説明

電気式の液体供給容器

【課題】転倒用スイッチをスムーズに操作し、電気式の液体供給容器本体への通電部分を確実に遮断して、漏電や感電の恐れが全くなく、極めて安全性に優れている電気式の液体供給容器を提供する。
【解決手段】液体を収容する内容器の底部に、本体の接地面30と接触し、上下動自在なスイッチ棒8Aとスイッチ本体8Bとを備えた転倒用スイッチ8とを設け、本体の接地面30と転倒用スイッチ8とが接触している際には、外部電源からの電源を本体内に入力し、本体の接地面30と転倒用スイッチ8とが接触していない際には、外部電源からの電源を遮断し本体内への電源入力を阻止する電気式の液体供給容器に於いて、上記転倒用スイッチ8のスイッチ棒8Aと接触する接地面30との間に接触体40を介在させ、接触体40の接地面と接触する面を円弧状の接触面40Aとした構成を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源を入力して湯沸かし、保温を行う電気湯沸かし器、コーヒー、紅茶等の抽出液を抽出する電気式の飲料抽出装置等総称の電気式の液体供給容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気式の液体供給容器の一例として、外部電源を入力して湯沸かし、保温を行う電気湯沸かし器は、一重壁の底部にヒータを備えた真空二重容器と、真空二重容器を囲む器体と、電気系統を通電制御する制御基板と、この制御基板を収納する回路ボックスと、下端を真空二重容器の底部の細口と連通し、上端を止水弁を介して吐出口と連通した吐出路と吐出ポンプとを備えた吐出機構と、器体の肩部に開閉自在に配設され、真空二重容器の上端開口を気密的に閉鎖する蓋体とを設けた構造のものが存在する。
【0003】
即ち、ヒータにて真空二重容器内の液体を沸騰、保温しつつ、吐出機構を介して真空二重容器内の加熱された液体を外部へ注出することができるようにしたものである。
【0004】
しかし、このような従来の電気式の液体供給容器においては、電気式の液体供給容器本体の転倒時、真空二重容器内の液体が吐出路を経て吐出口より、又は蓋体内部の液通路を経て蓋体上端よりそれぞれ流出することとなるために、これら吐出路及び蓋体内部の液通路にそれぞれ流出を止める止水弁を配置して液体の外部流出を防いでいる。
【0005】
しかしながら、吐出路及び蓋体内部の液通路に配置した止水弁では、ほとんど流出を阻止することができるが、完全に止水されることではなく、わずかに流れ出して設置場所を濡らすこととなる。
【0006】
しかも、転倒時でも電源コードのプラグは電気式の液体供給容器本体より離れることはなく、電気式の液体供給容器本体に差し込まれたままの状態であるために、電源コード接続部分や外部電力を通電する制御基板等への接続部分がわずかに流れ出した液体と接触し、漏電や感電の恐れが生じる可能性が高く、非常に危険性が高くなるという問題点があった。
【0007】
そこで本出願人は、電気式の液体供給容器の底部に転倒用スイッチを設け、電気式の液体供給容器本体が転倒した時、外部電源からの入力を阻止するようにした液体供給容器を発明し、既に特願2006−41769号として出願している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、このような液体供給容器では、液体供給容器本体の底壁から突出した転倒用スイッチのスイッチ棒を単に筒状の細長い棒としているだけなので、液体を貯蔵して非常に重量の増加した液体供給容器本体を設置場所に配置する際に、重量がありすぎて液体供給容器本体を設置場所にそっと置けず急激に置いたり又は傾けた状態で置いたりして、スイッチ棒の突出した先端を設置場所に対して斜めに突き刺したり、液体供給容器本体が設置場所に向かって滑りながら設置されることがあり、スイッチ棒を破産したり、変形してスムーズに上下動操作を行うことができなくなり、確実に転倒用スイッチが作動しないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体を収容する内容器2と、内容器内の液体を加熱するヒータ3と、内容器内の液体を外部へ注出する注出機構6と、外部電源を入力してヒータ3やその他駆動部分を操作する電気系統の制御機構部7と、内容器2、ヒータ3、注出機構6、制御機構部7等を内蔵した本体1Aと本体上端を覆う蓋体5と、本