説明

電気採暖具のコントローラ

【課題】操作開口にいずれの方向から水を掛けられた場合にも十分な防水効果を発揮することができる安全性の高い電気採暖具のコントローラを提供することを目的とする。
【解決手段】立面に操作開口313を備えたケース300と、電気採暖具100を操作する複数の操作機器204と、操作機器204をケースの外部から操作する操作つまみ220とを含み、操作つまみ220は操作開口313を閉塞する閉塞部224を備え、隣接する操作つまみ230が近接した操作位置において、閉塞部224は一部が重なり合う構成とし、少なくとも一部の操作開口313は2つの閉塞部224で閉塞されることにより、操作開口は常に閉塞部で閉塞され、操作開口を介して外部から水が浸入を防止することができる。しかも複数の操作機器と操作つまみを近接して配置することが可能となり、コントローラを小型化することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水構造を備えた電気採暖具のコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気採暖具のコントローラは、コントローラのケースの側面にスリット状の操作開口を設け、操作開口を介して操作つまみをケース内部に挿入し、ケース内部に設置したスイッチやスライド抵抗等の操作機材を操作つまみで操作する構成とし、ケース外面の操作開口より下方の立ち上がり部を曲面で形成し、上方より落下した水が操作開口の方向に跳ね返らない構成とすることにより、コントローラのケース内部に水が侵入することを防止するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図14(a)は、特許文献1に記載された従来の電気採暖具のコントローラの外観斜視図を示し、(b)は(a)に示すCC断面図を示し、(c)は(a)示すDD断面図を示すものである。
【0004】
図14(a)に示すように、電気採暖具のコントローラ1はケース2の側面にスリット状の操作開口3が設けてあり、操作つまみ4を操作開口3からケース2の内部に挿入している。操作開口3より下方のケース2の外面には曲面部2aが形成されている。
【0005】
図14(b)に示すように、操作つまみ4が挿入されている部分は、操作開口3は操作つまみ4により、ほぼ閉塞されている。また、図14(c)に示すように操作つまみ4が配置されていない部分は操作開口3が開放状態であるが、コントローラ1の上方より曲面部2aに落下した水は図14(c)の矢印に示すように操作開口3とは反対の方向に飛び跳ねるため、操作開口3には進入しにくい構成となっている。
【0006】
また、別のコントローラでは、操作開口の内側に遮蔽壁を設け、ケースの開口上辺の下端より遮蔽壁の上端が上方になるように配置することにより、操作開口からの浸水を防止しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
図15は、特許文献2に記載された従来の電気採暖具のコントローラの断面図を示すものである。図15に示すように、コントローラ5はケース6の開口上辺6aの下方に操作開口7が開口しており、操作開口7の内部に遮蔽壁8が設置されている。遮蔽壁8の上端は開口上辺6aの下端より高い位置に配置されており、操作開口7を介してケース6の外部と内部とは、水平方向においては遮蔽された構成となっている。操作つまみ9は開口上辺6aの下端と遮蔽壁8の上端を乗り越えるように蛇行した断面形状に形成し、コントローラ5の内部に配置されたスイッチやスライド抵抗等の操作機材と連接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−340028号公報
【特許文献2】特開平4−274186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の構成では、少量の水に対しては防水機能を発揮することは可能であるが、大量の水を掛けられた場合や、操作開口の横方向から水を掛けられた場合には十分な防水機能を発揮することができず改良の余地があった。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、操作開口にいずれの方向から水を掛けられた場合にも十分な防水効果を発揮することができる安全性の高い電気採暖具のコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気採暖具のコントローラは、立面に操作開口を備えたケースと、ケース内に内蔵され、電気採暖具を操作する複数の操作機器と、複数の操作機器を、操作開口を介してケースの外部から操作する操作つまみとを含み、操作つまみは、操作開口に沿って所定範囲の操作位置に摺動可能とし、操作つまみは、いずれの操作位置においても、操作開口を閉塞する閉塞部を一体に備え、隣接する操作つまみが少なくとも相互に近接した操作位置においては、隣接する操作つまみの閉塞部は、一部が相互に重なり合った状態で配置される構成とし、操作開口の少なくとも1つは、前記操作開口の一部を閉塞する2つの前記閉塞部により前記操作開口の全体が閉塞されることを特徴とする電気採暖具のコントローラである。
【0012】
