えている。すなわち、第4の露光マスク240は、図3(b)を参照して説明した開口部135と対応する領域以外の全域に遮光部分241を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第4の露光マスク240の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(d)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0041】
次に、所定の現像液で感光性樹脂138を現像する(図4:プロセスP6/現像工程)。その結果、図8(a)に示すように、感光性樹脂138は、露光量に応じて除去され、高さの異なる凸部131、132、133が形成された下地層130となる。また、下地層130には、感光性樹脂138が完全に除去された開口部135が形成される。次に、感光性樹脂138を焼成する(図4:プロセスP7)。
【0042】
次に、図8(b)に示すように、反射層140となるアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属層145を略一定の厚みで、例えばスパッタリングなどにより、下地層130を覆うように形成した後、金属層145の表面にレジストマスク260を形成し、この状態で、金属膜145にエッチングを行う。その結果、金属層125のうちレジストマスク260で覆われていない部分の金属層145が除去され、図3(a)、(b)を参照して説明したように、光透過部142を備えた反射層140が形成される(図4:プロセスP8)。
【0043】
このようにして、大型基板400の状態で散乱反射型の電気光学装置用基板124を製造する。その後、図1に示すように、第2基板120の反射面側(観察側)に、例えばクロムからなる薄膜を、例えばスパッタリング法などにより形成した後、パターニングし、格子状の遮光層151を形成する。なお、遮光層151は、特定の材料によって形成されることに限られず、例えば、着色層を構成するカラーフィルタ150R、150G、150Bの各着色層を二色または三色重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。次に、第2基板120における反射層140上に赤色、緑色および青色のカラーフィルタ150R、150Gおよび150Bの各々を、マトリックス状に形成する。これらのカラーフィルタ150R、150G、150Bの形成方法としては、例えば、顔料により着色された感光性樹脂により形成することができる。次に、カラーフィルタ150R、150G、150Bおよび遮光層151を覆うようにITOなどからなる薄膜を形成し、これをパターニングすることによってデータ線152を形成する。しかる後には、配向膜154を形成し、配向膜154の表面にラビング処理を施す。このような工程を経た第2基板120(大型基板400)と、画素電極114、走査線116、TFD素子115および配向膜118が形成された第1基板用の大型基板とを、互いの配向膜118、154を対向させた状態でシール材170を介して貼り合わせた後、所定サイズに切断し、基板間のシール材170によって囲まれた空間に液晶180を注入し、その後、封止材(図示せず)により液晶180が注入された空間を封止する。これにより、単品サイズの液晶パネル102が完成する。
【0044】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、感光性樹脂138を形成する前の段階で、大型基板400は、配線などの薄膜が一切形成されていないため、多重露光工程P5で露光マスク210、220、230、240同士の位置合わせを行う配線などが一切ないが、本発明では、塗布工程P2および多重露光工程P5を行う前に、アライメントマーク形成工程P1において大型基板400にアライメントマーク129を形成しておく。このため、多重露光工程P5では、大型基板129のアライメントマーク129に基づいて露光マスク210、220、230、240の位置決めを行うことができる。従って、多重露光を行っても、露光マスク210、220、230、240相互の位置ずれが発生しないので、精度の高い露光を行うことができる。従って、下地層130には高さ寸法の異なる複数種類の凸部131、132、133を所定位置に形成できるので、反射層140表面に光散乱用の凹凸を所定位置に形成できる。それ故、光散乱用の凹凸の配置パターンについては、平面方向の位置に加えて、高さ寸法というパラメータを追加できるので、干渉縞の発生を完全に防止することができる。なお、本形態では、多重露光工程の全ての露光前に、アライメントマーク129に基づく露光マスク210、220、230、240の位置決め工程を行ったが、2回目以降の各露光前にアライメントマーク129に基づく位置決めを行えば、多重露光工程で用いる露光マスク同士の位置ずれを効果的に防止することができる。
【0045】
[電気光学装置用基板124の別の製造方法]
図9は、本発明を適用した液晶装置の別の製造方法を示す工程断面図であり、本形態では、アライメントマーク形成工程において、露光されることで発色または変色する材料を用いて基板上にアライメントマークを形成し、多重露光工程では、最初の露光時にアライメントマークを露光してこのアライメントマークを発色または変色させる。
【0046】
このような方法を採用する場合には、まず、図9(a)に示すように、印刷、転写などの方法により、大型基板400(第2基板120)にアライメントマーク250を形成した後(アライメントマーク形成工程)、大型基板400に、例えばスピンコート法などにより、感光性材料の一種であるポジタイプの感光性樹脂138を塗布する(塗布工程)。ここで、アライメントマーク250は、ホトクロミック化合物や、光重合性不飽和結合を分子内に備えたモノマー、光重合開始剤、光酸発生剤などを含む材料から構成され、露光によって、変色あるいは発色を起こす材料である。
【0047】
次に、感光性樹脂138を乾燥、プリベーグした後、例えば、図7(d)を参照して説明した工程で用いた露光マスク240を用いて感光性樹脂138を露光する(1回目の露光)。その際、露光マスク240については、アライメントマーク259と透光部243とによって位置決めを行ってもよい(位置決め工程)。ここで、露光マスク240は、次の現像工程を終えた段階で感光性樹脂138を完全除去した部分を形成するための露光パターンを備えている。すなわち、第4の露光マスク240は、図3(b)を参照して説明した開口部135と対応する領域以外の領域に遮光部分241を備えた露光パターンを備えている。
【0048】
また、露光マスク240には、アライメントマーク250を部分的に露光するための透光部243を備えている。従って、この第1回目の露光の際、アライメントマーク250の一部が露光され、変色あるいは発色する結果、このような変色あるいは発色した部分で実質的なアライメントマーク259が形成される。
【0049】
従って、2回目の露光の際には、図9(b)に示すように、アライメントマーク219、259を用いて大型基板400と露光マスク210とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(2回目の露光)。ここで、露光マスク210は、図3(b)を参照して説明した凸部133に対応する領域のみに遮光部分211を備えた露光パターンを備えている。
【0050】
