説明

電気化学的再生が可能な触媒およびそれを用いた有機化合物の還元方法

【課題】
有機化合物の還元、特にカルボニル基を含む有機化合物の還元に有用であり、かつ、電気化学的に再生可能な触媒を提供すること。
【解決手段】
下記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒により上記課題を解決する。
【化1】


[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基であり、R5は、水素原子又はC1〜C10アルキル基であり、Mは、1価〜6価の遷移金属である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的再生可能な触媒及びその製造方法ならびに当該触媒を用いた有機化合物の還元方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題との関連で炭酸ガスの有効利用が社会的に要求されている。最も基本的な炭酸ガスの2電子還元反応の生成物はCO(A式)とHCOOH(B式)である。
【化8】

【0003】
一方、工業的水素製造プロセスである水性ガス移動反応にはCO酸化によるH2発生(C式)と、COとOH-の反応で生成するHCOO-(D式)の分解によるH2発生(E式)が知られている。
【化9】

【0004】
水性ガス移動反応(上記C式、E式)は発熱反応のため自発的に進行するのに対して、炭酸ガス還元反応(上記A式、B式)は吸熱反応のため電気あるいは光により外部から反応系にエネルギーを注入して反応を進行させる必要がある。そこで、両反応をほぼ同一の反応機構で進行させることを可能とさせるべく、適当な触媒が望まれていた。
【0005】
他方、下記のようなNAD+/NADH型反応式が知られている。
【化10】

[上記式中、Rは、アデニンヌクレオシド又はアデニンジヌクレオシドリン酸である。]
【0006】
しかしながら、このようなピリジニウム構造を有するモデル化合物(R’=アルキル基)は、1電子還元を受けることによりカップリング反応が優先して進行し、基質を還元するためのH-を生成することができず(下記反応スキーム参照)、さらには酸や塩基に対して不安定であることから、触媒としての使用に適さないという問題があった。
【化11】

[上記式中、R’はアルキル基である。]
【0007】
したがって、炭酸ガスのようなカルボニル基を含む有機化合物の還元を可能とする電気化学的に再生可能な触媒がいまだ得られていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、有機化合物の還元、特にカルボニル基を含む有機化合物の還元に有用であり、かつ、電気化学的に再生可能な触媒を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、NAD+/NADH系の酸化還元機構を有する新規な金属錯体を見出し、この錯体を用いることにより、カルボニル基を含む有機化合物を電気還元条件下で還元できることを見出して、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の第1態様では、下記式(1a)で示される電気化学的再生が可能な触媒用中間体が提供される。
【化12】

[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基である。]
【0011】
また、本発明の第2態様では、下記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒が提供される。
【化13】

[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基であり、R5は、水素原子又はC1〜C10アルキル基であり、Mは、1価〜6価の遷移金属である。]
【0012】
また、本発明の第3態様では、本発明の第2態様にかかる触媒の製造方法の一態様、すなわち、塩基存在下で、下記式(2)で示されるピリジン誘導体と、
【化14】

[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。] 下記式(3)で示されるキノリン誘導体と、
【化15】

[式中、R6及びR7は、上記の意味を有する。] を反応させ、反応生成物を得る第1工程と、第1工程で得られた反応生成物を遷移金属Mに配位させる第2工程と、第2工程で得られた錯体と、下記式(4)で示されるカチオンと
【化16】

[式中、R5は、上記の意味を有する。] を反応させる第3工程を含むことを特徴とする、上記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の第4態様では、本発明の第2態様にかかる触媒を用いた有機化合物を還元する方法、すなわち、上記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒存在下で、酸性条件下における電気化学的条件下において、有機化合物を還元する還元方法が提供される。
【0014】
本発明の第1態様において、R1、R2、R3、R4、R6及びR7が、水素原子であることが好ましい。
本発明の第2態様、第3態様及び第4態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、水素原子であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の第2態様、第3態様及び第4態様において、Mが、2,2’−ビピリジンが配位可能な金属であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の第4態様において、前記有機化合物が、カルボニル基を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ケトン等の有機化合物を触媒的に還元することが可能となった。これにより、貯蓄困難な電気エネルギーを有機物の状態で効率的に貯蓄することが可能となり、クリーンエネルギーやグリーンケミストリーの分野での応用が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の第1態様では、下記式(1a)で示される電気化学的再生が可能な触媒用中間体が提供される。
【化17】