これによって、操作つまみがいずれの操作位置にある場合でも、操作開口は1つまたは2つの閉塞部で閉塞され、操作開口を介して外部からコントローラ部への水の浸入を防止することができる、しかも操作つまみ同士が近接した場合には閉塞部が相互に重なり合うため、複数の操作機器と操作つまみを近接して配置することが可能となり、コントローラを小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気採暖具のコントローラは、外部から水の進入を防止する防水効果を備え、安全性の高い電気採暖具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における電気採暖具の外観を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるコントローラの外観を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1におけるコントローラの上ケースの下面図
【図4】本発明の実施の形態1におけるコントローラの下ケースの平面図
【図5】本発明の実施の形態1におけるコントローラの操作部の内部示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態1におけるスイッチ操作つまみの斜視図
【図7】本発明の実施の形態1におけるスイッチ操作部の断面図
【図8】本発明の実施の形態1における第1抵抗操作つまみの斜視図
【図9】本発明の実施の形態1における第1抵抗操作部の断面図
【図10】本発明の実施の形態1における第2抵抗操作つまみの斜視図
【図11】本発明の実施の形態1における第2抵抗操作部の断面図
【図12】本発明の実施の形態1におけるコントローラの第1抵抗操作つまみと第2抵抗操作つまみ最も近接した状態を示す下面図
【図13】本発明の実施の形態1におけるコントローラの第1抵抗操作つまみと第2抵抗操作つまみ最も離れた状態を示す下面図
【図14】(a)は特許文献1に記載された従来の電気採暖具のコントローラの外観斜視図、(b)は(a)に示すCC断面図、(c)は(a)に示すDD断面図
【図15】特許文献2に記載された従来の電気採暖具のコントローラの断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、立面に操作開口を備えたケースと、前記ケース内に内蔵され、電気採暖具を操作する複数の操作機器と、複数の前記操作機器を、前記操作開口を介して前記ケースの外部から操作する操作つまみと、を含み、前記操作つまみは、前記操作開口に沿って
所定範囲の操作位置に摺動可能とし、前記操作つまみは、いずれの前記操作位置においても、前記操作開口を閉塞する閉塞部を一体に備え、隣接する前記操作つまみが少なくとも相互に近接した前記操作位置においては、隣接する前記操作つまみの前記閉塞部は、一部が相互に重なり合った状態で配置される構成とし、前記操作開口の少なくとも1つは、前記操作開口の一部を閉塞する2つの前記閉塞部により前記操作開口の全体が閉塞されることを特徴とする電気採暖具のコントローラである。
【0016】
これにより、操作つまみがいずれの操作位置にある場合でも、操作開口は1つまたは2つの閉塞部で閉塞され、操作開口を介して外部からコントローラ部への水の浸入を防止することができる。しかも操作つまみ同士が近接した場合には閉塞部が相互に重なり合うため、複数の操作機器と操作つまみを近接して配置することが可能となり、コントローラを小型化することが可能となる。
【0017】
第2の発明は、特に第1の発明において、隣接する前記操作つまみの中心が最も近接する距離が、隣接する操作つまみのそれぞれの摺動距離を加えた距離より短いことを特徴とするものである。
【0018】
これにより、複数の操作つまみは近接して配置されるため、コントローラを小型化することが可能となる。
【0019】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記操作開口の内方に、前記ケースの底面より突起した防水壁が形成されているものである。
【0020】
これにより、たとえ操作開口と閉塞部との僅かな隙間から水が浸入した場合でも防水壁により奥に侵入することが防止され、より確実に防水効果を発揮することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気採暖具の外観を示す斜視図である。図2は電気採暖具のコントローラの外観を示す斜視図である。
【0023】
<1>電気採暖具の構成
図1に示すように、電気採暖具100は複数のシート状の部材で構成した略長方形の本体110の角部にコントローラ200が配設されており、コントローラの右側面には電気採暖具100に電源を供給する電源コード120が接続されている。コントローラ200に接続した電源コード120で電力を供給することにより本体110を加熱し、住宅の床面に設置して使用する採暖具である。
【0024】
電気採暖具100の本体110は、表面材111とヒータユニット(図示せず)と断熱シート(図示せず)と裏面材(図示せず)等を主な構成部材とする積層体で構成されている。
【0025】
ヒータユニットは、電気採暖具100の発熱源であり、アルミニュームを主成分とする均熱シート(図示せず)の片面にヒータ線を(図示せず)蛇行形状に配設して接着固定したものである。