次に、図9(c)に示すように、アライメントマーク229、159を用いて大型基板400と第2の露光マスク220とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(3回目の露光)。ここで、露光マスク220は、図3(b)を参照して説明した凸部132、133に対応する領域のみに遮光部分221を備えた露光パターンを備えている。
【0051】
次に、図9(d)に示すように、アライメントマーク239、159を用いて大型基板400と露光マスク230とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(4回目の露光)。ここで、露光マスク230は、図3(b)を参照して説明した凸部131、132、133に対応する領域のみに遮光部分231を備えた露光パターンを備えている。
【0052】
従って、感光性樹脂138を現像すると(現像工程)、図8(a)に示すように、感光性樹脂138は、露光量に応じて除去され、高さの異なる凸部131、132、133が形成された下地層130となる。また、下地層130には、感光性樹脂138が完全に除去された開口部135が形成される。
【0053】
次に、図8(b)に示すように、反射層140となるアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属層145を略一定の厚みで、例えばスパッタリングなどにより、下地層130を覆うように形成した後、金属層145の表面にレジストマスク260を形成し、この状態で、金属膜145にエッチングを行う。その結果、金属層125のうちレジストマスク260で覆われていない部分の金属層145が除去され、図3(a)、(b)を参照して説明したように、光透過部142を備えた反射層140が形成される。以降の工程は、上記の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
このように構成すれば、1回目の露光の際の露光マスク240の位置を基準に以降の位置決めが行われるので、多重露光工程で用いる露光マスク210、220、230、240同士の位置ずれを確実に防止することができる。
【0055】
[その他の実施の形態]
なお、電気光学装置用基板124などの製造は、大型基板400をステッパ露光する場合の他、大型基板400を一括露光する場合もある。このような場合にも、図10(a)に示すように、電気光学装置用基板124として切り出される領域410の外側にアライメントマーク129を形成しておく一方、図10(b)に示すように、大型基板400を一括露光する露光マスク210、220、230、240のいずれにも、アライメントマーク219、229、239、249を形成しておく。そして、多重露光工程P5では、一括露光用マスク(露光マスク210、220、230、240)を用いた一括露光を繰り返すまたはそれぞれの露光方法により露光を行うことにより感光性樹脂138に対する多重露光を行う。このような一括露光は、従来、ステップ露光と比較して露光マスク210、220、230、240の位置決め精度が低い傾向にあったが、本発明によれば、一括露光でも、精度の高い露光を行うことができる。なお、この場合も、アライメントマーク129の形成位置は、露光マスクの位置決めに利用できれば、大型基板400上のいずれの位置であってもよい。
【0056】
また、多重露光工程P5では、図5(b)に示すステップ露光用の露光マスクと、一括露光用の露光マスクとを併用してもよい。この場合、ステップ露光用マスクを用いたステップ露光と、一括露光用マスクを用いた一括露光とを繰り返すことにより感光性樹脂1358に対する多重露光を行うことになる。
【0057】
さらに、複数の露光マスク210、220、230、240としては、外形のサイズが異なるマスクを用いてもよい、このように構成すると、基板上の露光したい部分に対応するサイズの露光マスクで露光を行うことができる。
【0058】
なお、上記形態では、ポジ型の感光性樹脂138を用いて下地層130を形成した例であったが、ネガタイプの感光性樹脂138を用いて下地層130を形成する場合に本発明を適用してもよい。
【0059】
また、上記形態では、半透過反射型の液晶装置100に用いる電気光学装置用基板124を説明したが、全反射型の液晶装置100に用いる電気光学装置用基板124の場合には、開口部135や光透過部142を形成する必要がない。このような場合にも本発明を適用してもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態はいずれも、アクティブ素子としてTFD素子を用いた液晶パネルを備えた電気光学装置を例に説明したが、アクティブ素子としてTFTを用いた液晶パネルを備えた電気光学装置などに本発明を適用してもよい。
【0061】
このようなTFTアクティブマトリクス型液晶装置の場合、凹凸形成用の下地層130の下層側に配線が形成される。従って、アライメントマーク形成工程では、アライメントマークを形成すると同時に、基板上に配線、その他のパターンを形成してもよい。また、TFDアクティブマトリクス型液晶装置でも、凹凸形成用の下地層130を第1基板110(素子基板)の方に形成する場合には、下地層130を形成する前に配線を形成する場合がある。従って、アライメントマーク形成工程では、アライメントマークを形成すると同時に、基板上に銅やアルミニウムなどにより配線、その他のパターンを形成してもよい。
【0062】
また、上記形態では、感光性樹脂138の露光工程に本発明を適用したが、感光性樹脂138に対する露光工程に限らず、基板あるいは基板上に形成した薄膜に対するアニールなどの光照射(露光)に本発明を適用してもよい。
【0063】
[電子機器への搭載例]
本発明を適用した液晶装置100は、図11に示す携帯電話機300の表示部として用いることができる。ここで、携帯電話機300は、複数の操作ボタン310の他、受話口320、送話口330を備えている。なお、液晶装置100は、携帯電話機300の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、ムービーカメラ、車載機器、オーディオ機器、プロジェクタなどの電子機器に搭載される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明を適用した液晶装置の断面図である。
【図2】図1に示す液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ、本実施形態に係る液晶装置に用いた電気光学装置用基板の1ドット分の平面図、およびそのB−B′線断面を模式的に示す説明図である。
【図4】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程図である。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造に用いた大型基板の説明図、および露光マスクの説明図である。
【図6】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図9】本発明を適用した電気光学装置用基板の別の製造方法を示す工程断面図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造に用いた別の大型基板の説明図、および別の露光マスクの説明図である。
【図11】本発明を適用した液晶装置を備えた電子機器の説明図である。
【図12】従来の電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0065】
