説明

電気式脱イオン水製造装置及び脱イオン水の製造方法

【課題】本発明は、炭酸の逆拡散の発生を抑制し、高水質の脱イオン水を得ることができる電気式脱イオン水製造装置及び脱イオン水の製造方法を提供する。
【解決手段】電気式脱イオン水製造装置において、濃縮室のアニオン交換体とカチオン交換膜との間に、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであるモノリス状有機多孔質カチオン交換体を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、液晶、製薬、食品工業等の各種産業、民生用ないし研究施設等において利用される電気式脱イオン水製造装置及び脱イオン水の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
脱イオン水を製造する方法として、従来からイオン交換樹脂に被処理水を通して脱イオンを行う方法が知られている。しかし、この方法では、イオン交換樹脂がイオンで飽和されたときに、通常薬剤によって再生を行う。このような再生処理は、処理操作上の不利であり、このような点を解消するため、薬剤による再生が不要な電気式脱イオン法による脱イオン水製造方法が確立され、実用化に至っている。
【0003】
このような脱塩処理を行う電気式脱イオン水製造装置(EDI)においては、陽極と陰との間に、一側のカチオン交換膜と他側のアニオン交換膜とで区画され、イオン交換体が充填された脱塩室と、カチオン交換膜、アニオン交換膜を介して脱塩室の両側に濃縮室とが配置される。通常、脱塩室及び濃縮室は複数組配置される。そして、電気式脱イオン水製造装置によって脱イオン水を製造する場合、陽極と陰極間に直流電流を流した状態で、イオン交換体が充填された脱塩室内に被処理水を、濃縮室に濃縮水を通水させることによって、被処理水中のイオンを濃縮水中に移動させ、脱イオン水を得る。
【0004】
ここで、脱塩室に流入させる被処理水中の硬度が高い場合、例えば、水道水または水道水をRO膜処理した水を被処理水として用いると、濃縮室のアニオン交換膜面に硬度スケールが発生しやすい。すなわち、被処理水中に炭酸成分と硬度成分が含まれていると、電気式脱イオン水製造装置の濃縮室に移動したカルシウムイオンやマグネシウムイオンが濃縮室のアニオン交換膜面で炭酸イオン等と結合し、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等の硬度スケールを生じやすい。
【0005】
特許文献1には、濃縮室のアニオン交換膜側に特定構造のアニオン交換体を配置する電気式脱イオン水製造装置が提案されている。この特許文献1の装置によれば、OHイオンの濃縮液への拡散希釈が、多孔性アニオン交換体表面より促進され、多孔性アニオン交換体表面におけるOHイオン濃度の速やかな低減が図られる。他方、硬度成分イオンは、多孔性アニオン交換体の内部に侵入し難くなり、OHイオンと硬度成分イオンとが接触し反応する機会が低減されるため、硬度成分の析出や蓄積が抑制される。
【0006】
しかし、被処理水中の炭酸(遊離炭酸、重炭酸イオン、炭酸イオンの総称)が脱塩室から陽極側のアニオン交換膜を介して濃縮室へ移動すると、(詳細は後述するが)濃縮室内のアニオン交換体はHCO形となる。そして、HCO形のアニオン交換体に電流が流れると、HCO(及びCO2−)が電場によってカチオン交換膜近傍まで引き寄せられるが、カチオン交換膜を透過することはできず、カチオン交換膜近傍で濃縮される。また、水素イオンがカチオン交換膜を透過してくるため、カチオン交換膜付近のpHは低くなる。そうすると、水と炭酸ガス(CO)が発生し、カチオン交換膜近傍に高濃度炭酸ガス含有水溶液層が形成される。そして、炭酸ガスは、拡散によってカチオン交換膜10を透過して脱塩室へ移動(逆拡散)してしまう。すなわち、一旦被処理水中から除去された炭酸が、炭酸ガスとして被処理水中に再度溶解される、いわゆる炭酸の逆拡散が発生し、脱塩室から排出される処理水が炭酸成分で汚染される。
【0007】
特許文献2では、濃縮室に充填されたアニオン交換樹脂とカチオン交換膜との間に強塩基性アニオン基を有さない水透過性体を設けることにより、炭酸の逆拡散の発生を抑制する電気式脱イオン水製造装置が提案されている。この特許文献2の装置によれば、HCO等が水透過性体でブロックされ、カチオン交換膜近傍にまで拡散することを防止して、炭酸の逆拡散を防止することができる。
【0008】
また、特許文献3には、濃縮室にアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を充填することにより、炭酸の逆拡散の発生を抑制する電気式脱イオン水製造装置が提案されている。この特許文献3の装置によれば、カチオンおよびアニオンの両方が濃縮室内で移動可能になり、炭酸の逆拡散を比較的小さくして、かつスケールの発生も少なくできる。
【0009】
なお、出願人は、先に濃縮室のアニオン交換体とカチオン交換膜の間に、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なり合った部分に開口部を有する連続気泡構造のモノリス状有機多孔質カチオン交換体を配置したEDIを提案している(特願2007−318125号)。
【0010】
しかしながら、特願2007−318125号に記載の有機多孔質陽イオン交換体は、断面積中の骨格部の面積が、単位断面積当たり3〜50%の範囲と記載されているものの、全細孔容積5ml/g以下の細孔容積の小さなモノリスについては、油中水滴型エマルジョン中の水滴の量を少なくする必要があるため共通の開口は小さくなり、実質的に開口の平均径20μm以上のものは製造できない。また、特願2007−318125号に記載のモノリスの連続気泡構造を形成する骨格表面には突起状物が観察されていない。このため、本発明で使用する有機多孔質陽イオン交換体と特願2007−318125号に記載の有機多孔質陽イオン交換体とはその構造を違える。なお、特願2007−318125号に記載の有機多孔質陽イオン交換体の製造方法の詳細は、特開2002−306976号にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−225078号公報
【特許文献2】特開2004−358440号公報
【特許文献3】特開2004−34004号公報
【特許文献4】特開2009−62512号公報
【特許文献5】特開2009−67982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、上記と異なる構成で炭酸の逆拡散の発生を抑制し、高水質の脱イオン水を得ることができる電気式脱イオン水製造装置及び脱イオン水の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、陽極と陰極との間に、一側のカチオン交換膜と他側のアニオン交換膜とで区画され、イオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜、前記アニオン交換膜を介して前記脱塩室の両側に設けられ、アニオン交換体が充填された濃縮室とを配置する電気式脱イオン水製造装置であって、前記濃縮室のアニオン交換体と前記カチオン交換膜との間に、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であるモノリス状有機多孔質カチオン交換体を配置することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【0014】
また、本発明は、陽極と陰極との間に、一側のカチオン交換膜と他側のアニオン交換膜とで区画され、イオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜、前記アニオン交換膜を介して前記脱塩室の両側に設けられ、アニオン交換体が充填された濃縮室と、を配置する電気式脱イオン水製造装置を利用して脱イオン水を製造する脱イオン水の製造方法であって、前記濃縮室のアニオン交換体と前記カチオン交換膜との間に、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であるモノリス状有機多孔質カチオン交換体を配置することを特徴とする脱イオン水の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、炭酸の逆拡散の発生を抑制し、高水質の脱イオン水を得ることができる。また、本発明は、モノリス状有機多孔質カチオン交換体の強度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】参考例1で得られたモノリスの倍率100のSEM画像である。
【図2】参考例1で得られたモノリスの倍率300のSEM画像である。
【図3】参考例1で得られたモノリスの倍率3000のSEM画像である。
【図4】参考例1で得られたモノリスカチオン交換体の表面における硫黄原子の分布状態を示したEPMA画像である。
【図5】参考例1で得られたモノリスカチオン交換体の断面(厚み)方向における硫黄原子の分布状態を示したEPMA画像である。
【図6】参考例2で得られたモノリスの倍率100のSEM画像である。
【図7】参考例2で得られたモノリスの倍率600のSEM画像である。
【図8】参考例2で得られたモノリスの倍率3000のSEM画像である。
【図9】参考例3で得られたモノリスの倍率600のSEM画像である。
【図10】参考例3で得られたモノリスの倍率3000のSEM画像である。
【図11】参考例4で得られたモノリスの倍率3000のSEM画像である。
【図12】参考例5で得られたモノリスの倍率100のSEM画像である。
【図13】参考例5で得られたモノリスの倍率3000のSEM画像である。
【図14】本実施の形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
【図15】本実施の形態に係る濃縮室の構成の一例を示す分解斜視図である。
【図16】本発明の他の実施の形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。
【図17】濃縮室から脱塩室に移動する炭酸成分量を測定するための試験セルを示す概略構成図である。
【図18】突起体の模式的な断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態における電気式脱イオン水製造装置は、陽極と陰極との間に、一側のカチオン交換膜と他側のアニオン交換膜とで区画され、イオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜、前記アニオン交換膜を介して前記脱塩室の両側に設けられ、アニオン交換体が充填された濃縮室とが配置される。ここで、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の脱塩室は、上記構成を有するものであれば、単一の脱塩室であっても、例えば、当該カチオン交換膜と当該アニオン交換膜との間に位置する中間イオン交換膜により2つの小脱塩室に区画された脱塩室であって、被処理水が2つの小脱塩室を順次流れるように構成されたものであってもよい。この2つの小脱塩室に区画された脱塩室を用いると、被処理水の脱塩処理を効率よく行うことが可能になる。
【0018】
以下に、カチオン交換膜とアニオン交換膜との間に位置する中間イオン交換膜により2つの小脱塩室に区画された脱塩室を一例として説明する。
【0019】