【0026】
均熱シートは、ヒータ線で発熱した熱を本体110全面に均一に拡散する目的の部材であり、熱伝導率が高い金属シートであるアルミニュームを主成分とする厚さ約0.01m
mのアルミシートである。
【0027】
ヒータ線は、中心のガラス繊維(図示せず)の周囲に温度を検知する検知線(図示せず)を螺旋状に巻回し、その外周にナイロン樹脂で絶縁層(図示せず)を形成し、絶縁層の外周に発熱線(図示せず)を螺旋状に巻回し、その外周にPVCの絶縁層(図示せず)を形成し、絶縁層の外周にポリエチレン樹脂による接着層(図示せず)を形成したものである。
【0028】
ヒータユニットは図1に示すように加熱範囲をエリアAとエリアBの2つのエリアに分かれて配置されており、それぞれ本体110の約1/2の面積を加熱する。2つのエリアは別々に制御されており、両方のエリアの加熱と、どちらか一方のエリアのみの加熱と、エリア毎の温度設定をコントローラ200により選択的に操作することができる。
【0029】
本体110の角部に設置したコントローラ200には電源コード120とヒータユニットの発熱線と検知線が接続されており、ヒータユニットへの電源の「入」、「切」の操作機能と、使用するエリアの切替機能と、エリア毎の温度設定機能と、エリア毎の通電状態を表示する表示機能を備えている。
【0030】
<2>コントローラの構成
図2は電気採暖具のコントローラの外観を示す斜視図であり、図3はコントローラの上ケースの操作部の下面図を示すものであり、図4はコントローラの下ケースの操作部の平面図を示すものであり、図5はコントローラの操作部の内部を示す斜視図であり、図6はスイッチ操作つまみの斜視図であり、図7はスイッチ操作部の断面図であり、図8は第1抵抗操作つまみの斜視図であり、図9は第2抵抗操作つまみの斜視図であり、図10は第2抵抗操作つまみの斜視図であり、図11は第2抵抗操作部の断面図を示すものである。
【0031】
図2に示すように、コントローラ200の前面と上面との角部には操作部201が設置されており、操作部201には電気採暖具100の電源の「入」、「切」を操作するスイッチ操作つまみ210と、エリアAの温度設定を行う第1抵抗操作つまみ220と、エリアBの温度設定を行う第2抵抗操作つまみ230が横方向に摺動可能に配置されている。
【0032】
また、コントローラ200の上面にはエリアの切り替えを行う切り替えスイッチ207とエリア毎の通電状態を示す表示部202が配置されている。切り替えスイッチ207をプッシュ操作することにより、加熱範囲を「エリアA」、「エリアB」、「全面」に順次切替えることができ、表示部202はエリアAに対応する表示ランプ202aと、エリアBに対応する表示ランプ202bが配置されている。
【0033】
コントローラ200は樹脂材料で成型されたケース300の内部に、電気採暖具100の電源を「入」、「切」する操作機器であるプッシュタイプの電源スイッチ203と、エリアAの発熱温度の設定を調節する操作機器である第1スライド抵抗204と、エリアBの発熱温度の設定を調節する操作機器である第2スライド抵抗205と、エリアを切り替える切り替えスイッチ207と、検知線の検知データに基づき発熱線の通電を制御する制御部(図示せず)等が配置された制御基板206等が内蔵されている。電源スイッチ203は上面に突出した操作片203aを下方に押し下げることにより接点が接続され電源が「入」状態となるプッシュタイプのマイクロスイッチを採用している。
【0034】
なお、本実施の形態においては図2に示すように表示部202を配置した上面の側を上方とし、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230とを配置した前面の側を前方とし、反対方向を後方し、前方から後方に向かって右側を右側、後方に向かって左側を左側として各構成要素の配置を説明する。
【0035】
ケース300は略箱形状の上ケース310と略平板状の下ケース320をねじにより結合させて内部に空洞部が形成される構成となっている。
【0036】
上ケース310は下面が開口の箱形状であり、略鉛直な立面をなす前面と略水平な上面との角部に形成された操作部201は、上面と前面が他の部分より凹陥して形成されている。
【0037】
操作部201の上面の後端部には摺動溝311が形成されており、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230の後端部に形成された係止部211、221、231を挿入することにより、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230の上ケース310からの脱落防止とスムーズな摺動が可能な構成となっている。
【0038】
また、操作部201の前面壁の下端には略長方形の3つの切り欠き部が形成されており、上ケース310と下ケース320を接合することにより、接合部に略長方形のスイッチ操作開口312と第1抵抗操作開口313と第2抵抗操作開口314が形成される構成となっている。
【0039】
図3に示すように、上ケース310の内部には、操作部201の後方に前面壁から所定の間隔で前面壁と平行な3個のリブが形成されている。リブは第1抵抗操作つまみ220の摺動範囲に設けられた第1抵抗リブ315と、第2抵抗操作つまみ230の摺動範囲に設けられた第2抵抗リブ316と、操作部201の全体に亘って設けられた摺動リブ317であり、第1抵抗リブ315と第2抵抗リブ316とは上ケース310の前面壁と摺動リブ317の間に設けられている。
