説明

電気化学的表面処理装置及び電気化学的表面処理方法

【課題】 被表面処理物の表面を電気化学的な方法により均一に処理することができる電気化学的表面処理装置を提供すること。
【解決手段】 メッキ槽101中に、被表面処理部材である陰極105と、陰極105との間に所定の電圧が印加される対極の陽極106と、が配置され、陰極105と陽極106との間に設けられた円筒状の遮蔽部材102は、2個の電極間の電気力線を遮る電気力線遮蔽手段として作用し、攪拌子104の回転により、メッキ液103の金属イオンが陰極105に均一に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気化学的表面処理装置等に関し、より詳しくは、膜厚が均一なメッキ膜等が得られる電気化学的表面処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学的表面処理方法には、金属部材等の表面に金属膜を形成する電気メッキ処理や、金属部材表面から金属層を取り去る電解研磨処理等が挙げられる。このような電気化学的表面処理方法においては、通常、被表面処理部材と対極とからなる一対の電極間に所定の電圧が印加され、これらの電極間を結ぶ電気力線に沿って金属イオンが流れることが知られている。
電気メッキ処理の場合は、通常、ニッケル等の金属板からなる陽極と、被メッキ物からなる負極とを浸漬したメッキ槽内で、これらの電極間を結ぶ電気力線は、被メッキ物の中心部では、被メッキ物および陽極に垂直且つ互いに平行で、その密度もほぼ均一である。一方、被メッキ物の周辺部では、エッジ効果等により電気力線が集中する傾向があるため、メッキの成長速度が中心部より早くなり、その結果、周辺部のメッキ厚が増大するという問題が生じる。
このため、電気メッキ処理では、メッキ厚の均一性を高める方法として、所定の形状の孔を設けた遮蔽板を被メッキ物と陽極との間に挿入することにより、被メッキ物の電気力線の集中を防ぐ方法が報告されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−034893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されているように、電気メッキ槽内で被電気メッキ物と陽極との間に所定の形状の孔を有する遮蔽板を設け、被メッキ物に電気力線が集中するのを防いだ状態で電気メッキ処理を行う方法では、板状被メッキ物表面のメッキ膜の厚さをある程度均一にすることに効果はあるものの、例えば、パイプ状、コップ状等のように、複雑な形状を有する物体の表面、特に、内側面のメッキ層を充分に形成できないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、被表面処理物の表面を電気化学的な方法により均一に処理することができる電気化学的表面処理装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、被表面処理物の表面を均一に処理することができる電気化学的表面処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明においては、電気化学的表面処理で使用する電解質溶液を流動させ、且つ、被表面処理部材と対極との間の電気力線を遮る方法を採用している。
即ち、本発明によれば、電気化学的表面処理がなされる被表面処理部材と、被表面処理部材との間に所定の電圧が印加される対極と、被表面処理部材の表面に電解質溶液を供給する電解質溶液供給手段と、を有し、被表面処理部材と対極との間の電気力線を遮る電気力線遮蔽手段を備えることを特徴とする電気化学的表面処理装置が提供される。
【0007】
本発明が適用される電気化学的表面処理装置においては、被表面処理部材と対極との間を結ぶどのような直線状の電気力線も電気力線遮蔽手段によって遮られることにより、被表面処理部材の表面に電気力線が集中するのを防ぐことができる。さらに、電気力線遮蔽手段により電気力線が遮られた状態で、電解質溶液供給手段により電解質溶液を被表面処理部材と対極の間で循環させることにより、電解質溶液が被表面処理物部材の表面に金属イオンを均一に供給することができる。
【0008】
ここで、電気力線遮蔽手段は、被表面処理部材を収容する第1の槽と、対極を収容する第2の槽と、を有することが好ましい。即ち、所定の電圧が印加される一対の被表面処理部材と対極とを、それぞれ異なる処理槽に収容することにより、被表面処理部材と対極との間を結ぶ電気力線を遮ることができる。
この場合、第1の槽と第2の槽との間に、電解質溶液を循環させるポンプを備えることにより、電解質溶液を被表面処理物部材の表面に供給することができる。
【0009】
また、電気力線遮蔽手段としては、対極及び電解質溶液を収容する槽と、槽から被表面処理部材の表面に電解質溶液を供給する供給管と、を有する構成を採用することができる。このような構成を採用することにより、被表面処理部材と対極との間を結ぶ電気力線を遮ることができるとともに、さらに、被表面処理部材が管状体または容器形状を有する場合に、従来、均一な表面処理が困難であった被表面処理部材の内周面の表面処理に適用できる。
【0010】
さらに、電気力線遮蔽手段としては、被表面処理部材と電極との間に円筒形の遮蔽部材を設ける構成とすることもできる。円筒形の遮蔽部材を用いることにより、被表面処理部材と対極との間を結ぶ電気力線を遮るとともに、処理槽に収容された電解質溶液を、所定の攪拌機により攪拌させて、電解質溶液を被表面処理物部材の表面に効率良く供給することができる。