体の接地面30と接触し、上下動自在なスイッチ棒8Aとスイッチ本体8Bとを備えた転倒用スイッチ8とを設け、本体の接地面30と転倒用スイッチ8とが接触している際には、外部電源からの電源を本体内に入力し、本体の接地面30と転倒用スイッチ8とが接触していない際には、外部電源からの電源を遮断し本体内への電源入力を阻止する電気式の液体供給容器1に於いて、上記転倒用スイッチ8のスイッチ棒8Aと接触する接地面30との間に接触体40を介在させ、接触体40の接地面と接触する面を円弧状の接触面40Aとした構成としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、従来の問題点を解決したものであって、電気式の液体供給容器を設置場所に傾けながら設置しても、更に電気式の液体供給容器本体が万一転倒した場合であっても、転倒用スイッチをスムーズに操作し、電気式の液体供給容器本体への通電部分を確実に遮断して、漏電や感電の恐れが全くなく、極めて安全性に優れた電気式の液体供給容器を提供するにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
電気式の液体供給容器1の一例であり、湯沸かし保温を行う電気湯沸かし器は、液体を収容する内容器2と、内容器内の液体を加熱するヒータ3と、内容器を囲む外装体4と、外装体の上端に開閉自在に装着し、内容器の口元を開閉する蓋体5と、内容器内の液体を外部へ注出する注出機構6と、電気系統をマイクロコンピュータにて制御する制御機構部7と、内容器2、ヒータ3、注出機構6、制御機構部7等を外装体4にて囲んだ本体1Aと、転倒時、コンセントからの外部電源を遮断して制御機構部7への通電を阻止する転倒用スイッチ8とから構成している。
【0012】
内容器2は、ステンレス等の金属材料にて有底筒状に形成しており、口元上端に外方に拡がった鍔部を設け、底部を上向きに段状に形成し、底の前方部に細口の貫通パイプ9を一体的に設けている。
【0013】
内容器内の液体を加熱するヒータ3は、内容器底部外側より当接してヒータカバーと共に固定している。
39は、サーミスタ等の温度調節器で内容器内の液温を間接的に感知してヒータ3をON、OFFしている。
【0014】
内容器を囲む外装体4は、内容器の胴部を囲む外装ケースと、外装ケースの上端に嵌着する肩部材と、外装ケースの下端を覆う底部材33とからなっている。この肩部材及び底部材33の一部は、外装ケースと一体的に形成してもよい。
外装ケースの上部にはハンドル10を装着している。
【0015】
外装体4は、前面を内側に窪ませた筒状であって、図1に示すように、前面右側に縦方向に大きく切り欠いた透視窓を設けている。
この透視窓の表面に透明なシール材12を貼り付けている。
【0016】
外装体4上端に嵌着する肩部材は、中央を上下に開口する開口部を設け、開口部の前面に前方に延びた嘴部11を設け、開口部の後面に蓋体5を枢支するヒンジ部を設けており、開口部を形成する周壁の下部に内側中央に向けて延びたフランジ部を設けている。
肩部材の嘴部11は、内部空洞としており、この空洞内に湯沸かし、保温用ランプを備えたスイッチ基板29、後述の注出機構6の吐出パイプ37等を収納している。
【0017】
蓋体5は、図2に示すように、上蓋13と、下蓋14と、下蓋の下面を覆い、内容器2の口元を閉鎖するステンレス製の覆板15と、蓋体を肩部材の嘴部11後方にロックするロック機構と、内容器内の蒸気を外部へ排出する蒸気通路16と、蒸気通路内に設けた弁室17とからなっている。18は、断熱材である。
【0018】
蓋体の上蓋13は、図1及び図2に示すように、前面中央に蓋体を開閉するロック機構のレバーを備えており、後部のヒンジ部前方に蒸気通路16と連通する蒸気排出口19を設けている。弁室17には、転倒時、蒸気通路16内を流れ出る内容器2内の液体の流出を阻止する止水弁32を備えている。
【0019】
注出機構6は、内容器の貫通パイプ9とジョイントパイプを介して連なる電動ポンプ24を設け、電動ポンプ24の排出側に下部ジョイントパイプを介して立設した揚水パイプ31の下端側と連通し、揚水パイプ31の上端側と上部ジョイントパイプを介して止水弁32を備えた止水弁室34と連通し、止水弁室34の先端側に嘴部11内より下端前方に向けて延びた吐出パイプ37に連通している。
【0020】