【0040】
摺動リブ317の後面には、スイッチ操作つまみ210の摺動範囲に対応する部分は前後に2重に配設されており、後方のリブに2個の突起318が設けられており、スイッチ操作つまみ210の摺動時にクリック感を発生させるために使用される。
【0041】
図4に示すように、下ケース320は略長方形の平板状であり、周縁には上ケースと接合する外周壁が形成されるとともに、操作部201に対応する部分には上面が平坦な摺動面321が形成されており、摺動面321に沿ってスイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230がスムーズに摺動可能な構成となっている。
【0042】
また摺動面321の後方には所定の間隔で前面と平行に上方に突起した防水リブ322が一体に成型されており、スイッチ操作開口312と第1抵抗操作開口313と第2抵抗操作開口314から進入した水がコントローラ200内部に流入することを防止する構成となっている。
【0043】
図5に示すように、上ケース310の操作部201には、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230が、それぞれの操作つまみを形成している樹脂材料の弾性を利用して係止されている。
【0044】
図6に示すように、スイッチ操作つまみ210は樹脂材料により一体で成型されたものである。スイッチ操作つまみ210は、上ケース310の外面に配置される本体部212と、本体部212の下端から後方に向かって屈曲させながら延設され電源スイッチ203に連接される連接部213と、連接部213の途中に配置され左右に延設された平面でスイッチ操作開口312を閉塞する閉塞部214と、連接部213の途中に配置され左右に
延設した平面で上ケース310の摺動リブ317と相互に摺動する摺動部215が設けられ、摺動部215の両端部に略半円柱状に形成された突起部216が形成されており、樹脂材料の弾性を利用して摺動リブ317に設けられた突起318に対応してクリック感を発生させることができる構成となっている。閉塞部214は上ケース310の前面壁の内方に近接して配置され、スイッチ操作開口312を閉塞する。
【0045】
連接部213の後端部には下面の一部が傾斜面を備えた連動部218が形成されており、スイッチ操作つまみ210が横方向に摺動することにより電源スイッチ203の操作片203aを傾斜面に沿って押し下げるおよび復帰させることにより電源スイッチ203の「入」、「切」の操作が行われる構成となっている。
【0046】
本体部212の中央部には操作時に指を掛ける操作突起217と本体部212の後端部には上ケース310に形成された摺動溝311に挿入する係止部211が一体で形成されている。
【0047】
また閉塞部214と摺動部215はスイッチ操作つまみ210の両側方向に上ケース310の前面壁と平行な平板を延出するように設けられており、閉塞部214および摺動部215の幅寸法はスイッチ操作つまみ210が摺動する距離の2倍と本体部212の幅を加えた寸法以上を備えている。
【0048】
図7に示すように、上記構成のスイッチ操作つまみ210は、本体部212は上ケース310に形成された操作部201の外面の曲面に沿うように配置され、本体部212の後端部に形成された係止部211が摺動溝311に挿入されている。スイッチ操作つまみ210は上ケース310の前面壁を包み込むようにスイッチ操作開口312から上方に回り込み、前方にはスイッチ操作開口312を閉塞する閉塞部214が配置されており、後方には上ケース310の摺動リブ317に沿って摺動部215が配置されている。
【0049】
摺動部215の後方に延伸した連接部213の後端部に設けられた連動部218の傾斜面には、制御基板206に固定された電源スイッチ203の操作片203aが当設しており、スイッチ操作つまみ210を左右に移動させることにより、電源スイッチを「入」、「切」することができる。
【0050】
図8に示すように、第1抵抗操作つまみ220は樹脂材料により一体で成型されたものである。第1抵抗操作つまみ220は、上ケース310の外面に配置される本体部222と、本体部222の下端から後方に向かって屈曲させながら延設され第1スライド抵抗204に連接される連接部223と、連接部223の途中に配置され左右に延設された平面で第1抵抗操作開口313を閉塞する閉塞部224と、連接部223の途中に配置され左右に延設して設けられ下ケース320の防水リブ322に沿って摺動する摺動部225が一体で形成されている。
【0051】
連接部223の後端部には第1スライド抵抗204の操作片204aを嵌入する嵌合凹部226が設けられており第1抵抗操作つまみ220と第1スライド抵抗204が連接可能な構成となっている。
【0052】
本体部222の中央部には操作時に指を掛ける操作突起227と本体部222の後端部には上ケース310に形成された摺動溝311に挿入する係止部221が一体で形成されている。また閉塞部224は第1抵抗操作つまみ220の両側方向に上ケース310の前面壁と平行な平板を延出するように設けられており、閉塞部224の全幅寸法は第1スライド抵抗204の操作片204aが摺動する距離の2倍と本体部222の幅を加えた寸法以上を備えている。