【0019】
上記式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基である。
【0020】
本明細書において、「C1〜C10アルキル基」は、C1〜C6アルキル基であることが好ましく、C1〜C3アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、又はヘキシル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「C6〜C10アリール基」の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、又はインデニル等を挙げることができる。
【0022】
本発明の第1態様において、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、合成の簡便性および立体的要因の観点から、水素原子であることが好ましい。
【0023】
本発明の第2態様では、下記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒が提供される。
【化18】

【0024】
上記式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7についての説明は、本発明の第1態様で説明したのと同様である。
【0025】
また、上記式(1b)中、R5は、水素原子又はC1〜C10アルキル基である。
本発明の第2態様において、R5は、生成物の安定性および反応条件の利便性の観点から、水素原子であることが好ましい。
【0026】
上記式(1b)中、Mは、1価〜6価の遷移金属である。
本発明の第2態様において、Mは、配位子が配位でき、かつ反応中に金属にレドックスがかからない(金属の酸化還元電位が配位子のレドックス準位と大きく異なっている)ことが重要である。
Mは、2,2’−ビピリジンが配位可能な金属であることが好ましく、具体的には、ルテニウムであることが最も好ましい。
【0027】
本発明の第2態様において、Mは、配位子を有していてもよい。
Mが有する配位子としては、アミン、ハロゲン原子、ホスフィンあるいはホスファイト等の支持配位子が挙げられ、これに加えて還元反応時に脱離可能なニトリル、ケトン、水等の配位子を有していてもよい。
【0028】
アミンは、配位子としては、ピリジン、ビピリジン、テルピリジル、又はキノリン等の芳香族アミンであってもよいし、エチレンジアミンのようなアルキレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラアルキルエチレンジアミンのようなN,N,N’,N’−四置換アルキレンジアミン、又はトリスエチレンジアミンのようなトリスアルキレンジアミン等の脂肪族アミンであってもよい。
【0029】
ニトリルは、配位子としては、シアン化アルキル、又はシアン化アリール等であってもよいが、アセトニトリルであることが好ましい。
【0030】
ケトンは、配位子としては、アセトンであることが好ましい。
【0031】
ホスフィンは、ジフェニルホスフィンのようなジアリールホスフィン、トリフェニルホスフィンのようなトリアリールホスフィン、トリエチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンのようなα,ω−ビス(ジアリールホスフィノ)アルカン、P,P,P’,P’,P”,P”−ヘキサフェニル−トリスエチレンテトラホスフィンのようなP,P,P’,P’,P”,P”−六置換−トリスアルキレンテトラホスフィン等であってもよい。
ホスファイトは、ホスフィンと同様である。
【0032】
本発明の第2態様において、Mは、アミン、ニトリル、ケトン、ハロゲン原子等の配位子を有することが好ましく、2,2’−ビピリジン、2,2':6',2"-ターピリジル、アセトン、水、アセトニトリル等の配位子を有することがより好ましい。
【0033】
本発明の第2態様にかかる触媒は、例えば、下記に示す錯体であることがより好ましい。
【化19】

[式中、「Solv.」とは溶媒(水、アセトン、アセトニトリル等)を意味する。]
【0034】
本発明の第3態様では、本発明の第2態様にかかる触媒の製造方法の一態様が提供される。すなわち、塩基存在下で、下記式(2)で示されるピリジン誘導体と、下記式(3)で示されるキノリン誘導体とを反応させ、反応生成物を得る第1工程と、第1工程で得られた反応生成物を遷移金属Mに配位させる第2工程と、第2工程で得られた錯体と、下記式(4)で示されるカチオンとを反応させる第3工程を含むことを特徴とする、下記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒の製造方法が提供される。
【化20】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びMは、上記の意味を有する。]
【0035】
本発明の第3態様では、下記式(2)で示されるピリジン誘導体が用いられる。
【化21】