この止水弁室34には、転倒時、内容器2内の液体が揚水パイプ31を通り吐出パイプ37先端より外部への流出を防ぐよう止水弁32を備え、パイプ内液体を遮断する蓋体5内の弁室17と同様な働きをしている。勿論この止水弁32は、蓋体5内の止水弁32と同一のものを使用してもよい。
内容器内の液量は、図1に示すように、立設した揚水パイプ31により表示され、揚水パイプ31の前面のシール材12を貼り付けた透視窓から目視可能としている。
【0021】
制御機構部7は、電気系統をマイクロコンピュータにて操作しており、外部電源をコンセントを介して本体1A内のプラグへ導かれ、このプラグより転倒用スイッチ8を経て、制御機構部7へと導かれている。
【0022】
この制御機構部7は、ヒータ3のON、OFFや、嘴部11表面に示された吐出用スイッチ、加熱用スイッチや表示ランプ等を備えたスイッチ基板29や注出機構6の電動ポンプ24のON、OFF等など様々な電気系統を制御している。
【0023】
転倒用スイッチ8は、図5及び図6に示すように、本体1Aの底部材33のほぼ中央で、接地面30と接し、上下動自在なスイッチ棒8Aと、スイッチ棒後端のスイッチ本体8Bとを設け、後述の接触体40の接触面40Aが接地面30と接触している間は、スイッチ本体8B内にスイッチ棒後端が入り込み、外部電源からプラグに入力した電源を制御機構部7へ導き、接地面30から接触体40の接触面40Aがはずれると、スイッチ棒8Aは、スイッチ本体より大きく突出し、プラグに入力した電源を制御機構部7へ導くことなく遮断している。この転倒用スイッチ8は、本体1Aの底部ほぼ中央に突出しているので、本体が左右前後どちらに傾いても、即座に対応することができる。
【0024】
転倒用スイッチ8の真下に位置する接触体40は、図5及び図6に示すように、接地面30と接触する接触面40Aを円弧状に形成しており、その上端外周に鍔部44を備え、上部中央にスイッチ棒8Aの先端を嵌め込んでおり、スイッチ本体8Bの下部との間にスプリング42を配設している。
この接触体40は、接地面30に対して上下動可能なように底部材33の底壁35にビス43止めされた接触体カバー部41によって覆われている。
【0025】
この接触体40は、他の実施例として図7及び図8に示すように、球体に形成して、球体の後端中央をスイッチ棒8Aの先端と接触させ、球体の上下動に伴って左右、前後移動を規制する保持体45を配置している。この球体の接触体40は、図5及び図6と同様に、接地面30に対して上下動可能なように底部材33の底壁35にビス43止めされた接触体カバー部41によって覆われている。この球体の接触体40と接触するスイッチ棒8Aの先端は、球体の形状に沿う円弧状としてもよい。
【0026】
次に、電気式の液体供給容器1の一例であり、抽出液を抽出する飲料抽出装置について説明する。
この飲料抽出装置は、図3及び図4に示すように、液体を収容する内容器2と、内容器内の液体を加熱するヒータ3と、内容器内の加熱された液体を電動ポンプ24を介して本体1A前方上方へ導く注出機構6と、電気系統を制御する制御機構部7と、本体1A底部ほぼ中央で、転倒時、外部電源を遮断して本体1Aへの通電を阻止する転倒用スイッチ8と、本体1A前方上方に載置し、コーヒー粉、紅茶葉等収納のチャンバー25と、チャンバー25の下端で本体1A前方の台座部26に載置される受器27と、台座部26上面にあって、受器27を暖めるウオーマー28とから構成されている。5は蓋体である。
【0027】
内容器2は、ステンレス等の金属材料にて有底筒状に形成しており、底部を上向きに段状に形成し、底の前方部に細口の貫通パイプを一体的に設けている。
内容器内の液体を加熱するヒータ3は、内容器底部外側より当接してヒータカバーと共に固定しており、温度調節器39にて内容器内の液温を間接的に感知してヒータ3をON、OFFしている。
【0028】
本体1A前方上方に嘴部11を設け、この嘴部11内部には、湯沸かし、保温用ランプを備えたスイッチ基板29、後述の注出機構6の吐出パイプ37等を収納している。
18は、断熱材である。
注出機構6は、内容器2の貫通パイプを介して連なる電動ポンプ24、揚水パイプ36を介して吐出パイプ37に連通している。
【0029】
制御機構部7は、電気系統をマイクロコンピュータにて操作しており、ヒータ3のON、OFFや、吐出用スイッチ、加熱用スイッチや表示ランプ等を備えたスイッチ基板29や注出機構6の電動ポンプ24のON、OFF等など様々な電気系統を制御している。