【0053】
図9に示すように、上記構成の第1抵抗操作つまみ220は、本体部222は上ケース310に形成された操作部201の外面の曲面に沿うように配置され、本体部222の後端部に形成された係止部221が摺動溝311に挿入されている。第1抵抗操作つまみ220は上ケース310の前面壁と第1抵抗リブ315を包み込むように第1抵抗操作開口313から第1抵抗リブ315に沿って上方に回り込み、閉塞部224は上部が第1抵抗リブ315に当接するとともに下部は第1抵抗操作開口313を閉塞するように配置されている。
【0054】
下ケース320の防水リブ322の後方には摺動部225が配置されており第1抵抗操作つまみ220を上ケース310の前面壁と第1抵抗リブ315と防水リブ322で狭持している。
【0055】
連接部223の後端部に設けられた嵌合凹部226には、制御基板206上に固定された第1スライド抵抗204の操作片204aが嵌入されており、第1抵抗操作つまみ220を左右に移動させることにより、第1スライド抵抗204の抵抗値を変化させることで、電気採暖具100のエリアAの温度設定を調節することができる。
【0056】
図10に示すように、第2抵抗操作つまみ230は樹脂材料により一体で成型されたものである。第2抵抗操作つまみ230は、上ケース310の外面に配置される本体部232と、本体部232の下端から後方に向かって屈曲させながら延設され第2スライド抵抗205に連接される連接部233と、連接部233の途中に配置され左右に延設された平面で第2抵抗操作開口314を閉塞する閉塞部234と、連接部233の途中に配置され左右に延設して設けられ下ケース320の防水リブ322に沿って摺動する摺動部235が一体で形成されている。
【0057】
連接部233の後端部には第2スライド抵抗205の操作片205aを嵌入する嵌合凹部236が設けられており第2抵抗操作つまみ230と第2スライド抵抗205が連接可能な構成となっている。
【0058】
本体部232の中央部には操作時に指を掛ける操作突起237と本体部232の後端部には上ケース310に形成された摺動溝311に挿入する係止部231が一体で形成されている。また閉塞部234は第2抵抗操作つまみ230の両側方向に上ケース310の前面壁と平行な平板を延出するように設けられており、閉塞部234の全幅寸法は第2スライド抵抗205の操作片205aが摺動する距離の2倍と本体部232の幅を加えた寸法以上を備えている。
【0059】
図11に示すように、上記構成の第2抵抗操作つまみ230は、本体部232は上ケース310に形成された操作部201の外面の曲面に沿うように配置され、本体部232の後端部に形成された係止部231が摺動溝311に挿入されている。第2抵抗操作つまみ230は上ケース310の前面壁と第2抵抗リブ316を包み込むように第2抵抗操作開口314から第2抵抗リブ316に沿って上方に回り込み、閉塞部234は上部が第2抵抗リブ316に当接するとともに下部は第2抵抗操作開口314を閉塞するように配置されている。
【0060】
下ケース320の防水リブ322の後方には摺動部235が配置されており第2抵抗操作つまみ230を上ケース310の前面壁と第2抵抗リブ316と防水リブ322で狭持している。
【0061】
連接部233の後端部に設けられた嵌合凹部236には、制御基板206上に固定され
た第2スライド抵抗205の操作片205aが嵌入されており、第2抵抗操作つまみ230を左右に移動させることにより、第2スライド抵抗205の抵抗値を変化させることで、電気採暖具100のエリアBの温度設定を調節することができる。
【0062】
<3>コントローラの動作および作用
図12は、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230を上ケース310に設置した状態で、スイッチ操作つまみ210は電源が「入」の状態である右端の操作位置にあり、第1抵抗操作つまみ220は設定温度が最低の設定である左端の操作位置にあり、第2抵抗操作つまみ230は設定温度が最高の設定である右端の操作位置にある状態を示す上ケース310の下面図を示すものである。
【0063】
図13は、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230を上ケース310に設置した状態で、スイッチ操作つまみ210は電源が「入」の状態である右端の操作位置にあり、第1抵抗操作つまみ220は設定温度が最高の設定である右端の操作位置にあり、第2抵抗操作つまみ230は設定温度が最低の設定である左端の操作位置にある状態を示す上ケース310の下面図を示すものである。
【0064】
図12に示す操作位置は、第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗つまみ230が最も近接した状態を示すものである。図に示すように、スイッチ操作開口312の全面はスイッチ操作つまみ210の閉塞部214の左側部分で全面を閉塞されている。第1抵抗操作開口313は第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224の右側部分と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234の右側の一部で閉塞されている。また、第2抵抗操作開口314は第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234の左側部分で全面を閉塞されている。