100 液晶装置(電気光学装置)、110 第1基板、120 第2基板、124 電気光学装置用基板、129、250、259 基板側のアライメントマーク、130 下地層、131、132、133 凸部、135 開口部、138 ポジタイプの感光性樹脂(感光性材料)、140 反射層、142 透光部、180 液晶(電気光学物質)、210、220、230、240 露光マスク、219、229、239、249 露光マスクのアライメントマーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反射モードで画像を表示可能な半透過反射型電気光学装置、あるいは全反射型電気光学装置では、光反射部を有する電気光学装置用基板が使用されている。ここで、反射面が平坦面であると、画面に背景が写り込んでしまうため、反射層の下層側に、感光性材料によって凹凸を備えた下地層を形成しておき、その表面に反射層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示されている方法は、図12(a)に示すように、基板500上にポジタイプの感光性樹脂510を塗布した後、図12(b)に示すように、塗布された感光性樹脂510を露光マスク520を介して露光する。この露光マスク520のうち、ランダムに配置された透光部530は、下地層540aの凹凸面を形成するためのものである。このような露光マスク520にて感光性樹脂510を露光した後、現像処理を施すと、図12(c)に示すように、表面に凹凸面を有する下地層540aが形成される。次に、図12(d)に示すように、ポジタイプの感光性樹脂を再度塗布した後、パネル表示領域周辺の実装領域を露光し、次に現像処理を施すと、凹凸面を有する下地層540bが形成される。従って、下地層540bの表面にアルミニウムなどからなる反射層560を形成すると、表面に下地層540a、540bの凹凸が反映され、高さ寸法が同一の多数の凸部を備えた反射層560を形成することができる。ここで、反射層560の表面に形成された凸部に規則性があると、干渉縞が発生するため、上記特許文献1では、凸部が平面方向にランダムに配置されている。
【特許文献1】特開2003−75987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、凸部を平面方向にランダムに配置しても、その配置パターンには限りがあるため、干渉縞の発生を完全に防止することができないという問題点がある。
【0005】
ここに本願発明者は、高さ寸法の異なる複数種類の凸部を形成し、凸部に対する設計の自由度を高めることにより、干渉縞の発生を完全に防止することを提案するものである。
【0006】
かかる凸部を従来の技術で構成しようとすると、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで感光性樹脂に多重露光を行って感光性樹脂に対する累積露光量を領域毎に相違させた後、現像し、累積露光量の差に対応した高さの凸部を備えた下地層を形成した後、下地層の表面に反射層を形成することになる。しかしながら、従来技術では、露光マスク同士の位置ずれによって、所望の凹凸を形成できないという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、多重露光を行う際でも、露光マスク同士の位置ずれが発生しない電気光学装置用基板の製造方法、および電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、前記基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明では、多重露光工程を行う前にアライメントマーク形成工程を行い、多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には、アライメントマークに基づいて露光マスクの位置決めを行う。従って、多重露光を行っても、露光マスク相互の位置ずれを防止できるので、精度の高い露光を行うことができる。それ故、下地層には高さ寸法の異なる複数種類の凸部を所定位置に形成できるので、反射層表面に光散乱用の凹凸を所定位置に形成できる。よって、光散乱用の凹凸の配置パターンについては、平面方向の位置に加えて、高さ寸法というパラメータを追加できるので、干渉縞の発生を完全に防止することができる。なお、多重露光工程の全ての露光前に、アライメントマークに基づく位置決めを行うのが好ましいが、少なくとも2回目以降の各露光前にアライメントマークに基づく位置決めを行えば、多重露光工程で用いる露光マスク同士の位置ずれを効果的に防止することができる。また、アライメントマークを用いずに、基板の基準辺を用いて露光装置で位置合わせをすることも可能であるが、この場合、位置合わせ精度はアライメントマークを用いた場合に比べて格段に低下してしまうという問題がある。
【0010】
本発明において、前記アライメントマーク形成工程では、前記アライメントマークを形成すると同時に、前記基板上に配線パターンを形成することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記アライメントマーク形成工程では、露光されることで発色または変色する材料を用いて前記基板上に前記アライメントマークを形成し、前記多重露光工程において、最初の露光時に前記アライメントマークを露光し、該アライメントマークを発色または変色させてもよい。このように構成すれば、1回目の露光の際の露光マスクの位置を基準に位置決めが行われるので、多重露光工程で用いる露光マスク同士の位置ずれを確実に防止することができる。
【0012】
本発明において、前記多重露光工程では、例えば、前記現像工程において前記感光性材料の一部の領域が除去されるように露光し、前記反射層形成工程では、前記除去した部分に対応する領域に、反射層が設けられていない領域を形成する。
【0013】
本発明において、前記複数の露光マスクには、外形のサイズが異なるマスクが含まれていることが好ましい。このように構成すると、基板上の露光したい部分に対応するサイズの露光マスクで露光を行うことができる。
【0014】
本発明において、前記複数の露光マスクには、前記基板をステップ露光するためのステップ露光用マスクと、当該基板を一括露光するための一括露光用マスクとが含まれており、前記多重露光工程では、前記ステップ露光用マスクを用いたステップ露光をする工程と、前記一括露光用マスクを用いた一括露光をする工程とを行ってもよい。
【0015】
本発明では、電気光学物質を挟持する一対の基板の一方の基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、前記一方の基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には、前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0017】
[液晶装置の構成]
図1は、本実施形態に係る液晶装置(電気光学装置)の断面図であり、図2は、同液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。図3(a)、(b)はそれぞれ、本実施形態に係る液晶装置に用いた電気光学装置用基板の1ドット分の平面図、およびそのB−B′線断面を模式的に示す説明図である。なお、図1は、図2におけるA−A′線から見た断面に相当する。
【0018】