【0011】
ここで、本発明が適用される電気化学的表面処理装置において、被表面処理部材に、電解質溶液からなる連続的な泡沫層を形成する泡沫層形成手段を備えることを特徴とすれば、連続的な泡沫層による電気化学的表面処理を行うことができる。
この場合、泡沫層形成手段としては、電解質溶液中に多孔体を通して所定の圧力の空気または不活性ガスを導入する送気管を用いることができる。さらに、電解質溶液中には、界面活性剤を含有することが好ましい。
【0012】
次に、本発明を方法のカテゴリーから把握すると、本発明によれば、被表面処理部材の電気化学的表面処理方法であって、被表面処理部材と、被表面処理部材との間に所定の電圧が印加された対極と、の間の電気力線を遮り、電気力線が遮られた被表面処理部材の表面に電解質溶液を供給することを特徴とする電気化学的表面処理方法が提供される。
【0013】
ここで、本発明が適用される電気化学的表面処理方法において、連続的な泡沫層を用いて被表面処理部材を処理する場合は、親水性の内面を有する供給管を通して、電解質溶液からなる連続的な泡沫層を供給することが好ましい。親水性の内面を有する供給管を通して泡沫層を供給すると、泡沫層を構成する小粒径の気泡が破壊されないので、連続的な泡沫層が被表面処理部材の表面に安定的に供給される。
さらに、必要に応じて、被表面処理部材を回転または揺動させることが好ましい。被表面処理部材を回転または揺動させることにより、被表面処理部材の表面に供給される金属イオンの均一性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気化学的表面処理装置によれば、被表面処理物の表面を電気化学的な方法により均一に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について、図面に基づき説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを表すものではない。
(第1の実施の形態)
先ず、第1の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置について説明する。
図1は、第1の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための概略図である。図1には、金属部材の電気メッキ装置100が示されている。
電気メッキ装置100は、電解質溶液であるメッキ液103を満たしたメッキ槽101と、外部電解である直流電源107と、を有している。メッキ槽101中には、電気メッキ処理がなされる被表面処理部材である陰極105と、陰極105との間に所定の電圧が印加される対極である陽極106と、が配置されている。陽極106及び陰極105は、導線109及び導線110により直流電源107とそれぞれ接合している。直流電源107と陽極106とを接合する導線109にはスイッチ108が設けられている。メッキ槽101の底部には、陰極105の表面に金属イオンを供給する電解質溶液供給手段としてメッキ液103を攪拌する攪拌子104が配置されている。陰極105と陽極106との間には、円筒状の遮蔽部材102が設けられ、2個の電極間の電気力線を遮る電気力線遮蔽手段として使用されている。
【0016】
メッキ槽101は、例えば、ステンレス鋼で形成され、内面は、例えば、塩化ビニル樹脂又は硬質ゴム等によりライニングが施され、上部開口部には、蓋体(図示せず)が着脱可能に装着されている。メッキ槽101中には、電解質溶液であるメッキ液103が収容されている。本実施の形態においては、電解質溶液としてニッケルワット浴等のニッケルメッキ用のメッキ液103が使用されている。尚、メッキ液103は、窒素ガス等の不活性ガスによりシールされていることが好ましい。また、本実施の形態においては、陽極106として純ニッケル板、陰極105としてハルセル試験用真鍮板が使用されている。
直流電源107の給電回路に設けられたスイッチ108は、電気メッキを行うときに接合され、陽極106及び陰極105に通電可能にしている。
【0017】
電気メッキにおいて使用される電解質溶液であるメッキ液103は、溶媒に、一種又は二種類以上の金属の塩、有機電解質、リン酸等の酸、アルカリ物質等の各種電解質を溶解させたものが用いられる。溶媒は、極性溶媒であれば特に限定されない。具体例として、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0018】
金属の塩としては、析出させる金属、合金、酸化物の種類等を考慮して適宜選択される。電気化学的に析出させることができる金属としては、例えば、Cu、Zn、Ga、As、Cr、Se、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ru、Rh、Pd、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、W、Po、Re、Os、Ir、Pt等が挙げられる。また、有機電解質としては、例えば、ポリアクリル酸等の陰イオン系電解質、ポリエチレンイミン等の陽イオン系電解質が挙げられる。
【0019】