【0036】
上記式中、R1、R2、R3及びR4についての説明は、本発明の第1態様で説明したのと同様である。
【0037】
本発明の第3態様では、下記式(3)で示されるキノリン誘導体が用いられる。
【化22】

【0038】
上記式中、R6及びR7についての説明は、本発明の第1態様で説明したのと同様である。
【0039】
本発明の第3態様では、塩基存在下で、上記式(2)で示されるピリジン誘導体と、上記式(3)で示されるキノリン誘導体とを反応させ、反応生成物を得る(第1工程)。
本発明の第3態様の第1工程において、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびこれらをアルコールに溶解することによって生成するアルコキシド等の塩基触媒を挙げることができ、アルコキシドを用いることが好ましい。
【0040】
本発明の第3態様の第1工程では、上記式(2)で示されるピリジン誘導体1モルに対して、上記式(3)で示されるキノリン誘導体を0.1モル〜10モル用いることが好ましく、0.5モル〜5モル用いることがより好ましく、0.8モル〜2モル用いることがさらに好ましく、約1モル用いることが特に好ましい。
【0041】
本発明の第3態様の第1工程では、典型的には、上記式(2)で示されるピリジン誘導体と上記式(3)で示されるキノリン誘導体の溶液に塩基を滴下して放置し、析出してくる固体を精製して反応生成物を得る。
【0042】
本発明の第3態様の第1工程では、塩基存在下で下記式(2)で示されるピリジン誘導体と、下記式(3)で示されるキノリン誘導体とを反応させることにより、カップリング反応が起こり、本発明の第1態様にかかる中間体である下記式(1a)で示されるベンゾナフチリジン誘導体が反応生成物として得られると考えられる。
【化23】

[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、上記の意味を有する。]
例えば、R1、R2、R3、R4、R6及びR7がすべて水素原子であり、塩基としてエトキシドを用いた場合には、下記反応機構が提案される。もっとも、この反応機構は仮説に過ぎず、本発明はこの反応機構に限定されるものではない。
【化24】