図14は、本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。電気式脱イオン水製造装置1には、カチオン交換膜10と、中間イオン交換膜12と、アニオン交換膜14とが互いに離間して交互に配置され、中間イオン交換膜12とアニオン交換膜14とで区画される第一小脱塩室d1、d3、d5及びカチオン交換膜10と中間イオン交換膜12とで区画される第二小脱塩室d2、d4、d6が形成されている。第一小脱塩室d1と第二小脱塩室d2とで脱塩室D1、第一小脱塩室d3と第二小脱塩室d4とで脱塩室D2、第一小脱塩室d5と第二小脱塩室d6とで脱塩室D3を形成する。また、脱塩室D1とD2、D2とD3のそれぞれの間に位置するアニオン交換膜14とカチオン交換膜10とで形成される部分は、濃縮水を流すための濃縮室16(16a、16b)とする。これを順次に併設して図14中、左より脱塩室D1、濃縮室16a、脱塩室D2、濃縮室16b、脱塩室D3が形成される。なお、図14の脱塩室及び濃縮室の数は、被処理水の処理流量などにより適宜決定され、上記に限定されない。また、濃縮室は、必要に応じて脱塩室と後述する電極室との間に設けることもできる。
【0020】
図14に示す第一小脱塩室d1、d3、d5には、アニオン交換体20が充填され、第二小脱塩室d2、d4、d6には、アニオン交換体及びカチオン交換体の混合イオン交換体18(以下、単に「混合体18」とも言う。)が充填されている。なお、第一小脱塩室d1、d3、d5及び第二小脱塩室d2、d4、6に充填されるイオン交換体は、上記に限定されるものではなく、脱塩処理の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0021】
上記実施の形態における中間イオン交換膜12はアニオン交換膜であるが、特に制限されるものではない。
【0022】
濃縮室16a、16bには、アニオン交換体22が充填されている。濃縮室16a、16bにアニオン交換体22を充填することで、濃縮室16a、16bのカチオン交換膜10面に炭酸が拡散して、カチオン交換膜10面に硬度スケールが発生するのを防止でき、また高伝導度のアニオン交換体22が存在することで印加電圧を低電圧化することができる。
【0023】
また、濃縮室16a、16bには、アニオン交換体22とカチオン交換膜10との間に、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23が配置されている。モノリス状有機多孔質カチオン交換体23には、マクロポア及び開口部により濃縮室の流路が形成されるか、あるいは共連続構造の空孔により濃縮室の流路が形成されている。
【0024】
図15は、本実施の形態における濃縮室の構成の一例を示す分解斜視図である。図15に示すように、濃縮室16a、16bには、脱塩室D1、D2のアニオン交換膜14と別の脱塩室D2、D3のカチオン交換膜10との間に枠体25が配置され、枠体25のくり抜かれた部分に、アニオン交換体22が充填されている。また、枠体25とカチオン交換膜10との間にモノリス状有機多孔質カチオン交換体23が配置されている。枠体25とアニオン交換膜14、枠体25とモノリス状有機多孔質カチオン交換体23、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23とカチオン交換膜10はそれぞれ封着されている。また、本実施の形態では、枠体25とカチオン交換膜10との間に別の枠体を配置し、当該枠体のくり抜かれた部分にモノリス状有機多孔質カチオン交換体23が配置されていてもよい。なお、イオン交換膜は通常比較的柔らかいものであるため、アニオン交換膜14と枠体25との封着時には、アニオン交換膜14が湾曲して、枠体25のくり抜かれた部分に充填されたアニオン交換体22の充填層が不均一となりやすい。これを防止するため、枠体25の空間部に複数のリブ(不図示)が縦設されてもよい。また、図では省略するが、枠体25に濃縮水の流入口及び流出口が付設されている。
【0025】
脱塩室D1、D2、D3も上記同様に枠体を用いて、枠体のくり抜かれた部分にイオン交換体が充填される構成であることが好ましい。すなわち、カチオン交換膜10及び中間イオン交換膜12との間、中間イオン交換膜12とアニオン交換膜14との間に枠体が配置され、各枠体のくり抜かれた部分にイオン交換体が充填される。また各枠体とカチオン交換膜10、中間イオン交換膜12、アニオン交換膜14とは、封着される。
【0026】
両端の脱塩室D1、D3の両外側と両電極(陰極24、陽極26)との間の空間をそれぞれ電極室28、30として、ここに電極水(本実施の形態例では濃縮水)が通水される。なお、電極室28、30には、必要に応じてカチオン交換体、アニオン交換体等が充填されてもよい。図14の例では、電極室28にアニオン交換体32が、電極室30にカチオン交換体34が配設されているが、これに限らない。
【0027】
図14の電気式脱イオン水製造装置1において、被処理水が流入するための第一流入ライン36が、第一小脱塩室d1、d3、d5の入口にそれぞれ接続され、第一小脱塩室d1、d3、d5の出口からの被処理水が流出するための第一流出ライン38が、第二小脱塩室d2、d4、d6の入口へ被処理水が流入するための第二流入ライン40に接続されている。処理水が流出するための第二流出ライン42が、第二小脱塩室d2、d4、d6の出口にそれぞれ接続されている。上記構成によって、被処理水は、まず、第一小脱塩室d1、d3、d5に供給され、脱塩処理される。そして、第一小脱塩室d1、d3、d5を通過した被処理水が、第二小脱塩室d2、d4、d6に供給され、さらに脱塩処理されて処理水として排出される。なお、被処理水の通水経路は、上記に制限されるものではなく、例えば、混合体18が充填された第二小脱塩室d2、d4、d6からアニオン交換体20が充填された第一小脱塩室d1、d3、d5へ被処理水が通水されてもよい。
【0028】
また、濃縮水流入ライン48は、濃縮室16a、16bの入口にそれぞれ接続され、濃縮水流出ライン50は、濃縮室16a、16bの出口にそれぞれ接続されている。電極水流入ラインは、濃縮水流入ライン48と同一のラインとし、電極室28、30の入口にそれぞれ接続され、電極水流出ラインは、濃縮水流出ライン50と同一のラインとし、電極室28、30の出口にそれぞれ接続されている。本実施の形態例において、電極水流入ライン及び濃縮水流入ライン48、電極水流出ライン及び濃縮水流出ライン50をそれぞれ同一のラインとしているが、異なるラインとしてもよい。また、濃縮水及び電極水として流入させる溶液を同じものとして通水させているが、これに限られず、濃縮水及び電極水を異なる溶液としてもよい。
【0029】
また、本実施の形態例では、第一小脱塩室d1、d3、d5に流入する被処理水の流れ方向及び第二小脱塩室d2、d4、d6に流入する被処理水の流れ方向は共に下降方向であり、濃縮水の流れ方向はその逆の上昇方向であるが、これに制限されない。
【0030】
本実施の形態における電気式脱イオン水製造装置1によって、脱イオン水を製造する場合の運転方法の一例を以下に説明する。まず、陰極24と陽極26間に直流電流を流した状態で、第一流入ライン36から被処理水を流入させると共に、濃縮水流入ライン48から濃縮水を流入させる。第一流入ライン36から流入した被処理水は、第一小脱塩室d1、d3、d5を流れ、アニオン交換体20の充填層を通過する際に炭酸(遊離炭酸、重炭酸イオン、炭酸イオン)、シリカ等のアニオンが除去される。更に、第一小脱塩室d1、d3、d5の第一流出ライン38を通った被処理水は、第二小脱塩室d2、d4、d6の第二流入ライン40を流れ、混合体18の充填層を通過する際にカチオン及びアニオンが除去され、処理水(脱イオン水)が第二流出ライン42から得られる。また、濃縮水流入ライン48から流入した濃縮水は、各濃縮室16a、16bを流れ、カチオン交換膜10及びアニオン交換膜14を介して移動してくるイオンを受取り、イオンを濃縮した濃縮水として濃縮水流出ライン50から流出される。さらに、濃縮水流入ライン48(電極水流入ライン)から流入した電極水は、濃縮水流出ライン50(電極水流出ライン)から流出される。上述の運転によって、被処理水中の不純物イオンが除去された処理水(脱イオン水)が得られる。
【0031】
先に流入する第一小脱塩室d1、d3、d5のアニオン交換体20にて捕捉される炭酸(遊離炭酸、重炭酸イオン、炭酸イオン)は、水酸化物イオンやアニオン交換体20に捕捉された他のアニオン成分と共に陽極側のアニオン交換膜14を通過し、濃縮室16a、16bへと移動する。濃縮室16a、16bのアニオン交換体22は、移動してきた炭酸によりHCO形のアニオン交換体となる。仮に、本実施形態とは異なり、濃縮室16a、16b内のアニオン交換体22とカチオン交換膜10との間にモノリス状有機多孔質カチオン交換体23が配置されていない状態で、HCO形のアニオン交換体に電流が流れると、HCO(及びCO2−)は電場によってカチオン交換膜10近傍まで引き寄せられるが、カチオン交換膜10を透過することはできず、カチオン交換膜10近傍で濃縮される。これによって、カチオン交換膜10を隔てて濃縮室16a、16b(濃厚側)と第一小脱塩室d3、d5(希薄側)との間にHCO(及びCO2−)の急な濃度勾配が発生する。また、カチオン交換膜10からは水素イオンが透過してくるため、濃縮室16a、16bのカチオン交換膜10近傍のpHは低くなる。そうすると、水と炭酸ガス(CO)が発生し、カチオン交換膜10近傍に高濃度炭酸ガス含有水溶液層が形成され、炭酸ガスは、拡散によってカチオン交換膜10を透過して第二小脱塩室d4,d6へ移動(逆拡散)してしまう。これにより第二小脱塩室d4,d6から排出される最終処理水が炭酸で汚染されることになる。
【0032】
これに対し、本実施の形態例では、濃縮室16a、16b内のアニオン交換体22とカチオン交換膜10との間にモノリス状有機多孔質カチオン交換体23が配置されているため、濃縮室16a、16b内のアニオン交換体22はカチオン交換膜10と接触していない。したがって、高濃度炭酸ガス含有水溶液層は、カチオン交換膜10から離れて、主にアニオン交換体22と接するモノリス状有機多孔質カチオン交換体23表面又は内部に形成される。また、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23のマクロポアと開口部あるいは空孔部は、濃縮水が通過する流路であるため、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23表面又は内部の炭酸ガスは、カチオン交換膜10に接する前に濃縮水と共に濃縮室16a、16bから流出される。また、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23表面又は内部の炭酸ガスが、カチオン交換膜10に到達したとしても、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23内で希薄化(低濃度化)されているため、カチオン交換膜10を透過する炭酸ガスの量は大きく低減される。
【0033】
また、本実施の形態例のモノリス状有機多孔質カチオン交換体23は、イオン交換基(カチオン交換基)が分散しているため、イオン交換基のないモノリス状の有機多孔質体を濃縮室16a、16b内のアニオン交換体22とカチオン交換膜10との間に配置するものより、電気式脱イオン水製造装置1の電気抵抗を低くすることができる。また、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23は、その他のメッシュ状物、不織布、織布等の多孔質カチオン交換体よりも充填率が高いため、その他のメッシュ状物、不織布、織布等の多孔質カチオン交換体を配置するよりも、電気式脱イオン水製造装置1の電気抵抗を低くすることができる。