尚、メッキ液103には、上記の物質の他に、溶液の安定化等を目的として一種又はそれ以上の物質を含むことができる。具体的には、析出する金属のイオンと錯塩をつくる物質、電解質溶液の導電性を向上させるためのその他の塩、電解質溶液の安定剤、電解質溶液の暖衝材、析出金属の物性を変える物質、陰極の溶解を助ける物質、電解質溶液の性質あるいは析出金属の性質を変える物質、二種以上の金属を含む混合溶液の安定剤等を挙げることができる。
【0020】
主な電気化学的反応方法における電解質溶液の主成分の具体的な例は、以下の通りである。例えば、銅を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、結晶硫酸銅及び硫酸、ホウフッ化銅及びホウフッ酸、シアン化銅及びシアン化ソーダ、ピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム及びアンモニア水;ニッケルを析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、硫酸ニッケル、塩化アンモニウム及びホウ酸、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸;クロムを析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、クロム酸及び硫酸、クロム酸、酢酸バリウム、及び酢酸亜鉛;亜鉛を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、硫酸亜鉛、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホウ酸及びデキストリン、酸化亜鉛、シアン化ソーダ及び苛性ソーダ、酸化亜鉛及び苛性ソーダ等が挙げられる。
【0021】
カドミウムを析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、酸化カドミウム、シアン化ソーダ、ゼラチン及びデキストリン;スズを析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、硫酸第一スズ、硫酸、クレゾールスルホン酸、β−ナフトール及びゼラチン、スズ酸カリ及び遊離苛性カリ;銀を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、シアン化銀及びシアン化カリ;金を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、金、シアン化カリ、炭酸カリ及びリン酸水素カリ;白金を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、塩化白金酸、第二リン酸アンモニウム及び第二リン酸ソーダ、塩化白金酸及び酢酸塩;ロジウムを析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、濃硫酸及びロジウム、リン酸及びリン酸ロジウム等が挙げられる。
【0022】
ルテニウムを析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、ルテニウム錯体;黄銅を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、シアン化第一銅、シアン化亜鉛、シアン化ナトリウム及び炭酸ナトリウム;スズ鉛合金を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、スズ、鉛、遊離ホウフッ酸及びペプトン、スズ、鉛、遊離ホウフッ化水素酸及びペプトン;鉄ニッケル合金を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、スルファミン酸ニッケル、スルファミン酸第一鉄及び酢酸ナトリウム;コバルト燐を析出させる場合の電解質溶液の主成分としては、塩化コバルト、亜リン酸及びリン酸等が挙げられる。
【0023】
攪拌子104は、メッキ槽101の底部に配置され、陰極105の表面に金属イオンを供給する電解質溶液供給手段としてメッキ液103を攪拌する。攪拌子104は、通常、10回/秒程度の速度で回転してメッキ液103を攪拌し、金属イオンを含有するメッキ液103を陽極106及び陰極105に供給している。
【0024】
円筒状の遮蔽部材102は、被表面処理部材である陰極105と、陰極105の対極である陽極106との間に設けられ、2極間の電気力線を遮る電気力線遮蔽手段として使用されている。遮蔽部材102の長さ(H)は特に限定されないが、通常、2個の電極間を結ぶどのような直線状の電気力線も、遮蔽部材102により遮られる程度の大きさであることが必要である。
遮蔽部材102の形状が円筒状であることにより、陽極106と陰極105間の電気力線が遮られるとともに、メッキ液103は、攪拌子104の回転に伴いメッキ槽101内で陽極106から陰極105に向かって循環するように流動し、陰極105表面に金属イオンを均一に供給することができる。
尚、電気メッキを行う際に、必要に応じて、被表面処理部材である陰極105を回転または揺動させることが好ましい。被表面処理部材である陰極105を回転または揺動させることにより、陰極105表面に供給される金属イオンの均一性をさらに高めることができる。