【0043】
本発明の第3態様の第1工程では、反応は、好ましくは−100℃〜100℃の温度範囲で行われ、より−50℃〜50℃の温度範囲で行われ、更に好ましくは20℃〜30℃の温度範囲で行われる。
本発明の第3態様の第1工程では、圧力は、常圧であることが好ましい。
【0044】
本発明の第3態様の第1工程では、溶媒としては、上記式(2)で示されるピリジン誘導体と上記式(3)で示されるキノリン誘導体を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。メタノール又はエタノールのようなアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。塩基がアルコキシドであることが好ましいという観点から、アルコール系溶媒を用いることが好ましい。
【0045】
本発明の第3態様の第1工程では、反応時間は、8時間〜7日であることが好ましく、24時間〜5日であることがより好ましく、2日〜4日であることがさらに好ましく、約3日であることが特に好ましい。
【0046】
本発明の第3態様では、続いて、第1工程で得られた反応生成物を遷移金属Mに配位させる(第2工程)。
遷移金属Mについての説明は、本発明の第2態様で説明したのと同様である。
【0047】
本発明の第3態様の第2工程では、典型的には、遷移金属Mを含む金属塩又は金属錯体の溶液に、金属塩又は金属錯体にハロゲン原子を含む場合はハロゲンを除去するために銀化合物の溶液を加え、攪拌する。析出してくる銀塩を除去した後、第1工程で得られた反応生成物を加えて攪拌することにより、遷移金属Mに第1工程で得られた反応生成物を配位させることができる。
【0048】
本発明の第3態様の第2工程で用いられる金属塩としては、Mについての塩酸、硫酸等の無機酸の塩、及び、酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸の塩を用いることができる。例えば、塩化ルテニウムのようなハロゲン化ルテニウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化銅などを挙げることができる。
【0049】
本発明の第3態様の第2工程で用いられる金属錯体としては、ルテニウム錯体であることが好ましい。この場合、配位子としては、アミン、ニトリル、ハロゲン原子、水、ケトン、ホスフィン、ホスファイト等を挙げることができる。本発明の第3態様の第2工程で用いられる金属錯体としては、好ましくは、ジクロロビス(2,2'-ビピリジル)ルテニウム、トリクロロ(2,2':6',2"-ターピリジル)ルテニウムなどを挙げることができる。
【0050】
本発明の第3態様の第2工程では、第1工程で得られる反応生成物1モルに対して、遷移金属Mを含む金属塩又は金属錯体を0.1モル〜10モル用いることが好ましく、0.5モル〜5モル用いることがより好ましく、0.8モル〜2モル用いることがさらに好ましく、約1モル用いることが特に好ましい。
【0051】
本発明の第3態様の第2工程では、ハロゲン化物イオンの除去の観点から好ましくは銀化合物が用いられる。
銀化合物としては、ヘキサフルオロリン酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀などを好ましく挙げることができる。
【0052】
本発明の第3態様の第2工程では、第1工程で得られる反応生成物中のハロゲン1モルに対して、銀化合物は、0.1モル〜10モル用いることが好ましく、0.5モル〜5モル用いることがより好ましく、0.8モル〜2モル用いることがさらに好ましく、約1モル用いることが特に好ましい。
【0053】
本発明の第3態様の第2工程では、第1工程で得られた反応生成物と、ハロゲン原子を含む場合は銀化合物によってハロゲン原子を除去した遷移金属Mを含む適当な金属塩又は金属錯体と反応させることにより、下記式(5)で示される錯体が得られると考えられる。
【化25】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びMは、上記の意味を有する。]
【0054】
本発明の第3態様の第2工程では、反応は、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で行われ、より30℃〜90℃の温度範囲で行われ、更に好ましくは50℃〜80℃の温度範囲で、特に好ましくは約70℃で行われる。
本発明の第3態様の第2工程では、圧力は、常圧であることが好ましい。
【0055】
本発明の第3態様の第2工程で用いられる溶媒としては、遷移金属Mを含む金属塩又は金属錯体、及び銀化合物を用いる場合は銀化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。2−メトキシエタノールのようなアルコキシアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0056】
本発明の第3態様の第2工程では、銀化合物を用いる場合は、遷移金属Mを含む金属塩または金属錯体と銀化合物との反応時間は、30分〜10時間であることが好ましく、1時間〜5時間であることがより好ましく、1時間〜3時間であることがさらに好ましく、約2時間であることが特に好ましい。
本発明の第3態様の第2工程では、その後、第1工程で得られた反応混合物を加えて反応させる際の反応時間は、1時間〜1日であることが好ましく、5時間〜20時間であることがより好ましく、10時間〜14時間であることがさらに好ましく、約12時間であることが特に好ましい。
【0057】
本発明の第3態様では、続いて、第2工程で得られた錯体と、下記式(4)で示されるカチオンとを反応させる(第3工程)。
【化26】