【0034】
また、被処理水を第一小脱塩室に充填されたアニオン交換体から第二小脱塩室に充填された混合体(アニオン交換体及びカチオン交換体)の順で接触させる構成では、炭酸の逆拡散現象が起こると、最終処理の第二小脱塩室に炭酸が移動するため、処理水が炭酸で汚染され易い。しかし、上記モノリス状有機多孔質カチオン交換体を濃縮室のアニオン交換体とカチオン交換体との間に配置することにより、炭酸の逆拡散現象が抑制されるため、このような構成でも最終処理水の炭酸汚染を防止することができる。また、脱塩室に充填された混合体によって、アニオン及びカチオンの両方のイオン除去が行え、高品位の脱イオン水を得ることができる。
【0035】
本発明の電気式脱イオン水製造装置の濃縮室のアニオン交換体とカチオン交換膜との間に設置されるのは、複合構造のモノリス状有機多孔質カチオン交換体である。本明細書中、「モノリス状有機多孔質体」を単に「複合モノリス」と、「モノリス状有機多孔質カチオン交換体」又は「モノリス状有機多孔質イオン交換体」を単に「複合モノリスイオン交換体」と、「モノリス状の有機多孔質中間体」を単に「モノリス中間体」とも言う。
【0036】
<複合モノリスイオン交換体の説明>
複合モノリスイオン交換体は、複合モノリスにイオン交換基を導入することで得られるものであり、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体との複合構造体であるか、又は連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であり、イオン交換基が該複合構造体中に均一に分布している。なお、本明細書中、「粒子体」及び「突起体」を併せて「粒子体等」と言うことがある。
【0037】
有機多孔質体の連続骨格相と連続空孔相(乾燥体)は、SEM画像により観察することができる。有機多孔質体の基本構造としては、連続マクロポア構造及び共連続構造が挙げられる。有機多孔質体の骨格相は、柱状の連続体、凹状の壁面の連続体あるいはこれらの複合体として表れるもので、粒子状や突起状とは明らかに相違する形状のものである。
【0038】
有機多孔質体の好ましい構造としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜150μmの開口となる連続マクロポア構造体(以下、「第1の有機多孔質イオン交換体」とも言う。)及び水湿潤状態で平均の太さが1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体(以下、「第2の有機多孔質イオン交換体」とも言う。)が挙げられる。
【0039】
第1の有機多孔質イオン交換体の場合、有機多孔質体は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜150μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体である。複合モノリスイオン交換体の開口の平均直径は、モノリスにイオン交換基を導入する際、複合モノリス全体が膨潤するため、乾燥状態の複合モノリスの開口の平均直径よりも大となる。開口の平均直径が30μm未満であると、濃縮水の圧力損失が高くなり、モノリスイオン交換体内で発生した炭酸ガスを濃縮水とともに、排水させることが困難となる場合がある。また、開口の平均直径が大き過ぎると、流体とモノリスイオン交換体との接触が不十分となり、その結果、イオン交換特性が低下してしまうため好ましくない。
【0040】
なお、本発明では、乾燥状態のモノリス中間体の開口の平均直径、乾燥状態の複合モノリスの空孔又は開口の平均直径及び乾燥状態の複合モノリスイオン交換体の空孔又は開口の平均直径は、水銀圧入法により測定される値である。また、本発明の有機多孔質イオン交換体において、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の空孔又は開口の平均直径は、乾燥状態の複合モノリスイオン交換体の空孔又は開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の直径がx1(mm)であり、その水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の複合モノリスイオン交換体の直径がy1(mm)であり、この乾燥状態の複合モノリスイオン交換体を水銀圧入法により測定したときの空孔又は開口の平均直径がz1(μm)であったとすると、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の空孔又は開口の平均直径(μm)は、次式「水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の空孔又は開口の平均直径(μm)=z1×(x1/y1)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスの空孔又は開口の平均直径、及びその乾燥状態の複合モノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の複合モノリスに対する水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の複合モノリスの空孔又は開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、複合モノリスイオン交換体の空孔の水湿潤状態の平均直径を算出することもできる。
【0041】
第2の有機多孔質体イオン交換体の場合、有機多孔質体は、水湿潤状態で平均直径が1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μmの三次元的に連続した空孔を有する共連続構造である。三次元的に連続した空孔の直径が10μm未満であると、濃縮液透過時の圧力損失が高くなり、モノリスイオン交換体内で発生した炭酸ガスを濃縮水と共に、排水させることが困難となる場合があり好ましくなく、100μmを超えると、強度が低下する場合や、充填率が低くなり電気式脱イオン水製造装置の電気抵抗が高くなる場合がある。
【0042】
上記共連続構造の空孔の水湿潤状態での平均直径は、公知の水銀圧入法で測定した乾燥状態の複合モノリスイオン交換体の空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の直径がx2(mm)であり、その水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の複合モノリスイオン交換体の直径がy2(mm)であり、この乾燥状態の複合モノリスイオン交換体を水銀圧入法により測定したときの空孔の平均直径がz2(μm)であったとすると、複合モノリスイオン交換体の空孔の水湿潤状態での平均直径(μm)は、次式「複合モノリスイオン交換体の空孔の水湿潤状態の平均直径(μm)=z2×(x2/y2)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスの空孔の平均直径、及びその乾燥状態の複合モノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の複合モノリスに対する水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の複合モノリスの空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて、複合モノリスイオン交換体の空孔の水湿潤状態の平均直径を算出することもできる。また、上記共連続構造体の骨格の水湿潤状態での平均太さは、乾燥状態の複合モノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値に、膨潤率を乗じて算出される値である。具体的には、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の直径がx3(mm)であり、その水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の複合モノリスイオン交換体の直径がy3(mm)であり、この乾燥状態の複合モノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値がz3(μm)であったとすると、複合モノリスイオン交換体の連続構造体の骨格の水湿潤状態での平均太さ(μm)は、次式「複合モノリスイオン交換体の連続構造体の骨格の水湿潤状態の平均太さ(μm)=z3×(x3/y3)」で算出される。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスの骨格の平均太さ、及びその乾燥状態の複合モノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の複合モノリスに対する水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態の複合モノリスの骨格の平均太さに、膨潤率を乗じて、複合モノリスイオン交換体の骨格の水湿潤状態の平均太さを算出することもできる。なお、共連続構造を形成する骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
【0043】
また、三次元的に連続した骨格の平均直径が1μm未満であると、体積当りのイオン交換容量が低下してしまうため好ましくなく、60μmを超えると、イオン交換特性の均一性が失われるため好ましくない。
【0044】
複合モノリスイオン交換体の水湿潤状態での孔の平均直径の好ましい値は10〜120μmである。複合モノリスイオン交換体を構成する有機多孔質体が第1の有機多孔質体の場合、複合モノリスイオン交換体の孔径の好ましい値は30〜120μm、複合モノリスイオン交換体を構成する有機多孔質体が第2の有機多孔質体の場合、複合モノリスイオン交換体の孔径の好ましい値は10〜90μmである。
【0045】
本発明に係る複合モノリスイオン交換体において、水湿潤状態での粒子体の直径及び突起体の大きさは、4〜40μm、好ましくは4〜30μm、特に好ましくは4〜20μmである。なお、本発明において、粒子体及び突起体は、共に骨格表面に突起状に観察されるものであり、粒状に観察されるものを粒子体と称し、粒状とは言えない突起状のものを突起体と称する。図18に、突起体の模式的な断面図を示す。図18中の(A)〜(E)に示すように、骨格表面61から突き出している突起状のものが突起体62であり、突起体62には、(A)に示す突起体62aのように粒状に近い形状のもの、(B)に示す突起体62bのように半球状のもの、(C)に示す突起体62cのように骨格表面の盛り上がりのようなもの等が挙げられる。また、他には、突起体61には、(D)に示す突起体62dのように、骨格表面61の平面方向よりも、骨格表面61に対して垂直方向の方が長い形状のものや、(E)に示す突起体62eのように、複数の方向に突起した形状のものもある。また、突起体の大きさは、SEM観察したときのSEM画像で判断され、個々の突起体のSEM画像での幅が最も大きくなる部分の長さを指す。
【0046】