【0025】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置100は、被表面処理部材である陰極105と、陰極105の対極である陽極106と、の間に円筒状の遮蔽部材102を設けることにより、これら2個の電極間を結ぶ電気力線が遮蔽部材102によって遮られる。このため、陰極105の周辺部にエッジ効果等により電気力線が集中することを防止することができる。さらに、電解質溶液供給手段である攪拌子104が回転することにより、電解質溶液中の金属イオンを陰極105表面に均一に供給することができる。その結果、被表面処理部材である陰極105の表面に、均一なメッキ膜を形成することができる。
【0026】
本実施の形態において、電気メッキ装置100を用いて合金メッキを行い、メッキ膜の色調、磁性、接合性、導電性の向上等を図ることが可能である。適用できる合金メッキとしては、例えば、Au合金、Ag合金、Cu合金等が挙げられる。さらに、Ni−P、Ni−B、Ni−W、Ni−S、Ni−P、Co−Mo、Co−Ti、Fe−Mo、Fe−Cr、Cr−C、Ni−Co−P、Ni−Fe−P、Pd−As等が挙げられる。
【0027】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置100においては、アルミナや炭化珪素等の微粒末をメッキ液103中に分散させ、これらの微粒子をメッキ金属の中へ共析させる複合メッキを行い、メッキ膜の耐磨耗性、潤滑性、耐食性の向上等を図ることが可能である。複合メッキにおいて用いられる微粒末は、特に限定されないが、通常の複合メッキに用いられるものであれば使用することができる。
【0028】
微粒末の具体例としては、例えば、Al、Cr、Fe、TiO、ZrO、ThO、SiO、CeO、BeO、MgO、CdO、UO、CeO等の金属酸化物;ダイヤモンド、SiC、TiC、WC、VC、ZrC、TaC、Cr、BC、NbC、フッ化黒鉛、黒鉛等の炭素化合物;BN、TiN、Si等の窒化物;MoS、WS、ZnS、CdS等の硫化物;CaF等のフツ化物;BaSO、SrSO等の硫酸塩;さらに、TiH、ZrB、Cr、WSi、ガラス、カオリン、コランダム等が挙げられる。
【0029】
また、色素を含有することも可能である。色素としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントレッド3等の油溶性染料;C.I.ピグメントブルー15等の有機顔料;エレクトロニクス用色素、記録用色素、環境クロミズム用色素、写真用色素、エネルギー用色素のうちの疎水性化合物等が挙げられる。さらに、例えば、PTFE、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリピロール、ポリアニリン、アセチルセルロース、ポリビニルアセテート、ポリビニールブチラール等の水に不溶なポリマーも使用することができる。
【0030】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置100においては、メッキ液103からなる連続的な泡沫層を用いて陰極105表面の電気メッキを行うことができる。この場合、メッキ液103の液体中で電気メッキが行われる場合と比較して、電気分解によって生じる気体の微細な気泡がメッキ液103の大きな泡沫に吸収されやすい。その結果、メッキ膜の表面にピンホールが生じる機会が大幅に減少するとともに、メッキ膜の均一性が向上する。このような現象は、電気メッキの場合に限られず、例えば、電解研磨、陽極酸化の場合も同様な現象が起こると考えられる。
【0031】
メッキ液103からなる連続的な泡沫層を形成する方法の一例としては、例えば、メッキ槽101内のメッキ液103に界面活性剤を添加し、攪拌子104を回転させるまたは不活性ガスを送気する等の方法によりメッキ液103を発泡させ、界面活性剤を含有する電解質溶液からなる連続的な泡沫層を形成する。形成された連続的な泡沫層は、攪拌子104が継続的に回転することにより、メッキ槽101内に収容されている陽極106と被表面処理金属部材である陰極105とに供給される。これにより、泡沫層中に含有される金属イオンが少量の場合でも、被表面処理部材である陰極105に効率的な電気化学的表面処理を施すことができる。
尚、メッキ液103からなる連続的な泡沫層を用いて電気メッキを行う際に、必要に応じて、被表面処理部材である陰極105を回転または揺動させることが好ましい。被表面処理部材である陰極105を回転または揺動させることにより、陰極105表面に供給される金属イオンの均一性をさらに高めることができ、例えば、被表面処理部材の形状が大きい場合でも、メッキ膜の均一性を高めることができる。
また、メッキ液103からなる連続的な泡沫層を用いて電気メッキを行う場合は、メッキ槽101の内面は、濡れ張力が、50dyne/cm以上、好ましくは、55dyne/cm以上である親水性表面を有することが好ましい。メッキ槽101の内面が親水性表面を有することにより、泡沫層を構成する小粒径の気泡が破壊されないので、メッキ液103からなる連続的な泡沫層が陰極105の表面に安定的に供給される。
【0032】
ここで、界面活性剤としては、特に限定されず、通常、公知の陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、及び両性イオン性界面活性剤を、必要に応じて、少なくとも一種以上を適宜選択して使用することができる。これらの中でも、非イオン性界面活性剤が好ましい。