上記式中、R5についての説明は、本発明の第2態様で説明したのと同様である。
【0058】
本発明の第3態様の第3工程では、第2工程で得られた錯体1モルに対して、上記式(4)で示されるカチオンを過剰量用いることが好ましい。
【0059】
本発明の第3態様の第3工程では、典型的には、第2工程で得られた錯体の溶液にプロトン化剤又はアルキル化剤を反応させ、上記式(1b)で示される錯体を得る。
【0060】
本発明の第3態様の第3工程で用いられるプロトン化剤としては、各種の酸を挙げることができる。
【0061】
本明細書において、「酸」としては、広く有機酸、無機酸を挙げることができる。
【0062】
本明細書において、「有機酸」としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、乳酸、グルコン酸等を挙げることができる。また、「無機酸」としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、炭酸、リン酸、アルミン酸、ジルコン酸等を挙げることができる。
【0063】
本発明の第3態様の第3工程で用いられるプロトン化剤としては、酢酸、リン酸等であることが好ましい。
【0064】
本発明の第3態様の第3工程で用いられるアルキル化剤としては、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム等のトリアルキルオキソニウム塩、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、メチルトリフラート等のアルキルトリフラート等を挙げることができ、テトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウムを用いることが好ましい。
【0065】
本発明の第3態様の第3工程では、反応は、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で行われ、より30℃〜90℃の温度範囲で行われ、更に好ましくは50℃〜80℃の温度範囲で、特に好ましくは約70℃で行われる。
本発明の第3態様の第3工程では、圧力は、常圧であることが好ましい。
【0066】
本発明の第3態様の第3工程では、溶媒としては、第2工程で得られた錯体を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。2−メトキシエタノールのようなアルコキシアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン又はジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0067】
本発明の第3態様の第3工程では、反応時間は、10分〜5時間であることが好ましく、20分〜1時間であることがより好ましく、約30分であることが特に好ましい。
【0068】
本発明の第4態様では、本発明の第2態様にかかる触媒を用いた有機化合物を還元する方法、すなわち、上記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒存在下で、酸性条件下における電気化学的条件下において、有機化合物を還元する還元方法が提供される。
【0069】
本発明の第4態様において、前記有機化合物はカルボニル基を有することが好ましく、例えば、下記反応式に従って有機化合物が還元される。
【化27】

【0070】
上記式中、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、又は置換基を有していてもよいC6〜C10アリール基である。
【0071】
本発明の第4態様において、A1及びA2で示される「C1〜C10アルキル基」、「C6〜C10アリール基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1〜C10アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0072】
本発明の第4態様において、A1及びA2は、C1〜C3アルキル基、ハロゲン原子を有するC1〜C3アルキル基、又はフェニル基であることが好ましく、メチル基、トリフルオロメチル基、又はフェニル基であることがより好ましい。
よい。
【0073】
本発明の第4態様にかかる還元方法は、典型的には、図1で示される触媒還元反応に従って進行する。
即ち、式(1b)で示される触媒(酸化型)は、酸性条件下、電気化学条件下で2電子1プロトンによる還元を受け、還元型(1b’)となる。有機化合物(7)は還元型(1b’)からのヒドリドH-の移動により還元され、有機化合物(7”)を経て酸性条件下で有機化合物(7’)となる。他方、還元型(1b’)はヒドリドH-の放出により酸化型(1b)に戻る。
【0074】
本発明の第4態様において、酸性条件下とは、プロトンを産出する条件下であれば特に制限はなく、例えば、酢酸−酢酸ナトリウムバッファ、リン酸−リン酸二水素カリウムバッファ等の緩衝溶液を用いることが好ましい。緩衝溶液とアセトン等との混合溶媒を用いてもよい。
また、溶媒に加える電解質としては、塩化ナトリウム、リン酸カリウム等の塩を特に制限なく使用することができる。
【0075】
本発明の第4態様において、電気化学条件下としては、0V〜−2Vの範囲の電位で反応を行うことが好ましく、−0.8V〜−1.2Vの範囲の電位で反応を行うことがより好ましい。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0077】
すべての反応は、特に言及しない限り、窒素雰囲気下のもとで行われた。
実施例で用いた各試薬の入手先を下記に示す。