図1および図2に示すように、本形態の液晶装置100は、電気光学物質としての液晶180(図2においては図示略)を第1基板110と第2基板120との間に保持する液晶パネル102と、この液晶パネル102の第2基板120の側に配設されたバックライトユニット104とを有している。なお、以下の説明においては、便宜上、図1に示したように液晶180に対して第1基板110側を、液晶装置100による表示画像を視認する観察者が位置する側という意味で「観察側」と表記し、液晶180からみて第2基板120側を「背面側」と表記する。
【0019】
バックライトユニット104は、例えば、光透過性樹脂の成形品などからなる導光板106と、LEDや冷陰極管などの光源105とを備えており、この光源105は、板状部材である導光板106の側端面に対して光を照射する。導光板106のうち、液晶パネル102と対向する面には、導光板106からの光を液晶パネル102に対して一様に拡散させる拡散板(図示略)が配置されている。また、この反対側の面には、導光板106から背面側に出射しようとする光を液晶パネル102側に反射させる反射板(図示略)が配置されており、その側端面から入射した光を液晶パネル102の第2基板120に向けて一様に出射する。
【0020】
液晶パネル102の第1基板110は、ガラスなどの光透過性材料からなる板状部材である。第1基板110の観察側の面には、コントラストを改善するための位相差板111(図2では図示略)と、入射光を偏光させるための偏光板112(図2では図示略)が、第1基板110側からこの順で積層されている。第1基板110の液晶180側(背面側)の面には、ITO(Indium Tin Oxide)膜などからなる光透過性の画素電極114がマトリックス状に配置されている。この各画素電極114の間隙には、一方向(図2に示すY方向)に延在する複数の走査線116が形成されており、各画素電極114と各画素電極14に隣接する走査線116とは、非線形な電流−電圧特性を有する二端子型スイッチング素子であるTFD(Thin Film Diode)素子115を介して接続されている。そして、図1に示すように、画素電極114、走査線116およびTFD素子115が形成された第1基板110の表面は、配向膜118(図2では図示略)により覆われている。この配向膜118は、ポリイミドなどの有機薄膜であり、電圧が印加されていないときの液晶180の配向状態を規定するためのラビング処理が施されている。
【0021】
第2基板120は、ガラスなどの光透過性材料からなる板状部材であり、その背面側には、第1基板110と同様に、位相差板121(図2では図示略)、および偏光板122(図2では図示略)が、第2の基板120からこの順に積層されている。一方、第2基板120の液晶180側(観察側)の面には、下地層130、反射層140、3色のカラーフィルタ150R、150G、150B、データ線152、および配向膜154(図2では図示略)が第2基板120からこの順に積層されている。これらの層のうち、配向膜154は、配向膜118と同様、ポリイミドなどの有機薄膜であり、電圧が印加されていないときの液晶180の配向状態を規定するためのラビング処理が施されている。
【0022】
下地層130は、後述するように、感光性材料を露光・現像処理することにより形成されたものであり、その側端面130aは平坦となっている。下地層130は、ドット160の中央付近で樹脂が完全に除去された開口部135が形成され、観察側(表面)には、滑らかな凹凸状の面130b(以下、「凹凸面」と称する)を有している。
【0023】
反射層140は、例えば、アルミニウムまたは銀などの光反射性を有する材料を図3(a)、(b)に示したように、下地層130のうち観察側の面上に略一定の膜厚にて薄膜形成されたものであり、反射層140の表面は、下地層130の凹凸状の表面形状が反映された散乱反射面になっている。ここで、反射層140は、下地層130の開口135に相当する部分が除去された光透過部142を備えている。従って、本形態において、反射層140は、半透過反射層として構成されている。
【0024】
なお、説明の便宜上、以降の説明においては、第2基板120、下地層130、および反射層140を含む機能性基板を「電気光学装置用基板124」と称する。
【0025】
カラーフィルタ150R、150G、150Bは、各ドット160に対応して設けられた樹脂層である。各カラーフィルタは、顔料などにより赤色(R)、緑色(G)および青色(B)のいずれかにそれぞれ着色されており、その色に対応する波長の光を選択的に透過させる。なお、図2における「R」、「G」および「B」はドット160の各々が、いずれのカラーフィルタ150R、150G、150Bが配置されるドット160かを示している。
【0026】
ここで、カラーフィルタ150R、150G、150Bの境界領域には遮光層151が形成されており、遮光層151は、例えば、カーボンブラックが分散された黒色樹脂材料や、クロム(Cr)といった金属材料などにより形成されている。なお、遮光層151は、特定の材料によって形成されることに限定されず、例えば、着色層を構成するカラーフィルタ150R、150G、150Bの各着色層を二色または三色重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。
【0027】
複数のデータ線152の各々は、ITOなどの光透過性導電材料により形成された帯状の電極である。図2に示すように、データ線152は、カラーフィルタ150R、150G、150Bの面上に形成されており、上述した走査線116と交差する方向(図2中X方向)に延在し、第1基板110上に列をなす複数の画素電極114と対向するように位置する。そしてデータ線152は、図1に示したように、電気光学装置用基板124の側端面においては、その側端面を跨いで位置し、第2基板120上においては、観察側の面上に位置する。
【0028】
以上説明した構成の第1基板110および第2基板120は、図1に示すように、シール材170を介して貼り合わされるとともに、両基板とシール材170とによって囲まれた領域に、例えばTN(Twisted Nematic)型などの液晶180が封止される。かかる構成の下、第1基板110と第2基板120とにより狭持された液晶180は、画素電極114とこれに対向するデータ線152との間に電圧が印加されることにより、その配向方向が変化する。図2に示すように、この印加電圧に応じて液晶180の配向方向が変化する領域の最小単位160はマトリックス状に配列されており、その各々がサブ画素(ドット)として機能する。この液晶パネル102に観察側から外光が入射すると、外光は、液晶180を透過した後、電気光学装置用基板124により散乱反射されて、再び液晶180を透過した後、観察側に向けて出射され、反射モードでの画像を表示する。一方、液晶パネル102の背面側から入射したバックライトユニット104からの光は、開口部135および光透過部142を通過して液晶180の層に入射した後、観察側に出射され、透過モードで画像が表示される。
【0029】
[電気光学装置用基板124の構成]
図3(a)、(b)に示すように、電気光学装置用基板124は、第2基板120の表面に、下地層130および反射層140がこの順に積層されたものであり、反射層140の表面(反射部)は、下地層130の凹凸状の表面形状が反映された散乱反射面になっている。ここで、下地層130の多数の凸部には、高さ寸法の異なる複数種類の凸部131、132、133が含まれている。すなわち、下地層130の多数の凸部において、凸部132は凸部131よりも高く、凸部133は凸部132よりも高い。従って、電気光学装置用基板124では、凸部131、132、133が平面方向にランダムに配置され、かつ、高さの異なる凸部131、132、133が形成されているので、液晶装置100を構成したとき、反射層140の表面での反射に起因する干渉縞の発生を完全に防止することができる。