【0065】
第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234は多くの部分で前後に重なり合った状態である。2枚の閉塞部が重なり合うことにより、第1抵抗操作開口313の左端部における前後方向の隙間を完全に閉塞しており、第1抵抗操作開口313からコントローラ200内部への水の浸入を防止することができる。
【0066】
また、第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230がこの状態で、スイッチ操作つまみ210を左側に移動させたときは、スイッチ操作開口312は閉塞部214の右側部分で全面を閉塞することが可能である。
【0067】
図13に示す操作位置は、第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230が最も離れた状態を示すものである。図に示すように、スイッチ操作開口312はスイッチ操作つまみ210の閉塞部214の左側部分で全面を閉塞されている。第1抵抗操作開口313は第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224の左側部分と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234の右端部での全面を閉塞されている。また、第2抵抗操作開口314は第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234の左側部分での全面を閉塞されている。
【0068】
図13に示すように、第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224の左端部と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234の右端部が第1抵抗操作開口313左側端部で前後に重なり合った状態となっている。2枚の閉塞部が重なり合うことにより、第1抵抗操作開口313の左端部における前後方向の隙間を完全に閉塞しており、第1抵抗操作開口313からコントローラ200内部への水の浸入を防止することができる。
【0069】
また、第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230がこの状態で、スイッチ操作つまみ210を左側に移動させたときは、スイッチ操作開口312は閉塞部214の右側部分で全面を閉塞することが可能である。
【0070】
上記のように、スイッチ操作開口312と第2抵抗操作開口314は、それぞれの開口で操作するスイッチ操作つまみ210の閉塞部214と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234のみで閉塞されているが、第1抵抗操作開口313は第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224に加え第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234を併用して閉塞している。
【0071】
また、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230がいずれの操作位置にある場合も、スイッチ操作開口312と第1抵抗操作開口313と第2抵抗操作開口314は閉塞された状態となっていることが示されている。
【0072】
また、図12に示す第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230とが最も近接した状態でのそれぞれの中心間の距離W1は20mmである。また図13に示す第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230が最も離れた状態でのそれぞれの中心間の距離W2は60mmである。
【0073】
第1抵抗操作つまみ220の摺動距離をD1とし、第2抵抗操作つまみ230の摺動距離をD2とした場合、D1+D2=W2−W1の関係となり、D1+D2は40mmとなる。操作つまみの摺動距離D1およびD2は第1スライド抵抗204と第2スライド抵抗205の可動距離に等しい。
【0074】
通常の構成で第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234が相互に重なり合わない構成の場合、第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230が最も近接した場合の中心間の距離はD1+D2であり、本実施の形態に使用した第1スライド抵抗204と第2スライド抵抗205を使用した場合40mm以上となる。
【0075】