2-アセチルピリジン 東京化成
エタノール(脱水) 関東化学
水酸化カリウム 関東化学
塩化アンモニウム 関東化学
酢酸エチル ナカライテスク
硫酸ナトリウム 和光純薬
Al2O3 (N) Super I ICNバイオメディカル(ICN Biomedicals GmbH)
塩化ルテニウム フルヤ金属
2,2'-ビピリジン 東京化成
2,2':6',2"-ターピリジン アルドリッチ(Aldrich)
ヘキサフルオロリン酸銀 アルドリッチ(Aldrich)
2-メトキシエタノール ナカライテスク
テトラフルオロ硼酸トリメチルオキソニウム アルドリッチ(Aldrich)
アセトニトリル ナカライテスク
ジエチルエーテル ナカライテスク
1,2-ジクロロエタン 東京化成
アセトン ナカライテスク
a,a,a-トリフルオロアセトフェノン アルドリッチ(Aldrich)
【0078】
1H NMRスペクトルは、JEOL GX-500 spectrometerで測定した。
GC(ガスクロマトグラフ)は、Shimadzu GC-14Bで測定した。
GC−MS(質量分析)は、Shimadzu GCMS-QP5050Aで測定した。
ESI−MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析)は、Shimadzu LCMS-2020で測定した。
【0079】
実施例1
6-(2-ピリジル)ベンゾ[b]-1,5-ナフチリジン(pbn)
【化28】

3−アミノキノアルデヒド(186mg、1.08mmol)と2−アセチルピリジン(121μL、1.08mmol)を12mLのエタノールに懸濁させ、KOHのエタノール溶液を数滴加えた後、暗所で3日間放置した。橙色の固体が析出した。3日後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、アルミナカラムで精製し(Al2O3(N)/EtOAc)、表題化合物を得た。収量85.1mg(31%)。
【0080】
1H MNR (500MHz, CDCl3) :δ 9.08 (s, 1H), 8.90 (d, 1H, J(H-H) = 9.2 Hz), 8.79 (d, 1H, J(H-H) = 4.9 Hz), 8.72 (d, 1H, J(H-H) = 7.9 Hz), 8.63 (d, 1H, J(H-H) = 9.2 Hz), 8.28 (d, 1H, J(H-H) = 9.2 Hz), 8.12 (d, 1H, J(H-H) = 9.2 Hz), 7.92 (t, 1H, J(H-H) = 7.9及び 1.2 Hz), 7.85 (m, 1H), 7.61 (t, 1H, J(H-H) = 7.3 Hz), 7.42 (m, 1H).
【0081】
実施例2(錯体1の調製)
[Ru(pbn)(bpy)2](PF6)2(錯体1)
【化29】

ジクロロビス(2,2'-ビピリジル)ルテニウム([RuCl2(bpy)2])(53mg, 0.109mmol)を20mLの2−メトキシエタノールに溶解し、AgPF6(60mg, 0.237mmol)の2−メトキシエタノール溶液(5mL)を加え、70℃で2時間攪拌した。析出してくるAgClをセライト濾過で除去した後、実施例1で得た6-(2-ピリジル)ベンゾ[b]-1,5-ナフチリジン(28mg、0.109mmol)を加え、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却後、溶液を1mLまで濃縮し、NH4PF6水溶液に注いだ。析出してきた固体を濾取して乾燥し、表題化合物を得た。収量92mg(88%)。得られた表題化合物のX線結晶構造解析を図2に示す。
【0082】
1H NMR (500 MHz, アセトン-d6): d 9.15 (d, 1H, J(H-H) = 7.8 Hz), 9.09 (d, 1H, J(H-H) = 9.3 Hz), 8.91 (d, 1H, J(H-H) = 1.0 Hz), 8.90 (d, 1H, J(H-H) = 7.8 Hz), 8.81 (d, 1H, J(H-H) = 9.3 Hz), 8.71 (d, 1H, J(H-H) = 8.3 Hz), 8.55 (s, 1H), 8.54 (d, 1H, J(H-H) = 6.3 Hz), 8.47 (d, 1H, J(H-H) = 5.4 Hz), 8.35 (dt, 1H, J(H-H) = 7.8及び 1.0 Hz), 8.32 (dt, 1H, J(H-H) = 7.8及び 1.0 Hz), 8.27 (dt, 1H, J(H-H) = 9.3及び 1.0 Hz), 8.23 (dt, 1H, J(H-H) = 9.3及び 1.0 Hz), 8.16 (d, 1H, J(H-H) = 8.8 Hz), 8.12 (d, 1H, J(H-H) = 4.9 Hz), 8.02 (dt, 1H, J(H-H) = 7.8 及び 1.0 Hz), 7.99 (d, 1H, J(H-H) = 5.4 Hz), 7.93 (dt, 1H, J(H-H) = 8.3及び 1.0 Hz), 7.85 (dt, 1H, J(H-H) = 7.8及び 1.0 Hz), 7.83 (d, 1H, J(H-H) = 5.6 Hz), 7.67 (dt, 1H, J(H-H) = 5.4及び 1.0 Hz), 7.59 (t, 1H, J(H-H) = 7.3 Hz), 7.56 (dt, 1H, J(H-H) = 5.9及び 1.0 Hz), 7.48 (dt, 1H, J(H-H) = 6.3及び 1.0 Hz), 7.42 (dt, 1H, J(H-H) = 7.3及び 1.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J(H-H) = 8.3 Hz).
【0083】
実施例3(錯体2の調製)
[Ru(pbn)(tpy)(MeCN)](PF6)2(錯体2)
【化30】