【0030】
[電気光学装置用基板124の製造方法]
図4は、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程図である。図5(a)、(b)は、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造に用いた大型基板(第2基板)の説明図、および露光マスクの説明図である。図6、図7および図8は、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0031】
本形態の電気光学装置基板124を製造するにあたっては、図4に示すように、アライメントマーク形成工程P1、塗布工程P2、乾燥工程P3、プリベーク工程P4、多重露光工程P5、現像工程P6、焼成工程P7、および反射層形成工程P8をこの順に行い、アライメントマーク形成工程P1では、図5(a)に示すように、基板上にアライメントマーク129を形成しておく。ここで、図5に示す基板は、電気光学装置用基板124を多数取りできるサイズの大型基板400であり、アライメントマーク129は、電気光学装置用基板124として切り出される領域410の外側のうち、領域410の各角部に近接する位置に形成されている。なお、アライメントマーク129の形成位置は、領域410の各角部に近接する位置に限らず、後述する露光マスクの位置決めに利用できれば、大型基板400上のいずれの位置であってもよい。
【0032】
また、本形態において、多重露光工程P5は、図5(b)に示すように、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスク、本形態では、4枚の露光マスク210、220、230、240で感光性樹脂を順次、露光して感光性樹脂に対する累積露光量を領域毎に相違させる。ここで、4枚の露光マスク210、220、230、240はいずれも、大型基板400をステップ露光するステップ露光用マスクであり、多重露光工程P3では、これらの露光マスク210、220、230を用いたステップ露光を繰り返すことにより感光性材料に対する多重露光を行う。また、露光マスク210、220、230、240には、それを大型基板400の所定領域に配置したときに、大型基板400のアライメントマーク129と位置合わせを行うためのアライメントマーク219、229、239、249が形成されている。
【0033】
以下、本形態の電気光学装置基板124の製造方法をより具体的に説明する。まず、図6(a)に示すように、第2基板120の観察側となる面に、クロムやアルミニウムなどといった薄膜128を形成した後、薄膜128の表面にレジストマスク127を形成し、この状態で、薄膜128をパターニングして、図6(b)に示すように、大型基板400(第2基板120)にアライメントマーク129を形成する(図4:プロセスP1/アライメントマーク形成工程)。
【0034】
次に、図6(c)に示すように、大型基板400に、例えばスピンコート法などにより、感光性材料の一種であるポジタイプの感光性樹脂138を塗布する(図4:プロセスP2/塗布工程)。この感光性樹脂138としては、例えばアクリル樹脂などを用いることができる。
【0035】
次に、第2基板120に塗布した感光性樹脂138を減圧環境下において乾燥させ(図4:プロセスP3)、乾燥した感光性樹脂138を85℃から105℃の範囲にてプリベーグする(図4:プロセスP4)。
【0036】
次に、図7(a)〜図7(d)に示すように、図5を参照して説明した露光マスク210、220、230、240を用いて感光性樹脂138を多重露光を行う(図4:プロセスP5/多重露光工程)。ここで、露光マスク210、220、230、240は、ガラスなどの光透過性を有する基板にクロムなどの遮光層が形成されたものであり、本形態では、かかる遮光層などを利用して、露光マスク210、220、230、240にはアライメントマーク219、229、239、249が形成されている。
【0037】
多重露光工程P5では、ステッパ露光装置において、図7(a)に示すように、まず、アライメントマーク129、219を用いて大型基板400と第1の露光マスク210とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(1回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第1の露光マスク210でステップ露光する。ここで、第1の露光マスク210は、図3(b)を参照して説明した凸部133に対応する領域のみに遮光部分211を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第1の露光マスク210の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(a)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0038】
次に、同じくステッパ露光装置において、図7(b)に示すように、アライメントマーク129、229を用いて大型基板400と第2の露光マスク220とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(2回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第2の露光マスク220でステップ露光する。ここで、第2の露光マスク220は、図3(b)を参照して説明した凸部132、133に対応する領域のみに遮光部分221を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第2の露光マスク220の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(b)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0039】
次に、同じくステッパ露光装置において、図7(c)に示すように、アライメントマーク129、239を用いて大型基板400と第3の露光マスク230とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(3回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第3の露光マスク230でステップ露光する。ここで、第3の露光マスク230は、図3(b)を参照して説明した凸部131、132、133に対応する領域のみに遮光部分231を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第3の露光マスク230の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(c)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0040】