具体的には、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、石鹸、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、フェニルエーテル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、硫酸化油、リン酸エステル、パーフルオロオレフィンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル硫酸エステル塩、パーフルオロフェニルエーテル硫酸エステル塩、パーフルオロメチルタウリン酸塩、スルホパーフルオロコハク酸塩、パーフルオロエーテルスルホン酸塩等が挙げられる。
【0033】
尚、陰イオン性アニオン界面活性剤の塩のカチオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0034】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、C1〜C25アルキルフェノール系、C1〜C20アルカノール、ポリアルキレングリコール系、アルキロールアミド系、C1〜C22脂肪酸エステル系、C1〜C22脂肪族アミン、アルキルアミンエチレンオキシド付加体、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシ化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、スチレン化フェノール、アルキルアミンエチレンオキシド/プロピレンオキシド付加体、アルキルアミンオキサイド、パーフルオロノニルフェノール系、パーフルオロ高級アルコール系、パーフルオロポリアルキレングリコール系、パーフルオロアルキロールアミド系、パーフルオロ脂肪酸エステル系、パーフルオロアルキルアミンエチレンオキシド付加体、パーフルオロアルキルアミンエチレンオキシド/パーフルオロプロピレンオキシド付加体、パーフルオロアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0035】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩、ヘキサデシルピリジニウム塩、ラウリルピリジニウム塩、ドデシルピコリニウム塩、ステアリルアミンアセテート、ラウリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテート、モノアルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、エチレンオキシド付加型アンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、酢酸モノアルキルアンモニウム。
【0036】
さらに、イミダゾリニウムベタイン系、アラニン系、アルキルベタイン系、モノパーフルオロアルキルアンモニウムクロライド、ジパーフルオロアルキルアンモニウムクロライド、パーフルオロエチレンオキシド付加型アンモニウムクロライド、パーフルオロアルキルベンジルアンモニウムクロライド、テトラパーフルオロメチルアンモニウムクロライド、トリパーフルオロメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラパーフルオロブチルアンモニウムクロライド、酢酸モノパーフルオロアルキルアンモニウム、パーフルオロアルキルベタイン系等が挙げられる。
【0037】
両性イオン性界面活性剤としては、例えば、ベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化又はスルホン酸化付加物等が挙げられる。
【0038】
界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、通常、電解質溶液であるメッキ液103中の濃度として、0.0001重量%以上、好ましくは、0.001重量%以上使用する。但し、使用量の上限は、20重量%以下、好ましくは、10重量%である。
【0039】
陽極106と被表面処理金属部材である陰極105とに供給される連続的な泡沫層を構成する気泡の粒径は、特に限定されないが、通常、0.01mm以上、好ましくは、0.1mm以上である。但し、上限は、通常、20mm以下、好ましくは、10mm以下、さらに好ましくは、3mm以下である。気泡の粒径が過度に小さい場合は、ピンホールを完全に除去できないおそれがある。また、泡沫層を構成する単位の気泡の粒径が過度に大きい場合は、均一にメッキできないおそれがある。
また、泡沫層の寿命は、泡沫層が形成された後に泡沫層の体積が半減するまでの時間が、通常10秒以下、好ましくは3秒以下である。
【0040】
尚、界面活性剤を含有する電解質溶液であるメッキ液103を発泡させ、連続的な泡沫層を形成する他の手段としては、例えば、メッキ槽101の底部から、細かいフィルターを通して不活性ガスを供給する方法、超音波振動を用いる方法等が挙げられ、適宜選択することができる。また、界面活性剤を含有する電解質溶液からなる連続的な泡沫層を供給する手段としては、例えば、メッキ槽101の外部に界面活性剤を含有する電解質溶液を調製するための収容槽を設け、その収容槽内において連続的な泡沫層を形成し、適当な供給ラインを介してメッキ槽101内に供給する方法を採用することも可能である。さらに、例えば、工業的に、電気亜鉛メッキラインにおいて行われているように、鋼板等の被表面処理金属部材を、電解質溶液からなる泡沫層に満たされた電気メッキ槽中に連続的に供給し、電気メッキを行うこともできる。