本発明に係る複合モノリスイオン交換体において、全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は70%以上、好ましくは80%以上である。なお、全粒子体等中の水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は、全粒子体等の個数に占める水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等の個数割合を指す。また、骨格相の表面は全粒子体等により40%以上、好ましくは50%以上被覆されている。なお、粒子体等による骨格層の表面の被覆割合は、SEMにより表面観察にしたときのSEM画像上の面積割合、つまり、表面を平面視したときの面積割合を指す。壁面や骨格を被覆している粒子の大きさが上記範囲を逸脱すると、流体と複合モノリスイオン交換体の骨格表面及び骨格内部との接触効率を改善する効果が小さくなってしまうため好ましくない。なお、全粒子体等とは、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等以外の大きさの範囲の粒子体及び突起体も全て含めた、骨格層の表面に形成されている全ての粒子体及び突起体を指す。
【0047】
上記複合モノリスイオン交換体の骨格表面に付着した粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさは、乾燥状態の複合モノリスイオン交換体のSEM画像の観察により得られる粒子体等の直径又は大きさに、乾燥状態から湿潤状態となった際の膨潤率を乗じて算出した値、又はイオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスのSEM画像の観察により得られる粒子体等の直径又は大きさに、イオン交換基導入前後の膨潤率を乗じて算出した値である。具体的には、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の直径がx4(mm)であり、その水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体を乾燥させ、得られる乾燥状態の複合モノリスイオン交換体の直径がy4(mm)であり、この乾燥状態の複合モノリスイオン交換体をSEM観察したときのSEM画像中の粒子体等の直径又は大きさがz4(μm)であったとすると、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の粒子体等の直径又は大きさ(μm)は、次式「水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の粒子体等の直径又は大きさ(μm)=z4×(x4/y4)」で算出される。そして、乾燥状態の複合モノリスイオン交換体のSEM画像中に観察される全ての粒子体等の直径又は大きさを測定して、その値を基に、1視野のSEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出する。この乾燥状態の複合モノリスイオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、全視野において、SEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出して、直径又は大きさが4〜40μmにある粒子体等が観察されるか否かを確認し、全視野において確認された場合、複合モノリスイオン交換体の骨格表面上に、直径又は大きさが水湿潤状態で4〜40μmにある粒子体が形成されていると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等の水湿潤状態での直径又は大きさを算出し、各視野毎に、全粒子体等に占める水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等の割合を求め、全視野において、全粒子体等中の水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合が70%以上であった場合には、複合モノリスイオン交換体の骨格表面に形成されている全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合は70%以上であると判断する。また、上記に従って1視野毎にSEM画像中の全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合を求め、全視野において、全粒子体等による骨格層の表面の被覆割合が40%以上であった場合には、複合モノリスイオン交換体の骨格層の表面が全粒子体等により被覆されている割合が40%以上であると判断する。また、イオン交換基導入前の乾燥状態の複合モノリスの粒子体等の直径又は大きさと、その乾燥状態のモノリスにイオン交換基導入したときの乾燥状態の複合モノリスに対する水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の膨潤率とがわかる場合は、乾燥状態の複合モノリスの粒子体等の直径又は大きさに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の粒子体等の直径又は大きさを算出して、上記と同様にして、水湿潤状態の複合モノリスイオン交換体の粒子体等の直径又は大きさ、全粒子体等中、水湿潤状態で4〜40μmの粒子体等が占める割合、粒子体等による骨格層の表面の被覆割合を求めることもできる。
【0048】
粒子体等による骨格相表面の被覆率が40%未満であると、流体と複合モノリスイオン交換体の骨格内部及び骨格表面との接触効率を改善する効果が小さくなり、イオン交換挙動の均一性が損なわれてしまうため好ましくない。上記粒子体等による被覆率の測定方法としては、モノリス(乾燥体)のSEM画像による画像解析方法が挙げられる。
【0049】
また、複合モノリスイオン交換体の全細孔容積は、複合モノリスの全細孔容積と同様である。すなわち、複合モノリスにイオン交換基を導入することで膨潤し開口径が大きくなっても、骨格相が太るため全細孔容積はほとんど変化しない。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、モノリス内を流れる濃縮水の圧力損失が高くなり、モノリスイオン交換体内で発生した炭酸ガスを濃縮水と共に排水させることが困難となる場合がある。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、モノリスイオン交換体の強度低下、電気式脱イオン水製造装置の電気抵抗の増加が生じるため好ましくない。なお、複合モノリス(モノリス中間体、複合モノリス、複合モノリスイオン交換体)の全細孔容積は、乾燥状態でも、水湿潤状態でも、同じである。
【0050】
なお、複合モノリスイオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、複合モノリスに水を透過させた際の圧力損失と同様である。
【0051】
本発明の複合モノリスイオン交換体は、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量が0.2mg当量/ml以上、好ましくは0.3〜1.8mg当量/mlのイオン交換容量を有する。体積当りのカチオン交換容量が0.2mg当量/ml未満であると、導電性が低下し、電気抵抗が増大してしまうため好ましくない。なお、本発明の複合モノリスイオン交換体の乾燥状態における重量当りのイオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基が複合モノリスの骨格表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3〜5mg当量/gである。なお、イオン交換基が骨格の表面のみに導入された有機多孔質体のイオン交換容量は、有機多孔質体やイオン交換基の種類により一概には決定できないものの、せいぜい500μg当量/gである。
【0052】
本発明の複合モノリスに導入するイオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基が挙げられる。
【0053】
本発明の複合モノリスイオン交換体において、導入されたイオン交換基は、複合モノリスの骨格の表面のみならず、骨格相内部にまで均一に分布している。ここで言う「イオン交換基が均一に分布している」とは、イオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで骨格相の表面および骨格相の内部に均一に分布していることを指す。イオン交換基の分布状況は、EPMA等を用いることで、比較的簡単に確認することができる。また、イオン交換基が、複合モノリスの表面のみならず、骨格相の内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
【0054】
本発明の複合モノリスイオン交換体は、その厚みが1mm以上であり、膜状の多孔質体とは区別される。厚みが1mm未満であると、多孔質体一枚当りのイオン交換容量が極端に低下してしまうため好ましくない。該複合モノリスイオン交換体の厚みは、好適には3mm〜1000mmである。また、本発明の複合モノリスイオン交換体は、骨格の基本構造が連続空孔構造であるため、機械的強度が高い。
【0055】
本発明の複合モノリスイオン交換体は、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第1架橋剤、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が5〜30ml/gの連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体を得るI工程、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第2架橋剤、ビニルモノマーや第2架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製するII工程、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス状の有機多孔質中間体の存在下で重合を行うIII工程、III工程で得られたモノリス状有機多孔質体にイオン交換基を導入するIV工程、を行い、モノリス状有機多孔質体を製造する際に、下記(1)〜(5):
(1)III工程における重合温度が、重合開始剤の10時間半減温度より、少なくとも5℃低い温度である;
(2)II工程で用いる第2架橋剤のモル%が、I工程で用いる第1架橋剤のモル%の2倍以上である;
(3)II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーである;
(4)II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルである;
(5)II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程の混合物中、30重量%以下である;の条件のうち、少なくとも一つを満たす条件下でII工程又はIII工程を行うことにより得られる。
【0056】
(モノリス中間体の製造方法)
本発明のモノリスの製造方法において、I工程は、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第1架橋剤、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が5〜30ml/gの連続マクロポア構造のモノリス中間体を得る工程である。このモノリス中間体を得るI工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行なえばよい。
【0057】
イオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、四級アンモニウム基等のイオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーが挙げられる。これらモノマーの好適なものとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第1架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい第1架橋剤は、機械的強度の高さから、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。第1架橋剤の使用量は、ビニルモノマーと第1架橋剤の合計量に対して0.3〜10モル%、特に0.3〜5モル%、更に0.3〜3モル%であることが好ましい。第1架橋剤の使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくない。一方、10モル%を越えると、モノリスの脆化が進行して柔軟性が失われる、イオン交換基の導入量が減少してしまうといった問題点が生じるため好ましくない。
【0059】
界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。
【0060】
また、I工程では、油中水滴型エマルジョン形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0061】
イオン交換基を含まない油溶性モノマー、第1架橋剤、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、第1架橋剤、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
【0062】
I工程で得られるモノリス中間体は、連続マクロポア構造を有する。これを重合系に共存させると、そのモノリス中間体の構造を鋳型として連続マクロポア構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したり、共連続構造の骨格相の表面に粒子体等が形成したりする。また、モノリス中間体は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくない。一方、10モル%を越えると、多孔質体の脆化が進行し、柔軟性が失われるため好ましくない。
【0063】
モノリス中間体の全細孔容積は、5〜30ml/g、好適には6〜28ml/gである。全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの全細孔容積が小さくなりすぎ、流体透過時の圧力損失が大きくなるため好ましくない。一方、全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が不均一になりやすく、場合によっては構造崩壊を引き起こすため好ましくない。モノリス中間体の全細孔容積を上記数値範囲とするには、モノマーと水の比(重量)を、概ね1:5〜1:35とすればよい。
【0064】
このモノマーと水との比を、概ね1:5〜1:20とすれば、モノリス中間体の全細孔容積が5〜16ml/gの連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られる複合モノリスの有機多孔質体が第1の有機多孔質体のものが得られる。また、該配合比率を、概ね1:20〜1:35とすれば、モノリス中間体の全細孔容積が16ml/gを超え、30ml/g以下の連続マクロポア構造のものが得られ、III工程を経て得られる複合モノリスの有機多孔質体が第2の有機多孔質体のものが得られる。
【0065】
また、モノリス中間体は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で20〜100μmである。開口の平均直径が20μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、通水過時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、100μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなりすぎ、水の流路が均一に形成されにくくなるため好ましくない。モノリス中間体は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
【0066】
(複合モノリスの製造方法)
II工程は、ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する第2架橋剤、ビニルモノマーや第2架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程である。なお、I工程とII工程の順序はなく、I工程後にII工程を行ってもよく、II工程後にI工程を行ってもよい。
【0067】
II工程で用いられるビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性のビニルモノマーであれば、特に制限はない。これらビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。これらモノマーは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明で好適に用いられるビニルモノマーは、スチレン、ビニルベンジルクロライド等の芳香族ビニルモノマーである。
【0068】
これらビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体に対して、重量で3〜40倍、好ましくは4〜30倍である。ビニルモノマー添加量が多孔質体に対して3倍未満であると、生成したモノリスの骨格に粒子体を形成できず、イオン交換基導入後の体積当りのイオン交換容量が小さくなってしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー添加量が40倍を超えると、開口径が小さくなり、流体透過時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。
【0069】
II工程で用いられる第2架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。第2架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート等が挙げられる。これら第2架橋剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましい第2架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。第2架橋剤の使用量は、ビニルモノマーと第2架橋剤の合計量に対して0.3〜20モル%、特に0.3〜10モル%であることが好ましい。架橋剤使用量が0.3モル%未満であると、モノリスの機械的強度が不足するため好ましくない。一方、20モル%を越えると、モノリスの脆化が進行して柔軟性が失われる、イオン交換基の導入量が減少してしまうといった問題点が生じるため好ましくない。
【0070】
II工程で用いられる有機溶媒は、ビニルモノマーや第2架橋剤は溶解するがビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒、言い換えると、ビニルモノマーが重合して生成するポリマーに対する貧溶媒である。該有機溶媒は、ビニルモノマーの種類によって大きく異なるため一般的な具体例を列挙することは困難であるが、例えば、ビニルモノマーがスチレンの場合、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状(ポリ)エーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の鎖状飽和炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。また、ジオキサンやTHF、トルエンのようにポリスチレンの良溶媒であっても、上記貧溶媒と共に用いられ、その使用量が少ない場合には、有機溶媒として使用することができる。これら有機溶媒の使用量は、上記ビニルモノマーの濃度が5〜80重量%となるように用いることが好ましい。有機溶媒使用量が上記範囲から逸脱してビニルモノマー濃度が5重量%未満となると、重合速度が低下してしまうため好ましくない。一方、ビニルモノマー濃度が80重量%を超えると、重合が暴走する恐れがあるため好ましくない。
【0071】
重合開始剤としては、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。本発明で用いられる重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと第2架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5%の範囲で使用することができる。
【0072】
III工程は、II工程で得られた混合物を静置下、且つ該I工程で得られたモノリス中間体の存在下、重合を行い、複合モノリスを得る工程である。III工程で用いるモノリス中間体は、本発明の斬新な構造を有するモノリスを創出する上で、極めて重要な役割を担っている。特表平7−501140号等に開示されているように、モノリス中間体不存在下でビニルモノマーと第2架橋剤を特定の有機溶媒中で静置重合させると、粒子凝集型のモノリス状有機多孔質体が得られる。それに対して、本発明のように上記重合系に連続マクロポア構造のモノリス中間体を存在させると、重合後のモノリスの構造は劇的に変化し、粒子凝集構造は消失し、上述の特定の骨格構造を有するモノリスが得られる。
【0073】
反応容器の内容積は、モノリス中間体を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後のモノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、モノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
【0074】
III工程において、反応容器中、モノリス中間体は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。II工程で得られた混合物とモノリス中間体の配合比は、前述の如く、モノリス中間体に対して、ビニルモノマーの添加量が重量で3〜40倍、好ましくは4〜30倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、特定の骨格を有するモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配しされ、モノリス中間体の骨格内で重合が進行する。
【0075】
重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択できる。例えば、開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、20〜100℃で1〜48時間加熱重合させればよい。加熱重合により、モノリス中間体の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が該骨格内で重合し、該特定の骨格構造を形成させる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して特定骨格構造のモノリスを得る。
【0076】