次に、同じくステッパ露光装置において、図7(d)に示すように、アライメントマーク129、249を用いて大型基板400と第4の露光マスク240とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(4回目の露光)。そして、大型基板400に形成された感光性樹脂138全体に対して第4の露光マスク240でステップ露光する。ここで、第4の露光マスク240は、次の現像工程を終えた段階で感光性樹脂138を完全除去した部分を形成するための露光パターンを備えている。すなわち、第4の露光マスク240は、図3(b)を参照して説明した開口部135と対応する領域以外の全域に遮光部分241を備えた露光パターンを備えている。従って、感光性樹脂138は、第4の露光マスク240の露光パターンに対応する領域が露光され、図7(d)には、感光性樹脂138の累積露光量を点線で示してある。
【0041】
次に、所定の現像液で感光性樹脂138を現像する(図4:プロセスP6/現像工程)。その結果、図8(a)に示すように、感光性樹脂138は、露光量に応じて除去され、高さの異なる凸部131、132、133が形成された下地層130となる。また、下地層130には、感光性樹脂138が完全に除去された開口部135が形成される。次に、感光性樹脂138を焼成する(図4:プロセスP7)。
【0042】
次に、図8(b)に示すように、反射層140となるアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属層145を略一定の厚みで、例えばスパッタリングなどにより、下地層130を覆うように形成した後、金属層145の表面にレジストマスク260を形成し、この状態で、金属膜145にエッチングを行う。その結果、金属層125のうちレジストマスク260で覆われていない部分の金属層145が除去され、図3(a)、(b)を参照して説明したように、光透過部142を備えた反射層140が形成される(図4:プロセスP8)。
【0043】
このようにして、大型基板400の状態で散乱反射型の電気光学装置用基板124を製造する。その後、図1に示すように、第2基板120の反射面側(観察側)に、例えばクロムからなる薄膜を、例えばスパッタリング法などにより形成した後、パターニングし、格子状の遮光層151を形成する。なお、遮光層151は、特定の材料によって形成されることに限られず、例えば、着色層を構成するカラーフィルタ150R、150G、150Bの各着色層を二色または三色重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。次に、第2基板120における反射層140上に赤色、緑色および青色のカラーフィルタ150R、150Gおよび150Bの各々を、マトリックス状に形成する。これらのカラーフィルタ150R、150G、150Bの形成方法としては、例えば、顔料により着色された感光性樹脂により形成することができる。次に、カラーフィルタ150R、150G、150Bおよび遮光層151を覆うようにITOなどからなる薄膜を形成し、これをパターニングすることによってデータ線152を形成する。しかる後には、配向膜154を形成し、配向膜154の表面にラビング処理を施す。このような工程を経た第2基板120(大型基板400)と、画素電極114、走査線116、TFD素子115および配向膜118が形成された第1基板用の大型基板とを、互いの配向膜118、154を対向させた状態でシール材170を介して貼り合わせた後、所定サイズに切断し、基板間のシール材170によって囲まれた空間に液晶180を注入し、その後、封止材(図示せず)により液晶180が注入された空間を封止する。これにより、単品サイズの液晶パネル102が完成する。
【0044】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、感光性樹脂138を形成する前の段階で、大型基板400は、配線などの薄膜が一切形成されていないため、多重露光工程P5で露光マスク210、220、230、240同士の位置合わせを行う配線などが一切ないが、本発明では、塗布工程P2および多重露光工程P5を行う前に、アライメントマーク形成工程P1において大型基板400にアライメントマーク129を形成しておく。このため、多重露光工程P5では、大型基板129のアライメントマーク129に基づいて露光マスク210、220、230、240の位置決めを行うことができる。従って、多重露光を行っても、露光マスク210、220、230、240相互の位置ずれが発生しないので、精度の高い露光を行うことができる。従って、下地層130には高さ寸法の異なる複数種類の凸部131、132、133を所定位置に形成できるので、反射層140表面に光散乱用の凹凸を所定位置に形成できる。それ故、光散乱用の凹凸の配置パターンについては、平面方向の位置に加えて、高さ寸法というパラメータを追加できるので、干渉縞の発生を完全に防止することができる。なお、本形態では、多重露光工程の全ての露光前に、アライメントマーク129に基づく露光マスク210、220、230、240の位置決め工程を行ったが、2回目以降の各露光前にアライメントマーク129に基づく位置決めを行えば、多重露光工程で用いる露光マスク同士の位置ずれを効果的に防止することができる。
【0045】
[電気光学装置用基板124の別の製造方法]
図9は、本発明を適用した液晶装置の別の製造方法を示す工程断面図であり、本形態では、アライメントマーク形成工程において、露光されることで発色または変色する材料を用いて基板上にアライメントマークを形成し、多重露光工程では、最初の露光時にアライメントマークを露光してこのアライメントマークを発色または変色させる。
【0046】
このような方法を採用する場合には、まず、図9(a)に示すように、印刷、転写などの方法により、大型基板400(第2基板120)にアライメントマーク250を形成した後(アライメントマーク形成工程)、大型基板400に、例えばスピンコート法などにより、感光性材料の一種であるポジタイプの感光性樹脂138を塗布する(塗布工程)。ここで、アライメントマーク250は、ホトクロミック化合物や、光重合性不飽和結合を分子内に備えたモノマー、光重合開始剤、光酸発生剤などを含む材料から構成され、露光によって、変色あるいは発色を起こす材料である。
【0047】
次に、感光性樹脂138を乾燥、プリベーグした後、例えば、図7(d)を参照して説明した工程で用いた露光マスク240を用いて感光性樹脂138を露光する(1回目の露光)。その際、露光マスク240については、アライメントマーク259と透光部243とによって位置決めを行ってもよい(位置決め工程)。ここで、露光マスク240は、次の現像工程を終えた段階で感光性樹脂138を完全除去した部分を形成するための露光パターンを備えている。すなわち、第4の露光マスク240は、図3(b)を参照して説明した開口部135と対応する領域以外の領域に遮光部分241を備えた露光パターンを備えている。
【0048】
また、露光マスク240には、アライメントマーク250を部分的に露光するための透光部243を備えている。従って、この第1回目の露光の際、アライメントマーク250の一部が露光され、変色あるいは発色する結果、このような変色あるいは発色した部分で実質的なアライメントマーク259が形成される。
【0049】
従って、2回目の露光の際には、図9(b)に示すように、アライメントマーク219、259を用いて大型基板400と露光マスク210とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(2回目の露光)。ここで、露光マスク210は、図3(b)を参照して説明した凸部133に対応する領域のみに遮光部分211を備えた露光パターンを備えている。
【0050】