【0041】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置100を用いて電気メッキを行う場合の条件は、電気メッキを行う金属の種類により適宜選択され、特に限定されない。例えば、ニッケルメッキでワット浴を用いる場合、通常、使用する電解質溶液であるメッキ液103の濃度は、260g/l〜490g/l、好ましくは、300g/l〜400g/lである。また、電解質溶液であるメッキ液103のpHは、通常、1.5〜5.0、好ましくは、3.0〜4.8である。電気メッキの温度は、通常、40℃〜70℃、好ましくは、45℃〜60℃である。
【0042】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置について説明する。
図2は、第2の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための概略図である。第1の実施の形態が適用される電気メッキ装置100と重複する構成については同様な符号を用い、その説明を省略する。
図2に示す電気メッキ装置200は、メッキ液103中に被表面処理部材としての陰極105を収容する第1メッキ槽201、陰極105の対極である陽極106を収容する第2メッキ槽202、陽極106及び陰極105間に所定の電圧を印加する直流電源107、第1メッキ槽201及び第2メッキ槽202間にメッキ液103を循環させる電解質溶液供給手段としてのポンプ204、から主要部が構成されている。
【0043】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置200では、被表面処理部材としての陰極105を第1メッキ槽201に収容し、一方、陰極105の対極である陽極106を第2メッキ槽202に収容する構成が、これらの2個の電極間を結ぶ電気力線を遮る電気力線遮蔽手段として作用している。
さらに、図2に示すように、電解質溶液供給手段であるポンプ204により、第2メッキ槽202に収容されたメッキ液103は、第1メッキ槽201と第2メッキ槽202とを連通する供給管211を通って第1メッキ槽201へ送られ、陰極105表面に金属イオンが供給される。また、メッキ液103は、第1メッキ槽201とポンプ204とを連通する供給管212と、ポンプ204と第2メッキ槽202とを連通する供給管213と、を介して再び第2メッキ槽202に送られ、2個のメッキ槽間を循環している。
【0044】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置200では、被表面処理部材としての陰極105を第1メッキ槽201に収容し、一方、陰極105の対極である陽極106を第2メッキ槽202に収容することにより、これらの2個の電極間を結ぶ電気力線が遮られる。このため、陰極105の周辺部にエッジ効果等により電気力線が集中することを防止することができる。さらに、電解質溶液供給手段であるポンプ204により、電解質溶液中の金属イオンを陰極105表面に均一に供給することができる。その結果、被表面処理部材である陰極105の表面に、均一なメッキ膜を形成することができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置について説明する。
図3は、第3の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための概略図である。第1の実施の形態が適用される電気メッキ装置100と重複する構成については同様な符号を用い、その説明を省略する。
図3に示す電気メッキ装置300は、被表面処理部材として、メッキ膜が形成される表面を内側に有する管状体の陰極305、陰極305の対極としての陽極106を収容するメッキ槽302、陰極305及び陽極106間に所定の電圧を印加する直流電源107、メッキ槽302及び管状体の陰極305間にメッキ液103を循環させる電解質溶液供給手段としてのポンプ204、から主要部が構成されている。
【0046】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置300では、管状体の陰極305の内側にメッキ液103を供給し、一方、陽極106をメッキ槽302に収容する構成が、これらの電極間に所定の電圧を印加する際に、2個の電極間を結ぶ電気力線を遮る電気力線遮蔽手段として作用している。
さらに、図3に示すように、電解質溶液供給手段であるポンプ204により、メッキ槽302に収容されているメッキ液103は、供給管211を通って管状体である陰極305の上側に設けた導入口307から内周面に供給される。また、メッキ液103は、陰極305の下側に設けた排出口308から排出され、供給管212及び供給管213を介して再びメッキ槽302に送られる。尚、メッキ液103は、供給管213,212を介して陰極305の下側から管状体の内周面に供給され、陰極305の上側から排出され供給管211を介して、再びメッキ槽302に送られることも可能である。
【0047】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置300では、管状体の陰極305の内側にメッキ液103を供給し、一方、陽極106をメッキ槽302に収容することにより、陽極106と陰極305間の電気力線が遮られる。このため、被表面処理部材である陰極305の内周面に電気力線が集中することを防止することができる。