上述の複合モノリスを製造する際に、下記(1)〜(5)の条件のうち、少なくとも一つを満たす条件下でII工程又はIII工程行うと、本発明の特徴的な構造である、骨格表面に粒子体等が形成された複合モノリスを製造することができる。
【0077】
(1)III工程における重合温度が、重合開始剤の10時間半減温度より、少なくとも5℃低い温度である。
(2)II工程で用いる第2架橋剤のモル%が、I工程で用いる第1架橋剤のモル%の2倍以上である。
(3)II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーである。
(4)II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルである。
(5)II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程の混合物中、30重量%以下である。
【0078】
(上記(1)の説明)
10時間半減温度は重合開始剤の特性値であり、使用する重合開始剤が決まれば10時間半減温度を知ることができる。また、所望の10時間半減温度があれば、それに該当する重合開始剤を選択することができる。III工程において、重合温度を低下させることで、重合速度が低下し、骨格相の表面に粒子体等を形成させることができる。その理由は、モノリス中間体の骨格相の内部でのモノマー濃度低下が緩やかとなり、液相部からモノリス中間体へのモノマー分配速度が低下するため、余剰のモノマーがモノリス中間体の骨格層の表面近傍で濃縮され、その場で重合したためと考えられる。
【0079】
重合温度の好ましいものは、用いる重合開始剤の10時間半減温度より少なくとも10℃低い温度である。重合温度の下限値は特に限定されないが、温度が低下するほど重合速度が低下し、重合時間が実用上許容できないほど長くなってしまうため、重合温度を10時間半減温度に対して5〜20℃低い範囲に設定することが好ましい。
【0080】
((2)の説明)
II工程で用いる第2架橋剤のモル%を、I工程で用いる第1架橋剤のモル%の2倍以上に設定して重合すると、本発明の複合モノリスが得られる。その理由は、モノリス中間体と含浸重合によって生成したポリマーとの相溶性が低下し相分離が進行するため、含浸重合によって生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。なお、架橋剤のモル%は、架橋密度モル%であって、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対する架橋剤量(モル%)を言う。
【0081】
II工程で用いる第2架橋剤モル%の上限は特に制限されないが、第2架橋剤モル%が著しく大きくなると、重合後のモノリスにクラックが発生する、モノリスの脆化が進行して柔軟性が失われる、イオン交換基の導入量が減少してしまうといった問題点が生じるため好ましくない。好ましい第2架橋剤モル%の倍数は2倍〜10倍である。一方、I工程で用いる第1架橋剤モル%をII工程で用いられる第2架橋剤モル%に対して2倍以上に設定しても、骨格相表面への粒子体等の形成は起こらず、本発明の複合モノリスは得られない。
【0082】
((3)の説明)
II工程で用いるビニルモノマーが、I工程で用いた油溶性モノマーとは異なる構造のビニルモノマーであると、本発明の複合モノリスが得られる。例えば、スチレンとビニルベンジルクロライドのように、ビニルモノマーの構造が僅かでも異なると、骨格相表面に粒子体等が形成された複合モノリスが生成する。一般に、僅かでも構造が異なる二種類のモノマーから得られる二種類のホモポリマーは互いに相溶しない。したがって、I工程で用いたモノリス中間体形成に用いたモノマーとは異なる構造のモノマー、すなわち、I工程で用いたモノリス中間体形成に用いたモノマー以外のモノマーをII工程で用いてIII工程で重合を行うと、II工程で用いたモノマーはモノリス中間体に均一に分配や含浸がされるものの、重合が進行してポリマーが生成すると、生成したポリマーはモノリス中間体とは相溶しないため、相分離が進行し、生成したポリマーはモノリス中間体の骨格相の表面近傍に排除され、骨格相の表面に粒子体等の凹凸を形成したものと考えられる。
【0083】
((4)の説明)
II工程で用いる有機溶媒が、分子量200以上のポリエーテルであると、本発明の複合モノリスが得られる。ポリエーテルはモノリス中間体との親和性が比較的高く、特に低分子量の環状ポリエーテルはポリスチレンの良溶媒、低分子量の鎖状ポリエーテルは良溶媒ではないがかなりの親和性を有している。しかし、ポリエーテルの分子量が大きくなると、モノリス中間体との親和性は劇的に低下し、モノリス中間体とほとんど親和性を示さなくなる。このような親和性に乏しい溶媒を有機溶媒に用いると、モノマーのモノリス中間体の骨格内部への拡散が阻害され、その結果、モノマーはモノリス中間体の骨格の表面近傍のみで重合するため、骨格相表面に粒子体等が形成され骨格表面に凹凸を形成したものと考えられる。
【0084】
ポリエーテルの分子量は、200以上であれば上限に特に制約はないが、あまりに高分子量であると、II工程で調製される混合物の粘度が高くなり、モノリス中間体内部への含浸が困難になるため好ましくない。好ましいポリエーテルの分子量は200〜100000、特に好ましくは200〜10000である。また、ポリエーテルの末端構造は、未修飾の水酸基であっても、メチル基やエチル基等のアルキル基でエーテル化されていてもよいし、酢酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等でエステル化されていてもよい。
【0085】
((5)の説明)
II工程で用いるビニルモノマーの濃度が、II工程中の混合物中、30重量%以下であると、本発明の複合モノリスが得られる。II工程でモノマー濃度を低下させることで、重合速度が低下し、前記(1)と同様の理由で、骨格相表面に粒子体等が形成でき、骨格相表面に凹凸を形成されることができる。モノマー濃度の下限値は特に限定されないが、モノマー濃度が低下するほど重合速度が低下し、重合時間が実用上許容できないほど長くなってしまうため、モノマー濃度は10〜30重量%に設定することが好ましい。
【0086】
III工程で得られた複合モノリスは、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される多数の突起体との複合構造体である。有機多孔質体の連続骨格相と連続空孔相は、SEM画像により観察することができる。有機多孔質体の基本構造は、連続マクロポア構造か、共連続構造である。
【0087】
複合モノリスにおける連続マクロポア構造は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が乾燥状態での平均直径20〜100μmの開口となるものであり、複合モノリスにおける共連続構造体は、平均の太さが乾燥状態で0.8〜40μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に乾燥で平均直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔とからなるものである。
【0088】
IV工程は、III工程で得られた複合モノリスにイオン交換基を導入する工程である。この導入方法によれば、得られる複合モノリスイオン交換体の多孔構造を厳密にコントロールできる。
【0089】
上記複合モノリスにイオン交換基を導入する方法としては、特に制限はなく、高分子反応やグラフト重合等の公知の方法を用いることができる。例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、複合モノリスがスチレン-ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロ硫酸や濃硫酸、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法;複合モノリスに均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部に導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムやアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換によりスルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。これらスルホン酸基を導入する方法においては、クロロ硫酸を用いてスチレン-ジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸基を導入する方法が、イオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。なお、導入するイオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基が挙げられる。
【0090】
上記電気式脱イオン水製造装置では、被処理水を第一小脱塩室d1、d3、d5に充填されたアニオン交換体20から接触させる構成を例示している。本実施の形態例では、脱塩室に充填されたイオン交換体の通水順序及び脱塩室に充填されるイオン交換体等は特に制限されるものではないが、下記に第一小脱塩室にカチオン交換体を充填し、第二小脱塩室にアニオン交換体を充填し、被処理水をカチオン交換体からアニオン交換体の順で接触させる電気式脱イオン水製造装置について説明する。
【0091】
図16は、本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置の概略構成図である。図16に示す第一小脱塩室d1、d3、d5は、カチオン交換膜10と中間イオン交換膜12とで区画され、第二小脱塩室d2、d4、d6は、中間イオン交換膜12とアニオン交換膜14とで区画されている。また、図16に示す第一小脱塩室d1、d3、d5には、カチオン交換体46が充填され、第二小脱塩室d2、d4、d6には、アニオン交換体20が充填されている。また、本実施形態において、中間イオン交換膜12は、アニオン交換膜であるが、アニオン交換膜に制限されるものではない。また、濃縮室16a、16b及び電極室28、30は、図14の電気式脱イオン水製造装置1と同様の構成であるため説明を省略する。
【0092】
図16の電気式脱イオン水製造装置2において、被処理水が流入するための第一流入ライン36が、第一小脱塩室d1、d3、d5の入口にそれぞれ接続され、第一小脱塩室d1、d3、d5の出口からの被処理水が流出するための第一流出ライン38が、第二小脱塩室d2、d4、d6の入口へ被処理水が流入するための第二流入ライン40に接続されている。処理水が流出するための第二流出ライン42が、第二小脱塩室d2、d4、d6の出口にそれぞれ接続されている。上記構成によって、被処理水は、まず、第一小脱塩室d1、d3、d5に供給され、脱塩処理される。そして、第一小脱塩室d1、d3、d5を通過した被処理水が、第二小脱塩室d2、d4、d6に供給され、さらに脱塩処理されて処理水として排出される。また、濃縮水流入ライン48、濃縮水流出ライン50等の構成は、図14の電気式脱イオン水製造装置1と同様の構成であるため説明を省略する。
【0093】