【0030】
この飲料抽出装置では、内容器2内で加熱された液体は、電動ポンプ24を介して注出機構6によりチャンバー25上方へ排出される。このチャンバー25内では暖かい液体とコーヒー粉、紅茶葉等が混ざり合ってチャンバー25下端よりコーヒー、紅茶等の抽出液となって滴下する。
【0031】
この飲料抽出装置では、電気湯沸かし器と全く同様に、転倒用スイッチ8及び接触体40が図5及び図6に示すように、配置されており、同様の働きもしている。
更に、図7及び図8に示すように、接触体40の他の実施例であっても何ら支障をきたすことなく、電気湯沸かし器と全く同様の働きをするものである。
【0032】
この滴下した抽出液を受器27内に貯めて、台座部26のウオーマー28にて保温することにより、常時暖かいコーヒー、紅茶等を飲むことができる。
この飲料抽出装置では特にオフィスビル等にて使用されるために、誰もいない夜間地震等が生じる恐れがあっても、この本体1Aの底部のほぼ中央に転倒用スイッチ8を配置することにより、万一、夜間転倒しても転倒用スイッチ8が働き、十分漏電等に対処することができる。
【0033】
この電気式の液体供給容器の電気湯沸かし器では、注出機構の電動ポンプにて内容器内の液体を吐出パイプへと導いているが、特にこれに限定されるものではなく、べローズポンプによる空気圧を利用して内容器内の液体を吐出パイプへと導いたり、又電気式の液体供給容器の飲料抽出装置でも、注出機構の電動ポンプにて内容器内の液体を吐出パイプへと導いているが、内容器内を沸騰させて、沸騰後の水蒸気を注出機構にて吐出パイプへと導いても何ら支障をきたすものではない。
【0034】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれら実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明実施例の斜視面図。
【図2】本発明実施例の中央縦断面図。
【図3】本発明他の実施例の斜視面図。
【図4】本発明他実施例の中央縦断面図。
【図5】本発明実施例の本体が接地面より離れた状態を示す説明図。
【図6】本発明実施例の本体が接地面と接触している状態を示す説明図。
【図7】本発明他の実施例の本体が接地面より離れた状態を示す説明図。
【図8】本発明他の実施例の本体が接地面と接触している状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
1…液体供給容器
1A…本体
2…内容器
3…ヒータ
4…外装体
5…蓋体
6…注出機構
7…制御機構部
8…転倒用スイッチ
8A…スイッチ棒
8B…スイッチ本体
30…接地面
31…揚水パイプ
32…止水弁
33…底部材
34…止水弁室
35…底部材の底壁
37…吐出パイプ
39…温度調節器
40…接触体
40A…接触面
41…接触体カバー部
42…スプリング
43…ビス
44…鍔部
45…保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する内容器(2)と、内容器内の液体を加熱するヒータ(3)と、内容器内の液体を外部へ注出する注出機構(6)と、外部電源を入力してヒータ(3)やその他駆動部分を操作する電気系統の制御機構部(7)と、内容器(2)、ヒータ(3)、注出機構(6)、制御機構部(7)等を内蔵した本体(1A)と本体上端を覆う蓋体(5)と、本体の接地面(30)と接触し、上下動自在なスイッチ棒(8A)とスイッチ本体(8B)とを備えた転倒用スイッチ(8)とを設け、本体の接地面(30)と転倒用スイッチ(8)とが接触している際には、外部電源からの電源を本体内に入力し、本体の接地面(30)と転倒用スイッチ(8)とが接触していない際には、外部電源からの電源を遮断し本体内への電源入力を阻止する電気式の液体供給容器(1)に於いて、上記転倒用スイッチ(8)のスイッチ棒(8A)と接触する接地面(30)との間に接触体(40)を介在させ、接触体(40)の接地面と接触する面を円弧状の接触面(40A)としたことを特徴とする電気式の液体供給容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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