それに対して本実施の形態の閉塞部が相互に重なり合う構成とすることにより、第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230が最も近接する距離W1は20mmであり、閉塞部が重なり合う構成とすることが、コントローラ200を小型化するために有効な構成となっている。
【0076】
上記のように、本実施の形態の構成においては、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみ230がいずれの操作位置にある場合でも、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214と第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234でそれぞれの操作開口の全面を閉塞することが可能であり、コントローラ200の前面から飛び跳ねるように掛けられた水が、操作開口からコントローラ200内部に浸入することを防止することができ、防水機能を備えたコントローラを小型で実施することができ、安全性の高いコントローラを提供することができる。
【0077】
また、操作開口の後方には下ケース320と一体に形成された防水リブ322が配置されており、スイッチ操作つまみ210の閉塞部214と第1抵抗操作つまみ220の閉塞部224と第2抵抗操作つまみ230の閉塞部234のそれぞれの下端部と下ケース320の摺動面321との間からしみ込んだ水がコントローラ200の内部に進入することを防止することができる。
【0078】
また、スイッチ操作つまみ210を「入」、「切」操作した場合、スイッチ操作つまみ210の突起部216が上ケース310の摺動リブ317に設けられた突起318を乗り越えることにより操作中にクリック感を得ることができスイッチの「入」、「切」を感覚的に認知することができるとともに、不用意にスイッチが「入」または「切」なることを
防止することができ安全性を向上することができる。
【0079】
また、スイッチ操作つまみ210と第1抵抗操作つまみ220と第2抵抗操作つまみのそれぞれの閉塞部の幅はそれぞれの本体の幅に比較して広い幅を備えており、それぞれの操作つまみの操作時の傾きを抑制することができるため、操作つまみをスムーズに操作できる。
【0080】
なお、本実施の形態においては、コントローラ内に設置する操作機器としては電源スイッチと2個のスライド抵抗を設置したが、これに限るものではなく、例えば、切り替えスイッチ207を電源スイッチと同様な構成とすることも可能であり、また本体の加熱範囲のエリア数を増やすことにより温度調整をおこなうスライド抵抗と抵抗操作つまみの数を3個以上にした場合にも同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明にかかる電気採暖具のコントローラは、操作開口からの水の浸入を防止することが可能となるので、電気採暖具以外の電気機器のコントローラ等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0082】
100 電気採暖具
200 コントローラ
203 電源スイッチ(操作機器)
204 第1スライド抵抗(操作機器)
205 第2スライド抵抗(操作機器)
210 スイッチ操作つまみ(操作つまみ)
214、224、234 閉塞部
220 第1抵抗操作つまみ(操作つまみ)
230 第2抵抗操作つまみ(操作つまみ)
300 ケース
312 スイッチ操作開口(操作開口)
313 第1抵抗操作開口(操作開口)
314 第2抵抗操作開口(操作開口)
322 防水リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立面に複数の操作開口を備えたケースと、
前記ケース内に内蔵され、電気採暖具を操作する複数の操作機器と、
複数の前記操作機器を、前記操作開口を介して前記ケースの外部から操作する操作つまみと、を含み、
前記操作つまみは、前記操作開口に沿って所定範囲の操作位置に摺動可能とし、
前記操作つまみは、いずれの前記操作位置においても、前記操作開口を閉塞する閉塞部を一体に備え、
隣接する前記操作つまみが少なくとも相互に近接した前記操作位置においては、隣接する前記操作つまみの前記閉塞部は、一部が相互に重なり合った状態で配置される構成とし、
前記操作開口の少なくとも1つは、前記操作開口の一部を閉塞する2つの前記閉塞部により前記操作開口の全体が閉塞されることを特徴とする、
電気採暖具のコントローラ。
【請求項2】
隣接する前記操作つまみの中心が最も近接する距離が、隣接する操作つまみのそれぞれの摺動距離を加えた距離より短いことを特徴とする、
請求項1に記載の電気採暖具のコントローラ。
【請求項3】
前記操作開口の内方には、前記ケースの底面より突起した防水壁が形成されている、
請求項1または2に記載の電気採暖具のコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−251753(P2012−251753A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126982(P2011−126982)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】