さらに、ポンプ204によって、メッキ液103は、メッキ槽302から管状体の陰極305の内周面に流動し、陰極305内周面に金属イオンを均一に供給することができる。
【0048】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置について説明する。
図4は、第4の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための概略図である。第1の実施の形態が適用される電気メッキ装置100と重複する構成については同様な符号を用い、その説明を省略する。
図4に示された電気メッキ装置400においては、界面活性剤を含有する電解質溶液からなる連続的な泡沫層403を用いて被表面処理部材にメッキ膜が形成される。図4に示すように、電気メッキ装置400は、被表面処理部材として、メッキ膜が形成される表面を内側に有する容器形状の陰極405、陰極405の対極としての陽極106を収容するメッキ槽402、陰極405及び陽極106間に所定の電圧を印加する直流電源107、メッキ槽402及び容器形状の陰極405内部に連続的な泡沫層403を循環させる電解質溶液供給手段としてのポンプ204、から主要部が構成されている。
【0049】
また、電気メッキ装置400は、界面活性剤を含有する電解質溶液の連続的な泡沫層403を形成する泡沫層形成手段として、外部からメッキ槽402内にNガスを供給する送気管414と、送気管414の先端に取り付けられたグラスフィルタ415とを備えている。
【0050】
図4に示すように、グラスフィルタ415が陽極106の下側になるように配置され、メッキ液がグラスフィルタ415から吐出するNガスにより発泡することにより、界面活性剤を含有するメッキ液の連続的な泡沫層403が形成され、陽極106の上流側から、常に、陽極106に供給され、さらに陰極405の内周面に供給されることになる。界面活性剤を含有するメッキ液の連続的な泡沫層403を用いることにより、容器形状の陰極405内周面を効率よくメッキ処理を行うことができる。
この場合、少なくとも、メッキ槽402の内面及び供給管211の内面は、濡れ張力が、50dyne/cm以上、好ましくは、55dyne/cm以上である親水性表面を有することが好ましい。メッキ槽402の内面及び供給管211の内面が親水性表面を有することにより、泡沫層403の気泡が破壊されにくくなるので、容器形状の陰極405内周面に泡沫状のメッキ液を安定的に供給することができる。
【0051】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置400では、容器形状の陰極405の内側にメッキ液の連続的な泡沫層403を供給し、一方、陽極106をメッキ槽402に収容する構成が、これらの電極間に所定の電圧を印加する際に2個の電極間を結ぶ電気力線を遮る電気力線遮蔽手段として作用している。
さらに、図4に示すように、電解質溶液供給手段であるポンプ204により、メッキ液からなる泡沫層403は、供給管211を経由し、供給管211の導入口407から容器形状の陰極405内部に供給される。また、泡沫層403は、陰極405の上側に設けた排出口408から排出され、供給管212及び供給管213を経由して再びメッキ槽402に送られる。
【0052】
本実施の形態が適用される電気メッキ装置400では、容器形状の陰極405の内側にメッキ液103を供給し、一方、陽極106をメッキ槽402に収容することにより、陽極106と陰極405間の電気力線が遮られる。このため、被表面処理部材である陰極405の内周面に電気力線が集中することを防止することができる。
さらに、ポンプ204によって、メッキ液103は、メッキ槽402から容器形状の陰極405の内周面に流動し、陰極405内周面に金属イオンを均一に供給することができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例に基づき本実施の形態についてさらに詳述する。但し、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)メッキ液の調製
水1000部に、硫酸ニッケル370部、塩化ニッケル90部及び硼酸50部を溶解し、硫酸を添加してpH5.0に調整したニッケルメッキ液を調製した。
(2)電気メッキ処理
陽極に純ニッケル板、陰極に幅33mm、長さ100mmの真鍮板を用い、前述したニッケルメッキ液を用いて、50℃において、電流密度2.5mA/dmの条件で、所定時間で電気メッキ処理を行い、真鍮板の表面にニッケルのメッキ膜を形成した。
【0054】
(実施例)
第1の実施の形態において説明した電気メッキ装置100を用いて、前述した真鍮板にニッケルのメッキ膜を形成した。即ち、陽極の純ニッケル板と陰極の真鍮板との間に、2個の電極間の電気力線を遮るように円筒形の遮蔽部材を配置した。次に、メッキ槽底部に設けた攪拌子を回転し、陽極から負極に向かって流速20cm/sec程度のニッケルメッキ液の流れを調製した。次に、前述した条件で電気メッキ処理を行い、真鍮板に厚さ約10μmのメッキ膜を形成した。
上述した条件で電気メッキ処理を行った真鍮板表面のメッキ膜の厚さを測定した結果を表1に示す。メッキ膜の厚さは真鍮板の陽極に面した側の表面について測定した。測定した真鍮板上の位置を表すために、中央部を原点とし、幅方向をx軸、長さ方向をy軸とした座標点(x,y)を用いる。xy座標の数値の単位はmmである。厚さを測定した地点の厚さは、原点の厚さに対する比で表した。