次に、図9(c)に示すように、アライメントマーク229、159を用いて大型基板400と第2の露光マスク220とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(3回目の露光)。ここで、露光マスク220は、図3(b)を参照して説明した凸部132、133に対応する領域のみに遮光部分221を備えた露光パターンを備えている。
【0051】
次に、図9(d)に示すように、アライメントマーク239、159を用いて大型基板400と露光マスク230とを位置合わせした後(位置決め工程)、感光性樹脂138を露光する(4回目の露光)。ここで、露光マスク230は、図3(b)を参照して説明した凸部131、132、133に対応する領域のみに遮光部分231を備えた露光パターンを備えている。
【0052】
従って、感光性樹脂138を現像すると(現像工程)、図8(a)に示すように、感光性樹脂138は、露光量に応じて除去され、高さの異なる凸部131、132、133が形成された下地層130となる。また、下地層130には、感光性樹脂138が完全に除去された開口部135が形成される。
【0053】
次に、図8(b)に示すように、反射層140となるアルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属層145を略一定の厚みで、例えばスパッタリングなどにより、下地層130を覆うように形成した後、金属層145の表面にレジストマスク260を形成し、この状態で、金属膜145にエッチングを行う。その結果、金属層125のうちレジストマスク260で覆われていない部分の金属層145が除去され、図3(a)、(b)を参照して説明したように、光透過部142を備えた反射層140が形成される。以降の工程は、上記の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
このように構成すれば、1回目の露光の際の露光マスク240の位置を基準に以降の位置決めが行われるので、多重露光工程で用いる露光マスク210、220、230、240同士の位置ずれを確実に防止することができる。
【0055】
[その他の実施の形態]
なお、電気光学装置用基板124などの製造は、大型基板400をステッパ露光する場合の他、大型基板400を一括露光する場合もある。このような場合にも、図10(a)に示すように、電気光学装置用基板124として切り出される領域410の外側にアライメントマーク129を形成しておく一方、図10(b)に示すように、大型基板400を一括露光する露光マスク210、220、230、240のいずれにも、アライメントマーク219、229、239、249を形成しておく。そして、多重露光工程P5では、一括露光用マスク(露光マスク210、220、230、240)を用いた一括露光を繰り返すまたはそれぞれの露光方法により露光を行うことにより感光性樹脂138に対する多重露光を行う。このような一括露光は、従来、ステップ露光と比較して露光マスク210、220、230、240の位置決め精度が低い傾向にあったが、本発明によれば、一括露光でも、精度の高い露光を行うことができる。なお、この場合も、アライメントマーク129の形成位置は、露光マスクの位置決めに利用できれば、大型基板400上のいずれの位置であってもよい。
【0056】
また、多重露光工程P5では、図5(b)に示すステップ露光用の露光マスクと、一括露光用の露光マスクとを併用してもよい。この場合、ステップ露光用マスクを用いたステップ露光と、一括露光用マスクを用いた一括露光とを繰り返すことにより感光性樹脂1358に対する多重露光を行うことになる。
【0057】
さらに、複数の露光マスク210、220、230、240としては、外形のサイズが異なるマスクを用いてもよい、このように構成すると、基板上の露光したい部分に対応するサイズの露光マスクで露光を行うことができる。
【0058】
なお、上記形態では、ポジ型の感光性樹脂138を用いて下地層130を形成した例であったが、ネガタイプの感光性樹脂138を用いて下地層130を形成する場合に本発明を適用してもよい。
【0059】
また、上記形態では、半透過反射型の液晶装置100に用いる電気光学装置用基板124を説明したが、全反射型の液晶装置100に用いる電気光学装置用基板124の場合には、開口部135や光透過部142を形成する必要がない。このような場合にも本発明を適用してもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態はいずれも、アクティブ素子としてTFD素子を用いた液晶パネルを備えた電気光学装置を例に説明したが、アクティブ素子としてTFTを用いた液晶パネルを備えた電気光学装置などに本発明を適用してもよい。
【0061】
このようなTFTアクティブマトリクス型液晶装置の場合、凹凸形成用の下地層130の下層側に配線が形成される。従って、アライメントマーク形成工程では、アライメントマークを形成すると同時に、基板上に配線、その他のパターンを形成してもよい。また、TFDアクティブマトリクス型液晶装置でも、凹凸形成用の下地層130を第1基板110(素子基板)の方に形成する場合には、下地層130を形成する前に配線を形成する場合がある。従って、アライメントマーク形成工程では、アライメントマークを形成すると同時に、基板上に銅やアルミニウムなどにより配線、その他のパターンを形成してもよい。
【0062】
また、上記形態では、感光性樹脂138の露光工程に本発明を適用したが、感光性樹脂138に対する露光工程に限らず、基板あるいは基板上に形成した薄膜に対するアニールなどの光照射(露光)に本発明を適用してもよい。
【0063】
[電子機器への搭載例]
本発明を適用した液晶装置100は、図11に示す携帯電話機300の表示部として用いることができる。ここで、携帯電話機300は、複数の操作ボタン310の他、受話口320、送話口330を備えている。なお、液晶装置100は、携帯電話機300の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、ムービーカメラ、車載機器、オーディオ機器、プロジェクタなどの電子機器に搭載される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明を適用した液晶装置の断面図である。
【図2】図1に示す液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ、本実施形態に係る液晶装置に用いた電気光学装置用基板の1ドット分の平面図、およびそのB−B′線断面を模式的に示す説明図である。
【図4】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程図である。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造に用いた大型基板の説明図、および露光マスクの説明図である。
【図6】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図9】本発明を適用した電気光学装置用基板の別の製造方法を示す工程断面図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ、図1に示す液晶装置に用いた電気光学装置用基板の製造に用いた別の大型基板の説明図、および別の露光マスクの説明図である。
【図11】本発明を適用した液晶装置を備えた電子機器の説明図である。