本実施形態に係る電気式脱イオン水製造装置2によって脱イオン水を製造する場合の運転方法の一例を以下に説明する。まず、陰極24と陽極26間に直流電流を流した状態で、第一流入ライン36から被処理水を流入させると共に、濃縮水流入ライン48から濃縮水を流入させる。第一流入ライン36から流入した被処理水は、第一小脱塩室d1、d3、d5を流れ、カチオン交換体46の充填層を通過する際にカチオンが除去される。更に、第一小脱塩室d1、d3、d5の第一流出ライン38を通った被処理水は、第二小脱塩室d2、d4、d6の第二流入ライン40を通って、第二小脱塩室d2、d4、d6を流れ、アニオン交換体20の充填層を通過する際に炭酸(遊離炭酸、重炭酸イオン、炭酸イオン)、シリカ等のアニオンが除去され、処理水(脱イオン水)が第二流出ライン42から得られる。また、濃縮水流入ライン48から流入した濃縮水は、各濃縮室16a、16bを流れ、カチオン交換膜10及びアニオン交換膜14を介して移動してくるイオンを受取り、イオンを濃縮した濃縮水として濃縮水流出ライン50から流出される。さらに濃縮水流入ライン48(電極水流入ライン)から流入した電極水は、濃縮水流出ライン50(電極水流出ライン)から流出される。
【0094】
第二小脱塩室d2、d4、d6のアニオン交換体20にて捕捉される炭酸(遊離炭酸、重炭酸イオン、炭酸イオン)は、水酸化物イオンやアニオン交換体20に捕捉された他のアニオン成分と共に陽極側のアニオン交換膜14を通過し、濃縮室16a、16bへと移動する。本実施形態では、濃縮室16a、16b内のアニオン交換体22とカチオン交換膜10との間にモノリス状有機多孔質カチオン交換体23が配置されているため、上記でも説明したように高濃度炭酸ガス含有水溶液層は、アニオン交換体22と接するモノリス状有機多孔質カチオン交換体23表面又は内部で発生し、炭酸ガスは、カチオン交換膜10に接する前に濃縮水と共に濃縮室16a,16bから流出される。また、炭酸ガスが、カチオン交換膜10に到達したとしても、モノリス状有機多孔質カチオン交換体23内で希薄化(低濃度化)されているため、カチオン交換膜10を透過する炭酸の量は大きく低減される。したがって、炭酸ガスがカチオン交換膜10を介して第一小脱塩室d3、d5へ移動し、被処理水中に逆拡散することを抑制することができる。
【0095】
本実施の形態例において、第一小脱塩室d1、d3、d5または第二小脱塩室d2、d4、d6の厚さは特に制限されないが、第一小脱塩室d1、d3、d5の厚さを0.8〜600mm、好ましくは2〜100mm、第二小脱塩室d2、d4、d6の厚さを0.8〜600mm、好ましくは6〜100mmとすれば、低い電気抵抗及び高い電流効率が得られる点で好適である。第一小脱塩室d1、d3、d5の厚さが0.8mm未満では滞留時間を充分に確保できず、水質が悪化しやすい。また、600mmを越えると電気抵抗が大きすぎて装置の安定運転に支障を来しやすくなる。また、同様に第二小脱塩室d2、d4、d6の厚さが0.8mm未満では滞留時間を充分に確保できず、水質が悪化しやすい。また、600mmを越えると電流効率の上昇に比べて電気抵抗の上昇が顕著となりやすい。
【0096】
アニオン交換体(20、32)、カチオン交換体(34、46)として用いられるイオン交換体としては、イオン交換樹脂、イオン交換繊維などイオン交換機能を有する物質であればいずれでもよく、また、それらを組み合わせたものであってもよい。
【0097】
濃縮室16a、16bに充填されるアニオン交換体22としては、例えば強塩基性アニオン交換体が挙げられる。また、アニオン交換体の形態としては、アニオン交換樹脂、アニオン交換繊維及び特開2002−306976号公報記載の有機多孔質アニオン交換体等が挙げられる。強塩基性アニオン交換体は一部に弱塩基性アニオン交換基が含まれていてもよい。アニオン交換樹脂は、遊離炭酸濃度が低くても反応が十分におき、スケール発生を抑制できるという利点を有する。また、アニオン交換樹脂の粒径が均一であると、濃縮室の差圧が低くなる点で好ましい。
【0098】
濃縮室16a、16bの厚さとしては、特に制限されるものではないが、0.5mm〜60mmが好ましく、特に1mm〜10mmが好ましい。0.5mm未満であると、たとえアニオン交換体22を充填してもスケール発生抑制効果が得られにくくなり、通水差圧も上昇しやすい。一方、60mmを越えると、電気抵抗が高くなり、消費電力が増大しやすくなる。
【0099】
なお、電気式脱イオン水製造装置において、処理量(SV、LV)、通電量、その他運転条件は、被処理水の性状などに応じて適宜設定することができる。
【0100】
本実施の形態例において、処理対象となる被処理水としては特に制限はないが、炭酸成分を多く含む被処理水であっても、最終処理水の炭酸汚染を防止することができる。炭酸成分を多く含む被処理水としては、例えば水道水または水道水をRO膜等で処理した水等が挙げられる。国内の水道水では通常炭酸成分の他に硬度成分が含まれるが、本実施形態によれば、濃縮室16a、16bへアニオン交換体22が充填されているため、濃縮室16a、16bに移動したCa2+イオンやMg2+イオンが濃縮室16a、16bのアニオン交換膜14面で炭酸イオン(CO2−)と結合して硬度スケールを生じることはほとんどなく、濃縮室16a、16bにおいて流路閉塞などが起こることもほとんどない。
【0101】
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0102】
参考例1
(I工程;モノリス中間体の製造)
スチレン9.28g、ジビニルベンゼン0.19g、ソルビタンモノオレエート(以下SMOと略す)0.50gおよび2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)0.26gを混合し、均一に溶解させた。次に,当該スチレン/ジビニルベンゼン/SMO/2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)混合物を180gの純水に添加し、遊星式撹拌装置である真空撹拌脱泡ミキサー(イーエムイー社製)を用いて5〜20℃の温度範囲において減圧下撹拌して、油中水滴型エマルションを得た。このエマルションを反応容器に速やかに移し、密封後静置下で60℃、24時間重合させた。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで抽出した後、減圧乾燥して、連続マクロポア構造を有するモノリス中間体を製造した。水銀圧入法により測定した該モノリス中間体のマクロポアとマクロポアが重なる部分の開口(メソポア)の平均直径は40μm、全細孔容積は15.8ml/gであった。
【0103】
(複合モノリスの製造)
次いで、スチレン36.0g、ジビニルベンゼン4.0g、1-デカノール60g、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.4gを混合し、均一に溶解させた(II工程)。重合開始剤として用いた2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)の10時間半減温度は、51℃であった。モノリス中間体の架橋密度1.3モル%に対して、II工程で用いたスチレンとジビニルベンゼンの合計量に対するジビニルベンゼンの使用量は6.6モル%であり、架橋密度比は5.1倍であった。次に上記モノリス中間体を外径70mm、厚さ約20mmの円盤状に切断して、3.2g分取した。分取したモノリス中間体を内径73mmの反応容器に入れ、当該スチレン/ジビニルベンゼン/1-デカノール/2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)混合物に浸漬させ、減圧チャンバー中で脱泡した後、反応容器を密封し、静置下60℃で24時間重合させた。重合終了後、厚さ約30mmのモノリス状の内容物を取り出し、アセトンでソックスレー抽出した後、85℃で一夜減圧乾燥した(III工程)。
【0104】
このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる複合モノリス(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図1〜図3に示す。図1〜図3のSEM画像は、倍率が異なるものであり、モノリスを任意の位置で切断して得た切断面の任意の位置における画像である。図1〜図3から明らかなように、当該複合モノリスは連続マクロポア構造を有しており、連続マクロポア構造体を構成する骨格相の表面は、平均粒子径4μmの粒子体で被覆され、粒子被覆率は80%であった。また、粒径3〜5μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。
【0105】
また、水銀圧入法により測定した当該複合モノリスの開口の平均直径は16μm、全細孔容積は2.3ml/gであった。その結果を表1及び表2にまとめて示す。表1中、仕込み欄は左から順に、II工程で用いたビニルモノマー、架橋剤、有機溶媒、I工程で得られたモノリス中間体を示す。また、粒子体等は粒子で示した。
【0106】
(複合モノリスカチオン交換体の製造)
上記の方法で製造した複合モノリスを、外径70mm、厚み約15mmの円盤状に切断した。モノリスの重量は19.6gであった。これにジクロロメタン1500mlを加え、35℃で1時間加熱した後、10℃以下まで冷却し、クロロ硫酸98.9gを徐々に加え、昇温して35℃で24時間反応させた。その後、メタノールを加え、残存するクロロ硫酸をクエンチした後、メタノールで洗浄してジクロロメタンを除き、更に純水で洗浄して複合モノリスカチオン交換体を得た。
【0107】
得られたカチオン交換体の反応前後の膨潤率は1.3倍であり、体積当りのイオン交換容量は、水湿潤状態で1.11mg当量/mlであった。水湿潤状態での有機多孔質イオン交換体の開口の平均直径を、有機多孔質体の値と水湿潤状態のカチオン交換体の膨潤率から見積もったところ21μmであり、同様の方法で求めた被覆粒子の平均粒径は5μmであった。なお、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率は80%、全細孔容積は2.3ml/gであった。また、粒径4〜7μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。また、水を透過させた際の圧力損失の指標である差圧係数は、0.057MPa/m・LVであり、実用上要求される圧力損失と比較して、それを下回る低い圧力損失であった。更に、イオン交換帯長さは9mmであり、著しく短い値を示した。結果を表2にまとめて示す。
【0108】
次に、複合モノリスカチオン交換体中のスルホン酸基の分布状態を確認するため、EPMAにより硫黄原子の分布状態を観察した。その結果を図4及び図5に示す。図4及び図5共に、左右の写真はそれぞれ対応している。図4は硫黄原子のカチオン交換体の表面における分布状態を示したものであり、図5は硫黄原子のカチオン交換体の断面(厚み)方向における分布状態を示したものである。図4及び図5より、スルホン酸基はカチオン交換体の骨格表面及び骨格内部(断面方向)にそれぞれ均一に導入されていることがわかる。
【0109】
参考例2〜5
(複合モノリスの製造)