【0084】
トリクロロ(2,2':6',2"-ターピリジル)ルテニウム([RuCl3(tpy)])(85mg, 0.193mmol)を20mLの2−メトキシエタノールに溶解し、AgPF6(50mg, 0.198mmol)の2−メトキシエタノール溶液(5mL)を加え、70℃で2時間攪拌した。析出してくるAgClをセライト濾過で除去した後、実施例1で得た6-(2-ピリジル)ベンゾ[b]-1,5-ナフチリジン(50、0.194mmol)を加え、70℃で12時間攪拌した。溶液の色が赤褐色から青色に変化した。室温まで冷却後、溶液を1mLまで濃縮し、NH4PF6水溶液に注いだ。析出してきた固体([Ru(pbn)(tpy)Cl](PF6)])を濾取して乾燥した。収量90mg(60%)。
【0085】
上述のようにして得られた[Ru(pbn)(tpy)Cl](PF6) (90mg, 0.116mmol)を30mLの1,2-ジクロロエタンに溶解し、過剰量のテトラフルオロホウ酸トリメチルオキソニウム(Me3OBF4)(200mg, 1.35mmol)を加え、70℃で2時間攪拌した。緑色固体が析出した。溶媒を除去後、残渣を2-メトキシエタノールに溶解し、NH4PF6水溶液に注いだ。析出してきた固体を濾取し、乾燥した。収量66mg([Ru(pbn)(tpy)(H2O)](PF6)2,64%)。アセトニトリル−ジエチルエーテル(MeCN-Et2O)から再結晶することにより、表題化合物 [Ru(pbn)(tpy)(NCMe)](PF6)2を青色結晶として得た。得られた表題化合物のX線結晶構造解析を図3に示す。
【0086】
1H MNR (500MHz, CD3CN):δ10.04 (s, 1H), 9.00 (d, 1H, J(H-H) = 8.3 Hz), 8.86 (d, 1H, J(H-H) = 9.3 Hz), 8.60 (d, 1H, J(H-H) = 8.3 Hz), 8.57 (d, 2H, J(H-H) = 7.8 Hz), 8.43 (d, 2H, J(H-H) = 7.8 Hz), 8.38 (d, 2H, J(H-H) = 7.8 Hz), 8.24 (d, 1H, J(H-H) = 8.3 Hz), 8.06 (td, 1H, J(H-H) = 7.8及び 1.5 Hz), 7.99 (td, 2H, J(H-H) = 7.8及び 1.5 Hz), 7.92 (t, 1H, J(H-H) = 7.8 Hz), 7.77 (t, 1H, J(H-H) = 7.8 Hz), 7.67 (d, 2H, J(H-H) = 5.4 Hz), 7.50 (d, 1H, J(H-H) = 6.3 Hz), 7.24 (td, 2H, J(H-H) = 7.8及び 1.5 Hz), 7.21 (t, 1H, J(H-H) = 8.8 Hz), 2.10 (s, 3H).
【0087】
実施例4(錯体1を用いた電気化学的触媒還元反応)
以下の条件で、アセトンを還元し、イソプロピルアルコールを得た。生成物はGC-MS及びGCで確認された。
【化31】