【図12】従来の電気光学装置用基板の製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0065】
100 液晶装置(電気光学装置)、110 第1基板、120 第2基板、124 電気光学装置用基板、129、250、259 基板側のアライメントマーク、130 下地層、131、132、133 凸部、135 開口部、138 ポジタイプの感光性樹脂(感光性材料)、140 反射層、142 透光部、180 液晶(電気光学物質)、210、220、230、240 露光マスク、219、229、239、249 露光マスクのアライメントマーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、
前記基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、
互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、
前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、
前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、
前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記アライメントマーク形成工程では、前記アライメントマークを形成すると同時に、前記基板上に配線パターンを形成することを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記アライメントマーク形成工程では、露光されることで発色または変色する材料を用いて前記基板上に前記アライメントマークを形成し、
前記多重露光工程では、最初の露光時に前記アライメントマークを露光し、該アライメントマークを発色または変色させることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記多重露光工程では、前記現像工程において前記感光性材料の一部の領域が除去されるように露光し、
前記反射層形成工程では、前記除去した部分に対応する領域に、反射層が設けられていない領域を形成することを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記複数の露光マスクには、外形のサイズが異なるマスクが含まれていることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記複数の露光マスクには、前記基板をステップ露光するためのステップ露光用マスクと、当該基板を一括露光するための一括露光用マスクとが含まれており、
前記多重露光工程では、前記ステップ露光用マスクを用いたステップ露光をする工程と、前記一括露光用マスクを用いた一括露光をする工程とを行うことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項7】
電気光学物質を挟持する一対の基板の一方の基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、
前記一方の基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、
互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、
前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、
前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、
前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には、前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項1】
基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、
前記基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、
互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、
前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、
前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、
前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記アライメントマーク形成工程では、前記アライメントマークを形成すると同時に、前記基板上に配線パターンを形成することを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記アライメントマーク形成工程では、露光されることで発色または変色する材料を用いて前記基板上に前記アライメントマークを形成し、
前記多重露光工程では、最初の露光時に前記アライメントマークを露光し、該アライメントマークを発色または変色させることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記多重露光工程では、前記現像工程において前記感光性材料の一部の領域が除去されるように露光し、
前記反射層形成工程では、前記除去した部分に対応する領域に、反射層が設けられていない領域を形成することを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記複数の露光マスクには、外形のサイズが異なるマスクが含まれていることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記複数の露光マスクには、前記基板をステップ露光するためのステップ露光用マスクと、当該基板を一括露光するための一括露光用マスクとが含まれており、
前記多重露光工程では、前記ステップ露光用マスクを用いたステップ露光をする工程と、前記一括露光用マスクを用いた一括露光をする工程とを行うことを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項7】
電気光学物質を挟持する一対の基板の一方の基板上にアライメントマークを形成するアライメントマーク形成工程と、
前記一方の基板上に感光性材料を塗布する塗布工程と、
互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光工程と、
前記感光性材料を現像して高さの異なる凸部を備えた下地層を形成する現像工程と、
前記下地層上に反射層を形成する反射層形成工程とを有し、
前記多重露光工程において、少なくとも2回目以降の各露光前には、前記アライメントマークに基づいて前記各露光マスクの位置決めを行う位置決め工程を行うことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−39348(P2006−39348A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221374(P2004−221374)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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