ビニルモノマーの使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の種類と使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の多孔構造、架橋密度と使用量及び重合温度を表1に示す配合量に変更した以外は、参考例1と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示す。また、複合モノリス(乾燥体)の内部構造を、SEMにより観察した結果を図6〜図13に示す。図6〜図8は参考例2、図9及び図10は参考例3、図11は参考例4、図12及び図13は参考例5のものである。なお、参考例2については架橋密度比(2.5倍)、参考例3については有機溶媒の種類(PEG;分子量400)、参考例4についてはビニルモノマー濃度(28.0%)、参考例5については重合温度(40℃;重合開始剤の10時間半減温度より11℃低い)について、本発明の製造条件を満たす条件で製造した。図6〜図13から参考例3〜5の複合モノリスの骨格表面に付着しているものは粒子体というよりは突起体であった。突起体の「粒子平均径」は突起体の大きさ(最大径)の平均径である。図6〜図13及び表2から、参考例2〜6のモノリス骨格表面に付着している粒子の平均径は3〜8μm、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率は50〜95%であった。また、参考例2が粒径3〜6μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は80%、参考例3が粒径3〜10μmの突起体が全体の粒子体に占める割合は80%、参考例4が粒径3〜5μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%、参考例5が粒径3〜7μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。
【0110】
(複合モノリスカチオン交換体の製造)
上記の方法で製造した複合モノリスを、それぞれ参考例1と同様の方法でクロロ硫酸と反応させ、複合モノリスカチオン交換体を製造した。その結果を表2に示す。参考例2〜5における複合モノリスカチオン交換体の連続細孔の平均直径は21〜52μmであり、骨格表面に付着している粒子体等の平均径は5〜13μm、全粒子体等による骨格表面の粒子被覆率も50〜95%と高く、差圧係数も0.010〜0.057MPa/m・LVと小さい上に、イオン交換帯長さも8〜12mmと著しく小さな値であった。また、粒径5〜10μmの粒子体が全体の粒子体に占める割合は90%であった。
【0111】
参考例6
(モノリスの製造)
ビニルモノマーの使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の種類と使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の使用量を表1に示す配合量に変更した以外は、実施例1と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示す。なお、不図示のSEM写真から骨格表面には粒子体や突起体の形成は全く認められなかった。表1及び表2から、本発明の特定の製造条件と逸脱する条件、すなわち、上記(1)〜(5)の要件から逸脱した条件下でモノリスを製造すると、モノリス骨格表面での粒子生成が認められないことがわかる。
【0112】
(モノリスカチオン交換体の製造)
上記の方法で製造したモノリスを、参考例1と同様の方法でクロロ硫酸と反応させ、モノリスカチオン交換体を製造した。結果を表2に示す。得られたモノリスカチオン交換体のイオン交換帯長さは26mmであり、参考例1〜5と比較して大きな値であった。
【0113】
参考例7〜9
(モノリスの製造)
ビニルモノマーの使用量、架橋剤の使用量、有機溶媒の種類と使用量、III工程で重合時に共存させるモノリス中間体の多孔構造、架橋密度および使用量を表1に示す配合量に変更した以外は、参考例1と同様の方法でモノリスを製造した。その結果を表1及び表2に示す。なお、参考例7については架橋密度比(0.2倍)、参考例8については有機溶媒の種類(2-(2-メトキシエトキシ)エタノール;分子量120)、参考例9については重合温度(50℃;重合開始剤の10時間半減温度より1℃低い)について、本発明の製造条件を満たさない条件で製造した。結果を表2に示す。参考例7、9のモノリスについては骨格表面での粒子生成はなかった。また、参考例8では単離した生成物は透明であり、多孔構造が崩壊、消失していた。
【0114】
(モノリスカチオン交換体の製造)
参考例8を除き、上記の方法で製造した有機多孔質体を、参考例6と同様の方法でクロロ硫酸と反応させ、モノリスカチオン交換体を製造した。その結果を表2に示す。得られたモノリスカチオン交換体のイオン交換帯長さは23〜26mmであり、参考例1〜5と比較して大きな値であった。
【実施例1】
【0115】
図17は、濃縮室から脱塩室に移動する炭酸成分量を測定するための試験セルを示す概略構成図である。図17に示すように、アニオン交換樹脂56が充填された陰極室58と、カチオン交換樹脂60が充填された陽極室62との間に、アニオン交換膜64及び第一カチオン交換膜66で区画された室にアニオン交換樹脂56が充填され、アニオン交換樹脂56と第一カチオン交換膜66との間にモノリス状有機多孔質カチオン交換体54を配置した濃縮室68、第一カチオン交換膜66及び第二カチオン交換膜70で区画された室にカチオン交換樹脂60が充填された脱塩室72とを有する試験セル3を準備し、以下の条件で濃縮室68から脱塩室72に移動する炭酸成分量を測定した。実施例1では、脱塩室72及び電極室(58,62)に超純水を通水させると共に、濃縮室68にNaHCO溶液(炭酸イオン濃度30mg−CaCO/L)を通水させた。
【0116】
<使用したイオン交換体>
モノリス状有機多孔質カチオン交換体:参考例4の複合モノリスカチオン交換体
カチオン交換樹脂:ロームアンドハース社製、アンバーライトIRA402BL
アニオン交換樹脂:ロームアンドハース社製、アンバーライトIRA402BL
第一カチオン交換膜、第二カチオン交換膜:株式会社アストム製、C66−10F
アニオン交換膜:株式会社アストム製、AHA
<EDIサイズ>
試験セル:縦10cm×幅10cm×厚さ8mm
<流量条件>
超純水、NaHCO溶液、CO含有溶液:8000ml/hr
<電流条件>
定電流:0.5A/dm
【実施例2】
【0117】
NaHCO溶液に代えて、CO含有溶液(炭酸イオン濃度30mg−CaCO/L)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で行った。
【0118】
比較例1
濃縮室68のアニオン交換樹脂56と第一カチオン交換膜66との間に複合モノリスカチオン交換体54を配置していないこと以外は、実施例1と同様の条件で行った。
【0119】
比較例2
濃縮室68のアニオン交換樹脂56と第一カチオン交換膜66との間に複合モノリスカチオン交換体54を配置していないこと以外は、実施例2と同様の条件で行った。
【0120】
実施例1、2及び比較例1、2の脱塩室から排出される処理水(超純水)中の炭酸量を測定した。具体的には、アルテナ社製のTOC計(A−1000)にて処理水中の無機炭素(IC)を測定し、これを炭酸として、処理水中の炭酸量を測定した。比較例1及び比較例2の脱塩室から排出される処理水には、8400μg−CaCO/hr、9000μg−CaCO/hrの炭酸成分が含まれていた。一方、実施例1及び2の脱塩室から排出される処理水には、300μg−CaCO/hr、340μg−CaCO/hrの炭酸成分が含まれていたが、比較例1及び比較例2より炭酸成分の量が大幅に抑えられた。すなわち、濃縮室のアニオン交換樹脂とカチオン交換膜との間に複合モノリスカチオン交換体を配置することによって、濃縮室の炭酸成分がカチオン交換膜を介して脱塩室に移動することを抑制できることを確認した。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【符号の説明】
【0123】
1,2 電気式脱イオン水製造装置、3 試験セル、10,66,70 カチオン交換膜、12 中間イオン交換膜、14,64 アニオン交換膜、16a,16b,68 濃縮室、18 混合体、20,22,32 アニオン交換体、23 モノリス状有機多孔質カチオン交換体、24 陰極、25 枠体、26 陽極、28,30,58,62 電極室、34,46 カチオン交換体、36 第一流入ライン、38 第一流出ライン、40 第二流入ライン、42 第二流出ライン、48 濃縮水流入ライン、50 濃縮水流出ライン、54 モノリス状有機多孔質カチオン交換体、56 アニオン交換樹脂、60 カチオン交換樹脂、72,D1,D2,D3 脱塩室、d1,d3,d5 第一小脱塩室、d2,d4,d6 第二小脱塩室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に、一側のカチオン交換膜と他側のアニオン交換膜とで区画され、イオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜、前記アニオン交換膜を介して前記脱塩室の両側に設けられ、アニオン交換体が充填された濃縮室とを配置する電気式脱イオン水製造装置であって、
前記濃縮室のアニオン交換体と前記カチオン交換膜との間に、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であるモノリス状有機多孔質カチオン交換体を配置することを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項2】
前記有機多孔質体が、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜150μmの開口となる連続マクロポア構造体であることを特徴とする請求項1記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項3】
前記有機多孔質体が、水湿潤状態で平均の太さが1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であることを特徴とする請求項1記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項4】
陽極と陰極との間に、一側のカチオン交換膜と他側のアニオン交換膜とで区画され、イオン交換体が充填された脱塩室と、前記カチオン交換膜、前記アニオン交換膜を介して前記脱塩室の両側に設けられ、アニオン交換体が充填された濃縮室と、を配置する電気式脱イオン水製造装置を利用して脱イオン水を製造する脱イオン水の製造方法であって、前記濃縮室のアニオン交換体と前記カチオン交換膜との間に、連続骨格相と連続空孔相からなる有機多孔質体と、該有機多孔質体の骨格表面に固着する直径4〜40μmの多数の粒子体又は該有機多孔質体の骨格表面上に形成される大きさが4〜40μmの多数の突起体との複合構造体であって、水湿潤状態で孔の平均直径10〜150μm、全細孔容積0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当りのイオン交換容量0.2mg当量/ml以上であるモノリス状有機多孔質カチオン交換体を配置することを特徴とする脱イオン水の製造方法。
【請求項5】
前記有機多孔質体が、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜150μmの開口となる連続マクロポア構造体であることを特徴とする請求項4記載の脱イオン水の製造方法。
【請求項6】
前記有機多孔質体が、水湿潤状態で平均の太さが1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であることを特徴とする請求項4に記載の脱イオン水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−264347(P2010−264347A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115970(P2009−115970)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】