触媒:[Ru(pbn)(bpy)2](PF6)2(錯体1)
溶媒:0.1M 酢酸−酢酸ナトリウムバッファー/アセトン(1:1v/v)10mL+10mL
基質:アセトン(溶媒を兼ねる)
電解質:NaCl 0.1M
電位:-1.20V
反応速度:2〜3回/日
電解セル:図4
【0088】
実施例5(錯体1を用いた電気化学的触媒還元反応)
以下の条件で、α,α,α-トリフルオロアセトフェノンを還元し、(トルフルオロメチル)ベンジルアルコールを得た。生成物はGC-MSで確認された。
【化32】

触媒:[Ru(pbn)(bpy)2](PF6)2(錯体1)
溶媒:0.1M KH2PO4水溶液/ジメチルホルムアミド(DMF)(5:1v/v)12mL(作用極)+0.1M KH2PO4水溶液 10mL(対極)
基質:α,α,α-トリフルオロアセトフェノン(CF3COPh)
電解質:KH2PO4
電位:-1.20V
反応速度:2〜3回/日
電解セル:図4
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明にかかる有機化合物の触媒還元反応の概念図を示す。
【図2】実施例2で得られた本発明にかかる触媒のX線結晶構造解析である。
【図3】実施例3で得られた本発明にかかる触媒のX線結晶構造解析である。
【図4】実施例で用いた電解セルの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1a)で示される電気化学的再生が可能な触媒用中間体。
【化1】

[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基である。]
【請求項2】
1、R2、R3、R4、R6及びR7が水素原子である、請求項1に記載の中間体。
【請求項3】
下記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒。
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基であり、R5は、水素原子又はC1〜C10アルキル基であり、Mは、1価〜6価の遷移金属である。]
【請求項4】
1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、水素原子である、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
Mが、2,2’−ビピリジンが配位可能な金属である、請求項3又は4に記載の触媒。
【請求項6】
下記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒の製造方法であって、
【化3】

[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基であり、R5は、水素原子又はC1〜C10アルキル基であり、Mは、1価〜6価の遷移金属である。]
塩基存在下で、下記式(2)で示されるピリジン誘導体と、
【化4】

[式中、R1、R2、R3及びR4は、上記の意味を有する。]
下記式(3)で示されるキノリン誘導体と、
【化5】

[式中、R6及びR7は、上記の意味を有する。]
を反応させ、反応生成物を得る第1工程と、第1工程で得られた反応生成物を遷移金属Mに配位させる第2工程と、第2工程で得られた錯体と、下記式(4)で示されるカチオンと
【化6】

[式中、R5は、上記の意味を有する。]
を反応させる第3工程を含むことを特徴とする、触媒の製造方法。
【請求項7】
1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、水素原子である、請求項6に記載の触媒の製造方法。
【請求項8】
Mが、2,2’−ビピリジンが配位可能な金属である、請求項6又は7に記載の触媒の製造方法。
【請求項9】
下記式(1b)で示される電気化学的再生が可能な触媒存在下で、酸性条件下における電気化学的条件下において、有機化合物を還元する還元方法。
【化7】

[式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC6〜C10アリール基であり、R5は、水素原子又はC1〜C10アルキル基であり、Mは、1価〜6価の遷移金属である。]
【請求項10】
前記有機化合物が、カルボニル基を有する、請求項9に記載の還元方法。
【請求項11】
1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7が、水素原子である、請求項9又は10に記載の還元方法。
【請求項12】
Mが、2,2’−ビピリジンが配位可能な金属である、請求項9〜11のいずれかに記載の還元方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−63050(P2006−63050A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250432(P2004−250432)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【Fターム(参考)】