表1の結果から、2個の電極間の遮蔽部材を配置し、且つ、ニッケルメッキ液を流動させながら電気メッキを行うことにより、真鍮板表面に形成されたメッキ膜は、メッキ膜の厚さの最大値と最小値との差が100分の5程度であり、厚さが均一なメッキ膜が形成されたことが分かる。
【0055】
【表1】

【0056】
(比較例)
実施例で使用した電気メッキ装置100において、陽極と陰極との間に配置した遮蔽部材を取り除き、他の条件は実施例と同様にして真鍮板表面にニッケルのメッキ膜を形成し、形成されたメッキ膜の厚さを測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から、2個の電極間の遮蔽部材を配置しないで電気メッキを行うことにより、真鍮板表面に形成されたメッキ膜は、メッキ膜の厚さの最大値と最小値との差が100分の32程度であり、厚さが不均一なメッキ膜が形成されたことが分かる。
【0057】
以上、説明したように、本発明が適用される電気化学的表面処理装置は、被表面処理部材と対極の間に電気力線を遮る遮蔽部材を設け、且つ、撹拌装置や送液ポンプ等を用いて電解質溶液を被表面処理部材の表面に供給しながら、電気メッキ等の電気化学的表面処理を行うことより、被表面処理部材の表面を均一に処理することができる。
尚、合成樹脂等の絶縁物質表面に電気メッキを行う場合は、合成樹脂表面を予め化学メッキ処理を施した後に、電気メッキを行う。また、ステンレス等のように表面に不動態膜を形成しやすい金属に対しても、予め化学メッキ処理を行った後に、電気メッキを行うことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための図である。
【図2】第2の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための図である。
【図3】第3の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための図である。
【図4】第4の実施の形態が適用される電気化学的表面処理装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
100,200,300,400…電気メッキ装置、101,302,402…メッキ槽、102…遮蔽部材、103…メッキ液、104…攪拌子、105,305,405…陰極、106…陽極、107…直流電源、108…スイッチ、109,110…導線、201…第1メッキ槽、202…第2メッキ槽、204…ポンプ、211,212,213…供給管、307,407…導入口、308,408…排出口、403…泡沫層、414…送気管、415…グラスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的表面処理がなされる被表面処理部材と、
前記被表面処理部材との間に所定の電圧が印加される対極と、
前記被表面処理部材の表面に電解質溶液を供給する電解質溶液供給手段と、を有し、
前記被表面処理部材と前記対極との間の電気力線を遮る電気力線遮蔽手段を備えることを特徴とする電気化学的表面処理装置。
【請求項2】
前記電気力線遮蔽手段は、
前記被表面処理部材を収容する第1の槽と、
前記対極を収容する第2の槽と、
を有することを特徴とする請求項1記載の電気化学的表面処理装置。
【請求項3】
前記電気力線遮蔽手段は、
前記対極及び前記電解質溶液を収容する槽と、
前記槽から前記被表面処理部材の表面に前記電解質溶液を供給する供給管と、
を有することを特徴とする請求項1記載の電気化学的表面処理装置。
【請求項4】
前記電気力線遮蔽手段は、
前記被表面処理部材と前記電極との間に円筒形の遮蔽部材を設けることを特徴とする請求項1記載の電気化学的表面処理装置。
【請求項5】
前記被表面処理部材の表面に供給される前記電解質溶液からなる連続的な泡沫層を形成する泡沫層形成手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電気化学的表面処理装置。
【請求項6】
前記泡沫層形成手段は、
前記電解質溶液中に多孔体を通して所定の圧力の空気または不活性ガスを導入する送気管を有することを特徴とする請求項5記載の電気化学的表面処理装置。
【請求項7】
前記電解質溶液が、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1記載の電気化学的表面処理装置。
【請求項8】
被表面処理部材の電気化学的表面処理方法であって、
前記被表面処理部材と、当該被表面処理部材との間に所定の電圧が印加される対極と、の間の電気力線を遮り、
前記電気力線が遮られた前記被表面処理部材の表面に電解質溶液を供給することを特徴とする電気化学的表面処理方法。
【請求項9】
前記被表面処理部材の表面に、親水性の内面を有する供給管を通して、前記電解質溶液からなる連続的な泡沫層を供給することを特徴とする請求項8記載の電気化学的表面処理方法。
【請求項10】
前記被表面処理部材を回転または揺動させることを特徴とする請求項8記載の電気化学的表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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